《櫻井ジャーナル》

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2015.02.21
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 ウクライナは経済が破綻、「国境なき巨大資本」の中からは「国の私物化」を求める声も聞こえてくる。鉱物資源が豊富で、重要な食糧の生産国であり、製鉄や航空機産業もあり、交通の要衝という国が立ちゆかなくなった最大の理由は巨大資本に略奪されたからだが、自分たちで招いた破綻を口実にして、さらに略奪しようとしている。

 アメリカは一昨年の後半からクーデターを始動させ、昨年2月にビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除することに成功、アメリカの ビクトリア・ヌランド国務次官補から高く評価されていたアルセニー・ヤツェニュク が首相に就任した。

 昨年12月から金融相にはアメリカの元外交官でファンドを経営していたナタリー・ヤレスコ、経済発展相にはリトアニアの投資銀行家であるアイバラス・アブロマビチュス、保健相にはグルジアで労働社会保護相を務めたことのあるアレキサンドル・クビタシビリを据えた。ウクライナには西側はさらに「融資」することになりそうだが、それを管理するのがヤレスコ金融相だということになる。

 ヤレスコは2001年2月にWNISEFというファンドの社長兼CEOになったのだが、このファンドはウクライナ経済を刺激する目的で1990年代にアメリカ議会が創設、USAIDに監督されている。USAIDはCIAとの関係が指摘されている機関だ。2006にはWNISEFと共同で投資をするEEGF、WNISEFの投資を運用するHCA、ふたつの会社を彼女は設立している。

 こうした背景があるため、金融相への就任が問題視されているのだが、それだけではなく、不正融資の疑惑も出てきている。元夫のイホール・フィグラスによると、EEGFの株を買い増すためにHCAから受けた融資には不正があった。この事実を明らかにした後、ヤレスコの弁護士は元夫を沈黙させ、破産させるために法的な手段を講じたという。

 また、2014年2月にウクライナでクーデターが実行される前、WNISEFはボーナスとして770万ドルを出費しているのだが、このうち460万ドルは支払われた相手が不明で、ヤレスコも金を受け取っているのではないかと疑われている。

 もうひとつ、注目されている人事がある。ペトロ・ポロシェンコ大統領の顧問としてグルジアの元大統領で刑事事件の容疑者になっているミヘイル・サーカシビリが選ばれたのだ。そのほかにも多くの元グルジア政府高官がウクライナへ「アドバイス」のために入っているようだ。キエフへ武器を供給するとサーカシビリは語っているが、すでにキエフ政権の戦争に疑問を持つ人がウクライナの西部でも増えているようで、徴兵を逃れて隠れる人も少なくないと伝えられている。武器を供給しても戦闘員が足りないということだ。

 サーカシビリは2003年に実行された「バラ革命」で実権を握ったのだが、その背後にはグルジア駐在アメリカ大使だったリチャード・マイルズがいた。ベルグラード駐在大使としてユーゴスラビアのスロボダン・ミロシェビッチを倒した後、2003年にグルジアへ移動している。

イスラエルとの関係 が深い。2001年からガル・ヒルシュ准将が経営する「防衛の盾」が予備役の将校2名と数百名の元兵士を教官としてグルジアへ送り込み、無人飛行機、暗視装置、対航空機装置、砲弾、ロケット、電子システムなども提供していた。

ロシア軍の副参謀長を務めていたアナトリー・ノゴビチン将軍 によると、イスラエルの専門家は2007年からグルジアの特殊部隊を訓練し、重火器、電子兵器、戦車などを供給する計画を立てていたという。 ロシア軍の情報機関GRUのアレキサンダー・シュリャクトゥロフ長官 は、イスラエルのほか、NATOの「新メンバー」やウクライナも兵器を提供していると主張していた。新しくNATOのメンバーになった東ヨーロッパの国々は小火器を、イスラエルは無人機を、ウクライナは重火器や対空システムをグルジアへ渡しているという。

 現在、ウクライナではアメリカが送り込んだ人物が政府の要職についているが、 当時のグルジア政府にはイスラエル系の閣僚がふたりいた 。国防相だったダビト・ケゼラシビリと南オセチア問題で交渉を担当していた大臣のテムル・ヤコバシビリだ。ヤコバシビリはイスラエルの市民権を持っていなかったようだが、ヘブライ語は話せるという。

 イスラエルだけがグルジアを支援していたわけではない。2008年1月から4月にかけてアメリカの傭兵会社、MPRIとアメリカン・システムズは元特殊部隊員を派遣している。

 2008年1月にはサーカシビリが大統領に再選されるが、その年の8月にグルジア軍は南オセチアを奇襲攻撃した。まず南オセチアの分離独立派に対して対話を訴え、その約8時間後に攻撃を始めたのである。十分に準備して望んだ作戦だったはずで、イスラエルが作戦を立てたという推測もある。

 この攻撃はロシア軍が素早く反撃、グルジア軍は惨敗したが、この出来事はイスラエルやアメリカにとってショックだっただろう。ロシア軍を過小評価、戦略を大幅に見直さなければならなくなったはずだ。昨年のクーデターでは、この経験に基づいてアメリカはシナリオを書いていたようにも見えるが、その裏をかかれてしまった。

 昨年2月、キエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)で狙撃があり、多くの人が死傷しているのだが、その実行者がクーデター派だった可能性が高いことは 現地調査したエストニアのウルマス・パエト外相も報告 している。



 グルジアのパンキシ渓谷はチェチェンの反ロシア武装勢力が拠点としている場所で、難民の中からCIAは戦闘員候補をリクルート、訓練している。そこからシリアへも戦闘員は送り込まれてISに参加、その人数は200名から1000名と言われている。そうした戦闘員がウクライナへ派遣される可能性は高いだろう。サーカシビリのキエフ入りはそうしたことを予想させる。





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最終更新日  2015.02.22 00:53:29


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