幕張本郷の小さなフレンチレストラン   サンク・オ・ピエのオーナーシェフ、中村雅信の日記ページ

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Feb 5, 2010
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カテゴリ: シェフの雑記帳

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 フォアグラのローストが近頃よく出る。これはフォアグラ200グラムをローストしたもので、マデラ酒のほんのり甘いソースを使ってある。

 フォアグラというのは、70~80%が脂肪分だからカロリーも高い。生のフォアグラ200グラムでは、1000kcal余りで、ご飯6~7杯分もある。実際には焼くと脂が落ちるので、2割くらいはカロリーも落ちるが、それでもこの一皿でご飯5杯分近いカロリーはあるだろう。これだけで一日の食事分は十分ということだろう。

 そういう意味も含めて、ヘルシーという意味からは程遠いような料理(ヘルシーじゃない料理のほうが美味いものが多かったりするんですけどね!)かもしれないが、フォアグラのローストなどという難しい料理はだれでもできるというものではないので、誰かがやらねばというわけで、やはりフォアグラ名人と呼ばれる私がやるしかないメニューといことになる。

 サンク・オ・ピエで使っているフランス西南部のランド産の鴨のフォアグラは、熱に対して繊細な素材で45℃くらいから脂肪が融けはじめる。一方フォアグラの細胞組織自体はタンパク質でできているので、70℃くらいまで上げないと火が通らない。最も適切に火を通すなら、テリーヌに入れて低温のオーブンでゆっくりと火を通すやり方だろう。焼くというよりは、温かいところに置いてゆっくり中まで温めるというイメージ。

 ところが、フォアグラのソテーやローストは、フォアグラの加熱調理の適温をはるかに超えた高い温度帯で調理するから、一気に難しくなる。イメージとしては、バターの塊を溶かさずに中まで温めるという感じに近い。つまり不可能なことをやり遂げなければならないというくらいの料理といえる。

 料理人となって30年近く、最も追求してきたのが、素材にいかに上手に火を通すかということ。フォアグラという素材はその中でも最も手強く、最も技術の差が出るものではないかと思う。だから、サンク・オ・ピエの常連さんのフォアグラ好きの方はほかの店では絶対にフォアグラは食べないという方も多い。

 もともとこの料理は、レギュラーメニュー選択肢からフォアグラのある料理を全部選ぶような方が結構いらっしゃるので、それならメインでフォアグラを200グラムくらい食べてもらおうということで始めた料理だ。

 かなり過剰な料理ということは承知の上だが、ゴージャスなものには多少の過剰さがつきものだろう。ここ一番、フォアグラをがっつり行こう!というときには、予約してください。






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Last updated  Feb 5, 2010 09:05:25 AM


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madame-H@ キッシュに入れてます。 相かわらず、手間のかかるスープを楽しん…
ゆり777 @ こんにちは。 美味しそうですね~。 チキンがジュージ…
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mermerada @ はじめまして! エスカルゴは好きで、メニューに有ると頼…
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