
このちょいと面妖なるものは、Rognon de veau、ロニョン・ド・ヴォーと言いまして仔牛の腎臓です。腎臓ですから仔牛1頭に付き2個あります。1個が約300グラムくらいですか。
この画像のものはもう剥いてしまったあとなんですが、真白できれいな脂肪に包まれています。その脂がいわゆるケンネ脂というもので肉屋さんでステーキ肉を買う時につけてくれる真白い脂がそのケンネ脂です。
日本では、あまりメニューに載らないようだがフランスではとてもポピュラーな内臓料理だ。三ツ星シェフでもこれを得意とする人は多いし、庶民的なビストロでも名物メニューとする店も多いようだ。
うまく料理すればレバーほどのくせもなく、プリプリとしたナマコのような食感が魅力で、実に美味しいものだ。フランス人の男ならこれを丸1個くらいはぺろりと食べてしまう。内臓料理の王様と言われるくらいで、高級料理になりうる素材だ。
まあ、これほど難しい素材もないといっていいくらい火の通し加減が大切。それから言うまでもなく鮮度が肝心!何しろ腎臓は血液をろ過して老廃物を取り除き尿として排泄物を作る臓器なのだから、鮮度が悪いとアンモニア臭などが出てきてとても食べられた代物ではなくなる。
それから、焼いているときに行う作業も大切でせっかく鮮度が良くても工程を間違えてしまうと台無しになるといわけで、結構難しいのだ。

丸焼きにして休ませて切り分けたところ。レバー的なうまさと砂肝やハツ的なコリコリ感がこのロニョンの魅力なのだが、焼きすぎるとゴムタイヤみたいになってしまうので細心の注意を払って焼きます。つるんとしてソースをはじくような材質なので、味付けはきつめにするのが伝統的で、中でもマスタードソースがもっともポピュラー。

これは、ディジョンマスタードを使ったソースで仕上げたところ。このほかきのこ系のソースも合うし、カシスやフランボワーズを使ったソースも面白い。独特のワイルドな風味が、いろんなタイプのワインとの組み合わせの可能性を感じる素材である。
食べてみたい人は、2~3日前までに連絡してください。すごく高い素材というわけではないので、普通のコース料金に少し追加くらいでお出しできますよ。はまる人には、ものすごくはまる料理です。
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