幕張本郷の小さなフレンチレストラン   サンク・オ・ピエのオーナーシェフ、中村雅信の日記ページ

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Oct 26, 2016
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カテゴリ: シェフの雑記帳



 秋鮭の季節です。身を料理するには雄が美味しいです。体が大きく、脂がのっていますし、雌はイクラに栄養分を回してしまうのでどうしても身がやせてしまいがちなんですね。



 3.8キロありました。結構大きい雄でした。3枚におろすと、、、



 こんな感じ。向かって左側のカマのところと向かって一番下側腹身のあたりは強めに塩をして塩鮭にします。これは、まあ主に自家消費用ですね。それから、尻尾のほうや中落ちはムースにしてテリーヌにします。こうすると、魚料理用に身が厚い良い部分だけを使ってもロスが出ません。魚料理用の上身は一塩あてて一晩くらい置くと、余分な水分が抜けて身がしまり旨味が凝縮してついでに程よく下味の塩分が付きます。これを皮目からこんがりとポワレします。



 皮はカリッと身のほうはしっとりと仕上げます。やっと火が入ったくらいのぎりぎりのところ、60℃くらいでしょう。ソースは、まずキノコのデュクセルを作ります。マッシュルーム、椎茸、エリンギ、舞茸、シメジなどのキノコをフードプロセッサーで微塵切りにします。バターでゆっくり炒めて2~3時間くらいじっくり水分を飛ばして旨味を凝縮させます。冷やしてストックします。これがデュクセル。小鍋にドライベルモット(ハーブなどで風味をつけたワインの仲間)を40㏄程とりデュクセルを大匙1杯半くらい入れて混ぜながら半分くらいに煮詰めます。生クリームを40㏄くらい入れてさらに煮詰めて少し濃度がついたら、バターをサイコロ2個分くらい混ぜ込んで、塩を決めて仕上げます。キノコの旨味とベルモットの香りが合わさりえも言われぬ濃厚な味わいのソースになります。本来はさらにフュメ・ド・ポワソン(魚の濃厚だし汁)なども入れるのですが、鮭自体が美味い魚なのでこれで十分だと思います。

 普段魚料理には尾長鯛やハタ、平スズキや金目鯛、真鯛や平目など白身の高級魚を使うことが多く、それらはやはり仕入れ値が高いので、ソースにまであまりコストはかけられないんです。もっとも、そういう高級魚なのでソースに凝らなくても充分美味いです。それに比べると鮭は半額とまではいきませんがだいぶお安いので、その分このようにちょっと凝ったソースも使えます。

 これから、鮭が遡上してきて川で取れるようになると、もっと値段が下がってくるんですが、そのころになるとオスもさすがに白子が太ってきて、それからオス同士のメスをめぐる争いに費やすエネルギーの関係もあり、身がやせて脂が落ちてきます。11月半ばまでくらいの河口付近で取れる鮭が良い状態だと思います。

 状態を見て鮭のコンディションが良い間はしばらく魚料理でやります。美味いですよ。いつものさっぱりしたアンチョビレモンソースなどがお好みの方はリクエストしていただければ、ソースを変えることもできますよ。





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Last updated  Oct 26, 2016 07:27:37 AM


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madame-H@ キッシュに入れてます。 相かわらず、手間のかかるスープを楽しん…
ゆり777 @ こんにちは。 美味しそうですね~。 チキンがジュージ…
おかめ@ Re:食べる姿(10/31) なるほど!私も無粋な行為をしていた一人…
mermerada @ はじめまして! エスカルゴは好きで、メニューに有ると頼…
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