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大型台風が近付いてるって昨夜から凄い降りです。500ミリ降るって・・・500ミリって50センチって事ですよ。私の膝くらいまで降るって事よ!ドッヒャーって感じ。ここんとこ、ずっと亮の家に居候状態で、なんか悪いなぁ~とか思うのだけど、Sidも私と少しでも長く居たいと言ってずっと送り迎えしてくれる。流石に今日はそれが有難かった。ビル内は御客様より店員の方が圧倒的に多い!(笑)小さな独立した個人店舗なら、こんな日は臨時休業だろうけれど、大手のビルに出店してる店舗は赤字でも開店しなきゃならない。契約でペナリティが有るんだ。悲惨な天候の中、御得意様が折角来店されてあっちもこっちも休業じゃ、信用に関わる。警報が出れば従業員の身の危険も有るから開けなくても良いんだけど、軽度な注意報くらいなら開店しとかないといけない。こんな日は天気予報とニラメッコで、警報出ろよ~とかベソかきながら出勤なのよね。いつも、職場での事を心配して数ブロック離れた場所で降ろしてくれるのだけど・・・一昨日の帰りにショップのビルの先の横断歩道の水はけが悪くて水没していて靴の中までビッチョになっちゃったので、一旦通用口付近を通り過ぎて付近の水の溜まり具合を確認してからビルの角を曲がった処で降ろしてくれた。こんなにショップの近くまで一緒だったの初めてだったんで、チョッとドキドキ!昨夜からTVニュースとかでもさんざん台風の事を予報してたので、御客様の足も少なくヒマヒマモード。そりゃそうだよね、ブラリ買い物に来て電車止まっちゃったりしたら大変だもん。こんな天気にブラリ気ままに買い物に来るのはよほどの物好きだよ。ココに入店してる飲食系は若干高めだから、滅多に行かないんだけど・・・この天気じゃしょうがない。今度入った新人さんと初めて昼を一緒に食べに行く事になった。ゆっくり付き合ううち徐々に知る事は知れて来るものだから・・・なんかこう、やたら人の事を聞きたがるのは気になるな。ゴシップ週刊誌みたいなノリは好きじゃない。家庭に入っちゃって、美容院の週刊誌が楽しみみたいな生活になるとこうなるんだろうか?それとも、話のきっかけが欲しいだけなのかな?ひょっとして、現状・・・ゴシップネタの倉庫状態の私にとっては一番危険な相手だったりして?(笑)まぁね、私は独身だから、恋人いて毎日送迎して貰ってるのがバレても困らないし・・・ん~万が一の可能性としては、定期代の返還くらいか?(笑)相手も多分独身だし・・・多分ね・・・そう云えば聞いた事無かったっけ!もしかして、SEXしない訳って・・・国に女房が居たりしてぇ?・・・自分で想像しといて笑えないジョークだわ。「メンズの香水着けてるんですね。」って・・・そう、Sidの香りに染まっちゃってる。アンテウスって強いから、密着してて移っちゃってるんだよね。一日中抱き締められてるみたいでシアワセ。さらっと「ええ、シャネルのアンテウス。」とだけ答えた。
2005/08/25
昨日、帰りにドシャブリになっちゃったから仕事場の近くまで迎えに来てくれたんだけど・・・丁度雨宿りでゆっこちゃんが近くのカフェに入ってたのね。「あっ、MIUちゃんだ、此処に来るのかな?って思ったら、斜め向かいに停まってる外車に乗り込んで行っちゃったのよねぇ~あれ、カレシ?」「あはは・・・外車じゃなくてMAZDAのRX-8だよ。」「反応場所が違うでしょー!カレシかって聞いてるの!」思いっきり突っ込まれた。私・・・離婚して以来、オトコに振り回されるのに嫌気がさしてココ10年ほどはオトコいないんだよね・・・セックスレスは7年くらいかな?その差3年ってのは、離婚して拘束されるのから解放されたのと・・・寂しかったからかな・・・ボーイフレンドくらいは何人か居た事は居たんだけど・・・こっちはその気無くてもセックスしか頭に無いような男達だったんで結局どれもこれも超短期で終わった。それからは・・・色気なんてすっかり縁が無くて・・・つーか、あえて避けて来たような気がする。それなりに誘われる事も有るし、取引先でも私に気が有る素振りアリアリの年下のコとかも居る・・・だけど、ヤルだけの相手なんて・・・虚しいだけ。「セックスしないけど、多分一応カレシ。」って・・・他に言いようが無いよね?(笑)ゆっこちゃん・・・え゛~~?何それ?って感じで笑ってる。ゆっこちゃんは学生時代から付き合ってるカレシが居る。セックス無しで10年(失礼な!7年デショ・・・大差無いか・・・笑!)も平気な人って想像付かないっていつも言う。遠距離恋愛で、なんかお互いバレては喧嘩になりつつしょっちゅうダブル浮気してるらしい。それでも別れないんだから、よっぽど惚れあってるんだろう。なんとも羨ましい。‘一緒に居てくれる‘ただそれだけで幸せを感じさせてくれる男なんていないって思ってた。月夜に抱き締めてキスするだけのカレシ。素敵な人なんだ・・・って言う私にあっさり「ネンネやねぇ♪」と・・・うっ!(泣!)
2005/08/24
ドシャブリだ。水煙で前が見えない。雷が何本も走る。自分の車のみなら何て事は無いが、公道走るにはかなり危険な酷い降り。だけど、こう云う雨は結構好きだ。密室に閉じ込められてるような、世界でたった一人取り残されたような感覚になる。いらぬ周囲の目に晒される事が無くて気がラクだ。その狭い空間に・・・今はMIUが居る。迎賓館近くの街路樹が見える場所に車を停め、シートを倒してフロントガラスを滝のように流れる雨に歪み煙る街を眺める。MIUは黙って同じ景色を眺めている。これだけ激しい雨なら外から車内は殆ど見えないだろう。サングラスを外し、虹彩を解放する。自分ですら嫌いな目だと云うのにMIUはこの目が好きだと言う。MIUと一緒に居る時、もしかしたら一人の時より解放されているかも知れない。そのままの自分を否定し続けた俺・・・そのままの俺を受け入れてくれるMIU。もしかしたら・・・他の部分も受け入れて貰える?・・・まさか・・・それは有得ない・・・過剰な期待は落胆するだけでなく、全てを失うだけだ。今は、‘この時‘が永遠に続くよう祈るだけ。永遠に続くなんて有得ない。だけど、永遠に続くよう祈るだけ。
2005/08/23
亮がMIUをココに住まわせようと云う意向で有る事を早く伝えたかった。だけど、二人は全く部屋から出て来ない。ホントはね・・・僕等って身内の仲ではオープンにヤるのよね。感覚を共有してる部分が有るから、隠れてヤる必要が無いからか・・・昔から皆んなそう。勿論、参加するわけじゃないけれど目の前で平気でヤるのよね。だけど、MIUはニンゲンのコだから・・・露出系の嗜好が有るならともかく、恥ずかしだろうな~なんて、ドアが閉めて有るって事は邪魔して欲しく無いって云うよりも見られたく無いんじゃないかと・・・なんとなくチョッと遠慮しちゃう。ドアをノックして「開けるよ。」・・・返事を待たずに開ける。「ねぇ、亮が・・・」話し掛けながら思わず「あ゛ーーーー!」と声をあげてしまった。Sidがシャツ着てない!僕にですら見せた事の無かった肌を露出させてる。目が点・・・「大丈夫なの?」・・・彼は肌を露出させる事を極端に避けていた・・・「傷跡は殆ど感覚が無くなり他人の肌のようで、その代わり傷跡周辺がゾワゾワと虫が這いずり回るような感覚になって、それが激しくて吐き気がする」のだと以前言っていた。その壁すら易々と壊してしまうMIU。服の上からでも、触られるのを嫌っていた。なのに、今はMIUの肌が素肌に重なっている。恥ずかしくてSidの背にピッタリと密着したまま身を起こせないMIUにケットを掛けてあげる。僕等のやり方を知らないMIUにSidが何か囁く。恥ずかしさで顔を此方に向けられないMIUへ絡み付いて行くSid・・・「で、亮が何?」・・・何か違和感を覚えたのは、肌を露出させたSidじゃなく彼がコンナコトしてるのを見るのが初めてだからだとやっと気付いた。ベッドの端に両肘を付いて二人を見ながら「亮がMIUをココに住まわせてはどうかって言うの。」
2005/08/20
ずっと彼に絡み付いたままで過ごす時間。彼の匂い・・・クラクラする。何もしないでこんな怠惰な時間を過ごすなんて、とても幸せ。彼はいつも長袖のシャツを着てる。汗でビッショリになっても脱がない。日に何度かクロゼットへ行って戻ると、また長袖のシャツを着てる。そう云えば、紳士なのか彼がシャツを脱いだ処って見た事無い。宗教上(?)女性に肌を見せてはいけないとかだったりして???・・・よくわかんないけど、胸のボタンを2つ以上開けたところすら見た事無かった。激しく絡み合ってシャツの裾が乱れパンツがら出てる。引き締まったウエストが見える。脇腹の大きな傷・・・よく見ると他にも幾つも傷跡が有る。そっと触れてみた・・・彼が小さく呻く。驚いて「痛む?」と聞くと、彼は私の首筋に口づけながらゆっくりと胸のボタンを外し始めた。何度も抱かれた胸なのに、初めて見る彼の胸。引き締まったその造形の美しさにハッとする程・・・無駄が無くて筋肉そのものの上にそのまま皮膚が乗ってるだけのよう。なんだろう・・・腹直筋を左右に分けるように垂直に走る長い傷跡?・・・胃の辺りから下に向って・・・それはずっと下の方まで続いている。妙に固い胸・・・Takuもそうだったけど・・・直に触ったのは初めて。えっ?・・・つるつるしてる?・・・これって毛だ!シェパードとか・・・違う・・・ダックスフント・・・いえ、ボクサーみたいな短毛で固い毛の犬みたいな・・・生えてる一定方向へ撫でるとツルツルする・・・あんな感じ?毛深いって感じじゃないから触らなければワカラナイんだけど・・・こんな胸毛って・・・いや、腹毛って見た事無い・・・ひょっとして毛深いのが恥ずかしくて脱がなかった?・・・まさかぁ~!・・・そんな事を考えながら撫でている間、彼は息を詰めじっと耐えてる・・・そして幾つもの傷跡に一つひとつ口づけ触れると彼の息が上がって行く。肌蹴たシャツの間から手を入れ、彼の背までゆっくり腕を入れて行く。指に当る背中の傷の多さが痛々しくて自然と涙が溢れて来た。指が傷に触れる度、彼の体はビクンと反応した。傷跡がとても敏感なんだ・・・私の目から涙を唇で吸うと「吹く風に晒すだけで吐き気がするんだ。」と言った。彼が脱がなかった訳が理解出来た。「脱がせてイイ?」と聞くと、躊躇いがちに「ああ。」と、返事とも喘ぎともつかない呻き声をあげた。背中にまわした両手を肩まで沿わせて内側からシャツをそっと体から抜く。うつ伏せになる彼の背を見て息を呑んだ。傷だらけ・・・どうするとこんなになるの?肩から腰まで続く何本ものギザギザ線を指でなぞる。思わず背中を反らして呻き、苦笑しながら「それはバラ線を潜って引っ掛けた。」と言った。ひび割れたように抉れ広がる傷を「口径の大きい銃の弾が脇から貫通した痕。」だと、まるで客観視した他人事みたいに言った。傷には一つひとつに理由が有った。彼がどんな生き様をして来たのか知らない・・・彼の事何も知らないと云う事に気付いた。涙が止まらなくなった。彼はショックを受けた私を気遣って、「今こうして居る事が全てだ。」と言った。
2005/08/20
亮から相談を受けた。「猫を飼うとしたら誰が面倒を見るのか?」と。「猫どころか動物は皆んな駄目ですよ。Sidの気配で怯えて暴れたり逃げたりして無理でしょう?」と応えると「怯えない猫だよ。」って・・・ナンデスカ其レハ・・・電子ペット?上をチラリと見上げて此方に目線を戻す。あぁ~その猫ですか・・・「飼うなら僕が面倒見ますが、もしも亮が手出しをした場合には、僕もSidも黙っちゃいないですよ。」と、釘を刺す。亮は整形でも何でも関係無く、大輪の薔薇や蘭の花のような見ごたえの有るモデルのように整った女が好みだ。多分普段ならMIUの存在すら気付かないかも知れないけれど・・・小さな蓮華草もよく見ると可憐で見事に美しい・・・たまたま迷った道端に咲く蓮華の花を摘んでみたくなるやも知れない。そうなんだ・・・MIUってそんなコ。MIUがココに住む?亮があまりに思い切った事言い出したので驚いた。本気なのかな?本当なら凄く嬉しい。また前みたくお話したりする時間が出来るかも知れない・・・当分は無理か?・・・僕もついつい釣られて上を見てしまった。
2005/08/19
最近のSidの変貌たるや酷いもんです。一時期やたらイラついて暴れたりしてたのが終わったと思ったら、サカリの付いた猫みたい。とても見てられません。連休で泊まりに着てた彼女が帰宅し平和が戻ったかと思ったら・・・朝夕出っ放しで送迎してる。まぁね~其の彼女は、武道や乗り物や軽・重火器まで諸々のライセンスの有る警護のエキスパートにVIP並に送迎されてるわけで・・・火器を携帯出来ない日本では特殊警防のみで体張って守るわけで・・・きっと痴漢のおっちゃんに襲われても無事でしょう。俺だって自分で自分の身くらい守れるだけのキャリアは持ってますが・・・どっちかって云うと・・・俺の方が・・・警護されるべき重要人物なんですけどね。ここんとこ何でも屋のTakuと二人で出てます。平和ボケ日本だからこそですけどね。そんなわけで・・・Sidは仕事をする気全く無しです。今まで真面目過ぎたし休みなんて取った事無いから・・・ましてやオンナに夢中になるなんて考えられない事です。まぁ、短期の休暇とでも思えば良いんですけどね。このままずっと・・・ってのはマズイですね。少なくとも、常に待機が原則ですから・・・上でサカってても良いんで・・・あんまし送迎で長時間留守にして欲しく無いんですがね。それで考えたわけです。あの忌々しいメス猫をウチで飼ってはどうかと?少なくとも、すでにSidとTakuは目を見られてるんです。此処に居る者は、他の者も同じ穴の狢だと・・・どんな馬鹿でも気付くでしょう。秘密を知られても此処に監禁状態で有れば安全と云う事も有ります。そうすりゃ、少なくとも送迎で毎日留守になる事は無いんですよね。俺って・・・優しいなぁ~あ~アホらし!
