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寅さんシリーズの第13作、山田洋次監督とマドンナ吉永小百合。吉永は2度目のマドンナ役である。夫に死別して今は未亡人となっている歌子は、かつて寅次郎が思いを寄せていた女性。偏屈な父親との仲を悩む歌子のためにトラさんは一肌脱ぐことになったが・・・。その1: 山田作品34年ぶりという吉永だが・・・封切りされたばかりの「母べえ」は未見だが、若いときの純真な小百合ちゃんそのままと言える。年こそ時を感じさせるが、純粋な心をそのまま持ち続けているような気がする。いつまでも、いつまでも”若い心”を持ったままの小百合ちゃんでいて欲しいと思うのは私だけであろうか。未だに日活撮影所時代のイメージが抜けていないせいだろうか。山陰・津和野を舞台に寅さんが笑いと涙の珍騒動。マドンナ役の吉永小百合が「柴又慕情」に続いて二度目の登場を果たし、寅さんと息のあったところを見せてくれる。温泉町の旅館で働いていた寅(渥美清)は、夫が蒸発している働き者の絹代(高田敏江)という人妻と所帯を持つ決心をし、柴又に帰ってきた。この縁談をまとめるべく、さくら(倍賞千恵子)と裏の工場の社長を引き連れて絹代に会いに行くが、絹代は寅の顔を見るなり、夫が戻って来たことを嬉しそうに告げるのだ。さくらに置き手紙を置いてまたも旅に出る寅。山陰にある城下町・津和野、ここで寅はなつかしい歌子(吉永小百合)と再会した。二年前、寅の恋心を激しく燃え上らせた歌子は、小説家の父の反対を押し切って陶芸家の青年と結婚した。その後、その夫が突然の病で亡くなり、今は夫の実家のあるこの町で図書館勤めをしていた。その2: 寅さんの相手を思うひたむきさ、寅の純真さに打たれる!!現在の歌子は不幸に違いないと思った寅は「困ったことがあったら、“とらや”を訪ねな」と言って別れてしまう。家に舞い戻った寅は、「俺は薄情な男だ。どうしようもない冷たい人間だ。苦しんでいるに違いない歌子さんを残したまま、バスに乗っかっちゃって・・・なんて云うヤツだ」と大荒れに荒れる。このあたりの演技は渥美の独断場だ。歌子が柴又を訪ねたのは、それから十数日後。人生の再出発をする決意ができたと語る歌子は、暫くの間とらやの二階で世話になることになった。それからの寅は、歌子を励まし、歓ばせるための大奪闘・・・。歌子にとって一番の気懸りは、喧嘩別れしたままの父・修吉のこと。寅は早速、単身修吉を訪ね、歌子の代りに言いたい放題を言って帰って来た。そのことを知って皆が蒼くなっているところへ修吉が現われ、歌子と二年ぶりの父娘の対面となった。一同の心配をよそに、お互の心情を語りあった修吉と歌子は和解する。人間の持つ心の温かさを感じさせる場面だ。やがて、歌子は東京に帰って来たもう一つの目的である仕事について、博とさくらにも相談し、悩んだ挙句、伊豆大島にある心身障害児の施設で働く決心をした。技術も資格もない彼女が誇りをもって参加できる仕事として彼女はこの職場を選択したのだ。歌子にその決意を聞かされた寅は、ホッとしたような少し疲れたような様子で「よかったネ、歌子ちゃん」と答え、励ます。 その3: 歌子へのさりげない精一杯の寅さんの”愛の告白”???父と和解して実家に戻った歌子を訪ねた寅さん、縁側で浴衣姿の歌子と並んで多摩川の花火を見るシーン。「アッ、仕掛けだわ。(と、庭に駆け出し)凄い、寅さん、早く来て!!」「(縁側に座ったまま)歌子ちゃんの浴衣姿、とってもきれいだ」「え、何、何て言ったの?」「・・・・・」これは寅さん流の愛情の告白であろうか。寅さんシリーズは日本人の魂を描いた映画と私は思う。それを引いたのが釣り馬鹿シリーズと言えよう。かっての日活渡り鳥シリーズはバタ臭い香りが好まれたのだろうか。この映画の製作された1974年はルバンク島で小野田少尉が発見された年である。1974年 松竹・カラー 監督 山田洋次 出演 渥美清 倍賞千恵子 吉永小百合 松村達雄 三崎千恵子 前田吟 中村はやと 太宰久雄 佐藤蛾次郎 笠智衆 宮口精二 高田敏江 ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓人気blogランキングへ
