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ロシアで9月18日から20日にかけて実施された国家院(下院)選挙の結果、与党の統一ロシアが議席を伸ばして勝利した。第2党は共産党、第3党はロシア自由民主党だった。怪しげな投票システムで選挙が行われているアメリカとは違い、国際監視団は「自由で公正な選挙だ」と証言している。 その選挙を妨害するため、19日からNATO/ウクライナ軍はドローでモスクワを攻撃、同市のセルゲイ・ソビャニン市長によると、1600機以上の攻撃ドローンが飛来、十数機が石油精製所や住宅に到達、損害を与えた。攻撃目標はNATOが設定、ドローンの誘導もNATOが行っている。それでも選挙は滞りなく終わった。 ウクライナを舞台にした戦争は2014年2月にバラク・オバマ政権がkキエフでネオ・ナチを利用したクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したところから始まった。欧米は「善」で「民主的」だと主張する西側の政府や大手メディアはこのクーデターを「民主革命」だと宣伝してきたが、ウクライナでの出来事をウォッチしている人なら、その話が事実に反していることは明白だろう。 このクーデターを主導したのがNATOの訓練を受けたネオ・ナチだったこともあり、ヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部の住民はクーデター体制を拒否、軍や治安機関の約7割が離脱、その一部は反クーデター軍へ合流したと言われている。 クーデター政権と反クーデター軍の戦いは後者が優勢だったことからNATO諸国は停戦をロシアに持ちかけ、戦力増強のために時間稼ぎをした。2014年の「ミンスク1」や15年の「ミンスク2」だ。こうした停戦合意がキエフ政権の戦力を回復させるための時間稼ぎだったことはアンゲラ・メルケル元独首相やフランソワ・オランド元仏大統領が認めている。ロシアが欧米諸国の停戦持ちかけに応じないのはそのためだ。 フィンランドのアレクサンデル・ストゥブ大統領はロシア深奥部への攻撃をキエフが実行しやするようにするっため、イーロン・マスクにスターリンク衛星インターネットのサービスエリア拡大を要請した。 クーデターの直後からCIAやFBIの要員がキエフ入りし、戦況が悪化するのに伴い、NATO諸国はドローンやミサイルを提供、戦闘員も入れてきた。そこでNATO要員の死亡が増えているようだ。つまりNATOは一般人を攻撃する準備をしている**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.26
アメリカ軍とイスラエル軍が2月28日にイランを騙し討ちにして最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師を含むイランの要人を殺害、イランが報復攻撃した結果、ホルムズ海峡が航行が困難になり、原油だけでなく肥料を生産するために必要な尿素、アンモニア、リン酸2アンモニウム、硫黄の輸送が止まった。 9月10日にはイエメンのアンサール・アッラーがモカを制圧、さらにバブ・エル・マンデブ海峡の最も狭い場所にあるマイユーン島(ペリム島)を占領、そのほか「イエメン政府」が支配していた主要都市も陥落しているようだ。 西側が「イエメン政府」と呼んでいる集団はアデンを臨時の首都にしている大統領指導会議で、この政府のメンバーはサウジアラビアのリヤドにある高級ホテルを拠点にしている。事実上、アンサール・アッラーがイエメン政府だ。 サウジアラビアはイランが管理しているホルムズ海峡を避けるため、東西石油パイプラインでアラビア半島を横断して紅海に面したヤンブーへ運んでいたが、そのパイプラインが爆破された可能性がある。地球観測用大型衛星シリーズのセンチネル3が撮影した衛星画像を見ると、パイプラインの近くで全長100km近い黒煙の帯が確認でき、NASAの火災監視システムは複数の熱異常を報告している。石油の供給がこれまで以上に厳しくなりそうだ。 ドナルド・トランプ米大統領がサプライチェーンを破壊し、世界経済を混乱させたわけだが、その前、2014年2月にバラク・オバマ米大統領がキエフでネオ・ナチを使ってクーデターを仕掛け、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒し、ロシアからヨーロッパへ輸送されていた天然ガスの流れを止めた。 これでウクライナ経由のパイプラインはアメリカの管理下に入ったのだが、ロシアからドイツへ天然ガスをバルト海経由で輸送するルートも存在している。「ノードストリーム(NS1)」と「ノードストリーム2(NS2)」だが、これらは2022年9月26日から27日にかけての間に爆破されてしまった。調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは2023年2月8日、アメリカ海軍のダイバーがノルウェーの手を借りてノードストリームを破壊したとする記事を発表、イギリスが関与している疑いもある。 つまり、石油の供給を止めることはアメリカの一環した政策だと言えるだろう。アメリカはロシアや西アジアで生産されるエネルギー資源に依存していないため、自分たちには関係がないと考えたのかもしれないが、相場は世界に影響、アメリカも影響を免れない。 西アジア情勢はタンカーの輸送距離が長くなり、利用可能なタンカーが減少している。そこで一度に大量の石油を長距離運搬できる新造船への投資が増え、造船能力のある中国に利益をもたらしているという。 その中国は膨大な石油備蓄があるほか、外洋タンカーに依存しないパイプラインでの輸送システムを構築してきた。ウクライナにおけるクーデターでヨーロッパへ流れなくなった天然ガスは中国へ向かっている。 それに対し、日本政府はロシアとの関係を悪化させ、石油の供給をアメリカに頼っている。ところがそのアメリカの備蓄が底を突きそうであり、しかも中国が国外からの購入を再開し始めたとも言われている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.25
医療に関する意思決定における個人の権利と自律性を擁護するという目的で創設された「健康の自由を求めるアメリカ人」のマリー・ボウデンは、同志だったはずのロバート・ケネディ・ジュニアを厳しく批判、ケネディに質問状を送付、サイトに掲示していたが、削除された。 2024年の大統領選挙に出馬していたケネディは同年8月に出馬取り止めたころから「MAHA(アメリカを再び健康)」というスローガンが掲げ始られるようになった。そしてケネディはドナルド・トランプ政権の保健福祉長官に就任、2025年2月のトランプ大統領はケネディ長官を委員長とするMAHA委員会を設置した。 この委員会が医療利権や食品利権の問題を取り上げたことは否定できないが、最大の問題であるPREP法(公衆衛生上の緊急事態における対策準備・対応法)に基づく宣言を撤回しようとしないことから批判されている。 PREP法が宣言されると、CBRN(化学兵器、生物剤、放射性物質、核兵器)質に対抗するため、EUA(緊急使用許可)に基づいて使用が許可されたとき、その使用によって生じる可能性がある被害について誰も法的な責任を負わない。 医薬品業界で研究開発に携わってきたサーシャ・ラティポワは公開された関連文書の分析から、COVID-19騒動を軍事作戦だと2022年初頭の段階で主張していた。彼女によると、2020年2月4日に保健福祉長官はCBRN緊急事態に関するふたつの宣言をしている。WHO(世界保健機関)がパンデミックを宣言したのは3月11日のことだ。EUAで大量破壊兵器が関与する重大な緊急事態を想定、CBRN物質に対する対抗手段を安全性と有効性を確保するため、規制監督なしに使用することを許可した。こうした軍事作戦を守っているのがPREP法だ。 1990年にアメリカで成立した「1989年生物兵器対テロ法」を起草したイリノイ大学のフランシス・ボイル教授も2020年1月にCOVID-19の生物兵器としての性質について警告。彼はSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)と「mRNAワクチン」の接種はアメリカ国防総省のDARPA(国防高等研究計画局)が資金提供した攻撃的な生物兵器プログラムだったと主張。ウイルスのスパイクタンパク質そのものが兵器であり、LNPは血液脳関門を通過するように設計されていると説明していた。なお、ボイルは昨年1月30日、ビル・ゲイツを含むCOVID-19騒動の主要人物に対する証言に同意した直後に死亡した。 ロバート・ケネディ・ジュニアの背景を考える場合、彼の長男であるロバート・ケネディ3世の妻で「元CIAエージェント」のアマリリス・フォックス・ケネディが重要な役割を果たしている。 彼女は1999年、18歳の時に軟禁中だったミャンマーの指導者アウンサンスーチーとのインタビューをBBCのために実施、秘密裏に録音、短期間ながら収監されている。 アマリリス・フォックスは共にCIAのエージェントとして上海で活動、その時に知り合ったとされているが、詳細は不明。彼女は2014年に共通の友人を通じて「バーニングマン」でRFK3世と知り合い、18にふたりは結婚した。 彼女の父親は経済学者のホドソン・ソーンバーで、ソ連消滅後の略奪に関与、1990年代にはロンドンとモスクワを拠点とするルネサンス・キャピタルに勤務して旧ソ連諸国における略奪工作に従事した。ルネサンス・キャピタルはこうした計画において、ジョージ・ソロスと度々提携している。 彼女の母親が再婚した相手のスティーブン・レイルズは科学・バイオ製造・バイオテクノロジー分野を扱うダナハー・コーポレーションの共同創業者兼会長。2020年には「SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)」の「検査キットの製造についてFDA(アメリカ食品医薬品局)と契約した。レイルズはハリウッドの大物でもある。 アマリリスは2024年の大統領選挙キャンペーンでデニス・クシニッチ氏が退任した後、RFKジュニアの責任者に就任。2025年7月から26年5月まで国家情報副長官を務めている。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.22

ロシアの次期国家院(連邦議会下院)議員を決める投票が9月18日から20日にかけて実施された。その最終日、20日にNATO/ウクライナ軍はモスクワをドローンで攻撃、モスクワ市長のセルゲイ・ソビャニンによると、1600機以上の攻撃ドローンが撃墜されたものの、十数機が石油精製所や住宅に到達、損害を与えた。本ブログでも繰り返し書いてきたように、こうした攻撃が可能なドローンはNATO諸国で製作され、攻撃目標はNATOが設定、ドローンの誘導もNATOが行っている。 投票が始まる直前の9月16日、アメリカ下院では、ロシア産の石油や天然ガスへの依存度を下げるために最大100%の関税を課す権限、そしてイランへの制裁を拡大する権限アメリカ大統領に認める「リンジー・O・グラハム対ロシア・イラン制裁法2026」が可決された。上院では先月、可決されている。 一方、ロシア軍はキエフやオデッサを含むウクライナ全域に対する激しい攻撃を継続している。オデッサなどウクライナ南部の港がロシア軍の攻撃で封鎖、黒海を回避した輸送ルートのドナウ川に面したレニ港やイズマイル港も破壊、そしてキエフとワルシャワを結ぶ鉄道を攻撃して兵站線を断ち切ろうとしている。9月13日にはウクライナのヤヒドネ駅にいた列車の機関車を破壊した。この駅はポーランドとの国境から約2キロメートルの地点にある。 地下に建設されたドローンの組み立て工場や司令部もロシア軍は攻撃するようになり、ネオ・ナチの戦闘員や外国人傭兵だけでなく、NATOの将校も戦死していると言われてきた。当初、NATO関連の施設や将兵をロシア軍は攻撃していなかったが、今ではそうした制約がなくなっている。 死傷者が多い最前線へはウクライナの市民が十分な戦闘訓練を受けないまま送り込まれ、犠牲になってきた。元GUR総局長のキリロ・ブダノフ大統領府長官によると、ウクライナ軍の戦力を維持するためには少なくとも毎月3万人を動員しなければならない、つまりそれだけの兵士が離脱している。またポーランドのドナルド・トゥスク首相は同国の議会で、ウクライナ軍は毎月2万7000人の兵士を失っていると語った。こうした数字は少し前のもので、今の戦死ペースはもっと多いと見られている。2022年2月以降、ウクライナ軍の戦死者は200万人に達するという推測もある。 こうしたことからキエフの街中で若い男性を見かけなくなったというが、それを補うため、インドやパキスタンから移住させ始めたと伝えられている。 2014年2月にバラク・オバマ政権がキエフでクーデターを仕掛け、ロシアとウクライナを戦わせるという構図をアメリカやイギリスは作り上げることに成功した。スラブ人同士を戦わせ、共倒れにしようとしたのだろうが、ロシアは弱体化しなかった。それでもウクライナのスラブ人を減らすことには成功したわけだ。 イギリスは19世紀にアヘン戦争を中国(清)に対して仕掛けたが、内陸部を制圧することができなかった。それだけの陸軍をもっていなかったからだが、その後、イギリスは日本で明治維新を仕掛け、大陸を侵略するように導いた。日本人はいまだに「脱亜」教育から抜け出せず、戦争の準備を進めている。 1950年代から始まった沖縄の軍事基地化はアメリカ軍のソ連に対する先制核攻撃計画から始まり、そのソ連が1991年12月に消滅すると、その直後の2月にアメリカの国防総省はDPG(国防計画指針)草案として世界制覇プロジェクトを作成した。 このプロジェクトにおける最優先事項は新たなライバルの出現を防ぐことにあるが、ドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設する、つまりドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるということも謳われている。1995年以降、日本はアメリカの戦争マシーンになる準備、つまり中国と戦争する準備を急ピッチで進め、2024年3月には統合作戦司令部が創設された。これによって自衛隊はアメリカ軍と一体化したと見られている。 自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設し、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させたが、これはGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)によって中国包囲するというアメリカの戦略に基づいている。 ウクライナにおける対ロシア戦争や西アジアにおける対イラン戦争で欧米諸国は敗北、製造能力の低さも露呈した。そこで目をつけられているのが日本だ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.21
露軍のウクライナに対する攻撃がさらに激化 ロシア軍のウクライナに対する激しい攻撃が続いている。オデッサをはじめ黒海に面した港をミサイルやドローンによる攻撃で封鎖、黒海を回避した輸送ルートのドナウ川に面したレニ港やイズマイル港もロシア軍は破壊して兵站線を断ち切った。ウクライナは武器弾薬を受け取れることができず、ヨーロッパ諸国は食糧を確保できない状態。キエフではNATOの地下司令部を含む施設が破壊され、ウクライナのネオ・ナチや外国人傭兵も死傷しているが、その中にはイギリス軍の将校も含まれていると伝えられている。 昨年までロシア軍はウクライナを手加減しながら攻撃、軍の内部だけでなく、国民の間でも不満が募っていた。そうした姿勢が今年に入ってから大きく変化したのだが、その一因は昨年12月28日から29日にかけてのモスクワ北西部に対するドローン攻撃だったと言われている。 ノブゴロド州にある大統領公邸に向けて91機のドローンが発射されたのだが、それらをロシア軍は撃墜、そのドローンの航法装置をロシア軍は調査し、飛行計画を含むファイルを取り出すことに成功した。攻撃の最終目的地はロシア大統領官邸内の施設の一つであったのだ。つまりウラジミル・プーチン露大統領の命を狙ったのだ。その後、ロシア軍による攻撃は激しくなり、NATO軍の将校が死傷したとする話をよく聞くようになった。この攻撃はアメリカの情報機関CIAやイギリスの情報機関MI6がウクライナに情報を提供するなど支援しなければ不可能だ。 したがって、このプーチン暗殺計画ではジョン・ラトクリフCIA長官が重要な役割を果たしたはずだが、この人物が8月25日にアメリカ軍のC-17A輸送機(RCH4555)でモスクワのブヌーコボ空港へ到着した。この訪問でラトクリフはプーチン大統領やセルゲイ・ラブロフ外相には会えていない。つまり相手にされなかった。イギリス海軍のスティーブ・ジャーミー代将は、ロシアが収容していたCIA工作員の遺体を引き取りに行ったのではないかと推測している。スロビキン上級大将 ロシア軍の攻撃が激しくなる中、同軍のセルゲイ・スロビキン上級大将が話題になっている。この人物はロシアの傭兵会社ワグナー・グループのエフゲニー・プリゴジンやミハイル・ミジンチェフ上級大将と親しかったと言われているが、この会社はロシアの情報機関によって創設され、ロシア軍参謀本部の第1副本部長を務めているウラジーミル・ステパノビッチ・アレクセーエフ中将が背後にいたと言われていた。 スロビキンは2022年10月からドンバス、ヘルソン、ザポリージャの戦闘を指揮していた軍人であり、ミジンチェフはマリウポリを解放した作戦の指揮官。スロビキンが指揮するようになった頃からロシア軍は戦闘を本格化させ、ウクライナ軍を粉砕し始めた。 プリゴジンは2023年5月、セルゲイ・ショイグ国防相(当時)やワレリー・ゲラシモフ参謀総長を公然と批判しているが、ウラジミル・プーチン政権の姿勢が甘いという批判でもある。 アメリカのバラク・オバマ大統領はネオ・ナチ勢力を利用してキエフでクーデターを仕掛け、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したが、軍や治安機関の約7割はクーデター体制への従属を嫌って組織を離れ、一部は反クーデター軍に合流したと言われている。 そこでNATO諸国はクーデター体制の戦力を増強するために時間が必要になり、ドイツやフランスが仲介する形で停戦が決まる。2014年の「ミンスク1」と15年の「ミンスク2」だ。西側諸国の話し合いとは戦闘態勢を立て直すための時間稼ぎにすぎないとブリゴジンたちは考えていたのだろう。 NATO/ウクライナ軍は2022年3月にドンバス(ドネツクとルガンスク)に対する侵攻作戦を開始しようとしていたことが後に判明するが、そうした動きを察知したロシア政府は同年2月、ウクライナに対するミサイル攻撃を開始した。 プーチン政権に不満を持つブリゴジンは2023年6月に部隊を率いてモスクワへ向かうものの、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領の仲介で騒動は治った。 そして同年8月23日にモスクワ北西部でビジネス・ジェットが墜落。乗員乗客10名全員、その乗客名簿にプルゴジンの名前があったことから、彼も死亡したとされているが、真相は不明だ。その後、ワグナー・グループはロシア軍に吸収された。ショイグは2024年5月に安全保障会議書記へ移動、副首相を務めていた経済を専門とするアンドレイ・ベローゾフが後任に選ばれている。 プリゴジンをめぐる騒動後、スロビキンは北アフリカで活動していたと言われている。その任務が終了、今はモスクワにいて新たな任務につく、あるいはついたという。この推測とウクライナに対するロシア軍の攻撃激化を結びつける人もいる。 プリゴジン騒動から間もない2023年秋までにウクライナ軍は壊滅状態になり、イギリスのベン・ウォレス前国防大臣は同年10月1日、テレグラフ紙に寄稿した記事の中でウクライナ兵の平均年齢は40歳を超えていると指摘、もっと多くの若者を前線へ送り出せと要求している。 今年8月28日に放送された番組の中で元GUR総局長のキリロ・ブダノフ大統領府長官は、ウクライナ軍の戦力を維持するためには少なくとも毎月3万人を動員しなければならないと語った。つまりウクライナ軍は毎月、その程度の兵士が死傷して戦線から離脱していることを認めたのだ。今ではウクライナ国内から男性の姿が消え、女性を徴兵すべきだとする主張まで出ている。NATOの対ロシア戦争 NATOの対ロシア戦争は2014年2月にオバマ政権がキエフでネオ・ナチを利用したクーデターでヤヌコビッチ政権を倒したところから始まると言って間違いではないが、アメリカの対ロシア戦争は2008年8月から始まるという見方もできる。ジョージアが南オセチアを奇襲攻撃したのだ。これは北京オリンピックの開催に合わせて実行された。 この軍事侵攻を仕掛けたジョージアのミヘイル・サーカシビリ大統領は西側にとって都合の悪い政権を倒すため、2003年11月に実行された「バラ革命」を経て登場してきた人物。2002年5月から05年8月にかけてジョージア駐在アメリカ大使を務めていたのはクーデターの仕掛け人とも言われているリチャード・マイルズ。トビリシの大使館で彼はサーカシビリ陣営をコーチしていた。(Guardian, November 26, 2004) 2003年の選挙前、CIAの工作資金を扱っているUSAIDは選挙の信頼度を上げるためだとして投票のコンピュータ化を求め、150万ドルを提供。コンピュータ化によって投票数の操作が容易になることはいうまでもない。コンピュータ化を求めたのはアメリカが不正選挙を目論んでいたからだと推測する人もいる。 サーカシビリは1992年に国立キエフ大学を卒業しているが、そこでペトロ・ポロシェンコなる人物と親しくなっている。2014年2月にウクライナではアメリカ主導のクーデターがあったが、その後にポロシェンコはウクライナ大統領に就任した。 サーカシビリは1994年にアメリカのコロンビア・ロー・スクール(法科大学院)で学び、翌年にはジョージ・ワシントン大学ロー・スクールに通っている。その後、彼はニューヨークの法律事務所パターソン・ベルクナップ・ウェッブ・アンド・タイラーで働き、そこでエドゥアルド・シェワルナゼの下で働いていた旧友に誘われて政界入りしたという。 ジョージアが南オセチアを奇襲攻撃する約8時間前、サーカシビリ大統領はロシアとの関係強化を求める南オセチアの分離独立派に対話を訴え、油断させていた。奇襲攻撃の開始は23時35分だ。(The Times, August 8, 2008) その当時、南オセチアに駐留していた平和維持部隊は軍事的な能力は低く、アメリカやイスラエルの軍事訓練を受けているジョージア軍の前になす術がなかった。そこでロシア軍は戦闘車両150両を送り込むなど即座に反撃、ジョージア軍に対する空爆も開始。ロシア軍はイスラエル軍に貸されていたふたつの基地も攻撃、航空機を着陸させてジョージア軍を攻撃したと言われている。イスラエル軍を含めてロシア軍は粉砕してしまった。(Thierry Meyssan, “Before Our Very Eyes,” Progressive Press, 2019) この奇襲攻撃の背後にアメリカ政府がいたことをうかがわせる出来事もある。攻撃の約1カ月前の7月10日にアメリカの国務長官を務めていたコンドリーサ・ライスがジョージアを訪問していた。奇襲攻撃の直後、8月15日にもライスはジョージアを訪問、サーカシビリと会談している。 また、アメリカの傭兵会社MPRIとアメリカン・システムズは元特殊部隊員を2008年1月から4月にかけてジョージアへ派遣、「アフガニスタンに派遣される部隊」を訓練しているが、それ以上に重要な役割を演じたのはイスラエルだ。 イスラエル軍のガル・ヒルシュ予備役准将が経営する「防衛の盾」は2001年から予備役の将校2名の指揮下、数百名の元兵士を教官としてジョージアへ送り込み、ロシアとの戦争に備えて武器を提供、それと同時に軍事訓練を行った。軍事訓練の責任者はヒルシュのほか、イスラエル軍の退役将軍イースラエル・ジブ。イスラエルは「イラクでNATO軍を助けるため」に訓練していることになっていたのだが、実際はオセチアやアブハアーズへ派遣される兵士だった。(Ynet, August 16, 2008) アメリカのタイム誌によると、訓練だけでなくイスラエルから無人飛行機、暗視装置、対航空機装置、砲弾、ロケット、電子システムなどの提供を受けている。(Tony Karon, “What Israel Lost in the Georgia War”, TIME, August 21, 2008) 当時、ジョージア政府にはヘブライ語を流暢に話す閣僚がふたり含まれていた。ひとりは奇襲攻撃の責任者とも言える国防大臣で元イスラエル人のダビト・ケゼラシビリであり、もうひとりはテムル・ヤコバシビリだ。腐敗するウクライナ イギリスの対外情報機関MI6のエージェントだと言われているウォロディミル・ゼレンスキーが率いるウクライナ政権が腐敗していることは以前から指摘されてきたが、2019年から21年までゼレンスキーの報道官を務めたユリア・メンデルはタッカー・カールソンのYouTubeチャンネルに登場、ゼレンスキーを「薬物を乱用する独裁者」だと批判、情緒不安定な人物だと話している。彼女は欧州議会でもウクライナの実態を証言する予定だったが、立ち入りを拒否された。彼女に証言されると困るヨーロッパのエリートは少なくない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.20

ジェフリー・エプスタインの友人として知られる富豪のロバート・クラフトはアメリカン・フットボールNFLのニューイングランド・ペイトリオッツを所有していることでも知られている。そのクラフトが「パレスチナを解放しろ」とエド・シーランのコンサートで発言したラッパーのマックルモアを主催者に排除させたことは前回にも取り上げた。 この言論弾圧でクラフトはNFLのオーナー仲間であるアーサー・ブランク(アトランタ・ファルコンズ)、デビッド・テッパー(カロライナ・パンサーズ)、ジェフリー・ルーリー(フィラデルフィア・イーグルス)と共同で行なったと伝えられている。国家による言論弾圧を批判する人の中には私的権力者による言論弾圧に寛容な人は少なくない。富豪が築き上げた私的権力のネットワーク、いわゆる「ディープ・ステート」の言論弾圧にシーランは屈したのだが、彼に対する批判は収まらない。 ポッドキャスト「チャポ・トラップ・ハウス」のホストを務めるウィル・メナカーはマックルモアの排除をプロモーターの決定だと弁明したシーランを嘲笑、彼は「その気になればプロモーターに対して『くたばれ』と簡単に言い放てるほどの大物アーティスト」であり、「卑劣で臆病な人間」と批判。評論家のカイバン・シュロフはシーランの「政治色を出さない」というスタイルについて、「親イスラエル派の億万長者に自身の政治的スタンスを決めさせた」のであり、「会場を所有する億万長者に問題を解決させてしまったのだ」としている。しかも、2022年にはウクライナのネオ・ナチ体制を支援するための資金集めコンサートをシーランは躊躇なく行なった。 クラフトたちによる言論弾圧に対する批判が広がる中、イスラエルを擁護する人びとはマックルモアが過去に反ユダヤ主義的な言動を繰り返してきたという主張を展開しているが、その根拠とされている出来事は2014年にシアトルのEMP博物館で行われたサプライズ・ショー。変装し、正体を隠してイベントに行えば面白いだろうということで、つけ鼻を着用したのだ。 マックルモアによると、付け髭をいくつか選び、日本ツアーで使ったウィッグも使うことにしたのだが、コスチューム・ショップで売られていた付け鼻に適当なものがなく、結局、魔女のような大きな鼻を使うことになったのだが、この変装が反ユダヤ主義だとされ、ADL(名誉毀損防止同盟)のジョナサン・グリーンブラット会長はマックルモアが「長年にわたり、反ユダヤ主義的な比喩表現を広めてきた」と主張する。 一貫してパレスチナ人への支持を表明、イスラエルによる大量虐殺を非難してきたマックルモアは2024年に「ヒンドのホール」という曲を発表した。ヒンドとは、ガザでイスラエル軍に殺された5歳のパレスチナ人少女の名前、ヒンド・ラジャブを指している。彼女は殺された親族の遺体に囲まれながら車内に取り残され、イスラエル軍の銃撃によって殺されたのだ。 ピンク・フロイドを創設したひとりであるロジャー・ウォーターズはマックルモア排除の件について、マックルモアが「正しいこと」のために立ち上がったのに対し、エド・シーランは単なる商業主義的な「卑劣な奴」に過ぎないと言い放った。 公民権運動の指導者として知られるマーチン・ルーサー・キング牧師は1967年4月4日、ニューヨークのリバーサイド教会で開かれた「ベトナムを憂慮する牧師と信徒」主催の集まりに参加した。 主催者の発表した声明の冒頭部分に書かれていた「沈黙が背信である時が来ている」という主張にキング牧師は賛成、「なぜ私はベトナムにおける戦争に反対するのか」というタイトルで演説している。イスラエルのパレスチナ人虐殺に沈黙することも背信だ。 ところが、ロン・ポール元下院議員によると、キング牧師の顧問たちは牧師に対し、ベトナム戦争に焦点を当てないよう牧師に懇願していたという。そうした発言はリンドン・ジョンソン大統領との関係を悪化させると判断したからだが、牧師はそうしたアドバイスを無視、「リベラル派」とされる人々と対立することになる。 キング牧師が暗殺されたのはリバーサイド教会での説教から1年後の1968年4月4日のことだ。ダニエル・エルズバーグは宣誓供述書の中で、キング牧師を暗殺したのは非番、あるいは引退したFBI捜査官で編成されたJ・エドガー・フーバー長官直属のグループだと聞いたとしている。(William F. Pepper, “The Plot to Kill King,” Skyhorse, 2016) テト攻勢の後、ロックの世界でもベトナム戦争に反対する声が高まっていた。その中心にいたひとりがローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズだが、1969年7月3日にプールで死亡した。ジョーンズの親友で、ギネス家のニコラス・フィッツジェラルドとその友人は彼がプールで殺されるところを目撃したと証言している。 フィッツジェラルドによると、目撃した直後、藪の中からひとりの男が現れ、「ここから立ち去れ、フィッツジェラルド、さもないと次はおまえだぞ。」と言われたという。一緒に目撃した友人は行方不明になったとも語っている。(John L. Potash, “Drugs as Weapons Against Us,” Trine Day, 2015) マーチン・ルーサー・キング牧師が暗殺されたことを知ったロック・ギタリストのジミー・ヘンドリックスはブラックパンサーなどを支援するようになり、FBIから監視されるようになった。彼のマネージャーを務めたマイク・ジェフリーはイギリスの対外情報機関MI6の元エージェント(情報機関に「元」は存在しない)だとされている。ヘンドリックスの麻薬スキャンダルはジェフリーが仕組んだと疑われている。 ヘンドリックスはジェフリーを解雇しようとするが、1969年に犯罪組織がヘンドリックスを誘拐、それをジェフリーが彼のマフィア人脈を利用して救出するという出来事があった。 それでもヘンドリックスは1970年9月16日にジェフリーを解雇、その翌日にヘンドリックスは死亡する。ロンドンのアパートで昏睡状態になっている彼を恋人のモニカ・ダンネマンが発見、すぐに救急車で病院へ運ばれたが、彼女によると、発見時にジミーはまだ生きていた。ロンドン警視庁は診断したジョン・バニスター医師の証言として、ジミーは病院へ到着した段階で死亡していたと発表しているが、救急隊はそれを否定している。 反戦コンサートに参加する計画を立てていたジャニス・ジョプリンは1970年10月4日に死亡した。高濃度のヘロイン摂取によるショック死だとされている。 戦争に反対する意思を明確にしていたジョン・レノンは1975年から音楽活動を休止していたが、1980年に活動を再開。それから間もない同年12月8日に射殺された。1979年12月にNATO理事会は83年にパーシング2ミサイル572基をNATO加盟国に配備することを決定、核戦争を懸念する声が世界的に高まっていた。 ロック・バンドのイーグルスが1977年に発表した「ホテル・カリフォルニア」に、ワインを持ってきて欲しいとホテルの人間に言うと、「そんなスピリットはここにはない。1969年からね」という部分が歌詞の中にある。言うまでもなく「スピリット」は魂とか精神を意味している。1969年にはウッドストック・フェスティバルが開催され、ロックはビジネス度が高まり、精神は消えていく。 そしてシーランのような人物が「スター」として売り出されていくのだが、彼のような人物は政治やメディアの世界にも少なくない。目立つのは「左翼キャラ」や「右翼キャラ」、つまり「キャラ族」ばかりであり、本物の左翼や右翼は見当たらない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.19
世界で最も売れている音楽アーティストのひとりだというエド・シーランというシンガー-ソングライターが窮地に陥っている。今年1月から「ループ・ツアー」を行なっているのだが、9月にサポーティング・アクトとして参加していたマックルモアが「パレスチナ解放」を訴え、それに怒った富豪のロバート・クラフトからの圧力でマックルモアが外されたのだ。 クラフトはアメリカン・フットボールNFLのニューイングランド・ペイトリオッツのオーナー。彼だけでなく他のNFLチームのオーナーであるアーサー・ブランク、デビッド・テッパー、ジェフリー・ルーリーもマックルモアの発言を批判、彼がツアーに残るなら、ほかの会場での公演を中止させると伝えたという。 国を上回る権力を握っている富豪たちのネットワークにシーランは逆らえなかったのだろうが、ツアー仲間のアーロン・ロウ、フィニアス、ルーカス・グラハム、そしてアイルランドのバンドであるベオガが出演を取りやめ、ファンの中にはチケットの払い戻しを求める声が上がり始めた。シーランのキャリアにとって大きなダメージだ。 1948年5月14日に建国が宣言される前から、イスラエルによるパレスチナ人虐殺は続いている。当時からガザは「強制収容所」と表現されていた。 パレスチナに「ユダヤ人の国」を建設する第一歩と言われる書簡、いわゆる「バルフォア宣言」をアーサー・バルフォアがウォルター・ロスチャイルドへ出したのは1917年11月のこと。イギリスは1920年から48年の間パレスチナを委任統治、ユダヤ人の入植を進めたが、1920年代に入るとパレスチナのアラブ系住民は入植の動きに対する反発を強めテいく。 そうした動きを抑え込むため、デイビッド・ロイド・ジョージ政権で植民地大臣に就任したウィンストン・チャーチルはパレスチナへ送り込む警官隊の創設するという案に賛成、アイルランドの独立戦争で投入された「ブラック・アンド・タンズ」のメンバーを採用した。この組織はIRA(アイルランド共和国軍)を制圧するために設立されたのだが、そのメンバーは殺人、放火、略奪など残虐さで有名だった。 そして1936年から39年にかけてパレスチナ人は蜂起する。アラブ大反乱だ。1938年以降、イギリス政府は10万人以上の軍隊をパレスチナに派遣する一方、植民地のインドで警察組織を率いていたチャールズ・テガートをパレスチナへ派遣、収容所を建設する一方、残忍な取り調べ方法を訓練した。イギリス軍はパトロールの際、民間のパレスチナ人を強制的に同行させていたともいう。 反乱が終わるまでにアラブ系住民のうち成人男性の10パーセントがイギリス軍によって殺害、負傷、投獄、または追放された。植民地長官だったマルコム・マクドナルドは1939年5月、パレスチナには13の収容所があり、4816人が収容されていると議会で語っている。 シオニストはパレスチナから先住民を追い出し、イスラエルなる国を建てるため、1948年4月4日に「ダーレット作戦」を発動、ハガナに協力する形でテロ組織のイルグンとスターン・ギャングは9日にデイル・ヤシン村を襲撃、その直後に村へ入った国際赤十字のジャック・ド・レイニエールによると、村民254名が殺され、そのうち145名が女性で、そのうち35名は妊婦だった。 イギリスの高等弁務官を務めていたアラン・カニンガムはパレスチナに駐留していたイギリス軍のゴードン・マクミラン司令官に殺戮を止めさせるように命じたが、拒否されてしまう。ハガナもイルグンとスターン・ギャングを武装解除しようとはしない。(Alan Hart, “Zionism Volume One”, World Focus Publishing, 2005) この虐殺を見て多くのアラブ系住民は恐怖のために逃げ出し、約140万人いたパレスチナ人のうち5月だけで42万3000人がガザ地区やトランスヨルダン(現在のヨルダン)に移住、その後、1年間で難民は71万から73万人に達したと見られている。イスラエルとされた地域にとどまったパレスチナ人は11万2000人にすぎなかった。そしてイスラエルの建国が宣言されたのだ。 建国するためには「国民」が必要。そこで、イスラエルの建国を目指していたシオニストはヨーロッパから連れてくる計画を立てる。そこでシオニストは1933年8月25日、ドイツのナチス政権とユダヤ人をドイツからパレスチナへ移住させる目的でハーバラ協定を締結している。 しかし、1938年11月にドイツでナチスがユダヤ系住民を襲撃、多くの人が殺され、収容所へ入られ始めるが、この「水晶の夜」以降もユダヤ人はパレスチナへ向かわず、アメリカやオーストラリアを目指した。後にシオニストはイラクなどに住むユダヤ人を移住させるため、爆弾テロを実行している。 バルフォア宣言のアーサー・バルフォアは当時、イギリスの外務大臣だった人物。そのイギリスでは1656年にイスラエルを建国すると宣言されている。 イングランドのジェームズ6世(イングランド王ジェームズ1世)はアングロ・サクソンをユダヤ人の「失われた十支族」の後継者だと信じ、自分はイスラエルの王だと信じていたが、ピューリタン革命を率いたオリバー・クロムウェルの私設秘書だったジョン・サドラーも同じように考えていた。サドラーも1649年に作成されたパンフレット『王国の権利』の中でイギリス人はイスラエルの失われた部族のひとつであり、ユダヤ人と同族であると主張、クロムウェルも同じような考えだった。 クロムウェルの聖書解釈によると、世界に散ったユダヤ人はパレスチナに再集結し、ソロモン神殿を再建することになっていた。この解釈に基づいて彼は政権を樹立し、1656年のユダヤ人のイングランド定住禁止令を解除、パレスチナにイスラエル国家を建国することを宣言したのだ。 これがシオニズムの始まりだが、ピューリタン体制が倒されるとシオニズムは放棄され、クロムウェルを支持する人びとの一部はアメリカへ亡命、ジョージ・ワシントン、トーマス・ジェファーソン、ベンジャミン・フランクリンらはその後継者だと主張したという。 イスラエルは欧米のシオニストと連携し、パレスチナで民族浄化を進めているが、その先には大イスラエル構想、つまり西アジア全域をイスラエルに支配させようという計画がある。今年2月28日にアメリカ軍とイスラエル軍がイランを騙し討ちにして最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師やアブドルラヒム・ムサビ参謀総長を含むイランの要人を殺害、態勢を転覆させて国を乗っ取ろうとしたのもそのためだ。 イギリスの私的権力は19世紀からロシア征服を目論んできたが、その勢力のネットワークはアメリカにも広がっている。9月16日にはアメリカ下院で「リンジー・O・グラハム対ロシア・イラン制裁法2026」が可決された。ロシア産の石油や天然ガスへの依存度を下げるため、最大100%の関税を課す権限、そしてイランへの制裁を拡大する権限アメリカ大統領に認めるというものだ。 対ロシア戦争にしろ、対イラン戦争にしろ、アメリカが戦争を仕掛けたことは本ブログで繰り返し書いてきた。欧米の私的権力は簡単に勝てると思い込んでいたようだが、いずれも敗北は避けられない。ネオコンやその従属者は「脅せば屈する」という信仰から抜け出せなくなっているようだが、脅しは中国やインドを含む他の国々の反米感情を高めることになっている。脅しても無駄な相手を脅そうとして自分たちの置かれた状況を悪くしているのだ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.18