2005/08/19
MIUが家に帰ってから一週間近い。早朝MIUの部屋まで迎えに行き職場まで送る間に一緒に過ごす。日によって変わる帰宅時間に職場付近まで迎えに行く。食事をしたり、ドライブしたり、映画を観たり、短い逢瀬を重ねる日々。今日は早上がりの日で、明日は休み。やっと一日中MIUとゆっくり過ごせる日。ヒルズのレストランにでも連れて行ってゆったりと食事をし、深夜までドライブして・・・なんて、結局はMIUがエイトに乗り込んで来て彼女に触れた途端にどっかへフッ飛び高速飛ばして屋敷に滑り込み、もう待ちきれず彼女を抱き抱えて二階までシケ込むと云う・・・なんとも格好の付かない事態。俺何をやってんだろう・・・まるでSEX覚えたばかりのガキと一緒!MIUと離れて眠る夜に耐えられない。もう片時も離れて居たく無い。俺ってこんななの?自分で自分に呆れる。考えるのはやめようと思いつつ・・・浮かび上がる赤い輪を見ては‘生涯を誓った女‘の事が頭を巡る。MIUと初めて過ごした夜、直感的に思った・・・この‘輪‘の相手は‘女‘だと。その‘女‘とは何処までイったんだろう・・・今MIUにしてるみたいな事してたんだろうか?もしそうなら・・・これだけ虜になれば‘終わり‘を彫りたくもなるだろうな・・・それなのに何故覚えていないんだろう?MIUを抱きながらMIUとの‘終わり‘を彫りたいと切に思う。九尾の狐みたいに魂がそんなに幾つも有るわけじゃなし・・・‘終わり‘を彫れるのは生涯一度きり。MIUを彫り込む場所は無いのだ・・・切ない。
2005/08/19
表情に乏しいヤツだとは思っていた。彼に感情と云うものが殆ど無いと知るまでは、常に平静を保てる強い精神なのだと思っていた。どんな場でも動揺しない。刺されようが撃たれようがお構いなしで突っ込んで行く。残虐な事も平気な恐ろしい冷血漢だと思っていた。それが、恐怖を知らないから成せる業だと知ったのは随分後になってから・・・僅かここ数十年の事だ。神経はまともに発達しているから痛覚は確実に有る。だが、死を恐れると云う感情が無い。何度も死にかけてるが職務で割り切って平気で体を盾に出来る。生命を持つ者にとって非常に恐ろしい事なのに。当初感情は‘快‘と‘不快‘くらいしか無かった。それも、表情に出無いから違いすら読み取れなかった。長く一緒に暮らすうち、徐々にでは有るが若干の発達が見られた。表情では無く‘気配‘と云うか‘オーラ‘と云うか・・・そのような強力な威圧の空気としてどんどん強くなって行った。俺とはタイプは違うが、彼は外見上だけは所謂・・・結構なイケメンだったりする。背も高いしスタイルも良い。モデルでも通りそうなくらいで、これでモテないワケが無い。ところが・・・全くモテないのだ。実は・・・モテる、モテない、以前の問題だったりする。あまりの異様に異常な信号を発している為、誰も近くに寄りつかない。人ごみに行けば、彼の周囲だけポッカリ空間が出来るほどの異常さだ。人間も動物も、付近に居るだけでゾッとして逃げるのだ。そんなくだらない実験した事は無いけれど、ラッシュ時の満員電車に乗っても彼の周囲360度グルリと空間が出来るんじゃないかと思う。誰からも愛されず、誰を愛する事も無く、ただたまたま生まれたから生きている。これが彼・・・Sidだった。こんな哀れなバケモノを造ったのは、何を隠そう俺なのだ。常に罪悪感を感じている。製造上の責任ってやつか?そのSidがここ最近急速に変化を見せている。もう数百年も変わらなかった彼がだ。Takuの連れて来た‘変なオンナ‘と付き合い出した途端だ。普通の神経ならまず近寄れない異常な波動に包まれた彼に平気で側に寄り、色素が足りなくて死体みたいな眼を怖がりもせず見つめ、偽装しない‘素の眼‘を「綺麗だ。」と言う‘変なオンナ‘。誰からも愛される事が無かった彼が、愛してくれる相手を見つけた。愛された途端に変わった。笑った。普通に笑ったのだ。過去に意味深に一瞬ニヤッと笑うくらいの事は何度か有るが、俺の言った軽いジョークに声をたてて笑ったのだ。はっきり言ってゾーッとしたが・・・喜んで良いのやら嘆くべきなのか・・・僅かな期間ですっかり表情が軟らかくなった。そして、そのオンナに恋慕のあまり何も手につかない様子だ。超不気味な展開だが、今は・・・彼にとってやっと‘普通‘になれる発達段階で人間で言う‘思春期‘ってやつにあたるのかも知れない。存在自体が異色なヤツだけに、発達の仕方も‘異色‘なのか・・・こんな風に造っちまっただけに、いつまで経っても心配の種が尽きない。はたして‘ニンゲンのオンナ‘なんかと旨くやって行けるものかワカラナイ。俺自身がそれを否定して来たからだ。もし旨く行ったら行ったで、亡くす悲しみも待っているのは判り切っている。永遠の‘今‘を祈ってやりたい・・・そうする事が俺の救いでも有る。Sidは俺の分身なのだから。
2005/08/16
昨夜は眠れなかった。MIUのいない部屋。いや、MIUのいないベッド。シルクのシーツがひんやりとする。先週の今日は・・・まだMIUを知らず、そんなのは当り前の事だった。ぬくもりが消えたベッド。やりきれなくて車の中で過ごしている。寂しいなんて・・・知らなかった感情。つまらない感情を覚えたものだ。俺には感情が欠落している。知らずに済めば何もモンダイは無い事は多い。MIUはその俺に次々と新しいモノを植え付けて行く。モンダイの種を植え付けて行く。恐ろしい事だ。だけど、それを拒む事が出来ない。知る喜びと、知る事による苦しみ・・・乾いたスポンジのようにあらゆるモノを急速に吸収して行く。亮が「幼児のようだ。」と笑った。可笑しかったから笑った。亮は引きつった顔をして「オマエ笑えるんだ。」と言った。そうだ・・・つい最近まで‘可笑しくて笑う‘なんて感情は持ち合わせていなかった。MIUは口角が上がりぎみで微笑んでるように見える。アルカイックスマイルの典型だ。「営業スマイルが板に付いた仮面のようなもの。」と自嘲するが、見ているだけで幸福を感じつられて微笑んでしまう。MIUは母親が赤子に刷り込むようにあらゆる感情を俺に植え付けて行く。空虚・・・満たされない・・・常に満足出来ていない・・・その程度なら知っていた。其処に、MIUは‘MIUが居ないから空虚‘だと云う事を知らしめた。‘MIUが居ないから寂しい‘と・・・居ないMIUを恋慕する想いを教え込んだ。夜が明ける。もうすぐMIUに逢える。まだ早いけど、MIUの近くに行きたい。エイトのキーを回した。
2005/08/16
今日からまたMIUは仕事。SidがMIUを職場まで送りに出て行った。送るのくらいSidが出なくても僕が引き受けるのに・・・なんて思うんだけど、そう云うモンダイじゃないのよね。今の彼にとってはMIUと少しでも長く居たいんだろうね。クールな彼からは想像を絶する変貌。さすがに亮も驚いてた。まさかこの数日でこんな事になるなんて思いもしなかった。MIUと逢って遊びに行くの楽しかったんだけど・・・もしかして遊べなくなっちゃったかな?寂しいな。だけど、MIUが幸せに思うならそれも仕方無いか。MIUみたいなコにまた出会えるだろうか?
2005/08/15
ドアベルが鳴る。こんな時間に誰かと玄関のカメラ見たらSid。いつもなら嬉しくて抱き付いちゃう処だけど・・・顔も見たくない・・・って云うか、顔を見られたく無い。居留守決め込んで布団被って寝る。暫くして気になってカメラ見ると、まだドアの前に立ってる。カードキー持ってるんだから、入って来れるのに・・・ウザイよ、もう!このまま放っておくといつまで立ってるんだろう・・・試しに待たせてみたいとも思うけど・・・待つとすれば、どうせそれは私の為じゃなく‘あの女‘の為。待つ時間が長くなる程悔しくなりそう。ドアを開ける。Sidは何も言わない。いつものように、勝手にバーボンを出してソファに掛けて飲みはじめる。じっと私を見る。昨夜の私を怒ってると云うより、その目は私を哀れんでるみたいだ。黙ってるのが辛くなって来て「彼女は?」と聞く。一言「仕事。」と応えて会話は途切れた。間が空くのがたまんない・・・「怒ってるよね・・・あの後喧嘩になった?」「ならない。」あの女が疑いだし、Sidが怒って大喧嘩になって別れれば良いと思ってた。「ねぇ、特別に美人ってわけでも無いし背は低いしスタイルだって良く無いのに・・・どっから見ても欠陥だらけじゃない・・・何処にそれだけの魅力が有るわけ?」思わず本音をブチマケル。「彼女は彼女なりの美しさを持ってる・・・そして小さくて可愛い。」個性的って事?・・・それにしても、どうせ私はデカ女ですよ!メッチャムカツク・・・けどSidが羨ましい・・・そんなに惚れる事が出来るなんて。「もうあんな酷い事しないからもう一度会わせてくれる?」「機会が有ったら。」たったそれだけ・・・それだけ言うと帰ってしまった。彼女の事・・・本気なんだ。
2005/08/15
すっかり色ボケなMIUデス!(笑)今朝はSidが職場の近くまで送ってくれた。エイトから降りようとする私の腕を引き寄せ口づける・・・あ・・・向かいのビルの警備員の視線が・・・無視、無視!このままずっとこうしていたいな。これから麗華さんのマンションまで行くんだって。ヤケる?・・・ん~二人の仲については、Sidの言葉を信じてるから疑って無いしヤかないけど、会っていられる事が羨ましいから・・・その部分だけヤケるかも?懐かしの店長の顔!なんか、もう何週間も会って無かったみたいな気がする。「あら~MIUちゃん、綺麗になったんじゃない?何処行ってたの?エステ?」思わず苦笑・・・言えないよぉ。休んでる間に、新人がまた入った。午後から出て来るらしいんだけど、今度は販売員の経験の有る主婦さんとの事で・・・前回の二人よりは良さそうみたいです。隣のショップの友達のゆっこちゃん(仮名)が衝立越しにチッチャク手を振ってる。私もチッチャク手を振り返す。昼休憩の前、新人さんとの挨拶や打ち合わせしてる間ずっと待っててくれた。「ねぇ、ねぇ、MIUちゃんが居ない間、何が有ったと思う?!」目を輝かせ(?)話してくれた。なんと・・・最初に辞めた新人さん・・・まるでワタシに虐められたみたいな事言われてショックだったあの件?その親が辞めた娘連れて店に来て、店長に働いた分の給料を請求に来たそうだ。そんんで、揉めて・・・虐めた店長を訴えるって~ドッヒャー!ヨカッタ・・・MIUのせいにされなくて?いや、どっちにしても・・・その処理で大変だったらしい。契約上は月給なんだけど、それを日割り&時給換算で結局払ったらしいけど・・・こう云うのって事務員さんだか税理士さんだか・・・後処理大変そう。それで、店長は地の底まで落ち込んでたそうだ。店長は‘オツボネ‘と呼ばれるくらいに達してる仕事に厳しい人だけど、店と部下を大切にする凄く良い人なんだよね。そして・・・ゆっこちゃんまで「MIU綺麗になったよねぇ~夏休みにオトコ見つけたんでしょ~!」って・・・ん~「それじゃ休み前はそんなに汚かったんか!」なんて御定まりに返答したものの・・・‘恋‘すると綺麗になるって多分ホント。ヤるだけじゃ駄目だけど、心から満足出来るSEXするとホルモンで綺麗になるのもホント。あれっ?・・・あれって、SEXじゃないよね?そう云えばどっから何処までがSEXなの?中に入ったら‘sex act‘で間違いなくSEXだよね。中に指とか入ったら?舌とか?何も入って無い場合はSEXと云える?日本人の感覚では言わないよねぇ~‘前戯‘?‘前戯‘ってのはSEXと連動してるから、そのSEXが無い場合は、‘愛撫‘になるんか?そんじゃアタシはSEXしてないんじゃん!「心から満足出来るSEXするとホルモンで綺麗になる」この矛盾に今頃気付くなんて・・・変なの!(爆笑!)
2005/08/15
まだ亮には何がどうなっているのか話していない。Takuから多少の事は聞いているだろうけど。いきなり麗華までくっついて来るとは・・・どうもこんな事には慣れて居ない俺からすると切り出し難い事態だ。MIUから離れ、亮の側に行く。亮も何と言って良いのか困っている風だった。MIUの隣で座っていた麗華が来る。益々話し辛い。麗華は俺の腰に手を伸ばして来た。ふと、目をやると・・・MIUの様子がおかしい。素知らぬ振りで微笑む麗華・・・コイツ、何か仕掛けやがった!伸ばして来た手を払ってMIUの元に戻る。「どうした?」尋ねる俺に一生懸命取り繕う。そのうちその目は涙で一杯になった。「なんでもないよ。」と言って席を立とうとするMIUを抱き上げた。いつものように首に腕をまわして来ない。MIUは「自分で歩けるから。」そう言って降りようとする。麗華はヤキモチ妬きだから「私達付き合ってるの。」とかなんとか・・・多分デタラメを吹き込まれたんだろう・・・麗華を問い詰めようとは思うが、それどころじゃない。MIUをこのままにしておけない。小さく丸くなっているMIUを抱き上げたままニ階に上がった。‘二人の巣‘に横たえる。「何を言われた?」尋ねても首を振るばかり。そこへTakuが飛んで来た。「MIUだいじょうぶ?」髪をなでながら「麗華が妊娠するなんて有得ないよ・・・だって彼女はニューハーフだもん。」はぁ?!ニンシンだって!フザケンナ!「オマエ聞いてたのか?」Takuは「だってMIUは麗華の顔を見たあとオナカをじーーっと見てたもん。」コイツ本当にMIUの事を大切に想ってるんだ・・・そんなヤツから俺はMIUを取り上げてしまった事に改めて後ろめたさを感じた。「彼女のオナカは膨らんでなかったから・・・多分3~4ヶ月なんだろうと思ったの。一線を越えないのは彼女と付き合ってるからだと・・・Sidが私を大切にしてくれる想いは本当だと思うけれど、私だけのヒトにはならないんだと・・・一緒に過ごせるのはあと6~7ヶ月だけなんだと思ったら急に胸が苦しくなっちゃって・・・」そう言って泣いた。最後まで抱いてやれない理由をそんな風に思わせてしまったのかと思うと辛くて何も言えなくなった。MIUが聞かされたままを信じ込んだのなら、俺は嘘や裏切りだらけのオトコって事だ・・・それでも其の残された数ヶ月の時間を俺のモノで居たいと想ってくれたのか・・・一瞬でひび割れてしまったMIUの心が痛々しく胸を打った。「麗華がSidをお気に入りなのは確かだけど、Sidは興味無くて・・・多分寝た事すら無いと思う・・・そうだろ?」言葉に詰る俺を察してかTakuが間に入り、頷く俺の目をじっと見つめる可愛いヒト。強く抱けば壊れてしまいそうなMIUをそっと抱きしめ口づけた。いつもの笑顔に戻った。
2005/08/14
居間に入るとSidは‘その女‘と飲んでた。私に一度も見せたことも無いような優しい目で向き合う彼女を見つめてる。Sidの目線が此方に向くと、気付き振り向き会釈する‘その女‘。‘究極の選択‘で美人かブスかの2択なら・・・キツイ選択だわ、困ったわ・・・美人度が50パーセントでブス度が50パーセントの中で、う~ん・・・美人度60パーセントって所かしら・・・悔しいけど一応‘美人‘に混ぜてあげるけど・・・この2択に中間の‘普通‘ってのが有って3択なら、確実にこの‘普通‘入り!あらやだ、私こんなコに・・・嫉妬してる?「Sid、紹介してよ。」立ち上がり彼女の手からグラスを受取り「MIU、麗華だ。MIUだ。」そう紹介する。背が低い・・・私の胸くらいまでしか無い・・・160無いんじゃないの?だけど・・・なんだか何処か負けてるように感じるのは・・・多分、彼女が‘本物の女‘だからに違い無い。Sidは彼女の額にキスすると、亮の側に行った。背の高いSidが背中を丸く屈め、小さい彼女にキスする姿が胸にグサリと来た。二人が話してる間にその‘MIU‘の隣に掛ける。「Sid優しいでしょう?」私には冷たい男の事をあえてそう言ってみる。もしかしたら「ううん、冷たいの。」なんて返事を期待してたかも。彼女は微笑みながら頷いた。こんなオンナが何で?幸せそうに見えて悔しかった。「私、Sidの子供を妊娠してるの。」そう耳元で囁いた。
2005/08/14
ラジオから懐かしい曲が流れて来る。Bon Jovi の‘BORN TO BE MY BABY‘・・・真っ二つに割れ壁から降ろした大型の掛け鏡の前で、ライトブラウンのアイシャドーを目の窪に入れながら鏡越しに此方をチラリと見るMIUが悪戯っぽく口ずさむ。Only God would know the reasonsBut I bet he must have had a planCause you were born to be my babyAnd baby, I was made to be your man‘神が仕掛けたの・・・貴方は私のために生まれ、私は貴方のモノになるよう作られたのよ‘You were born to be my babyAnd baby, I was made to be your manWe got something to believe inEven if we don’t know where we standOnly God would know the reasonsBut I bet he must have had a planCause you were born to be my babyAnd baby, I was made to be your manMIUは多くを望まない。体の繋がりを‘愛情‘と限定していない。繋がり合えない俺に遠慮してる風でもなく、ただただしがみ付くだけ。ただ俺と一緒に過ごす事を望んでいる。オマエは俺のために生まれ、俺はオマエのオトコになるよう作られた・・・神がそう仕掛けた・・・・肩から力が抜けた。そうだ、それでイイじゃないか。オマエが此処に居る訳・・・‘どうして?‘なんて問うてどうなるものでもない。俺はオマエに惹かれてる。MIUも俺に惹かれてる。‘惹かれ合っている‘ただそれだけ・・・先なんて見えない。一瞬後に別れが待っていようと、今ここで惹かれ合っている現実。俺はMIUのオトコになる為に生まれた。それでイイじゃないか。
2005/08/14
Sidにオンナですって?本当にニンゲンなの?・・・危うく吹き出す処だったわよ・・・冗談かと思った。一体どう云う事?アイツに近付くなんて頭オカシイ人間居るわけ?アイツは擬態も満足に機能してない半端者。一見誤魔化しても、気配の異常さで人間社会には順応出来ない。闇の中でしか生きられないヤツ。その半端さは・・・どこか私に似てる。私は受身のみで愛される‘女‘のカラダを求めた。雌雄同体のような単一で増殖するカラダを捨てた。‘女‘のカラダを手に入れれば満足感が得られると思っていた。‘女‘のカラダを手に入れてはじめて、女の究極の喜びは手に入れる事が出来ないと知った。愛する者の結晶を生みだす機能。そして、愛する者はいずれ衰え朽ちて行く。何度手に入れても、結局失う繰り返し。付き合っても、何度他の女に取られ引き下がった事か。「ごめん、付き合ってるコに子供が出来ちゃって・・・。」夜の華はあっさり引き下がるのが仁義。「それでも付き合い続けたい。」・・・そんな半端なオトコはこっちから願い下げだわ!どんなにあがいても・・・身内の中でしか生きられない。そのテリトリーの狭さは何処か私に似ている。半端者同士生涯を生き抜くパートナーとして・・・私はSidを求めた。彼の擬態しきれない‘素‘のままの野生が欲情をそそった。だけど、彼は‘女‘の私には全く興味を示さない。‘男‘の私だった頃もそうだった。彼は私に興味が無い。どんなにパーフェクトなボディを手に入れても落ちなかった。なのに・・・ニンゲンのオンナ?どんな女なの?