2008.01.27
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鬼才・クエンティン・タランティーノ監督が6年ぶりに世に放った痛快アクション。組織の裏切りで重傷を負い、夫と子供を失った元・殺し屋、ザ・ブライド。彼女は組織への復讐を誓い、組織のボス、ビルを抹殺する旅に出た。究極のチャンバラ・アクション、主人公は女性、果たして敵をたおせるのか???復讐に燃える女性殺し屋の活躍を描いたヴァイオレンス映画の第一部である。その1: この映画はまさに殺しの美学?とでも云えようか毒ヘビ暗殺団で最強と言われた元エージェントの女、ザ・ブライド(ユマ・サーマン)が、4年間の昏睡状態から奇跡的に目を覚ました。彼女は自分の結婚式の最中に、かつてのボス、ビル(デイヴィッド・キャラダイン)とその手下たちに襲われ、頭を撃ち抜かれたのである。友達も夫も、腹の中に宿っていた子供もみんなそろって殺された。意識を取り戻したザ・ブライドは果てしなき復讐の旅に出る。まずはナイフの使い手であるヴァニータ・グリーン(ヴィヴィカ・A・フォックス)の自宅へ乗り込み死闘の末、彼女を殺す。 その2: 日本刀を手に入れる女・殺し屋は暗殺集団と対決!? ユマは沖縄へ飛んで、服部半蔵(サニー千葉)に会う。「刀を譲って?」「出来ぬ。わたしはもう引退した男だ、その私に何をしろと・・・」「弟子のしたことは師匠の責任よ」「(窓ガラスにビルの名を書き)分かった、刀が出来るまでは1ヶ月、その間、訓練して待つがいい」やがて刀が完成する。半蔵から刀を手に入れるザ・ブライド。「行くがいい。金髪の戦士よ」そして東京へ。青葉屋に乗り込み、暗殺集団クレイジー88を皆殺しにするのだ。死体の山を築くこのシーンは異様である、さぞかし血糊がいっぱいいったことだろう。少女の殺し屋ゴーゴー夕張(栗山千明)との対決は中々の見ものだ。さらに日本刀の名手オーレン・イシイ(ルーシー・リュー)との戦いは凝っている。鈴木清順も顔負けと言いたくなる。いつ果てるとも知れない苦闘の末、遂にオーレンを倒す。そして飛行機の中で、ザ・ブライドはビルの名で終わる復讐リストを書き記すのだった。 その3: 殺しの場面もここまで徹底されると痛快になるのだから妙だクエンティン・タランティーノの飽きさせない作りは見事と言うほかない。雪の中で演じられる女同士の闘いはさながら一幅の絵である。「たいした日本刀だね、誰が作ったんだい?」と訊くオーレン。「服部半蔵さ」「嘘つけ」ザ・ブライド、刀の刻印を見せる。そして、激しい死闘の末・・・・ザ・ブライドが刀を下げて堂々と空港を歩くシーンなどはどうかと思う。また青葉屋にオーレン一味が刀を下げたまま集団で入って行く場面などには恐れ入る。法治国家形無しだ。いや、真剣に取り上げるのはやめておこう。模造刀と言うことでロケを許可してもらったのだろうが・・・2003年 アメリカ・カラー 監督 クエンティン・タランティーノ 出演 ユマ・サーマン ルーシー・リュー ヴィヴィカ・エー・フォックス マイケル・マドセン ダリル・ハンナ デイヴィッド・キャラダイン 千葉真一(サニー千葉)ジュリー・ドレフュス 栗山千明 ゴードン・リュー ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓人気blogランキングへ
2008.01.21
