《櫻井ジャーナル》

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2014.05.01
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 今年2月にウクライナで実行されたクーデターで中心的な役割を果たしたのはネオ・ナチだった。そうした集団がアメリカ/NATOから訓練を受けたというバルト諸国やポーランドでもナチズムが影響力を強め、西ヨーロッパでも問題になっている。

 勿論、ナチズムが「西側」で問題になるのは奇妙な話である。何しろ、そうした考え方をする集団を支えてきたのは「西側」、特にアメリカの支配層、より具体的に言うならばウォール街を拠点とする「国境なき巨大資本」にほかならないからだ。

 NATOがネオ・ナチを含む「右翼」を破壊活動の手先として使っていたことは1990年にイタリアのジュリオ・アンドレオッチ政権が明らかにしている。「いわゆる『パラレルSID』グラディオ事件」というタイトルの報告書を公表、NATOの内部には秘密部隊(イタリアではグラディオと呼ばれている)が存在していることを公的に認めているのだ。メディアや学者が知らないとは思えない。

 こうした秘密部隊はソ連軍に占領された場合にゲリラ戦を行うという名目で設置されたのだが、国内の左翼勢力を壊滅させることに目的は変更され、1960年代から80年頃まで「極左」を装って爆弾攻撃を繰り返した。NATOに加盟している国には必ずこうした秘密部隊が存在し、「右翼過激派」を守ることが義務づけてられている。(Daniele Ganser, “NATO’s Secret Armies”, Frank Cass, 2005)

 第2次世界大戦の前、ファシストの台頭を支援していたのはドイツやアメリカの「国境なき巨大資本」。そうした巨大資本にとって都合の悪いフランクリン・ルーズベルトがアメリカの大統領に就任すると、反ルーズベルトのクーデターが計画されたという。名誉勲章を二度授与された伝説的な軍人、スメドリー・バトラー海兵隊少将がこの計画を議会で証言して明らかになった。つまり、公式記録が残っているわけで、メディアや学者は知らなければならない。

 ウォール街の大物たちは「冗談」だと弁明したようだが、説得力はない。バトラーによると、彼らはフランスの「クロワ・ド・フ(火の十字軍)」のような集団を組織しようとしていた。

 バトラー少将から話を聞き、取材したポール・フレンチの議会証言によると、ウォール街のメンバーは「共産主義から国家を守るため、ファシスト政府が必要だ」とインタビューで答えている。ウォール街は「親ファシスト派」だ。

 つまり、第2次世界大戦が始まり、ドイツがソ連に攻め込んだときにイギリスなど「西側」が静観していたのは当然であり、ドイツが降伏するとウィンストン・チャーチル英首相はJPS(合同作戦本部)に対し、ソ連を攻撃する計画を作成するように命じている。そして、7月1日に米英軍数十師団とドイツの10師団がソ連を奇襲攻撃するという「アンシンカブル作戦」が出来上がるのだが、参謀本部に拒否されて実現しなかった。

 一方、アメリカではドイツが降伏する前の月にルーズベルトが執務室で急死、ウォール街が実権を握った。ナチスの戦争責任を問う声が高まる中、アメリカ政府はナチスの元高官や科学者たちをラテン・アメリカなどへ逃がして保護、さらに雇っている。1950年代からラテン・アメリカではアメリカの訓練を受けた軍人によるクーデターが頻発、ウォール街は利権を確保、拡大していく。



 彼の打ち出した政策は、緊縮財政(小さい政府)、産業合理化(労働者解雇)、金解禁(金本位制)。いずれもウォール街が望んでいたもので、景気を急速に悪化させ、失業者は急増、農村では娘が売られるという惨状を生み出したわけだ。そして1932年2月9日に暗殺される。

 井上が暗殺された頃、アメリカの駐日大使に指名されたのがジョセフ・グルー。その親戚、ジェーン・グルーはジョン・ピアポント・モルガン・ジュニア、つまりモルガン財閥総帥の妻であり、グルーの妻は大正(嘉仁)天皇の妻、貞明皇后(九条節子)と華族女学校(女子学習院)からの友だちだという。戦後、グルーは「ジャパン・ロビー」の中心メンバーとして日本を「右旋回」させていく。

 それでもニューディール派が残した「民主主義の種」は残り、それを潰す作業が延々と続いてきた。「戦後レジーム」からの脱却とはそうした作業の延長線上にあり、ウォール街への従属を意味している。巨大資本への反発がネオ・ナチ/ファシストを台頭させる一因になっているようだが、そのネオ・ナチを操ってきたのは巨大資本にほかならない。

 ウクライナでもこの関係が明確に出ている。暫定政権で要職に就いているのは巨大資本の傀儡とネオ・ナチ。巨大資本が作り上げたIMFはウクライナに170億ドルを融資(支援ではない)すると言っているが、その条件は東部の反クーデター派を制圧することにある。工業地帯を押さえなければ、ウクライナの「おいしさ」は大幅に低下してしまうというわけだ。





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最終更新日  2014.05.02 04:24:01


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