ロシア領内の空軍基地が12月5日に攻撃された。その基地とはウクライナの北東450キロメートルの場所にあるディアギレボ基地と東550キロメートルのエンゲルス基地。燃料タンクが燃えている映像が流れている。2名が死亡、長距離爆撃機2機が軽い損傷を受けたという。そのほかウクライナとの国境から約100キロメートルの地点にある基地も攻撃されたようだ。いずれもドローンによる攻撃だとされているものの、潜入した工作員による破壊活動だった可能性もある。
その12月5日からEU(欧州連合)やG7(アメリカ、イギリス、カナダ、ドイツ、イタリア、フランス、日本)はロシア産原油の輸入価格の上限を1バレルあたり60ドルに設定した。ウラル原油が52ドルだったことから60ドルにしたという。
ジョー・バイデン政権はロシアの収入を減らそうとしたのだろうが、ロシア政府はそうした上限価格を課す国へ石油や石油製品を輸出することを禁止。EUやG7はロシア産のエネルギー資源を入手できなくなった。
以前からアメリカ政府はロシアの収入源は資源しかないと主張、資源相場を操作することでロシア経済を破壊できると信じていたが、すでにロシアは自前の金融システムを構築、生産能力を高めている。しかも中国という同盟国が存在する。ウクライナでの戦闘を見てもわかるが、低い生産力で苦しんでいるのはアメリカをはじめとする西側だ。
ロシア軍はウクライナの東部から南部に広がるステップ(大草原)が凍結する冬を待ち、新たな軍事作戦を始めると言われている。すでにT-90M戦車や防空システムS-400を含む兵器がドンバス周辺へ運び込まれた。部分的動員で集められた兵士のうち約8万人はすでにドンバス入りし、そのうち5万人は戦闘に参加しているともいう。訓練中の約32万人も新作戦が始まる前には合流するはずだ。
その結果、ロシア/ドンバス軍の戦力はこれまでの2倍以上になるとみられるが、欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長が11月30日に話したように、ウクライナ軍側は「将校(将兵?)」10万人以上が戦死したと見られている。その3倍が負傷している可能性が高く、40万人が戦線から消えたと推測する人が少なくない。すでにキエフ政権は45歳以上の男性を前線へ送り込んでいるようだが、その前線ではウクライナ兵の無数の死体が散乱しているとウクライナ軍の将校が認めている。
こうした戦況が知られるようになってきた。そこで、ウクライナ軍がロシア軍を攻撃しているというイメージを広めるため、ロシア領内の空軍基地を攻撃したのかもしれない。
そうした中、ロシアは極東のコズミノ港から石油をアジア市場へ向けて運び出した。その価格は1バレルあたり79ドルだとされているが、おそらく購入したのは中国であり、ドルで決済しない可能性が高い。ロシアと中国は今後、極東地域の開発を進めるようだ。