添乗員は見た![あんな事こんな事]

添乗員は見た![あんな事こんな事]

2010/07/13
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私が改札を出る頃は,一緒に降りた人たちには私の恐怖体験が
知れ渡っていて,みんな口々私を慰めてくれたが,中には

“でも痴漢にモテても嬉しくないよね・・・。” 

などと,ちゃかしている人もいたのだったが,そんな話し声の中,
私は少しずつ落ち着きを取り戻していった。

「空ちゃん,アタシたちこれから“打ち上げ”やるンだけど
   ・・・,一緒にどう?!」
と,アンジーは少し遠慮がちに誘ってくれた。


「そうよねっ。今日は早く帰りなさい・・・ねっ。 お疲れ!」

改札を出て,駅前でみんなと別れた後,私は電車を降りて初めて
後ろを振り向いた。
そう,私は,ヤツを乗せた電車が出て行くのを確認していたはず
なのに,また誰かが付いてくるようで,怖くて振り向くことが
出来なかったのだ。

「オッ!! 空子,今帰り?! 」
「・・・・。」
「どこ行って来たの?! 北海道?・・・・沖縄?・・・」

駅構内から出て間もなく,懐かしい声が聞こえて来た。
その人は私の返事が返って来ないので,近づきながらキョトンとして
いた。


紛れもない身内の顔が私の目にハッキリと映ったっ時,私はゆっくりと
膝から崩れ落ちた。

「オイオイ・・・,どうした?  具合でも悪いの?!」
倒れかけた私を慌てて抱きかかえてくれたのは,偶然,居合わせた,
いとこの優子だった。

優子は私と同い年のいとこので,久しぶりに顔を見たのだったが,
なぜかとてつもない安心感が私を襲い,私を崩れさせたのだった。

「とにかく・・・車へ行こっ!  大丈夫か,歩けるか? 
   すぐそこだから・・・。」

私はその言葉に反応して力なく顔を上げた。

ホントにすぐそこに優子の車があった。
相変わらずだ・・・。こんな駅のロータリーの駐停車禁止の看板
だらけの中で,優子の車は我がもの顔でハザードを揺らしている。

いつもなら“ルールを守れ・・マナーが悪い・・・”と,説教の一つ
もしてやるものを,今日はこんな掟破りな優子の行動が,ありがたく
感じるのだった。

そして,私たちが車へ数歩近づいたとき車の中をのぞき込む警察官
の姿を発見し,2人同時に足が止まった。
       つづく





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最終更新日  2010/07/13 01:22:17 PM
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