サウジアラビア当局はヨーロッパの顧客に対し、9月後半に積み込む予定だった原油の一部をキャンセルすると通知したという。サウジアラビアはペルシャ湾に面したアブカイクからアラビア半島を横断、航海のヤンブーを結ぶ東西石油パイプラインを建設していたが、そのパイプラインが攻撃されたことが原因のようだ。パイプラインの修理には3から5週間が必要で、その間は稼働できない。サウジアラビアは現在、石油を輸出できない状態にあるようだ。 サウジアラビアはパイプラインに対する攻撃について、イラク政府は使用されたドローンがイラク領内から飛来したことを認めている。イラクのシーア派民兵組織であるハシュド・アル・シャアビが発射したドローンが石油ポンプ施設を破壊したとされているが、真相は明確でない。 バブ・エル・マンデブ海峡南部が封鎖されたことからサウジアラビアは石油をスエズ運河から運び出さざるをえないが、この運河は超大型原油タンカーが航行できない。 イエメンによる今回の攻撃は、7月13日にサウジアラビアがイエメンのサヌア国際空港での出来事に起因している。アヤトラ・アリ・ハメネイ師の葬儀に出席したイエメンの代表団を乗せた航空機が同空港に着陸しようとした際、その航空機をサウジアラビアが攻撃したのだ。アンサール・アッラーはサウジアラビアに対して報復すると発表した。 追い詰められたサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子はドナルド・トランプ大統領に対し、軍事支援を求めて1日に2度電話をかけたものの、即座に拒否されたと言われている。ただ、100人から200人のアメリカ軍の顧問がサウジアラビアへ派遣され、イエメンにおける情報収集や標的選定に協力しているという。 アンサール・アッラーの支配地域はイエメン全土の3分の1だが、人口の約80%がそこに住んでいる。残りの地域を支配する「国際的に承認されたイエメン政府」はサウジアラビアが作り、そのサウジアラビアやアラブ首長国連邦の傭兵に支配されている。アンサール・アッラーが事実上のイエメン政府なのだ。 そのアンサール・アッラーは要衝モカを制圧した後、バブ・エル・マンデブ海峡の最も狭い場所にあるマイユーン島(ペリム島)を制圧。そして東西石油パイプラインが破壊されたわけである。バブ・エル・マンデブ海峡の通過も困難になり、供給の逼迫は避けられない。 こうした事態になった理由は、サウジアラビアの王位継承者で事実上の統治者であるムハンマド・ビン・サルマンがアンサール・アッラーを過小評価し、自国の実力とアメリカの後ろ盾を過大評価した結果だと言えるだろう。 アメリカのニュース・サイト「Axios」によると、アメリカ中央軍(CENTCOM)が主催、イスラエル、アラブ首長国連邦、バーレーン、クウェート、カタール、ヨルダン、エジプト、そしてサウジアラビアの軍参謀長らがドイツで秘密会議を開き、イランとの戦争のほか、イエメンとサウジアラビアの軍事衝突に対するイスラエルの支援について協議したという。 アンサール・アッラーとの戦闘で圧倒されているサウジアラビアはアメリカに支援を要請して断られたと伝えられているが、イスラエルでの放送によると、アメリカの要請を受けてイスラエルがアンサール・アッラーに関する情報をサウジアラビアに提供するようになったという。サウジアラビア、トルコ、パキスタンの相互防衛協定についてイスラエルの治安当局は「紙切れほどの価値もない」としているようだ。 イランの攻撃でイスラエルのテルアビブやハイファ、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)近辺が攻撃されたほか、カタールのアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地、サウジアラビアのリヤドにあるプリンス・スルタン空軍基地、ヨルダンのムワファク・アル・サルティ空軍基地、クウェートにあるふたつの基地などが破壊された。 そこでアメリカ軍が西アジアから撤退するのではないかと言われているが、CENTCOMのチャールズ・クーパー司令官は会議の席上、撤退の意図はないと強調していたというが、バーレーンにあった第5艦隊の基地はアメリカ海軍の艦船にミサイルや食糧を補給する重要な場所で、ここが破壊されたことから補給が困難になり、活動が困難になった。 イランからの攻撃を受け、アメリカ軍はヨルダンの基地へ移動したのだが、イランのIRGC(イスラム革命防衛隊)はヨルダンのムワファク・サルティ空軍基地などを攻撃、ロイターによると、ムワファク・サルティ基地に対する攻撃で1機のA-10サンダーボルトIIが翼を失うなどの損傷を受け、約8機のF-15が軽微な損傷を受けたという。アメリカ軍基地はヨルダンを守るどころか、攻撃の標的になっている。しかもヨルダンは国内に不安定要因を抱えている。人口の推定55から70%はパレスチナ系であり、昨年の失業率は21.4%だ。西アジアの情勢が短期間のうちに安定化する可能性は小さい。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.17

ロシア軍の自爆型ドローンが9月13日、ウクライナのヤヒドネ駅にいた列車に命中した。この駅はポーランドとの国境から約2キロ離れた場所にある。オデッサなどウクライナ南部の港がロシア軍の攻撃で封鎖されている現在、鉄道は重要な輸送手段。本ブログでも繰り返し書いてきたが、ロシア軍はオデッサをはじめ黒海に面したウクライナ南部の港を封鎖、黒海を回避した輸送ルートのドナウ川に面したレニ港やイズマイル港も破壊、そしてキエフとワルシャワを結ぶ鉄道を攻撃したわけだ。ポーランドのブワディスワフ・コシニャク-カミシュ国防相によると、同国への領空侵犯はなかった。 ウクライナ側の発表によると、監視担当者がドローンの接近を察知して乗務員に警告、乗員乗客は避難していたので死傷者は出なかったという。西側の大手メディアが騒いでいるのは、その列車の前に駅を出発していた列車にボリス・ジョンソン元英首相、ドイツ首相の外交政策顧問を務めるギュンター・ザウター、さらに連邦議会議員や数名のEU国家安全保障顧問が乗っていたということ。また攻撃があった時、デビッド・ペトレイアス元CIA長官はウクライナの税関を通過中だったと伝えられている。 西側の大手メディアはロシア軍がジョンソンとペトレイアスを狙ったと主張しているようだが、狙っているなら監視しているはずで、列車を間違えるはずがない。ロシアとの戦争を主張している欧米の要人を脅した可能性はある。 ロシアは海上だけでなく陸上の輸送ルートも遮断、ウクライナの兵站線を断ち切りつつあるが、その影響は市民にも及ぶ。これから冬を迎えるわけで、事態は深刻だが、西側の「エリート」たちは気にしていないようだ。 こうしたエリートは「全知全能のアメリカ」を崇め、従属することで自らの富と地位を築いてきたことから、アメリカが劣勢にあるという事実を受け入れることができない。 ウクライナでの対ロシア戦争、そして西アジアでの対イラン戦争はエネルギー資源や食糧の流通を遮断し、サプライ・チェーンを混乱させた西側を拠点とする強大な私的権力は大儲けしている。 この私的権力はこうした戦争を引き起こす前に「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)」騒動を仕掛けていた。その目的のひとつはサプライ・チェーンの混乱だったのだが、その目的を実現させたとは言い難かった。それを戦争によって実現したと言えるだろう。 しかし、西側の私的権力はウクライナでロシアに敗れ、西アジアでイランに敗れつつある。帳簿に書き込まれた数字は膨らんでも資源や食糧を失い、欧米の製造能力は低下している。特にアメリカの社会は惨憺たるもので、工場をアメリカ国内に建設しても能力のある労働者や技術者を見つけることが難しい。労働者や技術者をAIロボットで代用しようとしても限界がある。 アメリカ人の知的なレベルが低下したことが原因だが、そうした事態を生み出したのは公教育が崩壊したからだ。公教育を再建するためには誰でも適切な教育を受けられねばならず、不公正な社会システムを直す必要がある。そのためには富が偏在しないような社会システムを築く必要があるのだが、アメリカの政策は富を偏在させる強者総取りを目指している。しかも、その「強者」が有能でない。そうしたアメリカを追いかけているのが西側諸国であり、その歪みが自らの弱体化を招いた。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.16

9月13日が投票日だった沖縄県の知事選挙で前那覇市副市長の古謝玄太が現職の玉城デニーを破り、当選した。アメリカ軍普天間飛行場を名護市の辺野古へ移設という計画を古謝は容認するとしているが、アメリカ軍が推進してきた計画は辺野古への移設でなく、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)による中国包囲だ。この中国包囲計画は玉城知事の時代を含め、粛々と進められ、自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設し、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。 普天間飛行場を移設するという話は1995年9月にアメリカ兵3名が少女に性的な暴行を加え、基地内へ逃げ込んだ。アメリカ軍はその兵士を拘束したものの、「日米地位協定」に基づいて日本側へ引き渡そうとしなかったため、県民の怒りが爆発、その怒りを抑えるために「SACO最終報告」がまとめられ、出てきた話だ。 このタイミングはアメリカの国防総省にとって衝撃的だっただろう。ソ連が消滅した直後の1992年2月、国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツが中心になり、DPG(国防計画指針)の草案が作成された。いわゆるウォルフォウィッツ・ドクトリンである。 ウォルフォウィッツが属すネオコンは以前からアメリカの軍事や外交をコントロールしていたが、ソ連の消滅でアメリカが「唯一の超大国」になったと彼らは認識、ドクトリンの中で新たなライバルの出現を防ぐと宣言している。 ネオコンは日本も潜在的なライバルだと認識、弱体化させようとするのだが、その一方でDPGはドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設する、つまりドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げると謳っている。日本人とドイツ人を戦闘奴隷にするということだろう。 1993年8月に成立した細川護煕政権は国連中心主義を打ち出して抵抗、94年4月に倒された。同年6月から自民党は社会党やさきがけを巻き込んで連立政権を樹立、抵抗したが、それに対して1995年2月にジョセイフ・ナイが「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表してアメリカの政策に従うように命令、このタイミングで日本を震撼させる出来事が相次いだ。 つまり、1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布された。(地下鉄サリン事件)松本サリン事件の翌月に警察庁長官は城内康光から國松孝次へ交代したが、その國松は地下鉄サリン事件の直後に狙撃されている。 1995年8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われているスターズ・アンド・ストライプ紙に85年8月12日に墜落した日本航空123便に関する記事を掲載、墜落の際に自衛隊が不適切なことを行なったと示唆したが、これも日本政府に対する脅しだろう。こうした出来事と並行する形で証券スキャンダルや銀行スキャンダルが発覚、大蔵/財務官僚はアメリカに屈服、田中角栄の懐刀と言われた後藤田正晴は1996年に政治の第一線から退いた。アメリカ国防総省は1990年代後半から日本に戦争の準備を本格化させるつもりだったのだろう。 アメリカ兵3名による犯罪が沖縄県民の怒りを爆発させて事態は急変するのだが、2001年4月に小泉純一郎が総理大臣に就任、「RANDコーポレーション」の報告書にもあるように、戦争の準備はそれでも進む。 南西諸島に軍事施設が建設され始める直前の2014年、アメリカのバラク・オバマ大統領はロシアのINF(中距離ミサイル全廃条約)違反を主張、19年にはドナルド・トランプ大統領がこの条約から正式に離脱し、ロシアは2025年にINF条約を遵守しないと発表。そこからロシアは急ピッチで兵器を開発、今ではアメリカを質の面でも量の面でも圧倒している。ロシアの防空システムが優れていることは2017年と18年にアメリカ軍主導で実行されたシリアへのミサイル攻撃で証明され、22年に始まったウクライナにおける軍事衝突ではNATO軍がロシア軍に刃が立たないことが明確にされた。 そうした中、アメリカは日本を戦争へと引き摺り込もうとしている。2024年3月には陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊を一元的に指揮する常設組織として「統合作戦司令部」が編成されたが、この仕組みは自衛隊をアメリカ軍の指揮下に置くことが目的だと考えられている。 沖縄が軍事基地かされるのは1950年代のことだ。アメリカ軍は「銃剣とブルドーザー」で土地を強制接収、今でも基地は島民を苦しめている。1953年4月に公布/施行された布令109号「土地収用令」に基づき、武装米兵が動員された暴力的な土地接収で、55年の段階で沖縄本島の面積の約13%が軍用地になっている。 こうした沖縄の軍事基地化はアメリカの先制核攻撃計画と無関係ではない。1955年頃にアメリカが保有する核兵器の数は2280発に膨らみ(Annie Jacobsen, “Area 51”, Little, Brown, 2011)、57年になるとアメリカ軍の内部でソ連に対する先制核攻撃を準備しはじめ(James K. Galbraith, “Did the U.S. Military Plan a Nuclear First Strike for 1963?”, The American Prospect, September 21, 1994)、ドロップショット作戦が作成されている。(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012) こうした核攻撃計画に合わせ、アメリカではアレゲーニー山脈の中、ウエストバージニア州にあるグリーンブライア・ホテルの地下に「地下司令部」が建設された。いわゆるグリーンブライア・バンカーだ。1959年に国防総省が中心になって着工、62年に完成している。 テキサス大学のジェームズ・ガルブレイス教授によると、統合参謀本部のライマン・レムニッツァー議長やSACの司令官だったカーティス・ルメイなど好戦派は、1963年の後半にソ連を奇襲攻撃る予定だったという。その頃になればアメリカはICBMを配備でき、しかもソ連は配備が間に合わないと見ていた。ソ連が反撃するためにはアメリカの近くから中距離ミサイルを発射するしかない。そこでソ連はキューバへ中距離ミサイルを運び込み、キューバ危機になる。1962年10月のことだ。この危機を回避することに成功したジョン・F・ケネディ大統領は1963年11月22日に暗殺された。 そして現在。昨年7月26日に共同通信が報じたところによると、日米両政府は、東アジアで紛争が発生した際に米軍が核兵器を使用する可能性のあるシナリオについての交渉は2024年12月に始まったが、それは10年に開始された両国間の「拡大抑止」に関する協議の一環として行われているという。これも本ブログで繰り返し書いてきたが、日本が核兵器を開発している可能性は高い。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.14

ハマスを含むパレスチナ系武装グループが2023年10月7日にイスラエルを攻撃した。「アル・アクサの洪水」である。その攻撃に関する情報をイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は事前に把握、しかも隠蔽していたとイスラエルのハーレツ紙は報道した。 同紙によると、ネタニヤフ首相は攻撃の1週間半前、アラブ首長国連邦のハンマド・ビン・ザイード大統領から電話で警告されていたのだが、何も行動を起こさなかったという。ビン・ザイードの電話会談は45分間にわたり、その中でハマスのガザ地区指導者がイスラエルに対する大規模な作戦を計画していると警告したのだが、その警告を首相は安全保障当局者へ伝えなかったというのだ。またイスラエル政府はエジプトの情報機関からもハマスによる攻撃が迫っていると警告されていたとハーレツ紙は伝えている。 この攻撃で約1400名のイスラエル人が死亡したとされているが、当時のハーレツ紙による報道によると、イスラエル軍は侵入した武装集団を壊滅させるため、選挙された建物を人質と一緒に砲撃で破壊したという。イスラエル市民をイスラエル軍は殺害したということだ。そしてイスラエル軍はハマスの攻撃を口実にしてガザ住民の大量虐殺を始めた。 ネタニヤフ首相は攻撃の直後、「われわれの聖書(キリスト教における「旧約聖書」と重なる)」を持ち出した。聖書の中でユダヤ人の敵だとされている「アマレク人があなたたちにしたことを思い出しなさい」(申命記25章17節から19節)という部分を引用、「アマレク人」をイスラエルが敵視しているパレスチナ人に重ねてみせたのだ。 サムエル記上15章3節には「アマレクを討ち、アマレクに属するものは一切滅ぼし尽くせ。男も女も、子供も乳飲み子も牛も羊も、らくだもろばも打ち殺せ。容赦してはならない。」と書かれている。「アマレク人」を家畜と一緒に殺した後、「イスラエルの民」は「天の下からアマレクの記憶を消し去る」ことを神は命じたとされている。これこそがガザやレバノンでイスラエルが行ってきたことだというわけだ。 ネタニヤフ首相はハマスによる攻撃を事前に知っていただけでなく、イスラム教徒を挑発していた。イスラムの聖地であるアル・アクサ・モスクに対して冒涜的な行為を繰り返していたのだ。 例えば今年4月1日、イスラエルの警察官はイスラム世界で第3番目の聖地だというアル・アクサ・モスクの入口でパレスチナ人男性を射殺、4月5日にはイスラエルの警官隊がそのモスクに突入し、ユダヤ教の祭りであるヨム・キプール(贖罪の日/今年は9月24日から25日)の前夜にはイスラエル軍に守られた約400人のユダヤ人が同じモスクを襲撃、そしてユダヤ教の「仮庵の祭り」(今年は9月29日から10月6日)に合わせ、10月3日にはイスラエル軍に保護されながら832人のイスラエル人が同じモスクへ侵入している。ユダヤ教徒の一部はアル・アクサ・モスクを破壊し、「第3神殿」を建設するべきだと主張していた。 その後、イスラエルはガザで民族浄化作戦を展開したが、その犠牲者がどの程度は明確でない。多くが瓦礫の下に埋もれ、それをイスラエル側は運び去っているが、これは事実を隠すことが目的だろう。 ネタニヤフ首相はウラジミール・ジャボチンスキーが1925年に結成した「修正主義シオニスト世界連合」の流れを汲む。ジャボチンスキーは1940年にアメリカで心臓発作のために死亡したが、アメリカ時代に彼の秘書を務めていたベンシオン・ネタニヤフはベンヤミン・ネタニヤフの父親にほかならない。その後、ジャボチンスキー派は1970年代に福音派キリスト教徒、キリスト教原理主義者、あるいは聖書根本主義者と呼ばれているグループに支援されて勢力を拡大させた。 ガザでの推定犠牲者数はいくつか示されている。医学雑誌「ランセット」は2023年10月7日から24年6月30日までの間にガザで外傷によって死亡した人数は6万4260人で、そのうち女性、18歳未満、65歳以上が59.1%だと推計する論文を発表した。 また、「ハーバード大学学長およびフェロー」のウェブサイト「データバース」に掲載されたヤコブ・ガルブの報告書では、イスラエル軍とハマスの戦闘が始まる前に約222万7000人だったガザの人口が調査時点では185万人に減少、つまり37万7000人が行方不明になっているとしている。死亡者の約4割が子どもであり、女性を含めると約7割に達するという推計を採用すると、殺害された子どもの数は15万人になる。 2023年10月7日にイスラエルと攻撃したハマスは1987年12月にシーク・アーメド・ヤシンらによって創設された。ヤシンはムスリム同胞団の一員としてパレスチナで活動していた人物で、イスラエルの治安機関であるシン・ベトの監視下、1973年にムジャマ・アル・イスラミヤ(イスラム・センター)を、そして76年にはイスラム協会を設立。そしてハマスは1987年にイスラム協会の軍事部門として作られた。 イスラエルがハマスを創設した目的は、PLO(パレスチナ解放機構)の中心的な組織、ファタハ(パレスチナ民族解放運動)を率いていたヤセル・アラファト対策のためだ。アラファトのライバルを育て、内部対立させることで運動を弱体化させようとしたのである。 しかし、時間が経過するにつれ、ハマスの内部にパレスチナ解放を目指そうというメンバーが増えてくる。元々のメンバーはカタールで保護されているが、パレスチナ解放を目指すメンバーはレバノンなどへ移動させられているようだ。 それでも、シーモア・ハーシュによると、2009年にネタニヤフは首相へ返り咲いた際、PLOでなくハマスにパレスチナを支配させようとした。そのため、ネヤニヤフはカタールと協定を結び、カタールはハマスの指導部へ数億ドルを送り始めたという。イスラエルとハマスとの関係は切れていないということだろう。 2019年3月にクネセト(イスラエル議会)のリクード党議員との会合でネタニヤフは「パレスチナ国家の樹立を阻止したい者はハマスを支援し、ハマスに資金を送金することを支持しなければならない」と語ったと伝えられている。 ネタニヤフはパレスチナで民族浄化を実行するだけでなく、「大イスラエル構想」も持っている。西アジア全域からイスラム教徒を追い出してイスラエルにしようと考えている。この計画はジャボチンスキーたちだけのものではなく、アメリカやイギリス、つまりアングロ・サクソンの支配者たちのものでもある。彼らは北アメリカやオーストラリアで先住民を虐殺し、自分たちが望む人びとを移住させ、自分たちの国を作り上げた。ウクライナでも先住のスラブ人が殺されているが、ロシアの反撃でアングロ・サクソン系の支配者は苦境に立っている。 アメリカ軍とイスラエル軍は「大イスラエル」を実現するため、2月28日にイランを騙し討ちにして最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師やアブドルラヒム・ムサビ参謀総長を含むイランの要人を殺害、態勢を転覆させて国を乗っ取ろうとしたが、失敗した。 外部の意向を受け、ウクライナにおける対ロシア戦争や西アジアの対イラン戦争をドナルド・トランプ政権内で指揮しているのはスティーブン・ミラー大統領次席補佐官と行政管理予算局のラッセル・ボート局長だと言われている。ネタニヤフが指揮しているわけではない。ウクライナやイランで敗北した責任を彼らはウォロディミル・ゼレンスキーとネタニヤフに負わせようとしている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.14
イギリスの対外情報機関MI6のエージェントだと言われているウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーは「ロシア領空を利用するすべての航空会社、すべての保険会社、そしてロシアの主要空港を利用するすべての人びと」に対し、「ロシアの空は完全に危険な状態になりつつある」と警告していると9月2日に報道された。こうした発言をするようにCIAが指示したのではないかと指摘したのはコリン・パウエル国務長官の首席補佐官を務めていたローレンス・ウィルカーソン退役大佐だ。 ゼレンスキーは航空機を撃墜させると宣言したわけだが、これに対してロシアのウラジミル・プーチン大統領はこの発言について「国家テロの宣言」に等しいと述べた。プーチンが主張する通り、ゼレンスキーの発言は「テロ宣言」だが、それほど彼は追い詰められているということだ。この「テロ宣言」後、ゼレンスキーはモルドバからノルウェーのオスロへ航空機で向かった。 憲法に従うと、ゼレンスキーは2024年5月が大統領の任期であり、それ以降、最高議会議長のルスラン・ステファンチュクが暫定大統領に就任していなければならない。もっとも、現在のウクライナ体制は2014年2月のクーデターで誕生したのであり、その出来事自体が憲法違反ということになる。その体制を西側諸国は承認したのであり、任期切れのゼレンスキーを大統領と呼ぶことにためらいはないのだろう。 この「国家テロの宣言」から3日後、アメリカ政府の特使を務めるスティーブ・ウィトコフとジャレッド・クシュナーがモスクワを訪問、プーチン大統領と会談したが、ふたりとの会談をロシア政府が受け入れたことを意外だと考えた人は少なくない。 ロシア政府の中でも慎重な発言をするセルゲイ・ラブロフ外相も8月14日に放送された番組の中で、アメリカはロシアに対する戦争の当事国であると発言。当然のことながら、ロシア深奥部への攻撃にワシントンは自分たちが認めている以上に深く関与していると彼も考えている。 モスクワでの会談後、ウィトコフとクシュナーは航空機でポーランドのジェシュフへ向かい、そこで列車に乗り換えてキエフへ訪れた。キエフの空港がロシア軍による爆撃で使えなかったようだ。8日にふたりはキエフを離れるが、その直後、ロシア軍はウクライナの主要都市に対するミサイルやドローンによる大規模な攻撃を再開した。 そして9月9日、ノルウェーのヨーナス・ガール・ストーレ首相はゼレンスキーの搭乗機がドローンと衝突しそうになったとNRK(ノルウェー国立放送)で語った。同首相はその情報源や接近の状況を彼は明らかにしていないが、モルドバ当局は問題のドローンが同国のキシナウ国際空港から100マイル(約160キロメートル)離れた地点で墜落・爆発したとしている。東京都から160キロメートルというと、静岡市あたりになる。ストーレ首相を含むEUの「エリート」が期待した結果をウィトコフとクシュナーのモスクワ訪問はもたらさなかったのだろう。 ウクライナを舞台にした戦争でロシア軍はNATO軍を圧倒、ヨーロッパの指導者はその流れを止めるために「停戦」で時間を稼ごうとしている。2014年9月と15年2月の停戦で合意、いわゆるミンスク1とミンスク2と同じことをして戦力を増強しようとしているが、ロシア政府は同じ轍を踏まない。そこでヨーロッパの指導者はウクライナ人をロシア軍に殺させながら戦争を継続している。彼らが最も恐れているのは「恒久的な平和」だ。 なぜそうしたことになるのかは、彼らの個人的な情報に触れると理解できる。彼らはアメリカのネオコン、つまりレオ・シュトラウスの思想を信奉していると見られているが、それだけではない。 例えば、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長の一族は貴族の家系で、ヒトラーの第三帝国との緊密な協力関係から工業的富の多くを獲得したと言われている。また、彼女の一族は奴隷売買で富を築いたが、こうした富や人脈が彼女の出世を支えている。 ウルズラ・フォン・デア・ライエンの父エルンスト・アルブレヒトは1930年生まれで、78年から90年までドイツのニーダーザクセン州で首相を務めているが、その際、ナチズムの信奉者を政権に迎え入れ、左翼赤軍派の信用を失墜させることを目的とした黒旗テロ作戦を実行した。 エルンストは選挙戦略のため、ネオ・ナチのDRP(ドイツ帝国党)をCDU(キリスト教民主同盟)に取り込み、ハンス・プフォーゲルを法務大臣に据えるのだが、この人物は1934年にナチ党の突撃隊に入隊していた。 EUの外務安全保障政策上級代表のカヤ・カラスは1977年、ソ連時代のエストニアで裕福な家庭に生まれた。彼女の父であるシーム・カラスは大学院を終えるとすぐにエストニア財務省の一般職員として採用され、4年でソ連貯蓄銀行のエストニア支店長に就任している。かなり優遇されていた。生活の恐ろしさについて嘆くような生活ではない。 カラスの祖父は1920年代から30年代にかけての時期、エストニア警察と民族主義の民兵組織を創設した指導者のひとりで、コミュニストに対する弾圧を行っていた人物。カヤ・カラスの母親は1949年、両親と共にクラスノヤルスへ送られているが、父親はエストニアにおけるナチスの軍事組織「オマカイツェ」のメンバーだったという。 また、フリードリヒ・メルツは巨大金融機関ブラックロックの元監査役で、彼の祖父は1933年からナチ党員で、突撃隊員。父親のヨアヒムは1941年頃にナチス・ドイツの統一軍であるドイツ国防軍に徴兵されている。ちなみに、エマニュエル・マクロン仏大統領はロスチャイルド銀行の出身だ。 ドイツの外務大臣を経て国連総会の議長に就任、9月に任期を終えた後にはアメリカのコロンビア大学で「グローバル・リーダーシップ」担当の教授に就くことが決まっているアンナレーナ・ベアボックの場合、彼女の祖父はドイツ軍の将校で、1944年に第三帝国最高位の軍事勲章のひとつとされる剣付戦功十字章を授与されている。 ビルト紙によると、軍歴記録には彼が「無条件の国家社会主義者」であり、アドルフ・ヒトラーの著書『我が闘争』を読み、「完全に国家社会主義に根ざした」人物であるされている。 また、イギリスの対外情報機関SIS(MI6)の長官を務めているブレイズ・メトレウェリの場合、彼女の父方の祖父にあたるコンスタンチン・ドブロボルスキーはソ連の赤軍から脱走、ドイツ占領下のウクライナでナチス親衛隊の戦車部隊へ入った人物。その後、コンスタンチンは憲兵隊へ入るが、その際、反ナチスの抵抗運動に参加していた数百人のウクライナ人を処刑したと自慢、「虐殺者」と呼ばれていたと伝えられている。 ナチの思想はゼレンスキー政権にも浸透している。2014年2月に成立したクーデター体制の主体はネオ・ナチ。ディア・ドゥルーリー教授に言わせると、ストラウスの思想は一種のエリート独裁主義で、「ユダヤ系ナチ」だ。(Shadia B. Drury, “Leo Strauss and the American Right”, St. Martin’s Press, 1997) ウクライナのネオ・ナチはドミトロ・ドンツォフとユーリ・リパの影響を受け、「真のウクライナ人」はスラブ人ではなくバイキング(ノルマン人)であるというもの。彼らには「モスクワ人」に体現された悪を根絶するという使命があり、最後の戦いで彼らを倒すだという。この考え方はナチ、その母体になったトゥーレ協会に近い。 こうした背景を理解しなければ、ロシアが今後、どのように動くかを予測できない。歴史を少しでも調べれば、アメリカやイギリスの金融資本、いわゆるウォール街やシティがナチのスポンサーだったということもすぐにわかる。この勢力は第2次世界大戦の続きを戦っているつもりなのだろうが、返り討ちに合いそうだ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.13

イエメンのアンサール・アッラー(フーシ派)はモカに続き、バブ・エル・マンデブ海峡の最も狭い場所にあるマイユーン島(ペリム島)を制圧したと伝えられている。そのほか「イエメン政府」が支配していた主要都市も陥落しているようだ。 西側がイエメン政府と呼んでいる集団はアデンを臨時の首都にしている大統領指導会議で、この政府のメンバーはサウジアラビアのリヤドにある高級ホテルを拠点にしている。事実上、アンサール・アッラーがイエメン政府だ。 サウジアラビアはイランが管理しているホルムズ海峡を避けるため、東西石油パイプラインでアラビア半島を横断して紅海に面したヤンブーへ運んでいたが、そのパイプラインが爆破された可能性がある。地球観測用大型衛星シリーズのセンチネル3が撮影した衛星画像を見ると、パイプラインの近くで全長100km近い黒煙の帯が確認でき、NASAの火災監視システムは複数の熱異常を報告している。石油の供給がこれまで以上に厳しくなりそうだ。 イランのIRGC(イスラム革命防衛隊)はイスラエルに隣接したヨルダンにあるムワファク・サルティ空軍基地などを攻撃、ロイターによると、ムワファク・サルティ基地に対する攻撃で1機のA-10サンダーボルトIIが翼を失うなどの損傷を受け、約8機のF-15が軽微な損傷を受けたという。 攻撃は3波あり、第1波では数十機から100機の迎撃ミサイルが発射されたが、命中したのは1割未満だと見られている。第2波や第3波では発射されなかった。アメリカ軍の防空能力が脆弱であることを改めて示すことになった。この攻撃でイランは電子的撹乱が不可能な光学的誘導方式の中距離弾道ミサイル「カセム・バシール」を使用したとされている。 ドナルド・トランプ米大統領はアメリカ軍兵士200名、軍事顧問100名をアンサール・アッラー対策として派遣したが、それ以上のことは拒否したようだ。対イラン戦争や対ロシア戦争で敗北しつつあるアメリカとしては、新たな戦端を開くことはできないだろう。最優先事項はイスラエルを防衛することだ。 バラク・オバマ政権が2014年2月、キエフでネオ・ナチを使ったクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒して始めた対ロシア戦争も戦況は厳しく、ロシアの勝利は決定的だ。トランプはウクライナでの戦争から距離を置こうとしているが、CIAはMI6と同様、戦争の中心的な存在だ。 2019年5月に大統領となったウォロディミル・ゼレンスキーはロシアを飛行する民間航空機をドローンで攻撃すると演説した。「テロ宣言」だが、それだけ追い詰められているということにほかならない。 ゼレンスキーがイギリスの対外情報機関MI6の指揮下にあることは本ブログでも繰り返し書いてきたが、コリン・パウエル国務長官の首席補佐官を務めていたローレンス・ウィルカーソン大佐はCIAに言わされた可能性を指摘している。 MI6はシティ(イギリスの金融界)が作り上げた組織であり、CIAはウォール街(アメリカの金融界)が作り上げた組織。CIAの前身であるOSSを組織する際、MI6は教官役を務めた。言うまでもなくシティとウォール街は緊密な関係にある。CIAやMI6は金融機関が国を監視すると同時に操るための機関だ。 イングランドはエリザベス1世の時代(1558年から1603年)、スペインやポルトガルはラテン・アメリカなどを侵略し、財宝や資源を略奪してヨーロッパへ運んでいたが、その船を海賊に襲わせて富を築いた。北西ヨーロッパの「文明」とはそのようにして築かれたのだ。そして19世紀になると、米英金融資本はロシアを征服し、西アジア全域を支配、中国では富を略奪しようとする。 イギリスは19世紀に中国(清)にアヘン戦争を仕掛けて略奪したものの、地上部隊が弱体で略奪しきれなかった。それを引き継いだのはイギリスの支援を受けた日本にほかならない。日本は琉球を併合、台湾へ派兵、江華島事件から朝鮮半島への侵略を開始、日清戦争、日露戦争を経て満州国を築き、南京攻略以降、財宝の略奪作戦を本格化させた。 アメリカのネオコンは1992年2月の段階で日本を自国の戦争マシーンに組み込むことを宣言、95年から日本の軍事化が急速に進んだ。アメリカ軍はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲するという計画を立て、その計画にしたがって自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。中国との関係を壊し、台湾と連携しようとしている。韓国が思い通りにならないこともかつてと似ている。 決定的に違うことは、中国とロシアが万全の体制で待ち受けていること。経済力も軍事力も急成長している朝鮮も存在している。このまま戦争になると日本は壊滅だが、アングロ・サクソンにとって日本、韓国、台湾、フィリピンはウクライナと同様、捨て駒にすぎない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.12

イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)がアメリカ海軍の艦船に対する攻撃を強める一方、イエメンを支配、事実上の政府として機能しているアンサール・アッラー(フーシ派)は要衝モカを制圧、バブ・エル・マンデブ海峡に近づいていると伝えられている。 ドナルド・トランプ大統領の主張はアメリカ軍がホルムズ海峡を管理しているとしているが、実際はイラン。バブ・エル・マンデブ海峡がイランの同盟者であるアンサール・アッラーの管理下に入ったなら、原油の供給に対するイランの影響力は強まる。 これまでアメリカや中国の備蓄で原油相場は抑えられていたが、それも限界に近づきつつあり、相場は上昇し始めた。海峡の航行制限が終わっても、技術的な面から供給能力を回復するためには時間が必要。こうした事情をアメリカ政府も理解しているはずだが、石油などの供給再開に熱心でない。 トランプ大統領は原油価格の上昇を気にしていないが、「大イスラエル構想」の実現は譲らない。この構想はアメリカやオーストラリアと同様、アングロ・サクソンの支配者が昔から行ってきた戦略である。 イランが管理しているホルムズ海峡では、アメリカの水中ドローンDIVE-LDがIRGCに鹵獲された。CENTCOM(アメリカ中央軍)もDIVE-LDが奪われたことを認めているが、アメリカにとって特段の価値があるものではなと主張、旧式だとも強調している。 しかし、このドローンが運用を開始されたのは2024年。この水中ドローンは監視/機雷探知/海底マッピング/点検用で、今回の対イラン戦争では極秘の機雷除去作戦の一環として投入されている。イランの技術者はDIVE-LDを逆解析し、独自のバージョンを製造する可能性があると言われている。実際、そうしたことを空中ドローンで行った。ロシアや中国へも情報を提供するだろう。 IRGCはアメリカ軍によるララク島や原油タンカーへの攻撃に対する報復として西アジアにあるアメリカ軍基地に対する攻撃を続けているのだが、ここにきて注目されているのはヨルダンにあるムワファク・サルティ空軍基地などに対する攻撃だ。 アメリカ側はイランが発射した多くの弾道ミサイルを迎撃、基地に深刻な被害はないとしていたが、インターネットで流れている映像を見ると迎撃できていない。 ロイターによると、ムワファク・サルティ基地に対する攻撃で複数のアメリカ軍機が損傷、その中にはA-10サンダーボルトIIが1機、翼を失うなどの損傷を受け、約8機のF-15が軽微な損傷を受けたという。 攻撃は3波あり、第1波では数十機から100機の迎撃ミサイルが発射されたが、命中したのは1割未満だと見られている。第2波や第3波では発射されなかった。アメリカ軍の防空能力が脆弱であることを改めて示すことになった。 ヨルダンにある基地への攻撃が注目されているのは、ここがイスラエルを防御する最後の砦だからである。ここが無力化されるとイスラエルは無防備だ。アフマド・アル-シャラア(アブ・モハメド・アル-ジュラニ)政権下のシリアは今回、イランの発射したミサイルに対して迎撃ミサイルを発射していた。イスラエル軍がシリアに撃ち込むミサイルには無反応であるにもかかわらず、イスラエルのためいには戦うわけで、自分たちの本性を見せたとも言える。 アル-ジュラニはハヤト・タハリール・アル・シャム(HTS)を率いていたが、この戦闘集団はその前、アル・ヌスラ戦線と呼ばれていた。その前身はAQI(イラクのアル・カイダ)、つまりアル・カイダ系だ。アル-シャラアはダーイッシュの幹部でもあった。本ブログでは繰り返し書いてきたが、アル・カイダはズビグネフ・ブレジンスキーが1970年代に作った傭兵の登録リストだ。 HTSの雇い主はトルコだと言われているが、アル-ジュラニの背後にはイギリスの顧問がいる可能性が高く、声明文の語学的な分析からアメリカの情報機関、CIAも関係していると推測されている。 HTSはズビグネフ・ブレジンスキーが1970年代に作った傭兵の登録リスト、いわゆるアル・カイダから出てきたわけで、アメリカやイギリスの影響を受けていても不思議ではない。HTS、そして現在のシリア体制がイスラエルに対して友好的な姿勢を見せ、パレスチナ人が虐殺されていることを気にしていないのは必然だ。ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)を含むアル・カイダ系武装集団はこれまでイスラエルと戦っていない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.11

ジョージ・W・ブッシュ政権がスタートした2001年9月11日、ニューヨークの世界貿易センター(WTC)とバージニア州アーリントンにある国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された。航空機が激突したセンターのサウス・タワーとノース・タワーだけでなくWTCの7号館も爆薬を使った解体のように建物は崩壊、ペンタゴンでは建物を大きく回り込み、反対側から突入したとされるが、防空ミサイルは発射されず、旅客機の残骸は見当たらなかった。最後は超低空で飛行したはずだが、街灯がなぎ倒されるようなこともなかった。 この時、4機の旅客機がハイジャックされたことになっている。ボストンのローガン空港を飛び立ったAA(アメリカン航空)11便とUA(ユナイテッド航空)175便がWTCの2タワーに激突、ワシントン近郊のダレス国際空港を飛び立ったAA77便がペンタゴンへ突入し、ニューヨークのニューアーク空港を離陸したUA93便はピッツバーグとワシントンとの中間で墜落したとされている。 AA11がルートを外れたのは8時20分、ノース・タワーへ突入したのは8時46分。UA175は8時42分にルートを外れ、サウス・タワーに激突したのは9時3分。FAA(連邦航空局)はハイジャックされたと思われる航空機を26分間と21分間、それぞれ見守っていたことになり、この間にNORAD(北米航空宇宙防衛軍)も反応していない。NMCC(国家軍事指令センター)が機能しなかったとも言える。ノース・タワーは10時28分、サウス・タワーはその前、9時59分に倒壊している。 南北タワーの崩壊で3000名近い人が死亡したとされているが、難を逃れた人もいる。例えば、オディゴというイスラエルのインスタント・メッセンジャー・サービスの会社では社員2名が攻撃の2時間前に警告のメッセージを受け取っていた。これはイスラエルのハーレツ紙は伝えている。(Haaretz, September 26, 2001)またツイン・タワーにオフィスを持っていたイスラエルのジム・アメリカン・イスラエリ海運(後にジム統合海運)は攻撃の7日前、引っ越している。 NMCCの最高責任者は統合参謀本部議長で、当時はヘンリー・シェルトン大将。問題の時刻にシェルトンはヨーロッパへ向かう途中で、大西洋上にいた。そこでリチャード・マイヤーズ副議長が指揮しなければならなかったのだが、この人物もペンタゴンにはいなかった。 防空システムが機能しなかった理由のひとつは、2001年6月頃に国防総省で出された命令にあるとも言われている。いかなる迎撃も国防長官(ドナルド・ラムズフェルド)の許可が必要だというのだ。9月11日にリチャード・チェイニー副大統領がNORADに対して迎撃を許可したのは10時31分のことだった。(Peter Dale Scott, “The Road To 9/11”, University of California Press, 2007) 当日やその直前、複数の軍事演習が行われていたことも防空システムを麻痺させる一因になっていた。例えば9月9日から11日にかけて実施されたNORADの「ノーザン・ビジランス(北の警戒)作戦」。そのため相当数の戦闘機がソ連軍の攻撃を想定してアラスカやカナダ北部へ派遣されていた。NORADは9月10日から14日にかけてロシア空軍が予定していた軍事演習を監視するため、戦闘機をアラスカやカナダ北部へ派遣していたともいう。 5月31日から6月4日に実施されたNORADの「アマルガム・バーゴ01」は巡航ミサイルでアメリカの東海岸が攻撃されるという設定になっていて、演習のシナリオの書かれた文書の表紙にはオサマ・ビン・ラディンの顔写真が印刷されていた。 6月22日から23日にかけてはアンドリュース空軍基地で天然痘を生物兵器とする攻撃をアメリカが受けたと想定する軍事演習が実施された。「ダーク・ウィンター」だ。演習の主体はジョンズ・ホプキンス市民生物防衛戦略センター、CSIS(戦略国際問題研究所)、ANSER(国土安全保障分析研究所)、MIPT(国立テロリズム防止オクラホマシティ記念研究所)だ。COVID-19騒動が引き起こされた後にも「ダーク・ウィンター」という用語が使われている。(Tara O’Toole, Michael Mair, & Thomas V. Inglesby, “Shining Light on “Dark Winter”,” Center for Civilian Biodefense Strategies, Johns Hopkins University, Baltimore, Maryland, 19 February 2002) 南北タワーの崩壊は不自然なものだったが、それ以上に奇妙なのは航空機が激突したわけでないWTC7号館だ。そのビルで働いていたニューヨーク市住宅局のバリー・ジェニングスと弁護士のマイケル・ヘスは最初の激突直後に階段で降り始めるのだが、8階へたどり着いたときに大きな爆発があった。そのとき南北タワーは崩壊していない。ただ、公式発表では爆発が否定され、ヘスは爆発があったとする当初の証言を取り消した。ジェニングスは2008年8月に直線道路を走行中に自損事故を起こして死亡した。 10時45分になるとCNNがWTCで「50階建てビル」が崩壊すると伝えたが、該当するビルは7号館しかない。16時54分になると、肩越しにWTC7が見える状態でBBCのジェーン・スタンドレーはWTC7が崩壊したとレポートしているのだが、実際に崩壊したのは17時20分だった。 このビルで最大のテナントだったのは金融機関のソロモン・ブラザースで、47階のうち37階を占めていた。それ以外には公的機関のOEM、シークレット・サービス、CIA、SEC、国防総省、IRS、FEMAが入っていた。その結果、多くの重要な資料が失われることになる。SECが保管していた資料の中にはシティ・グループとワールドコム倒産の関係を示すもの、「ジョージ・W・ブッシュの財布」とも言われたエンロンの倒産に関するものも含まれていた。(George W. Grundy, “Death of a Nation,” Skyhorse, 2017) ペンタゴンへ向かう飛行物体をダレス空港の管制官は速度などから軍用機だと判断、ペンタゴンの近くに住む人は戦闘機の爆音に似ていたと証言、スペース・ニューズの編集者であるロン・レインズは巡航ミサイルだと言い切り、自動車で近くを通りかかって目撃した人も巡航ミサイルのようだったと証言している。(David Ray Griffin, “The New Pearl Harbor”, Olive Branch Press, 2004) WTCのビル倒壊の原因は明確でない。ビルの鉄骨が溶解するには摂氏1500度まで上昇する必要があるのだが、WTCのケースでは900度前後にしかならず、火災が崩壊の原因だとは考えられない。ビルの構造と航空機の強度を考慮すると、航空機によって力学的に破壊されたという説明にも説得力はない。7号館の崩壊はさらに謎だ。(前掲書) 攻撃の前日、ラムズフェルド国防長官は2兆3000億ドルが行方不明になっているという試算があると発表しているが、これに関する調査は行われなかった。 航空機の激突でWTCが爆発、倒壊したとする話に疑問を持つ人の一部は1993年2月26日の爆弾テロに注目している。ノース・タワーの地下2階にあった駐車場に止めてあったトラックに積まれていた爆薬(硝酸尿素)が爆発、コンクリートを破壊して4階層に渡って幅30mの穴を空けているのだ。この大爆発でもタワーはびくともしなかった。 その後、タワーの警備が強化されるが、そこに治安コンサルタント会社のクロル・アソシエイツが関係する。この会社はCIAやイスラエルの情報機関モサドと緊密な関係にあり、ウォール街のCIAとも呼ばれてきた。 クロルは治安システムを改善するとして新しいシステムを設計、建設のために4社を雇っているが、いずれもサウジアラビアと関係が深い会社。また1994年から2000年にかけて、ACEエレベーターがWTCのエレベーター・システムを改良している。(George W. Grundy, “Death of a Nation,” Skyhorse, 2017) WTCの治安を担当したストラテセク社は1996年から2000年にかけて新しいビルの治安システムを導入するための工事が実施された。1993年から2000年にかけてマービン・ブッシュがこの会社の重役を務めている。この人物はジョージ・W・ブッシュの弟だ。 WTCで実施されたエレベーターや治安システムの工事は大規模なもので、数年にわたって建設作業が続いた。そうした工事を利用し、別の工事もできたはずだ。 サウス・タワーの90階、そして94から97階のフロアーにオフィスがあったフィデュシアリー・トラストで働いていたスコット・フォーブスによると、攻撃直前の9月8日から9日にかけて動力が落ちたという。50階から上は電力の供給がなくなり、監視カメラやドアのセキュリティ・ロックも機能しなくなったとしている。この故障を修理するために多くの技術者が荷物を携えてタワーに出入りしていた。この情報をフォーブスは9/11委員会を含む各方面に手紙で知らせたが、無視された。(George W. Grundy, “Death of a Nation,” Skyhorse, 2017) この出来事によってアメリカ国内はファシズム化し、国外では侵略戦争が本格化した。ジョージ・W・ブッシュ政権はアメリカの軍隊を投入したが、失敗。そこでバラク・オバマ政権はアル・カイダの仕組みを利用して傭兵部隊を編成、シリアやリビアなどへ軍事侵攻、ウクライナではネオ・ナチを利用して対ロシア戦争を始めた。 こうした話は拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』(三一書房、2005年)で書いた。その続編を2010年に出版する予定だったのだが、これは出版社側の事情で立ち消えになった。そこで、その一部を本ブログに反映させている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.10
アメリカ政府の特使、スティーブ・ウィトコフとジャレッド・クシュナーは9月5日にモスクワを訪問、ウラジミル・プーチン露大統領と会談した。対話のルートが維持されていることを示したものの、予想通り、中身はなかった。ふたりの特使は航空機でポーランドのジェシュフへ向かい、そこで列車に乗り換えてキエフへ訪れた。プーチン大統領はウィトコフとクシュナーの訪問に合わせ、キエフへの攻撃を3日間停止するように命じていたが、8日にふたりがキエフを離れた直後、ロシア軍はキエフに対するミサイルやドローンによる大規模な攻撃を再開した。 キエフに対する攻撃が停止される前、6日の段階で日本の電動工具大手、マキタの倉庫がロシア軍のドローン攻撃で炎上していたが、消火活動が行われていなかった。ウクライナ軍の弾薬が保管されているため、いつ爆発しても不思議ではなく、消防士が近づけないためだという。同社の現地法人は2022年2月24日から営業を停止していたとされているものの、そこを弾薬の保管場所にしていたようだ。 ウクライナにおける対ロシア戦争に直接加わろうとしている日本企業もある。その中核をなすとされているのは「日本ウクライナドローンクラスター」。この会社は日本企業とウクライナの軍事会社が連携して設立、在日ウクライナ商工会議所、大学、研究機関、そして地域の企業も参加するとされている。 東京を拠点とするテラドローン社はウクライナの迎撃ドローン開発企業のアメイジングドローン社と「戦略的投資」を含む資本提携および事業提携に合意、ヨーロッパのエアバス社は川崎重工業と対潜水艦戦用ドローンの開発に関する覚書を締結したと発表された。 また、アメリカの軍事企業アンドゥリル・インダストリーズは軍用ドローンを製造するため、日産自動車が閉鎖を予定している追浜工場の買収に向けて協議しているという。台湾もウクライナにおけるドローンの生産に協力している。 アメリカ政府の圧力で安価なロシア産の天然ガスや石油を断ち切ったドイツでは製造業が立ち行かなくなり、社会が崩壊しつつある。9月6日にザクセン-アンハルト州で実施された選挙ではフリードリヒ・メルツ首相が率いる対ロシア戦争の推進を主張するCDU(キリスト教民主同盟)が惨敗、戦争に反対しているアリス・ワイデルとティノ・クルパラが率いるAfD(ドイツのための選択肢)が躍進したベースはそこにあると言えるだろう。 ドイツの製造業が衰退している象徴は自動車会社のフォルクスワーゲン。エムデン工場とツヴィッカウ工場が2031年に、ハノーファー工場が32年に、そしてネッカーズルム工場が34年に閉鎖される予定だと伝えられている。 自動車の生産を2027年夏までに終了させると同社が2024年に決定していたオスナブリュック工場の場合、9月7日、ニーダーザクセン州およびアウレリウス・キャピタルと売却の可能性に関する合意に達した。アウレリウスが過半数の所有権を握り、ニーダーザクセン州も同施設に出資する。事実上、イスラエルの国営軍事企業であるラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズと協力するのだという。 ラファエルはミサイル防衛システム「アイアン・ドーム」を開発した企業だが、このシステムが機能しないことはイランが証明した。オスナブリュック工場では軍用車両、発射装置、発電機などが製造される見込みだ。この工場はナチス時代にも軍用機の部品を生産していた。 フォルクスワーゲンだけが安価なエネルギー資源を放棄したことで苦境に立っているわけではない。メルセデス・ベンツを含むヨーロッパの自動車メーカーはこぞって軍事分野に関心を持っている。この流れはアメリカを支配する私的権力の意向に沿うものだろう。 欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長はロシアを攻撃するための戦闘用ドローンの生産を統合する「歴史的な協定」をウクライナと締結、ロシアによる報復攻撃の脅威にさらされない「安全な」場所でヨーロッパ諸国がウクライナ向けの軍需品を生産するとしているが、ドイツは射程圏内である。 ウクライナでの戦争は代理戦争のステージは終わり、すでにNATO軍とロシア軍の戦いになっているが、NATO軍にはロシア軍に対抗する能力がない。「映え」を狙い、防御の甘い民間施設を攻撃して大手メディアの「勝利」のイメージを広めさせているが、現実の前には無力だ。 ウクライナ/NATOのドローンが枯渇してきたのか、ロシア軍はウクライナ軍を包囲する戦術を控えてきたようだが、ハリコフ州ではいくつものウクライナ軍部隊がロシア軍に包囲していると伝えられている。 アメリカとイスラエルによるイラン攻撃で西アジアからの石油が入手しにくくなり、ロシアの天然ガス輸入もアメリカに妨害されている日本でも同じことが引き起こされる可能性がある。「日本ウクライナドローンクラスター」もそうした流れの中で設立されたのだろう。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.09

ドイツのザクセン-アンハルト州で9月6日に実施された地方選挙の投票でフリードリヒ・メルツ首相が率いる対ロシア戦争の推進を主張するCDU(キリスト教民主同盟)が惨敗、戦争に反対しているアリス・ワイデルとティノ・クルパラが率いるAfD(ドイツのための選択肢)が躍進した。AfDが強い旧東ドイツの地方ということもあるが、ドイツ全体でも「二大政党」と呼ばれていたCDUやSPD(ドイツ社会民主党)に対する批判が強い。直前に大手メディアが展開した「ロシアの脅威」キャンペーンは効果がなかったようだ。 獲得した議席数はCDUが25議席減の15議席にとどまったのに対し、AfDは16議席増の39議席を獲得。AfDは第1党になったものの、過半数には達していない。ただ左翼党から分かれ、AfDと同じように戦争反対のBSW(ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟)が5議席を獲得、両党を合わせると過半数の44議席になる。ドイツの治安機関であるBfV(連邦憲法擁護庁)がAfDを「過激派政党」に指定していることを考えると、期待できるかもしれない。CDUと同じようにロシアとの戦争を煽ってきたSDUや緑の党は低迷、自由民主党は議席を獲得できなかった。 2021年12月にオラフ・ショルツ政権で外務大臣に就任し、22年8月31日に開かれた「フォーラム2000」で「ドイツの有権者がどのように考えようとも、私はウクライナの人びとを支援する」と発言、23年1月24日に「われわれはロシアと戦争している」とPACE(総州評議会議会)で言い放ったアンナレーナ・ベアボックが所属していたのは緑の党である。 こうした交戦的な言動が評価されたようで、ベアボックは2025年6月に国連総会の議長に選出された。議長の任期が9月に終了した後、アメリカのコロンビア大学で「グローバル・リーダーシップ」担当の教授に就くことが決まっている。 日本にはコロンビア大学のような「アイビー・リーグ」を「名門校」と崇める人が少なくない。こうした大学を卒業すると出世の道が開かれているとは言えるが、カネを出せば誰でも入れる学校だ。資産とコネがあれば相当愚かな人物でも入学が可能だ。 そうした大学へ入学させるためには私立の進学校へ子どもを通わせる必要があり、そうした進学校でも膨大な学費を支払わねばならない。そうした支出は中産階級にとって困難だ。荒廃が進んでいる公立の学校から大学へ進むことは困難だとも言われている。 トルーマン・カポーティは『叶えられた祈り』の中でウォール街で働いているディック・アンダーソンなる人物に次のようなことを言わせている。 「二人の息子を金のかかるエクセター校に入れたらなんだってやらなきゃならん!」(トルーマン・カポーティ著、川本三郎訳、『叶えられた祈り』、新潮文庫)「ペニスを売り歩く」ようなことをしなければならないというのだ。カポーテが生きていた時代は今に比べてマシだったはずだが、それでもアメリカの中で高い給料を得ているはずのウォール街で働く人でも教育の負担は重かった。 大学へは入れても授業料を支払うことが困難な学生は少なくない。少し前から話題になっているのは「シュガー・ベイビー」なるシステム。女子大学生(シュガー・ベイビー)と富裕な男性(シュガー・ダディー)を引き合わせ、「デート」のお膳立てをするというビジネス。売春の斡旋と見られても仕方がないだろう。現代版のクルチザンヌだと言う人もいる。そうした「アルバイト」を行なっている大学には南カリフォルニア大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校、ニューヨーク大学、そしてコロンビア大学も含まれていた。 体を売らなければ大学へ通えないという状況はアメリカ以外の国でも問題になっている。例えば2012年11月イギリスのインディペンデント紙は学費を稼ぐための「思慮深い交際」を紹介するビジネスの存在を明らかにした。日本では「援助交際」と表現されている行為だ。 そうしたアングロ・サクソン国の後を追いかけているのが日本。学費の負担が庶民に重くのし掛かっている。低所得層の子どもは教育を受ける権利を奪われているのが実態だ。その結果、国全体の知的水準が低下し、国の力は衰える。これまでアメリカは外国から若者を連れてきていた。特に理系の学部はアジアの学生に負うところが大きかったが、中国の大学に対する評価が急上昇し、中国からの留学生が減少しているようで、アメリカの製造業の衰退に拍車をかけている。それをカバーするだけの水準にAIロボットはまだ到達していない。 体を売るような手段で学費を稼がずに済んでも、富豪の子供でもない限り、学資ローンで卒業時に多額の借金を抱えることになる。その借金を返済するためには高収入の仕事に就かねばならない。その仕事を失えば破産だ。医師や弁護士が権力者の不正に沈黙する理由のひとつはここにある。債務奴隷政策だと言えるだろう。 そこで現れたのがローンの返済免除と引き換えに軍へ入隊させるという計画。ジョー・バイデン大統領時代、アメリカの下院議員19名が主張していた。 徴兵制を採用すると、建前上、全ての男子は軍隊に入る義務が生じてしまう。その義務を回避する仕組みとしてベトナム戦争時代には決して戦場へは行かず、軍事訓練をする必要もない「シャンパン部隊」が存在していた。CCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)のヒット曲、「フォーチュネート・サン」はこうした部隊のことを歌っている。つまり子どもを戦争へ送り出す必要のない階級が存在するのだが、そうした階級は平然と好戦的な主張をする。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.08

