アメリカ主導軍がシリア東部の油田地帯、デリゾールにいるシリア政府軍を5月24日未明に空爆したと伝えられている。油田地帯やパイプラインの敷設ルートの確保はアメリカが侵略戦争を続ける要因のひとつであり、アメリカ軍はこの地域に大きな軍事基地を建設したともいわれている。
デリゾール周辺では2016年9月17日にアメリカ主導軍のF-16戦闘機2機とA-10対地攻撃機2機がシリア政府軍を攻撃して80名以上の兵士を殺害したが、空爆の7分後にはダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)の部隊が地上でシリア政府軍に対する攻撃を開始している。ダーイッシュに限らないが、ジハード傭兵はアメリカ側と連携してきた。その1年後にはロシア軍のバレリー・アサポフ中将がデリゾールで砲撃により戦死しているが、アメリカ側からアサポフ中将の位置に関する正確な情報が戦闘集団側へ伝えられていた、つまり殺させたと言われている。今年(2018年)2月7日には親シリア政府派の武装勢力がアメリカ主導軍に攻撃され、戦闘員数百名が殺されたとも言われている。犠牲者の中にはヒズボラやロシア人傭兵も含まれているという。
このデリゾールを含むユーフラテス川の北側の地域へアメリカ軍は無断で侵入、約20カ所に基地を作ったと言われている。アメリカほどではないが、イギリスやフランスも地上軍を侵入させている。この3カ国が行っていることは不法占領にほかならない。さらにイスラエルもシリア領内への攻撃を続けてきた。
シリア北部の占領にはクルドが協力しているが、それ以外のシリア国民は不満を募らせている。防空システムをシリアへ提供することに前向きだったロシア国防省はウラジミル・プーチン大統領がシリア政府軍への引き渡しを取り消したことから不満を持っている可能性がある。
プーチンは大規模な戦争を回避するために自重しているのだが、西側の好戦派はそれを見越して攻撃を繰り返し、状況を有利にしようと目論んでいる。イスラエル軍によるシリア領内の攻撃も、そうしたソ連政府の姿勢を利用し、シリアとロシアとを離反させようとしているのだと見る人もいる。シリアのバシャール・アル・アサド大統領はロシアについて勝利のパートナーだと発言したが、それを口にして沈静化しなければならない雰囲気が生まれている可能性もある。