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僕は動物病院で働くかたわら動物看護士の専門学校で講師のアルバイトもしています。先日そこで生徒に質問されました。「獣医さんってみんな傲慢なの?」なぜその生徒がそんな事を聞いたかというと・・・彼女の実家にいる16歳の猫に腫瘍ができてしまい、それが良くないものだったので手術して取ることにしたそうです。その腫瘍をほっておくと命にかかわる事がある・・・けど猫もかなりの高齢です。ご両親は悩みに悩んで手術を受けることに決めたそうです。手術のために前日の夜から絶食絶水し、午前中動物病院に連れて行きました。その時は何時に迎えに来てくださいとも言われず、手術が終わったら連絡が来るだろうと待っていたけどいっこうに連絡が来ず、耐えかねて夜の10時に病院に電話をすると謝りもせず「急患がたくさん来て忙しかったのでこれから手術をします」と言われたそうです。猫が老齢で、丸一日絶食絶水をし、半日病院でストレスを感じていて、さらに獣医さんも疲れている・・・とたくさんの不安な要素が重なり、彼女の母親は「先生もお疲れでしょうし手術はまた別の日でもいいですよ」と言うと、獣医さんはこう言い放ったそうです。「そんなに心配なら手術を受けないほうがいいんじゃないですか?」もちろん獣医さんもただの人間です。朝から働き、昼食もろくに取れず、夜まで休みなく仕事となると機嫌も悪くなります。でも普通は手術やお迎えの時間は何時頃かあらかじめ伝えておくものですし、急患が来て手術が予定通りできなかったら連絡は入れます。そして僕なら長時間動物をストレス状態に置き、飼い主さんに心配をかけてしまったことを一言詫びるだろうと思います。獣医さんもただの人間です。傲慢な人ばかりではありません。普通に人としてどうだろう?という態度の獣医さんは少数だと思います。その生徒には人間性の良い獣医さんがいる病院を探すように薦めておきました。
2008.10.27
昨日、名古屋で生後4ヶ月のチワワが突然44歳の男に腹部を蹴られ内臓破裂で死亡するという事故がありました。犯人は「犬が怖かった」ので犬を蹴ったのだそうです。ニュースを聞いたときは非常に驚きました。そして秋葉原での無差別殺傷事件同様、動物やその飼主に何の恨みもなく突然見ず知らずの動物を殺せる人間がいるという事に対して怒りや恐怖を強く感じています。ワンちゃんはどんなに苦しかったでしょうか・・・飼主さんはどんなに辛く悲しい気持ちでいるでしょうか・・・ ただ犯人を擁護するわけではないし「犬を蹴る」という行為については全く理解不能ですが、「犬が怖い」という気持ちは分かります。子供の頃にマルチーズに咬まれたせいでどんなに小さな犬でも怖いという人もいるし、放し飼いの犬に追いかけられた事があるから犬が怖いという人もいます。 僕自身も小学1年生の時に家の近所で大型犬に追いかけられ咬まれたことがあります。それは飼主に捨てられ群れを作って徘徊している犬達で、後日保健所に連れて行かれました。子供心に咬まれた事と犬達が殺処分になった事はかなりのショックでした。幸い、咬まれた時の記憶はなく(よっぽど怖かったのかも)、傷も深くはなく、実家で犬を飼っていたこともあり犬嫌いになることもなかったのですが、20年以上たった今でもトラウマになっているようで動物病院に来る大型犬を診察している時にふと本能的に「怖い」と感じることがあります。そして自分は獣医師に向いていないのかもと少し落ち込むこともあります。本当にリードで繋がれて散歩している体重2kgの小さなチワワが怖かったかどうかは分かりませんが、犯人が「犬嫌い」なのは確かだと思います。そして「犬嫌い」になるには何か原因があったはずです。僕も子供の頃に犬を飼っていなければ確実に「犬嫌い」になっていたでしょう。犬を放し飼いにする、犬をリードでつながないで散歩させる、犬がしつけられていず吠える・咬む、嫌がっている人に犬をけしかける、糞の始末をしない・・・こういった事があると「犬嫌い」になってもおかしくはありません。でもそれは犬ではなく飼主の責任です。 もちろん動物を無意味に傷つけるという行為は許されるものではなく犯人は厳重な処罰を受けるべきですし、今回事件に遭われた飼主さんとワンちゃんには何の責任もありません。 動物好きな僕たちに出来ることは、動物たちが安心して住める環境を作ることだと思います。そのためには飼主が動物を飼う上であたりまえのことをきちんとして「動物嫌い」を作らないようにすることが小さいけれど大切な事ではないでしょうか。 今回の事件で亡くなられたワンちゃんのご冥福をお祈りいたします。
2008.07.16