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60歳を過ぎた名優と21歳の新進女優が奏でる老喜劇役者と若きバレリーナの恋!!落ちぶれた老コメディアンと、彼を愛する若く美しいバレリーナ、「ライムライト」には、かっての栄光にしがみつく者と未来に向かって羽ばたく者の対比が描かれている。その1: 「赤狩り旋風」に巻き込まれたチャップリンが訣別の意思を示した作品この映画はハリウッドに冷遇され、故郷ロンドンを舞台に製作した作品だ。「ライムライト」が晴れてアメリカで公開されたのは、製作から実に19年後のことであった。第一次世界大戦前のロンドン。往年の喜劇役者カルベロ(チャールズ・チャップリン)は同じアパートの一室で前途を絶望し自殺をはかったバレリーナのテリー(クレア・ブルーム)を助ける。必死の看病と励ましでテリーは舞台に復帰出来、カルベロを愛するようになる。彼女は若い作曲家ネビル(シドニー・チャップリン)の求婚を拒み、カルベロとの結婚を決意する。「彼に対する気持ちは哀れみなんかじゃないわ」とネビルにいう。その2: 舞台で成功するテリーと裏腹にカルベロは・・・職にあぶれたカルベロは彼女の前から姿を消す。月日が経ち、テリーとも再会し舞台復帰が叶うのだが、彼は不安の色を隠せない。そんな彼をテリーは優しく励ます。「あなたが言ったことを覚えているでしょう? 地球を動かし、木を成長させる宇宙の力のことを。そしてあなたの中にあるその力を今こそ使って闘う時だわ」カルベロはテリーの励ましで畢生の至芸を演じる、そして熱演のあまり舞台から転落して・・・その3: 大喜劇役者キートンを7年ぶりに映画出演させたチャップリンの友情すっかり忘れ去られていたバスター・キートンの達者な演技、二人の掛け合いが舞台を盛り上げる。クレア・ブルームの見事なバレエ・シーンも見応えがある。老境を迎えた喜劇王がかっての「チョビ髭のチャップリン」のイメージをかなぐり捨て、自らの姿をあからさまに描いた哀愁に満ちた作品と云えよう。1952年 アメリカ・モノクロ 監督 チャールズ・チャップリン 出演 チャールズ・チャップリン クレア・ブルーム バスター・キートン シドニー・チャップリン ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓人気blogランキングへ
2008.01.17
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夜のパリを舞台にしたフランス製ギャング映画”フィルム・ノワール”。ジャン・ギャバンの名演技が光る傑作である。その1: この映画は決してアメリカ映画のマネをしたギャング物ではない「現金に手を出すな」は第2次大戦後のフランスでパリ生まれの監督ジャック・ベッケルが撮ったフランス製のギャング映画だ。ギャバン演じるマックスは、若くもなければ男前でタフなギャングでもない。20年来の親友に文句を言いながらも世話を焼き、挙句は金も友も全て失ってしまうような男だ。「おい、おまえ、自分のツラを見ろ。目の下のしわを見ろ。どうだ、男前か? とんでもねえ!もう見られたもんじゃないだろ? 俺も同じだ!」マックスはそう相棒のリトンに言い放つ。その2: 映画初出演のリノ・ヴァンチュラが狡猾なギャングを演じる初老にさしかかったギャングのマックス(ジャン・ギャバン)は、頼りない相棒のリトン(ルネ・ダリー)とオルリー空港から5000万フランの金塊を強奪する。マックスはこれを最後に危険な世界から引退しようと考えていた。しかし、リトンが情婦のジョジー(ジャンヌ・モロー)に金塊の秘密を漏らしてしまったばかりに・・・。「この仕事を最後に、俺は静かに暮らす気でいた。---危ない橋を渡るのはもうごめんだ」マックスはリトンに向かってこうぼやく。二人はアンジェロ(リノ・ヴァンチュラ)率いる若手ギャング団に狙われる。ジョジーとアンジェロは通じていたのだ。リトンは若手ギャング団に拉致され、金塊を要求される。マックスは金塊と交換にリトンを取り戻すが、銃撃戦になり、リトンは重傷を負う。その3; 新進女優だったジャンヌ・モローは勝気で小悪魔的な踊り子を演じ・・・ジャンヌ・モローの鮮烈な存在感には圧倒される。