《櫻井ジャーナル》

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2014.08.08
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カテゴリ: カテゴリ未分類
イラク北部の都市アルビルへ迫っているIS(ISIS、ISIL、IEILとも表記)に進撃を止めるため、空爆の実施を承認したとバラク・オバマ米大統領は発表

 ISは政府軍兵士の首を切り落とすなど残虐さをアピールしながら戦闘を続け、シーア派やキリスト教徒の宗教施設などを破壊、人びとを虐殺、「聖戦結婚」と称するレイプも行われてきた。

 こうした戦闘集団はイラクの一部支配層と協力関係にあると見られ、実際、イラク軍の指揮官の中には戦闘を回避した人もいたという。ノウリ・アル・マリキ首相もそのように認識しているようで、メーディ・サビー・アル・ガラウィ中将、アブドゥル・ラーマン・ハンダル少将、ハッサン・アブドゥル・ラザク准将、ヒダヤト・アブドゥル・ラヒム准将を解任したようだ。

 しかし、このISを支持している一般住民はほとんどいないだろう。それにもかかわらず支配地を広げている大きな要因は何なのか?

 勿論、サウジアラビアのアブドゥル・ラーマン・アル・ファイサル王子から戦闘員を雇う資金が流れ込んでいるのは重要な要因。長い間、アル・カイダを指揮していた同国のバンダル・ビン・スルタン総合情報庁長官が背後へ隠れ、この王子の名前が出てきた。マリキ首相も今年3月、 サウジアラビアやカタールは反政府勢力へ資金を提供していると批判 している。

 さらに、シリアでISはアメリカ/NATOから武器を提供され、軍事訓練を受けている。2012年にはヨルダン北部に設置された秘密基地でアメリカのCIAや特殊部隊がISの主要メンバーを訓練していたと伝えられている。

 もし、アメリカ政府が本気でISと戦う気があるならば、まずサウジアラビアに資金の提供を止めさせ、シリアでの協力関係を解消して武器の提供を止めなければならない。そうしたことを行わず、スパイ衛星、偵察機、通信傍受施設などで動きを監視することもしないでISの進撃をこれまで傍観してきたのがアメリカ政府。

2011年と12年にアメリカ政府へF-16戦闘機を供給するように要請、契約もしていたのだが、搬入が遅れていた 。しびれを切らしたマリキ政権はロシアに戦闘機の提供を求め、中古ではあるが、6月28日には5機の近接航空支援機Su-25がイラクへ運び込まれている。こうしたロシアの動きに刺激されたのか、アメリカは直後に軍事顧問団を送り込んだ。

 ISはアル・カイダ系だが、リビアでもシリアでもアメリカ/NATOはアル・カイダ系の戦闘集団を「地上部隊」として使ってきた。イギリスのロビン・クック元外相も主張していたように、 アル・カイダとはCIAに雇われて訓練を受けた数千人におよぶ「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイル 、つまり傭兵の登録リスト。ISもあるプロジェクトで集められた傭兵集団にすぎず、今回の空爆を見てアメリカとISとの敵対関係にあると即断するべきではない。

 現在、アメリカと緊密な関係にあるイスラエルがガザで住民を虐殺、世界的に批判の声があがり、イスラエルの閣僚を戦争犯罪人として裁くべきだという主張も広がっている。ウクライナではアメリカ/NATOが操るネオ・ナチによる住民虐殺も、「西側メディア」の沈黙にもかかわらず、世界的に知られてきた。

 日本のマスコミはオバマ政権がイラクでの殺戮を止めようとしている「白馬の騎士」であるかのように報じているが、アメリカ政府もそうしたイメージを広め、人びとの視線をイスラエルからISへ替えさせようとしているのかもしれない。ガザでの虐殺はイスラエルの同盟国であるサウジアラビアも批判せざるをえないほど人びとの怒りを買っている。





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最終更新日  2014.08.08 18:10:57


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