イスラム革命防衛隊(IRGC)がアメリカ海軍の空母とミサイル駆逐艦に対して弾道ミサイルを発射したと同隊は9月5日に発表した。イラン側によると、アメリカの空母と駆逐艦は損傷を受けて撤退したという。同時にIRGCはホルムズ海峡の「非認可ルート」を航行していた石油タンカー3隻攻撃とアメリカに関連する別の3隻を攻撃したしたという。それに対し、CENTCOM(アメリカ中央軍)は同日、イランの原油タンカー3隻を攻撃したと発表した。 CENTCOMはタンカーに対する攻撃について空母と駆逐艦に対する攻撃への報復だとしているが、その前、8月30日にアメリカ軍はドローンでララク島を攻撃している。 イランはオマーンと3週間にわたってホルムズ海峡の通航管理を誰が担うかについて水面下で交渉、航行の管理や通航船舶からのデータ収集を行う「共同調整センター」の設置について両国は合意に近い段階にあったとされているが、その管理システムにおいてララク島は中心的な役割を果たすことになっていた。そのララク島をCENTCOMは攻撃したのだ。 それ以外にイラン人を怒らせる攻撃をアメリカは実行した。アメリカ軍は8月30日に結婚式場を爆撃、式に参加していた市民のうち少なくとも5名が殺され、70人以上が負傷したと報じられている。目撃者によると、結婚式に参加するため数十人の住民が集まっていた。 IRGCによるのアメリカ海軍の空母やミ駆逐艦に対する攻撃はそうしたアメリカ軍による攻撃を受けて実行されたわけで、報復だと言える。イランの原油タンカーに対する攻撃に対する報復も不可避だ。 アメリカの政府や軍は強硬発言を繰り返しているが、口先だけだ。少し前、空母「エイブラハム・リンカーン」の劣悪な食事や生活環境が問題になったが、これは西アジアに派遣されているアメリカの艦船全般に言えること。艦船のシャワーはカビだらけで、トイレは壊れ、洗濯機は故障、お湯が出ないうえに食事は悲惨な状態だ。石鹸も脱臭剤も歯磨き粉もないという。その結果、乗組員5000人の精神衛生も悪化、海への飛び込む人が少なくないとされている。その原因はアメリカ軍の兵站拠点の崩壊にある。 2月28日にアメリカ軍はイスラエル軍と共同でイランを騙し討ちにして最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師を含むイランの要人を殺害したのだが、それでもイランの体制は倒れず、すぐにイスラエルの主要都市や西アジアにあるアメリカ軍基地に対する報復攻撃が開始された。 イランの標的にはアメリカ軍が使っているカタールのアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地、サウジアラビアのリヤドにあるプリンス・スルタン空軍基地、ヨルダンのムワファク・アル・サルティ空軍基地、クウェートにあるふたつの基地などが含まれる。イスラエルのテルアビブやハイファ、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)近辺なども攻撃された。 バーレーンの第5艦隊基地はアメリカ海軍の艦船にミサイルや食糧を補給する重要な場所で、アメリカの艦船は補給が困難になった。今ではミサイルや食糧を補給するため、インド洋の中央部にあるディエゴガルシア基地やシンガポールまで行く必要がある。 アメリカ軍はイラン軍との戦争で劣勢にあること明白だが、「無敵のアメリカ」を演出したいドナルド・トランプ大統領は攻撃とプロパガンダで乗り切ろうとしているが難しそうだ。そうした演出はアメリカの置かれた状況をさらに悪化させている。 アメリカのシオニストは責任をイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に負わせて逃げようとしているが難しそうで、トランプ大統領の周辺には「戦術核」を選択肢と考える人びとがいると伝えれている。いうまでもなく、「戦術核」という概念には意味がない。核兵器を使えば容易に「戦略核」へエスカレートする。 トランプ政権はウクライナでも窮地に陥っている。すでにウクライナのクーデター体制は崩壊状態にあり、NATOが前面に出つつある。アメリカ政府の特使であるスティーブ・ウィトコフとジャレッド・クシュナーはモスクワからキエフへ向かったが、一旦ポーランドのジェシュフへ向かい、そこで航空機から列車に乗り換えてキエフ入りしている。NATOがウクライナへ軍事物資を運ぼうとしていたことからロシア軍がキエフの空港を爆撃、損傷していたからだとも言われている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.07

アメリカ政府の特使、スティーブ・ウィトコフとジャレッド・クシュナーが9月5日、モスクワのブヌーコボ空港に到着、ロシア大統領特別代表を務めるキリル・ドミトリエフの出迎えを受けた。その直前、ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官はアメリカ政府に対し、現実を素直に受け入れなければならないと警告している。ロシア大統領府が9月5日に発表したところによると、この訪問に合わせ、ウラジミル・プーチン露大統領はキエフへの攻撃を3日間停止するように命じた。 ウィトコフとクシュナーは外交の素人であり、特使に任命されてから行ったことはインサイダー取引くらいだと陰口を叩く人もいる。ふたりはウクライナ戦争を終結させるための提案をモスクワへ持ち込むとされているが、今回の訪問で和平が実現すると考えている人は多くないだろう。2014年2月にバラク・オバマ政権がネオ・ナチを利用してキエフでクーデターを成功させた直後からプーチン政権は話し合いでの解決を模索してきたが、それを欧米諸国は拒否してきた。特に好戦的だったのはイギリス政府である。 イギリスをはじめとするヨーロッパの好戦的な国々はロシアの飛び地であるカリーニングラードに対する攻撃を匂わせ、ロシアを挑発している。そのカリーニングラードへ大型輸送機のAn-124が飛来、2日間滞在した後、9月3日にサンクトペテルブルクへ戻ったという。ベラルーシへ中距離弾道ミサイルのオレシュニクを運んだ時に使われたケースがあるため、オレシュニクや短距離弾道ミサイルのイスカンデルのような強力な兵器が持ち込まれたのではないかと推測する人もいる。 すでにロシア軍はキエフやオデッサにあるNATO諸国の企業も攻撃し始めていることから、ウクライナ向けの兵器を製造しているNATO諸国の工場を攻撃したとしても不思議ではない。 NATO/ウクライナは2014年2月から22年2月にかけてのミンスク停戦期間中にキエフのクーデター政権の戦力を増強した。クーデター軍に兵器を供与、将兵を訓練、ヒトラーユーゲント的な組織で年少者に対する戦闘訓練と思想教育を施す一方、要塞線を築いている。その中核がマリウポリ、ソレダル、マリーインカ、アブディフカの地下要塞だが、マリウポリとソレダルは2022年に、またマリーインカとアブディフカは23年にそれぞれ陥落。それでも要塞線は存在していたが、戦略的に重要な工業都市のコスティアンティニフカをロシア軍が今年に入って制圧、勝敗は決したとみられている。 NATO諸国は一発逆転を狙ったギャンブル作戦を繰り広げているが、成功していない。昨年12月28日から29日にかけて91機のドローンがモスクワ北西部のノブゴロド州にある大統領公邸を攻撃した。 ロシア軍は29日に撃墜されたドローンの航法装置を調査、飛行計画を含むファイルを取り出すことに成功している。そしてドローンの最終目的地がロシア大統領官邸内の施設のひとつであったことを突き止め、そのデータはアメリカ側に提出されたという。 プーチン大統領の暗殺を狙ったということだが、こ右下作戦を実行するためにはドローンを誘導する衛星が必要であり、プーチン大統領の行動に関する情報も入手する必要がある。ロシア側の主張が正しければ、つまりアメリカやイギリスの情報機関が関与していた可能性が高い。この出来事はロシア政府が外交的な解決を断念する要因のひとつだともみられている。8月25日にジョン・ラトクリフCIA長官がモスクワを訪問したのはロシアから見ると挑発以外の何ものでもない。ロシア政府から相手にされなかったのは当然だ。 NATO諸国の内部は現在、ウクライナをめぐって対立が生じている。そのひとつの現れがSBU(ウクライナ安全保障庁)とGUR(ウクライナ国防省情報総局)の対立。9月3日朝にはGUR側に死傷者出た。その背景にはオレクサンドル・ポクラドSBU長官代行と今年1月までGURの総局長を務めていたキリロ・ブダノフの対立があると言われている。 2014年2月のクーデター直後、SBUはCIAの管理下に入ったが、2019年5月に大統領となったウォロディミル・ゼレンスキーはイギリスの対外情報機関MI6の指揮下にあり、その後、SBUはゼレンスキー派、つまりMI6が支配するようになった。それに対し、CIAの訓練を受けたブダノフはCIAがついているとみられている。その対立は資金源、例えば詐欺の拠点である「コールセンター」事業の支配権をめぐる争いという側面もある。 ロシアとの戦争に最も熱心な国がイギリスだということは2022年の段階で判明している。この年の2月、NATOによるドンバス(ドネツクとルガンスク)への攻撃を察知したロシアはウクライナに対するミサイル攻撃を開始、ドンバス周辺に集結していたウクライナ軍、ウクライナ各地の軍事施設や生物化学兵器の研究開発施設を攻撃するが、すぐに停戦交渉が始まり、ほぼ合意に達する。仲介役のひとりだったイスラエルの首相だったナフタリ・ベネットは交渉の内容を長時間のインタビューで詳しく話した。 ベネットは2022年3月5日にモスクワへ飛んでプーチン大統領と数時間にわたって話し合い、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を殺害しないという約束をとりつけることに成功、その足でベネットはドイツへ向かってオラフ・ショルツ首相と会った。 その3月5日にSBUはキエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームで中心的な役割を果たしていたデニス・キリーエフを射殺している。ウクライナの国会議員、フョードル・ベニスラフスキーによると、キリーエフ暗殺に関与したSBUのアレクサンダー・ボバは今回のGURメンバー殺傷事件にも関係、拘束されたという。 2022年の停戦交渉はトルコ政府も仲介、やはり停戦でほぼ合意に達していた。その際に仮調印されているのだが、「ウクライナの永世中立性と安全保障に関する条約」と題する草案をプーチン大統領はアフリカ各国のリーダーで構成される代表団が2023年6月17日にロシアのサンクトペテルブルクを訪問した際に示している。 それに対し、イギリスの首相を務めていたボリス・ジョンソンがキエフへ乗り込み、戦争を継続するようウォロディミル・ゼレンスキー大統領(当時)に命令、停戦合意は壊された。2022年4月9日のことだ。(ココやココ) ゼレンスキーは2020年10月にイギリスを公式訪問したが、その際、MI6の長官だったリチャード・ムーアを非公式に訪問している。アメリカ海兵隊の元情報将校で、UNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターが製作したドキュメンタリーによると、ゼレンスキーはMI6のエージェントであり、そのハンドラー(エージェントを管理する担当オフィサー)はMI6長官を務めていたリチャード・ムーアだと推測されている。ゼレンスキーの周囲で警護している要員はイギリス人だとも言われている。 CIAの前身であるOSSはMI6を教官役として組織されたが、いずれも背後に存在しているのは金融機関。MI6にしろCIAにしろ、情報機関は金融機関が政府を操る仕組みとして機能している。イスラエルのモサドもこの2機関と緊密な関係にある。 つまり、MI6、CIA、モサドは近い関係にあるのだが、ウクライナをめぐっては対立しているようだ。情報機関の背後にいる私的権力の利害が対立しているのだろう。負け戦になると分裂が始まる。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.06

アメリカ軍は8月30日にドローンでララク島を攻撃、9月1日にはシリクで開かれていた結婚式の会場が狙われた。ララク島が攻撃された直後に2名が殺され、2名が負傷と報告され、結婚式に参加していた市民のうち少なくとも5名が死亡、70人以上が負傷したと報じられている。目撃者によると、結婚式に参加するため数十人の住民が集まっていた。 結婚式で殺された人のうちふたり、また負傷者のうち19人以上が10歳未満の子どもだ。この攻撃がアメリカ軍によって行われ、3機のミサイルが使われたことが確認されている。いわゆるトリプル・タップであり、救助の駆けつける人も殺そうとしている。 ロイターによると、兵器専門家による画像と映像の分析からミサイルが屋根に命中した可能性が高く、イラン側が発射した防空ミサイルではなく、アメリカ軍のものである可能性が高いという。イスラエル軍はガザで女性や子どもを意図的に殺しているが、アメリカ軍も同じことをしているようだ。 アメリカ軍とイスラエル軍は2月28日にイランを騙し討ちにして最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師、アブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含むイランの要人を殺害した。 その際、イランのミナブ女子小学校も攻撃され、168名から180名が殺されたが、その大半は7歳から12歳の少女。この時も攻撃は繰り返し数度あり、最初の攻撃で生徒たちが避難した礼拝堂も狙われている。最初の攻撃で人びとを一カ所に集め、救助隊もろとも殺す計画だった可能性が高い。この時もダブル・タップ攻撃、あるいはトリプル・タップ攻撃だ。この殺害はカルト的な「儀式」で、生徒たちは生贄になったとする人もいる。 アメリカ軍が攻撃する前、イランとオマーンは3週間にわたってホルムズ海峡の通航管理を誰が担うかについて水面下で交渉、航行の管理や通航船舶からのデータ収集を行う「共同調整センター」の設置について両国は合意に近い段階にあったという。 新たな管理体制によると、ララク島の周辺海域やオマーン領海を通る暫定ルートを廃止、新たな水路へと切り替えることが想定されているため、アメリカ軍が攻撃したララク島はホルムズ海峡の通航をめぐるイランとオマーンの共同管理体制において地理的かつ行政的な中枢をなす場所だと元CIA分析官のラリー・ジョンソンは指摘している。この新管理体制が始動すれば、アメリカは排除される。その管理体制をアメリカは認めないという意思を示したとも考えられている。 今回のアメリカ軍による攻撃に対し、IRGC(イスラム革命防衛隊)は数時間後に報復攻撃を開始した。まずヨルダンにあるアメリカ海兵隊のキャンプ・ティティンへ弾道ミサイルを発射、ついでクウェートのアリ・アル・サレム空軍基地にあるアメリカ軍の司令部などをミサイルやドローンで攻撃し、相当数のアメリカ軍の要員が死亡したという。 さらにイラクのクルド人自治区にあるアメリカ軍の基地もIRGCは攻撃。アラブ首長国連邦にあるアル・ダフラ基地やアル・ミンハド基地にあるアメリカ軍のレーダーシステムや軍事拠点も目標にし、ホルムズ海峡上空ではアメリカ軍のドローン、MQ-9を撃墜したという。ヨルダンのキング・フセイン空軍基地やアル・アズラク空軍基地やアメリカ中央軍の前方司令部と位置付けられているカタールのアル・ウデイド空軍基地も標的だったとされている。 ドナルド・トランプ米大統領は8月11日、アメリカがホルムズ海峡を「完全に支配」、「今後も維持するつもりだ」と宣言した。アメリカ海軍による封鎖は「鋼鉄の壁」であり、それに対して「イランに打つ手はない」としていた。8月14日になると「ホルムズ海峡は我々のもの」であり、海峡をアメリカの領土だと宣言するとまで言った。 トランプによると、海峡は自由に航行でき、石油で満ちているはずだが、現在、ホルムズ海峡を航行している船舶はほとんどなく、今回のアメリカ軍による攻撃は西アジア情勢をさらに悪化させることは不可避である。タッカー・カールソンのように、ドナルド・トランプ大統領がイランに核兵器を落とすのではないかと懸念する人もいる。 トランプの主張が正しいならば、イランを攻撃する必要などないはずだが、攻撃した。アメリカ軍がイランを攻撃する前日、イランのアッバス・アラグチ外相は日本にある軍事資産をアメリカ軍が使っていると共同通信の取材で発言している。「平和を愛する日本国民はアメリカが犯した犯罪について日本政府に責任を問うべきだ」と語ったというが、日本人の大多数はそうしたことを考えていない。明治維新以降、マスコミと教育で国民は考えないように飼育されてきた。その手先になってきた日本の「エリート」はアメリカに従属することで自らの富と地位を維持しているのである。 アラグチがインタビューを受ける前、イギリスの「UKディフェンス・ジャーナル」誌は三沢基地に駐留するアメリカ軍のF-16戦闘機が3月と4月に中東へ派遣されたと伝えている。言うまでもなくイランとの戦争に参加するためだ。アラグチが日本政府の戦争責任を問うのはそのためだ。これまでイランは日本に対して好意的な姿勢を示してきたが、日本政府はその関係を壊そうとしている。 日本の経済にとって重要な国であるロシアや中国を敵視する政策を日本政府が推進しているのはアメリカの支配層からの命令があるからだ。この仕組みは明治維新から続いている。徳川時代の余韻が残っている時期はブレークがかかっていたが、今はブレーキが存在しない。 本ブログでは繰り返し書いてきたように、「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」が発表され、大きな事件が立て続けに引き起こされた1995年以降、日本をアメリカの戦争マシーンに組み込む作業が本格化した。 1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布され(地下鉄サリン事件された。松本サリン事件の翌月に警察庁長官は城内康光から國松孝次に交代したが、その國松は地下鉄サリン事件の直後に狙撃されて瀕死の重傷を負う。 そして1995年8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われているスターズ・アンド・ストライプ紙に85年8月12日に墜落した日本航空123便に関する記事が掲載されたが、それは日本政府を脅す代物だった。その記事はJAL123便が墜ちる前、大島上空を飛行していたアメリカ軍の輸送機C130の乗組員だったマイケル・アントヌッチの証言に基づいて書かれている。その中で自衛隊の責任を強く示唆している。 国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が発表した報告書によると、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画を彼らは持っている。自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。 専守防衛の建前と憲法第9条の制約がある日本の場合、ASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたとされていたが、すでにそうした配慮は放棄されている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.05

日本政府全権の重光葵と大本営全権の梅津美治郎が東京湾内に停泊していたアメリカの戦艦ミズーリで降伏文書に調印したのは昭和天皇(裕仁)がラジオを通じて「ポツダム宣言」の受諾をアメリカ、イギリス、中国、ソ連の4カ国に伝えたと「臣民」に発表してから18日後、1945年9月2日のこと。これによって日本の敗北が正式に決まったのだが、この時、すでにアメリカやイギリスはソ連と戦争を始めていた。 ウォール街と対立、反植民地を掲げていたニューディール派のフランクリン・ルーズベルト米大統領は帝国主義者のウィンストン・チャーチル英首相と敵対、むしろソ連のヨシフ・スターリン共産党書記長と親しくしていた。そのルーズベルトは1945年4月12日に急死、その翌月にドイツが降伏すると、チャーチルはソ連に対する奇襲攻撃の作成を合同作戦本部(JPS)に命じた。そして5月22日にアンシンカブル作戦が提出される。 その作戦によると、攻撃を始めるのはその年の7月1日。アメリカ軍64師団、イギリス連邦軍35師団、ポーランド軍4師団、そしてドイツ軍10師団で「第3次世界大戦」を始める想定になっていた。この作戦が実行されなかったのは、参謀本部が5月31日に計画を拒否したからだ。拒否した理由のひとつはソ連がまだ降伏していなかった日本と手を組むことを恐れたからだとも言われている。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000) 原子爆弾の開発も計画を実行に移さなかった理由のひとつかもしれない。1945年7月16日にアメリカはニューメキシコ州のトリニティ実験場でプルトニウム原爆の爆発実験を行い、成功。ハリー・トルーマン大統領は原子爆弾の投下を7月24日に許可、26日にアメリカ、イギリス、中国はポツダム宣言を発表、8月6日に広島へウラン型原爆が投下され、その3日後に長崎へプルトニウム型原爆が落とされている。 ソ連に対する核攻撃に執着していたチャーチル首相は1941年11月にベンガルで焦土作戦を打ち出した。1939年にノモンハンでソ連軍に惨敗した日本軍が南進に転じたことを受けてのことだ。日本軍の食糧にしないということで、イギリスはサイロや倉庫から種籾を含む全ての米を押収し、輸送手段を奪うために漁民の船や自転車を取り上げた。 その作戦を推進中の1942年10月にベンガル地方はサイクロンに襲われ、農作物が大きな打撃を受け、死傷者が出た。食糧不足は避けられない状態になって飢餓が見通されたのだが、イギリスは米の運び出しを続けた。チャーチル首相は1943年1月、イギリスの食糧と資源の備蓄を強化するため、インド洋で活動していた商船を全て大西洋へ移動させた。(Madhusree Mukerjee, “Churchill’s Secret War,” Basic Books, 2010) 1943年10月には現地の提督からチャーチル首相に対し、政策の継続は大惨事を招くという警告の電報が打たれ、イギリス下院では満場一致で食糧を送ると議決したが、それを首相は無視。食糧を送るというルーズベルト大統領の提案も拒否した。 その結果、ベンガルでは1943年から44年にかけて大規模な飢饉が引き起こされ、餓死者の人数はベンガル周辺だけでも100万人から300万人に達したと推計されている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.04

SBU(ウクライナ安全保障庁)のメンバーとGUR(ウクライナ国防省情報総局)のメンバーが9月2日の夜からキエフ市街で銃撃を繰り広げたと伝えられたが、その様子を撮影したとされる映像を見ると、両機関の隊員がロシア語で口論を始め、SBU隊員が非武装のGUR隊員を自動小銃の銃撃、GUR隊員を死傷させたようだ。銃撃戦はなかった。現地では、詐欺の拠点になっているコールセンターの「警護」をめぐる両機関の対立が原因だったと噂されている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.03
アメリカはウクライナでロシアに敗北、西アジアではイランに敗北しつつあり、エネルギーや食糧の供給連鎖が麻痺、西側世界は危機的な状況に陥っている。 安価なエネルギー資源を供給できるロシア、そして巨大なマーケットを抱える中国との関係を破壊、良質な水を手に入れられるにもかかわらず農業を破壊してきたのが日本は中でも深刻な状態だ。ロシアや中国のような国とは違い、自給自足が不可能だからだ。 そうした狂気の政策を進めている日本が支援しているウクライナは壊滅的な状況にある。言うまでもなく、ウクライナを壊滅的の状態にしたのはNATO諸国にほかならないのだが、そのうちアメリカはウクライナの敗北を見通し、すでに距離を置こうとしている。前面に出ているのはヨーロッパ諸国だ。その中でもイギリス、フランス、ドイツが最も強硬な発言を続けているが、軍事力にしろ経済力にしろ中身はない。 本ブログでも繰り返し書いてきたが、NATO/ウクライナ軍によるロシア深奥部の民間施設への攻撃、そしてロシア産穀物輸出の約4分の1が通過するアゾフ海における船舶への攻撃への報復として、ロシア軍はオデッサをはじめ黒海に面した港を封鎖、黒海を回避した輸送ルートのドナウ川に面したレニ港やイズマイル港もロシア軍は破壊、さらにキエフなどへの攻撃を激化させた。 攻撃目標の中にはNATOの地下司令部やショッピング・センターの地下倉庫を改造したドローンの組み立て工場、そのショッピング・センターを出入りしてドローン発射に使われている配送用トラックも含まれている。 ロシア軍に攻撃を激化させたのはNATO/ウクライナ軍にほかならない。ウラジーミル・ゼレンスキーが言うところの「40日間作戦」が原因である。NATO/ウクライナ軍はドローンを用いてロシアの石油産業を攻撃し、さらにクリミア、モスクワ、サンクトペテルブルクの電力施設、そしてアゾフ海と黒海にあるロシアのすべての船舶や港湾施設を目標にした。そしてワイルドベリーの倉庫などの民間施設に対する攻撃する。 この攻撃が始まるまでロシア軍は攻撃目標を軍事施設や工業施設に限定、民間施設への攻撃は避けていた。攻撃の頻度も限定的で、キエフも平穏。オデッサ港を出入りする船舶は安心して航行できた。住民は食糧もエネルギーを心配する必要もなかった。そうしたロシア政府の方針を40日間作戦は変えてしまったのだ。ウクライナ軍の前線部隊に対する補給が困難になっただけでなく、街中の店から商品が消えている。このまま進むと人びとが冬を越すのは難しい。 すでにウクライナでの戦争はNATO軍が主力になっている。NATOが兵器を持ち込み、NATO軍の将兵が監督、アメリカの衛星が提供する情報に基づき、その衛星に誘導されたミサイルやドローンでロシアを攻撃しているのが実態だ。ウクライナの軍や親衛隊はゾンビ状態だと言えるだろう。そのゾンビ組織の内部で抗争が起こっている。 9月2日の夜からキエフ市街でSBU(ウクライナ安全保障庁)のメンバーとGUR(ウクライナ国防省情報総局)のメンバーが銃撃を繰り広げ、GURのひとりが死亡、ふたりが負傷したと伝えられている。銃撃事件の発端は、その1週間前にRDK(ロシア義勇軍)のステパン・カプルノフ副司令官が拉致されたことにあるという。 現地では詐欺の拠点になっているコールセンターの支配権をめぐるオレクサンドル・ポクラドSBU長官代行と今年1月までGURの総局長を務めていたキリロ・ブダノフの対立だった囁かれている。 現在、大統領府長官を務めているブダノフは8月28日に放送されたインタビューの中で、ウクライナ軍の戦力を維持するためには少なくとも毎月3万人を動員しなければならないと語ったが、これはNATO/ウクライナの公式発表とは違い、事実に近い。 ウォロディミル・ゼレンスキーの命令でポクラドがブダノフの影響力を弱めようとしているという見方もあるが、ブダノフはCIAの訓練を受けた人物であり、SBUは2014年2月のクーデター以降、CIAの管理下にある。 銃撃戦が起こった正確な理由は不明だが、いずれにしろウクライナが組織として機能していないことが原因だ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.03