「死刑台のエレベーター」と比べても遜色ない。「俺の間違いだ。一人でやるべきだった・・・」永遠の別れを予感して、マックスはベッドのそばで淋しげな顔をみせる。全編を彩った哀愁を帯びたテーマ曲「グリスビーのブルース」は日本でも大ヒットした。1954年 フランス=イタリア・モノクロ 監督 ジャック・ベッケル 出演 ジャン・ギャバン ルネ・ダリー ジャンヌ・モロー リノ・ヴァンチュラ ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓人気blogランキングへ
2008.01.15
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殺人事件を目撃したばかりに、ギャングに追われて修道院に匿われたクラブ・シンガー。ウーピー・ゴールドバーグが巻き起こす騒動を描くコメディ。その1: '92年 全米で爆発的ヒット!!ウーピー・ゴールドバーグが本領発揮ネヴァダ州リノのカジノで歌うクラブ・シンガー、デロリス=ヴァン・カルティエ(ウーピー・ゴールドバーグ)は、一帯の顔役で、自身の愛人でもあるヴィンス(ハーヴェイ・カイテル)が組織の裏切り者を殺す現場を見てしまった。さあ大変、生命の危機を感じたデロリスはその場を逃げ出す。警察へ駆け込んだデロリスをサザー警部(ビル・ナン)はサンフランシスコの修道院に匿うことにする。新米尼僧シスター・クラレンスとして修道院に迎えられたデロリスは、厳格な修道院長(マギー・スミス)の高圧的な態度にもめげず、シスター・パトリック(キャシー・ナジミー)、シスター・ロバーツ(ウェンディ・マッケナ)ら若い尼僧たちと親しくなる。 ラザラス尼(メアリー・ウィックス)から聖歌隊のリーダーを引き継ぎ、歌のレパートリーにソウルやロックのナンバーを加えて・・・その2: 教会から流れるのはへたくそな賛美歌ではなく ソウルやロックの賛美歌!??たちまち町中の人気となり、教会は大入り満員の大盛況!! テレビが早速取材にやってくる。彼女たちの歌は全世界に拡がり、ローマ法王の耳にも。一方、テレビに映ったデロリスを見たヴィンスはすぐに殺し屋を差し向ける。やがて法王が訪米されることになり、デロリスたちの修道院を訪問することになる。その頃、ヴィンスの放った殺し屋がデロリスに迫りつつあった。殺し屋に捕まってリノに連れ戻されたデロリスは縛られてヴィンスの前に。「お前には何でもしてやった。それなのに恩を仇で返すのか」「自分の罪を悔います、あなたの罪もです」「怖いと云えよ」「あなたを許します」「始末しろ!」ヴィンス、切れて手下に喚く。危機一髪、尼僧たちが一致団結して助け出し、ヴィンスたちは逮捕された。そして法王の前で、デロリス率いる聖歌隊はにぎやかに歌い踊るのである。その3: お堅い教会音楽をソウルやロックにアレンジしたことが成功の証?世界中どころか天国の神様も大笑いしたこと間違いなしという作品である。まさに意表をつく発想だと言えよう。 1992年 アメリカ・カラー 監督 エミール・アルドリーノ 出演 ウーピー・ゴールドバーグ マギー・スミス ハーヴェイ・カイテル キャシー・ナジミー ウェンディー・マッケナ メアリー・ウィックス ビル・ナン ロバート・ミランダ ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓人気blogランキングへ
2008.01.12
