酔っ払いの溜まり場出張所

酔っ払いの溜まり場出張所

Aug 16, 2004
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この間、銀座に新しく出来たBar H(匿名)に行った時のこと。開店直後の早い時間だったので、マスターもまだ来ていない。お客さんもまばらだったので、若いスタッフたち相手にお酒の雑談に花開いておりました。

「ところで、アイリッシュが飲みたいんだけど何があるの?」
「アイリッシュですか? うちはそんなに揃えていないんですが・・・。これなんかどうですか? ヘネシー・ナジェーナ」
「うん、じゃあそれをダブルロックで。これってもうリリースされてないんだよね。あるうちに飲んでおこう。ところで、ナジェーナの意味わかる?」
「渡り鳥って意味ですよね。」
「そうそう。ヘネシー自身が渡り鳥で・・・」

で、以下がその時に話したお話。

ヘネシー家は今でこそブランデーで有名ですが、もともとはアイルランドはコークの出身。だからHennessyもフランス語読みのアヌシーではなくてヘネシーとなります。

アイルランドの歴史は移民の歴史、それも出てゆく一方の歴史です。カソリックとプロテスタントによる宗教的対立、イギリスのアイルランド侵略、ジャガイモ飢饉などで人々は絶え間なく移民していきました。ヘネシーの場合はどのような理由で移民したのでしょうか?



このワイルドギース(Wild Geese)をゲール語で言うとna Geanna Fiaine。逐語訳するとof Geese Wildです。ヘネシーが自分のところから出すウィスキーにこの名前をつけた時、誇らしい気持ちだったでしょうね。

まぁ、彼らはもともと貴族だから優雅な話? ですが、一般のアイルランド人の中には、宗教的に迫害され海外に追放される者、困窮し職が無い祖国を離れて行く者、貧困から傭兵として命がけで海を渡る者、新天地に夢を託して故郷を後にする者など多くの移民がいました。現在、アイルランドの人口は450万人程度ですが、海外にはアメリカの約4000万人をはじめ、全世界で6000万人とも7000万人とも言われるアイルランド系の人たちがいます。

この間、アイルランド・ゲール語の勉強の一環として、ゲール語の歌を聴いていたのですが、その中にこんな歌がありました。先ほどのジェームズ二世とオレンジ公ウィリアムの戦争のとき、傭兵としてフランスへ去って行く恋人のことを歌った女性の歌ということで、タイトルは“Siuil a Run”(シューリ・ルゥ)。古いアイルランド民謡で有名な曲で、アイルランドの有名バンド「クラナッド」のアルバムにも収録されています。

I wish I was on yonder hill          誰もいない丘の上で
'Tis there I'd sit and cry my fill,        思い切り泣いてしまいたい
And every tear would turn a mill,       涙で水車も回せるほどに
Is go dte tu mo mhuirnin slan.    あなたの無事を祈っています

Chorus (in phonetic Gaelic)
Shule, shule, shule aroon,          ここに来て ここに来て 愛しい人
Shule go succir agus, shule go kewn,     なるべく急いで、そっと来て
Shule go dheen durrus oggus aylig lume,   扉を開けて、わたしと逃げて


I'll sell my rock, I'll sell my reel,        糸巻き棒も 糸巻き車も
I'll sell my only spinning wheel,        糸巻きだって 売ってしまって
To buy my love a sword of steel        愛するあなたのために 鉄の剣を買いました
Is go dte tu mo mhuirnin slan     あなたの無事を祈っています
Chorus

And 'round the world I'll beg my bread,     乞食をしながら、世界を周るの
Until my parents shall wish me dead,      親が私の死を願うまで
Is go dte tu mo mhuirnin slan.     あなたの無事を祈っています
Chorus
I wish, I wish, I wish in vain,          無駄と知りつつ 願ってしまう
I wish I had my heart again,          あなたと一緒になれる日を
And vainly think I'd not complain,        もしそうなれば私はきっと 不平なんか言わないわ
Is go dte tu mo mhuirnin slan     あなたの無事を祈っています
Chorus
But now my love has gone to France,      そしてあなたは旅立った
To try his fortune to advance;         手柄を立てに フランスへ
If he e'er come back, 'tis but a chance,     もう会えることは無いでしょう
Is go dte tu mo mhuirnin slan     あなたの無事を祈っています
Chorus





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Last updated  Aug 17, 2004 06:37:46 PM
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Dram Bheag @ Re:やれやれだな(01/25) 爺さんも死んだ。今度は父親とおいらの競…
Dram Bheag @ Re:やれやれだな(01/25) 爺さんが死んだ。大往生だな。山口県出身…
Dram Bheag @ Re:写真が嫌い(09/28)  怪我をしてしまって、ただでさえ乏しい…
Dram Bheag @ Re:写真が嫌い(09/28)  ごめんね。明日書く! 書けるかな? …
Dram Bheag @ Re:元犬(08/04) 今日の「正直さんぽ」でやってた。 https…

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