1923年、つまり今から103年前の9月1日に東京周辺が巨大地震に襲われた。家屋が倒壊しただけでなく、大規模な火災が発生して大きな損害を受けている。被災者は340万人以上に及び、死者と行方不明者を合わせると10万5000名から14万3000名、損害総額は55億から100億円(現在の貨幣価値に換算すると4兆円から7兆円)に達したと言われている。その復興資金の調達を日本政府はJPモルガンに頼ったが、この銀行はロスチャイルドからスピンオフした金融機関。それ結果、このJPモルガンは日本の政治経済に大きな影響力を持つことになる。 JPモルガンの創業者であるジョン・ピアポント・モルガンの父親であるジュニアス・スペンサー・モルガンはジョージー・ピーボディーとロンドンで銀行を経営していたが、1857年に業績が悪化する。その苦境を救済したのがピーボディーと親しかったロスチャイルド一族。ピーボディは1864年に引退し、ジュニアス・モルガンが率いることなった。その銀行でジュニアスの息子、ジョン・ピアポント・モルガンも働くようになるが、そのジョンをロスチャイルドは自分たちのアメリカにおける銀行の代理人に据えた。 ジョン・ピアポント・モルガンは1913年3月に死亡、息子のジョン・ピアポント・モルガン・ジュニア(通称ジャック)が引き継ぎ、アメリカの金融界、いわゆるウォール街の大立者になる。関東大震災当時のJPモルガンを率いていたのはジャックだ。 そのウォール街を揺るがす出来事が1932年にあった。大統領選挙でロスチャイルドに操られていた現職のハーバート・フーバーがニューディール派のフランクリン・ルーズベルトに敗れたのだ。そこでウォール街の大物たちはニューディール派を排除するためにクーデターを計画するのだが、これは海兵隊のスメドリー・バトラー退役少将によって阻止された。バトラー少将は名誉勲章を2度授与されたアメリカ海兵隊の伝説的な軍人だ。 バトラー少将によると、1933年7月に在郷軍人会の幹部ふたり、ウィリアム・ドイルとジェラルド・マクガイアーが彼の自宅を訪問したところから話は始まる。(Public Hearings before the Special Committee on Un-American Activities, House of Representatives, 73rd Congress, 2nd Session) シカゴで開かれる在郷軍人会の大会へ数百人の退役兵士を引き連れて参加し、演説して欲しいと要請、必要な経費を負担するということだった。ふたりは演説の原稿を置いて帰った。その原稿には金本位制への復帰を求める文言が含まれていた。 似た動きは日本でもあった。1930年1月、浜口雄幸内閣は金本位制への復帰を決めているのだ。このときの大蔵大臣、井上準之助は当時の日本で最もJPモルガンに近い人物だと言われている。1920年に対中国借款の交渉を井上は行っているのだが、この過程でJPモルガンと親しくなったのだという。井上は緊縮財政を推進するが、これも巨大金融資本の意向に沿うものだ。(NHK取材班編『日本の選択〈6〉金融小国ニッポンの悲劇』角川書店、1995年) こうした政策によって日本では不況は深刻化、庶民は経済的に厳しい状況におかれる。東北地方で娘の身売りが増えたのもこの頃のことだ。こうした経済政策を推進した浜口首相は1930年11月に東京駅で銃撃され、翌年の8月に死亡、32年2月には井上が本郷追分の駒本小学校で射殺されている。そして1936年2月26日、陸軍の在京部隊約1500名が決起した。二・二六事件だ。 アメリカ大統領だったフーバーは任期を終える直前、1932年に大物を駐日大使として日本へ送り込む。ジョセフ・グルーだ。グルーのいとこ、ジェーンはジョン・ピアポント・モルガン・ジュニア、つまりJPモルガンの総帥の妻である。しかもグルーの妻、アリスの曾祖父にあたるオリバー・ペリーは海軍の伝説的な軍人で、その弟は「黒船」で有名なマシュー・ペリーだ。 グルー夫妻は皇族を含む日本の支配層に強力なネットワークを持っていたが、特に親しかったとされている人物が松岡洋右。松岡の妹が結婚した佐藤松介は岸信介や佐藤栄作の叔父にあたり、岸もグルーと親しい関係にあった。秩父宮雍仁もグルーの友人として知られている。秩父宮が二・二六の将校を支持していたとは思えない。 ところで、3度目の訪問時、マクガイアーはスポンサーのひとりがグレイソン・マレット-プレボスト・マーフィだということを明かす。この人物は在郷軍人会を創設したメンバーのひとりだが、ウォール街で証券会社を経営し、ギャランティー・トラストの重役でもあった。(Jules Archer, “The Plot to Seize the White House,” Skyhorse Publishing, 2007) ウォール街からの訪問者はドイツのナチやイタリアのファシスト、中でもフランスの「クロワ・ド・フ(火の十字軍)」の戦術を参考にしていた。50万名規模の組織を編成して政府を威圧、「スーパー長官」のようなものを新たに設置して大統領の重責を引き継ぐとしていた。一種の摂関政治だ。このシステムを導入するため、ウォール街の住人たちは在郷軍人会を動員してホワイトハウスを恫喝しようとしていた。マクガイアーたちの目的は金本位制の復活であり、失業対策として彼らが考えていたのは強制労働収容所にすぎなかった。 ウォール街の大物たちはパリでクーデターの指揮官を選定、軍の内部で圧倒的な人望があったバトラーが選ばれたのだが、JPモルガンが考えていた人物は陸軍参謀長を務めていたダグラス・マッカーサーだった。 この軍人が結婚した女性はルイス・クロムウェル・ブルックス。その母、エバ・ロバーツ・クロムウェルが再婚した相手、エドワード・ストーテスベリーはJPモルガンの共同経営者だった。マッカーサーはJPモルガンの人脈に属していたのだ。そのマッカーサーが選ばれなかったのは、軍隊の内部でバトラーほどの人気がなかったからだ。バトラーを抱き込まない限りクーデターは成功しないと判断する人が多かったということだろう。 しかし、結局ウォール街はバトラーの説得に失敗。50万人の兵士を利用してファシズム体制の樹立を目指すつもりなら、自分は50万人以上を動かして対抗すると応じ、内戦を覚悟するようにバトラーは警告した。(Public Hearings before the Speecial Committee on Un-American Activities, House of Representatives, 73rd Congress, 2nd Session, Testimony of Major General Smedley D. Butler, December 29, 1934) クーデター計画に気づいたバトラーは信頼していたフィラデルフィア・レコードの編集者トム・オニールに相談、オニールはポール・コムリー・フレンチを確認のために派遣している。フレンチは1934年9月にウォール街のメンバーを取材、コミュニストから国を守るためにファシスト政権をアメリカに樹立させる必要があるという話を引き出した。(Jules Archer, “The Plot to Seize the White House,” Skyhorse, 2007) バトラー少将は1935年にJ・エドガー・フーバーに接触してウォール街の計画を説明するのだが、起訴するために必要の証拠はなく、自分には捜査を命令する権限がないとして断っている。(Peter Dale Scott, “The American Deep State,” Rowman & Littlefield, 2015) 計画が発覚すると、名指しされた人びとは誤解だと弁解したが、非米活動特別委員会はクーデター計画の存在を否定することはできなかった。それにもかかわらず、何ら法的な処分は勿論、これ以上の調査は行われず、メディアもこの事件を追及していない。この問題でウォール街を追い詰めても内戦になる可能性があったからだろう。 1935年9月10日にアメリカではひとりの上院議員が暗殺されている。ヒューイ・ロングだ。富裕なエリートや銀行を批判、ルーズベルト政権を当初は支持していたが、ニューディール政策は貧困対策として不十分だと考え、1933年6月に袂を分かつ。ロングは純資産税を考えていた。ウォール街の支配者にとって、ロングはルーズベルト以上の敵だ。 医師のカール・ワイツが4フィート(約1.2メートル)の距離から拳銃でロングを射殺したとされているが、ワイツはロングのボディガードたちに射殺されたため、公判は開かれず、証拠や証人の検証もなかった。ワイツの家族はカールが殺したとする公式ストーリーを否定している。 クーデター計画と並行する形で民主党の反ニューディール派議員は「アメリカ自由連盟」を設立している。活動資金の出所はJPモルガンやデュポンといった巨大企業のほか、アンドリュー・メロンやロックフェラーの周辺を含む富豪たち。武器はレミントン社からデュポン経由で手に入れることになっていた。 ルーズベルトは1936年、40年、そしてドイツや日本の敗北が間近に迫っていることが明らかだった44年の選挙でも勝利する。戦争が終われば、ウォール街とナチスとの関係が調べられ、責任を問われることも予想されたのだが、ルーズベルトはドイツが降伏する前月、1945年4月12日に急死、ニューディール派の影響力は急速に弱まる。そしてアメリカでは「赤狩り」と称する反ファシスト派弾圧が始まった。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.02
ウクライナのキリーロ・ブダノフ大統領府長官は8月28日に放送されたインタビューの中で、ウクライナ軍の戦力を維持するためには少なくとも毎月3万人を動員しなければならないと語った。戦死者、重傷者、脱走兵を含めるとその程度になるということだろう。ウクライナ側の戦死者は150万人から200万人程度だろうと推測されていた。 本ブログでは繰り返し書いてきたことだが、ウクライナの東部や南部はロシア文化圏であり、半数以上の住民はロシアに親戚がいると言われている。その関係を利用してロシア軍と連絡をとり、投降しているウクライナ兵もいるという。部隊ごと行方不明ということもあるようだ。そうした投稿を阻止することもウクライナのネオ・ナチ部隊に課された任務だ。 ウクライナ各地で行われている強制的徴兵、要するに拉致の様子を見ても兵士不足は深刻だ。ウォロディミル・ゼレンスキーは2022年2月以降に戦死したウクライナ兵の数を5万5000人と主張しているが、この数字は論外である。戦死が確定すると遺族に補償する必要があり、行方不明で処理されている人も少なくないようだ。ウクライナ側はロシア軍の死傷者数を148万人以上としているが、これは現実的でない。西側の大手メディアはウクライナ側の主張に基づく宣伝をしているが、ロシア側の死傷者はウクライナ側の約1割と見られている。 ロシア軍はオデッサをはじめ黒海に面した港をミサイルやドローンによる攻撃で封鎖、黒海を回避した輸送ルートのドナウ川に面したレニ港やイズマイル港もロシア軍は破壊し、ウクライナは武器弾薬を受け取れず、ヨーロッパは食糧を確保できない状態。 そしてキエフなどの都市ではNATOの地下司令部を含む施設を破壊している。最近1週間でロシア軍は約3600機のミサイルやドローンをウクライナへ撃ち込んでいるが、ここにきて目立つのはショッピング・センターなど民間施設への攻撃。 そうした施設の地下には倉庫を改造したドローンの組み立て工場があり、配送用トラックを利用して部品を運び込み、製品を持ち出して発射していた。ウクライナの救急隊員が撮影した映像から、破壊されたトラックの荷台にドローンが積まれたことも確認された。こうした施設への攻撃では、保管されていた爆発物によると見られる大きな二次爆発が目撃されている。 NATOに加盟するヨーロッパ諸国はロシア深奥部の民間施設を攻撃したりウラジミル・プーチン露大統領の暗殺未遂事件も引き起こし、ヨーロッパ諸国を攻撃させとアメリカ軍とロシア軍を直接戦わせようとしているが、ロシアはその思惑通りに動いていない。ウクライナに入っているNATO軍の将校やエンジニアがいる施設を狙うだけだ。 ウクライナにおけるロシア軍との戦争からアメリカ軍は距離を置いているが、衛星による情報提供やミサイルなどの誘導はアメリカが行なっている。アメリカのパトリオット迎撃システムは役に立たないが、そのミサイルも枯渇している。 イランとの戦争でもアメリカ軍は劣勢にあり、西アジアにおけるアメリカ軍基地は破壊され、イスラエルの諸都市も大きなダメージを受けている。西側の大手メディアは「アメリカの勝利」を演出しているが、それには限界がある。報道管制を強化しているが、強化するほど信頼されなくなる。 ロシアに対する戦争を煽ってきたヨーロッパの「指導者」はアメリカを支配する私的権力を全能だと信じ、その全能の人びとに従っていれば好き勝手なことができるとでも思っていたようだが、それは日本でも同じだ。明治維新以降、日本の支配システムはアメリカやイギリス、つまりアングロ・サクソンの金融資本に支配されてきた。彼らがいなければ天皇カルトを作り上げることもできなかっただろう。そうした流れに逆らった人びとはことごとく排除されてきた。琉球併合や台湾派兵においても、アメリカやイギリスの外交官の果たした役割は小さくない。つまり米英を中心とする支配システムの崩壊は日本を支配してきた勢力をも崩壊させる可能性がある。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.09.01

スペースXの子会社であるスターリンク・サービスは、低軌道を飛行する1万基以上の衛星で構成されるネットワークによってインターネット接続を可能にしているが、このスターリンク通信を妨害する電子戦装置のボルナ・クポル・ガラントをロシアは8月初めに公開していた。このシステムは特定の地域にサービスを提供する衛星に向け、地上アンテナから送信される信号を妨害する能力がある。タスによると、そのシステムの量産が開始されたという。 スペースXを創設、CEOを務めるイーロン・マスクはロシア上空でのスターリンクの使用を禁止しているとしているものの、ハッキングを容認し、ウクライナ軍の長距離攻撃用ドローンへの搭載を許可している。ロシア深奥部への攻撃もスターリンクがなければできない。 スターリンクは軍民両用とされているが、使用開始は2022年2月。ロシア軍がウクライナ軍部隊、軍事施設、生物化学兵器の研究開発施設などに対する攻撃を始めた直後だ。 この年の3月にNATOはウクライナを利用し、反クーデター軍の拠点であるドンバス(ドネツクとルガンスク)を攻撃しようと計画していたことが回収されたウクライナ軍の機密文書から判明している。ロシア軍が攻撃を始めた直後にスターリンクが始動できたのはそのためだろう。スペインのエル・ムンド紙によると、すでにロシア軍はこのシステムを使い、スターリンクを使用できなくしているという。その効果を見て量産体制に入ったのかもしれない。 スターリンクはウクライナ軍が対ロシア戦争に使うだけでなく、アメリカやイスラエルはイランに対する攻撃でも使っている。ドナルド・トランプ米政権は昨年12月28日、イランの通貨リアルを暴落させて経済を混乱させ、その混乱を利用して反政府デモを演出した。 そのデモをコントロールするため、アメリカは約5万台のスターリンク端末をイランへ密輸、政権転覆工作のために編成したグループに資金と共に渡したとされている。スターリンクのシステムを通じ、アメリカやイスラエルの情報機関は反政府デモのリーダーたちに対してイランの治安部隊がどのように動いているかを知らせ、どのように動くべきかを指示していた。イラン政府はスターリンクを遮断することに成功して事態は沈静化させたが、密輸品は押収しきれていないようだ。 イランでスターリンクを遮断するためにボルナ・クポル・ガラントは使われていないようだが、対イラン攻撃をまだ諦めていないアメリカやイスラエルとしては、このシステムがイランの手に渡ることを阻止したいだろう。 経済的にも軍事的にも強まっているロシア、中国、イランの連携を阻止することはできそうにないが、この3カ国だけでなく、このシステムに関心を持つ世界中の国々に提供される可能性もある。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.31

厚生労働省が8月28日に発表した今年6月分の「人口動態統計速報」によると、死亡者数は11万4472人。COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動が始まる前年の2019年の同じ月に比べて1万2118名増えているが、昨年同月に比べると1308名減っている。 この騒動では「COVID-19ワクチン」と称する遺伝子操作薬の接種が推進されたが、2024年には接種者が大きく減少した。その危険性を知る人が増えたからだろう。接種しなかった人に比べ、接種した人の間から健康状態に問題があると言う話をここにきて聞くようになった。 この薬物はドナルド・トランプ政権がCOVID-19対策として2020年5月から21年2月にかけて推進した「オペレーション・ワープ・スピード」を経て登場している。トランプ大統領自身は「史上最大の軍事的偉業」だと語っていたが、史上最悪の薬害、あるいは虐殺だ。 ジャーナリストのホイットニー・ウェブによると、オペレーション・ワープ・スピードは政府による自国民の大量殺害にほかならない。標的には高齢者、障害者、「ワクチン」の接種を拒否した人びと、あらゆる人種の妊婦、そして人種的マイノリティが含まれている。 ラティポワによると、ペンシルベニア大学の研究はアフリカ系アメリカ人が特定のインフルエンザワクチンに対して、不釣り合いなほど高い免疫反応を示すことを示している。メイヨー・クリニックは2014年、アフリカ系アメリカ人の風疹ワクチンに対する免疫反応が白人系アメリカ人のほぼ2倍であるとしている。 また、2010年に『毒性学環境衛生学ジャーナル』に掲載された研究によると、B型肝炎ワクチンによる重度の神経損傷を負うリスクは白人と比較してアフリカ系アメリカ人の男児において有意に高い。 この「ワクチン」を製造した会社のひとつ、ファイザーの関連文書をアメリカの監督官庁であるFDA(食品医薬品局)は75年間封印しようとしたのだが、アメリカの裁判所は文書の迅速な公開を命令、その内容を分析したサーシャ・ラティポワは2022年初頭、COVID-19騒動はアメリカ国防総省の軍事作戦だと発表している。 アメリカには自国民を生体実験に使ってきた歴史がある。例えば原爆を開発した「マンハッタン計画」の際、アメリカ政府は多数の医師と契約を結び、事情を知らせないまま入院患者に対し、通常の生涯被曝量の41倍に相当放射性プルトニウムを注射しましている。 実験の目的は、放射性物質が白血病などの病気を引き起こす線量を特定すること、そして血液、組織、骨、尿に残留する放射能の量を測定することにあった。1944年から1994年にかけて原子力委員会はこうした放射線に関する人体実験プロジェクトを支援、承認したが、対象者の多くはアフリカ系アメリカ人だったという。 アメリカの研究者たちは1987年から1991年にかけてワクチン実験の一環として、ロサンゼルスの低所得地域に住むアフリカ系やラテン系の乳児に対し、承認された用量の最大500倍に及ぶエドモントン・ザグレブ(EZ)麻疹ワクチンを投与している。その前にこのワクチンはハイチ、セネガル、ギニアビサウで子どもたち2000人に投与され、悲惨な結果を招いていたのだが、その事実を親たちには知らせていない。 どの「集団(人口グループ)」にどのワクチンを割り当てるかを「決定」するソフトウェアの開発を任されたパランティア・テクノロジーズは2003年にCIAのベンチャー・キャピタル部門であるIn-Q-Telからの資金によって創設され、イスラエルの情報機関とも緊密な関係がある。アメリカ国防総省が主導する「オペレーション・ワープ・スピード」でも同社が標的を決めている。 アメリカのCDC(疾病予防管理センター)とFDA(食品医薬品局)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)は「人種」に関する質問項目を設けていないのだが、人種による差異は存在することをホイットニー・ウェブの調査は明らかにした。黒人女性は「特別な『特製』ロット」によって集中的に標的とされたという。流産率を比較すると、黒人女性は約17%、ヒスパニック系は約10%、そして白人は約6.5%。対象になった女性全員が妊娠6週目以降に登録されている。 世界経済フォーラム(WEF、ダボス会議)の年次総会が1月19日から23日にかけて、スイスのダボス・クロスタースで開かれた。その中でドナルド・トランプ米大統領は「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」について口にした。 2025年4月までWEFの会長を務めたクラウス・シュワブは16年1月にスイスのテレビ番組に出演した際、マイクロチップ化されたデジタル・パスポートについて話している。チップを服に取り付けるところから始め、次に皮膚や脳へ埋め込み、最終的にはコンピュータ・システムと人間を融合、人間を端末化しようと考えていた。COVID-19騒動の際、話題になったデジタルIDもその布石だろう。 シュワブの顧問でイスラエル人のユバル・ノア・ハラリはAIによって不必要な人間が生み出されると見通し、特に専門化された仕事で人間はAIに勝てず、「不必要な人間」が街にあふれるとしている。放置しておけば反乱、あるいは犯罪に繋がるため、人びとを監視、コントロール、そして処分する必要があると彼らは考えているだろう。パランティアの監視技術は「見えない私的刑務所」として機能するかもしれない。 アメリカの保健福祉省が「オペレーション・ワープ・スピード」や「COVID-19ワクチン」の接種を進めている際、パランティアのデータ統合および意思決定支援プラットフォーム「ティベリウス」が使用されている。国勢調査のデータ、ワクチン追跡システム、物流情報を統合している。 ティベリウスはローマ帝国の第2代皇帝で、紀元14年から37年まで統治している。ローマ時代の歴史家ガイウス・スエトニウス・トランクィッルスによると、ティベリウスは児童への性的虐待や残虐行為があり、偏執狂的な性格だった。どこまで事実かは不明だが、その記述はジェフリー・エプスタインを彷彿させるものだ。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.30
NATOのヨーロッパ諸国はロシアの深奥部を攻撃している。ロシアの防空システムは優秀で、特に軍事施設や重要なインフラは防御が固いため、防衛システムの甘い民間施設を攻撃し始めた。ロシア軍にヨーロッパを攻撃させ、アメリカ軍をウクライナでの戦争へ引き戻そうとしていると見られている。 十分な軍事訓練を受けていない人びとを最前線へ送り込み、「バンザイ突撃」させている。街中で男性を拉致するだけでは足りず、徴兵年齢を下げ、女性も徴兵の対象にしようという意見が出ている。NATO諸国はウクライナに住むスラブ人を全滅させようとしているようだ。 イギリス政府はヨーロッパの軍事メーカーであるMBDAに対し、英仏が開発した長距離巡航ミサイル「ストーム・シャドウ/SCALP」で使用されるイギリス製部品に関する機密情報の開示を許可したという。この問題はロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官も触れていたが、そうした機密情報を開示しても現在のウクライナにそうしたミサイルを製造する能力はない。ドローンでさえ組立工場があるだけだ。ミサイルやドローンによる攻撃はアメリカ政府が許可しなければ実行できない。 8月25日にジョン・ラトクリフCIA長官がアメリカ軍のC-17A輸送機(RCH4555)でモスクワのブヌーコボ空港へ到着した。このような目立つ航空機を利用しての訪問を「極秘」と言うことはできない。 西側諸国の一部大手メディアはロシアがNATO諸国を攻撃しないよう警告するためにモスクワへ乗り込んだと主張しているが、ヨーロッパ諸国はロシア軍に自分たちを攻撃するように誘っている。警告など電話で可能だ。盗聴される可能性がある通話でなく、直接会わなければならなくなったと考えるべきだろう。 それ以上に笑止千万な記事を書いたのはニューヨーク・タイムズ紙。CIA長官は対ウクライナ戦争の現状に関する自身の悲観的な見解を非公開で伝え、軍事的、経済的状況が悪化する前にロシア側に何らかの取引に応じるよう促すことにあったというのだが、窮地に陥っているのはウクライナとNATO諸国。戦況が有利なのはロシアだということは客観的の事実から明白だ。本当にCIA長官がそう信じているとしても、ウラジミル・プーチン露大統領へ電話すれば済む話。 ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、ウクライナがロシア領内深部への攻撃に使用するドローンの供給をイギリスが続ければ、その結果に直面することになると警告しているが、だからといって直接ヨーロッパ諸国を狙うとは言えない。行うとしても先の話だろう。 ラトクリフCIA長官がモスクワを訪問した目的はイランにホルムズ海峡の再開を迫るように頼んだ、あるいは経済戦争で脅したとする情報もあるが、イギリス海軍のスティーブ・ジャーミー代将は、ロシアが収容していたCIA工作員の遺体を引き取りに行ったのではないかと推測している。そう考えると、最大航続距離1万キロメートル以上のガルフストリームVを保有しているCIA長官がC-17A輸送機を使った理由を理解できる。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.29

西アジアにおけるアメリカの影響力は急速に低下している。そうした動きの中心にイランが存在していることは言うまでもないだろう。それに対し、サウジアラビア、トルコ、パキスタンは8月7日、相互防衛協定を締結した。「外部の覇権国がこの地域に介入しても問題は解決せず、むしろ事態を深刻化させるだけ」であり、地域の国々と新たな枠組みを構築する必要があるとトルコのメブリュット・チャブシュオール外相は語っている。西アジアの国々がアメリカに見切りをつけたわけだ。 西アジア支配をイギリスは遅くとも19世紀には計画していた。第1次世界大戦の最中に同国はフランスとサイクス・ピコ協定を締結、オスマン帝国を解体して両国で分割することを決めた。イギリスはエージェントを後のサウジアラビア国王でワッハーブ派のイブン・サウドに接触させている。 協定が結ばれた翌月の1916年6月にイギリス外務省アラブ局はアラブ人を扇動して反乱を起こさせた。その部署に所属していたトーマス・エドワーズ・ローレンスは「アラビアのロレンス」とも呼ばれている。ローレンスは1915年に軍情報部へ入っていた。 ローレンスは中東で活動している間にアラブ人と親しくなり、親アラブ的な発言をするようになる。そこで1929年に帰国した後、軍から解雇すると脅され、旅行を禁止されてしまう。そして1935年に自動車事故で死亡する。(Hugh Wilford, “The CIA,” Basic Books UK, 2024) ペルシャと呼ばれていた当時のイランで世界最大規模の油田が発見されたのは1908年5月のこと。その翌年にAPOC(アングロ・ペルシャン石油)が創設され、バーマー石油の会長だったストラスコナ男爵(ドナルド・スミス)が会長に就任、1919にイギリスはペルシャを保護国にしてしまう。そして1921年、軍の一将校にすぎなかったレザー・ハーンがテヘランを占領、その4年後に彼はカージャール朝を廃して王位につく。これがパーレビ朝のはじまりである。 1935年にAPOCはAIOCに名称を変更するが、実態に変化はなく、イギリス政府に膨大な利益をもたらした。第2次世界大戦後、1945年から50年にかけて2億5000万ドルの利益を石油は生み出している(Daniel Yergin, "The Prize", Simon & Schuster1991)のだが、その大半をイギリスの巨大資本と王族が独占していた。 その現実にイランの庶民は不満を募らせ、ムハマド・モサデクが首相に就任した議会はAIOCの国有化を決定。イギリスの圧力で1952年7月にモサデクは辞任、アーマド・カバム・サルタネーが首相になるものの、5日間で職を辞し、再びモサデクが首相になった。そこからイギリスの情報機関MI6はアレン・ダレスを巻き込み、CIAと共同でモサデク政権を1953年にクーデターで倒し、パーレビ体制を復活させる。この体制がイスラム革命で倒されたのは1979年のことだ。 ベトナム戦争で疲弊したこともあり、アメリカのリチャード・ニクソン大統領は1971年8月にドルと金との交換停止を発表、73年から変動相場制へ移行していく。ドルは金に束縛されることなく発行できるようになるが、金という裏付けをなくしたことから何も対策を講じずに発行を続ければハイパーインフレになり、基軸通貨としての地位から陥落する可能性が出てきた。そこでドルの流通量をコントロールする仕組みが作られる。 1973年に西アジアでは第4次中東戦争が勃発、石油危機が引き起こされるのだが、この危機は仕組まれたものだった。サウジアラビアの石油鉱物資源大臣を務めていたシェイク・アーメド・ザキ・ヤマニはイギリスの日曜紙「オブザーバー」の2001年1月14日付け紙面に掲載された記事の中で、「ある秘密会議」で石油価格の引き上げは決定されたと語っている。石油価格が大幅に引き上げられた背景には石油会社が多額の借入金で押しつぶされそうになっていた現実があるというのだ。この会議はビルダーバーグ・グループの会議だということをイギリスのジャーナリスト、ロビン・ラムゼイは突き止めている。(Robin Ramsay, "Was the 1974 oil price hike engineered by the Bilderberg group?" Lobser 41, Summer 2001) 産油国に対して石油取引の決済をドルに限定させ、集まったドルを産油国はアメリカへ還流させるというペトロダラーの仕組みが作られた。原油価格を上昇させれば回収効率が上がる。石油価格の上昇でアメリカの製造業は打撃を受けるが、製造業が繁栄するとドルの少なからぬ部分が現実の社会で流通するため、インフレを避けようとすればドルの発行を制限せざるをえなくなる。投機市場もドルを吸い上げるために有効な手段だ。 ペトロダラーの仕組みができあがって間もない1975年3月、アメリカにとって好都合なことが引き起こされる。自立の意思を持っていたサウジアラビアのファイサル国王が暗殺されたのだ。この暗殺はアメリカの支配力を強めることになった。 国王は執務室で甥のファイサル・ビン・ムサイドに射殺されたのだが、ジャーナリストのアラン・ハートによると、その暗殺犯はクウェートのアブドル・ムタレブ・カジミ石油相の随行員として現場にいた。 ビン・ムサイドはアメリカでギャンブルに溺れ、多額の借金を抱えていた人物。そのビン・ムサイドにイスラエルの情報機関モサドは魅力的な女性を近づけ、借金を清算した上で麻薬漬けにし、ベッドを伴にするなどして操り人形にしてしまったという。ファイサル国王が暗殺された後、サウジラビアのアメリカへの従属度は強くなる。(Alan Hart, “Zionism Volume Three,” World Focus Publishing, 2005) このシステムを受け入れさせるため、アメリカは産油国の支配者を富ませ、守り、国を防衛するなどと保証したのだが、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃はその保証が幻影だったことを明らかにした。アメリカに従属しても自分たちの地位と富は保証されず、かえって危険だということが明確になった。経済力や軍事力を使った「制裁」はアメリカの「切り札」だったのだろうが、その切り札を使った瞬間、アメリカの支配システムの崩壊が急速に進み始めた。 サウジアラビア、トルコ、パキスタンの相互防衛協定をスンニ派版のNATOだと言うことはできないと考える人が少なくない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.28
アメリカのドナルド・トランプ政権は同国がホルムズ海峡における船舶の通航が回復したと発表したが、イラン革命防衛隊(IRGC)はその主張を否定、敷設された機雷の正確な位置を把握しているのは自分たちだけだとしている。これまでもトランプ大統領は自分たちがホルムズ海峡を管理していると宣言してきた。そうした発言のたびに原油価格は低下するが、そうした話が事実でないことが明らかにされてきた。 2月28日にアメリカ軍とイスラエ軍がイランを騙し討ちして最高指導者を務めていたアヤトラ・アリ・ハメネイ師を含むイランの要人を殺害したものの、体制転覆に失敗、そこからイランの報復攻撃が始まった。イスラエルの主要都市が攻撃され、西アジアにおけるアメリカ軍基地が破壊されている。 バーレーンにあるアメリカ海軍の第5艦隊基地も破壊された。ここは艦船にミサイルや食糧を補給する重要な場所で、アメリカ海軍の艦船は補給が困難になっている。空母「エイブラハム・リンカーン」でも食事や生活環境が悪化し、問題になった。 この空母を含むアメリカ海軍の艦船ではシャワーがカビだらけで、トイレは壊れ、洗濯機は故障、お湯が出ないうえ食事は悲惨な状態だ。石鹸も脱臭剤も歯磨き粉もないという。その結果、乗組員5000人の精神衛生も悪化、海への飛び込む人が少なくないとされている。そのエイブラハム・リンカーンはアラビア界を離れ、タイへ向かっているとタイ当局が8月25日に発表した。アメリカ軍がホルムズ海峡を管理しているという状況ではない。ホルムズ海峡の状況をアメリカ政府が改善しようとしているとは思えない。 その8月25日、イランのアッバス・アラグチ外相とオマーンのサイード・バドル・ビン・ハマド・アル・ブサイディ外相がイランで会談、ホルムズ海峡の航行再開に向けた段階的な枠組みを定めた共同声明を発表した。暫定的な共同航路を設置、海峡の機雷除去する共同プロジェクト計画が柱になっている。 25日にはジョン・ラトクリフCIA長官を乗せたアメリカ軍のC-17A輸送機がモスクワのブヌーコボ空港へ到着、ロシアの治安機関と会談したとされている。ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官によると、ウラジミル・プーチン露大統領との接触はなかった。ラトクリフがモスクワを訪問したとする公式発表はなく、ロシア側から相手にされなかったとする見方もある。 ウクライナでロシア軍はオデッサをはじめ黒海に面した港を封鎖、黒海を回避した輸送ルートのドナウ川に面したレニ港やイズマイル港もロシア軍は破壊した。 NATOの司令部に対する攻撃も激化しているが、ショッピング・センターの地下倉庫を改造したドローンの組み立て工場やそこを出入りしてドローン発射に使われている配送用トラックもロシア軍は攻撃するようになった。破壊されたトラックがドローンを積んでいることはウクライナの救急隊員が撮影した映像に記録されている。敗北しつつあるNATO軍は飛び道具を使ってロシア深奥部を攻撃、防空体制の甘い民間施設を狙うようになったことに伴う攻撃のエスカレーションだ。 ロシア領内を攻撃している主体は事実上NATOなため、ロシア軍は早晩NATO諸国を攻撃すると推測する人が少なくない。イギリスを中心とするヨーロッパ諸国はロシア軍にNATO諸国の軍事関連施設を攻撃させ、アメリカ軍を戦場へ引き戻そうとしているとする推測もある。そうした流れになることを止めることがCIA長官がモスクワを訪問した理由ではないかと考える人もいる。 そのほか、ラトクリフCIA長官がモスクワを訪問した目的は、イランにホルムズ海峡の再開を迫るように頼んだ、あるいは経済戦争で脅したとする情報もある。ロシア側はこの脅しを拒否、ラトクリフとのやり取りをイラン側に伝えたとする話も伝えられている。アメリカが保有する戦略石油備蓄含む総貯蔵量は大きく落ち込み、底をつきそうな状況。中国が備蓄した石油を取り崩す一方、石炭へシフトしているとされているが、需給バランスの破綻は近づいているはずだ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.27

8月25日にモスクワのブヌーコボ空港へ到着したアメリカ軍のC-17A輸送機(RCH4555)にはジョン・ラトクリフCIA長官が搭乗していたと伝えられている。何らかの緊急事態が生じ、盗聴される通話ではなく直接会う必要があるほど重要な要件だったと推測されている。事前にアメリカはウクライナに対し、CIA長官の滞在中にモスクワを攻撃しないように要請したとも伝えられている。 すでにウクライナ軍は壊滅状態だが、そのウクライナ軍の衣をまとったNATO軍がロシアの深奥部を攻撃している。ロシア軍による報復攻撃は抑制されたものだったが、それを「弱さ」と判断したNATOは増長、戦場での敗北をテロ攻撃で挽回しようと試み、そのテロ攻撃は防空システムが脆弱な民間施設をターゲットにするようになってきた。その作戦を立てたのはパランティア・テクノロジーズのAIだとも言われている。 こうしたNATO軍による攻撃のエスカレートを受け、ロシア軍は「特別軍事作戦」から戦争へステージを進め、攻撃を強化している。イギリスを中心とするヨーロッパ諸国はロシア軍にNATO諸国の軍事関連施設を攻撃させ、アメリカ軍を戦場へ引き戻そうとしているとする推測もある。ラトクリフ長官がモスクワを急遽訪問した理由はヨーロッパ諸国への攻撃に踏み切らないよう、ロシア政府を説得することにあったと考える人もいる。 ウクライナだけでなくイランでもアメリカをはじめとする西側諸国は追い詰められている。米英の金融機関は通貨の流れをコントロールし、自分たちのもとへ集まるようにしているが、通貨は所詮呪物。富の本質は現物、そして実際の生産活動にある。 ラトクリフ長官を乗せたと思われるアメリカ軍きはモスクワのバヌーコボ空港を離陸、国家指導者や政府代表団の輸送を担当するロシア軍の特別飛行部隊がアメリカ軍きの後を追った。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.26