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日露戦争前夜、厳寒の八甲田山中で過酷な人体実験が実施された。酷寒のシベリアで戦うための体力実験だった。神田大尉が率いる青森5聯隊は雪中で進退を協議しているとき、大隊長が突然“前進”の命令を下す。その指揮系統の混乱は、ついには199名の死者を出す。少数精鋭の徳島大尉が率いる弘前31聯隊は210余キロ、11日間にわたる全行程を完全に踏破した。自然と人間のすさまじい闘いを迫真の演技で描いた超大作と言えよう。その1: 明治35年、冬の八甲田山で陸軍青森第5連隊をおそった悲劇!! 「冬の八甲田山を歩いてみたいと思わないか」と旅団長から声をかけられた二人の大尉、青森第五連隊の神田(北大路欣也)と弘前第三十一連隊の徳島(高倉健)は全身を凝固させた。日露戦争開戦を目前にした明治三十四年末。第四旅団指令部での会議で、露軍と戦うためには、雪、寒さについて寒地訓練が必要であると決り、冬の八甲田山がその場所に選ばれたのである。 二人の大尉は責任の重さに慄然となった。雪中行軍は、双方が青森と弘前から出発、八甲田山ですれ違うという大筋だ。再び逢えるかどうか分からない二人は一夕酒を酌み交わして別れを告げる。年が明けて一月二十日。徳島隊は、わずか二十七名の編成部隊で弘前を出発。行軍計画は、徳島の意見が全面的に採用され隊員はみな雪になれている者が選ばれた。出発の日、徳島は神田に手紙を書く。それは、我が隊が危険な状態な場合はぜひ援助を……というものだった。一方、神田大尉も小数精鋭部隊の編成を申し出たが、大隊長山田少佐(三國連太郎)に拒否され二百十名という大部隊で青森を出発する羽目に。神田の用意した案内人は山田にことわられ、いつのまにか随行のはずの山田が隊の実権を握っていたのだ。その2: 指揮官の優劣が部下の命まで左右する?慎重さと決断、勇気、これは指揮官の能力だが、時と場所を間違えると悲惨な結果を招くという見本だ。神田の部隊は、低気圧に襲われ、磁石が用をなさなくなり、白い闇の中に方向を失う。神田は体力を温存するために休止を主張するが、精神論者の山田は闇雲に”前進”を命令する。次第に隊列は乱れ、狂死するものさえ出て来る始末。一方徳島の部隊は、女案内人を先頭に風のリズムに合わせ、八甲田山に向って快調に進む。体力があるうちに八甲田山へと先を急ぐ神田隊。耐寒訓練をしつつ八甲田山へ向った徳島隊。狂暴な自然を征服しようとする二百十名、自然と折り合いをつけながら進む二十七名。しかし八甲田山はそのどちらも拒否するかのように吹雪が襲いかかる。神田隊は次第にその人数が減りだし、辛うじて命を保った者は僅か五十名ほど。この残った者に対しても雪はとどめなく襲いかかるのだった。一寸先も見えない吹雪、そして雪崩に巻き込まれて・・・神田は、薄れゆく意識の中で徳島に逢っていた。二十七日、徳島隊はついに八甲田に入った。天と地が咆え狂う凄まじさの中で、神田大尉の従卒の遺体を発見。神田隊の遭難は疑う余地はなかった。徳島は、吹雪きの中で永遠の眠りについた神田と再会。その唇から一筋の血。それは、気力をふりしぼって舌を噛んで果てたものと思われた。その3: 両部隊の運命を分けたものは何だったのか!? 進軍ラッパだけでは勝利できない???雪と氷で全身凍りつくような徳島隊の者もやっとのことでとある部落に辿りつく。そこには神田隊の救助隊が待っていた。「いいか、八甲田で見たことは一切他言は無用。もし喋るものがいたら、一生、憲兵に追われるものと思え!」徳島は全員に厳しい口調でこう申し渡す。そして徳島は安置された神田の遺体と対面するのであった。第五連隊の生存者は山田少佐以下十二名。のちに山田少佐は責任を取って拳銃自殺。徳島隊は全員生還した。しかし、二年後の日露戦争で、全員が戦死したのである。これは実現不可能と云われた新田次郎の原作を映画化した名脚本化、橋本忍と監督森谷司郎が成し遂げた世紀の大傑作だ。未見のあなたには、ぜひ見ていただきたい。将来、指揮官を志すのであれば尚更だ。 1977年 東宝・カラー 監督 森谷司郎 出演 島田正吾 大滝秀治 高倉健 丹波哲郎 北大路欣也 三國連太郎 加山雄三 小林桂樹 森田健作 ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓人気blogランキングへ
2008.01.10