2005/08/13
一日中二人きり。MIUに触れ、切ない口づけを交わしまた眠る。シャツに掛かる小さな指をを取り上げ、パンツのファスナーに掛かる手をそらし続ける俺をどう思っているのだろう。MIUは俺のペースに逆らわずいたぶられ続け果てる。今俺の腕の中で天使のように微笑む彼女は、俺には無縁のハズの手の届かない存在。俺を縛り続ける‘縛めの輪‘。これから解放されるには、指を落とすか皮を剥ぐか焼いてしまうか・・・生涯消えぬ‘縛めの輪‘・・・たとえその‘輪‘を消しても消えぬもの・・・プライド。それを捨て去り、一線を越えたところで何をどうする事も出来ない。俺はMIUを満足させる機能を持ち合わせて居ないのだ。もしも‘ソレ‘が有ったなら・・・もしかしたらとうに篭絡されていたに違い無い。この身を呪った。いや、この忌まわしい体のおかげで今俺は辛うじてプライドを保っているだけのようなものだ。プライドを保っている?・・・いや、もうとうにプライドなんて残っちゃいないんんだ。Takuの部屋から彼女を連れ去った時から・・・彼女の胸元から立ち昇る香りに落ちた瞬間から・・・俺はただの本能だけの動物に成り果てた。今はただ・・・彼女が離れて行ってしまうのが怖いから・・・この至福の瞬間を無くしたくないから・・・抑えてるだけだ・・・プライドなんて・・・何処に有る?
2005/08/12
Sidの指に時々浮かぶ赤い刺青。いつの間にか消えるけど、今も浮かんでいる。それを見ては辛そうな目をする。消えている時でも彼はそれが浮かぶ場所を見つめては考え込んでしまう。気になるけど聞いてはいけないような気がして・・・だけど、彼の様子を見ているとスゴク心配だった。
2005/08/12
胸元に熱くて荒い息が掛かり目を覚ました。さっきまで感じて眠ったTakuのポーチュガルとは違う匂い。繊細なサンタルブランが匂い立ってるけど、染み付いたアンテウスに負けてる・・・いい匂い・・・この香りに抱かれたい。これはSid・・・彼の匂い。何故こんな処にいるの?何してるの?肌に触れるわけでもなく胸にじっと顔を近づけるだけ。目が合った・・・困った顔してる。綺麗な目・・・綺麗なケダモノ。黒髪に触れてみた・・・あの時は髪を伸ばしてた。いつの間にか唇が触れ合う・・・あの時と同じ。シルクのベールが風で触れるようなキス。何度も・・・何度も・・・強く吸い合う欲求を肩透かしにするように、じらすように・・・何度も。ボルテージが達するまで・・・破裂寸前まで・・・繰り返す。胸も体の芯も痺れるようにキュンとなる。そのまま重なり合うような流れ・・・が・・・急に止まった。彼は自分の指先を見てる。薄暗くてよく見えないけど・・・黒い模様?・・・違う、赤い模様だ。何だろう?・・・唐草模様?・・・指に?刺青かな?何かイワクが有るんだろう・・・Sidはじっとその模様を見て立ち去ろうと立ち上がった。切なかった。彼は私を覚えていない。なのに、何故私にチョッカイ出すの?パジャマ代わりにTakuに借りたシャツ・・・Sidはまるで魔法でも解くように一瞬でスルリと脱がすと抱き上げた。嬉しい。暗い廊下の先のドアを開いた。ここはSidの部屋ね・・・匂いで解る。甘く甘く口付けながら「いいの?」って・・・頷くのを待って彼は部屋に入った。口付けから解放されたのはベッドへ置かれた時。スベスベのシルクのシーツ・・・覚えの有る感触・・・そうだ、Takuの御友達の女性のマンションの部屋のシーツ。覆い被さってくるSidの下で、其の会った事無いベビードールの香りの女性を抱くSidの姿がグルグル頭を巡る。コワレモノを扱うように首筋や肩を優しく愛撫する唇と指・・・待ちきれなくて彼のシャツのボタンを外そうとすると、その手を軟らかく掴んで口付けシャツから引き離した。まるで愛撫の拷問。こんなにゆっくりとしたペースで執拗に愛撫された事なんて無い・・・腰からも力が入らない。すぐ中に入って欲しいとこんなに体が要求してるのに・・・Sidは服を脱がず、全裸の私をもて遊んでいるかのよう・・・その部分だけ触れない。彼は冷静・・・違う・・・冷静に見えるけど凄く興奮してる・・・強く早い鼓動。苦しくて彼にしがみつき鼓動を聞きながら果てた。
2005/08/11
階段を上がるゆっくりとした一つの足音・・・すすり泣き・・・低く篭った男のなだめる声・・・廊下の奥へと遠ざかる。暫くして大股で戻る、さっきより少し軽い階段を下りて行く足音。MIUを抱いて部屋に運び、自分は階下のソファで眠るつもりなのだろう。自己嫌悪。何故あんな事をしてしまったんだろう?月を見上げる。‘真夏の夜の夢‘・・・妖精パックの気まぐれな悪戯?馬鹿な事をやってしまった。本性を知られてては黙って帰してやるわけには行かない。Takuの激怒は当り前だ。MIUは気付いただろうか?俺等が‘普通‘じゃないって。奥からは、もうすすり泣きは聞こえない。酔って見た夢だと錯覚してくれるだろうか?とても眠れない。階下に水を取りに行こうと部屋を出る。廊下の奥・・・Takuの部屋・・・そっと様子を窺う。応急で取り付けたらしい入り口のカーテン・・・風に揺れる。引き寄せられるように部屋の前まで来てしまった。隙間から、月明かりに浮かぶベッドに横たわる小さく丸い塊が見えた。開いた窓のレースのカーテンが風で全開になってしまっている。明方に虫が飛んで入るからレースのカーテンを直さなくては・・・そっと部屋に入った。カーテンを直し、戻りかけて振り返る・・・ケットが床に落ちている。胎児のように丸くなっている姿・・・寒い?ケットを拾いその体に掛けてやる瞬間、フワリと胸元から立ち昇る香り・・・さっき近付いた時に嗅いだ匂い・・・エイトの中に有った香り。胸が苦しい・・・この切なさは一体何?その場から動けなくなった。眠る横顔。胸元へ顔を近づける・・・花のようなベビーパウダーのような温かい体臭と、香水が一つになった懐かしい匂いだ。胸がドキドキする・・・いつしか呼吸が速くなって行く。苦しい。クラクラする。離れようと顔を上げてドキリとした。彼女が此方をじっと見つめていた。「それだけ荒い熱い息を掛けられ続けたら誰でも起きるよ。」クスリと笑うMIU。思わず赤面し慌てて立ち去ろうと・・・MIUは寂しそうな目だった。体が動かない・・・妙に気だるく動きたくない。俺の髪を躊躇いがちにそっと小さな手が触れた。額から後頭部まで静かに撫で下ろしその指先は首筋に触れ、そのまま首を引き寄せるように顔を近付けて来る。思わずその行為に応じ唇を軽く開く。もしかしたら、引き寄せられるように顔を近づけていたのは俺の方かも知れない。俺の舌と唇はサラリと軽く彼女の舌と唇に触れた。それを何度も繰り返し、見つめ合う。激しい動悸。たまらなくなって彼女に圧し掛かろうと体を起こしベッドの端に手を掛ける。ハッとした・・・俺はオンナを知ってる?月明かりの下・・・‘はじまり‘と‘終わり‘・・・縛めの輪がクッキリと浮き上がっているのが見えた。指先に浮かぶ赤い輪・・・凝視する俺を、じっと見つめるMIU・・・コイツガホシイ。右手で・・・赤い輪の浮き出た手でMIUの頬を撫でる。親指の赤い輪・・・‘終わり‘・・・「生涯他にもう誰も愛さない」と云う意味だ。全霊掛けて誓った印。それを覚えていないなんてみっともないが・・・その輪を抱えたまま、心が揺れる・・・Takuの匂いのするベッド・・・身内の獲物。誰かに生涯を捧げた身でありながら、人の部屋に入り込み、人の女を掠め取る?なんと惨めで情けない・・・今までの自分からは考えられない醜態。想いを断ち切って立ち上がる。MIUは驚いて身を起こした。男物の白いYシャツ・・・Takuのシャツ。MIUはベッドに膝で立って俺の顔を見つめている。ボタンを2つ目まで開けた胸元。誘惑に落ちた・・・手を伸ばして3つ目のボタンを開け、肩を開くとスルリとシャツが抜け落ちた。Takuのポーチュガルの匂いのする殻から抜け出た体を抱き取ると、MIUは嬉しそうに俺の首に腕を絡め首筋に顔を埋めて来た。小さな体を抱いたまま部屋を出て俺のテリトリーへと向った。
2005/08/11
「違うの。」そう言って泣いたMIU。ちっとも怖がって無かったけど・・・やっぱりアノ目を見せられてショックだったんだろうと思った。どうやって誤魔化せばイイんだ・・・焦りまくった。証拠隠滅するには・・・嫌だ・・・そんな事!こんな事なら連れて来なければよかった・・・なんて無責任な事をするんだ・・・酷いよSid!こんなに早く、こんなカタチでMIUとのお別れが来るなんて・・・僕まで涙がポロポロ出て来た。MIUの頬に僕の涙が落ちた。気付いて埋めていた胸から顔を上げ「私ね、多分彼に逢った事が有るの。」って。えっ、今何んて言ったの?今MIUは僕の部屋で眠っている。流石に女性が泊まるのに廊下から丸見えと云うワケにも行かない。壊れたままの入り口の木枠の上に、応急処置で予備のカーテンを画鋲で止めた。Sidは気付いていないけれど、MIUはSidと会った事が有るらしい。秘密を守る為・・・なんて事をしないで済むのなら、何でもイイ。僕はMIUを守る為に、Sidの過去を知らなければならない。Sidは亮にすら心を閉ざしているのに、僕が車やバイク好きだからか気さくに話掛けてくれる。だけど個人的に突っ込んだ話をした事は一度も無い。立場的にも彼はずっと上で、僕は最下位だ。此処では欧州の家なら考えられないような生活や扱いをして貰っている。僕の家では、最下位の者が部屋や車やバイクを与えられる事はない。YOKOHAMAの異端児・・・亮はそんな風に云われている。彼の直血は変わり者ばかり・・・その家に奉公に来た当初は、彼らを軽蔑していた。伝統も秩序も放棄したような彼等の事を・・・今は・・・染まったかな?「TAKU、出掛けるぞ。」亮に起こされた。亮が所謂‘ビシッとキメてる‘わけで・・・はぁ、またオンナですね。なんちゅー軽薄な男だ・・・と、思ってたけど、一緒に暮らすうち‘締めるとこは思いっきり締め‘‘抜くとこは思いっきり抜く‘彼の生き方が理解出来るようになった。でもやっぱ・・・抜きっぱなしな気が?(笑)部屋に着替えに戻ると・・・MIU?バスルームをノックする・・・返事が無い。ドアを開けて覗き込む・・・居ない?ベッドの上に僕のYシャツが脱ぎ捨ててある。着ていた服は僕が掛けた処にそのまま有る。ともかく、速攻でシャワーを浴び髭を剃って出掛ける支度をする。携帯をポケットに入れ、「そうだ携帯を鳴らしたら・・・」・・・CUNEの‘SAMURAI DRIVE‘が聞こえる。彼女の携帯の‘着うた‘・・・「私の生き様かも?」って笑ってた歌詞。‘いつもそうさ 理想の先には 希望だけがひしめき合う peaceful world 衝動的な愛をかき分けて そして僕は行くよ♪‘この部屋・・・彼女のバッグの中からだった。ハッとした。慌ててSidの部屋へ飛び込む。ベッドにはMIUがうつ伏せに倒れていた。椅子を置き、その背で頬杖付きその姿を見ているSid。遅かった・・・僕は夢中でSidに飛び掛り襟首を掴んでいた。Sidは全く抵抗しなかった。殴っても何も変わらない・・・振り上げた拳は行き場を失い、ただわなわなと虚しくうちふるえるばかりだった。目が熱くなって目の前が歪む。彼女の骸を抱き上げようと腕をまわし入れかけてギョッとした。息してる。Sidを見る・・・バツの悪そうな目で「すまん。」と・・・はぁ???ドユコトデスカ?はぁ・・・ソユコトなんですね。Sidは今まで見た事も無いような優しく切ない目でMIUを見てる。気配で目を覚ましたMIUがシルクのケットを胸元に引き寄せて「おはよ。」と恥ずかしそうに微笑む。丁度其処に亮が開けっ放しの部屋のドアから「おい、何やってんだ?」・・・と・・・僕がいつまで経っても下りて来ないから声を掛けに来た。一夜明けてここでやっと全員顔合わせ。「何でSidの部屋にオンナが居るの?」・・・チュッパチャプス咥えた亮の驚いた顔ったらない!(笑)ホントは僕の方がもっと驚いてる。二人を残し、六本木までチンプンカンプンの様子の亮の御供だ。なんか・・・さんざん問い詰められそうな予感~REIの耳にも入るかも?REIはSidに気が有りそうだからさぁ~僕だってこの状況は今知ったばかりだし・・・なんか怖いよ~!(苦笑)
2005/08/11
六本木水没事件からそのまま帰ったものだから、麗華がすっかりオカンムリだ。お陰で今日はデートに付き合わされる事になってしまった。そんで、どうせそのまま同伴だ。マンションに行こうと思ったらTakuが帰らない。携帯で呼び戻そうとしたらSidに止められた。はいはい、わかりましたよ!ホントお前等は仲イイよな。まじデキてるんだろうかと疑いたくなるぞ!(笑)Takuまたデートらしい・・・たのむよ、男でも女でも犬でも馬でも何でもイイけど身内以外のモノに本気で惚れるような馬鹿はすんなよな。
2005/08/10
オーバーシュートの落差が酷いまま酷使してキャブが逝って修理に出してたZZRを吹かす音がする。軽い音だ・・・気になっていたアタる金属音も無くなった。窓から右下を覗くとエイトの向こう側で、仕事着のままTakuがスロットル引きながら屈みこんでいた。暫く空吹かしした後、エンジンを切って戻って来た。そう云えば、修理から戻ってから乗ってるの見た事無かったっけ。階段を上がる足音。俺の部屋の前で止り、暫くしてそのままノックもせずまた引き返して行った。あれから顔を合わせていない。声も掛け辛いんだろう。Takuには本当に悪い事をした。ヤツは何もしていない・・・俺サイドのモンダイ。Takuは今車が無い。あんな馬力の無いバイクでオンナと出掛ける気なのか?2ケツって事は、後ろの者の命を預かるって事だ。目と鼻の先の場所へ移動するだけならともかく・・・公道のド真ん中で2ケツのまま万が一またOS起こしたらどうするんだ。‘危ないからよせ‘と言いたいが、他にヤツの自由に使える足は無い。もしかしたら、さっき部屋の前に来たのは・・・車かバイクを借りたくて声を掛けられず戻ったのかも知れない。あの日壊してしまい、持って行く予定だったカルティエの装飾・・・その用事を任せる事を口実に、車で行かせる事にした。あの日から、残り香のオンナがどんな女なのか気になって仕方が無い。このモヤモヤしたモノを消すには、会ってみるしか無い。‘連れて来い‘と言ったものの・・・自分でも無謀かと・・・言った後に少し後悔した。どんなオンナを連れて来るのか気になってずっと待っていた。もう夜中だと云うのに、戻って来ない。このまま戻らないなら、それはそれで気がラクな気もする。待ってはいたが、自分でも会うのが少し怖かった。自分でもワカラナイその‘何か‘の手掛かりだと思い込んで、期待外れだったら・・・そう思うと過分に期待するのは止めようと・・・それでも期待している自分が怖いのだ。こんな俺の姿を知ったら、亮は笑うだろう・・・‘オマエに怖いモノなんて有るのか?‘と・・・有るよ・・・怖いモノだらけだ。静かに石畳をタイヤが噛む音。やっと御帰還か・・・外灯を背に、手を繋いでこっそり歩く姿・・・まるで夜這いの恋人達。なんとも微笑ましい光景だ。階下に下りると、カウンターで小声で話す二人の姿。此方に気付いて会釈するオンナ・・・これがTakuのカノジョなのか。小さくて子猫のような印象。Takuに紹介されて「はじめまして。」と普通に挨拶をする・・・なんだか妙な雰囲気だ。そうか・・・怯えてないんだ。なんなんだ?・・・このオンナ。カウンターの彼女に近付く・・・気配で気付いたようだ。じっと見つめる・・・少し怪訝そうな顔になったが、彼女は逃げなかった。驚いたのは此方の方だった。何だか逆に怖くなった。一日中飲んで酔いでも回ったか・・・くだらない悪戯を仕掛けてみたくなった。それで・・・彼女に息が掛かるほど顔を近付けててサングラスを少し下げて目を見せた。虹彩を故意に解放して見せた。常に瞳孔を丸く見せ掛けるように緊張させているものを解放すれば・・・ラクだが、ヒトは皆怖がる。あれっ・・・手ごたえが無い・・・このオンナ酔っ払ってるのか?一瞬だけ少し驚いた感じだったけど、怖がるどころか・・・嬉しそうに微笑んでる???酒臭くは無いけど・・・ん、この匂い・・・エイトの中に残っていた匂い。気を取られた瞬間Takuが飛び掛って来た。カンカンに怒ってる。そりゃそうだ・・・少しやり過ぎた。自分でも、何てガキ臭い事やってんだって・・・呆れた。だけど・・・彼女・・・MIU?何だろう・・・変だよ・・・いや、俺の方が変なのか?
