1月2月と意外にお店が忙しいのと確定申告の準備もあって、ブログを書く暇がありませんでした。
1月に宇都宮からの2回目のご来店の方が、バーテンダーの宮崎理彦(みやざきみちひこ)氏、フレアバーテンディングといって、トム・クルーズのカクテルという映画のあのパーフォーマンスと言えば分かる方も多いでしょうが、お酒のボトルやシェーカーなどをジャグリングのように投げたり回したりしながら、カクテルを作るわけです。宮崎氏はその分野の日本チャンピオン。宮崎氏のお店のページはこちら http://www.flair-bar.com/
昨年一度来店されたあと、今回はお店の若い人も連れてきてくれました。地鶏レバーのテリーヌとフォアグラとポルチーニと美味しい肉料理とのリクエストでした。肉はたしか鹿肉とホロホロ鳥を焼きました。特にホロホロ鳥の丸焼は、オーブンを使わずにフライパンの上で向きを変えながらゆっくりとローストしたものでした。満足していただけたようでした。肉の焼き方の話をして、若い人も興味を持って聞いてくれたようでした。帰り際に「お店でもやっているんですか?」と私が訊くと、「宮崎理彦で検索してくれれば分かりますよ」言われたので、調べてみたら有名な方でした。料理の知識もかなり豊富なようで勉強家なんだなと思いました。
2月の中頃、幕張メッセで開かれた“パンとお菓子のイノベーション2015モバックショウ”というイベントの関連で、神戸のパン屋さんサ・マーシュの西川シェフとパン窯の会社ベーカーズプロダクションの社長やドライフルーツの会社ロッテガロンヌ商会の方など業界の方ご来店。西川シェフは日本でもトップクラスの職人で、著書も多数あり、NHKなどテレビの出演も多い有名シェフです。あの震災の年の2月にも同じイベントがありその時にたまたまネットでサンク・オ・ピエを見つけてきてくれたのがそもそもの始まりでした。西川シェフにはすっかり気に入っていただけたようで、仕事で都内に来た時や家族でTDLに来た時などご来店いただいてます。 過去ログ 過去ログその2
西川シェフ一行には鹿とイノシシのローストをメインに召し上がっていただきました。みなさんジビエなのに柔らかくて癖も無く美味しいと好評でした。私独特の肉の焼き方を少し語らせていただきました。
数日挟んで、やはり同じイベントの関連で大阪の有名パン屋さんパンデュースの米山シェフとベーカーズプロダクションの社長がご来店。米山シェフは西川シェフの弟子にあたるようです。お土産にいただいたバゲットやドライフルーツ入りのどっしりしたパン、どちらも非常に美味しかった!
米山シェフ一行には、シャランの窒息鴨をメインに召し上がっていただきました。米山シェフに鴨の焼き方について訊かれましたが、「フライパンで皮目をカリッと焼いて、ひっくり返したら赤身のほうはさっと焼き、あとは温かいところで休ませるだけですよ。」というと、「低温でゆっくりやるんじゃないんですか?」というので、「そんなことはしませんよ。フライパンで一気に焼くだけです。あとは余熱ですね。」と、「皮のカリカリはサラマンダーとか使わないのですか?」というので、「それも無いです。一回フライパンで焼くだけですよ。」というと、「すげーな!一発でこれなんだ、、、。」と、鴨の焼き加減に感心していました。
パン屋さんは、“焼き”の職人ですから、相通ずるものがありますね。
私の料理の一番の課題はいかに上手く肉や魚を焼きあげるかという事です。これは結構若いころから考えてやってきたことなので、年季が入っています。まあ、焼くなんて誰でもできることだし、ある意味もっとも原始的な調理法ですが、、それだけに奥が深いんです。詳しく語れば本がかけるくらいですが、結論をいえば、まともな素材(肉や魚など)に適切に塩を振って、上手に焼き上げれば美味しい料理になる。ということです。美味しい焼き鳥屋さんの塩焼きですね。ステーキでもそうです。上手に焼けていて塩が決まっていれば、それだけで美味しい。
フランス料理はソースが命。なんてよく言われますが、素材の火の通しが決まっていない料理にどんなに美味しいソースを使っても駄目なんです。焼き過ぎの鴨やパサパサの魚にいくら美味しいソースをかけてもおしい料理にはなりません。逆に塩と焼きが決まっていれば、あとはちょっとオリーヴオイルをかけたり、レモンやスダチを絞ったりするだけで充分美味しくいただけます。ソースは副えるものです。もちろん焼きと塩が決まった素材に美味しいソースがかかっていれば、鬼に金棒ですが、、ただ手間暇と原価をかけたクラシックなフレンチのソースはともすると素材の味わいを塗りつぶしてしまいかねないので、私はあまりに美味しすぎるソースもちょっとどうかな?と思います。基本的にソースはシンプルなものが多いですね。
さかもとこーひーの坂本さんもこーひー豆を焼きあげるのが仕事ですから、よく焼くことの話をしますが、坂本さんの焙煎は温度で1℃時間で1秒の精度で焼いているそうですが、ほとんどのこーひー屋さんが浅煎り、深入りなんていう大雑把な仕事をしている中で、異常ともいえる焼きの精度へのこだわりだと思いますが、結果は味に出ています。ほとんどのこーひー屋さんとは全く違うさかもとこーひーの綺麗な味わいは仕事の精度の表れでしょう。さかもとこーひーになじむと他のは飲めなくなります。
肉や魚の場合もそうなんですが、精度良く焼き上げるとちょっと信じられないくらいの食感と味わいです。ジビエなどの場合特に焼きの精度が重要です。2月に忙しかったのも毎年やるジビエ尽くしのコースが大人気だったからです。イノシシの自家製スモークハムと鹿とイノシシのテリーヌ、エゾ鹿のタリアータのフォアグラ添え、壱岐の網取り鴨のポワレとジビエ尽くしですが、自家製ハムもテリーヌも鹿のタリアータも鴨のポワレも精度高く焼きあげなければ美味しくないです。
2月の末には、親しくさせていただいているワインの輸入元のソムリエがご来店。鹿のローストとイノシシと鹿のラグーソースのパスタなどを出したのですが、「この鹿のローストはもうほとんど詐欺や!」と絶賛してました。彼は関西人なので、私のことを最大限に誉めるときは「変態シェフの変態料理」というんです。(笑)変態料理に変態ソムリエが選んだ変態ワインで変態マリアージュというのがいつものことになってます。
先週末には、いつものK氏のワイン会がありました。K氏もワインの輸入元に努めるソムリエです。いつもK氏が選んだワインに料理を合わせているのですが、毎回さかもとこーひーの坂本さんも参加しています。このワイン会は、大抵ブルゴーニュとシャンパーニュが中心で上品系のセレクトで、料理も王道フレンチ系が多いです。今回のワイン会では、デザートのタルトショコラとレイトボトルド・ヴィンテージ・ポートのマリアージュがかなりの好評でした。まあ、ちょっとマニアックですが、ヴァローナのマンジャリというベリー系の香りがする高級ショコラと熟成感と果実味のバランスが絶妙なポートのマリアージュはもうあり得ないくらいで、これは食べて飲んでみないとまずわからないでしょうね!
肉や魚、こーひー豆、パンと分野は違いますが焼くことのむずかしさやこだわりを知る職人やプレゼンの技を磨きながらもそれのみでなく料理の味わいなども研究している優秀なバーテンダーやワインのプロのソムリエなど、玄人筋に評価されるとやはりうれしいですね。
PR
Keyword Search
Calendar
Comments