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アンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督による、傑作サスペンス・スリラー。横暴で利己的な男を、妻と愛人が共謀して殺害する。だが、なぜか死体が姿を消してしまった。死体はどこに・・・???その1: アンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督が"恐怖の報酬"から2年 再びサスペンスに挑んだ傑作!! 妻クリスティナ(ヴェラ・クルーゾー)の財産で、パリ郊外の小学校の校長に収っているミシェル(ポール・ムーリッス)は、妻に教鞭をとらせ、もう一人の女教師ニコオル(シモーヌ・シニョレ)と公然と通じている男だ。乱暴で利己的な彼に二人の女はついにがまんできず、共謀でミシェル殺人の計画を立て、三日間の休暇を利用してニオールのニコオルの家へ行き、電話でミシェルを呼び寄せる。いざとなるとクリスティナは怖気づくが、気の強いニコオルは、彼女に命令してミシェルに睡眠薬入りの酒を飲ませ、寝こんだところを浴槽につけて窒息させる。翌朝二人は、死体を用意して来た大きなバスケットに詰め小型トラックで学校まで運び、夜の闇に乗じて死体をプールに投げこんだ。その2: 校長の姿を見たという生徒が出てきたりして高まるサスペンス・・・校長失踪はたちまち校内の話題になるが、ニコオルは平然としている。ボールがプールに落ち、拾いに飛びこんだ生徒が校長のライターを発見。プールの水を干してみると、死体は影も形もなかった。もともと心臓に持病があるクリスティナは次第に脅え始める。しかも、つづいて、ミシェルが殺されるとき着ていた洋服がクリーニング屋から届けられる事件が起きた。クリスティナは洗濯屋から依頼人の住所を開き、そのホテルヘ行って見たが、そのとき依頼人はいなかった。おりしも校長に似た溺死体がセエヌ河に浮んだという新聞記事を見て、死体公示所へ行ったが人違い。公示所でクリスティナからおおよその事情を聞いたフィシェ老警部は、学校に来て調査をはじめた。モワネという生徒がガラスを割って校長に叱られたといい、学校で記念撮影をしたところ、校長らしい人物が写真の中に写っていたりして、クリスティナは恐怖のあまり持病の心臓病が悪化して寝こんでしまう。その3: 殺した犯人が疑心暗鬼にとらわれていく恐ろしさ・・・ニコオルは学校を辞めて出て行った。その夜、一人寝ているクリスティナを脅すタイプを叩く音、そして足音が聞えてーーー。動てんした彼女は廊下から部屋へ足音を追って浴室に来ると、浴槽には殺したときそのままのミシェルが沈んでいる。突然、その死体が起きだしたため、彼女は恐怖のあまり発作を起して絶命する。この大芝居はミシェルとニコオルが共謀して打ったものだった。事成れりと抱き合いキスする二人。「うまくいったわね」「今や大金持ちだ。罪にもならず・・・」「15年から20年だ。弁護士次第だが」ほくそえむ二人だったが、フィシェに捕えられて・・・。学校が閉鎖になった日、モワネは、今度はクリスティナ夫人に会ったと云う。死んだ筈のクリスティナ夫人に・・・!!??? シモーヌ・シニョレの悪女ぶりが見ものという作品だ。恐怖サスペンスの巨匠といわれたアンリ・ジョルジュ・クルーゾーだけに最後まで恐怖に浸らせてくれる。ヒッチコックとはまた違う味がある。1955年 フランス・モノクロ 監督 アンリ・ジョルジュ・クルーゾー 出演 シモーヌ・シニョレ ヴェラ・クルーゾー ポール・ムーリッス シャルル・ヴァネル ピエール・ラルケ テレーズ・ドルニー ジャン・ブロシャール ジョルジュ・シャマラ ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓人気blogランキングへ
2008.01.08
