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2006.02.11
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カテゴリ: 家族


 前の日記で、私の母が歴史や古代遺跡などが大好きな事を書きました。
 晩年になって旅行を楽しむようになった両親は、父の好きな自然の美しいところ、母の好きな歴史的なところなどでした。
 エジプト、ギリシャ、トルコのツァー、そしてスペインへは、私と主人が同行しました。

 不思議な経験をしたエジプトは、なかでも忘れられない旅です。
 母が1番行きたがっていたエジプトですが、体調があまり思わしくないので、父は反対していました。
 私と主人が同行する事になり、父も安心して賛成してくれたのですが・・・・。

 でも、最初に具合が悪くなったのが父でした。
 ギザに着いてから、足の悪い母の痛み止めがあまり効いていなかったので、ピラミッドの中に入らず、母だけ外に残りました。
 1番大きなクフ王のピラミッドですが、
 中の通路は狭く、上がり降りするので、母には無理でしたが、日頃から仕事で体を鍛えている(私たちより元気な)父と、私・主人の3人は、見学に入りました。

 いくつか見学箇所を過ぎたところで、父の胸が急に苦しくなり始めたの。
 立ち止まって休んだけど、息苦しさは良くならず、父は戻るといいました。

 普段の父は、怪我をしても病気で苦しい時も、痛いとか苦しいなどと決して言わないの。
 オトコがそんな事を言ってはみっともないと言う人でした。
 よほどの不安感に駆られたような感じでした。
 少し引き返すと良くなり、「もう大丈夫、自分はやっぱり外に出るから、残りをゆっくり見ておいで」と、父は外へ。

 中を見終えて、ピラミッドの外へ出てきた私たちに、父は情けなさそうに照れ笑いをしていました。
 外に出たら、ウソのように良くなったそうです。
 そして、何故あんなに 「これ以上行けない、戻らなければ」 という、切迫した気持になったのか不思議だって。

 考古学的な資料の本をはじめ、色々な本を乱読する母が言うには・・・
 「ピラミッドの中には、不思議なスポットがあって、具合が悪くなる人がいるそうだ」って、言うのね。
 母は、この辺りじゃなかったか?と、訊くけど、そこが正確にそうだったかどうか、はっきりはしませんでした。

 父は、そんなバカな・・・と、あくまでも否定していましたが、「戻る」と言った時の父の様子に、いつもと違うものを感じて、私はヘンに思ったのは事実です。

 そして、カイロから、ルクソールに飛行機で飛んで、「王家の谷」へ行ったのですが・・・・。
 「王家の谷」に向かうナイル川の渡し舟の中で、 急に母が眠り始めました。
 起こしたら、生返事はするのですが、立って歩くのもおぼつかなくて、父と主人が母の両脇を抱えるようにして、渡し舟から下ろし、貸切バスへ。

 母は、「王家の谷」に行くのを1番楽しみにしてたのに。
 降りて見学する途中も、バスの中でスヤスヤ。
 王家の谷について、父と主人に抱えられ、半分眠っている母を入り口の休憩所まで行き、椅子に座らせましたが、まだ眠っていました。

 この頃になって、母の顔色が良くなく、貧血のように血色が悪いの。
脈はしっかりしているけれど、かなりゆっくりでした。血圧が下がっている感じでした。
 心配だった私は母に付き添って、主人と父に見学に行って貰い、戻ってくるのを待って、いくつかをさっと見てきました。

 それで、あんなに楽しみにしていた「王家の谷」は、母は殆ど記憶に無いそうです。
 うっすら目を開けた時、そびえ立つ岩山に囲まれていたのしか覚えていないって。

 だんだん顔色が悪くなってくる母をみて、主人はとても不安に駆られたそうです。
 「まさか、このまま、ここで息を引き取ってしまうような事はないだろうな~」
「こんなところで死んじゃったら、日本にどうやって連れて帰るのだ・・葬式は・・?」
 マジにそう思ったそうです。

以前から母は、「私は大好きなエジプトに行けたら死んでもいい、骨はナイル川に流してね~~!」なんて、冗談を言っていたの。

 母は、前前日のカイロとその前の飛行機で、2日間軽い睡眠薬を飲んでいたので、それが蓄積された可能性もないとは言えません。
 今、思い出しては大笑いの笑い話なんですが、まさか、本当にそんなことになったらどうしようと、主人は真剣に怖かったそうな。

 王家の谷からホテルに戻って、母は、やや目が覚めたようなんですが、足元はまだふらついていました。
 夜には、カルナック神殿の光と音のショーがあるのですが、それも行きたいというので、また、父と主人が両脇から腕をとり、歩くのを助けました。

 そしたらね~~!!
 真っ暗な足元の悪い通路を、座席まで歩いて行く途中・・・・
 現地のお巡りさん2人連れに、見咎められて大変でした。

 だってね、両腕を抱えられて、引きずられるようにして歩くおばあさん。
老婦人をオトコ2人がかりで、拉致していくと思ったのね(笑)

 日本語で抵抗する父、アヤシイ英語でノーノーばかりの主人(爆)ますます怪しい?
 屈強なエジプト人の警官2人が、父と主人から、母を引き剥がそうとします。

 私が飛び込んで、彼女は私の母、彼は私の父、彼は私の夫~!!と英語で叫び・・・
 身振り手振りを交え、母は足が悪い・・と、アヤシサ以下(爆)の英語で。
 エジプト語なんて分りませんもの。

 すると、懐中電灯で私の顔を照らし、母と見比べて「OK~~!」と。
 父と主人の男2人だけだったら、なかなか信用して貰えなかったでしょうね。(〃^∇^)o_彡☆あははははっ

 その後、今度は、夜行寝台車でカイロまで戻るのですが、母はやっぱり1人では歩けなく、大変でした。
 滅茶苦茶長い長距離電車です。
 なのに、自分の座席指定車両が、ホームのどの辺りに止まるのか、日本と違って決まってないし。

 停車時間は1分しかないそうで、とりあえず前に止まった扉から入らなくちゃならない。
 動き出してから、車内を移動して座席まで行くようにと。

 母を抱えている父と主人は、荷物が持てません。
 大きなスーツケース2個と、バッグなど私1人で運ばなくちゃならないの。
 15両くらいある寝台車の中を8両くらい移動したと思います。へとへと・・・。

 その後は、母もすっかり元気になり、ギリシャ、トルコと楽しく旅を続けました。
 トプカプ宮殿では、私たちに解説しまくり・・・!!
 ルクソールでのあれは、ナンだったんだろう?(笑)

 本当に、不思議な出来事が多かった旅です。
 その他にも、思い出せば、冷や汗や大笑いのハプニングもあって、その後、何年も両親と思い出話をしては楽しみました。
 また、機会を見つけて一緒に行こうね~って、言っていたのですが・・・

 アメリカ・カナダで、父の希望のグランドキャニオンやナイヤガラを見てきたのが、両親の最後の旅行になりました。
 旅から戻って我が家に1泊、沢山の楽しい話を元気に聞かせてくれた帰った翌日、父は目が見えなくなりました。

 両視力が同時に見えなくなった珍しいケースのために、脳梗塞が起きていた事を最初の病院で気付かず、治療が遅れてしまいました。

 我が家に引っ越してきて、介護する事になりましたが、父の気持と、症状が落ち着いてからは、旅の思い出話はいつも父の慰めでした。
 再発作後、認知症が起きるまでは、度々の思い出話は、もう一度旅行に行くくらい楽しいものでした。

 両親と旅行に行った頃は、共働きで忙しかったけど、休暇を取って一緒に旅行に行けたこと、本当に良かった。
 後から、何度もそう思いました。

 二度の両親との旅行は、時が経つにつれ宝物になりました。
 父が逝ってしまった今も、母とは時々話しています。






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最終更新日  2006.02.12 02:55:08
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