ところで、ハッキングや通信傍受はアメリカの電子情報機関がイギリスの機関と手を組み、1970年代から実行してきたこと。アメリカの電子情報機関NSAが全通信を傍受、記録するシステムECHELONを持っていることは、ダンカン・キャンベルが1988年8月に暴露している。ロッキード・スペース・アンド・ミサイルの従業員による内部告発がシステムの存在を明らかにする発端だったとう。(Duncan Campbell, 'Somebody's listerning,' New Statesman, 12 August 1988)
1996年にはニッキー・ハガーも自著の中でECHELONを取り上げ(Nicky Hager, "Secret Power," Craig Potton, 1996)、98年にはヨーロッパ議会が「政治的管理技術の評価」というタイトルの報告書を出している。(Steve Wright, "An appraisal of technologies for political control," European Parliament, 19 January 1998)ヨーロッパ議会の報告書はECHELONのターゲットとして、反体制派、人権活動家、学生運動指導者、少数派、労働運動指導者、あるいは政敵を挙げている。そうして集めた情報をアメリカの支配層は国内外の要人に対する恫喝にも使ってきたと信じられている。ロッキード・スペース・アンド・ミサイルの内部告発は、共和党のストローム・サーモンド上院議員の電話をNSAが盗聴しているとするものだった。