ワシントンDCの近郊にあるアンドルーズ基地を飛び立ったアメリカ軍のC-17A輸送機は8月23日にラトビアのリガへ到着、そのまま25日にはモスクワのブヌーコボ空港に着いた。その直後、モスクワではアメリカの外交官を示すナンバー・プレートをつけた車列が目撃されている。ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官はモスクワに着陸した輸送機に関する情報を持ち合わせていないと主張、またクレムリンでアメリア政府の代表者とロシア側が会談する計画はないと記者会見で語っている。 ウクライナを舞台としたロシアとNATOの戦争はロシア軍がNATO軍を圧倒している戦況に変化はない。フィンランドのアレキサンデル・ストゥブ大統領やイギリスのアンディ・バーナム首相はロシア軍が負けていると発言しているようだが、戦場の状況を見ればロシア軍が勝利していることは明白。御伽話で戦況を変化させることはできないのだが、敗北を認めることは、おそらく、彼らの破滅を意味する。 ソ連消滅後、イギリスの私的権力はロシアの石油利権も狙っていた。その中心にいたのはジェイコブ・ロスチャイルドだとボリス・エリツィン時代のロシアでオリガルヒとして同国の資産を略奪していたミハイル・ホドルコフスキーは語っている。 西側の巨大資本はウクライナの穀倉地帯も狙っている。2022年には約3分の1をカーギル、デュポン、モンサントの3社が所有、この3社は効率性を高めるため、コンソーシアムとして契約を締結して事業を開始した。このコンソーシアムは事実上、ウクライナの土地の半分以上を支配していると言われている。 カーギル、デュポン、モンサントの主要株主にはブラックロックのほか、バンガードやブラックストーンといった「闇の銀行」が名を連ね、ゼレンスキーはブラックロックのほかJPモルガンやゴールドマン・サックスと協力関係にある。ロスチャイルドが君臨している金融界が食糧の面でもウクライナを支配しようとしているのだが、戦争がこのまま進むとそうした利権を金融資本は失うかもしれない。ここにきてロシア軍はデュポン、モンサント、カーギルなど食糧ビジネス企業の工場も攻撃するようになっている。 ホドルコフスキーによると、会社の大株主を監視している「保護者」が存在、その株主に問題が生じた場合、管理書類を別の人物に渡すのだという。会社を本当に支配しているのはその「保護者」だが、ホドルコフスキー場合、それはジェイコブ・ロスチャイルドだった。ホドルコフスキーはロシアの石油会社ユーコスを所有していたが、実際の支配権を握っていたのはジェイコブ・ロスチャイルドだった。ホドルコフスキーはジェイコブの代理人にすぎない。 ホドルコフスキーはソ連時代の1989年頃、KGBのコネクションを利用してソ連の若い女性をニューヨークへ「モデル」として送り出す仕事をしていた。(Mark Ames, “Russia’s Ruling Robbers”, Consortium news, March 11, 1999) ジャーナリストのマイケル・グロスによると、ソ連時代にホドルコフスキーはコムソモール(全ソ連邦レーニン共産主義青年同盟)の指導者だったが、そのときにロシアの若い女性を西側の金持ちに売り飛ばしていた疑いがあるのだ。ソ連時代の1989に彼はリチャード・ヒューズなる人物とロシアの若い女性を「モデル」としてニューヨークへ送るビジネスを始めていた。(Michael Gross “From Russia with Sex”, New York, August 10, 1998) ホドルコフスキーのビジネスはジェフリー・エプスタインと似た匂いがするが、そのエプスタインは金融の世界に君臨しているロスチャイルド家の代理人である。人身売買はエプスタインが行っていた仕事に一部にすぎない。 エプスタインは黒魔術にも関係、ペトログリフの刻まれた岩石などを集め、古代の建造物に模した建物を建てたりしている。イングランドではエリザベス1世の時代(1593年から1603年)にオカルトが流行、女王に寵愛されたジョン・ディーは錬金術や超自然的な存在との交信で知られていた。世界支配においてオカルトが重要な役割を演じていることをエプスタインの事件は明らかにした。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.26
ロシア軍はFAB-1500爆弾、またはFAB-3000爆弾をオデッサのチョルノモルスクに投下、8カ所の目標を破壊、その攻撃で約20名のイギリス人傭兵を殺害したと伝えられている。攻撃の強度が上がっている。ウクライナの黒海に面した港は封鎖され、黒海を回避した輸送ルートのドナウ川に面したレニ港やイズマイル港もロシア軍は破壊している。イギリス政府はウクライナがイギリスの長距離巡航ミサイルを組め立てられるように、機密技術情報をウクライナへ提供すると言われている。 攻撃の対象も変化している。ウクライナ政府は以前から全てのショッピング・センターの地下倉庫をドローンの組み立て工場に改造、そこから民間の配送用トラックに積んで運び出し、発射してきたが、ロシア軍はそれらを攻撃してこなかった。ところがロシア軍はそれらを攻撃し始めている。破壊されたトラックがドローンを積んでいることはウクライナの救急隊員が撮影した映像に記録されている。 ドローンが戦闘の中心になったことから大規模な戦闘部隊の移動はリスクが高くなり、ドローンの操縦兵を攻撃しながらじっくり攻める戦術に変化している。ロシア軍も戦術を変更しているが、着実に進撃している。真綿で首を絞めるようにロシア軍はウクライナ/NATO軍を締め上げ、ウクライナ/NATO軍は兵器も食糧も枯渇状態だ。 ウクライナ/NATO軍のミサイル不足は深刻なようで、ウクライナのセルゲイ・コレツキーは日本政府に対し、迎撃用ミサイルの供与を求めていたが、木原稔官房長は8月24日の記者会見で、ウクライナに自衛隊法上の武器の移転を行うことは考えていないと述べた。 防弾チョッキや自衛隊車両とは違うということのようだが、ウクライナでの戦争はロシア軍が圧倒的に優勢で、ウクライナ/NATOが勝利することは難しいことを高市早苗政権も理解したのかもしれない。2014年2月のバラク・オバマ政権がキエフで仕掛けたクーデターによって始められた対ロシア戦争はロシア軍の反撃で無惨な失敗に終わりそうだ。その反撃について官房長は「国際秩序の根幹を揺るがす暴挙」だとしている。彼の言う「国際秩序」とはアメリカが支配する秩序であり、日本がアメリカの属国だと公言したに等しい。そのアメリカもウクライナでNATO軍がロシア軍に負けたことを理解して戦闘から距離を置き、戦争ビジネスに徹している。 そうした中、新たな戦場として東アジアが注目されている。現在、核戦争が勃発する可能性が最も高いのは東アジアだと語っているのはアメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターだが、ロシアのウラジミル・プーチン大統領も東アジアの軍事的な緊張が高まっていることを理解しているはずで、択捉島への訪問は日本に対する警告だろう。 そのロシアは朝鮮との関係を強化、両国は包括的戦略パートナーシップ協定を締結、2024年12月に発効した。それに基づいて朝鮮軍は1万から1万3000人程度をロシアへ派遣し、クルスクへ軍事侵攻したウクライナ軍を撃退する作戦に参加させ、目的を達成している。ここにきて3機の朝鮮製のKN23弾道ミサイルがドニプロペトロウシク州で攻撃に利用され、ウクライナの冶金工場「アルセロールミッタル」が破壊されたともいう。 今でも数千名の朝鮮軍兵士がロシアに駐留、その中にはドローン部隊も含まれているようだ。この規模の朝鮮軍でウクライナの戦況が変化するとは思えず、部隊の派遣は実戦経験を将兵に積ませ、ミサイルやドローンのテストが目的だろう。 アメリカは朝鮮との戦争を想定した軍事作戦を作成している。1973年には朝鮮軍の侵攻に備える目的で「OPLAN5027」され、その後の見直しで、朝鮮との戦争が勃発した場合、日本の基地が使われることも明確にされた。 1998年に改定された「OPLAN5027-98」では、金正日体制を倒して国家としての朝鮮を消滅させ、韓国が主導して新たな国を建設することを目的とされている。この内容は1998年11月に外部へ漏れて問題になる。 1998年8月に朝鮮は太平洋に向かって「ロケット」を発射、日本上空を通過し、第1段目は日本海に、また第2段目は太平洋に落下。この実験に関する情報をアメリカは遅くとも2週間前につかんでいたのだが、少なくとも表面的には沈黙していた。(豊下楢彦著『集団的自衛権とは何か』岩波書店、2007年) テポドン発射実験の3週間前、ミサイル防衛の前身であるTMD(戦域ミサイル防衛)関係予算の次年度計上を防衛庁が断念することもありえるという言われていたが、この実験で状況は一変した。そのため、アメリカ国防総省の関係者はこれを「金正日のプレゼント』だと快哉を叫んだという。(豊下楢彦著『集団的自衛権とは何か』岩波書店、2007年) 1992年2月に作成されたウォルフォウィッツ・ドクトリンでアメリカが日本を自分たちの戦争マシーンに組み込むことを決めたことは本ブログで繰り返し書いてきたが、テポドンの発射はそのドクトリンを後押ししたとも言える。 日本は1999年5月、朝鮮戦争に備えるため、アメリカ軍が日本や太平洋地域に駐留することを認めたが、この年、朝鮮の金体制が崩壊した場合に備えるとして新たな構想が検討されはじめた。CONPLAN(2005年6月にOPLANへ格上げ)5029である。この存在は同年8月に在韓米軍司令官が認めている。 ジョージ・W・ブッシュ政権がイラクを先制攻撃した直後の2003年4月には「CONPLAN8022」の草案が書き上げられ、11月に計画はできあり、翌年の6月、ラムズフェルド長官はこの計画を承認している。つまり、先制攻撃がはじめて認められた。(Hans M. Kristensen, “Global Strike”, FAS, 2006)この一方、朝鮮の軍事施設700カ所を「ピンポイント」で攻撃するというOPLAN5026が2003年7月に作成されている。(Ko Young-Dae, “Conplan 8022: Inside Bush’s Nuclear War Plan”, CounterPunch, April 18, 2008) 朝鮮は2003年1月にNPT(核拡散防止条約)から脱退すると宣言、05年2月には核兵器の保有を宣言、06年10月に朝鮮中央通信が「地下核実験に成功」と発表した。その後、アメリカが朝鮮を攻撃するという話は沈静化した。 ウクライナでロシアに敗北、西アジアでイランに敗北したアメリカは東アジアで戦争を始めるのではないかと言われているが、ロシアや中国を相手にして通常の戦争では勝てない。そこで核戦争になるのではないかと懸念する人もいる。そのアメリカの前に朝鮮もロシアや中国と共に立ちはだかっている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.25
イスラエルを作り出したシオニストがパレスチナ人を虐殺している映像が世界へ伝えられ、イスラエルを批判する声が強まっている。西側の大手メディアは実態を隠してきたが、インターネットの発達の結果、そうした情報を抑えきれなくなってきたのだ。しかもアメリカではそのシオニストが政治経済の内部に浸透、イスラエルの利益を第一に考える政策を推進させていることも明らかにされ、これも批判の対象である。そうしたイスラエルの悪いイメージを払拭するために使われているのがスポーツやショービジネスのスターにほかならない。 アメリカにおける映画ビジネスの中心地はハリウッドだが、そこでは神秘主義のカバラが影響力を強めている。その中にはサンドラ・バーンハート、ロザンヌ・バー、マドンナ、バーブラ・ストライサンド、エリザベス・テイラー、ジェフ・ゴールドブラム、ブリトニー・スピアーズ、マーラ・メープルズ、サラ・ファーガソン、ミック・ジャガー、ジェリー・ホール、モニカ・ルインスキー、パリス・ヒルトンが含まれているという。 ハリウッドにカルトが広まったのは、映画監督ロマン・ポランスキーの妻で俳優のシャロン・テートが殺された1969年8月頃だろう。その家はハリウッドのリベラル派とされる人びとが集う場所になっていた。彼女を含む5名を殺害したのはチャールズ・マンソンを信奉するカルトのメンバー4名だ。事件の前年、ポランスキーが監督した「ローズマリーの赤ちゃん」がアメリカで公開されている。 彼らは社会問題にもコミットして権力者と対峙、ベトナム戦争に反対する声が高まった1968年頃にはブラック・パンサーとも緊密な関係を築いていた。この団体はボビー・シールとヒューイ・P・ニュートンが1966年10月に結成、FBIの監視下に入っている。 ベトナム反戦運動が盛り上がる切っ掛けはテト攻勢。南ベトナムの主要都市が一斉に攻撃され、アメリカ軍が苦戦していることをアメリカ国民は目の当たりにしたのだ。そこでCIAはリンドン・ジョンソン大統領の命令に基づいて反戦運動を監視、さらに破壊する目的でMHケイアスを開始した。 マンソンらによる殺人事件をテートの友人である写真家のシャーロック・ハタミは8月9日の午前7時にリーブ・ウィットソンなる人物から電話で知らされている。ポランスキーのメイドが死体を発見する90分前ことだ。このウィットソンはCIAの仕事をしていたとする証言がある。 ウィットソンをCIAへ導いたのはインディアナ大学で彼の指導教官を務めていたピート・ルイスだが、この人物は後に傘に仕込まれた毒矢で殺されたと言われている。そうした証言をするひとりが元NBA(ナショナル・バスケットボール協会)のプレイヤーで、レイカーズのジェネラル・マネージャーになるビル・シャーマンだ。(Tom O’Neill, “Chaos,” William Heinemann, 2019) 元妻のエレン・ヨセフソンもウィットソンはCIAで働いていたと語っている。ふたりは1961年にスウェーデンで結婚、ニューヨークへ移り住む。ウィットソンは自分の母親とテートの母親は親しいとも語っていたという。(前掲書) シャロン・テートと一緒に殺されたジェイ・セブリングはヘアースタイリストで、彼女の元恋人。そのセブリングの常連にはジョン・F・ケネディ大統領の暗殺でも名前が出てきた好戦派の軍人カーティス・ルメイも含まれていた。同じ常連客だった犯罪組織の大物チャーリー・バロンはルメイの友人。バロンはやはり犯罪組織の大物だったメイヤー・ランスキーとも親しく、シカゴの自動車販売業界を牛耳っていたという。ナチス親衛隊の元将校でCIAの秘密工作にも深く関係したオットー・スコルツェニーもウィットソンの友人だったとされている。(前掲書) ロック・バンドのイーグルスが1977年に発表した「ホテル・カリフォルニア」に、ワインを持ってきて欲しいとホテルの人間に言うと、「そんなスピリットはここにはない。1969年からね」と言われている。言うまでもなく、「スピリット」は魂とか精神を意味している。1969年にはウッドストック・フェスティバルが開催され、ロックはビジネス度が高まり、精神は消えていく。 テト攻勢の後、ロックの世界でもベトナム戦争に反対する声が高まっていた。その中心にいたひとりがローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズだが、1969年7月3日にプールで死亡した。ジョーンズの親友で、ギネス家のニコラス・フィッツジェラルドとその友人は彼がプールで殺されるところを目撃したと証言している。 フィッツジェラルドによると、目撃した直後、藪の中からひとりの男が現れ、「ここから立ち去れ、フィッツジェラルド、さもないと次はおまえだぞ。」と言われたという。一緒に目撃した友人は行方不明になったとも語っている。(John L. Potash, “Drugs as Weapons Against Us,” Trine Day, 2015) マーチン・ルーサー・キング牧師が暗殺されたことを知ったロック・ギタリストのジミー・ヘンドリックスはブラックパンサーなどを支援するようになり、FBIから監視されるようになった。彼のマネージャーを務めたマイク・ジェフリーはイギリスの対外情報機関MI6の元エージェント(情報機関に「元」は存在しない)だとされている。ヘンドリックスの麻薬スキャンダルはジェフリーが仕組んだと疑われている。 ヘンドリックスはジェフリーを解雇しようとするが、1969年に犯罪組織がヘンドリックスを誘拐、それをジェフリーが彼のマフィア人脈を利用して救出するという出来事があった。 それでもヘンドリックスは1970年9月16日にジェフリーを解雇、その翌日にヘンドリックスは死亡する。ロンドンのアパートで昏睡状態になっている彼を恋人のモニカ・ダンネマンが発見、すぐに救急車で病院へ運ばれたが、彼女によると、発見時にジミーはまだ生きていた。ロンドン警視庁は診断したジョン・バニスター医師の証言として、ジミーは病院へ到着した段階で死亡していたと発表しているが、救急隊はそれを否定している。 反戦コンサートに参加する計画を立てていたジャニス・ジョプリンは1970年10月4日に死亡した。高濃度のヘロイン摂取によるショック死だとされている。 そのほかジム・モリソンは1971年7月3日に心不全で死亡、戦争に反対する意思を明確にしていたジョン・レノンは活動を再開して間もない1980年12月8日に射殺された。1979年12月にNATO理事会は83年にパーシング2ミサイル572基をNATO加盟国に配備することを決定、核戦争を懸念する声が世界的に高まっていた。 1969年から短期間にブライアン・ジョーンズ、ジミー・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン、ジム・モリソンなど自分の意思を持つスターが変死した。それ以降の「スター」に「スピリッツ」はないとイーグルスは歌っているのかもしれない。 ハリウッドに浸透したカバラはユダヤ系の神秘主義だが、ユダヤ国家だと自称しているイスラエルは「警備チーム」という形で欧米のセレブを囲んでいる。「イスラエルの顔」になっているサッカーのスター、リオネル・メッシのほか、ブラッド・ピット、ジェニファー・アニストン、マドンナ、ピンク、ジェニファー・ロペス、カニエ・ウェスト、テイラー・スウィフト、そしてチャーリー・カークなどをイスラエルの治安機関「シン・ベット」や対外情報機関の「モサド」そして特殊部隊の元隊員らで編成される警備チームが警護しているという。警護されている人びとは監視され、弱みを握られる。警護対象を殺すことも難しくはない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.24

ロシア軍によるキエフへの攻撃が続いている。イスカンデルM弾道ミサイル、ジルコン極超音速ミサイル、KH101巡航ミサイル、カリブル巡航ミサイルのほか自爆ドローンや朝鮮製のKN23弾道ミサイルが使われたようだ。 こうした攻撃によって軍事施設、主要インフラ、製造工場などが破壊され、ポーランド、ドイツ、フランスなどから派遣された技術者も死亡したと伝えられている。ロシア国防省は声明で、ロシア軍がキエフ周辺の輸送インフラ施設と物流センターを攻撃したと発表している。ロシア軍は兵站を重要な攻撃目標にしていると言えるだろう。 攻撃された工場の中にはデュポン、モンサント、カーギルなど食糧ビジネス企業が含まれているが、ウクライナの耕作地はこうした企業が所有、穀物はヨーロッパへ運ばれてきた。すでに壊滅状態のウクライナ軍では兵士が飢餓で苦しんでいるのだが、今後、ヨーロッパも飢饉に襲われる可能性が高い。 ウクライナでは徴兵担当官が街頭で男性を拉致、軍事訓練をほとんどしないまま最前線へ送り込み、「バンザイ突撃」を強いられている。そのため戦死者が増えているが、それだけでなく脱走も増加、ウォロディミル・ゼレンスキー政権は男性だけでなく女性も徴兵対象にすると言い始めている。 ロシア軍がウクライナの海上輸送を封鎖する前、ウクライナ/NATOは「ウクライナ製の水上ドローン」でロシアの艦船、潜水艦、タンカーに対抗していた。表向きはウクライナ企業のUforceが開発したとされてが、この会社はロンドンが拠点。この水上ドローンはイギリスで設計され、製造されている。開発にはF1のイギリス人エンジニアが関与しているとも言われている。 2014年2月にウクライナで対ロシア戦争を始めたアメリカのバラク・オバマ政権にとって、ウクライナもロシアもスラブ系の国。スラブ系の人びとを互いに殺させ、空いた土地を自分たちが盗むという筋書きだったのだろうが、ロシアは疲弊せず、ヨーロッパ諸国が崩壊しつつある。 複数のターゲット国を互いに戦わせ、共倒れにさせるという手口はイギリスの得意技だが、それをアメリカのネオコンは真似してウクライナで戦争を始めた。西アジアではシーア派、スンニ派、ユダヤ教徒などの対立を煽り全域を支配しようとしている。そのための「航空母艦」がイスラエルにほかならない。アメリカ、イギリス、イスラエルはひとつの国だと考えるべきだ。 東アジアでは明治維新以降、日本を操り、戦乱で地域を破壊、財宝を奪ってきた。ロシアの十月革命で成立したボルシェビキ体制を倒すためにイギリス、フランス、アメリカ、日本は軍隊を派遣して干渉戦争を展開したが、その際、日本軍はロシアから金塊を持ち帰ったことが判明している。 また1937年7月の「盧溝橋事件」で日本と中国は全面戦争に突入、同年12月に日本軍は南京を制圧するが、その際の作戦が不味かったこともあり、虐殺事件を引き起こしている。この攻略戦を上海派遣軍の司令官として指揮したのは昭和天皇の叔父にあたる朝香宮鳩彦だ。 この攻略戦で日本軍は組織的な財宝略奪を始める。「金の百合」だ。この作戦を指揮したのは秩父宮雍仁、その補佐役は竹田宮恒徳。財宝は一旦フィリピンへ運び、そこから日本へ運ばれる仕組みが作られたのだが、途中で戦局が悪化して輸送が困難になり、相当部分がフィリピンに隠された。運び出しに成功した金塊は東京にあるスイス系銀行、マカオにあるポルトガル系銀行、あるいはチリやアルゼンチンの銀行に運び込まれたという。(Sterling & Peggy Seagrave, “Gold Warriors”, Verso, 2003) 日本が降伏すると、アメリカ軍のエドワード・ランズデール大尉(当時)は1945年10月中旬、財宝の隠し場所を日本軍の捕虜から聞き出すことに成功する。当時、ランズデールはアメリカ軍のG2(情報部)に所属、そのトップはチャールズ・ウィロビー少将だが、本当の所属は情報機関OSSだった。 そのランズデールの下にいた情報将校のセベリーノ・ガルシア・ディアス・サンタ・ロマーナも日本軍が隠した財宝に関する情報を持っていたが、その愛人がイメルダ・ロムアルデス。ロマーナはこの女性をフェルディナンド・マルコスに紹介、ふたりは結婚した。 回収した金塊をフィリピンから国外の銀行へ移す作業はDNPエンタープライズが中心になって行われ、そのネットワークの中にはウォーレス・グローブスも含まれていた。 グローブスが所有するカジノを経営していたのはユダヤ系ギャングでCIAと手を組んでいたメイヤー・ランスキー。このギャングはイタリア系のラッキー・ルチアーノと少年時代からの友人で、このふたりはユダヤ系ギャングのアーノルド・ロステインの配下に入っていた。 ランズデールは財宝に関する情報を東京のダグラス・マッカーサー元帥、ウィロビー少将、そしてGS(民政局)のコートニー・ホイットニー准将に報告、さらにワシントンDCへ行き、ジョン・マグルーダー准将に説明している。ランズデールをフィリピンへ行かせたのはこのマグルーダーにほかならない。 マグルーダー准将はウィリアム・ドノバンOSS長官の部下。マグルーダー准将の指示で、ランズデールはハリー・トルーマン大統領の国家安全保障を担当していたスタッフにも会っている。 金の百合の回収が進められていた頃、ヨーロッパでは「ナチ・ゴールド」が回収されていた。ジョン・ロフタスとマーク・アーロンズによると、ナチがヨーロッパで略奪した資金はドノバンのWCC(世界通商)でロンダリングされ、戦後にタイへ運ばれたという証言もある。(John Loftus & Mark Aarons, “The Secret War against the Jews”, St. Martin’s Press, 1994) 閑話休題。ロシア軍はオデッサやニコラエフへ物資を輸送する船舶を攻撃、沈没させることで黒海に面した港を封鎖、そこでウクライナ/NATOはドナウ川を利用して物資を輸送しているのだが、ロシア軍はウクライナとNATO加盟国を隔てるドナウ川に面したレニ港やイズマイル港を攻撃した。ドナウ川を利用できなくなると、ウクライナ/NATOの兵站は危機的な状態になった。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.23

アメリカ財務省によると、同国の連邦債務が40兆ドルを突破した。この数値自体に意味があるとは言えないが、アメリカの財政が危機的な状況にあることを示す象徴とは言える。そのアメリカ以上に危機的な状態にある国が日本にほかならない。追い詰められた日本はアメリカの財務省証券を売らざるをえない状態だ。 1970年代の後半から日本の普通国債残高は上昇し続けている。その節目は1974年12月の田中角栄政権の終焉だろう。1982年11月に成立した中曽根康弘政権は政界へ入った直後からCIAとの関係が深く、彼の背後には岸信介がいた。 中曽根は新自由主義的な政策を推進しようとしたが、政権の内部にブレーキ役がいた。官房長官に据えられた後藤田正晴だ。後藤田は田中角栄の懐刀と言われていた人物。中曽根政権が「田中曽根内閣」と呼ばれた理由のひとつはここにあるのだが、実態は「岸影内閣」だった。後藤田をスキャンダルで排除しようとする動きもあったが、失敗している。 ソ連が消滅した直後の1992年2月にアメリカ国防総省のDPG(国防計画指針)草案(ウォルフォウィッツ・ドクトリン)が作成された。アメリカの軍事や外交をコントロールしていたネオコンはソ連の消滅でアメリカが「唯一の超大国」になったと考え、そのDPGは新たなライバルの出現を防ぐと宣言している。 ネオコンは日本も潜在的なライバルだと認識、弱体化させようとするのだが、その一方でDPGはドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設する、つまりドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げると謳っている。日本人を戦闘奴隷にすると言うことだろう。 1993年8月に成立した細川護煕政権は国連中心主義を打ち出して抵抗、94年4月に倒された。同年6月から自民党は社会党やさきがけを巻き込んで連立政権を樹立、抵抗したが、それに対して1995年2月にジョセイフ・ナイが「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表してアメリカの政策に従うように命令、このタイミングで日本を震撼させる出来事が相次いだ。 つまり、1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布された。(地下鉄サリン事件)松本サリン事件の翌月に警察庁長官は城内康光から國松孝次へ交代したが、その國松は地下鉄サリン事件の直後に狙撃されている。1995年8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われているスターズ・アンド・ストライプ紙に85年8月12日に墜落した日本航空123便に関する記事を掲載、墜落の際に自衛隊が不適切なことを行なったと示唆。こうした出来事と並行する形で証券スキャンダルや銀行スキャンダルが発覚、大蔵/財務官僚はアメリカに屈服した。この後、普通国債残高は大きく上昇し始め、国民は債務奴隷化、「エリート」やその背後にいる米英の私的権力の支配力は強まる。 2001年4月に成立した小泉純一郎政権は新自由主義的で好戦的な政策を強行、日本社会は急速に崩壊し始めた。その流れを加速させたのがその年の9月11日に引き起こされたニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)への攻撃だ。2003年3月にジョージ・W・ブッシュ政権はイランを先制攻撃、そこから世界征服戦争を始めた。 しかし、この計画は思惑通りに進まず、バラク・オバマ政権はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を主力とする戦闘集団を編成、2011年春からシリアやリビアなどの体制を転覆させる侵略戦争を開始、14年2月にはウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒した。ウクライナを舞台にした対ロシア戦争は2014年のクーデターから始まる。 そして今年2月28日、ドナルド・トランプ政権はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ政権と共同でイランを騙し討ちにして最高指導者だったヤトラ・アリ・ハメネイ師を含む政府要人を殺害したが、イランは屈服するどころか強烈な報復攻撃で西アジアにあるアメリカの軍事基地やイスラエルの重要施設を破壊した。 破壊されたアメリカ軍基地にはカタールのアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地、サウジアラビアのリヤドにあるプリンス・スルタン空軍基地、ヨルダンのムワファク・アル・サルティ空軍基地、クウェートにあるふたつの基地などが含まれ、イスラエルではテルアビブやハイファ、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)近辺が攻撃されている。 アメリカはウォルフォウィッツ・ドクトリンに従って世界征服戦争を始めたが、その前にロシア、イラン、中国が立ち塞がった。アメリカはこの3カ国との戦争で敗北は不可避だ。 ロシア、イラン、中国は、アメリカに従属して中国やロシアと戦争する準備を進めている日本も敵だと認識しているのだが、日本人は自分の置かれた状況を理解していないようだ。世界の人びとは日本の置かれた状況をアメリカ以上に危機的だと考えている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.22

ロシア軍がキエフに対する大規模な攻撃を続けている。そのターゲットはウクライナの軍事産業、兵器庫、兵站、燃料供給だとロシア側は主張しているが、ロシアの情報機関はイギリスの軍事産業がミサイルを製造している工場の正確な位置を特定、それらをロシア軍が破壊していると伝えられている。そうした工場ではイギリス人技術者が監督しているため、ロシア軍の攻撃で犠牲者が出ているともいう。 また、ロシア軍は都市を爆撃するだけでなくアゾフ海やドン・アゾフ運河におけるすべての水上交通やケルチ海峡の航行を停止させ、オデッサやニコラエフへ物資を輸送する船舶の航行を遮断、ウクライナは黒海経由で物資を運び込むことができない。以前からNATO諸国はモルドバからトラックなどで兵器をウクライナへ運び込んでいたが、ロシア軍は8月20日、攻撃型ドローンで輸送の拠点を攻撃した。ロシア軍はウクライナ軍の兵站線を遮断しようとしているほか、NATO軍の将兵や施設も容赦なく攻撃しはじめた。 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーは6月下旬、ロシアに戦争を終わらせる、つまり降伏させると宣言した。それを実現させるための切り札とされたのがロシア深奥部まで届くイギリス製のドローンやミサイル。それらはNATO諸国の情報機関網や衛星が収集した情報で目標を定め、アメリカの衛星ネットワークに誘導されている。 そうした攻撃を実施すればロシア国民は怖気付くとゼレンスキーは考えたのだろう。本ブログでは繰り返し書いてきたように、ゼレンスキーはイギリスの対外情報機関MI6に操られている可能性が高く、そのハンドラーはMI6長官だと見られているので、イギリスの情報機関もそう考えた可能性が高い。 それに対し、ロシアは朝鮮との関係を強化、モスクワと平壌との間で締結された包括的戦略パートナーシップ協定が2024年12月に発効している。それに基づいて朝鮮軍は1万から1万3000人程度をロシアへ派遣し、クルスクへ軍事侵攻したウクライナ軍を撃退する作戦に参加させ、目的を達成しているのだが、ここにきて3機の朝鮮製のKN23弾道ミサイルがドニプロペトロウシク州で攻撃に利用され、ウクライナの冶金工場「アルセロールミッタル」が破壊された。その結果、工場の大部分を閉鎖せざるをえなくなっている。 派兵にしろミサイル発射にしろ、ウクライナにおける戦況に大きな変化をもたらすものではない。朝鮮軍に実戦経験を積ませることが目的なのだろう。それだけロシア軍は余裕を持っている。 ウクライナでロシア軍に圧倒されているNATO軍は長距離ドローンでモスクワを含むロシア深奥部への攻撃で対抗している。こうした攻撃で戦況を変化させることは不可能だが、ロシア国民を怒らせることはできる。選挙を控えていることもあり、ロシア政府は報復せざるをえない。 そこで「特別軍事作戦」から戦争へステージを進め、攻撃を強化しているのだが、イギリスを中心とするヨーロッパ諸国はロシア軍にNATO諸国の軍事関連施設を攻撃させようとしていると推測する人もいる。ロシアのNATO諸国を攻撃させればアメリカが参戦せざるをえなくなり、核戦争を実現できると考えているのではないかというわけだ。実際、アメリカ政府の内部には戦術核兵器を使用するべきだと主張する人が存在する。そのひとりがエルブリッジ・コルビー国防次官にほかならない。 エルブリッジの祖父に当たるウィリアム・コルビーは第2次世界大戦の終盤に米英の秘密工作機関が組織したジェドバラのメンバーで、1973年から76年までCIA長官を務め、その際、議会で情報機関の秘密工作について証言し、組織から睨まれることになった。1996年4月、彼は別荘からカヌーで漕ぎ出したまま行方不明になり、後に水死体となって発見された。他殺説を唱える人も少なくない。 エルブリッジ・コルビーの妻、スサナ・コルデイロ・ゲラはブラジル人経済学者で、ジャイール・ボルソナーロ前大統領と親しいことでも知られている。 また、彼女の師にあたるパウロ・ゲデスはアウグスト・ピノチェトが率いるチリの軍事独裁体制で新自由主義政策を推進した「シカゴ・ボーイズ」のひとり。ピノチェトは1973年9月11日、リチャード・ニクソン政権を後ろ盾とする軍事クーデターでサルバドール・アジェンデ政権を倒して実権を握り、世界で初めて新自由主義を政策に取り入れた。この政策をヨーロッパで初めて採用したのがイギリスの首相を務めたマーガレット・サッチャーだ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.21

