
もう一週間近く経ってしまったが、先日の日曜日のお昼に さかもとこーひーのさかもとさんが、奥様とお店の女性スタッフとさかもとさんのお店のフラワーアレンジメントも担当しているフローリストの女性4人で食事に来てくれました。いつものようにお任せコースです。
最初の皿は、入荷したばかりの生ハムグランパルマの口切りと、私の手作りラルド・イベリコに水茄子のサラダや自家製ピクルスとドライトマトを添えたもの。ワインはシェリーの逸品、アルマセニスタ・マンサリーニャ・パサダ・デ・サンルカール。シェリーの生産地の三つの地区のうち一番海に近いサンルカール・デ・パラメーダの街で醸造熟成されたもので、かすかに潮の香りと塩分が感じられるという特別なシェリー。
生牡蠣やエビやカニ類などにとても良く合うワインなのだが、生ハムやラルドやチョリソーやサラミなどの豚肉加工品とも抜群の相性を示す。この組み合わせは、ベテランのソムリエさんでも意外に知らない人も多い。かなり美味しい組み合わせです。サンク・オ・ピエでは、シェリーだけでも3種類用意してあります。
二皿目は、フォアグラのソテーに自宅庭のイチジクのローストのシナモン風味とサルタナレーズンのコンポートを添えたもの。これには、北フランスアルザス地区の香り高い白ワイン 、ゲヴェルツトラミネールを合わせる。ライチや桃やユリの花のような甘い香りに混じって、胡椒や山椒、クミンやクローブのようなスパイシーな香りも感じるとてもユニークな半辛口なワイン。ソムリエ試験でこれをかぎ分けられなければ、絶対に不合格!といっても良いくらいに個性的なワインです。サンク・オ・ピエでは、フォアグラに合わせるグラスワインを数種類要してありますが、このゲヴェルツトラミネールは一番人気がありますね!
香ばしく焼けたフォアグラにイチジクやレーズンの甘さや風味が重なり、それがワインと合わさって実に素敵なマリアージュを醸し出してくれます。
三皿目は、さかもとさんのリクエストで魚料理。この日は、カサゴと牡蠣をポワレして、デュッカというローストして砕いたナッツをソース替わりに添えた料理。イタリア料理でよく肉に使われるデュッカを魚用に私がアレンジしたものだ。くるみとカシューナッツと白ゴマを炒って、フェンネルシードと塩を加えてフードプロセッサーで細かく砕いたものを、カリッとソテーしたカサゴと牡蠣の上に振り掛ける。隠し味的にシェリーヴィネガーとバルサミコにレモン汁を少し混ぜたものをたらし、サルディニア島産の特上のオリーヴオイルをかける。
これに合わせたのは南イタリア産のシャルドネ。イタリア風の料理にイタリアのワインだから、当然のようにマッチするし、シャルドネにはナッツ系のニュアンスがあるから相性が悪いはずもない。

メインの肉料理は、スペイン産のデュロック豚の肩ロース肉の低温長時間ローストとシャラン産窒息鴨のフィレ肉のローストの盛り合わせ。デュロック豚は、弱い火でゆっくりと時間をかけ、休ませながら火を通したもので、言わば肉の温泉卵のような感じ。つまり肉に火は通っているが、固まってしまうほどは熱を加えていないのだ。独特の食感です。シャラン産の鴨は、皮はカリッと赤身の肉はしっとりと焼き上げる。
私の肉料理は火の通しと塩が命!魚料理もそうなんですが、複雑な味付けの重いソースをたっぷり使うということはあまりないので、素材そのものにしっかり味をつけて仕上げるようにしてます。この日 料理に使ったバターは、4人でピンポン玉一つ分あるかないかというところ。フレンチにしてはかなり少ないです。バターやクリームをほとんど使わないから、私の料理をたくさん食べても以外にもたれないんです。
デザートには、最近数年ぶりにレシピを変えた定番のチーズケーキとガトーショコラ、それにうちのデザートの一番人気の蜂蜜と牛乳のシャーベットを添えた。
この日さかもとさんがもって来てくれたこーひーは、グァテマラとブラジル。ブラジルの軟らかい味わいが蜂蜜と牛乳のシャーベットに、、、グァテマラが、チーズケーキとガトーショコラに、、、それぞれすばらしいマリアージュ。
定番中の定番のケーキのレシピを変えてみようと思ったのは、実はさかもとさんのスペシャリティーコーヒーがきっかけなんです。長年作り続けて自分なりにかなりの完成度を持っていると思っていた、二つのレシピなんですが、、、レベルの高いこーひーとの組み合わせを考えると、もう少し何か一味欲しくなったというわけなんです。
チーズケーキには、メープルシロップを組み合わせ、ガトーショコラにはスペイン産のオレンジピールとレモンピールを組み合わせたました。
レベルの高い食材やワインやもちろんこーひーやお茶にしても、それらに見合った技術や知識が自分にあるのか?というのはいつも自問自答しています。職人の本能ですかね?そういうわけで、さかもとさんの仕事にはいつも触発されるものがあります。
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