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January 18, 2006
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カテゴリ: カテゴリ未分類
地獄と極楽
地獄と極楽


~今回のおはなし~
ベースは『蜘蛛の糸』。地獄にたどり着いたカンダタが鬼に最下層の地獄に連れて行かれる途中途中で全八階層の地獄の解説を受ける。


罪の重さに応じて8段階の地獄に分かれている。
当然、「嘘をつくこと」も罪に入っており、ご存知のように舌を抜かれる。
でも、「嘘をついたら地獄で舌を抜かれますよ」と嘘をつくことを戒めること自体、「嘘」なんであって……。
誰かその光景を見てきたのであれば、嘘ではないと証明されるのだが、そう戒めた人間もことによると地獄にいくのではなかろうか。
それとも、この「嘘」だけは特例として認められるのか。


こう考えると、いかに想像の世界とはいえ地獄に落ちることは簡単でも極楽に往くことはそうとう難しい。
だって、嘘なんて結構ついてるでしょ、みんな。

「無駄な殺生はしてはいけない」というのも、家畜は「私たちに命の布施をしている」という解釈で「無駄な殺生ではない」ことが成り立つのだろうけど、害獣・害虫駆除はどうなるのか?
彼らだって生きてるために畑を荒らしたりしてるわけで、故意に畑の主を困らせてやろうとしているわけじゃなかろう。
でも、畑の主にしてみれば害獣を駆逐することは生きていくために必要なことであってやむを得ないことである。
私が畑を持って、丹精こめて作った農作物が荒らされたりなんかしたら、やっぱり許せないもの。
だから、「無駄な殺生をしてはいけない」という基準が分からない。
人間に「命の布施」をした豚や鶏の肉を残す。
これはある意味「無駄な殺生をしている」ことになりはしないか?
とすれば、不況とは言え飽食の日本人、どうあがいても地獄に落ちるしかないのである。


しかし、『蜘蛛の糸』も考えれば不思議な話である。
カンダタは数々の悪行を重ねてきたのだが、ただ一匹の蜘蛛を助けたことで、地獄から脱出できるチャンスを与えられるのである。
でも、地獄の亡者どもにもカンダタと同じようにほんのちょっとした善行をしたことはあるはづで、カンダタだけチャンスが与えられるのは不平等ではないか?

お釈迦様もお釈迦様で、カンダタの心が広く「俺と一緒に登ってこ~い」なんてどんどん亡者どもを登らせたら、カンダタ以外の亡者も極楽に受け入れる積もりだったのか?
カンダタが登りきると、お釈迦様は後続に対して「NO」と言ったのかどうか。


原作者のコラムは、インド神話のはなしである。
聖書で「アダムとイブ」にあたる存在が、インド神話では「ヤマとヤミー」なのだと言う。
この二人がインド神話では最初の人間であり、ヤマはヤミーを残して死んでしまう。

ヤミーの悲しみ深く、涙する毎日。
困ったインドの神々は、地上に「夜」をつくり、「一日」の区切りをつけた。
そう、インド神話では、最初「夜」はなく、「昼」ばかり。ゆえに「一日」の区切りも無かったのだ。
はっきりと「一日」という区切りができ、「ヤマが死んだのは昨日」「七日前」「三十日前」と時間の経過がわかるようになった。
ヤマが死んだ悲しみは時間で解決され、ヤミーは「初めて悲しみを時間で解決した人間」ともいえる。
死んだヤマはどうなったのか?
「初めて死んだ人間」であるから、「初めてあの世にきた人間」でもある。
あの世は天上の楽園であり、ヤマはそこの王となる。
ヤマは後続の死者を迎え入れたが、人間が増えるにしたがってガラの悪い者も多くなる。しだいに、楽園の治安も乱れる。
よって、ヤマは地下に牢獄をつくり、そこに悪人を収容することにした。
この地下収容所が「地獄」である。
ヤマは「楽園」の主でもあり、「地獄」の管理もしていたが、もうひとつ仕事が増える。
それは、死者を「楽園」行きか「地獄」行きかを裁く裁判官の役目である。
裁判官、地獄の管理人を「閻魔王(エンマオウ)」と呼ぶ。
一方、楽園の主を「夜摩天(ヤマテン)」と呼び、どちらも「ヤマ」が語源となったものである。
ついでにこの「楽園」だが、のちの人々はさらにひとつ上の「極楽」を目指すようになったので忘れられてしまったとさ。
インド神話も調べてみればもっとおもしろいのがあるかもしれない。





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Last updated  January 21, 2006 04:16:26 PM
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