ドナルド・トランプ米大統領は8月18日、「新しい合州国の領土」というタイトルでホルムズ海峡の画像を投稿したが、この海峡はアメリカ軍とイスラエ軍は2月28日にイランを奇襲攻撃して以来、イランが管理している。ホルムズ海峡は開放されているとトランプ大統領は主張している。事実ではないのだが、トランプ大統領は妄想の中にどっぷり浸かり、問題の存在を否定することで逃げようとしている。 アメリカ軍がイスラエル軍と共同でイランを攻撃した直後にイランの革命防衛隊(IRGC)は反撃を開始、イスラエルの主要都市や西アジアにあるアメリカ軍基地を攻撃、破壊する。 ターゲットにはイスラエルのテルアビブやハイファ、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)近辺が含まれ、またアメリカ軍基地にはカタールのアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地、サウジアラビアのリヤドにあるプリンス・スルタン空軍基地、ヨルダンのムワファク・アル・サルティ空軍基地、クウェートにあるふたつの基地などが含まれる。 バーレーンの第5艦隊基地はアメリカ海軍の艦船にミサイルや食糧を補給する重要な場所で、アメリカの艦船は補給が困難になる。現在、アメリカ海軍の空母「エイブラハム・リンカーン」で食事や生活環境が悪化し、問題になっているが、その原因はバーレーンの基地が破壊され、機能不全になったことにある。 この空母を含むアメリカ海軍の艦船ではシャワーがカビだらけで、トイレは壊れ、洗濯機は故障、お湯が出ないうえ食事は悲惨な状態だ。石鹸も脱臭剤も歯磨き粉もないという。その結果、乗組員5000人の精神衛生も悪化、海への飛び込む人が少なくないとされている。ピート・ヘグセス国防長官は「フェイクニュースだ」として無視しているが、長官の発言がフェイクだ。 戦争の拡大によってホルムズ海峡は封鎖されたが、イエメンを統治しているアンサール・アッラー(フーシ派)はサウジアラビアの船舶が紅海への入り口であるバブ・エル・マンデブ海峡を航行させないと発表した。現在、バブ・エル・マンデブ海峡の通行量は2桁台で、以前より1桁少ない。さらにジザンにあるアラムコの製油所を攻撃したとしている。 ホルムズ海峡の封鎖とバブ・エル・マンデブ海峡の航行制限によって物資の輸送が滞った。ホルムズ海峡の封鎖によって、原油だけでなく肥料を生産するために必要な尿素、アンモニア、リン酸2アンモニウム、硫黄の輸送が止まった。LNGやヘリウムも生産設備が破壊され、生産再開には数年を要するとも言われている。 トランプ政権はアメリカが保有する戦略石油備蓄含む総貯蔵量は大きく落ち込み、底をつきそうな状況。膨大な量の石油を備蓄していた中国がそれを取り崩し、液化石炭への切り替えを図っているようで、石油の需給は予想より逼迫していないが、危機的な状態であることにかわりはない。トランプ政権は「イランへの核兵器使用を検討している」とマージョリー・テイラー・グリーンは8月18日に発言している。これが事実なら、それほど追い詰められていると言うことだろう。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.20

アメリカの支配層はNATOを使い、ウクライナで対ロシア戦争を展開してきた。その戦争でロシアの勝利は確定的だが、それはNATOの敗北を意味する。日本は2025年1月、ブリュッセルの在ベルギー日本大使館に日本政府代表部を開設した。現在、NATOは米英の侵略軍として機能しており、日本も米英の侵略に加担していることを意味する。 アメリカの国防総省はソ連が消滅した直後の1992年2月にDPG(国防計画指針)草案を作成したが、その中にはドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設するとも書かれている。要するにドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込むということであり、その計画通りになっているようだ。 ところで、NATOはソ連軍の侵略に備えることが目的だと考えている人も少なくないようだが、ソ連はドイツ軍による軍事侵攻で2500万人以上が死亡したと言われ、国土の3分の1、産業基盤の3分の2近くが破壊されていた。ソ連軍はナチの地盤を制圧したものの、ヨーロッパ全域へ攻め込むことなど不可能だった。 NATOを創設した目的について、ウィンストン・チャーチルの側近でNATOの初代事務総長になったヘイスティング・イスメイはソ連をヨーロッパから締め出し、アメリカを引き入れ、ドイツを押さえつけることにあるとしていた。NATO創設の前年、1948年にイギリスとアメリカの支配層はヨーロッパを統合するためにACUE(ヨーロッパ連合に関するアメリカ委員会)を創設している。 ヨーロッパを統合するとは、ヨーロッパをアングロ・サクソンの支配地域にすることを意味する。その目的を達成する上で大きな障害になると考えれていたのは第2次世界大戦中、ドイツ軍と戦っていたレジスタンスだ。ドイツ軍と戦ったのはレジスタンスだけだと言う人もいる。その主力はコミュニストだった。 このレジスタンスに対抗するため、アメリカの情報機関OSSの一部門だったSOとイギリスの特殊部隊SOEは1944年にゲリラ部隊をフランスで編成した。ジェドバラだ。 この人脈は第2次世界大戦後、一部は特殊部隊へ入るが、一部は極秘の破壊工作機関OPCの中核になる。OPCは1950年10月にCIAへ吸収され、破壊工作部門の主体になった。その部門の名称は計画局、作戦局、国家秘密局、そして作戦局へ変化している。 ナチが勢力を拡大させた大戦前の時期にアメリカやイギリスの金融機関は彼らに資金を提供していた。ナチの戦争犯罪を研究しているアメリカン大学のクリストファー・シンプソンによると、1920年代後半にアメリカからドイツへ融資という形で多額の資金が流れている。 アメリカ商務省の統計を見ても、アドルフ・ヒトラーが権力を握ってからアメリカの対ドイツ投資額が急増。ヨーロッパ大陸全域でアメリカの投資額が激減している中、1929年から40年の間に約48.5%増えている。(Christopher Simpson, “The Splendid Blond Beast”, Common Courage, 1995) アメリカからドイツへ資金を送る上で中心的な役割を果たした金融機関にはディロン・リードとブラウン・ブラザーズ・ハリマンが含まれている。ディロン・リードの融資先はドイツ銀行、ジーメンス、そしてフリードリヒ・フリックなどに集中していた。 ジョージ・H・W・ブッシュの父親であるプレスコット・ブッシュやW・アベレル・ハリマンが経営していたユニオン・バンキングはナチへ資金を送るために作られた金融機関だと言われ、その背後にはハリマン一族のほかジョージ・ハーバート・ウォーカーがいた。 ウォーカーの娘であるドロシーとプレスコットは1921年に結婚、24年にウォーカーが社長を務める投資銀行A・ハリマンの副社長に就任している。ユニオン・バンキング(UBC)が創設されたのも1924年。プレスコットは1931年にブラウン・ブラザース・ハリマンの共同経営者になっている。 ウォール街の大物銀行家だったプレスコットはアレン・ダレスと親しかったと言われている。ダレスは1893年に誕生、プレスコットは95年に誕生、つまり2歳違いだ。しかもアレン・ダレスはウォール街の弁護士であり、ウォール街の銀行家であるプレスコットと親しくなる。アレンは大戦中にOSSの幹部、大戦後にはCIAの長官として活動していた。 プレスコット・ブッシュはエール大学出身だが、大学時代からW・アベレル・ハリマンの親友で、ふたりとも学生の秘密結社として知られているスカル・アンド・ボーンズのメンバーだった。プレスコットの息子も孫もこの結社に入会することになる。 ジョージ・H・W・ブッシュもエール大学へ入り、スカル・アンド・ボーンズのメンバーにもなっている。大学ではボート部のコーチだったアレン・ウォルツと親しくしていたが、この人物はエール大学におけるCIAの採用担当者だった。ブッシュはそのウォルツからCIAへ誘われたと信じられている。 ところで、ジェドバラ人脈はNATOの内部へも入り込み、1951年になるとCPC(秘密計画委員会)の下で活動するようになった。1957年にはSACEUR(欧州連合軍最高司令官)の命令でCPCの下部組織としてACC(連合軍秘密委員会)が創設される。この委員会を通じてアメリカはNATO加盟国に設置した秘密部隊のネットワークを操ってきたとも言われている。そうした秘密部隊の中でも特に有名な組織がイタリアのグラディオだ。 NATOへ加盟するためには秘密の反共議定書にも署名する必要があるのだが、グラディオについて研究しているスイスの学者ダニエレ・ガンサーによると、NATOの元情報将校は「右翼過激派を守る」ことが秘密の議定書によって義務づけられていると語っている。コミュニストと戦うために彼らは役に立つという理由からだという。(Daniele Ganser, “NATO’s Secret Armies”, Frank Cass, 2005) コミュニストの影響力の強かったイタリアでグラディオは爆破テロを繰り返し、その責任をコミュニストになすりつけ、その影響力を低下させ、治安体制を強化していく。いわゆる緊張戦略だ。この人脈はジョン・F・ケネディ暗殺やシャルル・ド・ゴール暗殺未遂でも名前が出てくる。こうした出来事については拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』(三一書房、2005年)でも説明している。 日本はNATOとの関係を強めているが、グラディオ的な極秘の破壊活動機関が設置されている可能性がある。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.19

アメリカ軍と韓国軍は8月17日、朝鮮半島での戦争を想定した合同軍事演習「乙支自由の盾」を開始した。ドローンへの対応、GPS妨害、サイバー攻撃への対策に重点を置いていると言われていたが、ドナルド・トランプ米大統領はドナルド・トランプ米大統領は8月16日、「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、この年次演習へアメリカが参加することに不満を表明、演習を完全に中止するには時期が遅すぎるので「大幅に縮小」するようにピート・ヘグセス国防長官へ指示したと述べている。 トランプが投稿する前日の15日、韓国の李在明は朝鮮やその他の関係者に対し、対話を呼びかけた。「互いに威嚇し合うのをやめ、当事者として、この長期にわたる戦争の終結に向けた協議を始めようではありませんか」というのだ。朝鮮戦争は休戦協定で戦闘が止まっているのだが、それを恒久的な平和体制へと置き換えようというわけである。 それに対し、朝鮮の金正恩総書記は統一政策を放棄し、韓国を「最大の敵対国」と規定、最前線での軍事力強化を指示した。さらに韓国の原子力潜水艦導入計画を批判、アメリカと韓国の「乙支自由の盾」を挑発行為だと非難し、アメリカ、韓国、日本の軍事協力拡大が朝鮮半島の安全保障上の緊張を悪化させていると警告している。この反発にアメリカ政府は驚いたようだ。 朝鮮が主張している安全保障上の懸念をロシアも共有、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相によると、ロシアは朝鮮半島の非核化を求める呼びかけを支持しないという。 そのロシアで大統領を務めるウラジミル・プーチンはロシア太平洋艦隊が軍事演習を行っていたサハリン島に続き、8月13日に択捉島を訪問した。日本の反ロシア政策に対する警告だ。 本ブログでも繰り返し書いてきたが、戦後日本は「ポツダム宣言」の受諾から始まる。その宣言には「カイロ宣言の条項は、履行せらるべく、又日本国の主権は、本州、北海道、九州及四国並に吾等の決定する諸小島に局限せらるべし」とある。確定している日本の領土は本州、北海道、九州、四国だけであり、残りの領土は連合国が決めることになっているわけだ。言うまでもなく、「吾等」とは連合国を意味する。 連合国の中にはロシアも含まれるのだが、日本はアメリカに従属することでポツダム宣言の制約を受けないと考えているようだ。そして日本はアメリカの戦略に従い、ロシアや中国との戦争へ向かう。 日本を支配しているアメリカやイギリスは強大な私的権力に支配されているが、その私的権力の軍隊として機能しているのがNATO。ソ連が消滅した直後からNATOの東方への拡大が始まったが、これはナチ時代のドイツ軍が実行したソ連への軍事侵攻作戦「バルバロッサ」の再現にほかならない。いわば「新バルバロッサ」だ。そして2014年2月、ウクライナに到達した。その段階でロシア軍が動かなかったことを批判する西側の元政府高官もいたが、おそらくロシア軍は準備ができていなかったのだろう。 ロシアや中国にとってNATOは侵略軍にほかならないのだが、日本は2025年1月、NATO日本政府代表部を開設した。対中露戦争へ日本も加わると思われても仕方がない。何しろNATOは米英の侵略軍だ。 2023年初めにNATOの事務総長だったイェンス・ストルテンベルグが来日したが、そのタイミングでNATOが2024年までに日本に連絡事務所を開設することを検討していると伝えられた。この計画は中国が反発し、計画は立ち消えになったものの、駐日デンマーク大使館がその役割を担っているようだ。 日本とNATOの関係は田中角栄がロッキード事件で失脚した頃から始まる。その頃、日本はNATOの「域外パートナー」になり、2014年に日本とNATOは共同軍事演習を実施、2018年に日本は在ブリュッセル日本大使館内にNATO担当部署を設置している。 アメリカの国防総省はソ連が消滅した直後の1992年2月にDPG(国防計画指針)草案を作成した。作成の中心は国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツだったことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 このドクトリンは世界征服計画にほかならないが、その中にはドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設するとも書かれている。要するにドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げ、西ヨーロッパ、東アジア、そしてエネルギー資源のある西南アジアが成長することを許さないと宣言しているのだ。 当初、日本側はアメリカの戦争マシーン組み込まれることを拒否していたが、1995年に屈服した。これは本ブログで繰り返し書いてきた。そして2001年4月に小泉純一郎政権が成立、政治経済面では新自由主義を導入、軍事面では好戦的な政策を進める。そうした政策を後押しすることになるのが2001年9月11日の出来事、つまりニューヨークの世界貿易センターやバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)への攻撃だ。 2022年の4月にアメリカ国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」が明らかにしているが、アメリカ軍はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲するという計画を立てていた。その計画にしたがい、自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。 南西諸島にミサイル発射基地が建設されつつあった2017年11月、アメリカはオーストラリア、インド、日本とクワドの復活を協議。2020年6月にNATO(北大西洋条約機構)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長はオーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言し、21年9月にはアメリカ、イギリス、オーストラリアのアングロ・サクソン3カ国が太平洋でAUKUSなる軍事同盟を創設したとする発表があった。 与那国島にミサイル発射施設を建設する前年、2015年の6月、総理大臣だった故安倍晋三は赤坂の「赤坂飯店」で開かれた官邸記者クラブのキャップによる懇親会で、「安保法制は、南シナ海の中国が相手なの」と口にしたと報道されている。安倍首相は南シナ海における中国との軍事衝突を見通していた。 岸田文雄政権は2022年12月16日に「国家安全保障戦略(NSS)」、「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」の軍事関連3文書を閣議決定、2023年度から5年間の軍事費を現行計画の1.5倍以上にあたる43兆円に増額して「敵基地攻撃能力」を保有することを明らかにしている。 2022年10月には、「日本政府が、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入を米政府に打診している」とする報道があった。亜音速で飛行する巡航ミサイルを日本政府は購入する意向で、アメリカ政府も応じる姿勢を示しているというのだ。 NATOはロシアとの戦争を声高に叫んでいたが、ここにきてロシアがウクライナでの戦争を外交的に解決することを断念、「特別軍事作戦」から「戦争」へステージを進めて攻撃を強化、オデッサを含む南部の港湾を封鎖、NATO軍の将兵や施設も容赦なく攻撃するようになった。ロシアは反撃しないと高を括っていたNATO諸国は慌てているが手遅れ。日本はそうした状況の中へ飛び込もうとしている。トランプ政権もロシアの動きを見て軌道修正を図っているようだが、日本は「無敵のアメリカ」に従属することしか考えていないのではないだろうか。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.18
このブログは読者の皆様に支えられています。ブログを存続させるため、カンパ/寄付をよろしくお願い申し上げます。【振込先】巣鴨信用金庫店番号:002(大塚支店)預金種目:普通口座番号:0002105口座名:櫻井春彦 ロシア政府はウクライナを舞台としたNATOとの戦争を話し合いで解決することを断念、軍事的に決着をつけるしかないと判断し、軍事作戦のレベルを引き上げました。 1年前の8月15日、ドナルド・トランプ米大統領とウラジミル・プーチン露大統領はアラスカで会談、その際にアメリカ側からマルコ・ルビオ国務長官、そして大統領特使のスティーブ・ウィトコフ、ロシア側からユーリ・ウシャコフ大統領補佐官、セルゲイ・ラブロフ外相が同席していますが、その当時、プーチン大統領は話し合いでの解決は可能だと考えていたようですが、アメリカ政府は信用できないことを理解した結果です。 西側に住んでいると、アメリカ、イギリス、イスラエルのような国々が信頼できないことは常識だと思うのだが、東側には西側幻想が残っていたのかもしれません。その幻想は消えたでしょう。ロシアでプーチンは高い支持率を維持していますが、プーチン政権の政策をまどろっこしいと感じるロシア国民が増えているようです。 イラン政府もアメリカ政府を信用しなくなっています。これまで何度もイランはアメリカに騙されてきましたが、2月28日にアメリカ軍とイスラエ軍はイランを騙し討ち、最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師、参謀総長のアブドルラヒム・ムサビ、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニなどイランの要人を殺害しました。 この騙し討ちでイスラエル軍はイランのミナブ女子小学校も攻撃して168名から180名を殺しました。攻撃は数度あり、最初の攻撃で生徒たちが避難した礼拝堂も狙われています。犠牲者の大半は7歳から12歳の少女です。 本ブログでは繰り返し書いてきましたが、北西ヨーロッパの国々は山賊、海賊、強盗、詐欺といった犯罪行為によって富を築いてきました。「十字軍」と称して西アジアから富や知識を奪い、「大航海時代」にスペインやポルトガルはラテン・アメリカなどから財宝を奪い、先住民を奴隷として使って金鉱山や銀鉱山を開発しています。スペインやポルトガルが盗んだ富を運ぶ船を海賊に盗ませていたのがイングランドにほかなりません。イングランドの私的権力は19世紀に南部アフリカを侵略、ダイヤモンドや金をはじめとする鉱物資源を奪っています。 貨物船を襲撃して積み荷を奪う海賊行為、口先で相手を欺いて利益をえる詐欺行為を欧米諸国が働くのは必然だと言えるでしょう。そうした欧米諸国を信じることは愚かしいことなのです。その事実にロシアやイランは気付きました。世の中は変わろうとしています。時代の変わり目に差し掛かっているのです。欧米の犯罪システムから抜け出すのか、あるいは犯罪システムと一緒に沈没するのかが問われています。櫻井 春彦【振込先】巣鴨信用金庫店番号:002(大塚支店)預金種目:普通口座番号:0002105口座名:櫻井春彦
2026.08.17

アメリカ海軍の空母「エイブラハム・リンカーン」で兵士の処遇が問題になっている。ガーディアン紙によると、250日間連続で海上で活動しているこの空母の艦内は劣悪な状態で、シャワーはカビだらけ、トイレは壊れ、洗濯機は故障、お湯が出ないうえ、食事は悲惨な状態。石鹸も脱臭剤も歯磨き粉もないという。乗組員5000人の精神衛生の状態が悪化、乗組員の海への飛び込みが少なくない。同じ問題はほかの艦船でも引き起こされ、乗組員によって告発されているのだが、ピート・ヘグセス国防/戦争長官は「フェイクニュースだ」として無視している。兵士の精神状態をケアする役割のある従軍牧師が排除されているという現実もあるようだ。 エイブラハム・リンカーンは11月21日にサンディエゴを出港、当初は太平洋に向かう予定だったが、イランとの軍事的な緊張激化にともない、西アジアへ向かった。配備は5月に終了する予定だったが、延長されている。 アメリカ軍とイスラエ軍は2月28日にイランを奇襲攻撃。両国は問題を話し合いで解決するとイラン政府に信じ込ませ、要人を地上の1箇所に集めた上での騙し討ちだった。その攻撃で最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師、参謀総長のアブドルラヒム・ムサビ、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニなどイランの要人が殺害された。 この攻撃でイスラエル軍はミナブ女子小学校も攻撃、168名から180名を殺している。その大半は7歳から12歳の少女。攻撃は数度あり、最初の攻撃で生徒たちが避難した礼拝堂も狙われている。最初の攻撃で人びとを一カ所に集め、救助隊もろとも殺す計画だった可能性が高い。いわゆる「ダブルタップ攻撃」だ。この殺害はカルト的な「儀式」で、生徒たちは生贄になったとする人もいる。 この「斬首作戦」でイランの体制は崩壊するとアメリカやイスラエルは想定していたようだが、そうした展開にはならず、激しい反撃でアメリカが西アジアで使用していたカタールのアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地などが攻撃された。イスラエルではテルアビブやハイファといった都市、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)近辺が攻撃され、破壊された。イスラエルもアメリカもミサイルは迎撃用も攻撃用も枯渇状態だ。 イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)が3月1日に発表したところによると、エイブラハム・リンカーンは3月にイラン南部沿岸から約340キロメートルの地点まで接近したが、IRGSが発射した4発の弾道ミサイルによる攻撃を受けたという。 アメリカ国防総省は否定しているが、IRGCはその後もドローン攻撃や巡航ミサイル「カデル」で空母を攻撃したと発表。エイブラハム・リンカーンはイランから1100キロメートル離れたオマーン沖へ移動せざるをえなくなった。 やはり西アジアへ派遣されていた空母ジェラルド・R・フォードは船内で大規模な火災が発生したとして離脱、修理のためにクレタ島へ向かったと伝えられている。修理に1年以上かかるという。そのかわり、空母ジョージ・H・W・ブッシュが派遣された。 館内がこうした状態になっている最大の理由はドナルド・トランプ政権の判断ミスにある。ウクライナでの戦争でも言えることだが、アメリカは簡単に勝てると信じて戦争へ突入、泥沼から抜け出せないでいる。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.16

昭和天皇(裕仁)が「ポツダム宣言」の受諾をアメリカ、イギリス、中国、ソ連の4カ国に伝えたと「臣民」に発表したのは今から81年前、1945年の8月15日である。その年の9月2日、東京湾内に停泊していたアメリカの戦艦ミズーリで政府全権の重光葵と大本営(日本軍)全権の梅津美治郎が降伏文書に調印している。 ポツダム宣言に基づいて戦後日本は始まる。その宣言によると、「カイロ宣言の条項は、履行せらるべく、又日本国の主権は、本州、北海道、九州及四国並に吾等の決定する諸小島に局限せらるべし」とある。確定している日本の領土は本州、北海道、九州、四国だけで、そのほかは連合国が決めることになっている。その条件を日本は呑んだのだ。 カイロ宣言は1943年11月に開かれたカイロ会議を経て決まった宣言で、「日本国より1914年の第一次世界戦争の開始以後に於て日本国が奪取し又は占領したる太平洋に於ける一切の島嶼を剥奪すること並に満洲、台湾及澎湖島の如き日本国が清国人より盗取したる一切の地域を中華民国に返還すること」としている。 カイロでの会議にはアメリカのフランクリン・ルーズベルト大統領、イギリスのウィンストン・チャーチル首相、中国の蒋介石総統が出席している。会議がワシントンDCでなくカイロで開かれた理由は、ソ連を訪問していたアメリカのコーデル・ハル国務長官からヨシフ・スターリンがバチェスラフ・モロトフ外相の会談出席に同意したと知らされ、ソ連側が出席しやすい場所としてルーズベルトはカイロを選んだのだ。 しかし、ソ連の代表は出席していない。蒋介石が出席することを知ったスターリンは、日本を刺激してウラジオストクの港を封鎖されることを恐れ、モロトフや軍の代表団の派遣を取りやめたという。(Susan Butler, “Roosevelt And Stalin,” Alfred A. Knopf, 2015) こうした一連の会談が始まる切っ掛けはソ連へ軍事侵攻したドイツ軍の敗北にある。1942年1月にドイツ軍はモスクワでソ連軍に降伏、8月にドイツ軍はスターリングラード市内へ突入して市街戦が始まるが、11月からソ連軍は反撃、ドイツ軍25万人は完全包囲され、43年1月に降伏した。この段階でドイツの敗北は決定的。そこでアメリカやイギリスは慌てた。 そこでチャーチルとルーズベルトは1943年1月にモロッコのカサブランカで会談、シチリア島とイタリア本土への上陸を決めた。コミュニストの影響力が大きいシチリア島を制圧するため、アメリカ海軍の情報部はマフィアの力を借りることにするが、それ以降、アメリカの情報機関と犯罪組織は強く結びつく。 1943年7月にアメリカ軍とイギリス軍はシチリア島に上陸。ハスキー計画だ。そして9月に米英軍はイタリア本土を占領、イタリアは無条件降伏する。そしてカイロ会談。アメリカとイギリスは、とりあえず形を整えた上でこの会談を設定したのだ。 ちなみに、ノルマンディー上陸作戦(オーバーロード作戦)は1944年6月になってからだ。ノルマンディー上陸作戦でドイツが敗北したというイメージはハリウッド映画が作り出した幻影にすぎない。 日本がアメリカと戦争を始めたのは1941年12月7日にハワイの真珠湾を攻撃した時だと言えるだろうが、その前から中国侵略戦争は行っていた。 1872年に琉球を併合して台湾侵略を準備、74年に台湾へ派兵、75年に江華島へ軍艦を派遣して朝鮮半島に橋頭堡を築き、94年には日清戦争、1904年には日露戦争へと進んだ。こうした侵略はアメリカやイギリスの外交官に煽られてのことだ。自覚していたかどうかはともかく、明治体制はアメリカやイギリスの手先として動いていたのだ。 明治維新で暗躍したジャーディン・マセソンは中国(清)の茶や絹をイギリスへ運び、インドで仕入れたアヘンを中国へ持ち込んむという商売をして大儲けしていた。19世紀に麻薬取引を支配していたのは同社と「東方のロスチャイルド」ことサッスーン家だ。明治維新の黒幕は麻薬業者だったとも言える。 この商売を中国に押し付けたのが第1次アヘン戦争(1839年9月から42年8月)と第2次アヘン戦争(1856年10月から60年10月)。この戦争をビクトリア女王にさせたのは反ロシアで有名な政治家、ヘンリー・ジョン・テンプル(別名パーマストン子爵)にほかならない。2度のアヘン戦争でイギリスは勝利したわけだが、これは海戦でのこと。無陸部を制圧する戦力を持っていなかった。 ジャーディン・マセソンは1859年に長崎へトーマス・グラバーを、横浜へウィリアム・ケズウィックをエージェントとして送り込んだ。歴史物語ではグラバーが有名だが、大物はケズウィック。母方の祖母は同社を創設したひとりであるウィリアム・ジャーディンの姉なのである。 グラバーとケズウィックが来日した1859年にイギリスのラザフォード・オールコック駐日総領事は長州の若者5名をイギリスへ留学させることにする。選ばれたのは井上聞多(馨)、遠藤謹助、山尾庸三、伊藤俊輔(博文)、野村弥吉(井上勝)だ。 この5名は1863年にロンドンへ向かうが、この時に船の手配をしたのがジャーディン・マセソンにほかならない。1861年に武器商人として独立したグラバーも密航の手助けをしているが、ケズウィックは1862年にジャーディン・マセソンの共同経営者となるために香港へ戻っていた。 長州の若者5名が出向する前の月、つまり1863年5月に長州はアメリカ商船のペンブローク、オランダ通報艦のキャンシャン、オランダ東洋艦隊所属のメデューサを相次いで砲撃。それに対し、6月に入るとアメリカの軍艦ワイオミングが報復攻撃、長州藩の海軍を壊滅させ、さらにフランス海軍のセミラミスとタンクレードも報復攻撃した。この攻撃は長州とイギリスの八百長戦争だったのか、あるいは長州内部に対立があったのかは不明だ。この当時、グラバーは大量の武器弾薬を買い込んでいた、つまり長期戦を予想していた。 日露戦争は1904年2月8日、日本軍が仁川沖と旅順港を奇襲攻撃したところから始まる。その際、日本に戦費を用立てたのはロスチャイルド系のクーン・ローブを経営していたジェイコブ・シッフ。日本に対して約2億ドルを融資、その際に日銀副総裁だった高橋是清はシッフと親しくなっている。 この戦争について、セオドア・ルーズベルト米大統領は日本が自分たちのために戦っていると語り、日本政府の使節としてアメリカにいた金子堅太郎はアングロ・サクソンの価値観を支持するために日本はロシアと戦ったと説明していた。1910年に日本が韓国を併合した際、アメリカが容認した理由はこの辺にあるだろう。(James Bradley, “The China Mirage,” Little, Brown and Company, 2015) 関東大震災の復興資金調達の結果、日本の政治や経済をアメリカの巨大金融資本JPモルガンの影響下に入った。そして日本では治安維持法によって思想弾圧が強化され、「満蒙は日本の生命線」と言われるようになった。 1927年5月に日本軍は山東へ派兵する。1928年6月に関東軍は張作霖を爆殺し、31年9月に柳条湖で南満州鉄道を爆破、中国東北部を制圧することになる。いわゆる「満州事変(九一八事変)」の勃発だ。 その後軍事的な緊張が高まり、一触即発の状況になる。そして1937年7月に「盧溝橋事件」が起こった。二・二六事件の結果、米英金融資本に反発していた軍人が粛清されたのはその前年、1936年2月のこと。1939年5月にノモンハン付近で満州国警備隊と外モンゴル軍が交戦、関東軍が陸軍省と参謀本部の方針を無視して戦闘を続け、敗北した。 1941年6月にドイツ軍はソ連への軍事侵攻を開始する。バルバロッサ作戦だ。その翌月に日本軍は「関東軍特種演習」という名目でソ連への軍事侵攻を目論むのだが、8月に関東軍特種演習の中止が決まり、この年の12月にマレー半島とハワイの真珠湾を奇襲攻撃してアメリカとの戦争が始まった。アメリカとの戦争は日本が行なっていた戦争の一幕にすぎない。 実は、日本が真珠湾を奇襲攻撃する前、イギリスには「日本・アングロ・ファシスト同盟」を結成しようという案があった(Anthony Cave Brown, “"C": The Secret Life of Sir Stewart Graham Menzies,” Macmillan、1988)のだが、ノモンハンでソ連軍に敗北したこともあり、その後に南進、つまり東南アジアへ矛先を向けてイギリスの利権と衝突、この同盟は不可能になった。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.15

