継続は剛力なり~前田剛力のあなたの一日を豊かにするヒント

継続は剛力なり~前田剛力のあなたの一日を豊かにするヒント

2008.01.20
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今週のゲストは「生物と無生物のあいだ」の著者、青山学院大学教授の福岡伸一さんです。竹村さんの長男、竹村真一さんの知り合いで変わった話をいつもしているそうです。
僕もこの方面の話は好きなのですが、この本は知りませんでした。調べてみますと、去年の5月に出版されて20万部近いベストセラーになっているようです。図書館で借りようと思ったら、近くの3図書館は全て貸し出し中、人気ありますね。
・「生物と無生物のあいだ」(福岡さんのインタビューもあります);
http://books.yahoo.co.jp/book_detail/31891314

福岡さんが語る変わった話とは、人間を含む生物の身体は毎日のように分子レベルで入れ替わり、新陳代謝しているということ。皮膚、髪だけでなく骨や歯など固く固定していると考えられるところも同じ分子で構成されているのではなくて入れ替わっているのです。脳の細胞は変わりませんが、その中身は入れ替わっているそうです。

常に合成と分解がグルグル廻っているので、長い目で見ると我々の身体は固体というより分子が緩く集まっている気体のようなもの。古代ギリシアの哲学者ヘラクレイトスがいった「万物は流転する」はその通り、鴨長明の「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」(確かにずっと一つの川であることは違いないのだけれども、その川を流れる水は常に異なっている。流れる水は変化しているが、その変化を通じて川として維持されている)と同じような生命観を今の分子生物学が明らかにしているそうです。

「輪廻転生」といい、生命はぐるぐる廻っているということくらいは知っていますが、分子レベルで同じことが起こっているというのが分かってきたのはいつくらいのことですか、と竹村さん。

この実験をやったのはドイツ系ユダヤ人、ルドルフ・シェーンハイマーで1930年代、ラジオアイソトープ(放射性同位体)を含む食べ物を食べさせて、食べたものの分子がどこに行くかを調べたそうです。

それまで食べ物は自動車のガソリンのようなものでエネルギーとして消費され、身体の外に排出されると考えていたが、一部が身体に取り込まれているということが分かった。食べ物の分子も元々は他の生物の構成分子、取り込んで消化するということは、例えて言うと、文章だったものがA,B,Cのレベルに分解され、取り込まれ、身体の中でもう一度文章化されるということ。


なるほど。それが生物と機械の違いですね、と竹村さん。機械の場合は全部燃えて排出されるが、生物の場合は取り込んだものの一部が身体の成分になる。エンジンの部分部分がガソリンの成分と入れ替わりながら動いているようなもの。

人間の身体は分子のレベルでは半年もすればスッカリ入れ替わっている。身体から出てあるときはみみずの一部になり、あるいは海の一部になり、地球全体の元素の総量はあまり変わらず、廻りながらあるときは命になり、あるときは他のものの一部になる。これが本当の意味の環境なのです。

いい話ですね。このようなことは学校で教えているのですか。

今は、生命はミクロなパーツからできているプラモデルのようなもので、パーツごとに入れ替えることができるものというような機械論的な考えに偏りすぎています。
生物学ですら思想史で流行り廃りがあって、今は機械論的思考が優勢になって、その上にテクノロジーが乗かって生命操作などをしているのです。

魚のDHCを食べたら頭が良くなる、というような話は嘘なのか?

全くの嘘ではないが、大半は嘘。何かを食べるとその成分は消化され、身体の中で再構成される。だからコラーゲンが足りないからコラーゲンを摂ると補える、という思考は生物学的には正しくない。食べた牛のコラーゲンがそのまま身体の中のコラーゲンが足りないところにいって補うという風にはならない。

生命活動とは、エントロピーを増大させ秩序を壊そうとする宇宙の大原則に対抗して、常に物質とエネルギーを取り込んでいる自転車操業のようなもの。年を取るとペダルをこぐ速度が遅くなり、最後はエントロピーの法則に追い抜かれて死んでしまう。

このペダルをこぐ力をダメにする食べ物、逆に活性化する食べ物というのはあるのか。

それはあると思います。人工的なものの多くは生命に対して負担になる。だから良い食べ物を選ぶというのは大事。

このコペルニクス的大発見をしたシェーンハイマーは若くして自殺してしまったそうです。謎の自殺をして、スッカリ忘れ去られた人物。


そのあと1953年にワトソンとクリックがDNAの二重螺旋を発見したので、生命が時計仕掛けで自己を複製していく、という機械論的生命観が磐石になっていった。
これにも充分な意味はあったが、機械論的生命観にちょっと傾きすぎるのではないか、シェーンハイマーの業績を思い出してみませんか、という思いもあってこの本を書きましたと福岡さん。

