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その当時、たまたま日本に生まれてしまったわたくしは、尻や膝に継ぎ当てをしたズボンを履き、すり切れた先から親指が覗くアサヒのズック靴を素足で履き、学校給食で出されるアメリカさんから供与された脱脂粉乳を「美味しい・美味しい~」と言って飲んでいたんです。周りを見渡したところで、ジャリ禿の修君もお転婆なユリ子ちゃんも一年中鼻を垂らしていた良平君も皆同じ様な状況でしたので、これがスタンダード。別に貧しいなぁ~とか、悲惨だなぁという思いは全くありませんでした。
そんな時代背景の基にアメリカで誕生したのが今回のテーマ「Kodak Pony」です。スタイルや仕様、ネーミングを見ると正面切って大の大人が使うものではなく、かといって玩具というほどチャチなものでもないので、少年少女をターゲットにして作られたカメラに間違い無いでしょう。
単に「Pony」といっても1950年に初代が誕生し、62年までに細かな変更を加えて6機種のPonyが製造されていました。いま私の手元にあるのは、55年製の「Kodak Pony 135 Model C」と57年製最終型の「Pony II」の2台です。
左は1955年製「Kodak Pony Model C」、
右は1957年製「Kodak Pony II」、
'57 パッカードコンバーチブルクーペと共に
「Model C」は、ハーシーのチョコレートのような色をしたベークライトボディに44mm, f/3.5の3枚玉レンズ、前玉回転式の焦点調節、絞りは3.5から22まで選べ、シャッターもバルブはもちろん1/25から1/300まで4速が選べる本格的な物が使われています。コダックのカメラは伝統的に初級者を意識した作りがしてあって、このカメラにも絞り表示にはf値のほかに英語の文字による明るさの表示が鏡胴のプレートにプリントしてあります。

Kodak Pony Model C
またレンズリング正面 には目立つ赤い数字で絞りの変化による深度が一目で分かるリングが装着されており、このカメラを子供達が使うことで写真機の仕組みがしっかり憶えられるような教科書的な作りのカメラになっています。
もう一方の「Pony II」は、正面のメタルプレート以外は全身黒のベークライト製で直線を使ったデザインがやや近代性を感じさせます。しかし、レンズは3枚玉は変わらぬものの44mm, f/3.9とややスペックダウン、前玉回転式で焦点調節も出来るのですが、絞り調節がf値ではなくEV(エクスポージャーバリュー)式に変わってしまい、絞り羽の枚数も菱形の4枚(C型はほぼ円形になる6枚)、シャッターも約1/50秒位の単速になってしまっています。これは一体どのような計画で造られたものでしょうか、これでは標準的な写真の基礎は覚えられませんね。これがコダック流の進化なのでしょうか、どうもよく理解できません。
コダックという会社が写真の歴史に関して貢献したものは、質、量共に膨大なものであることは世界中の誰もが認めるところですが、一方でアメリカ合理主義に基づく切り捨てについても考えさせられることも多いですね。特にフィルムフォーマットに関しては直接会社の利益に結びつく事柄なので、手を変え品を替えということが起きてきたわけです。
今回のPonyシリーズは、たまたま35ミリフィルムを使用していましたので、今日でも問題なく使えますが、126・127タイプ等、今では消えてしまったフォーマットだと撮影に要する労力よりフィルム調達の苦労の方が多くなってしまうので、カメラだけが残って路頭に迷ってしまうことになります。同様に現在のデジタルカメラにしても記録メディアやPCとの接続方式が短期間で進化してしまうのでライフタイムは更に短くなってしまうと思われます。









