アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官とロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が1月21日にジュネーブで会談した。これ以上ロシアの安全保障を脅かさないことを文書で保証、その文書を渡すようにロシアはアメリカ/NATOに求めている。
具体的には、NATOをこれ以上東へ拡大させないこと、モスクワをターゲットにできる攻撃システムをロシアの隣国に配備しないこと、ロシアとの国境近くで軍事演習を行わないこと、NATOの艦船や航空機をロシアへ近づけないこと、定期的に軍同士の話し合いを実施すること、ヨーロッパへ中距離核ミサイルを配備しないこと。
21日の会談後、ラブロフ外相はルーマニアやブルガリアを含む国から外国の軍隊を引き上げさせることも求め、ブリンケン長官は次の週に回答するとしている。回答期限を1週間延期したということだ。
ジョー・バイデンは2021年1月にアメリカ大統領となってから中国やロシアを恫喝してきた。例えば、3月18日にブリンケン国務長官はジェイク・サリバン国家安全保障補佐官とアンカレッジで中国の中央外事活動委員会弁公室の楊潔篪主任と王毅外交部長に会って脅したのだが、国土を守る中国の決意を過小評価するなと警告したと伝えられている。
7月26日にウェンディ・シャーマン国務副長官が中国を訪問するが、会えたのは謝鋒外務次官や王毅国務委員兼外相。しかも場所は北京でなく天津だった。その時、楊潔篪主任には会えていない。バイデンが習近平と電話で「気候」について話せたのは9月9日だ。
アメリカは東シナ海から南シナ海にかけての海域で軍事的な圧力を加え、新疆ウイグル自治区へはシリアやアフガニスタンで訓練したジハード戦闘員をアメリカは潜入させていると言われている。有力メディアを使ったプロパガンダも盛んだ。
バイデン政権にしろ、その前のドナルド・トランプ政権にしろ、こうした挑発行為をアメリカ政府は繰り返しているが、マーク・ミリー統合参謀本部議長は中国側に対し、大統領が中国を軍事攻撃することを許さないと伝えたという。
CSIS(戦略国際問題研究所)のシニア・フェローであるブリンケンはネオコンと関係が深い好戦派だと言えるだろうが、バイデン政権に反ロシア的な政策を採らせようとしているグループの中心にはマイケル・マクフォールが含まれているという。
この人物は現在、スタンフォード大学の教授で、ネオコンと関係が深いフーバー研究所のシニア・フェローでもある。2012年1月から14年2月まではロシア駐在大使を務めていた。ロシアの大統領選挙を2カ月後に控えた時期に赴任、ウクライナでクーデターを成功させた時期に離任したわけだ。
マクフォールがモスクワへ到着したのは2012年1月14日。その3日後には反プーチン派のリーダーたちがアメリカ大使館を訪れている。活動方針を指示されたと見られているが、この人びとはロシア国民には相手にされていない。
やはりロシア国民から相手にされていない反プーチン派のアレクセイ・ナワリヌイは奨学生としてエール大学で学んでいる。その手配をしたのもマクフォール。
バラク・オバマ大統領は2010年8月、ムスリム同胞団を使って中東から北アフリカにかけての地域でアメリカ支配層にとって目障りな体制を転覆させる工作を実行するためにPSD-11を承認したが、その計画を作成したチームのひとりもマクフォール。
その前、マクフォールはビル・クリントンと同じようにローズ奨学生としてオックスフォード大学へ留学、博士号を取得している。この奨学制度はセシル・ローズの遺産を利用して1903年に創設されたのだが、そうした背景もあり、アメリカやイギリスの情報機関と関係が深いと噂されている。