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7月1日12:06すぎにJAXAの主力ロケット「H3」3号機が打ちあげられ、予定のコースを飛んで、衛星「だいち4号」を軌道に投入しました。JAXAの実況中継の模様は以下です。昨年3月、H3初号機の打ち上げに失敗しました。今年2月に2号機成功ののち、今回の3号機は初めて本格運用です。発射から第2段エンジンの停止までの経路図です。このあと無事に第2段エンジン点火、南に進路を変え、衛星の軌道投入になります。左上の12606は速度Km/hの表示、580は地上高Kmの表示になります。今回のLIVEでは2段エンジン点火後、速度がなかなか上がらずヒヤッとしましたが、センターから「2段正常」とアナウンスがありました。H3ロケット1号機が第2段エンジン点火で不具合が起きていましたので、軌道投入まで手に汗握ってみてました。今回搭載された衛星は「だいち4号」(以下映像はUchuBizから)現在運用中なのは「だいち2号」と「4号」です「だいち3号」はH3ロケット初号機とともに喪失しました。H3ロケットの意義は 新潟日報より①部品を他の機種との共用化をはかり、低価格化をめざす②推力を上げさらに大型衛星を投入可能にする③打ち上げ成功率を高める商業打ち上げも視野に入っており、世界の打ち上げビジネスと対等に渡り合えるようになることでしょう。2年前に種子島発射場を見学したときの写真を載せます。この時はひどい雨でした。
2024.07.01
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小型月着陸実証機SLIM…”X"旧ツイッター SLIMから3/27に送られてきたおなじみの月面映像(JAXAの”X"から)です。この映像の意義はこのところ約1ヶ月間、休眠状態にあったSLIMがふたたび太陽電池に太陽光を受け3度の復活を果たしたことです。 月面では、太陽光が当たる状態と当たらない状態が約2週間ずつあり、太陽光が当たらないと零下約170度、太陽光が真上から当たると110℃になります。その温度差は280℃、精密機器(コンピュータやカメラ、通信機)や太陽電池パネル、バッテリーが過酷な環境を2度までも乗り越えたということです。SLIMは過酷な環境に耐えられる設計になっておらず、JAXAは当初稼働できるのは数日と見込んでいたが、着陸から2カ月以上たっても稼働する「タフさ」を見せている。日本のモノづくりの丁寧さ、それによる頑丈さをいかんなく発揮してということでしょう。1月20日以来2カ月以上も、SLIMはひっくり返ったまま活動を続けています。健気やなぁ<関連記事>月にはSLIMがいる:小型月直陸実証機軟着陸成功→2024/1/20ブログ月探査機SLIM:着陸エンジン一基損傷も予定地点をはずさず着陸→2024/1/25ブログ月探査機SLIMのマルチバンド分光カメラ→2024/1/27ブログ月探査機SLIMが復活→2024/1/29ブログ月探査機SLIM月の夜を乗り越えられるか→2024/2/10ブログSLIM 長い月の夜乗り越えて活動再開→2024/3/3ブログ
2024.04.04
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月の夜は約2週間続き、昼は約110度以上ある月面温度は氷点下約170度まで下がります。250℃以上の温度差を搭載の電子機器が乗り越えられるか?月探査機SLIM月の夜を乗り越えられるか→2024/2/10ブログ1月31日、月の日没以来、心配されていましたが、2月25日、太陽電池が向いている西に太陽が傾き始めたところでSLIMは活動を再開しました。SLIMからの電波を確認したそうです。(JAXA「SLIM開発・運用の状況」より)写真は1月31日、日没再休眠直前に取った月の写真です。(JAXA「SLIM開発・運用の状況」より)設計範囲を超えた厳しい温度変化を越えて、再稼働した日本の宇宙使用半導体の強固さに驚かされます。
2024.03.03
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水素は脱炭素目指す世界では、エネルギーキャリアとして期待されています。これまで様々な水素の生成法、採掘法について書いてきました。水素H2エネルギー⑦天然に水素が存在する→2024/2/12ブログ水素H2エネルギー⑥化石燃料から水素をつくる…CO2回収→2024/2/4ブログ水素H2エネルギー⑤化石燃料から水素をつくる→2024/2/3ブログ水素H2エネルギー④「水素H2エネルギー①~③」のまとめ→2024/2/2ブログそのようにして取り出した水素をいかに貯蔵するか、多くの課題があります。「アイアール技術者教育研究所」の記事を利用してまとめます。