2005/08/10
同僚が辞めるは、新人はムチャクチャだわ・・・ひょっとして今年は夏休み無いんじゃないかと云う噂だったけど、新人教育の賜物か労基のお陰か・・・取り合えずローテーション組みのスケ通りに順次夏休みで、私は今日の早上がりから4日も夏休みナノダ!有給取ればもっと伸ばせるけど、今の体制だと問題アリだし・・・別に旅行とか行く計画も無いから・・・4日ならまぁ充分。暫く銀座界隈に来ないから、今日のうちにセルジュ・ルタンス展見に行く。もう1ヶ月近くもやってるんだけど、行く予定だった初日は台風だったし・・・なんやかやと行くタイミング逃しちゃっててまだ見てなかったんだ。Takuと逢うのは夜のつもりだったのだけど・・・メールしたら、これから銀座に来ると言うのでギャラリーで待ち合わせした。彼は白い変わった服で現れた。インドかパキスタンかベトナムか中国か・・・何処かアジアンな印象の膝下までの長い上着で、チャイナ服みたいに両サイドに深く切れ込みが入っている。動くと裾がさらさらと揺れ涼やかな印象で、背が高いからとても似合っていた。とは言っても、スタンドカラーに長袖長ズボンだから・・・冷房の利いたギャラリーでは気にならないかも知れないけれど、実際には暑いかも?一応公務用の略式の衣装だそう。近頃流行りのクールビズとは掛け離れた服だ。公務用?・・・仕事服って事?・・・男版のメイド服みたいなもん?・・・何屋なんだ、ホントに!(笑)展示して有る作品群を見て「見覚えが有る。」って・・・途中、Nombre_Noirのボトルを見て「これがMIUの香りだね。」って。あの後、事故の事ニュースサイトで見たけど・・・ビックリだよね。まさか六本木のド真ん中で車が水没だなんて~マスター達の事話したら「なんだそれ~!」って大笑いしてた。だって、あの後焦ったわよ~Takuもガイジンだからさぁ、ガイジン目の前にして言うのも可笑しいけど・・・ガイジンの御客様がお店に来ちゃって・・・店員誰も居ないし・・・相手が言う内容は大体解るけど、この事態を此方から説明出来るような語学持ち合わせて無いんだもん!(泣!)御友達の話・・・聞いてて私まで辛かった。思うのね・・・訳も分からずパニックみたいに暴れてるんじゃ無いんじゃないかと・・・そんな冷静な人なら、変な薬とか精神病とかじゃ無さそう。Takuの言うように、何かのキーワードでオカシクなるんだろうね。普通に自傷やリストカットとかしてるなら、‘鬱憤晴らし‘とか間違った方法での‘解放の欲求‘かと思うけど・・・違う感じ。でもさ・・・壁とかと喧嘩してそこまで思いっきりやるのって・・・普通はあんまり無いよねぇ。普通は自己防衛の本能で無意識に手加減してるものだけど・・・指が動かない位に腫れてるって・・・それ、骨折してない?「嫌だったり、都合が有るなら断わって。」って言ってくれたけど・・・少し怖い気もするけど、興味の方が勝ってしまった。ムチャクチャなオカシイ人なら、Takuがこんなにも信頼してり心配する訳無いもの・・・きっと、本当は物静かな人で・・・とっても何かで悩んで困ってるに違い無い。その人が私を連れて来いと言うからには、きっと何か理由が有るはず・・・「俺のオトコに近寄るな!」なんて云うのなら、「連れて来い」なんて言わないと思う。連れて行くには二人が落ち合って同行してくるのだから・・・そんなの嫌だよね、普通。だけど万が一、そうだとしたら・・・どんなオンナか一度見てみたいって線?私達はそんな仲じゃないから安心してって説明するしか無いなぁ~だけど、私も‘どんなオトコか見てみたい‘の路線か?(笑)完璧Takuをゲイに決め付けてませんか?・・・アタシ!そのまま横浜へ向うのかと思ったら、折角だから・・・って千疋屋へ。並木通りに有る小さなお店・・・でも、御値段だけはシッカリ千疋屋!どのメニューも盛り方のデコレイトは古き善き時代のままで、凝った洒落た可憐なヨーロッパ風デコレイトが主流の現在から見ると流行遅れな印象で何処か田舎クサイんだけど、やっぱりフルーツそのものは格別美味しい。自分一人なら絶対食べに入れない値段・・・パフェが昼食のランチより高いんだもん!御会計の時、いつもイタタ~ゴメン!て気になる。そうだ、ナンダカンダ言って・・・「僕が誘ったんだから。」って、いつもTakuが出してる。せめてワリカンにしようって言った事も有るけれど、「気にしなくてイイ。MIUは安い店ばっか行くから、他のコよりお金掛からないんだもん。」って・・・ヤダ、私って安物のオンナなのぉ~って、フザケた振りしたが・・・実はマジ凹んだ。Takuは慌てて「そう云う意味じゃないよ!」って・・・「有名シェフやパティシエのお店を予約しろとか・・・ブランド品をせがんだりしないし、マンションも車も欲しがらないでしょ?」って。はぁ、そう云えば・・・アタシって昔からタカリ下手だったなぁ。バブルで周り中がブランド物のプレゼントをオネダリして膨れ上がってるのに・・・見返りも無しで旨く渡り歩くなんて出来なくてさ。その分を今取り返してる?・・・いや~年下にタカルなんて出来ないよ~と、思いつつ今日もまたゴチになってしまった。そんでもって、その有名シェフのお店でディナー頂いてしまった。Takuの家に着いたのは真夜中だった。凄いな・・・バーカウンターの有る居間なんて・・・生活レベル違うんだ。暗くて良く見えなかったけど、廊下意外と広くて長かったし天井が高いから・・・かなり大きなお家なんだろうな。Takuは慣れた風にお酒の用意をしてる。妙な威圧感・・・気配に気付いて振り返ると、背の高いオトコの人が入って来た。これがそのモンダイの‘御友達‘なんだとすぐ判った。RX-8とKATANAを駆ってイカにもハマリって感じのクールなヒト。Takuに紹介されて「はじめまして。」と挨拶するバス・バリトン・・・ううん、太く深みが有るバリトンかな?木製の大きな扉を開けて中段からアーリータイムスのボトルとグラスを持って行った。ソファに掛けると、まるでそれがアタリマエって感じに飲み始めた。深夜の灯りを絞った照明の中でサングラスを掛けている。多分此方を見てるんだと思う。目が悪いとは聞いてないけれど・・・そう思いつつ少し目を離した時、彼はもう私の目の前に移動して来ていてビックリした。囁くように「怖い?」って・・・じっと私の目を見詰めてるみたいだった。からかってるんだな・・・イタズラっぽくニヤリと笑う口元・・・カウンターにスッと身を乗り出して来た。キスするのかと思うほど顔を近付けて来たのでドキッとした。彼はサングラスのブリッジに指を掛け下へズラして私の目を覗き込んだ。其処には綺麗なジュエルが有った。あ・・・私、こう云う目の色好き。凄く薄いグレイ・・・少しシルバーか淡いブルーが混じってる・・・そう思った瞬間、その虹彩は形を変えた。瞳は細く縦に割れた。猫の目?・・・ううん、昆虫の目?ぞくぞくする・・・この眼知ってる!あの人・・・あの時の人。魅力的な眼をした背が高くて髪が長い人・・・忘れられない人。服装も髪型も違うけど絶対そう・・・あの人だ。服装?・・・あの時着ていたのはチャイナ服かと思っていたけど、そう・・・Takuが着ていた白い変わったデザインの服・・・あれが黒ならそっくり?Takuに圧し掛かられて苦笑する横顔。何処から見ても他人行儀。彼は私を初対面のTakuの友達だと思っているみたいだった。私にとっては忘れられないヒト・・・忘れられちゃったんだ。だよね・・・付き合ったワケじゃないんだし。なんだか急に胸が苦しくなって目が熱くなって涙が溢れて止らなくなってしまった。忘れられない人と再会出来たのが嬉しいから?・・・違う・・・嬉しくてなんて感じじゃない。あっさり忘れられたのが悲しい?・・・はっきりとそう云う意味を意識してはいないのだけど・・・多分そうなんだと思う。
2005/08/10
ずっとSidに話し掛けるタイミングを探してるんだけど、一昨日からずっと顔すら合わせていない。殆ど部屋で転がってるみたいだ。思い切ってドアをノックしてみたけど返事は無い。忙しくて・・・いや、色々な変化が多くて精神的にそんな気にもなれなかったのも有って修理後に試し乗りして無かったZZR250を吹かしてみる。軽くて扱い易いんだけど、このバイクで人を乗せた事が無いのでなんとなく力不足なんじゃないかと思うと引っ掛かってしょうがない。僕はノーマルで乗ってるんだけど、酷使し過ぎたのかハズレだったのか2年でキャブが逝っちゃった。オフロード乗りの吹かし癖のせいだとSidに怒られた。人乗せるならやっぱせめて400は要るよなぁ~だけど、買った時は人を乗せるなんて想定外だったから。とりあえず転がして来ようとレザースーツに着替えに部屋に戻った。壊れて取っ払ったままの扉をノックして「出掛けるの?」Sidだ。いつもと変わらない。無精ひげ伸ばしたままのSidなんて滅多に見られない姿だけど・・・顔色は悪く無い。チラリと見ると、拳はまだ腫れてるみたいだけど血は出て無い。目で入り口見ながら扉を顎でシャクって「悪いな。」別に謝らなくて良いよ・・・と言うと、部屋に入って来て僕のベッドに腰掛け、民族服脱ぐ僕をじっと見て「また逢いに行くの?」って。逢いには行くけど、その前に久しぶりだから転がしてチェックするのだと言うと「この前のオンナなら、車で迎えに行って来い。」と・・・‘迎えに?‘って?今どうした訳か銀座の並木通り。暑いしゴチャゴチャ人も車も多いし道が狭いし迂回だらけ・・・こんな処、一人ならわざわざ来て歩こうなんて絶対思わないだろうな。「車で行って来い。」って・・・並木通りのショップへ修理品届ける御遣いです。これはもしかして旨い事Sidにハメラレタのかな?(笑)先日Sidが暴れた時に、うっかり(?!)壊してしまったアンティークの調度品の細工をメーカーに直して貰う為届けたんですが・・・多分特注なんで安く見積もっても300万は掛かりそうです。どうせパリに持ち込まれるのだから、本店に持って行けば良いんじゃないかと思うけど経理の都合上そうも行かないらしい。今回の騒動の破損はSidが自分で直すって・・・どんな割振りになってるのか僕は知らないけど、Sidも結構気を使ってる。MIUが今日は早上がりで、見たい展覧会が並木通りで有ると言うのでギャラリーで待ち合わせ。銀座はいつも殆ど送迎のみで、車から離れないから・・・歩道を歩くと景色が変わって見え変な感じ。これがギャラリー?って感じの建物で危うく通り過ぎそうになる。MIUは黒い衝立の奥の空間のビデオを観ていた。変わった趣向のアートな展覧会でなかなか魅惑的だ。だけど・・・VTRに照らされ明暗がクルクル変わる暗闇で、猫のように「ハイ♪」って囁くように微笑むMIUは展示物よりも遥かに魅惑的。不思議な展示物は何処かで見た覚えの有る物が沢山有った。広告媒体の作品らしい。一つひとつゆっくり見て行くと、黒い香水のボトル・・・‘Nombre_Noir‘と記して有る・・・そうか、これが彼女が着けていたノンブルノワールなのか。そこで初めてセルジュ・ルタンスと云う人物の作品なのだと知った。2階の資料室に有るPCの椅子に掛けながら、特に検索すると云う訳でも無く・・・古い広告等を見ながら、昨日の水没騒ぎから今日の御遣いまでの事を小声で話した。「えっ?これから貴方の家に行くの?」そう・・・Sidが‘迎えに行って来い‘・・・連れて来いって・・・どうしよう・・・溜息。MIUは「夏休みで連休入ったから、遅くなっても平気だからかまわないよ。」って言ってくれたけど、僕の頭の中はブッ壊れた部屋の扉とかヒビの入った壁とか崩壊した窓とかでイッパイで~丁度そんな凄い事になっちゃってる屋敷の中・・・それがみっとも無いなんて云う風には思って無いんだ。Sidの御乱行はMIUにも説明したし。ただ・・・その凄さを目の当たりにして、張本人に会って怖がらせるような事になったらって思うと、マジ泣きそう!東武ホテル裏のレストランに電話を入れ、席を確保して貰った。フランスの三ツ星レストランやラ・ブリーズ・ドゥ・ヴァレに居たシェフが独立した定番フレンチのお店との事だけど、実際に僕が食事に入るのは初めてだ。ここは以前、亮がオンナをもてなす為に何回か連れて来たので知っている。行く先、行く先で‘敷居が高い‘と言っては後ずさりするMIUを引きずって行くのがいささか面白くなっちゃって、少し調子こいてるのかな?(笑)僕自身の住む世界とも若干違うのだけれど、僕が居るうちに遊ばせてあげたいし・・・僕一人では行けないような処で一緒に遊んでみたいって思うわけ。敷居が高い、敷居が高い、と言うけれど・・・MIUは何処へ連れ出しても恥ずかしくない程度の常識やマナーは持ってるし、柔軟性が有るから此方が困る事はほぼ無い。通ぶったセレブ気取りなんかより、不慣れでも遥かに可愛げが有ってイイ。なんとなく・・・屋敷に帰り辛い。第三京浜に乗って羽沢で降りずにそのまま横須賀まで行き、下道で横浜まで走る。MIUは灯りに照らされる道路や街をじっと見ている。ボンネットに反射する夜景を楽しんでいる。街路樹を後方へ飛ばしながら走るロータリーエンジンを聞く。僕の手や横顔を見つめてる。何も言わないけど、‘その目は最高に楽しい!‘と語っていた。元町が近付く。教会の十字架が見える。屋敷がはもう間もなく見えるだろう。怖い。オートで門を開き、そのまま裏へ回り車を静かに車庫に戻す。Sidの部屋を見上げる・・・灯りは落ちている。MIUの手を引いて石畳の上をそっと歩いて使用人用の勝手口を通り屋敷に入った。灯りの消えた居間。亮もSidも起きていない。なんだかホッとした。初めての場所でキョロキョロ見回すMIU。取り合えず御冷を手渡しし「飲む?」と言いつつ、すでに彼女の定番の烏龍とバーボンを造ってるんだけど・・・バーのカウンターに肘をついてMIUがニコッと笑う。其処へSidが下りて来た。居間に入って来たSidにMIUが会釈する。「Sid、MIU。MIU、Sidだよ。」紹介して初めて二人は「はじめまして。」と挨拶を交わした。MIUが全く動じない?・・・普段と様子が変わらない。皆Sidが近くに居るだけで露骨に怯えたり、嫌悪の表情になるんだけど・・・Sidはそれで、身内以外の者の前ではいつもサングラスを掛ける。MIUを連れて来たのが分ったんだろう・・・やっぱ寝てなかったのかな?この深夜、室内なのにサングラスを掛けていた。Sidはソファに掛け、いつものように一人で勝手に飲ってる。サングラスを掛けてるから見えないけど、多分此方を見てるんだろう。「ねぇ、怖くないの?」小声でMIUに聞くと、怪訝な顔で「何が?」・・・こりゃ、ホントにSidの周りの異様な雰囲気を感じて無いのか?鈍感なコじゃないんだけど・・・むしろ、敏感な方なハズなんだけど・・・驚いてると、僕の困惑にハタと気付いたみたいで「あぁ、そう云う意味・・・別に、危害を加えようなんて故意を感じないし、Takuの御友達だもの平気だよ。」って・・・なんだ、其処まで感じ取ってたのか。オードブルを作ろうと冷蔵庫を覗いていると、背後でブワッと空気の圧力の有るゾッとするような殺気を感じて驚いて振り返る。いつの間にかSidはMIUの斜め前でカウンターに両腕を置き乗り出すようにしてサングラスをズラしていた。僕はこれはマズイと思って飛び出すと、気付いたらSidの体を突き飛ばすように一気に飛び掛っていた。床に飛ばされたSidの上に圧し掛かるような体制になって上から彼の顔を見下ろすような格好で、僕がSidにこんな事をしたのが初めてだと気付いた。「冗談だよ。」と言うSidにとても腹が立った。MIUを見ると・・・じっとSidを見つめていた。怯えてはいなかったが・・・とても悲しそうな顔をしていた。Sidが居間から出た後、子猫のような目から大粒の涙がパタパタッと落ちた。「怖かったの?」って聞くと、首を横に振りながら何も応えず抱きついて来た。MIUは「何でもないの。」と言うけれどなかなか落ち着かない。このまま送って返すのは心配。でも‘連れて来い‘って言われて、連れて来ちゃったものの・・・泊めるつもりじゃなかったから亮に話を通していない。僕の采配でゲストルームや離れを勝手に使うわけにも行かない。仕方無いので僕のベッドを使って貰う事にした。
