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2026.03.20
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小学校の卒業アルバムを開いたら、1986年が遠すぎて少し笑った【50代】
こういうものは、危険である。
少しだけのつもりが、だいたい止まらなくなる。
1986年卒業。数字で見ても昔だし、実感としても十分に遠い。
だが卒業アルバムというやつは、その遠さを一気に縮めてくる。
開いた瞬間、急に昭和の空気が立ち上がる。
世界は、ちゃんと動いていた
主な出来事の欄を見ると、なかなか時代が濃い。
阪神タイガース日本一。
つくば科学万博開催。
ソ連のゴルバチョフ就任。
メキシコ地震。
こうして並ぶと、世界はちゃんと動いていたのだなと思う。
当たり前だが、私がただ小学生としてぼんやり生きている間にも、世の中はそれなりに大きく揺れていた。
もっとも、当時の私はそのあたりをまるで見ていなかった気がする。
ゴルバチョフと言われても、ふーんで終わっていたはずだ。
小学生というのは、見えているようで何も見ていない。
あの頃の自分は、たぶんそちら寄りだった。
日航ジャンボ機墜落事故のこと
この年の出来事として一番強く残っているのは、やはりあれだ。
しかも私はその時、父の実家のある徳島にいた。
子どもながらに、妙に胸がざわついたのを覚えている。
大人たちの空気が重かった。
詳しいことなどわからなくても、「大変なことが起きた」という気配だけは伝わってくる。ああいう記憶は、説明より先に身体に残る。
うちは父が大の飛行機嫌いだった。
東京から岡山まで新幹線。
岡山から宇野まで在来線。
当時はまだ瀬戸大橋もない。
宇高連絡船で高松へ渡り、さらに在来線で海南まで。
最後の区間だけで3時間はかかっていた気がする。
昭和というのは、そういう「大変だけど仕方がない」が普通にあった時代でもある。
飛行機を避けて、時間をかけて、ようやく辿り着く田舎。
その途中で、空の大事故を知る。
何とも言えない怖さが、今でも少し残っている。
未来には、まだキラキラしたものが待っていた
つくば科学万博。
あれは本当に行きたかった。
結局、行かないまま終わった。
だが当時、詳しいことなどわからなくても、あれには何か未来の匂いがあった。
科学。
万博。
ロボット。
新しい技術。
子どもの頭の中で、それらは全部「なんかすごい未来」として一つにまとまっていた。
昭和の子どもにとって、未来というのは今よりもっとキラキラしたものだった気がする。実際には、未来はそんなに都合よく光ってばかりではなかった。
だが少なくとも当時の万博には、「これから先には何かすごいものが待っている」という空気があった。
あの感じは、少し羨ましい。
ファミコンと、昭和の子どもの雑な幸福
スーパーマリオブラザーズ。
これは思い出深い。
家でもやったし、友達の家でもやった。
だが、一人でやるより、誰かの家で大勢でわいわいやるほうが妙に楽しかった。
ああでもない、こうでもないと騒ぎながら、順番を回し、失敗して笑い、たまに本気になる。
あの時間には、昭和の子どもの雑な幸福が詰まっていた気がする。
文集の、ひどさが際立っていた
小学校時代の文集を読むと、しっかりしている子が結構いる。
字が驚くほどきれいな子もいる。
文章に、すでにその子の性格が出ている。
未来がまだ白紙のはずなのに、すでに輪郭がある。
それに比べて、自分のひどさが際立っていた。
字も甘い。
文章もふわっとしている。
何か頼りない。
写真もまた、なかなか味わい深い。
常にぼーっとした感じなのだ。
目に力がない。
何かを考えているようで、たぶんそんなに考えてもいない。
写真は正直である。残酷なくらい正直だ。
それでも、そのぼんやりが今の自分につながっている
シャキッとしていなかった。
要領もよくなかった。
しっかり者でもなかった。
だが、そういう人間はそういう人間なりに、あとで妙な味が出ることもある。少なくとも私は、そう信じたい。
卒業アルバムというのは、優秀だった人の記録である前に、不完全だった自分の記録でもある。
そこがいいのだと思う。
うまくできなかったこと。
ぼんやりしていたこと。
未来のことなど何もわかっていなかったこと。
そういうものまで全部、あの一冊には閉じ込められている。
1986年。遠いのに、消えていない。
徳島へ向かう長い電車。
宇高連絡船。
つくば万博への憧れ。
友達の家で騒いだマリオ。
日光の空気。
文集のひどさ。
写真のぼんやりした顔。
そういうものが、今の自分の中にまだ少し残っている。
人間というのは案外、子どもの頃の空気を引きずったまま大人になるのかもしれない。
卒業アルバムを見返すとは、昔を懐かしむだけの行為ではない。
あの頃の自分の頼りなさと、今の自分の頼りなさを、静かに見比べる作業でもある。
あの頃よりは少しはマシになったのか。
それとも、ただ年を取っただけなのか。
答えはまだよくわからない。
だが、ぼーっとした少年がここまで来たことだけは確かだ。
それだけでも、まあ悪くないのかもしれない。
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EX-FAX-CE | NOTE執筆家
「ロスジェネ氷河期的視点 ― 情に生き、言葉で立ち上がる」
「ゆるぎなく、まっすぐに」
「言葉は、再起動ではなく継続の証」
▶ EX-FAX-CEとは▶ ロスジェネ脱線学 ▶ 一瞬永遠 ▶ 笑いの臨界点
X:@zdocomo / note:/exfaxce
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最終更新日  2026.03.20 06:58:53 コメントを書く


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