5Gは引き続きラボで評価 今回の発表には4Gと5Gの両方が登場しますが、検証する環境は異なります。キーウ周辺の商用ネットワークで実際の顧客通信を収容するのは4G LTEです。5Gについてはラボで機能を評価し、将来の商用展開に向けた検証を続けます。現時点で、ウクライナの商用ネットワークに5G Open RANを導入することが決まったわけではありません。4Gの屋外実証と5Gのラボ評価は、分けて捉える必要があります。
Open RANはすでに楽天モバイルで商用運用 今回の実証は、「Open RANが商用環境で使えるか」を一から確かめるものではありません。楽天モバイルは、Open RANに基づくモバイル通信サービスを日本国内で提供しています。同社は2025年12月、サービス全体の契約数が1,000万回線を突破したと発表しました。楽天モバイルのOpen RANは、実験室の中だけで動いている技術ではなく、全国規模の商用ネットワークで運用されています。今回の目的は、日本で商用運用されてきた技術やノウハウを、Kyivstarの既存ネットワークへ適用することです。ウクライナの設備、通信環境、電源や伝送網、保守体制などに合わせてOpen RANを構築し、安定して運用できるかを確かめます。「Open RANがラボを出る」のではなく、「Kyivstar向けの実証がラボから商用ネットワークへ進む」と表現する方が、今回の取り組みを正確に捉えられます。
複数メーカーをまとめる力が欠かせない Open RANには、異なるメーカーの機器やソフトウェアを組み合わせやすいという利点があります。その反面、接続する製品が増えるほど、ネットワーク全体の設計や品質管理は複雑になります。障害が発生した際に、原因となった機器やソフトウェアをどこまで早く特定できるのか。複数のメーカーとの調整を誰が担うのか。顧客への影響を抑えながら、ソフトウェアを更新できるのか。こうした運用の積み重ねが、サービスの品質やコストを左右します。採択資料には、ネットワークの構築だけでなく、システムインテグレーションや保守運用も事業内容として記載されています。製品単体の性能に加え、楽天シンフォニーとKyivstarが一つのネットワークとして安定稼働させられるかも、実証の成否を左右します。