添乗員は見た![あんな事こんな事]

添乗員は見た![あんな事こんな事]

2010/10/13
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カテゴリ: カテゴリ未分類

ホテルを出発して30分位経った頃だろうか,後ろから静かに
“トイレ”の声がかかった。
「おッ,○×さんトイレだってよォ! 早く止めろよ。」
カマキリが慌てた様子で私に迫った。
「はいッ・・・。」

私は急いでドライバーとガイドに相談に行くが,

ドライバーは明るく答える。

改めて見回すと,バスは熱帯雨林の中の曲がりくねった
さほど広くない道を走っていた。中型バスと言えど,こんな所で
駐停車するのはマナー違反であることは,誰もが感じること
だろう。
私は,まず向き直ってカマキリに相談した。
「この辺りでは止められそうにないので・・・,
    あと5分位で到着しますから・・・。」
「あぁぁ・・・,大丈夫か?」
「聞いてきますね!」

本人と言えば,
  「わかりました,大丈夫です。」
と,落ち着き払って言うのだが,カマキリ達の動揺に私も少し
焦りを感じなければいけないような,変な責任を感じていた。


トイレを我慢しているかのように青ざめている。

やっと事の重大さに気付き始めた私は,もう一度○×さんに
声をかけた。
「もう少しですよ,大丈夫ですか?!」
○×さんはこの時言葉はなく,大きく頷いて返事をしてくれた。
窓の外に向けたそのまなざしは,さっきと変わらず穏やかだが,
○×さんに向けられたカマキリ達の視線は,行き場を無くし
ているようだった。

「お待たせ致しました。ご到着です。バスは出口の方の
    駐車場移動いたします。 出発時間は10:40です。」
ガイドの案内は,バスのドアが開くと同時に終わった。

誰も降りて来ない。ガイドと共に先におりていた私は,バスの
奥を覗いて見た。
トイレに行きたいと言っている○×さんを先に降ろそうと,
通路を開けているのだ。だが,長老の○×さんの動きは鈍く
中々出てこられないのだった。

ゆっくりとステップを降りて,顔を上げる。辺りをぐるり見回す。
まるでスローモーションのようだったが,私がせっかちそうに
話しかけた。
「お待たせしました。トイレはあちらです・・・。
    ・・・ご案内します。」

すぐそこに見えているトイレまで,案内することもなかったの
だが,一瞬私の鼻を突いたいやぁ~な臭いに反応し,
“ご案内します。”と,言っていたのだった。





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最終更新日  2010/10/13 02:28:03 PM コメントを書く


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