3分でわかる技術の超キホン 水素の貯蔵方法と貯蔵材料課題①水素H2を容器に貯蔵する:漏洩しやすく沸点が低い現在流通している水素の大部分は、圧縮水素または液化水素として貯蔵されています。(1)高圧水素をタンクにためる水素は高圧で保存すると体積を減らすことができます。しかし容器金属の水素浸食や水素脆化がおこり、漏洩(ひいては爆発)の危険があります。そのため、容器は肉厚のとなり、重くなります。水素ステーションでは特殊なステンレス鋼(18%クロム(Cr)と8%ニッケル(Ni)の鉄合金など)が使用されます。また自動車用水素タンクでは金属、樹脂、炭素繊維など特性が異なる材料を組合せた複層構造が使われます。(2)液化水素で圧縮水素より高密度に保存する水素は液化すると体積が約800分の1となり、圧縮水素より高密度に貯蔵できます。しかし、液体水素の沸点は常圧で-253℃。この温度以下に冷却しなければなりません。貯蔵容器には低温で使用可能なステンレス鋼やアルミが使用され、-253℃を保持するために、真空断熱や多層断熱材等が使用されます。それでも蒸発します。蒸発した水素を圧縮水素として貯蔵するか、安全に排気する設備が必要になります。課題②水素吸蔵材料:水素の貯蔵と放出に使うエネルギーが大きい(1)水素球場合金の代表的はニッケル水素電池の負極に使用されるLaNi5H6があります。水素吸蔵合金では、加圧すると合金中に水素が吸蔵され、水素を吸蔵した状態から減圧すると水素が放出されます(下図)。3)佐藤、折茂「安全かつ高密度に水素貯蔵を実現する材料」応用物理 90(2021) 570-573水素吸蔵合金は、圧縮水素よりも低圧で水素を貯蔵できる、水素放出速度が緩やかといった特徴があります。ボンベに吸蔵合金をつめて利用しますが、安全性は高圧水素より高く、期待されています。(2)水素化マグネシウムMgH2MgH2は、マグネシウム(Mg)に高温高圧化で水素を反応させて作ります。水素の質量密度が高く、常温常圧の大気下でも安定な物質です。水素を放出するには400℃まで加熱して放出。水と反応させてMgH2 + 2H2O → Mg(OH)2 + 2H2 のように発生させる材料が開発されています。(3)錯体水素化物錯体水素化物は、水素を含む錯イオンと金属イオンが結合した材料です。高密度に水素貯蔵ができます。代表的な物質の一つがLiBH4で、全個体電池の電解質材料としても利用が期待されています。しかし、水素が他の構成物質と強く結合しているため、水素放出時に高温加熱が必要です。(4)アンモニアNH3アンモニアは窒素N2と水素H2から合成する方法が確立されています。N2 + 3H2 ⇄ 2NH3 (ハーバー・ボッシュ法)アンモニアは沸点が高い(-33℃)ので液体水素より保存が楽です。水素を取り出すには触媒と高温が必要ですが、そのまま燃料として直接燃焼させることができます。(5)メチルシクロヘキサンC7H14(MCH)メチルシクロヘキサンはトルエンに水素付加して得られます。どちらも常温で液体です。水素を1/500の体積で保存できます。水素放出にはMCHを300℃以上で触媒を使って反応させます。(6)j吸蔵材料の吸蔵密度佐藤、折茂「安全かつ高密度に水素貯蔵を実現する材料」応用物理 90(2021) 570-573多くの吸蔵材料は液体水素より体積密度が高い。つまり、同じ容量のタンクにたくさん貯蔵することができます。質量密度については、原子量の小さい原子を使った吸蔵材料が高くなるようです。多くの材料において水素の吸蔵と放出には高温が必要で、そのための設備とエネルギー低減が課題です。
2024.02.20
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なんと天然の水素も存在します。最も軽い気体ですから、地上に出てきたとしても、あっという間に宇宙空間に逃げ去ってしまうのではないかと思っていました。天然水素の貯留、回収についての記事を見つけましたので紹介します。天然水素の動向 2023/08/31 JOGMEC 小杉安由美こちらの記事から改変・転載①天然水素は多くの地域で確認されている天然水素は、トルコ、オマーン、スペイン、日本(長野県白馬八方温泉)等の世界各地、陸上のみでなく海底(中央海嶺付近の熱水鉱床)においても観測されています。しかし、メタンやヘリウムと混合していることが多く、高純度の水素ガスは珍しいそうです。次の地図は天然水素の分布です。意外に確認されているのですね。②年間水素生産量は天然ガスに比べて少ないけど…全球規模での年間の水素生成量を試算した研究例があります。(下表)。研究によって、対象とする生成場やプロセス、計算方法は異なっており、その結果は数万~数千万ton/yearと幅があります。最も楽観的に見積もられているZgonnik (2020) [6] においては、22,680千ton/yearと見積もられています。