《櫻井ジャーナル》

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2014.01.15
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 シリアの反政府軍が残虐な行為を繰り返しているひとつの理由が明らかになった。 戦闘員がアンフェタミン(覚醒剤の一種)を使っている

 ワシントン研究所のマシュー・レビットは、政府軍側のヒズボラが使っているとしているようだが、この研究所は親イスラエル派。アメリカの政界に大きな影響力を及ぼしているイスラエル/シオニスト・ロビーのAIPACの調査部門として1985年に創設されたのである。つまり、シリアのバシャール・アル・アサド体制の転覆を目指している勢力に属している。実は、中東における覚醒剤密輸の拠点と言われているのはイスラエルにほかならない。

 覚醒剤は日本軍でも使われていた薬物。中枢神経を興奮させて覚醒させるほか、心身の働きを一時的に活性化し、疲労感を麻痺させ、幻聴、幻覚、妄想を感じることもあるようだ。極度の緊張の中にいる戦闘員が手を出したくなる薬かもしれない。日本軍では軍需工場の作業員、夜間任務の兵士に錠剤を配布、あるいは特攻隊の隊員が搭乗前に飲む水杯の中に混ぜられていたという話もある。

 中東で昔から使われている麻薬はケシを材料とするアヘン系。現在、世界で最も多くのケシが栽培されているのはアフガニスタンで、武装勢力が密輸で資金を稼いでいる。その系統の麻薬も日本軍は扱っていた。

 1935年に侵攻した察哈爾省の口北六県で日本軍はケシを栽培していたという。その東にあるのが熱河省。このあたりの麻薬を取り仕切っていたのが阪田誠盛だ。

 こうした麻薬だけでなく、日本軍はイランから大量のアヘンを密輸入していたようで、その取り引きを指揮していたのが里見甫と三井物産。里見と三井物産をつないだのが東京毎日新聞の社長となる藤田進である。

 そこへ割り込んできたのが三菱商事で、イランのアヘン専売会社を相手に両社は激しく争い、1937年から1年間は三菱の独占が認められた。1939年に両社の間で協定が結ばれて、上海地区でアヘンを分配するために宏済善堂が設立される。ここを取り仕切ったのが里見だ。

 日本人だけが麻薬を扱っていたわけではない。例えば、中国在住のエズラ兄弟。エズラ家は第1次世界大戦の前から合法アヘンの売買をしていたが、ユダとイサクの兄弟の代になると非合法アヘンの取り引きに手を出しはじめる。上海に設立したユダの会社から日本の貨物船でサンフランシスコにあるイサクの倉庫へ運んでいた。このエズラ家と緊密な関係にあったのが蒋介石。アメリカの陸軍省や国務省は蒋介石が率いる国民党を同盟相手と認識していたため、財務省は麻薬密輸を摘発できなかった。



 1928年にロステインが殺されると、ランスキーやルチアーノが台頭してくる。こうしたギャングが麻薬の供給源にしたのがエズラ兄弟やフランスのエリオポーロス一味だった。1930年代にルチアーノとランスキーが麻薬密輸の中継地としていたのがキューバだ。

 ルチアーノの逮捕を目指す財務省は陸軍省、国務省、あるいは情報機関の妨害を避けるため、売春ビジネスに目をつける。1935年当時、彼はニューヨークに約200軒の売春宿を所有し、約1200名の娼婦を支配下に置いていた。年間1000万ドル以上の稼ぎがあったと言われている。この売春ビジネスでルチアーノは逮捕され、30年から50年の懲役を言い渡された。

 ところが、1941年に日本軍がハワイの真珠湾を奇襲攻撃したころ、状況が変わる。アメリカの海軍情報局(ONI)はドイツ軍の港湾での破壊工作に対応するため、暗黒街の人間と接触、そこでルチアーノが目をつけられたのである。彼の幼友達であるランスキーも情報機関と結びついた。ルチアーノが協力を約束すると、「国外追放」になっている。

 戦後、CIAが麻薬密輸に手を出す下地はこのようにして作られた。例えば、ベトナム戦争では「黄金の三角地帯」産のケシを材料にしたヘロイン、コントラ支援工作では南米産のコカイン、アフガン戦争から現在に至るまでアフガニスタン産のケシから製造されたヘロイン、といった具合だ。

 アフガニスタンの山岳地帯で生産されたケシがアフガン戦争でソ連と戦ったスンニ派武装勢力だけでなく、「西側」が支援していたコソボのKLA(コソボ解放軍)のカネ儲けに使われてきたことは有名な話だ。

 世界に麻薬を蔓延させてきたのは、CIAをはじめとする情報機関。アヘン戦争を考えると国を動かしてきた「エリート」だと言えるだろう。最近では、こうした麻薬資金のロンダリングが 巨大金融機関 の重要な仕事になっている。





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最終更新日  2014.01.16 20:54:02


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