ここで中間ですが、今日のエキスはだいたい終わったのではないかと思います。後半は軽く流します。

シェーンハイマーの考えは宗教のほうに行くのではないですか、と竹村さん。

東洋的な流れ、輪廻というような考えと親和性があるかもしれません。それが西洋社会でも再発見されているのです。機械論的な生命観の元はデカルト、それが合理的な見方ということになったが、それをシェーンハイマーが「必ずしもそうではない、全体的に流れている」という考えを導入してきたのです。



デカルト的機械論が臓器移植、遺伝子組換、再生医療などの底にあって、部品の入れ替えでいい、という考えにつながっている。それでうまくいっているところも沢山あるが、人間の身体のパーツは一定の機能だけを担っているだけでなく、全体の機能の一要素としてバランスを受け持っている。だから機械論的なアプローチだけでは生命の精妙さを把握できないところがある。

非常に重大な、皆が知っておかなければならない問題を提起しているのが福岡先生。それを庶民にわからせるために本を書いているのですね、と竹村さんも感心します。

啓蒙的な意味だけでなく、自分の考えを一度まとめる意味でも書いています、と謙虚な福岡さん。先週とはいささか風景が違います。

生命と無生物の違い、という難しい話だけど聴いていてよく分かった、と竹村さん。

このあとは若干横道にそれた話になります。

若い女性たちが水問題、環境問題などを積極的に知ろうとしている、身近に感じられる問題になっている、と竹村さんが語ります。
三宅一生サンの美術館の話も出ました。幸田真音さんの番組で知りましたが、この美術館は確か安藤忠雄さんが設計されたものです。三宅さんの「一枚の布」からイメージして、一枚板の鉄板で屋根を作っているそうです。非常に難しい設計で、これに応えられる職人は日本にしかいない、というような話でした。

分子生物学はどんどんミクロなところに入っていくが、そこで視野狭窄にならず全体としてみなければならない。そこでだけのロジックに捉われると単純なモデル、機械論に落ち込み易いのです。

本当にいい話をありがとうございました、で終わりです。
今日の話をよく理解するためには「生物の無生物のあいだ」を読んでみる必要がありそうです。ではまた。





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Last updated  2008.01.20 16:15:35
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福岡伸一氏  
くさなぎ さん
勝谷誠彦氏の周辺では福岡伸一氏の「もう牛を食べても安心か」が二年前に話題になってゐたと云ひます。勝谷氏がラジオの番組で近刊された「生物と無生物のあいだ」を紹介してゐたので読みました。その後に「もう牛…」も読みました。
そこで私が思ったことは、
・人が考へてゐると思ってゐることは本当はあるのかないのか
・生物を構成する情報は本当はどこに存在するのか
・魂はあるのかないのか
・様々な生物は何のために存在するのか
と云ふことでした。
哲学的なことに目が向いてしまひました。 (2008.01.20 23:55:08)

Re:福岡伸一氏(01/20)  
前田剛力  さん
くさなぎさん

もう読んでおられましたか。
なかなか興味深い内容ですね。
僕も図書館に予約して、読んで見たいと思います。 (2008.01.21 22:26:45)

追加情報  
くさなぎ さん
勝谷氏が福岡氏について語ってゐた番組と福岡氏が出演したラジオ番組のポッドキャスティングがこちらで聞けます。
何れもTBSラジオです。
・ストリーム ニュースさかさメガネ8/15
http://tbs954.cocolog-nifty.com/st/2007/08/815_bcf1.html
・サイエンスサイトークH19/11/18と11/25 バックナンバーのリンクから
http://www.tbs.co.jp/radio/xitalk/ (2008.01.27 22:31:10)

Re:追加情報(01/20)  
前田剛力  さん
くさなぎさん

またまた情報、ありがとうございます。
本当によく勉強されているのですね。
今後もいろいろ教えてください。 (2008.01.28 22:02:44)

いえ、とんでもない  
くさなぎ さん
前田さん、私はラジオが好きなだけなんです。
最近はよその番組で噂されてゐたのを聞いて、RFラジオ日本のミッキー安川の番組も聞いてゐます。 (2008.01.28 22:55:52)

Re:いえ、とんでもない(01/20)  
前田剛力  さん
くさなぎさん

僕もテレビよりラジオにお世話になっていますね。
竹村さんはもちろんとして、NHKラジオの英会話に土曜日8時半からの幸田真音さんの番組もゲストがなかなかよくて勉強になります。
(2008.01.29 22:32:40)

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