オレグ・ツァロフというウクライナの政治家が2月19日に緊急アピール を出していた。「大虐殺が準備されている」というのだ。ロシアのウラジミル・プーチン大統領がドンバス(ドネツクやルガンスク)の独立を承認する2日前のことである。
彼によると、ボロディミル・ゼレンスキー大統領がごく近い将来、ドンバスで軍事作戦を開始するという情報をキエフから得たとしている。クロアチアで行われたように、この地域を制圧してからキエフ体制に従わない住民を「浄化」するというのだ。作戦はすでに作成され、準備は整い、西側からの承認を得ているともしていた。
この作戦と並行してSBU(ウクライナ保安庁)はネオ・ナチと共同で「親ロシア派」の粛清を実行することにもなっていたという。ターゲットには政治家だけでなく、ブロガー、ジャーナリスト、オピニオン・リーダーが含まれていたが、この情報は2月19日より前に伝わっていて、一部の政治家は国外へ脱出済みだとしている。
ツァロフはビクトル・ヤヌコビッチ大統領派の議員だった2013年11月20日、議会でクーデター計画の存在を指摘している 。その直後から、反ヤヌコビッチ派がユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)で反政府集会を開始、翌年2月にはネオ・ナチによる暴力的なクーデターが実行されてヤヌコビッチは排除されたわけである。
OSCE(欧州安全保障協力機構)によると、今年2月17日頃からウクライナ側からドンバスへの攻撃が始まり、18日、19日とエスカレートしている。その段階でドンバス周辺には親衛隊のほかアメリカやイギリスの特殊部隊、アメリカの傭兵も集結、攻撃態勢が整いつつあることは知られていた。アメリカ政府はロシア軍が偽旗作戦を目論んでいる、暗殺リストを配っているなどと宣伝していたが、自分たちの作戦をカモフラージュしているのだと少なからぬ人が推測していただろう。
ロシア軍は最初のミサイル攻撃で軍事空港などを破壊、制空権を握ったとされているが、 アメリカがウクライナに建設していた生物兵器の研究開発施設を破壊、証拠の隠滅を妨害しようとしたとも言われている 。アメリカ側は「偽情報」だとしているが、そうした施設が存在していたことは記録に残っている。
そうした施設がいつから出現したかは不明だが、2013年に注目されたことは事実。アメリカ国防総省がハリコフ周辺にレベル3のバイオ研究施設を作ろうとしていると訴えるリーフレットがまかれたのだ。実際にこの施設は建設され、このほかドニプロ、ミコライフ、リビフ、ウジホロド、テルノポリ、ビンニツヤ、キエフにも同種の施設がある。研究員は外交特権で守られているようだ。
こうした施設は「エコヘルス連合」も」運営に参加しているとされていることは本ブログでも指摘した。この団体はアンソニー・ファウチが所長を務めるNIAID(国立アレルギー感染症研究所)と関係があり、WHO(世界保健機関)にアドバイスもしている。