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2008.04.02
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カテゴリ: 不思議な話
先日歯茎が真っ白、すごい貧血でぐったりした状態でジャックくん(仮名)が来院されました。


11歳、雄のシベリアンハスキーの雑種犬で、2日前までは普通に散歩に行き食欲もありとても元気だったそうです。

大急ぎで血液検査をしてみると、貧血の指標になるヘマトクリット値が16%(普通の半分以下)しかなく、白血球は40,000/µl(普通の4倍、感染症や炎症、癌などで数値が高くなります)、血小板10万/µl(普通の1/4ほど、骨髄・免疫の病気、体のどこかで大量に出血がある場合などで低くなります)、その他は肝機能、腎機能など数値上では全く異常はありませんでした。

もしかして癌かも・・・と思いレントゲン検査をしようとしたところジャックくんの呼吸が止まってしまい人工呼吸や心臓マッサージのかいなく亡くなってしまいました。



原因がさっぱり分からなかったので飼い主さんに解剖をしたいとお願いすると快く承諾してくれました。

合掌し、ジャックくんの体を開いてみるとあまりの凄まじさに驚きました。

直径5cmほどの大きな腫瘍が肝臓と膵臓にあり、1cm~粟粒ぐらいの小さな腫瘍が無数に胃、腸、腎臓、膀胱、心臓、肺、脳・・・全身の臓器に転移していたのです。

この状態で2日前まで元気で食欲もあったということにも驚きでした。

なかには病院にすぐ連れてこなかった後ろめたさから長い間ペットの具合が悪くても昨日から・・・とウソをつく飼い主さんもいますが、ジャックくんの場合は胃の中にゴハンがしっかり入っていたので本当に2日前までは元気だったのでしょう。





名前の通り血管の癌のようなもので、血管をつたって転移しやすく予後不良の怖い病気です。

人では塩化ビニルや砒素などの化学物質が原因と言われていますが、犬や猫での原因は分かっていません。



飼い主さんはジャックくんの病気に気がついてあげらず亡くなってしまったのでとても悲しんでいましたが、中には悪性腫瘍で長く苦しんでから亡くなる子もいます。

そう考えるとジャックくんは苦しい思いをしたのは2日だけで、その前までは元気に過ごせたから幸せだったのではないでしょうか。





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Last updated  2008.04.02 18:05:05
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