Poulet noir de TANBA poêlée au vinaigre de framboises地鶏丹波黒鶏のポワレ、フランボワーズヴィネガー風味です。
それから、これは新メニューではないですが、最近人気のSoupe de poissons スープ・ド・ポワッソン。魚のスープですね。真鯛、金目、黒ムツ、ホウボウ、ハタやイサキなど高級白身魚ばかり数種類で仕込みます。まあ、実際は魚を仕入れたら頭などを冷凍してとっておいて、ある程度たまると作るわけですが、サンク・オ・ピエでは魚を寿司種御用達の魚屋さんから仕入れているので、かなりレベルが高いです。もし仮にこのスープのためだけに魚を買って仕込んだとしたら、このスープが1杯で¥3000とかになってしまいますよ! それから、このスープは本場マルセイユのものとは全く違います。シェフ自己流です。マルセイユ風だとpoissons de rocheポワッソン・ド・ロッシュ 岩陰の小魚という意味ですが、白味の新鮮な小魚を内蔵ごと炒めて、出汁を取ります。ニンニクを強く効かせて、フェンネルという強い風味のハーブもたっぷり、パスティスという強烈なアニスのリキュールを入れたり、食べるときにもアイヨリといっておろしニンニクたっぷりのマヨネーズみたいなソースをこれまたたっぷり入れて、癖の強い羊の粉チーズも入れて食べます。要するに魚臭いスープをニンニクやハーブやリキュールや臭いチーズなんかでしばき倒して食べるワイルドな田舎料理なんですね。スープを漉すときにも、ムーランといって回転式の漉し器で魚の身をすりつぶすように漉すので、どろりとしたスープになります。 私の作り方は、まず材料のほとんどが魚の頭で少し骨。それを半日くらい氷水でさらします。よく血抜きするんですね。もともと活〆で血の気はほとんどないのですが、こうすることで生臭みも抜けます。それをある程度ぶつ切りにして、オリーヴオイルで炒めます。ニンニクと玉ねぎも少し入れて、フェンネルシードも少し(生のハーブのフェンネルよりずっとマイルド!)完全に崩れてバラバラになるまでよく火を通します。バラバラに崩すことで出汁がよく出ます。水とトマトペーストを入れてアクを取りながら、15分くらい煮て、30分休ませ、もう一度沸かして漉します。細めのシノワと極細めのシノワで2回漉すのでサラサラです。最後にサフラン入れて仕上げです。冷蔵庫の中では魚のコラーゲンでがっちり固まってスプーン指しても倒れないくらいですよ。美肌には良いかもしれませんが、痛風には良くないですね。 和食のあら汁をブイヤベース寄りに仕上げた感じです。臭みはなくて上品な魚の出汁を味わうスープです。メインが肉料理ならスープをこれにすると魚も楽しめますね!