これは体積に換算すると254 ±91 Bm3/ year (8.97 ± 3.21 Tcf) であり、天然ガスの世界生産量(2019年)の4.1 Tm3 (145Tcf) と比較すると2桁も小さい数字です。しかし、有機物を原料として、続成作用によって生成するまでに非常に長い時間のかかる化石燃料に対して、天然水素は比較的早い反応速度で長期にわたり連続的に生成し続けていることを考慮すると、大量に存在している可能性はあると考えられるそうです。③水素はどのように生成したか(3つのメカニズム)1)水の放射性分解である。岩石中に含まれる微量のウラン、トリウム、カリウム等の放射性元素の壊変により発生する放射線によって水が分解され水素が発生します。2)蛇紋岩化反応:かんらん岩等が変質して蛇紋岩となる際に、水素が発生します。3)水素を大量に含む地球深部のコアや下部マントルから排出された水素が、プレート境界や断層に沿って浅部まで上昇したものです。④利用できそう?③のように生成した水素は天然ガスを貯留する岩盤にたまり、天然ガスと同じように回収できそうです。マリのBourakebougouの例があるマリの首都Bamakoの北部50キロメートルに位置する鉱区(Block25)は、1987年に水井戸掘削の際に水素が発見されたBourakebougouを含む面積43,000平方キロメートルの広大な鉱区です。2017年から2018年にかけて24本(計6,953メートル、深度100~1,800メートル)の試錐を実施しており、2022年5月より新たな試錐も実施しています。2011年にHydroma社がリエントリーし、生産した水素を直接燃焼して発電し、近隣の村に提供するパイロットプロジェクトを2012年から開始し、現在まで電気の供給を続けています。天然水素の利用は始まったばかりですが、天然ガスにくらべて、埋蔵量は少ないものの何億年もかからず生成するので、意外に利用が進むかもしれない。
2024.02.12
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JAXA(宇宙航空研究開発機構 )は2月1日、月面に着陸した月探査機「 SLIMスリム 」が1月31日午前9時頃に運用をいったん終え、電源をオフにする「休眠」状態に入ったと発表しました。太陽電池が発電できない夜を迎えたためで、SLIMが日没直前に撮影した月面の画像も新たに公開しました。月の夜は約2週間続き、昼は約110度以上ある月面温度は氷点下170度まで下がります。夜が明ける2月中旬以降、電源をオンにして再起動する予定だが、温度差200度以上の過酷な環境下では電子機器が壊れる可能性が高く、復活するかどうかはわからないとのことです。もうすぐ、月では日の出です。再起動できることをいのります。これまでのJAXA報告月面探査機SLIMは1月20日、世界初のピンポイント着陸に成功しました。着陸用エンジン1基の不調で月面にひっくり返っていましので、太陽電池に光が当たらず「休眠状態」となっていました。月探査機SLIM:着陸エンジン一基損傷も予定地点をはずさず着陸→2024/1/25ブログ月にはSLIMがいる:小型月直陸実証機軟着陸成功→2024/1/20ブログ太陽光があたり、発電が開始されると、休眠を解き、探査活動が始まります。「昨夜1月28日11時ごろ、SLIMから通信が届き、運用を再開した」と、JAXAはXで報告しました。月探査機SLIMが復活→2024/1/29ブログ
2024.02.10
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メタンを原料とし、水蒸気を使用して合成ガス(水素H2および一酸化炭素CO)を得る「水蒸気改質法」は実用化されていますが、二酸化炭素CO2が発生します。水素H2エネルギー⑤化石燃料から水素をつくる →2024/2/3ブログまた石油や石炭など「化石燃料」と呼ばれる燃料をエネルギーとして使う火力発電でも、CO2が多く排出されます。そこで、水素製造や火力発電のCO2排出量をおさえるため、「CCS」「CCUS」という取り組みの開発が行われています。《CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)》「二酸化炭素回収・貯留」技術です。以下の図は「知っておきたいエネルギーの基礎用語 ~CO2を集めて埋めて役立てる「CCUS」」資源エネルギー庁からこの技術は水素精製工場や発電所などから排出されたCO2を、ほかの気体から分離して集め、地中深くに貯留・圧入する方法です。課題(1)CO2を他の気体から分離させて回収する時にかかるコストです。CO2を吸収する液体を使って化学的に分離する方法、特殊な膜を使ってCO2だけを分離させる方法、固体吸収材を使う方法などがあり、コストも含めた実用的な技術の確立に向けて、研究が進められています。