2005/08/10
「帰りに飲みに行かない?」隣のショップのコが連休前だったんで誘われたんだけど、今夜はTakuと約束が有るんで断わった。大抵こう云う誘いを断わらないんで、「春~♪」なんてチトからかわれた。「久しぶり~!」ってマスター。そうそう、ここんとこお店に来なかったから・・・マスターがTakuとの進展を聞きたがる。進展も何も・・・トモダチ以上にはなれないんだけど・・・そんなのは当事者しかワカンナイもんね。待ち合わせの時間が過ぎてもTakuは現れなかった。12時前になって、Takuからメール。来られなくなったって。なんと、今六本木の交差点付近の工事現場で事故が有って巻き込まれてて身動き取れないと云う。すぐ近くに居るのだけど、これから横浜に帰るのか飲みに行くのか予定も不明の相手を送り届けてから六本木に戻るのは難しいそう。事故と聞いてびっくりした。マスターが心配して常連さんに声を掛け、‘見に行けって‘・・・ここの常連さん達はマスターと公私共の仲間と云う事で、マスターが忙しい時はバイト代も貰わずとも手伝ったりしているそう。なるほどね・・・だから、この前マスターは平気でKATANAの試乗に行っちゃったし、常連さんが私を接待(?)してくれてたのか。戻ってきて「凄いよ~1丁目が水没だぁ♪」・・・妙に楽しそうに、「おいおい!」「まっじー?」ドヤドヤと皆居なくなってしまった。すいません・・・店内私一人なんですが・・・って、事は私もココの‘常連‘と云う事になってしまったんでしょうか?(笑)
2005/08/09
今日は久しぶりに亮の身内が会いに来た。てっきり屋敷に泊まるものだと思っていたら、六本木のホテルに泊まると云う。夜遅く六本木に送る事になった。おかげで、MIUと逢う時間の調整が利かなくなってドタキャンのメールする事になってしまった。前方の詰ってる車線を見ながら、何故かビーエムの屋根の上であぐらかいてメールを打ってる。送って行ってもあげられない。こんな時間まで待たせた挙句、車が動かなくて・・・いつこの渋滞から抜けられるかも分からない。渋滞を抜けて、横浜に戻ってから六本木に来る頃に電車が動いてる時間で有るかが不明。僕のバイクは修理から戻ってまだ一度も動かしてないから、MIUを乗せて大丈夫かどうか分からないし・・・車は盗まれて代車の手配が付かないままだ。Sidがあんな状態で、あれから話もしてないから・・・勝手にバイクや車を拝借する訳にも行かない。MIUに申し訳無い。MIUに申し訳無いって云うより・・・このまま亮と車を放置して行けば逢えるのに・・・目と鼻の先に待ち合わせの店が有るのに・・・それが悔しかった。
2005/08/09
全日空ホテルまで客を送り、帰りに飲みに行こうって思ったんだけど・・・一瞬迷ったんだよね・・・嫌な予感って云うか・・・止めときゃ良かった。実は、今から思えばTakuもなんか勘が働いたみたいで、珍しく右折しようと・・・早く抜けようとしてる感じだったんだよ。だけど、ここんとこSidもTakuも別世界に旅立っちゃってるみたいな感じでさ・・・チト寂しかったんだよ多分。「このまま真直ぐ行って。」って、つい言っちゃったらさ・・・そのまま渋滞にハマって全く動かない。工事で車線切ってるんだと思ったら、あれよあれよと云う間に周り中水溜り。窓から顔出したらチャプチャプしてんだよ~タバコの吸殻が何本もサーーーーッと後方に流れて行くしさぁ。車内に水入って来たらヤバイから、座席下に置いてたカバンを座席に置き直す。何がどうなってんだか解らない。渋滞の先を見にTakuが窓からスルリと出てルーフに乗った。ボンと鉄板が鳴る・・・かぁ~凹んだかも?「工事現場で事故が有ったようで、路面から50センチ位水が吹き上がってます。」上から顔を出してTakuが言う。「マジかよ~(泣!)」災害時でも無いのに六本木のド真中で車が水没するなんて誰が想像するよ!まさか、深夜中ここに缶詰?そんで、・・・車内に水が流れ込んで来たら車を捨てて出ようと思いつつ、冠水は10センチ程度とは居え車外に出れば靴が完全に水没するから中途半端過ぎで出るに出られない。そりゃね、周囲の車を飛び石に行けば余裕で歩道に出られるんだけど、ココは常識大国日本だ・・・そりゃまずい。外の自動販売機でコーヒーかコーラが買いたい。麗華に電話した。そしたら「うっそーー!」ってゲラゲラ笑いやがる!数分後、携帯から「ここよ、ここ~!」って麗華。暢気に笑いながら歩道で手ぇ振ってやんの・・・チクショー!と、思ったら流石は麗華・・・馴染みの年配の黒服に、酒とフルーツとコーラを水の溜まった車線怯みもせずジャブジャブ越えて持ってよこした。胸ポケットにチップを入れてやる。「麗華さん、あれでいてかなり心配してますよ。」って、社交辞令も立派なプロの黒服だ。街全体でイケメンホスト系のカッコばかりで気の利かない若い黒服ばかり目に付くようになったが、こう云うプロを飼っているのは麗華らしく、店の質が判る。先頭でも水没して動けない車は無いようで、トロトロ動いては止り動いては止り・・・やっと解放されたのはおよそ40分後。渋滞から解放された途端、ドッと疲れて酒飲みに行く元気なんて喪失。麗華の処にも顔を出さず、そのまま帰宅した。
2005/08/09
ずっと窓の外を眺めている。あれから石畳にエイトを停めたままだ。RX-8は‘俺だけの空間‘だった。機械はラクでイイ。乗り手を選ばない。求めるままに動く。今は‘俺だけの空間‘は残り香で乱され、以来なんだかときめいている。‘ときめく?‘自分でも、‘らしくない‘と笑う。‘縛めの輪‘と‘オンナの残り香‘・・・其のどちらも俺には無縁のはずのモノ。何故、普通に彫らずに‘隠彫り‘なのか・・・二人で誓い合い彫る事がかなわなかったからだろう。‘二人で誓い合う‘・・・俺と誓い合う?・・・そんな事を望んだ相手が居たとは思えない。結局は誓い合い結ばれる事が不可能だったと云う事だ。相手はどんな生き物だったんだろう?生き物で有ったかどうかすら怪しい気もするが、もし生き物であったなら相手は生きているのか死んでいるのか・・・知りたい。どんな想いで彫ったんだろう?俺にもヒト並みの感情が有ったって事か?思い出してみたい。残り香が消え‘俺だけの空間‘に戻れば、この気も落ち着くかも知れないと思いたかった。日に日に薄れて行く残り香。とても寂しい。
2005/08/08
夜Takuからメールが返って来た。最初は爆睡しちゃって返信出来なかったんだけど、その後色々トラブルが有って遅くなってゴメンね・・・って、なんか・・・お友達が病気だって。お友達って車を貸してくれた人の事だよね、その事でマズイ事になったのではないかと心配になったが、それは無いと言う。拳が握れない位に腫れてるとか、出血もしてるけど傷は確認出来ないとか・・・それって、病気じゃなくて怪我?日本人じゃないから、‘支障箇所‘について、傷病の区別の日本語表現が違うのかな?詳しくは書かれていないけれど、傷病の種別はともかく・・・お友達に何らかのトラブルが有るのは間違い無い。Takuのとても心配してる様子が窺えた。お友達って、ひょっとして‘恋人‘?・・・まさかねぇ?だけど、もしもそうだとしてもちっとも驚きはしない。彼がホモでもレズでもバイでも・・・いや、少なくともレズの線は無さそうだけど・・・むしろゲイなら納得って感じもするけど・・・まぁ、何を聞かされても全然気にならないと思う。彼がどんな嗜好であっても、Takuその人で有る事になんら変わりは無いのだから。お友達の事で相談したい事が有るって・・・明日マスターの店で逢う約束をした。彼にとってそのお友達は、とても大切な人のようだから、その人の事を話してくれると云う事が嬉しかった。
2005/08/08
大掛かりなハウスクリーニングの後、車が盗難に逢い・・・どうも出費が続き、今度は屋敷の工事決定。家具類はともかく・・・仕切り壁の一部が崩壊してるし、窓も枠ごと入れ替えだけど・・・明日は客が来るってのに外壁の一部も損壊。アンティークの1枚板のオーク材の扉は、芯を入れて張り合わせ補修すべきか丸ごと取り替えるべきか迷うところ。すぐ発注すべきか・・・直してもすぐにまたブチ壊されてはたまらないので・・・事が落ち着くまで放置すべきか大いに迷う。こんな事態は初めての事だ。Sidは暴れたり怒鳴り散らすような事はかつて一度も無かった。感情的になった処なんて一度も見た事が無い。機銃掃射のストームの中、一種のトランスと云うかナチュラルハイと云うか・・・通常の神経なら異様な興奮状態に陥るものだが、ヤツは常に冷静だった。誰もが死ぬのは怖い・・・自分に弾が当るのを避けながら盲滅法フルオートだ。その結果、撃たれた相手の多くは複数の弾に射抜かれのたうち苦しむ。俺には解る・・・Sidはそれを見るのが嫌いなのだ。小隊全員がM16A2フルオートで応戦するものを表情も変えず3連バーストで確実に射手の頭だけを射抜いて行った。内臓は露出し大量の出血に生きられる見込みが皆無なのに無意味に苦しませるのと、確実にスナイプするのと・・・一体どっちが本当の意味で残酷なのだ。それを陰では‘氷のような男‘とか‘死神‘とか呼び、ヤツの何とも言い難い本能的に受け入れられない異様な殺気は隊の中ですら恐れられ孤立した状態でいた。少なくとも、ヤツは常にワンバイワンで応じていた。援護は無いに等しく、ワンバイワンにならざるを得なかった。相手に引導を渡す為に、自分の身を投げていた。もしかしたら、孤立無援の方がやり易かっただろう・・・背後から味方の流れに当っては・・・いや、あれは流れでも誤射でも無く間違いなく狙ったものだ。至近距離から2発喰らって大量に出血しながらも援護を続けた。その時でも、ヤツは厳しい顔つきで相手を一瞥しただけで全く動じず味方の援護だけを続け報復しなかった。報復はしなかったが、撃った当事者はその場で発狂した。立場は変わらなかったが、流石に以後は直接的な危害を加えて来る馬鹿は居なくなった。それだけ冷静なヤツが何故あんな風になるのか?いや、一度だけ感情を剥き出しにした出来事が有った。女に刺されたのだ。草叢にうずくまる女は非戦闘員にしか見えなかったのか?Sidは倒れ込まれたか抱き付かれたかしたのだが、女が走って逃げた直後立ったままのヤツの腹には何処で拾ったものか銃剣がパーツごと突き立っていた。腰までの草叢を逃げる女は背後から一斉射撃を喰らい、とどめはランチャー・・・即死だろう。その爆発の瞬間、もの凄い叫び声をあげSidは失神した。残酷な死なんて掃いて捨てる程見てきたのに、女子供の死にも飽きるくらい立ち会って来たのに・・・こんな事は初めてだった。チームの仲間は‘激痛によって叫び失血による失神‘だと思っていたが、血を分けた者にしか解らない。精神的な打撃によるものだとは。一体、何が彼をこんな風にしてしまうのか・・・静かにTakuの話を聞いている無表情な顔の裏側は全く読む事が出来なかった。そのコを運転席に座らせた話の時には、Takuも俺も・・・若干引きぎみだったんだけど・・・暴れ出すんじゃないかと・・・そんな事は一切無く、結局あの荒れた原因は分からなかった。Takuの話は、少なくとも表面上は色気も素っ気も無いただの友達付き合いにしか感じられない。おかげで、あまりに退屈で・・・途中でうたた寝してしまった。
2005/08/08
