9月17日と18日にレバノンやシリアでポケベル(ページャー)や トランシーバーが爆破され、子どもを含む市民も犠牲になった。爆発物はバッテリーの中に仕掛けられていたと見られている。新学期初日のラッシュ時に爆破されたことから渋滞で救急車も身動きがとれず、死亡者を増やす一因になった。
そうした電子機器を誰が使っているかを犯行グループは掌握できていないようだが、こうした攻撃の準備には情報収集、技術開発、販売などで半年から数年は必要だと推測されている。
ポケベルは台湾の会社、アポロ・ゴールドの製品。同社によるとハンガリーを拠点とするBACがライセンス生産したという。この会社はイスラエルの情報機関が設立したペーパーカンパニーで、生産能力はないと伝えられている。トランシーバーはアイコム社製の「IC-V82」で、同社によると10年前に製造を中止している。
BACのCEOで唯一の従業員はイギリスで教育を受けたイタリア人女性のクリスティアナ・ロザリア・バルソニー-アルシディアコノ。この女性はポケベルの製造への関与を否定し、自分は仲介者にすぎないと主張。誰がどこで製造したのか、現段階では明確でない。
ターゲットになったと見られているヒズボラのハッサン・ナスラッラは9月19日にテレビ演説を行い、テロ攻撃で死亡した人びとの遺族に哀悼の意を表した。攻撃について調査していると語ったが、イスラエルが実行したとは断定、報復を誓っている。
ポケベルやトランシーバーを使ったテロ攻撃の直後にイスラエル軍はレバノン南部を爆撃したが、ヒズボラは9月20日、レバノン南部からイスラエル軍の主要軍事施設を150発以上のロケット弾で攻撃した。
ヒズボラはイスラエル軍がガザでの住民虐殺を止めるまでイスラエルを攻撃するとしている。サウジアラビア、ペルシャ湾岸の産油国、ヨルダンなどは傍観しているが、イラクのカタイブ・ヒズボラ、アサイブ・アル・アルハク、バドルなどのシーア派の戦闘集団、あるいはイエメンのアンサール・アッラー(フーシ派)はイスラエルやその後ろ盾になっている西側諸国との対決姿勢を強めている。
最も激しくイスラエルや西側を攻撃しているのはイエメンで、 イスラエルへ向かう船舶を攻撃してきたが、9月15日にはイスラエルのテル・アビブ南部にある軍事施設をミサイル攻撃した。「パレスチナ2」と名付けられたこのミサイルは2040キロメートルを11分半で飛行したとされているので、時速1万1000キロメートル近く、つまりマッハ8以上の極超音波ミサイルだ。イスラエルは極超音速ミサイルだということを否定しているが、実際に極超音速だったようだ。
このミサイルを供与できる国はイランかロシア。衛星に誘導されたはずで、ロシアが何らかの形で支援したと見られている。先週、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はロシアを極秘訪問したと言われている。そうした問題をウラジミル・プーチン大統領と話し合うためだったと考えられているが、目的を達成することはできなかったようだ。
ウクライナでアメリカをはじめとするNATO諸国はロシア深奥部を攻撃できる長距離ミサイルを供与した。これを使うためには衛星や偵察機からの情報、そしてオペレーターが必要だ。それに対抗してロシアはアメリカの敵対国に高性能兵器を供給すると見られていた。
アメリカが派遣していた 2隻の空母、セオドア・ルーズベルトとエイブラハム・リンカーンは中東を離れたと言われているが、これはロシアがイエメンに対艦ミサイルを供与する可能性を考えてのことかもしれない。対艦ミサイルを使われたなら、空母を中心とする艦隊は撃沈される可能性が高い。
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