経済産業省が開発を支援した固体吸収材を使って、これまでの技術の半分以下のコストでCO2を分離・回収することを目指すべく、関西電力の舞鶴発電所で実証試験をおこなうことが決まりました。課題(2)CO2を貯留するための地層を見つけること日本では、2012年から、北海道・苫小牧でCCSの大規模な実証実験がおこなわれています。2016年度からは、港内の海底の下にCO2を高い圧力で貯留する作業を開始しました。製油所から供給されたガスの中からCO2とそれ以外の気体を分離し、海底の深くに掘った井戸に、年10万トン規模のCO2を3年間埋めこむ計画です。終了後は2年間、CO2が漏れ出さないようにモニタリングする予定です。《CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)》分離・貯留したCO2を利用しようというものです。たとえば米国では、CO2を古い油田に注入することで、油田に残った原油を圧力で押し出しつつ、CO2を地中に貯留するというCCUSがおこなわれています。CO2貯留が実現できる上に、石油の増産にもつながるとして、ビジネスになっています。また、化学原料の生産に使われることが考えられているほか、ユニークなところでは、太陽光エネルギーをつかってCO2を燃料に変換する藻を育て、バイオ燃料として利用しようという研究もおこなわれています。CCSやCCUSは水素生産で生じるCO2を排出しない「ブルー水素」にあたります。水素H2エネルギー⑤化石燃料から水素をつくる →2024/2/3ブログ
2024.02.04
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※Iwatani 「水素の製造方法」から太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーを利用して水の電気分解で製造した、CO2を一切排出しない水素は「グリーン水素」と呼ばれています電気分解による製法は水素H2エネルギー③水素の作り方1電気分解 →2024/1/15ブログ石炭や天然ガスなどの化石燃料を原料に、高温で分解・改質して水素を製造する方法は製造時にCO2を発生することから「グレー水素」と呼ばれています。化石燃料から製造し、発生したCO2を回収して地中に貯留したり、利用したりする「CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)」や「CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)」技術と組み合わせることで、CO2排出量を削減した水素を「ブルー水素」と呼ばれます。ここでは、化石燃料から水素を合成する「グレー水素」と「ブルー水素」について書いていきます。「CO2の回収・貯留・利用」については次回です。水蒸気改質法メタンを原料とし、水蒸気を使用して合成ガス(水素H2および一酸化炭素CO)を得る方法で、最も一般的な工業化された水素製造です。天然ガス(CH4主成分)は下図左上から導入します。「Desulfurization」で硫黄化合物や塩素化合物は触媒毒になるので取り除きます。「Steam Reforming」(右上)で、天然ガスにスチームを加え、高温下(750~900℃)で改質して水素や一酸化炭素などを生成します。CH4 + H2O ⇄ CO + 3H2 + 206kJ/mol「Waste Heat Boiler」(中央)で200~350℃まで冷却され、次のCO転化工程に送られます。この「Waste Heat Boiler」発生したスチームの大部分は改質用スチームに利用されます。「Shift Conversion」(左下)はCOシフト反応といいます。さらに水素を生産します。CO + H2O ⇄ CO2 + H2 -41.2kJ/mol 「PSA Unit」(右下)で水素を分離します。冷却されたプロセスガスは凝縮水を分離した後にPSAユニット(PSA Unit)に供給され、水素と他のガス(CO/CO2/CH4/N2/H2O)を分離します。分離された水素は製品として外部に送られます。残ったガス(Waste Gas)には水素やCO/CH4などが含まれており、水蒸気改質炉の燃料として再利用されます。※PFD&Process国内のほとんどの水素がこの方法で作られています。
2024.02.03
