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2009年12月23日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
ようこそ、お客様。




ほほほ、今度は大丈夫ですよ。
ちゃんとお待ちしておりました。




今宵もあなた様をいざないましょう。


扉の先の、1823年アメリカ合衆国、シカゴへと。




それでは、どうぞごゆるりと・・・・・・。
















『ルドルフ、ナンバーナイン』


続きの先 「神様とサンタクロースと、トナカイたち」




ナタリスは自分の部屋に着くと、ゆっくり、お気に入りの前後に揺れる木の椅子に腰掛けました。

ノエルは近くのソファに腰を下ろします。


パイプをふかすと、ナタリスはゆっくりと喋り始めました。

ナタリスの知っている全てを、トナカイのことを・・・・。







クリスマス。

それは、イエス・キリストの生誕を祝い、国中が喜びに包まれる日。

神は、この聖なる奇跡の日に、どの子供にも平等に祝福を与えるため、プレゼントを授けることにしました。
そのプレゼントを配るに相応しい1人の人間を、聖職者の中から選びました。

彼の名は、シンタラース。

彼は貧しい家があると知ると、その家の煙突から金貨を投げ入れ、
靴下に入ったその金貨のお陰でその家は飢えから免れ、シンタラースはその一家を救ったのでした。
彼ほどプレゼント配りに適した者はいないだろうと、神は確信をお持ちになりました。

彼のために、動物の中で最も跳躍力が高く、また、その角は何の抵抗も受けず、すんなり先を行くことができるトナカイを与えました。
神はトナカイに魔法をかけ、クリスマスの日だけ、シンタラースのそりを引くために空を飛ぶことができるようにしました。
本来、トナカイは空を飛ぶ生き物ではありません。
子供たちにプレゼントを配る時にだけその力を発揮できるのです。

こうしてシンタラースは毎年、イエス・キリストの生誕日に子供たちの元にプレゼントが届くよう、12月24日に夜空を駆け巡りました。

やがてシンタラースが命をまっとうすると、今度はその子孫たちにその任務が受け継がれました。
シンタラースと共に夜空を駆け巡ったトナカイもまた、子孫を残し、天に召されました。

こうして代々シンタラースの一族は子供たちへプレゼントを配る任務をまっとうしていきました。

トナカイの子孫にもその力は受け継がれました。
子孫たちは皆、クリスマスの夜だけは空を飛ぶことが出来ました。


そして、シンタラースの子孫は「サンタクロース」と呼ばれるようになり、現在は4人のサンタ兄弟と、8頭のパートナートナカイたちと共に、子供たちにプレゼントを配っていました。






しかし、本当はトナカイは、8匹ではなかったのです。





9匹目のトナカイが存在しました。


一見、何の違いも無いトナカイです。


鼻が赤い、と言うこと以外は。




気味悪がったサンタクロースの子孫たちと他のトナカイたちは、このトナカイの存在を無いことにしようとしたのです。

鼻の赤いトナカイなど見たことがない。
これはきっと、悪魔の化身に違いないと・・・・。





・・・それから幾年もの年月が流れました。

そのトナカイがどうなったのかは定かではありません。





しかし、以前から近隣で、まっ暗闇に光る赤い光を見たと言う話が囁かれるようになりました。


これはきっと、あのトナカイに違いない。



9番目のトナカイ、ルドルフに―――――。






「・・・初めにこの事実を知ったのはナヴィダじゃった。
書斎に自分のヘソクリを隠そうとしていたら、たまたまご先祖の日記を発見したらしい。
ナヴィダはそのことをわらしにだけ話した。
・・・あやつが話したのがわらしではなく、兄上じゃったら、また話は違っていたかもしれん・・・・。
わらしは・・・めんどうなことは好かん、その事実を隠そうとした。
しかし・・・神は全て見ておいでになるものなのじゃな・・・。
悲劇はお前の身に降りかかってしもうた・・・・。お前のトナカイ・・・ダンサーとコメットに・・・・。」