亮は途中でうたた寝してしまい、明方ベッドルームへ。ついさっきSidは部屋に引き揚げた。話していて一晩明けてしまった。僕は延々喋り続けさせられて声は枯れてるし、昨日沢山寝たけど酒も手伝って凄く眠い。あれから、ディズニーシーでの出来事を一通り話し終わったら「どうやって行ったのか?」って、遡って行きがけの話やルートから迎えに行った話までさせられて・・・それが終わったら「どうやって知り合ったのか?」とか、どんなコかとか・・・MIUと知り合ってからのおよそ1ヶ月近い話を延々話して説明したりで・・・今は翌日の午後。その間、Sidは僕の隣に並んで座ったまま此方に顔を向けずにじっと聞いている。ただただ聞いてる。少なくとも、車傷付けたとか汚したとかはして無いし、たとえ気付かないで車傷付けたとか汚したとしてもミクロ単位の事でしょう?あれだけ暴れる理由としては薄過ぎ。こうやって、MIUの事を聞いてるのだから・・・やっぱり原因は女の事?そう云えば、Sidが女と遊ぶのって・・・いや、女と普通に話をしてるのすら見た事も聞いた事も無い。REIは女じゃないし?・・・Sidもその気無さそう。亮の出入りが激し過ぎるんで、しょっちゅうオンナが周囲に居たからあまり気にとめた事無かったたけど・・・居た女達は亮の獲物。一緒に喰ってるって感じじゃない・・・それじゃSidは?こうやって、僕に話をさせるくらいだから・・・オンナに全く興味無いとは思えないんだけど。何処で何してるのか判らない時間を持ってるヒトだけど・・・その不明な時間、オトコとか動物とかに走ってる雰囲気は無さそうだけど・・・実はそうだったりして?でもこの線もなぁ~近付いて来ないのは男女関係無しだし、生き物全般的に・・・シッポ巻いて逃げるんだもんね。前に亮の御付きで動物園に行った時、Sidが通る度に動物がワケノワカラナイ恐怖で檻や塀の中で暴れる逃げるパニック起こして凄っげーヤバかった。皆が、Sidの発する殺気って云うか・・・その波長に怯える。Sidが一緒だと山奥とか未開のジャングルとか行っても、野生動物に殆ど出会わないだろうな。失礼ながら・・・たとえ好きな女が出来ても・・・避けられてしまうような気が?眠いけど、MIUにメールしなきゃ。でも・・・何て打ったらイイんだろう。Sidの事はこっちサイトの話なんだから、書く必要なんて無いんだ。だけど、少し気になる・・・。
2005/08/08
一晩中考えを巡らせた。‘はじまり‘そして‘終わり‘・・・俺は何かを忘れている。今日、昨日、一昨日、一昨昨日、先週、先月、去年、一昨年、・・・日々の事を遡って思い出してみる。遥か昔、自分の意志を持った頃からの事まで回想出来る。曖昧な記憶なんて有るか?なのに、どうしても小指と親指にまつわるエピソードが、何処にもはめ込めないジグソーパズルのピースのように目の前に有る。ここんとこずっと引っ掛かっていたナニカ・・・これがきっとそうなんだ。俺は記憶を失っている?エイトの中の微かな残り香は俺の胸を締め付けた。この香りが残るうちは、とても冷静でいられそうにない。思い切って窓を全開にし扉を開けて残り香を消してしまえば・・・消す?消せば解決するのか?この僅かな手掛かり・・・失えばもう戻らない。軟らかく包み込まれるような感覚・・・愛しい・・・失いたくない。失いたくはないが、もうこれ以上その香りの中に身を置いているのが辛く耐えられない・・・部屋に戻ろう。もう夜はとうに明けていた。指の先で赤い線をなぞってみる。伝統の模様だ。過度の刺激で興奮すると浮き上がる刺青。いつ彫ったものだろう・・・状態からは近年のものでは無さそうだ。こんなものを俺が人に彫らせるワケが無い。伝統的にも、これは自分で彫るのが常識だ。赤い縛めの輪がみるみる薄れて行く。まるで、この消え行く刺青そのものが失われた記憶のように思えた。過度の刺激・・・興奮・・・ベッドサイドの飾り板に拳をぶつけてみる。鏡、壁、柱、手当たり次第に殴り蹴倒す。いくら暴れてもキリが無い・・・まるで爆弾でも破裂したのか、猛獣を室内で飼ってるみたいな酷い散らかりようだ。興奮するどころかどんどん冷静になって行った。どれだけ痛めつけても指先の輪は現れず、きりが無くて止めた。血みどろになった手を宙に翳す。親指も小指も、爪の下の部分は見事に無傷だった。通常の武術の正拳では指が飛ばないように内側に握るからだ。爪と第一関節の間を積極的に使う事など無い。だから‘縛めの輪‘は此処に彫ると云う伝統なのだ。誰に誓ったものなんだろう・・・そんな相手が俺に居たのか?思い当たらないどころか、自分でも信じられない。一杯飲もうと階下へ下りる。亮とTakuが顔つき合わせて小声で話し込んでる。あれだけ派手に暴れりゃ、話題は‘俺‘の事しか無いだろう。カウンターでグラスを倒した。チッ・・・思ったより指が利かない。少しやり過ぎた。親指・・・‘終わり‘の輪の浮き出た様子を想い浮かべる。今は見えない。自由の利く親指と手の腹でグラスを覆うように持ってTakuの隣へ移動した。覚えの無い記憶。探す手掛かりになるかも知れない。Takuのオンナの話を聞いた。気になるフレーズを探した。何時間も繰り返し聞き続けた。グラスを握る指を見つめる。何も変化は起こらなかった。
2005/08/07
昨日の夜Takuにメールしたんだけど、珍しく返信が返って来ない。私は開園前にもうたた寝して、園内でもネンネ、帰りも爆睡・・・Takuは行きも帰りも寝てないから、きっと疲れて爆睡してるんだろうなぁ。ゴメンネェ~って感じ。まだ足がシンドイ。昼間の休憩の時、2日連チャンで15分足裏マッサージとか行っちゃったよ。ラベンダーオイルの香りでくつろげるしね。私、結構マッサージ旨いんだけど・・・流石に自分で自分をマッサージすると‘気持ち良い‘とか‘癒される‘とかって云う満足感無いからつまんないんだもん。他人にやって貰うのって凄く気持ち良いんだよね・・・クセになりそう。
2005/08/07
起き抜け一瞬夢と現実がゴッチャになった、Sidに殴り掛かられる夢を見たみたいだ。もの凄い物音と叫び声で飛び起きた。隣の部屋・・・Sidの部屋からだ。何がどうなってるのか・・・そうだ、部屋に戻ってからそのまま爆睡してしまったんだ・・・今何時なんだろう?ポケットの携帯を見たら7日・・・丸一日寝てたんだ。階下に下りると、亮が天井見上げながら困った顔をしている。昨日からの事を聞かれたが、僕本当に何だかよく分からないんだ。「あれは何だ!」「どうなっているんだ!」「どう云う事なんだ!」襟首掴んでそんなような事を叫んでたようなんだけど・・・常に冷静なSidが異常に興奮して目を血走らせて詰問して来たのだけど、そもそも‘何について‘問われたのかすら理解出来なかった。この前から、何か時々様子がオカシクなる。亮は「鬱病じゃないか?」とか「更年期障害か?」とか「ヤバイ薬でも取ってるのか?」とか・・・心配なのは解るけど、的外れじゃないの?しまいにゃ、「お前とSidデキてるんじゃないのか?」・・・これが痴話喧嘩だっての?・・・死にそう!(爆笑!)あっ、そうだ・・・MIUの事聞かれた・・・昨日。亮は‘ヤッパリ!‘って顔して、「そんじゃ、お前は気付かないけどSidがお前に片想いしてて、女とヤッて帰ったから怒ったとか?」・・・僕、アナタを殴ってもイイですか?(マジギレ!)マッタクもう!・・・だいたいヤるって一体どうやってヤれっての、アンタとは違うのよ!それに、MIUとはそんな関係じゃアリマセンから!サンドウィッチつまみながら、バーボン飲んでたら携帯のバイブ・・・MIUからだって解ってるけど、今携帯のメールを読むと亮に何言われるかワカラナイから、早く読みたいけど開けなかった。昨日からの騒ぎとネムネムで全然メルチェしてないから、多分数通来てるに違いない。そうこうするうち、Sidが下りて来た。あ゛~なんか凄い事になってる。拳は腫れてるし、裸足の足の甲も腫れてる。よく見たら、パンツの裾から血が垂れてるし・・・黒いシャツに黒いパンツだからパッと見では見えないけど、なんかイッパイ血とか染み付いてそう・・・どうしよう~!(泣!)大丈夫なワケ無いから「大丈夫?」なんてしらじらしくて声掛けられない。なんか凄く寂しそうな目をしてる。「土産話聞かせてよ。」って、やけに穏やかで・・・なんか変。単純に言われるまま土産話とかしてて、何か荒れるようなキーワードとかに当ったら、また爆発するんだろうか・・・地雷踏みそうだぁ~どうしよう!(悲鳴!)
2005/08/07
Sid完璧ブッ壊れてます。今朝まで車の中に閉じこもったっきりで・・・心配で一晩中何度も部屋の窓から覗いて見たのだけど・・・出て来なかった。やっと朝になって部屋に戻ったかと思ったら、もの凄い音がドッカンドッカン・・・いや、これが凄い振動。どんどん大きく派手になって行き、グァッシャーーンって音がしたかと思うと、庭に何かが飛んで行った。慌ててTakuが下りて来て心配そうに天井を見上げては落ち着かない様子。20分程も暴れててるような音が聞こえて、後はシーーーーンと静かになった。まさか、それ位の事であんなに暴れるのは変だと思いつつ「ねぇ、車傷付けたの?」・・・間抜けな質問するしか無かった。Takuの呆れ顔・・・「ん~なワケ無いでしょうが!」使用人が皆、庭から上を見上げてる。散開するよう手で追い払う。庭師が落ちた破片を拾っている。コックが真っ青になりながら飛んで来た。「今夜はナイフのセッティング如何致しますか?」メシどころじゃない・・・とても食う気がしない。Takuにしても同じようだ。軽くサンドウィッチ等を頼んだ。Takuに今回の騒動の顛末を聞く。聞いた限りでは、Takuがあそこまで怒らせるような事をしたとは思えない。それどころか、Takuは「Sidは怒っているのでは無いみたいだ。」と言う。怒ってないんなら何であんなに怒鳴ったり暴れたりしてるわけよ?もしかして・・・実はSidはTakuに惚れてて、Takuが女とデートしたのに嫉妬してるとか?すんごいアリエナイ事まで想像してしまう・・・笑われそうで嫌だと思いつつ、あらゆる可能性の提示の中で、口にしたらTakuは一瞬固まったかと思ったら咽ながら馬鹿笑い。だから嫌だったんだよ~でも、そんじゃ何んだって云うのさぁ。笑うんだったら、他の可能性を言ってみろよ!(赤面!)居間でサンドウィッチつまみながら延々話している。3時間程経過した頃、上の階で物音が聞こえ思わず二人黙って音のする場所を見上げる。暫くすると、ゆっくりSidが下りて来る。妙に平静でなんだか妙だ。何か様子がおかしい。「腹へった。」自分でグラスを造る・・・が、グラスを倒す。見ると、手を怪我している。拳の肉が抉れて両手が腫れ上がっていた。う゛ぁ~~見ちゃならないモノを見たような・・・目線の置き所がない。何かおかしいと思ったら、靴を履いていない。どうも足の甲も腫れてるようだ。パンツの右裾から血がボタボタ垂れている。膝か臑か何処か怪我をしているようで、歩き方が変だ。何事も無かったかのように、Takuの隣に座ってサンドウィッチをパク付く。当然ながら、リアクションに困って俺等は見て見ぬ振りしながら黙っていた。何と声を掛ければ良いんだ。すると、沈黙を破ったのは意外にもSidだった。「土産話聞かせてよ。」いつもと比べると妙に優しい表情・・・それがかえって不気味。
2005/08/07
出掛けようと8に乗り込んで違和感を覚えた。Takuは神経質なヤツだから、いつも使った後は必ず正確に元の状態に戻しておく。シートもミラーもステアも全部元の位置だ。何だろう?リアシートを覗き、サイドシートに目を移す。何も変わった処は見当たらない。何かが気にはなったが、まぁいっか・・・と、エンジンを掛けエアコンを入れ噴出した空気で車内の空気がかき回され・・・ハッと気付いた。匂いだ!エアコンを切り、車内のその香を嗅ぐ。嫌でもサイドシートに目が行く。微かなオンナの匂い・・・そりゃそうだろ、オンナとデートしたんだからさ・・・違うんだ、そうじゃない!凄く気になる残り香。何処かで嗅いだ匂い・・・何処だ?サイドシートに顔を近づけてその残り香を探す。動悸がする・・・苦しい・・・脂汗が滲む。ふとステアリングに掛けた手を見て心臓が爆発するかと思うような衝撃。右手親指の爪と第一関節の間に赤いスジが浮かんでいる。顔を近づけて愕然とした。同じものが小指の爪と第一関節の間に有った。‘はじまり‘と‘終わり‘・・・何故こんなものが此処に?ワカラナイ・・・思い出せない。
2005/08/06
「ベッラヴィスタ・ラウンジ」から水上のショーを観て、ミラコスタの中を少しウロついてからミラコスタを出た。一応、駐車場に車の様子を見に戻った後に再度パークに戻って散策。閉園時間を過ぎていたのだけど、周辺の道路も混んでいてどうせ動けないから・・・徐々に灯りの減って行く園内をのんびりと歩いた。閉園から40分以上経って車に戻ったら、まだ下の方で車が詰っていて出られない。「何か聞く?」スイッチを入れてくれた。懐かしいリー・オスカーが流れて来た。思わず「オンナの顔は・・・」と言ったところでTakuが「ひとつじゃないよ」とハモってニコッと笑った。え゛ーーーー!なんでそんなの知ってるの?!‘家事手伝い‘とか‘召使い‘とか‘御世話係‘って・・・実は、本職は資生堂の社員とか・・・電通とか広告関係とかぁ?不思議な人ー!RX-8のエンジンに耳を傾けながら・・・私、都内に入った処で寝てしまったみたい。朝の6時に肩をチョンチョンと突付かれて目が覚めた。私の部屋の手前に有る公園の側。「起こすの可哀相だから・・・」って、何時間もこうしていたらしい。いつの間にか、助手席を倒してくれていて彼のジャケットが掛けられていた。相変わらずの‘御世話係‘は、サンダルを脱がせて足の下には御丁寧にもエアクッションまで置いてくれていた。着替えてシャワーを浴びて慌てて家を出ると、まだ待ってて「駅まで送るよ。」って・・・至れり尽くせり。ところが、地下鉄で座ってて「次の駅で乗り換えだ・・・」と思ってたら寝コケてしまい・・・なんと、目が覚めたら「えっ、何?池袋!」朝っぱらからボケかましてしまいました。大慌てで戻って・・・地下道をダッシュ!でも、足疲れててキッツー!(悲惨!)なんとかギリギリセーフ・・・タイムカード2分前だよ!昨日、走らなかった分・・・今日走った!(笑?)
2005/08/06
凄い音で目が覚めたら、Sidに襟首掴まれて何が何やら?どうしたんでしょうか?あんなに感情的になってるSidって見た事無いからビビッた。「誰乗せたんだ!」「トモダチです。」そう応えたら、もっと凄い顔になっちゃって・・・殺されるかと思いましたよ・・・マジで。女のコ乗せるって言わないで借りたから怒ってるのかなぁ?車まで連れて行かれたから、一応洗車した時チェックしたんだけど・・・もしかして気付かなかったけど傷でも付けちゃってて怒ってるのかも・・・って思ったら、MIUの事を色々聞かれた。隠す事なんて何も無いけど、あの剣幕の後だから何だか怖かった。急にいつもと変わらない様子になって「ワルイ、一人にしてくれ。」って・・・シートに座るとハンドルにもたれて考え込んでる。何を考えてるんだろう?とにかく眠い。早く寝ようと部屋の前に戻ってビックリした。さっきは騒ぎでワカンナカッタけど・・・どうしたの、このドア?
