真実一路

真実一路

2023.12.25
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テーマ: 聖書(39)
カテゴリ: 宗教・神秘
新約聖書は信者によって書かれたものであり、その内容には史実もあれば創作もある。口伝によって伝わるうちに最初の出来事が変容したり、想像や信仰により書き加えられたりしたのだ。また書き写しで複製されていた時代には、間違って書き写されたり、意図的に挿入がなされたりもした。原初の正確な出来事はほとんどわからないのである。

しかし読んでると、これは本当のことが書かれてるのではないか-と思う記述に出くわす。その例の一つとして使徒行伝(使徒言行録)の第5章を挙げたい。ここには原始キリスト教会(エルサレム教会)の信者である夫婦が教会に献金をしようとしたエピソードが書かれている。
夫婦は持っていた地所を売り、その一部を教会に献金しようとした。ところが教会指導者のペテロは、夫婦が売却益の全額を寄付しようとしなかったことを「神への冒涜だ」と叱責し、この夫婦はペテロとのその話の最中に突然死んでしまった(記述では夫妻別々に)というのである。この話をどう解釈するか?

あくまで信者でない私の個人的解釈として書く。「教会は夫婦をその場で殺害し、その財産をすべて奪った」が史実だと思う。ユダヤの律法では、神への冒涜は死刑に値する。
エルサレム教会は信仰共同体を形成しており、その生活は信者が拠出する資産によって成り立っていた。だが信者が増えるにつれ、その配給に滞りが生じていたことも使徒伝には書かれている。そのことが原因で信者グループ間に溝が生まれたことが窺われる。ヘブライ語を話す信者たち(元々のユダヤ在住者)⇔ギリシャ語を話す信者たち(邦外ユダヤ人、ディアスポラ)のことであり、このグルーブ間の溝はやがて対立関係になったものと私は想像している。ちなみに今日まで続くキリスト教(本流)の元は、ギリシャ語を話す信者たちの「キリスト信仰」である。

ところで、安倍総理が凶弾に倒れた後、旧統一教会問題が起こりこれが政治問題に発展した。問題の根本は旧統一教会の霊感商法を用いた悪徳商法(教会側は否定)や信者を破産に追い込むほどの高額献金の要求だ。一般の常識感覚からすればかなり異様なことだし、なんで騙される?と素朴に思うのだが-。また宗教団体からのこうした非常識な献金要求は旧統一教会だけでなく、程度の差こそあれ他にもあるのだろうと思いたくもなる。ところが、先に記したように宗教団体によるこうした法外な献金要求は、2千年前の原始キリスト教会(正確にはユダヤ教の異端派、-ナザレ派)にもあったのだ。福音書にある他のいろいろなエピソードからも、イエス運動のグループ、ガリラヤ出身者のその集まりは、当時の民衆からは「かなり怪しい特殊な信仰集団(少数派)」と思われていたのではないだろうか。少なくとも、その信仰が広く一般化したのはパウロが布教活動をした時期のずっと後の時代である。


最後の誘惑 [ ウィレム・デフォー ]





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Last updated  2023.12.25 09:23:52 コメントを書く


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