《櫻井ジャーナル》

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

寄付/カンパのお願い

巣鴨信用金庫
店番号:002(大塚支店)
預金種目:普通
口座番号:0002105
口座名:櫻井春彦

2015.01.05
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 安倍晋三政権が強引に推進した集団的自衛権や特定秘密保護法は日本のあり方を根本的に変えることになるが、その背後には「日米同盟」がある。この同盟は言うまでもなく、アメリカ支配層の戦略に基づいて機能。世界でアメリカが行っていること、例えば中東/北アメリカで仕掛けた「アラブの春」、ウクライナでネオ・ナチを使って行ったクーデター、ロシア国内におけるNED/CIA系NGOの反政府運動などとも密接な関係がある。

 現在の戦略はソ連が消滅した直後、1992年に始まると言える。この年、国防総省では国防次官だったポール・ウォルフォウィッツを中心とするネオコンが DPG(国防計画指針)の草案 を作成、その中にエッセンスは含まれている。この草案がいわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」だ。その前年、 ウォルフォウィッツはシリア、イラン、イラクを殲滅すると話していた

 ソ連が消滅した当時、「冷戦」に勝ったアメリカが「唯一の超大国」になったと少なからぬ西側の人びとは考えていたが、そうした中にはネオコンも含まれていた。その地位を維持し、21世紀をアメリカが世界を支配する「千年紀」にしようと考える人もいて、そのためにエネルギー源を支配し、潜在的なライバルを潰そうと計画する。EU、旧ソ連圏、南西アジアもそうした潜在的なライバルと見なされたが、特に警戒していたのは東アジアだ。DPGの草案を懸念する人はアメリカ政府の内部にもいたようで、有力メディアへ内容がリークされ、書き直されたと言われている。

 1993年にスタートしたビル・クリントン政権ではネオコンの影響力が弱まり、外部での活動が中心になる。そして1996年、ネオコンはイスラエルの新しい戦略をテーマにした文書「決別」を作成している。

 その文書ではまず労働シオニズムを否定、トルコやヨルダンとの友好関係を深めると同時にイラクからサダム・フセインを排除して傀儡政権を樹立、親イスラエル陣営に取り込めればシリアはアラビア半島から孤立、弱体化は避けられないというシナリオだ。

 2000年にはアメリカで大統領選挙があり、最終的にネオコンが担いでいたジョージ・W・ブッシュが大統領に選ばれる。この選挙ではアル・ゴアを支持する可能性の高い有権者に対する投票妨害が報告され、投票数のカウントにも不正が噂されて裁判にもなっている。

 この年、ネオコン系シンクタンクのPNAC(新しいアメリカの世紀プロジェクト)は、DPGに基づく報告書「米国防の再構築」を発表した。実際に執筆したのは下院軍事委員会の元スタッフで2002年からロッキード・マーチンの副社長に就任するトーマス・ドネリーだというが、作成メンバーとしてステファン・カムボーン、I・ルイス・リビー、エリオット・コーエン、エイブラム・シュルスキー、フレッド・ケーガン、ロバート・ケーガン、ポール・ウォルフォウィッツ、ウィリアム・クリストルといったネオコンが含まれている。ちなみに、ケーガンはウクライナのクーデターを現場で指揮していたビクトリア・ヌランド国務次官補の夫だ。



 1997年には「日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)」が作成され、「日本周辺地域における事態」で補給、輸送、警備、あるいは民間空港や港湾の米軍使用などを日本は担うことになり、1999年には「周辺事態法」が成立する。この「周辺」は地理的なものではなく、その範囲を判断するのは事実上、アメリカ。

 また、2000年にナイとリチャード・アーミテージを中心とするグループが作成した「米国と日本-成熟したパートナーシップに向けて(通称、アーミテージ報告)」では武力行使を伴った軍事的支援が求められ、「日本が集団的自衛権を禁じていることが両国の同盟協力を制約している」と主張、「この禁止を解除すれば、より緊密かつ効果的な安保協力が見込まれる」としている。

 この当時、すでにアメリカでは世界制覇プロジェクト、つまり自分たちに従おうとしない国、体制を破壊しようとしていた。そうした侵略計画の中から集団的自衛権も出てきたわけだ。つまり、これを「他国防衛」と考えるのは根本的に間違っていると言うことになる。この侵略計画を実行に移す切っ掛けになったのが2001年9月11日のニューヨークにあった世界貿易センターやワシントンDCの国防総省本部庁舎への攻撃だ。

 そして2002年に小泉純一郎政権は「武力攻撃事態法案」を国会に提出、03年にはイラク特別措置法案が国会に提出され、04年にアーミテージは自民党の中川秀直らに対して「憲法9条は日米同盟関係の妨げの一つになっている」と言明、05年には「日米同盟:未来のための変革と再編」が署名されて対象は世界へ拡大、安保条約で言及されていた「国際連合憲章の目的及び原則に対する信念」は放棄された。

 アメリカは世界制覇戦略に基づいて日本を戦争へ引きずり込もうとしている。その戦略は21世紀に入って揺らいでいる。最大の理由は、属国化したはずのロシアが独立、アメリカの傀儡が押さえ込まれてしまったことにある。ウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを成功させるが、それが原因でロシアと中国の関係が緊密化、「脱ドル」に向かって大きく動き始めている。つまり、アメリカの支配システムが崩れ始めた。

 日本のエリートはアメリカ(ネオコン)の脅され、言いなりになっているが、ロシアや中国に対して脅迫は逆効果。それをネオコンは理解していないのか、脅しをエスカレートするしか能がない。このままエスカレートさせれば核戦争になると懸念する声もあるが、その前にアメリカは崩壊すると見る人も少なくない。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2015.01.05 19:35:56


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: