
フォアグラのテリーヌです。テリーヌというのは、このブログでは何度も書きましたが、、、

こういう器の名前なんです。要は牛丼とか天丼とかと同じで、どんぶりを食べるわけじゃないでしょ?それと一緒で、テリーヌは器の名前であって調理法でも食べ物自体の名前でもありません。このテリーヌの中に入れて火を通したり、ゼラチンや寒天などで固めたり、材料を詰めて重石をかけて固めたりして作った料理の総称という事になります。
フォアグラのテリーヌにもいろいろ作り方がありますが、サンク・オ・ピエのクリスマス用のフォアグラのテリーヌは、一番シンプルで一番贅沢な作り方です。Terrine de foie gras au naturelフォアグラそのまんまのテリーヌですね。
フォアグラは脂肪分が多いので、冷蔵庫から出したてだと硬く締まっているので、これを室温において柔らかくします。柔らかくなったら、縦に裂いて太い血管を取り除きます。それに塩胡椒ナツメグと少しの砂糖などで味をつけて、テリーヌに押し込んでしまいます。これで一晩冷蔵庫に入れて味をなじませます。
翌日、冷蔵庫から出してしばらく室温に戻します。オーブンを160℃くらいの低温にセットして、テリーヌを湯煎にかけてオーブンに入れて火を通してゆきます。約1時間くらいかけます。途中湯煎の温度が上がりすぎないように氷を入れたりして、とにかく柔らかい熱でゆっくり芯まで熱を入れてゆきます。
火が入ると、テリーヌの中に黄色い脂が出てきます。この脂とテリーヌの中にある液体を一度別の器にあけます。赤い色のフォアグラの汁は、あとで渋みや変色のもとになるので、黄色の脂だけをテリーヌに戻して、その脂で空気から遮断した状態で冷蔵庫で固めます。3日以上、できれば1週間くらい冷蔵庫で熟成させます。
時間をおくことで、塩分が落ち着きしっとりとして柔らかい味わいになります。近頃はかなり低温で浅目の火入れが主流になりつつありますが、ジョエル・ロブション氏は、「よく火の通っていないフォアグラのテリ-ヌは、吐き気を催すような味で私は好まない。むしろ少し焼き過ぎているくらいのほうがよほどましだ。」と、言っています。これを見た時に私もまったく同じ考えだったので、心強かったもんです。ロブション氏は、「一番美味しいのは缶詰にして数年熟成させたものだ。」と言っています。なんかわかる気がします。ツナ缶なんかも出来たてより、しばらく熟成させた味わいの良さというのがありますから、、、。
フォアグラのテリーヌは、一番上の画像のように厚切りにして出すのが普通だが、美味しいサラダの上に薄切りにして散らして食べても美味しい。薄切りにしたフォアグラは口解けがよいので、これを食べた後コクのあるシャンパーニュで追いかけると実にすばらしいマリアージュです。それから、厚切りにして食べるときは、貴腐ワインなどの甘口ワインの出番ですね!代表的なのは、ボルドーのソーテルヌやその周辺の貴腐ワイン。ボルドーから少し南下したベルジュラックのソーテルヌに似たモンバジャックの甘口ワイン。全然タイプは変わるが、フランス北部のアルザス地方のゲヴェルツトラミネールの遅摘み"ヴァンダンジュタルティーヴ"に完熟の洋梨を添えたら申し分ないでしょう。それからハンガリーのトカイの貴腐ワイン。ドイツのトロッケン・ベーレン・アウスレーゼという長い名前の貴腐ワイン。カナダにも美味しいアイスワインがありますね。それなら、メープルシロップを少し添えるのも面白いかもしれません。
まあ、色々合わせ方がありますがなんと言ってもフォアグラのテリーヌはフランス料理の前菜の王様ですからね、、、。ゴージャスで特別なご馳走感があるクリスマスらしい料理です。

今回のプレクリスマスコースの前菜では、リンゴのコンポートを添えてリンゴのバルサミコ酢バルサメーラ(上の画像です)で作ったソースを添えて召し上がっていただきます。バルサメーラはリンゴの果汁を煮詰めた後樽に移して熟成させた柔らかい味わいのヴィネガーです。普通のブドウのバルサミコより酸味が丸く甘味もあります。甘酸っぱいものとの相性が良いフォアグラに白ワインの風味のリンゴのコンポートと熟成したリンゴのバルサメーラソースは最高の相性です。合わせるワインは、ロワールのヴーヴレィですね!シュナンブランというブドウから造られたほんのり甘口です。シュナンブランのワインはリンゴに通じる香りがあるのでリンゴを使った料理には抜群の相性を見せますよ!
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