幕張本郷の小さなフレンチレストラン   サンク・オ・ピエのオーナーシェフ、中村雅信の日記ページ

幕張本郷の小さなフレンチレストラン   サンク・オ・ピエのオーナーシェフ、中村雅信の日記ページ

Jan 26, 2013
XML
カテゴリ: シェフの雑記帳

DSCN1620.JPG

 昨日フェースブックにのせたら結構反応があったので、ブログでも書いてみます。これは、トゥルネtourneというマッシュルームの飾り切りです。トルネード(竜巻)的な意味ですね。昔は、マッシュルームを魚料理特に白ワイン蒸し系の魚料理、例えばクラシックの代名詞のソール・ボンファムSole bonne femmeなんかには、これをのせないと格好がつかないという時代がありました。ソール・ボンファムは、おろした舌平目の身をエシャロットのスライスとマッシュルームのスライスとパセリのみじん切りの上において白ワインを注いで蒸し煮にします。火が通ったら舌平目を取り出して保温しておきます。煮汁にフュメ・ド・ポワソンを加えて煮詰め、ソース・ブルーテ(白いルーでつないだ魚のだし汁がベースのクリーム系ソース)を加えてさらに煮詰めて、ソース・オランデーズでリエ(つなぐ)して仕上げます。オランデーズは、卵黄と澄ましバターで作ったマヨネーズ状の濃厚なソースです。舌平目を皿に盛り付け、ソースをかけて周りにマッシュポテトを絞ってサラマンダーでグラッセします。この場合のグラッセとは、強火で焼き色を付けてつやのある黄金色にすることを指します。まあ、バターもクリームもたっぷり入って卵黄も入って、、、高カロリー極まりない料理ですが、とてもリッチで美味しいことは美味しいですね。ブルゴーニュのコルトンシャルルマーニュやモンラッシュ系やムルソーなんか飲んだらもう最高ですね!そういうワインを飲むためのような料理です。若いころは得意でよく作りました。

 19世紀末から20世紀半ばにかけての料理書をあさると、、、魚料理のベースになるフュメ・ド・ポワソンFume de poissonsという魚のだし汁を作るのにも、また魚料理によくつかわれる白ワインソースsauce vin blancにも、そのレシピの材料表にマッシュルームのくずというのが出てきます。つまり昔はマッシュルームは必ずと言っていいほどトゥルネに切ったので、いつも切りくずがいっぱいあったわけなんですね。

 今はすっかりすたれてしまった技術ですが、もちろん知りたいという人はマッシュルームを持ってくればいつでもやって見せますよ!






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Jan 26, 2013 02:23:25 PM


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

cinq chef

cinq chef

Calendar

Comments

madame-H@ キッシュに入れてます。 相かわらず、手間のかかるスープを楽しん…
ゆり777 @ こんにちは。 美味しそうですね~。 チキンがジュージ…
おかめ@ Re:食べる姿(10/31) なるほど!私も無粋な行為をしていた一人…
mermerada @ はじめまして! エスカルゴは好きで、メニューに有ると頼…
福島@ ソーモン う、うまそうですねーーー! 思わず涎が…

© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: