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2019年03月21日
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時折 Relotius は⼤きな仕事をした。2016 年 4 ⽉ の 『Nummer 440』 は、グアンタナモに不当に収容されたイエメン⼈に関するセンセーショナルな記事だ。この⼈物は、14 年間にわたる暴⾏と隔離により、ついには解放を求める気持ちを失ってしまったという。それからほんの 3 か⽉後の 7 ⽉には、賞も獲得した Relotius の代表作である 『Koenigskinder』 が SPIEGEL に掲載された。この記事は、トルコで⼦供の奴隷になってしまったアレッポの⼆⼈の孤児について伝えている。
『Nummer 440』 には問題となる虚偽が含まれているが、『Koenigskinder』 には嘘がないと Relotius は⾔う。しかし、『Koenigskinder』 は次のように始まる。

「今年のある夏の⽇ことだった。早朝、Alinという名の 13 歳の少⼥は、眠たそうな⽬で Mersin 市内のまだ薄暗い 通りを歩きながら、ある歌を⼝ずさんでいた」

少⼥は歌っている ― Relotius の⽂章中で歌が歌われるところでは、いつものパターンどおり、お伽話が始まるのだ。今やこれは明らかな事実だが、⽇々の編集作業でこのパターンに気が付くことは容易ではないだろう。ひとつの記事の寄稿から、次までの間には、数か⽉時間が空くこともあるのだから。『Koenigskinder』 は続く。

「サンダルをパタパタとさせながら少⼥は、荒廃した家屋の前、睡眠中の⽝、消えた街路灯のそばを歩いて⼯場街を通り抜けた。彼⼥が⼝ずさむ歌は、ある⼆⼈の⼦供の物語だ。⼈⽣に⾒放された⼦供たちが、⼤きな困難を耐え抜き救済されるという内容だ」

これを美しいと思う⼈も、キッチュと感じる⼈もいるだろう。はたしてこのような童謡がシリアに存在するのかと尋ねることもできるだろう。しかし、たとえこの歌が存在しなかったとしても、 記者の捏造を証明することは難しかっただろう。Relotius が弟の Ahmed と出会った時にはカメラマンが同⾏していた。つまりそこには第三者証⼈がいたことになる。他⽅、Alin の写真を撮影したのは Relotius ⾃⾝であり、その時⼆⼈にはカメラマンも含めて同⾏者は誰もいなかった。だからと⾔って、それだけで捏造だと疑うことができるだろうか。Relotius は少⼥と⼀緒に、少⼥の働く地下の縫製⼯場を訪れた。そこへは許可なしで簡単に出⼊りができるかのように描かれている。Relotius は少⼥と⼀緒に 15 段の階段を下り、汗臭い地下に降りた。そこには 「15段」 とはっきり書いてある。Relotius は詳細な数値が⽂章の信ぴょう性を⾼めることを学んでいたのだ。

しかし、もしかしたらそれは事実だったのかもしれない。もしかしたら Relotius は⼀⽅の⼦供だけではなく、もう⼀⽅の⼦供にも同⾏したのかもしれないし、少⼥の歌の内容はそのとおりだったのかもしれない。そしてやましいところのない取材記録から、この記事が書かれたのかもしれない。しかし、どうしたって Relotius のことなんか信⽤できない。グアンタナモの収監者 Mohammed Bwasir の⼼境の変化をでっち上げたと⽩状した彼をどうして信じられようか。

Relotius は、彼⾃⾝の⼒では出来なかったことをひとつひとつ提⽰するというトリックを使って、でっち上げを巧みに隠した。記事の冒頭で次のように、はっきりと書いている。

「グアンタナモに取材に⾏っても、誰も Mohammed Bwasir には会うことも話すこともできない。しかし、彼の声


Relotius によれば、それは弁護⼠であり、「イエメンにいる」兄弟であり、かつての囚⼈仲間であり、さらに収容所の報告書やリークされた秘密⽂書、個⼈の書簡などであるという。はたして Relotius はどうやってこれらの情報源に接触したのだろうか。知っている⽂書とは⼀体どれを指しているのだろうか。そして、その弁護⼠はどの程度 Relotius に協⼒したというのだろうか。

記事では、収監者がアラビア語で書いた多くの⼿紙は弁護⼠の協⼒者により翻訳され、それを Relotius が吟味し調査したと匂わせている。彼はすべての⼿紙に⽬を通したかのように要点をまとめ、記事を書いたのだ。例えば次のように。
「当初、彼からの報告には『将来』という⾔葉があちこちに書かれていた」。⼀体 Relotius が、14 年という収監期間の初めの頃、中頃、そして終わりの頃の何を知っているというのか。彼は何も知らないのだ。そして、⽊曜⽇に彼は、収監者の⼼の変化を 想像⼒に任せて書いたと⽩状した。さらに信⽤が置けないのは、彼が描写するグアンタナモ内部の様⼦だ。

「すると兵⼠たちは⾳楽を流した。彼の頭のすぐそばにある 4 本のスピーカーから Bruce Springsteenの『Born in the U.S.A.』が聞こえた」

出典: SPIEGEL ONLINE






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最終更新日  2019年03月21日 19時01分11秒
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