ロシアのウラジミル・プーチン大統領はロシア太平洋艦隊が軍事演習を行っていたサハリン島に続いて8月13日に択捉島を訪問した。日本の反ロシア政策に対する警告だと言えるだろう。 それに対し、高市早苗首相は「断じて容認できない」と発言、茂木敏充外務大臣は「歴史的にも国際法上も日本の固有の領土の一部である」と主張しているが、これには説得力がない。 戦後日本は「ポツダム宣言」の受諾から始まるが、その宣言には「カイロ宣言の条項は、履行せらるべく、又日本国の主権は、本州、北海道、九州及四国並に吾等の決定する諸小島に局限せらるべし」とある。確定している日本の領土は本州、北海道、九州、四国だけであり、残りの領土は連合国が決めることになっているわけで、択捉島の領有を日本が一方的に主張することはできない。 択捉島の南にあり、連合国から日本の領土だと認められた北海道もアイヌが住むアイヌモシリだった。つまり日本領ではない。イギリスの私的権力を後ろ盾とする明治維新で成立した明治政権が併合したというべきだろう。イスラエル人が入植し、パレスチナ人から土地を奪っているヨルダン川西岸と似ている。択捉島について「歴史的にも国際法上も日本の固有の領土の一部である」と言うことはできないのだ。 そうした説得力ない主張を最近の日本政府が主張するのは、アメリカが日本とソ連/ロシアの接近を嫌っているからだ。アメリカは千島列島から南西諸島までの島々を中国やソ連/ロシアに対する軍事的な拠点と考えている。 中曽根康弘は首相に就任して間もない1983年1月にアメリカを訪問、その際にワシントン・ポスト紙のインタビューを受けたのだが、その中で「日本列島をソ連の爆撃機の侵入を防ぐ巨大な防衛のとりでを備えた不沈空母とすべきだ」と発言、さらに「日本列島にある4つの海峡を全面的かつ完全に支配する」とし、「これによってソ連の潜水艦および海軍艦艇に海峡を通過させない」と語ったと報道された。 当然のことながらこの発言は問題になり、中曽根は「不沈空母」発言を否定しようとするのだが、インタビューが録音されていたことを知ると「巨大空母」と言ったのだと主張して誤魔化した。その前からイスラエルは自国のことをアメリカの中東における不沈空母だと表現していたので、それを記者は使ったのかもしれない。 ダグラス・マッカーサーは第2次世界大戦や朝鮮戦争の際、台湾を「不沈空母」と呼んでいたが、日本軍も中国を空爆するための空母として利用していたが、アメリカは千島列島から南西諸島までの島々を自分たちの航空母艦群と考えてきた。ウクライナと似た位置づけだとも言える。 それに対し、ロシアのドミトリー・メドベージェフ安全保障会議副議長は千島列島について永遠にロシアの領土だと主張、日本がその領有権を主張し続けることは「火種を求める」行為だと述べた。事実、日本政府の主張は「火種を求める」行為だが、それはアメリカ支配層が願っていることにほかならない。アメリカは日本をウクライナのようにしたいのだ。 ロシアや中国は北極海航路を切り開きつつあるが、この航路は千島列島を通過する。その航路を成立させるためには千島列島の領有が重要になる。西ヨーロッパ諸国はロシアの輸送船を「影の船団」と称し、攻撃しているが、それについてもメドベージェフは発言している。 ロシア以外の国旗を掲げてロシアの商船が航行することはあるが、それは「便宜置籍船」である。税金や規制にかかる費用を節約するために船主の国とは異なる国に船舶を登録しているのであり、一般的に行われていること。そうした船を西ヨーロッパ諸国が勝手に拿捕する権利はない。 もし、船主がロシアの便宜置籍船を西ヨーロッパ諸国が攻撃したならば、どの海域であろうと、敵の利益となる貨物を運んでいると疑うに足る十分な根拠があれば攻撃できるということだと警告している。アメリカ軍の命令に従い、自衛隊がロシアの商船を攻撃すれば、日本の商戦が報復されるということだ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.14

ロシア海軍とインドネシア海軍は7月29日から30日にかけてウラジオストク沖で軍事演習「オルダ2026」を実施した。ドローン兵器への対応試験、臨検拿捕能力、砲撃、海上での医療後送などの訓練が行われたという。ウラジーミル・プーチン露大統領はNATOがアジア太平洋地域へ進出し、北極圏で緊張を高めていると非難している。 アメリカはインド洋から西太平洋にかけての軍事力を強化するために2017年11月にオーストラリア、インド、アメリカ、日本で組織されるクワドの復活を協議、アメリカ太平洋軍は18年5月にインド太平洋軍へ名称を変更、アメリカ、イギリス、オーストラリアの3カ国は21年9月にAUKUSなる軍事同盟を創設したと発表、その後JAPHUS(日本、フィリピン、アメリカ)なる軍事同盟も編成された。 その間、2020年6月にNATO(北大西洋条約機構)の事務総長を務めていたイェンス・ストルテンベルグは、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言している。ロシア国家安全保障会議のニコライ・パトロシェフ議長はAUKUSが中国やロシアを仮想敵とする「アジアのNATO」だと批判しているが、間違いではない。 ウィンストン・チャーチルの側近でNATOの初代事務総長を務めたヘイスティング・イスメイはNATO創設の目的について、ソ連をヨーロッパから締め出し、アメリカを引き入れ、ドイツを押さえつけることにあるとしていた。NATOがソ連からの攻撃に備えるために組織したのではないことを認めている。実態はイギリスとアメリカがヨーロッパを支配するための仕組みだった。その結果がウクライナでの対ロシア戦争で現れている。 本ブログでは繰り返し書いてきたように、アングロ・サクソンの対ロシア戦争や中国への侵略戦争は遅くとも19世紀から始まっている。ユーラシア大陸の周辺を海軍力で支配、内陸部を締め上げていくというものだ。内陸国を崩壊させるため、彼らは対立を煽り、共倒れさせようとした。対ロシア戦争ではドイツが使われ、対中国戦争を実行するために日本で明治維新を仕掛けたと言えるだろう。イギリスやアメリカが明治体制を支援したのは必然だ。 明治体制は1871年7月に廃藩置県を実施したが、その翌年に琉球国王を琉球藩王として琉球国を消滅させた。その上で沖縄県を作り上げている。廃藩置県の段階で新体制は琉球を日本領と認識していなかったのだが、廃藩置県後、琉球を日本領だということにしなければならない事情が生じたと考えるのが自然だ。これが琉球併合である。 廃藩置県の直後、1871年10月に宮古島の漁民が台湾へ漂着、その一部が殺されたとして日本政府は清に抗議、被害者に対する賠償や謝罪を要求した。そして明治政府は漁民を「日本人」だと強弁、軍隊を台湾へ送り込んでわけだ。 この台湾への派兵にはアメリカの外交官が関係している。1872年秋に来日したチャールズ・ルジャンドルである。厦門の領事だった人物で、台湾から帰国する途中に日本へ立ち寄り、そこでアメリカ公使だったチャールズ・デロングと会う。その際、デロングはルジャンドルに対し、日本政府に対して台湾を侵略するようにけしかけていると説明している。ルジャンドルは1872年12月にアメリカ領事を辞任、外務卿の副島種臣に台湾への派兵を勧め、1874年に日本は台湾へ派兵した。彼は1875年まで外務省の顧問を務めている。(James Bradley, “The Imperial Cruise,” Little, Brown and Company, 2009) その後、江華島への軍艦派遣、日清戦争、日露戦争、韓国併合を経て中国への軍事侵略へと続く。こうした日本の東アジア侵略の背後ではアメリカだけでなくイギリスの外交官や麻薬業者が暗躍していた。 そして第2次世界大戦後、アメリカはソ連や中国に対する核攻撃を計画した。1955年頃になるとアメリカが保有していた核兵器は2280発に膨らみ(Annie Jacobsen, “Area 51”, Little, Brown, 2011)、57年になるとアメリカ軍の内部でソ連に対する先制核攻撃を準備しはじめている。(James K. Galbraith, “Did the U.S. Military Plan a Nuclear First Strike for 1963?”, The American Prospect, September 21, 1994) そして1957年の初頭、アメリカ軍はソ連への核攻撃を想定したドロップショット作戦を作成した。それによると300発の核爆弾をソ連の100都市で使い、工業生産能力の85%を破壊する予定になっていたという。(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012) そのころからアレゲーニー山脈の中、ウエストバージニア州のグリーンブライア・ホテルの地下に「地下司令部」が建設されている。いわゆるグリーンブライア・バンカーだ。1959年に国防総省が中心になって着工、62年に完成している。 1950年代に沖縄では「銃剣とブルドーザー」で土地が強制接収されて軍事基地化が推し進められ、今でも島民を苦しめている。1953年4月に公布/施行された布令109号「土地収用令」に基づき、武装米兵が動員された暴力的な土地接収で、55年の段階で沖縄本島の面積の約13%が軍用地になっている。こうした基地化はアメリカの先制核攻撃計画と無関係ではない。 テキサス大学のジェームズ・ガルブレイス教授によると、統合参謀本部のライマン・レムニッツァー議長やSACの司令官だったカーティス・ルメイなど好戦派は、1963年の後半にソ連を奇襲攻撃る予定だったという。その頃になればアメリカはICBMを配備でき、しかもソ連は配備が間に合わないと見ていた。ソ連が反撃するためにはアメリカの近くから中距離ミサイルを発射するしかない。そこでソ連はキューバへ中距離ミサイルを運び込み、キューバ危機になる。1962年10月のことだ。この危機を回避することに成功したジョン・F・ケネディ大統領は1963年11月22日に暗殺された。 そして現在。昨年7月26日に共同通信が報じたところによると、日米両政府は、東アジアで紛争が発生した際に米軍が核兵器を使用する可能性のあるシナリオについての交渉は2024年12月に始まったが、それは10年に開始された両国間の「拡大抑止」に関する協議の一環として行われているという。 最近の協議では、東アジアで紛争が勃発してアメリカが核兵器の使用を迫られるというシナリオを想定した机上演習が複数回実施されたとされている。アメリカが核兵器の使用を迫られるとは、ロシアや中国との戦争でアメリカや日本が敗北する事態だろう。 陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊を一元的に指揮する常設組織として「統合作戦司令部」が2024年3月に編成されたが、この仕組みは自衛隊をアメリカ軍の指揮下に置くことが目的だと考えられている。自衛隊がロシアや中国を攻撃する場合、それはアメリカからの命令による。 これも本ブログで繰り返し書いてきたが、日本が核兵器を開発している可能性は高い。アメリカの情報機関で分析官を務めた複数の人物は日本の核兵器開発は常識だと言っていた。中国政府もそれは知っているだろう。 すでにアメリカはウクライナにおける対ロシア戦争や西アジアにおける対イラン戦争で事実上敗北、窮地に陥っている。アメリカに従属することしか考えてこなかった日本は経済が破綻、石油は枯渇寸前であり、危機的状態だ。この状況から脱するため、アメリカが東アジアでギャンブルに出る可能性も否定できない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.13

イエメンを支配、事実上の政府として機能しているアンサール・アッラー(フーシ派)は8月9日、サウジアラムコの紅海沿岸の都市、ジザンにあるアラムコの製油所を攻撃したと発表した。そのほかモカ港やサウジアラビアのタンカーもアンサール・アッラーは攻撃、バブ・エル・マンデブ海峡を通過することが困難になっている。 イランとオマーンに挟まれたホルムズ海峡もアメリカがコントロールできない状態。この海峡を通る新たな航路の開設をイランとオマーンは協議しているようだが、アメリカと同じようにサウジアラビアも苦しい立場だ。 そのサウジアラビアはトルコやパキスタンと8月7日、「メッカ共同防衛協定」を締結した。この3カ国はいずれもスンニ派が支配、イランをはじめとするシーア派に対抗する形になっている。欧米諸国としてはスンニ派とシーア派、ふたつのイスラム宗派を戦わせ、共倒れさせようと目論んでいるだろう。これはイギリスの常套手段だ。 イラン外務省のエスマイル・バガエイ報道官はメッカ共同防衛協定について、アメリカを通じて安全保障を確保することはもはや不可能であるという地域諸国の認識から生まれたものであると記者会見で述べたのも、そう知った計略を感じてのことだろう。 ホルムズ海峡やバブ・エル・マンデブ海峡のようなチョーク・ポイントを回避する方策を少なからぬ国が考えているようだが、アメリカのスコット・ベッセント財務長官はホルムズ海峡を経由しているエネルギーの半分以上を地下パイプライン経由に切り替え、この海峡を2年以内に無意味な存在にすると語っている。 しかし、地下パイプラインを日本やアメリカまで敷設することは不可能であり、しかも肥料を生産するために必要な尿素、アンモニア、リン酸2アンモニウム(DAP)、硫黄などをパイプラインで輸送することはできない。LNGやヘリウムも生産設備が破壊され、生産再開には数年を要するとも言われている。パイプラインでの輸送が可能な原油にしても2年で設備を完成させることはできないと指摘されている。 ホルムズ海峡の閉鎖によって世界の原油供給量が約20%減少し、化学肥料の製造に不可欠な尿素の供給は30%減少した。この海峡を通過する石油の買い手は約80%が中国、インド、日本、韓国などのアジア諸国であり、LNG(液化天然ガス)はそれ以上の比率で同じ国々が輸入している。ロシアというエネルギー資源の供給源を持ち、備蓄も十分にある中国とは違い、日本は厳しい状況だ。現在の状況で最も大きなダメージを受けるのは日本だろう。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.12
ホルムズ海峡はイランとオマーンに挟まれている。その両国は現在、同海峡を通る新たな航路の開設について協議中だが、イランのアッバス・アラグチ外相によると、合意は近い。その一方、スンニ派の主要3カ国、トルコ、パキスタン、サウジアラビアは8月7日、「メッカ共同防衛協定」を締結した。イラン、オマーン、トルコ、パキスタン、サウジアラビアの5カ国はアメリカによる地域の支配を拒否しはじめた。 イラン外務省のエスマイル・バガエイ報道官はメッカ共同防衛協定について、アメリカを通じて安全保障を確保することはもはや不可能であるという地域諸国の認識から生まれたものであると記者会見で述べた。地域外の勢力の影響力を排除すべきであり、その地域で最大の脅威はイスラエルだともイランは主張している。 ドナルド・トランプ米大統領とイランのマスード・ペゼシュキアン大統領は6月17日、戦争終結に向けての話し合いを進めるためだとして合意文書(MoU)に署名した。イラン側の要求を呑む内容だったことから、トランプ政権はこれを守る気がないだろうと少なからぬ人は予想していた。実際、トランプはMoUを無視してイランを攻撃、イランが報復するというパターンに戻ったが、イランは現在も主張に変化はなく、イランの要求に新しい点はない。 イラン最高安全保障委員会のモハンマド・バーゲル・ゾルガドル書記長によると、アメリカは次の6条件を遵守しなければならない。 まずイランを威嚇したり、この国の神聖なものを侮辱したりしないこと、イランのほかレバノン、パレスチナ、イエメン、イラクにおけるイランの同盟者に対する戦争と侵略を恒久的に終わらせること、海上封鎖を解除し、イラン周辺から自国の軍隊を撤退させること、イランに与えた損害を全額補償すること、イラン国民に対する制裁を解除すること、凍結され、あるいは奪われたイラン国民の資産を無条件で解放することだ。 アメリカは西アジアの主要国から排除されつつあるのだが、それを認めることができないドナルド・トランプ米大統領は自分たちが依然として主導権を握っていると人びとに信じさせようとしている。西側の主要メディアを支配している西側の大手メディアはトランプの主張を広め、西側支配層はOVP(オンライン・ビデオ・プラットフォーム)も影響下においている。そこで少なからぬ人は西側支配層にコントロールされることになるのだが、その呪術に操られない人もいる。 アメリカ抜きで物事が進む中、アメリカの大手メディアはイラン政府がドナルド・トランプ政権と協議しているかの如く宣伝してきた。そうしたプロパガンダを維持するため、イランがアメリカとの対立を解決するための新たな条件を提示したと報じているのだが、そうした事実はない。 アメリカがイスラエルと共同で始めた対イラン戦争は失敗した。アメリカは負けたのだが、トランプ大統領はイランに対する勝利を宣言、核合意を締結せずに戦争を終結させる可能性を非公式に検討していると伝えられている。 トランプ大統領はアメリカ国内のガソリン価格高騰を恐れていると言われているが、世界経済の破綻は間近に迫っている。口先で何とかなるという問題ではない。トランプ政権としては勝利を宣言し、アメリカ軍を撤退させるしかないのだが、それは「アメリカ帝国」の終焉を意味する。この帝国が崩壊した場合、その帝国の権威を利用して富と地位を手にしたアメリカ従属国の「エリート」は由々しき事態だ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.11

ロシア政府の発言や軍事作戦を見聞きすると、彼らはアメリカやヨーロッパ諸国を話し合いのできる相手とは考えなくなり、問題を軍事的に解決する決断をしたと推測できる。「特別軍事作戦」から戦争へステージが進んだということであり、ロシア政府は「停戦」要請を受け入れそうにない。その延長線上に2014年2月のバラク・オバマ政権のキエフにおけるクーデターがあり、22年2月のロシア軍の介入もある。 欧米における反ロシア勢力の中心はアメリカやイギリス、つまりアングロ・サクソンの支配層。遅くとも19世紀からイギリスはロシアや中国を征服する長期戦略を立てていたが、その中心にいたのは有力政治家のヘンリー・ジョン・テンプル(別名パーマストン子爵)。 この人物はイギリスの首相や外相を務め、反ロシアで知られている。1840年にアヘン戦争を始めたのも彼。「ウクライナ人はわれわれが反ロシア蜂起のストーブに投げ込む薪だ」と語り、ポーランドをロシアとドイツの間の障壁として復活させる計画を立てている。 19世紀から21世紀にかけて世界を支配した北西ヨーロッパ諸国の富の基盤はラテン・アメリカでの略奪。スペインやポルトガルはラテン・アメリカで金銀財宝を奪い、金や銀の鉱山を開発した。鉱山開発では先住民を奴隷として使っている。 そうした略奪した財宝をスペインやポルトガルは船でヨーロッパへ運んだが、その船を襲い、奪ったのがエリザベス1世時代(1593年から1603年)のイギリス。その頃、イギリスの支配層の中で「ブリティッシュ・イスラエル主義」が現れた。 19世紀の後半に南部アフリカでダイヤモンドや金鉱山が発見されるとイギリスの権力者は軍事侵略した。その侵略の中心的な存在がロスチャイルド家を後ろ盾とするセシル・ローズ。そのローズの発案で創設された「選民秘密協会」はイギリスを動かすことになる。 この協会にはローズのほか、ナサニエル・ド・ロスチャイルド、ウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレット(エシャー卿)、アルフレッド・ミルナー(ミルナー卿)、ロバート・ガスコン-セシル(サリスバリー卿)、アーチボルド・プリムローズ(ローズベリー卿)が含まれていた。そのうちローズ、ロスチャイルド、ブレット、ステッドの4人が協会の指導者になったとされている。(Gerry Docherty & Jim Macgregor, “Hidden History,” Mainstream Publishing, 2013) ちなみに、ローズベリー卿が1878年に結婚したハンナはメイヤー・アムシェル・ド・ロスチャイルドの子どもで、ナサニエルのいとこにあたる人物。1891年末までにローズベリー卿の甥にあたるアーサー・バルフォアもローズのグループへ入り、さらにアルバート・グレイやセルボーン卿も加わる。 ステッドによると、ローズはチャールズ・ダーウィンの仮説を信じ、優生学を信奉していた。ローズは1877年6月にフリーメーソンへ入会、その直後に『信仰告白』を書いている。 それによると、彼はアングロ・サクソンは最も優秀な人種であり、その居住地が広がれば広がるほど人類にとって良いことだと主張、領土を拡大して大英帝国を繁栄させることは自分たちの義務であり、領土の拡大はアングロ・サクソンが増えることを意味するとしている。(Cecil Rhodes, “Confession of Faith,” 1877) ジョージタウン大学の教授を務めたキャロル・クィグリーによると、1901年までこの協会を支配していたのはローズ。ローズは英語圏を一体のものと見ていた。ローズ以降はアルフレッド・ミルナーを中心に彼らは活動している。 ミルナーはシンクタンクのRIIA(王立国際問題研究所)を創設した人物としても有名で、「ミルナー幼稚園」や「円卓グループ」も彼を中心に組織されたという。タイムズ紙も1912年ころからミルナーが管理するようになり、22年にはオーナーになった。(Carroll Quigley, “The Anglo-American Establishment”, Books in Focus, 1981) 世界の支配構造は1917年に大きく変化した。イギリスがターゲットにしていた帝政ロシアは地主階級に支えられていたが、産業資本化の影響力も拡大していた。その産業資本家やユスポフ家のような貴族はドイツとの戦争を望んでいたが、地主は戦争に反対。地主の代弁者を務めていたのはシベリア出身の修道士だったグレゴリー・ラスプーチンだ。皇后アレクサンドラも戦争に反対していた。 1914年6月28日にオーストリア皇太子夫妻が暗殺されて世界大戦が勃発するが、アレクサンドラ皇后は参戦に反対する。皇后は同じ考えのラスプーチンへ7月13日に電報を打ち、相談。ラスプーチンは皇帝に対して戦争は帝国の崩壊を招くと電報で警告しているが、治安当局はそうした電報を盗み見て議会などへリークしていた。皇后からの電報を受け取った直後、ラスプーチンは腹部を女性に刺されて入院する。その女性とラスプーチンは面識がなかった。ラスプーチンが入院している間にロシアは第1次世界大戦へ参加してしまう。 ドイツとロシアに戦争させようとしていたイギリスでは1916年に外務省がチームをペトログラードへ派遣していたが、そのチームには興味深いメンバが含まれていた。スティーブン・アリー、ジョン・スケール、オズワルド・レイナーだ。 レイナーはオックスフォード大学の学生だった当時からフェリックス・ユスポフ公と親密な関係にあり、流暢なロシア語を話す。ユスポフはラスプーチンを暗殺した貴族グループの中心人物だ。スティーブン・アリーはロシアで1876年に生まれ、15歳の時にイギリスへ帰国、家族の経営するアリー・アンド・マクレランで働くようになるが、その裏では情報機関員として活動することになる。 スティーブンが生まれた場所はモスクワ近くにあったユスポフの屋敷で、父親はユスポフ家の家庭教師だったとも言われている ラスプーチン暗殺には3種類の銃が使われているが、トドメを刺したのは455ウェブリー弾。イギリスの軍用拳銃で使われていたもので、殺害現場にいた人の中でその銃弾を発射できる銃をもっていたのはレイナーだけだった。 1917年3月の「二月革命(ユリウス暦では2月)」でロマノフ朝は崩壊したが、この時、ロシアの街頭にボルシェビキの幹部はいなかった。刑務所に入れられているか、ウラジミル・レーニンのように亡命していたのだ。 二月革命の主体は産業資本化やその背後にいる金融資本家。政党でいうならばカデット(立憲民主党)が中心で、臨時革命政府はイギリスの傀儡だったと見られている。 この臨時革命政府はドイツとの戦争を継続すると見られていた。そこでドイツ政府が目をつけたのがスイスに亡命中だったレーニン。彼を含むボルシェビキの幹部32名をドイツは「封印列車」でロシアへ運んでいる。レーニンは1917年4に帰国した。そしてレーニンをはじめとするボルシェビキの幹部が十月革命の主体になった。 十月革命によって社会主義政権が出現したロシアに対し、イギリス、フランス、アメリカ、そして日本は1918年8月に軍隊を派遣して干渉戦争を開始する。イギリス、フランス、アメリカはそれぞれ7000名の兵士を派遣、日本はその年の10月には7万2000名以上、その後も増強は続いた。その翌月、つまり11月に大戦は終了するのだが、日本は22年までシベリアにとどまった。 実は、この干渉戦争で日本軍がロシアから金塊を持ち帰ったことが判明している。この問題を最初に取り上げたのは憲政会の中野正剛で、当初は1000ルーブル相当の砂金だと考えられていたのだが、実際に持ち帰った金塊は177箱、1万2000キログラムに達すると現在では考えられている。このうち143箱は旅順火薬庫に保管した後、朝鮮銀行の下関支店に運ばれ、そこから大阪造幣局へ移された。またルーブル金貨は朝鮮銀行か横浜正金銀行で日本の通貨に換金されたと推測されている。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.10
スンニ派の主要3カ国、サウジアラビア、トルコ、パキスタンの間で8月7日に結ばれた「防衛協定」が注目されている。協定の詳細は公表されていないが、この協定によると、3カ国のいずれかに対する武力攻撃があった場合、3カ国すべてに対する攻撃とみなすと規定している。これはNATO条約第5条のマネだ。 調印に署名した人物はトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子、パキスタンのシェーバズ・シャリフ首相。パキスタンが自国の国益に反する外国との紛争に巻き込まれる危険性があると指摘する人も少なくないが、NATO条約第5条は、加盟国が攻撃されたからといって、NATO全体が戦争に突入することを規定しているわけではない。 アメリカ軍とイスラエ軍が2月28日にイランにを奇襲攻撃対する奇襲攻撃から始まったが、アメリカやイスラエルがイランを攻撃しても勝利できず、大惨事になると言われていた。イランの地形や戦力を考えるならば、アメリカが地上軍を投入した場合、壊滅的な敗北を喫すると見通されていたのだが、アメリカのイスラエルは強硬し、大惨事になった。イランとの戦闘によってアメリカ軍が頼りにならないことも判明した。 本ブログでも繰り返し書いてきたが、すでにイランは西アジアにおけるアメリカ軍基地、例えばカタールにあるアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地、サウジアラビアのリヤドにあるプリンス・スルタン空軍基地などを破壊、またイスラエルのテルアビブやハイファといった都市、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)周辺も破壊。そして予想された通りホルムズ海峡が封鎖された。 そうした中、サウジアラビア、トルコ、パキスタンのスンニ3カ国は軍事同盟を結んだのだが、どれだけ有効かは不明だ。これまでアメリカを無敵だと考え、そのアメリカに任せておけば全て思い通りになると信じていたのだろうが、そうならないことがはっきりした。自分たちでなんとかしようと考えたのかもしれない。それに対し、今でもアメリカに従属することしか考えていないのが日本にほかならない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.09
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーは6月下旬、ロシアに戦争を終わらせる、つまり降伏させると宣言した。NATOの衛星に誘導された長距離ドローンでロシアの深奥部を攻撃すればロシア人が怖気付くとでも思ったのだろうが、そうしたことにはなっていない。ゼレンスキーや彼を操っているイギリスの対外情報機関MI6は追い詰められた。 本ブログでも繰り返し書いてきたが、ロシア国内ではNATO諸国に対する厳しい対応を求める声が高まり、キエフ、オデッサ、スミ、ドニプロペトロフスクなどの都市に対する攻撃を激化させると同時に、アゾフ海やドン・アゾフ運河におけるすべての海上交通、ならびにケルチ海峡の通航を停止させ、オデッサやニコラエフへ物資を輸送する船舶の航行を遮断した。ハリコフやザポリージャでもロシア軍の進撃が目立つ。その一方、ウクライナの防空システムは機能していない。 ドニプロペトロフスクにあるドニプロの南東部では弾道ミサイルのイスカンデルMが工場の敷地を攻撃した。そこには「ゼレンスキーの地下基地」があり、兵器を隠し、将兵が隠れていたという。攻撃がった日にはSBU(ウクライナ安全保障庁)の要員、イギリスのMI6やSAS(特殊空挺部隊)と密接な関係にある傭兵会社のG4Sのメンバーがそこにいて、死亡したとされている。G4Sはドローンやミサイルによるロシア攻撃に必要な情報を収集、MI6の本部へ連絡していたという。G4SはMI6やSASという名称を隠すための隠れ蓑だとも言える。 こうした地上で集めた情報と衛星で収集した情報を合わせて分析、ロシアを攻撃しているのだが、地上ではイギリスの情報機関や特殊部隊が果たしている役割は大きい。 ロシア側の要人を暗殺する工作もNATOは継続している。その一例は8月1日にモスクワで引き起こされたアレクサンドル・チャイコ航空宇宙軍司令官の暗殺未遂事件。チャイコ司令官自身は殺されなかったが、5人が殺されている。その一人が司令官の義理の息子だ。残りの犠牲者の中にチャイコ司令官の側近がいるとも噂されている。ロシア軍は8月4日から5日にかけてキエフの工業施設や倉庫を24発の弾道ミサイルと4発の極超音速ミサイルで攻撃したものの、ウクライナ軍はそれらを迎撃できなかった。 ウクライナ/NATOはクリミア橋(ケルチ橋)を破壊してクリミアを孤立させようと目論み、ロシア軍の艦船だけでなく民間の輸送船やタンカーを破壊しようとしてきた。 そうした水上での攻撃には水上ドローンが利用されるが、タイムズ紙によると、それらを開発したのはウクライナの会社ではなく、イギリスで設計され、製造されている。 開発したとされるUforceはあらゆる領域における戦闘用ドローンを開発するウクライナ会社だが、拠点はロンドンにあり、ドローンの設計もイギリスで行われている。開発には自動車レースのF1に参加したイギリス人エンジニアが関与、将来的にはイギリス軍やNATO軍の任務が想定されている。 ウクライナで対ロシア戦争を始めたのはアメリカのバラク・オバマ政権だが、その際、ネオコンをはじめとする好戦派は簡単に勝てると信じていたようだ。パランティアのAIからそのような御託宣が降りたのかもしれないが、それ以来、負け続けている。パランティアが介入し、AIを搭載したドローンで逆転しようとしたのかもしれないが、妄想で終わった。 イラン政府と同様、ロシア政府もアメリカをはじめとする西側エリートの約束を信じなくなっている。話し合いでの解決は無理だと認識、ロシア政府は停戦に応じない。西側諸国の政府は出まかせと脅しで勝利を演出しようとしているが、ロシアは徹底的に戦うつもりであり、詐欺師の手法は通じない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.08.08
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