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「イブの総て」のジョセフ・L・マンキーウィッツ監督が、製作費約290億円、22万3千人の出演者、4年7ヶ月の製作期間で完成させた歴史スペクタクル超大作。世界3大美女の1人、クレオパトラを気高く演じたのは、美人女優で名高いエリザベス・テイラー、彼女一人の出演料だけで100万ドル(当時の約3億6千万え円)だった。前代未聞の巨額の製作費がもたらす圧倒的な重厚感と、豪華絢爛なセットに思わず驚嘆させられる。その1: 古代エジプト最後の女王クレオパトラにふさわしいE・テイラー古代エジプト最後の女王クレオパトラの愛と悲劇を描いた超大作だ。大国ローマに対し、エジプト王国を守るため、美貌と叡智の限りを尽くして闘った女王クレオパトラ。大政治家シーザーと勇将アントニーを恋の虜にし、一人の女として一国の主として苦悩するのだ。撮影当時、エディ・フィッシャーという夫のある身でありながら、妻のあるリチャード・バートンとの"禁断の恋”がマスコミの好奇の目にさらされ、ローマ教皇庁が非難声明を出すなど、リズは孤立していたという。それが何と、クレオパトラのローマ入城シーン撮影の時、群集が「クレオパトラ万歳!」と叫ぶ場面で、いつの間にか「リズ万歳!」の声に変わっていたという。それは神々しくも美しい女王そのものだったテイラーへの賞賛の声だった。「クレオパトラ万歳! 月神ホルスと太陽神ラーの娘、大エジプトの王妃、クレオパトラ万歳!!」大群衆が歓声を上げて叫んだ。その2: 2000年余り前のエジプト王朝とローマ帝国の興亡・・・愛と野望の狭間で揺れる祖国の命運を担った美女。クレオパトラの衣装代だけでも、27万ドル、74着の衣装が作られた。紀元前1世紀、エジプトの首都アレクサンドリアで、女王クレオパトラはローマ帝国の将軍ジュリアス・シーザー(レックス・ハリソン)と恋に落ち、子を産む。しかし、ローマに凱旋したシーザーは独裁者の性格を強め、元老院派に刺殺される。「信用などはせぬ。”信用”という言葉そのものが嫌いだ」と嘯くシーザーだったが、「ブルータス、おまえもか」の有名なセリフを残して死ぬ。やがて、クレオパトラはシーザーの部下だったアントニー(リチャード・バートン)と結ばれ、共に地中海の支配者を狙うが・・・。「女王も裸にすればただの女だ。将軍もただの男です」アントニー歓迎の宴に臨んだクレオパトラに、アントニーはこういうのだ。その3: 監督解任や俳優の交代もあり およそ5年がかりで完成した大作当初の監督だったルーベン・マムーリアンはジョセフ・L・マンキウィッツに交代させられ、俳優陣もイギリス人演技派になった。黄金の衣装に包まれ、アントニーの跡を追ったクレオパトラは乳房を毒蛇に咬まれて死ぬ。床には蛇が這いまわって・・・。女としても美貌だけが売りの女優ではなく、演技派女優に変身しつつあったエリザベス・テイラー、その彼女をじっくり味わってほしい。1963年 アメリカ・カラー 監督 ジョセフ・L・マンキーウィッツ 出演 エリザベス・テイラー リチャード・バートン レックス・ハリスン ロディ・マクドウォール マーティン・ランドー ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓人気blogランキングへ 新しい年、本年もどうぞよろしくお願い致します。
2008.01.06
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ある刑事の10余年間に渡る人生の軌跡を通して、男女の出会いと別れを描いた高倉健の秀作。その1: 別れの場面が最初に出るのは 珍しい --1967年1月 直子-- その日、警察官の英次(高倉健)は雪の降り続く銭函駅ホームで、妻の直子(いしだあゆみ)と、四歳になる息子義高に別れを告げた。離婚を承諾した直子は、動き出した汽車の中で、英次に笑って敬礼するが、その目には涙が溢れていた。