2005/08/06
午後、麗華の部屋から戻った。Takuは朝には戻っていたようだ。テーブルの上には冷め切ったティーカップと「TOKYO Disney SEA」と書いて有るミッキーマウスの絵の印刷されたキャンディーの缶が置いて有った。前の晩も寝ないで1日中遊園地で遊んで、夜が明けてから帰って来たのだから・・・多分寝てなかったのだろう。家がシンと静かなのはもう部屋で寝てるからに違い無い。裏庭でSidが何回も呼んでる・・・いや、叫んでる「Taku-!」・・・えっ、何?窓から覗くと、上の階に向かって叫んでる・・・Takuの部屋の下から。Takuを呼びに行こうと居間から出ると、凄い勢いでもうSidが入って来ていて俺を突き飛ばすようにして階段を駆け上がって行った。すんげー怖い顔つき・・・いゃ~マイッタな・・・アイツ何かマズイ事したんか・・・事故って帰って来たとか?慌てて裏の車庫へ行く。一見いつもと変わらない。反対側の側面をドキドキしながら覗き込んだが・・・特にベッコリ凹んでる箇所も見当たらない。車体も洗車して綺麗になってる。思わず我が事のように気になってドアを開けてみたが・・・汚してる箇所も見当たらないし、SEX臭も無い・・・しいて言えば、微かに女のコの残り香がするくらい?まさかコレが気に入らなくてアノ剣幕なのか?だったら最初から貸さなきゃ良いのに・・・はぁ、ややこしいのは困るよ。Takuの部屋のドアをドンドン!叩く凄い音がする。仕方なく急いで戻る。普段感情の起伏が殆ど感じられないような無表情のSidが見た事も無いような形相でTakuの襟首を掴んでる。寝ぼけて訳判らない様子のTakuも呆然としている。見ると、扉の前には‘元サイドテーブル‘とおぼしき物が散乱しドアの蝶番が壊れて普段と反対側に開いてる。オッソロシイ・・・コイツ怒るとこんなになっちゃうんだ・・・ヤだなぁ、これに仲裁入らないといけないわけ?(泣!)「オマエには関係無い!」そう怒鳴りちらして、Takuを引き摺るようにして狂ったように部屋から出て行った。裏を覗くと、車の陰で何やら話し込んでる。殴り合いとかになってなくてホッとしたが・・・そのうち、Sidはシートに座って扉を閉め、じっとしている。Takuは突っ立ったままだ。40分も経過した頃、Takuが戻って来た。Sidはそのままシートに座ったままだ。何が有ったのか・・・声を掛けた。「わかんない。」こっちの方がもっとワカンナイぞ!Takuは階段を上って扉の壊れたままの部屋で寝てしまった。
2005/08/06
Takuが行けないって言うから、麗華の店に顔出すの一日ずらしたんだけど・・・Sidが「無理させんな。」って、置いて行けと言う。Takuにゃ優しいとこ見せるくせに、俺には気遣い無いよな?(笑)麗華の部屋に電話したら、まだ朝の4時前だってのに留守電になってた。「無理させんな。」か・・・こんなに早く出掛けるんじゃ確かに大変だ。Sidは知ってたのかな???二人は結構仲が良いから、俺の知らない処で相談したりとかしてるんだろうか?運転の代行で8を運転させる事は時々有るけど・・・バイクはよく貸してやってるけど、RX-7から8に買い替えてから車を貸したのは初めてじゃないかな?そう言えば・・・7の時車借りてナンパして中でヤッちゃったら、ヤツ山犬並みに鼻がイイからしっかりバレてて・・・以来俺には絶対貸してくれない。ヤツにとっては、車の中は一番寛げる場所って云うか・・・テリトリーみたいなものかも知れない。ヤツがオンナとイチャ付くなんて想像絶してアリエネェ~って感じなんだけど、素振りは見せないけどヤツだって性欲くらいは有るんだろうし・・・でも、その相手って‘誰‘よ・・・いや、‘何‘よって線もありえる?(笑)もしかしたら、愛車が彼女・・・オンナみたいなものなのか?・・・ヤバイ・・・深く追求するのはやめた方が健康の為か?(混乱!)だけど今回Takuには貸してやってるのよね・・・二人とも転がすの好きだから趣味も合うみたいだし・・・だけど、状況からどう考えても相手はオンナなんじゃないの?解ってて‘貸す‘って言ったんだろうか?Takuは借り物の車でヤッちゃうなんて馬鹿じゃないとは思うけど、ここんとこ‘春が来ちゃってる‘みたいな感じだからヤバくない?いや、ヤらなくても・・・‘オンナの匂いが付いた!‘とかで揉めないか?
2005/08/05
早朝6時に迎えに行く約束だったんだけど、なんだか何度もメールしてお互い起きてるものだから、なんか時間が無駄な気がしてまだ夜も明けないけど迎えに行った。この前と違う車で行ったから「一体何台持ってるの!」って凄く驚いてた。ランクルでは普通に‘車‘としてすぐ乗車して来たけど、周りをグルグル回って眺めてる。「ゴメンネ・・・コスモスポーツの頃から、ずっとロータリーのファンなの。RX-8に乗るの初めてで・・・これは私にとっては‘車‘じゃなくて‘憧れのヒト‘と同じなの。」瞳輝かせて言う。Sidが聞いたら喜ぶね・・・彼もロータリーが好きで歴代乗り継いでるから。預かり物だから運転させてあげられなくて残念だけど、運転席に座らせてあげたら凄く喜んでて・・・まるで子供みたい。だけど・・・‘憧れのヒト‘にでも触れるみたいにハンドルやシフトノブを撫でてる姿は子供じゃないね?(笑)シートを撫でて「これ変わってる。」って・・・そう、それはSidの好みで本皮の質感は好きだけど、嗅覚が敏感なので狭い密室の中の動物臭が苦痛でアパレル用の特殊な合皮ファブリックに特注で張り替えたもの。見た目は純正のB×Bのものと変わらない。あんまり愛しそうに撫でまわしてるから「買ってあげようか?」って言ったら「冗談キツイ・・・駐車場とガソリンと税金で維持費掛かり過ぎ~拷問にかける気?!」って笑われた。「車買ってあげる。」なんて言ったら普通は皆大喜びなのに・・・亮なんて、それで一体何人釣り上げてるやら。普段からそんなにお金使う事も無いから、僕にだってポケットマネーで車一台くらい買ってあげられるんだけど・・・恋人にはなってあげられないから、せめてその‘憧れのヒト‘をプレゼントしたかったんだけどな・・・面白いコ。早めに迎えに行って正解だった・・・夜景を観ながら都内を走ってる間、黙ってるから‘つまらない‘かな・・・ってチラッと見たら、MIUとっても楽しそう。運転してるトコをなんか穴空きそうなくらいジーーーーッと見つめられてると、流石の僕も照れ臭くて笑っちゃった。MIUも笑う・・・喋らなくても楽しいコってイイな・・・ずっと一緒に居たい。一休みでファミレスに入った。ノートで映画観ながら一緒にブログとか読んでて面白かった。ディズニーシーのショーの時間を調べるつもりだったんだけど、着グルミの中の顔も見えない役者に特定のファンが居たりとか、マニアックな話がゴロゴロ有ってビックリした。大分予定時間より早かったんだけど、少し西海岸に似せた景色の道を走るともう並んでる車が数多く有った。駐車場が開くまでまだ時間が有るので、寝てるように言うと「ごめんね、マジ眠い。」ってMIUは体を斜めにしてシートを抱き締めるようにコロッと寝てしまった。幸せそうな寝顔見ながら、維持費が大変なら僕の名義で買って駐車場借りてあげればイイのかな・・・なんて思い始めてると、駐車場のゲートが開いたらしく流れ出した。エンジンをかけるとパッと目を覚まして振動をエンジョイしてる・・・本当に好きなんだね。前にディズニーランドに来た時よりもっと人が多い気がする。チケットを買う為の列と、入場する為の列・・・係員が大きな声で誘導している。チケットを買う列に並ぼうとしたら「チケットは有るよ。」って入場する列に引張って行かれた。ゲートの前に並んで、ココからまた開園まで暫く並ぶ。彼女が銀色のエマージェンシーケットを下に敷いて座った。周りの人達も殆どの人がレジャーシートや広告の紙とか出して座ってる。なんかみんな場慣れしてるなぁ~って思った。彼女が「あそこね、ホテル・ミラコスタ・・・泊まってる人は少し早く入園出来るんだ・・・内側の部屋は園内の景色やショーが見えるの・・・一度泊まってみたい。」って言うので「それじゃ今夜一緒に泊まる?」って聞いたら、「明日は仕事だし、そもそも夏休みなんかは予約がイッパイで無理。」だって・・・今度‘予約取って誘って驚かせてやろう‘なんて事を思い付いた。だけど、なかなか先の予定って付かないから難しそうかな?ゲートが開いた途端、凄い勢いでダッシュする人の多さ、イイトシのオジサンからコケながらもハイヒールで走る女に呆れた・・・何アレ?人気の乗り物やレストランの予約を速攻で取って、まず別の乗り物に乗る為だと云う・・・「何ソレ?」って言うと「皆今日1日を満足したいんだろうし、子供が小さい人とかはパパさんがそうやって頑張らないとなかなか遊び尽くせないんだよ。」って・・・乗り物一つに1時間や2時間とか並ばせられるんだと、やっぱりそうでもしないと遊べないのかぁ。そうやって周囲に合わせないとMIUを楽しませてあげられないのかなぁ~って思って「イッパイ乗る為に走りたい?」って聞いたら、「Takuは走りたい?」って・・・僕はMIUとゆっくり過ごせれば、乗り物に乗れなくても構わないんだ。顔を見たら、彼女は大きな地球儀を見てる。いいんだね・・・そう、お互い無理しない仲なんだった。ゆっくりベネチア風な街並みを散策した。一人で乗ってもなぁ~なんて思ったり、水路が繋がってる中央のショーの加減で休止するからいつも乗り損ねてるとMIUが言うので、ゴンドラの列に並んだ。実は以前、本物のゴンドラ乗った事有るんだけど黙ってた・・・わざわざこんな所に並びながら話すと鼻に掛けてるみたいでイヤミでしょ。水路を覗くと、こじんまりとした水路でオモチャみたいに見えたけど、それなりに良く出来ていた。抜ける風が心地良かったけど・・・最後の方でチョッと彼女が下を向いて苦しそうに水面を見てる。気分悪くなったのかと思って肩を抱いて顔を覗いたら、「大丈夫」と言いながらククッ・・・と笑ってる。後で聞いたら、「船頭のカンツォーネが‘木場とかどっかの地方の民謡‘に聞こえて可笑しくて耐えられなかった。」って・・・「えっ・・・僕、日本の民謡かと思ってた。」って・・・二人で顔見合わせて大笑い。高架になってる電車に乗って、景色見ながら色々説明して貰った。下りた所からジャングルみたいな所まで歩いて、凄い行列・・・人気アトラクションが2つ並んでるからだって。キャーキャー!叫び声を上げコースターが通過して行くのを見ながら、「僅か数分のキャー!の為に2時間近く並ぶんだよ~大丈夫?」って、出来たばかりのコースターの列に並んだ。2時間近く並んでたけど、MIUと一緒だとちっとも長く感じなかった。暑いから入り口で貰ったガイドブックで扇いであげてたら、「交代!」って扇いでくれた。扇ぐのはいつもの事だから気にもしないで扇いでたんだけど、それを気にかけて扇いで貰ったのは初めてだったから、なんかとっても嬉しかった。遊園地の乗り物って、こんなに面白いんだぁ~って感じ!もう1回乗ろうって言ったら「そんじゃ予約券の列に並んで、その後に別のに乗ろう。」って・・・御任せしますとも、船頭さん。この、予約の列がまた長くてトグロ巻くように1時間以上並ぶ・・・係員がチケット預かってれば二人で並ぶ必要は無いって云うので、ベンチか日陰に行ってれば?って言ったのだけど・・・結局お喋りしていて最後まで並んでいた。それで話してて気付いたのだけど、彼女と話しててラクなのって・・・詮索や押し付けして来ないのね・・・普通のコは、「何処に住んでる、何処で生まれた、本名は、国籍は、どんな仕事か、年収は、身長は、体重は、食べ物何が好きか、どんな女性が好みか、云々・・・」職務質問みたいにとにかく質問攻め。あげく「私は何某が好きで、何処そこの何某が欲しくて、云々・・・」とにかく自分を押し付け喋りっぱなし。一緒に居て、木漏れ日や水の煌きにうっとりしてる‘間‘を持ってるコって居なかった。喋らなくても、‘間‘が持てるコって初めて。だからって、会話がないわけじゃなくて・・・MIUも話の流れで質問だってするけど、不自然に延々意味無く質問攻めする事が無い。僕も相手がMIUだと脱線して、普段なら応えない内容も結構喋ってる。マヤ遺跡のジャングルみたいな造りの列に並んだら、一段とセミの声が凄い。顔を見合わせ「日本だねぇ~!」笑い、遺跡に止ったセミにまた笑う。「このピラミッドに登ってみたい。」と言うので、「係員に制止されずに登り切れたら、今日1日オンブして!」「なんか違うぞ~!」なんとバカバカしい会話。ジュース1杯買う為に2~30分並ぶのがアタリマエの状況なんだけど、並んでるのが苦痛じゃない。だけど、殆ど立ちっ放しでMIUが大分疲れてるみたいだから抱っこしてあげた。左腕で縦抱きしていたら、両腕を首に回して来て急に体の力が抜けてそのまま寝てしまった。昨夜寝てないからね・・・このまま暫く寝かせておいてあげよう。寝ると体はズンと重くなるけど、MIUなら余裕。そうだな・・・キツかったのっていえば、身長が僕とそんなに違わない泥酔して完全に正体無くした女2人を左右に縦に抱いて離れた駐車場まで運んだ時ね。一見細く見えて、亮に「49キロなの。」なんて言ってたけど絶対ウソ!・・・60キロ以上有った。それに、もう一人はあんまり重いからセメント袋担ぐみたいに肩に乗せたら背中で吐くし・・・も、最低!合わせて120キロ・・・いや、130キロ以上は有った。アレを15分も担がされた時は、背骨折れそうで放り出して家出してやろうかと思ったよ。抱っこするのって、筋力だけじゃなくてバランス取るコツも有るから、MIUは子供みたいに軽く感じる・・・これも、重い女でハードに鍛えてくれた亮のお陰かと思うと笑える。懐かしいアラビア風の街をコーラを飲みながら歩いていると、係員が「大丈夫ですか?」って声を掛けて来た。「救護室を御案内しますか?」って・・・やけに親切なのね、この遊園地。「くたびれて寝てるだけですよ。」って言ったら、「ジャスミン姫を抱くアラジンみたいで素敵ですねぇ。」って・・・ジャスミンと云う人はワカンナイけど‘姫‘扱いはあってるかな?(笑)風の抜ける日陰が有った。入ってみると、椅子とテーブルが沢山有って、ナンとカレーの匂い・・・一応レストランらしい。折角買った飲み物も飲んでしまったので、MIUの分を注文しようと行列に並ぶ。風通しが良い席まで係員が運んでくれた。抱っこしながら片手で食べていると、‘お姫様‘が目を覚まし、一瞬何処にいるのか判らなかったみたいな顔が可愛かった。烏龍を飲んでて貰って、彼女の分を買って戻ると‘猫舌だから最初に買った方が良い‘と云う。食べかけなんて失礼だと思ったんだけど、‘細かい事は気にしな~い♪‘と言う彼女に従った。周りの流れとは違うペースでゆっくり散策しながら歩く。人工の火山の下に入ると風が抜けて気持ち良い。凄く並んでたんだけど、地底探検や海底探検の乗り物に乗った。海底探検の乗り物の中は、3組のカップルがそれぞれ背を向けて座れるようになっていて・・・背後は何してるか見えないけど、隣のカップルが堂々と濃厚なキスをしてる。僕はMIUの方を向けば見えないんだけど、MIU側からは目線の先にソレが見えるので背でブラインドしたらニコッって笑ってくれた。僕の仕事は気を使うのが仕事みたいなもんで当り前なんだけど、気を使ってる事にいちいち気付くコは少ない。いや、‘アンタ召使いなら、それくらいアタリマエでしょ!‘って思われてるのかも知れない・・・そう思うと気分悪い。MIUと一緒で楽しいのは、対等で居てくれるからなのかも知れない。まだまだ明るいけど、もう夕方。なんか、来てからそんなに時間経ってる気がしないんだけど・・・時間が経つのが早い。さっきのコースターの予約の時間・・・最初の半分以下の時間で乗る。最初に乗った時はゆっくり見る余裕が無かったけど、ただスリルを味あわせるだけの天地がひっくり返るループコースターと違って、周囲全体が雰囲気の有る造りになっていて面白い。「夏休みの混む時期が終わったら、また来よう!」って約束した。
2005/08/05
