添乗員は見た![あんな事こんな事]

添乗員は見た![あんな事こんな事]

2010/09/14
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カテゴリ: カテゴリ未分類

お客さんの先頭と酒屋の軽トラは,ほぼ同時にバスに到着した。
それに気付いたた金バッチが,嬉しそうに言った。
「おやおや,早速酒ですか・・・。」

カマキリ達と目を合わせないように背を向けていた私は,背中に近
づいて来たカマを感じながら,酒を受け取っていた。
すると程なく,背中からカマが振り下ろされた。
「おう,ご苦労さんっ,ビール冷えてるの持って来たか?!」


カマキリ達は,金バッチ以外には誰にでも同じ態度で接するのだ。
ここぞとばかりに,お腹を前に突き出して顎を無駄に動かしながら,
上の方から不機嫌そうに話しかける・・・。

私は酒屋のお兄さんがどう答えたのか聞こえなかたが,答えを聞く
までもない・・・と,思っていたのだ。
なぜなら,私が会計してすぐに軽トラに積み込んでいたのを見てい
たし,荷台に載せられたビールの箱を見て,店のテープが貼られて
いた位置まで憶えてた私は,紛れもなくだいぶ前に冷蔵庫から出さ
れたビールであるに違いないと,悟ったからだ。

私は,ビールだけを持って先にバスに乗り込み,戻って来た人達
に,“お帰りなさい”“お疲れ様です”と,声をかけながら,


そしてそれは予想通り,やって来た。
「ようっ,ビール冷やしとけって言ったよなっ!」
「はぃ・・・。」
「今頃,冷やしたって間に合わないだろっ!!」
「申し訳ありません・・・。」
「ったく,気が利かねェなぁ・・・。」

私は,ずっと頭を下げたままで,言い訳などはしなかった。
カマキリに言葉は通じないと思っていたし,顔を見るのもイヤに
なっていたからだ。
初日からこんなで,私は耐えられるのだろうか・・・?

「これ1本もらって行くよ!」
1人の金バッチは,“待ってました”とばかりに,ビールを掴んだ。
「あっ,スイマセン,まだ冷えてなくて・・・。」
と,私は慌てて声をかけた。
すると金バッチは,くるりと向きを変えて,カマキリに向かって
こう言った。
「・・・,酒屋すぐそこだから,冷えてるやつ少し買って
   来いよ。」
「ハイッ,わかりました!!」

カマキリは,すかさず私の方を見て,顎で指図した。
“オマエが行け!!”と。
私は驚くほど素直に,遠ざかる軽トラを追いかけるように,
走り出すのであった。
               つづく





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最終更新日  2010/09/14 02:27:53 PM コメントを書く


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