「たった1回の過ちじゃねえのか、忘れてやるわけにゃあ、いかねえのか」一緒に見送りに来た英次の上司、相馬(大滝秀治)がいう。でも、英次には許せなかったのだ。苛酷な仕事と、オリンピックの射撃選手に選ばれ合宿生活が続いていたことも原因であった。英次の上司、相馬が連続警察官射殺犯“指名22号”に射殺された。中川警視の「お前には日本人全ての期待がわかっている」との言葉に、犯人を追跡したい英次の願いは聞き入れられなかった。テレビが東京オリンピック三位の円谷幸吉の自殺を報じていた。「これ以上走れない……」英次にその気持が痛いほどわかった。そも2: 狙撃の名手である英次は・・・ --1976年6月 すず子-- 英次の妹、冬子(古手川祐子)が、愛する義二(小松政夫)とではなく、伯父の勧めた見合の相手と結婚した。英次は、妹の心にとまどいを覚え、義二は結婚式の夜に荒れた。その頃、英次はオリンピック強化コーチのかたわら、赤いミニスカートの女だけを狙う通り魔を追っていた。増毛駅前の風侍食堂につとめる吉松すず子(烏丸せつこ)の兄、五郎(根津甚八)が犯人として浮かんだ。すず子を尾行する英次のもとへ、コーチ解任の知らせが届く。スパルタ訓練に耐えられなくなった選手たちの造反によるものである。すず子はチンピラの雪夫の子を堕すが、彼が好きだった。だが、雪夫にとって、すず子は欲望のハケロでしかなく、英次が警察官と知ると協力を申し出る。雪夫は結婚を口実にすず子を口説いた。すず子は、刑事たちの張り込みに気づいていながらも、愛する雪夫を兄に会わせたく、隠れている町へ案内する。そして、英次の前に五郎が現れたとき・・・。その3: 出逢いと別れが再び・・・ --1979年12月 桐子-- 英次のもとに旭川刑務所の吉松五郎から、刑の執行を知らせる手紙が届いた。四年の間、差し入れを続けていた英次への感謝の手紙でもあった。英次は故郷の雄冬に帰ろうと、連絡船の出る増毛駅に降りた。風待食堂では相変らず、すず子が働いていた。雪夫は結婚したらしく、妻と子を連れてすず子の前を通り過ぎて行く。連絡線の欠航で所在無い英次は、赤提灯「桐子」に入った。女手一つで切り盛りする桐子(倍賞千恵子)の店だが、暮の三十日なのに客は一人もいない。テレビでは八代亜紀の「舟唄」が流れている。「この唄好きなのよ」と桐子は咳く。「あんたも処女なの?」ケロッと英次に聞く桐子に英次は唖然として答える。「冗談じゃねえぜ。そんな訳ねえだろう」自分と同じく孤独の影を背負う桐子に、いつしか惹かれる英次。大晦日、二人は留萌で映画を観た。肩を寄せ合って歩く二人が結ばれるのに時間はかからなかった。英次は、初詣の途中、桐子を見つめる一人の男に気づく。英次が雄冬に帰りついたのは、元旦も終ろうとしている頃だ。そこで、十三年ぶりに電話をかけて直子の声を聞いた。池袋のバーでホステスをしているという。雄冬の帰り、桐子は、札幌へ帰る英次を見送りに来ていた。その時、“指名22号”のタレ込みがあり、英次は増毛に戻った。手配写真と、桐子を見つめていた男の顔が英次の頭の中でダブル。桐子のアパートで22号は、英次の拳銃で撃ち殺された。警察に通報しながら22号をかくまっていた桐子。札幌に戻る前、英次は桐子を訪ねた。英次に背を向け「舟唄」を聞き入る彼女の顔に涙が流れていた・・・。 飲み屋で高倉健と倍賞千恵子が、寄り添って紅白歌合戦をテレビで見るシーンは何ともいえない情感溢れる場面だ。八代亜紀の”舟歌”がまたいい。1981年 東宝・カラー 監督 降旗康男 出演 高倉健 いしだあゆみ 倍賞千恵子 古手川祐子 名古屋章 大滝秀治 池部良 寺田農 烏丸せつこ 根津甚八 ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓人気blogランキングへ 新しい年、本年もどうぞよろしくお願い致します。
2008.01.02
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