イスラエル軍は4月1日、シリアのダマスカスにあるイラン領事館を ゴラン高原の方向からIRGC(イスラム革命防衛隊)の特殊部隊と言われているコッズのモハマド・レザー・ザヘディ上級司令官と副官のモハマド・ハディ・ハジ・ラヒミ准将を含む将校7名が死亡したと伝えられている。国際法で保護されている外交施設を破壊したイスラエルは国際法を守る意思がないことを示した。イスラエルの守護者であるアメリカやイギリスやも同様だ。
現在、ガザではイスラエル軍による破壊と殺戮が続いている。すでに3万数千人が殺害されたと言われているが、瓦礫の下に眠っている死体の数は不明だ。イスラエルやその守護者たちは虐殺が始まれば住民が逃げ出すと思ったのかもしれないが、そうした展開にはならず、殺戮者としてのイメージを世界に広めている。
イスラエル政府は領事館への攻撃でイランを挑発、反撃を誘っていると見られている。その反撃が激しければ、アメリカ軍が介入する理由として使えると考えているのだろう。イスラエルはレバノンへの軍事侵攻を計画していると言われているが、単独で侵攻すればヒズボラに負ける可能性が高い。アメリカ軍が必要だ。
2014年にアメリカのバラク・オバマ政権の政策によってダーイッシュ(IS、ISIS、ISILなどとも表記)は作り出され、その武装集団は残虐さを演出、アメリカ/NATO軍を介入させようとした。
しかし、その直前、シリア政府の要請でロシア軍が介入してダーイッシュやそのほかのアル・カイダ系武装集団を敗走させてしまった。そこでアメリカなど西側の国は「静かに」軍隊をシリア領内へ侵入させ、基地を築いて戦闘員を訓練したり石油を盗掘している。
領事館の破壊と要人の殺戮はイランがイスラエルに対して大規模な反撃を始める正当な理由になるだろうが、今回の場合、イラン外務省のナセル・カナニ報道官によると、イランは「対抗措置をとる権利を留保しつつ、反撃の種類と攻撃者への処罰を決定する」と慎重な姿勢を示している。ホセイン・アミールアブドッラーヒヤーン外相はアメリカの責任にも言及した。
10月7日に実行されたハマスを含む武装集団によるイスラエルへの攻撃はイランが首謀者だとイスラエルは主張しているが、その証拠は示されていない。そもそもハマスは PLOのヤセル・アラファト対策でイスラエルが創設した組織。ムスリム同胞団のメンバーだったシーク・アーメド・ヤシンは1973年にイスラエルの治安機関であるシン・ベトの監視下、ムジャマ・アル・イスラミヤ(イスラム・センター)を、そして76年にはイスラム協会を設立している。そして1987年、イスラム協会の軍事部門としてハマスは作られた。