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2005/08/16
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カテゴリ: 亮
表情に乏しいヤツだとは思っていた。

どんな場でも動揺しない。
刺されようが撃たれようがお構いなしで突っ込んで行く。
残虐な事も平気な恐ろしい冷血漢だと思っていた。
それが、恐怖を知らないから成せる業だと知ったのは随分後になってから・・・僅かここ数十年の事だ。

神経はまともに発達しているから痛覚は確実に有る。
だが、死を恐れると云う感情が無い。
何度も死にかけてるが職務で割り切って平気で体を盾に出来る。


当初感情は‘快‘と‘不快‘くらいしか無かった。
それも、表情に出無いから違いすら読み取れなかった。
長く一緒に暮らすうち、徐々にでは有るが若干の発達が見られた。
表情では無く‘気配‘と云うか‘オーラ‘と云うか・・・そのような強力な威圧の空気としてどんどん強くなって行った。

俺とはタイプは違うが、彼は外見上だけは所謂・・・結構なイケメンだったりする。
背も高いしスタイルも良い。
モデルでも通りそうなくらいで、これでモテないワケが無い。
ところが・・・全くモテないのだ。
実は・・・モテる、モテない、以前の問題だったりする。
あまりの異様に異常な信号を発している為、誰も近くに寄りつかない。
人ごみに行けば、彼の周囲だけポッカリ空間が出来るほどの異常さだ。

そんなくだらない実験した事は無いけれど、ラッシュ時の満員電車に乗っても彼の周囲360度グルリと空間が出来るんじゃないかと思う。

誰からも愛されず、誰を愛する事も無く、ただたまたま生まれたから生きている。
これが彼・・・Sidだった。
こんな哀れなバケモノを造ったのは、何を隠そう俺なのだ。
常に罪悪感を感じている。



そのSidがここ最近急速に変化を見せている。
もう数百年も変わらなかった彼がだ。
Takuの連れて来た‘変なオンナ‘と付き合い出した途端だ。
普通の神経ならまず近寄れない異常な波動に包まれた彼に平気で側に寄り、色素が足りなくて死体みたいな眼を怖がりもせず見つめ、偽装しない‘素の眼‘を「綺麗だ。」と言う‘変なオンナ‘。
誰からも愛される事が無かった彼が、愛してくれる相手を見つけた。
愛された途端に変わった。

笑った。
普通に笑ったのだ。
過去に意味深に一瞬ニヤッと笑うくらいの事は何度か有るが、俺の言った軽いジョークに声をたてて笑ったのだ。
はっきり言ってゾーッとしたが・・・喜んで良いのやら嘆くべきなのか・・・僅かな期間ですっかり表情が軟らかくなった。
そして、そのオンナに恋慕のあまり何も手につかない様子だ。

超不気味な展開だが、今は・・・彼にとってやっと‘普通‘になれる発達段階で人間で言う‘思春期‘ってやつにあたるのかも知れない。
存在自体が異色なヤツだけに、発達の仕方も‘異色‘なのか・・・こんな風に造っちまっただけに、いつまで経っても心配の種が尽きない。

はたして‘ニンゲンのオンナ‘なんかと旨くやって行けるものかワカラナイ。
俺自身がそれを否定して来たからだ。
もし旨く行ったら行ったで、亡くす悲しみも待っているのは判り切っている。
永遠の‘今‘を祈ってやりたい・・・そうする事が俺の救いでも有る。
Sidは俺の分身なのだから。





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Last updated  2005/08/29 03:23:10 AM
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