「・・・・・・なぜ、薬なんかかけたんじゃ・・・。」

「ルドルフの存在を知っていたナヴィダとわらしは、北の山付近で赤い光を放つ化け物が出る、と言う噂を聞いた時、ルドルフなのではないかと思った。
もしそうだったら、兄上やお前にの耳に入ったらルドルフはこの家に来るに違いない。
今になって厄介者が増えて、この家に災いが振りかかろうもんならたまったもんじゃない。
飛べなくなれば、他のトナカイと何ら変わらん。
そう考えたわらしらは、ドクターに薬を作ってもらうよう頼み、北の山に現れるなら必ず木の実を食べるじゃろうと、その薬を木の実に振りかけたのじゃよ・・・。」

「・・・・・ドクター・・・。確かに、彼は何でもできる奇跡の医者じゃ・・・。
しかし、その木の実を持って来たのはドンダーじゃったはず。あやつはなぜ無事なのじゃ?」

「ドンダーが食いしん坊なのは皆、よく知っておる。
あやつは言ってもきかん。あらかじめ抗体の薬を飲ませていたんじゃよ。」

「・・・そうか・・・・。」

「・・・皮肉なものじゃ・・・。
災いなどご免と思いやったことが災いをもたらすとは・・・。
しかもそれが己ではなく、家族に降りかかったのじゃからな・・・・。」

「・・・・・。」

「ノエルよ、わらしらを恨め。
誓おう。もう二度と、自身のために他人を傷つけるようなマネはせんよ・・・。」

ナタリスの言葉を心に刻むと、ノエルはふんわり笑って言いました。

「ナタリス兄さん、わしは、兄さんたちも、わしのトナカイも、他のトナカイも、みぃんな愛しておるよ。」

「・・・・ノエル。」

「愛しているからこそ、許すことも知っておる。
命があれば、わしはそれで十分じゃ。」

「・・・ほっほっほ。
・・・最も神に近い存在は、愛のサンタ、お前かもしれんな。」


ナタリスの顔に笑顔が戻りました。


「それで、兄さんたちは今どこに?」

「・・・おお、そうじゃった!
結局兄上にわらしらのしでかしたことが知られてしまってな・・・、北の山へ、全ての木の実の回収をしに行ったんじゃ。
・・・・・・・それと、ルドルフを探しに。」

「・・・そうか。」

「まぁこの件は、お前が関わることはないよ。
ルドルフがやって来たら、温かく迎え入れようではないか。」

そう言って、ナタリスがにこりと笑いました。
その言葉が嬉しくて、ノエルも微笑みました。

「・・・そのようじゃ、それならわしはお言葉に甘えて、クッキーの材料でも買いに行こうかの。」

「・・・しかし、お主のトナカイは連れていけんじゃろう。
わらしのトナカイを・・・。」

途中まで聞くと、ノエルは首を横に振りました。

「クリスマスまでもう少しじゃ。
自分のトナカイならともかく、体力が無くなるようなことをさせるわけににはいかんよ。」

「しかしのう・・・。街までの道のりは決して短くはないぞ。
お前こそ、クリスマスまでにクッキーが間に合わんかったらどうするのじゃ。」

「なに、心配いらん。材料が足りないだけで、数時間あれば十分作れるから平気じゃよ。」

そう言いながら、ノエルはソファから立ち上がり、扉の方へ足を向けました。


「ナタリス兄さん、話を聞かせてくれてありがとう。
行ってきます。」

そう言って、笑顔で部屋を出て行きました。



ナタリスはノエルが出て行った後も、扉を見つめ彼の姿を見送っていました。



「・・・神よ、どうか、よいクリスマスが来るよう、見守りください・・・。」







朝から降り積もった雪は、サンタクロースの家も、トナカイハウスも真っ白におおっていきます。


こうして、クリスマスを迎える準備はちゃくちゃくと進んでいくのでありました―――――。





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Last updated  2009年12月23日 22時00分37秒
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