添乗員は見た![あんな事こんな事]

添乗員は見た![あんな事こんな事]

2010/10/15
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カテゴリ: カテゴリ未分類


開け,○×さんを中へ入れてドアを閉めた。

「どうしよう・・・。」(心の声)
取りあえず,男子トイレから出てきたものの,固まってしまった。
いやまて,やばっ,と私は気付き,バスの方へ急いで戻った。そして
○×さんが座っていた座席周りをチェックした。
さすがに血相を変えていた私に気付いたのだろう,カマキリが追い
かけて来て言うのだった。

私は無言で,座席の下へ潜り込んでいた。

「おぃっ! やっちゃったのか?!」
「・・・,バスの中は大丈夫のようです・・・。」
「じゃあ,間に合ったのか・・・?」
「・・・,着替えないとバスに乗れないと思います。」
「そッそ・・ゥか,まいったなぁ・・・。」
「しばらく時間がかかると思いますので,皆さんは先に見学に
   入って下さい。 ・・・私は○×さんに付き添いますので他
   の皆さんをお願いします。」
と,馬鹿げた事に私はカマキリ達に頭を下げていた。


“じゃあな”とは・・・何事だ。今考えれば蹴飛ばしてやりたい
くらいだ。いやっ,今どこかでカマキリ達に会ったら絶対蹴り
入れてやる。と,未だに忘れられない一言になっている。

でもこの時の私は,この状況をどう収拾するか,そしていかに
して○×さんを消臭するか考えるだけでイッパイイッパイだった。

私は男子トイレの入り口に戻り,・・・考え込んだ。その入り口
をふさぐように腕組をしながら行ったり来たり・・・。
どこで着替えてもらえばいいのか・・・?
汚れた衣類を身に付けたまま,バスに戻る訳にもいかないだろう。
そうだ,絶対ダメだ!!

そう言えばバスは?
ここはバスのお客様を降ろすだけのスペースしかなく,バスは
玉泉洞の出口付近にある,駐車場へ移動しなければならない事を
思い出した。
慌ててバスに戻ると,ドライバーは,
「大丈夫よ添乗員さん,待ってるからさぁ。」
南国の気候のせいか,ゆっくりとした穏やかなその口調は私に
一瞬落ち着きを取り戻させた。
「でも,バスには乗れないから・・・,先に行って下さい。」
そう言って私はまたトイレの入り口まで戻って来たが,ガイドから
借りて来たぞうきんを持って,行ったり来たり・・・。

私はいよいよ気合いを入れて,その奥のドアの前に立った。
「○×さん,大丈夫ですか?」
「・・・ウン・・・。」

その臭いはトイレ中に充満していて,大丈夫であるはずがない
ことは,すぐにわかった。
「着替えお持ちしましょうか?」
「ウン・・,大丈夫。」
私は息継ぎに外へ出て,また考え込んだ。
          つづく






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最終更新日  2010/10/15 04:37:00 PM
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