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これまで「水素H2エネルギー①~③」のまとめ水素エネルギーはCO2排出削減というより、日本の「エネルギーミックス」の1要素として解発するのがいいと考えています。水素H2エネルギー①昨今のエネルギーを見る→2024/1/7ブログ①では、エネルギーの現状を確認します。もちろん「水素エネルギー」は現在のエネルギーミックス要素ではありません。水素H2エネルギー②1970年代までは水素H2とCOが都市ガスだった →2024/1/9ブログかつて、水素と一酸化炭素を都市ガスとして供給していました。今はメタンCH4と地域によりプロパンC3H8です。水素H2エネルギー③水素の作り方1電気分解 →2024/1/15ブログ③以降は水素の作り方。電気分解の触媒や条件の新しい研究や産業ベースでの開発を紹介します。今後は、電気分解以外の水素の作り方や貯蔵、運搬、利用について書いていこうと思います。
2024.02.02
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月探査機SLIMは月面着陸に成功したものの、太陽電池に光が当たらず「休眠状態」となっていました。月探査機SLIM:着陸エンジン一基損傷も予定地点をはずさず着陸→2024/1/25ブログ月にはSLIMがいる:小型月直陸実証機軟着陸成功→2024/1/20ブログ太陽光があたり、発電が開始されると、休眠を解き、探査活動が始まります。「昨夜28日11時ごろ、SLIMから通信が届き、運用を再開した」と、JAXAはXで報告しました。※SLIMに搭載されたカメラで撮影した月面画像。「しばいぬ」などは、観測候補となる岩石の愛称。休眠状態になる前に撮影した(C)JAXA/立命館大学/会津大学運用再開後、SLIMから届いた写真は※SLIMが再起動後に観測した「トイプードル」と名付けられた岩石の画像(C)JAXA
2024.01.29
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2024/1/20に月小型探査衛星SLIMが月赤道付近のクレーター「しおり」にピンポイント着陸をしました月にはSLIMがいる:小型月直陸実証機軟着陸成功→2024/1/20ブログそして、2024/1/25に軟着陸詳細についてJAXAの記者会見があり、月の画像も提供されました。月探査機SLIM:着陸エンジン一基損傷も予定地点をはずさず着陸→2024/1/25ブログクレーター「しおり」周辺へのピンポイント着陸の目的月の起源は巨大衝突説が有力です。地球が成長途中、別の天体が衝突し、形成された破片やダスト、ガスなどが集積して月ができるとする説です。ただし、衝突天体のサイズや化学組成、月の原材料が主に地球由来か、衝突天体由来かわかっていません。これを知るために、月のマントル(体積の90%以上を占める)の組成(鉱物量比や鉄とマグネシウムの比など)を調べるために、新しいクレーターの「しおり」周辺が選定されました。月の赤道付近のほんとに小さな名前もなかったクレーターです。今回の着陸に際して命名されました。「しおり」は直径270mしかありません。SLIMのマルチバンド分光カメラ750nmから1,650nmまでの波長帯を10バンド、10mの距離で0.13cm/pixelの高解像度で観測するカメラです着陸点周辺の岩石と月表面の土壌を観測します。観測波長は月の主要鉱物である輝石、カンラン石、斜長石などを識別するために選定しています現在、SLIMはひっくり返っており、太陽電池の向きが西に向いているので太陽光があたらず、充電待ちしっかり充電して岩石の分析が進むことをいのります。
2024.01.27
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栃木県のダムの見学で東電の所員に聞いたところかつての揚水ダム(電力が余っているときダム湖に揚水して、不足の時に水力発電し供給する)は夜間の余剰電力で揚水していたそうですが、現在は昼間に揚水しているそうです。これは、太陽光発電が昼間しか発電しないことによる変化だそうです。藤原・奈良俣・八木沢3ダム点検放流見てきました;まるで夕立(;^ω^)→2022/5/23ブログ需要に応じて発電し供給することしかできないので厄介です。いま、電力は蓄電池(Li-ionなど。充放電に制限があり、リサイクルが難しい)にしかためることができません。そこで、余剰電力で電気分解して、水素H2として保管・流通させる利用法が考えられました。水素は燃料電池、自動車燃料、二酸化炭素の改質(メタネーション)など利用の可能性は広いです。①中・高校での電気分解高校化学で水素H2の生成は金属と酸の反応、水性ガスによる生成の他に電気分解による反応があります。生徒実験では1mol/LNaOH水溶液炭素電極で1.5V、1A程度で電気分解。陽極:4OH- → O2 + 2H2O + 4e-陰極: 2H+ +2e- → H2 (または,2H2O + 2e- → H2 + 2OH-)写真は市版の電気分解実験装置(モノタロウ)であるが、電極が炭素棒のため効率が低くなります。