
うちの猫たちは相変わらず仲良し。先輩♀が、後輩♂を抱きしめて寝てます。ただの暖房代わりかもしれませんが、、、。(笑)
今ではすっかり毎年恒例となったボジョレー・ヌーボーですが、、、フランスはご存じの通り世界でもトップクラスのワイン生産国ですから、各地でワインの収穫祭のようなものがあります。ボジョレーヌーボーも元はと言えば、リヨンとその郊外の田舎であるボジョレー地区のワインのお祭りでした。とってもローカルなものだったんですね。リヨンには3つの川が流れて流れているといいます。つまり、ローヌ川、ソーヌ川、そしてボジョレー!!というくらいですから!
第二次大戦前は、単に田舎の安酒でした。大戦中はドイツにパリが占領されたりして、ボジョレー地区に疎開する人もいたようです。戦後パリに帰った人たちがボジョレーのワインはなかなか美味かったぞなんていう人もいたようです。
そんな中、戦後ボジョレーに一人の天才が現れます。その人はジョルジュ・デュブッフという神がかり的なテイスティング能力とワインのブレンドのセンスの持ち主です。今ではボジョレーの帝王と呼ばれる彼は、ボジョレー各地の大小さまざまな醸造家や農家を訪れ、テイスティングをして、ワインを買い付け独自のセンスでブレンドして彼独特のボジョレーのスタイルを確立しました。またそのスタイルを作るために必要な栽培法や醸造の技術も研究し、農家や醸造家に説いて回ったんです。
彼のワインは、今ではボジョレーの典型と言っていいでしょう。軽くあっさりとしていて、イチゴのようなチャーミングな香りで、フレッシュな紫色のローブ、少し冷やして飲むと美味しい、、などまさにボジョレーのイメージそのものと言っていいですね。まあ、逆にいえば彼が今のボジョレーワインのスタイルを築いたというわけです。1800年代からこの地方では秋に新酒を飲む習慣があったのですが、早く仕込んだはしり物が珍重されるので、よく熟さないブドウで仕込んでしまったような粗悪品が出てくるようになったため、1951年に今の解禁日制度が法律で決まります。11月第三木曜日ですね。
解禁日制度が出来たおかげで、いっそうお祭り気分が高まり、パリなどでもボジョレー・ヌーボーのイベントをするようになりました。
そこでもう一人の天才が出てきます。リヨンの三ツ星シェフ ポール・ボキューズです。彼はデュブッフのワインを大変気に入り、お店においてお客や仲間の料理人などにも勧めました。ボキューズは、1965年に三ツ星に上り詰めいまだに40年以上三ツ星を維持しています。60年代70年代のポール・ボキューズのお客は、アメリカ人がとても多かったんですね。まあ、戦勝国ですからね。そんなアメリカ人の間でもボジョレーワインというのが浸透していきます。アメリカのカルチャーはいずれ時差がついて日本に入ってきます。
ボキューズは当時話題のヌーベル・キュイジーヌの立役者。世界が最も注目する料理人です。そんな彼が一押しのワインと言って、ボジョレーを勧めるのですから当然人気が高まります。しかも安くて、飲みやすくて軽くて美味しいワインですから、アメリカ人にはとてもうけが良いわけです。
70年代80年代に入ると、航空機や定温コンテナの船便などワインや食品の輸送技術が一気に高まり、また日本のバブル景気に乗ってボジョレー・ヌーボー・ブームに火がついたんですね。バブルのころは本当にすごかったですね!東京や成田の一流ホテルなどで会費が何万もするような、ボジョレーヌーボーのイベントが行われたり、私の知り合いの酒屋さんでは、解禁日に4トントラック2台に満載のワインが一日であっという間に売れたとか、、、。
特に日本の場合、世界の先進国の中で時差の関係で一番解禁が早いというのが、さらにブームを後押ししたようです。という経緯でボジョレーヌーボーが広く知られるようになりました。
ボジョレー地区は、一応ブルゴーニュの一部とされています。だが、ブルゴーニュの中心であるコート・ドールとはかなり事情が違います。まず、ブドウ品種。ブルゴーニュの一流赤ワインは、全てピノ・ノワールという品種だけで作られています。ロマネ・コンティもシャンベルタンもピノ・ノワールです。ブルゴーニュの一番格下のワインで、ただのブルゴーニュとしか名乗れないワインでもピノ・ノワール100%が義務付けられています。ピノ・ノワールは、ボルドーのカベルネソービニヨンと並んで赤ワイン用のブドウの最高級品種のひとつなんですね。
同じコート・ドールやその周辺で作るワインにガメィという品種を混ぜると、その割合によりますが、ブルゴーニュ・パストゥグランとかブルゴーニュ・グラン・トルディネールというただのブルゴーニュより格下のワインになります。ボジョレーのワインはそのガメィという品種だけで作られます。
ですから一般的に言って、コート・ドールのワインよりはボジョレーのワインは格下ということになってます。ただし、全てのワインやブドウ品種について言えることですが、ブドウ品種が味を決めるわけではありません。むしろ、栽培方法や気候、土壌、収穫方法、ブドウの樹の樹齢、醸造方法などの要素のほうが大きいのです。だからボジョレーにも下手なコート・ドールのワインより美味しく値段も高いものがたくさんあります。ただ、ロマネ・コンティのように100万以上もするようなとびきり偉大なワインはピノ・ノワールじゃないとねということです。
日本に来るボジョレーヌーボーは、もちろんちゃんとボトルに入っているもので、かなりの高級品がほとんどです。現地では樽から直接抜いて飲ませてくれるので、かなり安いようです。フランス人も含め、ワイン生産地の人たちはそういう形の水より安い様なワインを飲んでいます。ちゃんとボトルに入っているのは、それだけで結構高級なんですね。今年は、ペットボトル入りの激安ヌーボーが話題のようですが、あれなどはだいぶ現地に近い感じなんでしょうね。
話がとりとめがなくなってきましたが、、、、ボジョレーヌーボーという文化は、20世紀後半のフランスのワインと料理を代表する二人の天才が作ったというお話でした。
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