いくらなんでも早過ぎなんだけど~「下道で行って途中で寄り道しよう。」って、朝の3時にTakuが迎えに来た。いつもならこれから寝る時間だよ。でも、ワクワクしちゃって眠気は全くナシ!(笑)この前と違う車。ハッキリ言って、ロータリーエンジン大好き!RX-7は乗った事有るけど、RX-8は初めて。運転席に座らせて貰ったら、シートに潜っちゃって前が全然見えません。ハンドル遠いわでシート位置スライドさせようと思ったら、あんまり後ろ過ぎでスムースに前に出せなくて漫画みたいにヨッコイショ状態の2段スライドさせないと動かせなかった・・・カッチョ悪。「ごめんね、借り物だからハンドル握らせてあげられなくて。」って・・・とんでもない!・・・私がハンドル握ったが最後、‘生きて帰って来られない‘どころか‘生きて現地まで辿り着けません‘ってば!(笑)車内はTakuとはまた違った心地良い匂いがした。「同居人の匂い。」・・・香りを聞く私にそう応えた。「同居人って、この前のKATANAの巨人?」ケラケラ笑われた・・・だって~Takuも背が高いけどさ、190以上も有るって・・・私の周りの世界の中ではそんな身長の人は皆無で、想像を絶する異常に‘巨人‘なんだもん!この前帰宅後にメジャーで部屋の壁の190センチの位置を計って印付けてみちゃったわよ~そんんで、襖より30センチも上だったんで凄く驚いた・・・巨人だ~!古い建物で天井低いからノビしたら天井ブチ抜いちゃうじゃんって!(笑)だけど、10センチ下の180センチもそうとう高いって改めて気付いて愕然としたのよね。「私、背ぇ低いから並んで絵にならないよ。」って言ったら、小さい方がカワイイって・・・守ってあげたいって思うって・・・ふぇ~ん、こう云う処が妙にガイジンみたいで・・・ってか、ガイジンなんだけど・・・歯の浮くような事平気で言うんだから・・・赤面。こんなコだったら、方針変更して年下でも付き合ってもイイかな?・・・なんて思ったりしちゃうじゃん!・・・まぁね、戒律厳しい宗教なのか、ゲイなのか知らないけど今更ながら残念だ。夏休みで車が少な目の都内を走った。いつもこんなだと気持ちイイんだけどね。ファミレスでお茶しながらTakuが持って来たバイオで遊んだ。横並びで一つのPCを肩寄せ合って遊んでる姿は、誰がどう見ても‘恋人同士‘だと思ったに違い無い。夜景の綺麗な銀座を抜けて舞浜へ。もう空が明るくなってる・・・6時過ぎはいささか早過ぎだけど、すでに結構車が並んでる。でも、これくらいの位置なら充分屋根付きに停められそう。折角来たのに、混んでてあんまり遊べないと可哀相だから・・・効率良く速攻で周るコースにしようかと思ったんだけど、周囲の殺気立ってダッシュする流れと空気が違うんだな・・・彼。だから、私も無理しないでのんびり散策コースにした。ベネチア風の街を抜けてゴンドラに乗った。こればっかしは、空いてても一人で乗ろうとは思えないのよね・・・なんとなく。だから、もう何十回もインパしてるけど乗った事が無い。ゴンドラに揺られながら、‘本当のベネチアに行ってみたい‘なんて思ってぼんやり景色を眺める。船頭さん「橋の下でキスすると永遠に結ばれる」とかって言ったかと思うと、‘本当にサンタルチア?‘って美声(?)が響いて来て、フキ出しそうになる。なんか、‘木場の民謡デスカ?‘って感じで、目を閉じると‘海に浮く切り出した杉の木の上を、器用に足でコントロールしながら長い棒で移動させてるハッピ姿の木場のイナセな旦那の姿‘がアリアリと・・・(Takuとじゃアリエナイけど)真面目にキスしようとしたとしても・・・フキ出しちゃってデキナイよ、不可能だよ、こりゃ!(爆笑!)念願の「レイジングスピリッツ」に乗れたから、私はもう今日はこれで満足。そしたらTakuが、面白かったからもう1回乗ろうって・・・ファストパスだけ取って、夕方の指定時間までは他をまわる事にした。インディージョーンズアドベンチャーに乗った後、飲み物買おうと並んでる時に‘疲れたでしょ‘って抱っこされたら爆睡・・・激ハズカシイ!それにしても・・・それからどれくらいか、ずっと抱っこされたままロストリバーデルタからアラビアンコーストまでワープしてて驚いた。背は高いけど、そんなに筋肉隆々って感じでも無いんだけど・・・力持ち?お肉で出来てるんだから、金属みたいな固さじゃないんだけど・・・抱っこされたら、素肌に1枚のワイシャツ通す感触で体が妙に固くてアレッって感じ?贅肉が無くて、皮の下が全部筋肉なのかと思うくらい。特に力入れてなくても、オナカから胸までコチコチに固い・・・スポーツクラブとかに通って鍛えてるんだろうか?ここまで固いと、抱き枕には適して無さそう?(笑)前に寝コケた時にも抱っこされたんだけど・・・その時は、抱っこされた時は寝てたし、目を覚ました時はベッドだったから・・・感触なんて記憶無かった。少なくとも、パッと見と掛け離れていて意外な一面。カスバ・フードコートでカレーを食べて、マーメイドラグーンを周ってプロメテウス火山の下へ。ノーチラス号の近くで、吹き上がる水を見たり2万マイルに乗ったり・・・並んでばかりな気がするけど、なんか楽しい。いつもと全く違う遊び方。Takuは風を読むのが旨い。初めて来た場所なのに、‘あっちの方が涼しい‘と言っては風の抜ける道に遠回りとかする。蒸し暑いんだけど、なんだかんだと・・・涼しい所を周るのであんまり疲れてない。アトラクションには幾つかしか乗って無いんだけど、混んでて並んでる時間が多かったのでアッと云う間に夜になってしまった。乗り物に乗らなくても、お喋りしたり散策している時間が楽しかった。「軽食しか取ってないので、ちゃんと食事しよう。」って言われてハタと考える。この場合、どの程度が彼の‘ちゃんとした食事‘なのかが分からない。ガイドブックに載ってるスペシャルメニューとか見ながら、近くにあった‘ユカタン・ベースキャンプ・グリル‘に行って覗いてみて、「ディナーって感じじゃないね。」って言うので・・・近隣のホテルはどうかと聞いてみた。一応再入場のスタンプを押して貰ってパークを後にした。少し早いけど、そのままパークを離れるつもりで駐車場の方へ歩いて行こうとしていたら「出庫すると戻せないでしょ。」って・・・なんだ、まだ食事後に遊ぶつもりだったんんだ~嬉しい♪ここからだとシェラトン・グランデが近いけど、リゾートラインに乗るのを薦めるべきかと考えてたらTakuがどんどん歩き始めたので、散策しながらホテルまで行くつもりなのだと・・・ミラコスタだよここ?堂々とエントランスからミラコスタに入ろうとする。ビックリしてると「折角ディズニーシーに来たんだから中見てみたいじゃない?」って・・・そうだ、泊まった事無いし~レストランだと食事高いと思うから財布圏外で入った事も無いんだ。私にとっては憧れのホテルで、妙に敷居が高くて・・・普通のホテルとは感覚が何故か違う・・・都内のホテルだと、待ち合わせやお茶するだけに入ってったり平気でしてるんだけど・・・ここはロビーにすら入った事無い。彼にとっては、まるでアトラクション施設の一つみたいで堂々と平気で入って行く。凄い場慣れしてる・・・ロビーに私を座らせると、「ちょっと待ってて。」さっさとレセプションに行ってしまった。なんか・・・予想以上に素敵な造りで、下から上まで見回してるとTakuが戻って来た。連れて行かれたのは‘ベッラヴィスタ・ラウンジ‘・・・メインの中央のショーが始まる時間に掛かるから、こんな時間の混雑期に席が有るなんて驚いた。「僕は御世話係りだって言ったでしょ。」って笑ってる。メニューも出されないでそのまま前菜が運ばれて来た。キャンセル席のセッティング交渉してたのかな?テーブルに運ばれたマリネを見て、入り口で案内が出ていたスペシャルメニューだと気付く・・・げっ、これって凄い高かったヤツじゃん。マリネが好きな私の‘げっ‘って、‘嬉しいけど困ったぞ!‘的な反応を察したみたいで「気にしないで、チケット出させちゃったでしょ。」って・・・気遣ってくれた。でも、チケットはたまたまクレジットカードのポイントで貰ったのが手元に残して有ったやつなんだよ・・・そう言ったら「ポイント分買い物した謝礼なんだからそれも大切な財産だよ。」って・・・ナンデこんなにスマートなんじゃ、こう云うオトコ今後人生のパートナーとして捕まえられるだろうか?・・・無理だ!(笑)
2005/08/05
最近気になる事と言ったら、Takuの変化ね。この前、家出して以来・・・私用で何度も一人で出掛けている。人と逢っているようだ。今までからすればとても考えられない。「恋人でも出来た?」って聞いたら「そんなんじゃない。」って言うけれど・・・本当のところはどうなのかは分からない。今夜REIの店に行く事になっていて、亮は連れて行くつもりだったようだけど「明日忙しいんだろうからやめとけ。」って置いて来た。どうせ短い付き合いになるだろう。思う存分遊んで来るとイイ。Takuも馬鹿じゃないさ・・・本気になれば自分が傷付くだけだ。「本気になれば自分が傷付く?」なんだか胸に響く。そう云えば、俺・・・‘恋‘なんて知ってたか?俺は‘恋‘を知ってる?俺が‘恋‘を知ってるだって?なんか、こう・・・モヤモヤした感じが抜けない。自分の事を考えはじめるといつもこうだ。外野が一番気楽だ。
2005/08/04
明日はTakuとディズニーシーに行く日。恋人じゃないからデートじゃないんだけど、一応デートかな?(笑)朝の5時とか6時とか・・・早朝迎えに来てくれると言うので・・・今夜は飲みに行かないでお家に帰って早寝します。駅前のコンビニで、飲み物と軽くつまめるお菓子だけ買って来たんですが・・・なんだか小学生の遠足の前日みたいで、自分でも可笑しくて笑ってしまいました。
2005/08/04
麗華の店に来たのは本当に久しぶりだ。日本独特のシステムが疲れる。麗華の所に泊めて貰ってるから、一度くらいは顔を出しておくのが礼儀ってもんだろう。一応同伴でラクさしてやれるわけだし。この前来たのは半年以上前だったが、相変わらずどころか凄くなってるのがボトル合戦。くだらない。付近のボックスより、より多くより高い酒をテーブルに並べて競って何が面白いんだ。一応会員制の高級クラブとは云え、俺の感覚的にはこの低俗さは繁華街のキャバクラと変わらないんじゃないかと言うと、麗華は「冗談じゃない!」と怒る。店内ではママに「麗華ちゃん」と呼ばれているが、オフィスに入ると立場逆転。ママは麗華にペコペコしている。麗華は店では表向きチイママだが、実際にはママ兼オーナーだ。そんな茶番を演じているのは、麗華が気楽なホステス業が好きなのと、‘国‘の仕事で日本を空ける事が年に何度も有るから店としてはママ不在と云うのはメンツや信用に関わると云う事によるようだ。俺達は麗華以外のホステスは邪魔なんだが、これもメンツを立てると云う意味で黙って数人はヒヨコを有難く頂いておく。ヒヨコ達にとっては扱いに疲れる客だろう。麗華から「話し掛けなくて良い。」と言われて黙って笑みを絶やさず座ってるだけ。ホステス側から見りゃ‘間‘が持たない。俺は一応社交辞令だと思うから話掛けてもやるが、Sidの隣に付けられたコは実に気の毒だ。一言も喋らなくてつまらないだけでなく、死神に威嚇でもされたかのように近くに居るだけでビクビクと怯えている。女に・・・いや、女も男も関係無く忌み嫌われてるかのようなSidだが、何故か麗華はヤツがお気に入りだ。長身の麗華が一緒に踊るには欠かせないパートナーと云う事らしい。Sidが来た夜だけはチークタイムの後にいきなりショータイムを作ってしまう。普段、腹の出た脂ぎったオヤジとチークを踊らされてる鬱憤を思いっきり晴らすように、情熱的に美しいダンスを踊る。普段一緒に練習などしていなくてもアルゼンチンタンゴのようなスピードの有るステップにも難なく付いて行けるのは、二人が双子のような関係でお互いがお互いのステップを共有し先読みをしているから。どうも麗華はSidに気が有るように思うが、Sidは全くその気配は無い。まぁね・・・単純に考えても、ニューハーフの弟に迫られて鼻の下伸ばすなんて、想像を絶するこれ以上無い茶番だろう。
2005/08/04
Takuからメールが来た。「一昨日乗って行った車、盗まれました。」ビックリ・・・冗談?・・・いや、こんな冗談言う人じゃない。「>一昨日乗って行った車 <ランクルの事?」「そうです。」「車が盗まれたんじゃ、ディズニーシー中止?・・・別に電車でカマワナイよ。」「心配しないで、予定通り迎えに行くから。」バイク有るもんね・・・あっ、この前のはお友達のバイクだっけ?また借りて来るのかな?・・・それとも自分のバイクの修理終わったのかな?わざわざレンタカー借りて来る気かしら?大変な事になっちゃってるみたいなのに、遊びに行っても大丈夫なのかな?誘った手前、無理してるんじゃないとイイのだけど。
2005/08/03
盗難により、予定外の支出見込み。貧乏国ってわけじゃなくても小さい国だから予算は限られるわけで・・・事務職員煩いんだ。まぁ、その煩さのお陰で持ってるんだから文句は言えないんだけどね。もっと安い車にしろとかってさ・・・一応さ、災害時に動き易い車の発注が必要だったわけで・・・戦地なら払い下げの軍用ジープでも派手なタンクでも構わないんだけど、ココの国はお役所仕事で事務手続きとか前例とか既成概念の塊でつまらない事に煩いんだもん。保険下りるってもなぁ・・・次はLANDCRUISERじゃなくPAJEROにでもしとこうか・・・なんて考える。なんだかなぁ~Takuもついてねぇな。デート前に車無いんじゃね。つい‘俺の車貸す‘って言っちゃったじゃないよぉ。Sidは相手について知ってるんだろうか?まぁ、TakuがCAR-SEXにゃ使わないと思うから平気で貸してやれるんだろうけど・・・俺が‘貸してくれ‘って言っても絶対貸してくれないだろうな?(苦笑)あっ、すっかりデートだと思い込んでる・・・俺。でも・・・やっぱデートだよね・・・聞いてみたわけじゃないけど、どうも行き先はディズニーランドらしいし。相手は男なのか女なのかワカンナイけど、つい応援してやりたくもなる・・・深入りし過ぎないとイイけど・・・無理だろうなぁ。‘恋は盲目・恋は魔物‘・・・リネンの配置が違うだけでムッとするTakuが煩く無くなったのは、嬉しいような寂しいような。
2005/08/03
REIが個人で契約してる駐車場に停めておいたんですが・・・今朝ガソリン入れようと思って駐車場見たら車がアリマセン。おかしいな・・・誰か乗って行ったのかな?部屋に戻ったら全員居る。「ねぇ、僕のランクル誰か動かした?」一同「ハァ?」って感じ・・・やっぱり・・・盗られたみたい?と、云うわけで・・・今日は午前中から警察やら駐車場管理会社やら警備会社やら保険会社やら電話したり出かけたりで予定外に馬鹿みたいに忙しくなってしまった。精神的に異様に疲れる日だった。防犯カメラも破壊されてて、同じ駐車場からまとめて6台も盗られていたそうだ。面倒に巻き込まれると困るので、マーキング掛けてると云う他の一般市民オーナーと共同で追跡するのは止めとけって亮が言う。自分で買ってるわけじゃないし、僕は皆の車の運転代行が多いし普段はもっぱらバイクだから無くなってもそれほど不都合は無いんだけど・・・金曜にMIUと出掛ける約束してるんだ・・・困ったな。バイクでもイイか・・・だけど、1日歩き回って疲れてる女の子をバイクに乗せるのは可哀相。レンタカー借りて行くしか無いな。レントキープしとかなきゃなんないかぁ~また余計な手間が増える。あちこち問い合わせたりでクタビレタから、なんだかやんなっちゃうなぁ。検索しかかって・・・探すのが面倒で、付近のレンタカー屋をREIに聞いてたら、珍しく亮が自分のビーエムを使えって言って来た。???変なの、普段メインの公務車は常に空けとけって煩い亮らしくない・・・そしたら、それを聞いてたSidが‘メイン車は残しとかないとマズイだろ‘って自分のを乗ってけって言う。なんか二人の好意が凄いウレシイ!でもナンデ???
2005/08/03
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