②産業としての電気分解の可能性高効率を得るためには、電極に白金Ptなど貴金属を利用するが、高価なため水素の製造単価が高くなります。そこで、電気分解の電極や電気分解条件については多くの研究があり、白金Ptを減らしたり高効率で水素H2を得ようとする努力が続けられています。高効率・製造単価を下げるための研究を2つ紹介します。(1)電極の開発 電気分解に同じ電力を使っても水素発生量を増やす効率的な電極の開発、また、貴金属の白金Ptを減らす電極の開発、電極の長期利用素材の開発、など次々に研究報告がされています。目についたものは以下です。超高効率な水の電気分解を実現するナノシート状合金触媒を開発京都大学大学院理学研究科 北川宏 教授、草田康平ら(2021/2/17 科学技術振興機構)酸性溶液中で水の完全分解を高活性に長時間促進するルテニウム–イリジウム(Ru–Ir)合金電極触媒の開発に成功。この触媒は特徴的な珊瑚形状をしたナノ構造体であり、3 nm(3×10-9 m)程度の Ru–Ir 合金ナノシートの集合体です。継続時間はまだ122時間です。白金/炭素ナノマテリアル複合体による水素発生触媒の開発理化学研究所 川本益揮ら(2023/8/21 理化学研究所)PtNP/単層カーボンナノチューブ触媒は、白金量が市販の白金/炭素触媒の470分の1であるにもかかわらず、白金の単位質量当たりの電流値が270倍を示しました。高価な貴金属の使用量を減らすコスト効率の高が高くなります。常圧、25℃で150時間電気分解しても水素発生に変化が起きないことが確認されています。(2)反応条件の検討高温で反応が促進されることは、化学の授業でもおなじみですが、温度を上げて電気分解する方法が実用化に近づいています。高効率な水電解技術「SOEC」、量産規模の早期拡大が普及のカギに「日経クロステック」ニュース解説SOECは、水素などから電気をつくるSOFC(固体酸化物形燃料電池、Solid Oxide Fuel Cell)の反応を逆にたどる技術。700~800℃で電気分解を行うが、大きな廃熱を伴う製造工場内にSOEC装置を併設すれば効率を上げることができる。大阪ガスはSOECで生産した水素とCO2でメタンを合成する過程で得られる廃熱をSOECに利用するシステム「SOECメタネーション」を開発している。以上ですが、電気分解に利用する電力源が大きな問題となります。化石燃料を使う発電では、本末転倒となるので、再生可能エネルギー(含む原子力発電)を利用するしかありません。ここまでの話:ブログの内容を連続できませんでしたので、「水素エネルギー」についての話題のこれまでのリンクを貼っておきます。水素H2エネルギー①昨今のエネルギーを見る→2024/1/7ブログ水素H2エネルギー②1970年代までは水素H2とCOが都市ガスだった→2024/1/9ブログ
2024.01.15
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なんと、1970年代までは水素H2を主要成分とした都市ガスを家庭で利用していました。この都市ガスの成分は水素H2、一酸化炭素COで、水性ガスと呼んでいます。実は石炭を乾留(蒸し焼き)して炭素部分だけを残した燃料=コークスと水が原料です。(昔、私の小学校ではストーブでこれを燃やしていました。コークス当番の生徒が毎日運んでいました)東京瓦斯のガスタンクとガス炉 Wikipediaよりちなみに豊洲の鮮魚市場は東京ガス工場の跡地でした以下、水性ガスの生成反応です。柏谷悦章・石井邦宜 「H2Oによるコークスガス化反応における反応の種類」鉄と鋼 Vol79(1993)No12 では、かなり詳細に反応の分析がされている反応温度1000℃(1273K~1673K)で小粒コークス充填層に水蒸気を通過させ水性ガス反応を起こさせ、生成したガスを分析した結果です。(反応式中=は化学平衡を現す、ほぼ吸熱反応です)水性ガス反応Ⅰ:C+H2O=CO+H2 主な反応水性ガス反応Ⅱ:C+2H2O=CO2+2H2 かなりの割合で生じているブドワール反応:C+CO2=2CO この反応も起こっている 水性ガスシフト反応:CO+H2O=CO2+H2 1273K以上ではこの反応はおこりにくいたくさんの反応が高温で炭素Cと水蒸気H2Oを触れさせることで起こっており、かなり複雑です。このことにより都市ガス成分は水素H2と一酸化炭素COをふくんでいて、昔はガス漏れによる一酸化炭素中毒事件が起こりました。現在の都市ガスはメタンCH4です。有毒ではありませんので漏れても引火にだけ気を付ければ中毒の心配はありません.水性ガスの燃焼反応はCO(g)+1/2O2→CO2+283KJH2+1/2O2→H2O+286KJです
2024.01.09
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