
昨日あたりから寒いですね。うちの猫の日向ぼっこ。前足と尻尾で顔を隠して眩しくないように丸まってます。

これは、シャラン産窒息鴨のモモ肉のコンフィ。ソースは、イチジクのピュレ入りのバルサミコソースです。
コンフィというのは、塩漬けにした肉をラードやガチョウや鴨の脂で約80度くらいの低温で長時間煮込んだものなんです。揚げ物ではありません。脂で煮込むんですね。ちょっと日本料理にはない発想ですね。
もともとは保存食で、冷蔵庫がない時代は、しっかりと塩漬けにして、ラードで煮込んで、そのまま涼しいところで脂ごと壺などに入れて固めれば、空気から遮断されて、保存食になったわけです。缶詰やもちろん真空パックもない時代の話です。
で、今は冷蔵庫も真空パックもある時代なのになぜコンフィなんぞ作るのかと言えば、独特の魅力があるからなんですね。つまり脂で煮るので、水やワインで煮るのと違って肉の旨味が溶けださないですから、肉自体はシチューの肉のようにとろとろに柔らかいのに味が抜けてないから、美味しいわけです。さらに鴨のコンフィの場合は、仕上げに皮目をカリッと焼き上げるので、独特の香ばしさが出て、煮込み料理と焼き物の良い所取りみたいな、かなり美味しいところを持っていっている料理なんですね。
もちろん、今は保存目的ではないコンフィですから、塩漬けは薄め。食べてちょうどよい味でたくさんです。昔のコンフィなら、モモ肉一本でジャガイモ10個ぐらい食べられそうなほど塩っぱいんです。ワインもがぶがぶ飲む感じです。
鴨と相性が良いイチジクの風味の甘酸っぱいバルサミコソースが、味わいを引き立てます。今お勧めでやっていて、残りあと6人前くらいです。



これは、Filet de canard des marais au sang(フィレ・ド・カナール・デ・マレ・オ・サン)カナール・マレという、シャラン産鴨と同じヴァンデ県で作られているやはりこれも窒息鴨です。
かつて、この地域で作られていたスーラン鴨という美味しい鴨があって、それがまた繊細で世話が焼ける種類だったため廃れてしまって絶滅寸前になったそうです。そこで、近年遺伝子の研究などから、交配によりスーラン鴨に近い鴨の品種の固定に成功して“カナール・デ・マレ(沼地の鴨)という名前で少しですが出回るようになりました。
この鴨は、今パリでもっとも人気の三ツ星「ラストランス」(日本の白金の三ツ星「カンテサンス」の岸田シェフの師匠であるパスカル・バルボ氏の店)が、かなりの量を買い占めたことでも、業界でちょっと話題になりました。(まあ、普通はこんなんこと誰も知りませんが、、、笑)
実際に使ってみると、シャラン産鴨より柔らかで緻密な感じで、窒息による鉄分的旨味もしっかりあるので、実に美味しい鴨だと思いました。素材にとことんこだわることで有名なパスカル・バルボシェフが買い占めるのもうなずけます。
それで、この鴨、(やや入手困難ですが)シャラン産鴨の代わりに使う事にしました。お店のメニューには、シャラン産窒息鴨の表記のままですが、今年からカナール・デ・マレに入れ替わってます。コスト的にはシャラン産窒息鴨と同じなので値段も一緒です。しばらく使ってみて、安定的に入荷が確保できそうなら、メニューの表記も変える予定です。気になる方は、予約の時に「カナール・デ・マレある?」と確認してくださいね。
この他にもジビエ尽くしのコースの中で、壱岐の網取り鴨もつかってますので、今サンク・オ・ピエでは美味しい鴨が目白押しですね。
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