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トイモイ

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2007.10.15

女の尻についていけ。いいことあるぞ。

(10)

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仕事を早々に自動的に終わってしまった夕方の私としては、桂川、木津川、宇治川が合流し、淀川となる、京都大阪の境にある山崎へと、寄り道したのであった。
山崎駅を降りると、なかなかの田舎ぶりであったが、少し、昔風情を残していて、よろしい感じがし、道標に沿って誘われていくのであった。

駅より歩いて数分で、工場が見えた。すごいバイクが私を迎えてくれた、と思ったのだが、すれ違っていった。

受付にて、予約はしていないが、見学是非是非したい旨を伝えると、３０分に一度のツアーに参加するよう受付女史に厳命されたのであった。モジモジして、２８分を静かに待つ背広人の私であった。

しかしながら、外にまで、ぷ～ん、と良い香りが漂い始め、私の心情は、モジモジからムズムズに代わっていくのであった。

サントリーの鳥井さん。反対に読んでいるだけと、中学生の時に知った時には、少しだけ、感動した、ナンデモ感動する青春時代であった。しかし、本当は、はじめに発売した赤玉ポートワインがＳＵＮなので、ＳＵＮ鳥井なのであったことを知った大学時代、屈折した時代であった。

トリスを飲んでハワイへ行こう！そんな山口瞳コピーのＣＭがあったのは、１９６０年代だから、私は覚えてないはずなのに、何となく覚えている。

特に、このキャラクターを覚えているような気がする。確か、飲むと、この人の顔の色が赤く変わっていくんだったと記憶する。当時は、ハワイはトテモ遠い所、今は、1泊で行ける所。
島本町

まるで、同じ背表紙の並ぶ図書館のようである。

いよいよ、２８分という月日が流れ、コンパニオンに付いて行くのである。ついていくのは、サボっているとしか思えなさそうな背広人以外にも、おじさんおばさんカップルや若者カップル、子供連れと、どう見ても、飲兵衛の集団にしか見えず、どう見ても、行程などはどうでもいいとしか見えなかったのであった。

樽、この中で泳ぎたいという願望は、私だけではあるまい。しかし、ここでは、まだアルコール度７パーセント、いわゆる度数としては、まだビールプールである。

蒸留した、透明のウイスキーがドクドク流れてくるのである。２度の蒸留後のアルコール度数は７０パーセントだとのことである。泳げばフヤケソウデアル。

形が違うのは、味の違いなどと、シングルモルトの説明を永遠にしてくれる、心優しいコンパニオンなのだが、もはや子供からおばさんまで、目が野獣状態なのである。ハヤク、最後まで連れて行けとのここの中でのシュプレヒコールなのである。

８０年前からの樽を始め、これだけあれば、１週間は持つと思われるぐらい大量のウイスキーである。
アムステルダムのハイネケン工場、コペンハーゲンのカールスバーグ工場、私は、心地よく、ツアーに参加した。参加している西洋人の誰もが、作る行程に仕方なくついて行っているだけである。それも何ヶ国語ででも説明するので、皆、ハヤク、最後の飲み放題レストランだけを祈っているのである。
　特に、２月にアムステルダムを訪れた私は、レストランハイネケン飲み放題コーナーでは、誰かが今日誕生日の人！っていったので、ハイハイと酔っ払い状態で手を上げると、またビールを注いでくれただけであった。何せ、私は、アムステルダムでは、酒に酔ったのは、今までこの日しかないのである。何故か？それは秘密である。　
　そんなことを思い出しながらも、最後の食堂コーナーに備えて屈伸運動などする私なのであった。

いよいよ、待ちに待った食堂試飲コーナーである。山崎１２年飲み放題である。まずは、水割りとソーダ割りをテーブルに置き、さて、心置きなく飲ませてもらうぜ！フッ。というと、コンパニオンが、「今から６分間のビデオを上映したら、最後、隣の建物のお土産コーナーで自由解散となります。お代わりのある方は、前のカウンターでどうぞ遠慮なくお申し付け下さい。」と言い放ち、衝撃が走った。時間がない！私は、急いで、２杯を一気飲みし、紳士道にも関わらず、前にいる女性バーテンダーに、追加を頼み、他の来場者ぶっちぎりで飲んだのである。そんなことでいいのだろうか。時間を我に与えよ、神よ。
(プライバシー保護のため、綺麗な顔を塗っています)

　ところで、何故か、冒頭、アンケートを依頼されたのは、私だけで、よって、バインダーを持って歩いているのは、わたしだけであって私は、お土産コーナーにて、はにかみながらコンパニオンにアンケート用紙を渡した。コンパニオンの方は、これまたはにかみながら、誰もいないところで、私にそっと、手渡そうとするのであった。住所氏名年齢職業の書かれた釣書に見えたが、よく見ると、山崎の樽で作った（ホワイトオーク）コースターであった。彼女は、私がカミサマなんかではなく、ただの飲兵衛だということを如実に見破った瞬間であった。