《櫻井ジャーナル》

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2011.01.19
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 国連安保理の決議に基づいてい設置された特別法廷のダニエル・ベルマール検事は、ラフィク・ハリリ殺害事件に関する起訴状を提出したのだが、その内容は秘密にされているため検証できない。レバノンの状況を考慮したというのだが、起訴内容に自信がなく、公表できないのだという陰口もたたかれている。

 事件は2005年2月に引き起こされ、ラフィク・ハリリのほか22名が殺されている。早い段階で黒幕はシリアだという話を西側メディアは盛んに流し、後にヒズボラも容疑者リストに載せている。言うまでもなく、2005年と言えばアメリカのジョージ・W・ブッシュ政権が偽情報を撒き散らしながらイラクへ先制攻撃を仕掛けてサダム・フセインを排除、その矛先をシリアとイランに向けたところだった。ハリリの暗殺事件は、シリアの「体制変革」を実現するために格好の出来事だった。

 2005年10月に国連国際独立委員会のデトレフ・メーリス調査官は「ラフィク・ハリリ元首相の殺害がシリアの治安機関幹部の許可なく、またレバノンの治安機関内部の共謀なしに実行されることはありえないと信じる有望な根拠がある」としていた。要するに、事件の真相は不明だが、シリアが怪しいということだ。

 事件は三菱ふそう製の白い「キャンター」(バン)を使った「自爆テロ」だった可能性がきわめて高い。このバンは2004年10月12日に日本の相模原で盗まれ、アラブ首長国連邦のドバイへ船で、そこからベイルートに運ばれたのだが、その経路が明らかにされていない。盗難に関する日本側の情報も不明のままだ。どのような経路で誰の手に渡ったかが明確になれば、真犯人に近づくことができるのだが、真剣に調査したようには思えない。

 この事件に関し、アーマド・アブアダスが「自爆攻撃を実行する」と宣言する様子を撮影したビデオをアルジャジーラは放送したが、このビデオをメーリスは無視している。

 メーリスが信頼する重要証人のひとりは、アブアダスは事件と関係がなく、シリアの情報機関に脅されて犯行を宣言したのだと主張、またズヒル・イブン・モハメド・サイド・サディクによると、アブアダスが途中で自爆攻撃を拒否したため、シリア当局に殺されたという。

 しかし、ドイツの「シュピーゲル」誌は、サイド・サディクが有罪判決を受けた詐欺師だと指摘、しかもサディクを連れてきたのがシリアの現政権に反対しているリファート・アル・アサドだとしている。サディクの兄弟によると、メーリスの報告書が出る前年の夏、サイドは電話で自分が「大金持ちになる」と話していたという。

 もうひとりの重要証人、フッサム・タヘル・フッサムはシリア関与に関する証言を取り消している。レバノン当局の人間に誘拐され、拷問(ごうもん)を受けたというのだ。その上で、シリア関与の証言をすれば130万ドルを提供すると持ちかけられたと語っている。

 で、担当者がメーリスからベルマールにへと交代になる。そのベルマールは2006年5月、爆発は地下に掘られたトンネルの中で遠隔操作によって起こったという「説」を語るのだが、大きな問題がある。そんなトンネルが存在しないのだ。



 この武装集団のリーダーたちには海を臨む高級マンションが提供され、武器弾薬はそこに保管されていた。資金源はサード・ハリリを中心とする「ハリリ・グループ」。サードはラフィクの息子である。その背後には米国務省のデイビッド・ウェルチ次官補がいたのだという。

 ハリリ一族はサウジアラビアと緊密な関係にあるのだが、そのサウジアラビアのサウド・アリファイサル王子は2008年5月にアメリカ大使のデイビッド・サッターフィールドらと会い、ヒズボラが勝利するとレバノンがイランに乗っ取られると主張している。

 ラフィク・ハリリ暗殺事件について、アメリカ政府や西側メディアが流しているシリア黒幕説は信用できないことは間違いない。


【参考】
SUBJECT: LEBANON: SAG FM SAYS UN PEACE KEEPING FORCE NEEDED

1. (S) SUMMARY. S/I Ambassador David Satterfield and an MNF-I/Embassy Baghdad team met with SAG Foreign Minister Prince Saud Al-Faisal on May 10. While Iraq was the main topic discussed, Saud brought up events taking place in Beirut and emphasized the need for a "security response" to Hizballah,s "military challenge to the Government of Lebanon." Specifically, Saud argued for an "Arab force" to create and maintain order in and around Beirut, which would be assisted in its efforts and come under the "cover" of a deployment of UNIFIL troops from south Lebanon. The US and NATO would need to provide movement and logistic support, as well as "naval and air cover." Saud said that a Hizballah victory in Beirut would mean the end of the Siniora government and the "Iranian takeover" of Lebanon. END SUMMARY.





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最終更新日  2011.01.20 02:45:39


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