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先日、犬を飼っている友人に聞かれました。「通っている動物病院から"ノミダニ予防のためフロントラインを愛犬サクラちゃんにつけてあげましょう"ってハガキが来たんだけど病院のは高いから市販のノミ予防薬でいいと思う?」答えは「NO!」です。ペットショップやスーパーなどで売られているノミダニ駆除・予防薬には首輪、背中にたらすリキッド、シャンプーなど色々あり、中にはフロントラインに容器だけそっくりの商品もありますが、その成分はほとんどがアレスリン、フェノトリン、ペルメトリンなどのピレスロイド系の殺虫剤です。人や哺乳類・鳥類の動物には安全性が高いということで蚊取り線香、タンスの防虫剤などにも使われていますが、皮膚に直接つけると皮膚炎、吐き気、下痢などのアレルギー症状が出ることがあり最悪の場合死亡することもあるそう。ぺルメトリンが成分のノミダニ予防薬デュオラインを扱っている動物病院もありますが、僕はこの商品は動物にお金をかけたくない飼主さん向けだと思っています。(フロントラインの半額ぐらいなので)メーカー側も安全性が高くないと思っているせいかは分かりませんが、肝機能の弱い猫用の製品はなく犬用だけです。しかも舐めると良くないから多頭飼いで犬同士で体を舐めあうような場合や体に怪我がある場合はつけることができません。そして効果もいまひとつ。実際に動物病院にこられる飼主さんの感想は「市販の薬をつけたら吐いた」「ノミ取り首輪をつけてからずっとヨダレが出ていて食欲がない」「毛がはげた」「あまり効かない」など。動物病院専用のフロントラインはフィプロニルが成分です。興奮を抑える神経伝達物質を邪魔して虫を異常な興奮状態にして殺す(怖いですね)・・・というお薬ですが、この神経伝達物質が虫と人、犬、猫などの哺乳類とは違うので、虫には良く効くのに人や動物にはとても安全です。フロントラインは動物がかなりの量を飲んでも問題ないのだとか。殺虫成分以外にアルコールが含まれているので、敏感な子だと刺激を感じたり、炎症をおこしたり、毛が抜けてしまう場合がたまにありますがノミダニ予防の効果はばっちりです。というわけで値段は高いけど、僕はフロントラインをおすすめします。
2008.04.12
昼食にチョココロネを買いました。 食べてみると・・・ 味が違う・・・ 僕が買ったのはチョココロネではなく 黒糖クリームコロネでした。 とても残念で渦巻きをはがしながら食べる気力もありませんでした。
2008.04.07
「生後91日以上の犬に年1回狂犬病の予防注射を受けさせる」というのは日本の法律で決められた飼主の義務です。これはほとんどの人が知っていると思いますが「市町村に一生に1回犬の登録をし、登録するともらえる”犬の鑑札”と”狂犬病予防注射済の票”を犬につけておかなければいけない」という事を知っている人は少ないのではないでしょうか。動物病院に来るワンちゃんを見ているとほとんど鑑札をつけられていない気がします。僕自身もあまり気にしていませんでしたが、先日鑑札はつけておくべきだと思った事件がありました。 車にはねられてケガをしたらしいと大きなラブラドールのワンちゃんが来院されました。連れてきたのは飼主さんではなく、見ず知らずの迷子のワンちゃんをかわいそうに思った親切な人でした。そのワンちゃんのケガは大した事はなかったけれど、飼主が分からず困っていたら首輪に犬の鑑札と狂犬病済票がつけられていたのです。さっそく鑑札の番号を見て市役所に問い合わせると、すぐに飼主が分かりワンちゃんを返すことができました。(市役所の環境衛生課の職員の方はとても親切に教えてくれました) 大喜びの飼主さんに話を聞くと前日に逃げてしまいとても心配してあちこち探していたとか。でもワンちゃんが保護されたのは家から20km近く離れた所だったので見つかるはずがありません・・・ ワンちゃんは鑑札をつけていたおかげで飼主の元に帰ることができました。最近は背中の皮下にマイクロチップが埋め込まれているワンちゃんネコちゃんが多いですが、マイクロチップのスキャナーがないとその番号を読むことができません。もちろんマイクロチップのおかげで飼主の元に帰れた子もいますが、見てすぐに分かるようにきちんと鑑札や名札を付けておくこともとても大事だと実感しました。
2008.04.05
先日歯茎が真っ白、すごい貧血でぐったりした状態でジャックくん(仮名)が来院されました。11歳、雄のシベリアンハスキーの雑種犬で、2日前までは普通に散歩に行き食欲もありとても元気だったそうです。大急ぎで血液検査をしてみると、貧血の指標になるヘマトクリット値が16%(普通の半分以下)しかなく、白血球は40,000/µl(普通の4倍、感染症や炎症、癌などで数値が高くなります)、血小板10万/µl(普通の1/4ほど、骨髄・免疫の病気、体のどこかで大量に出血がある場合などで低くなります)、その他は肝機能、腎機能など数値上では全く異常はありませんでした。もしかして癌かも・・・と思いレントゲン検査をしようとしたところジャックくんの呼吸が止まってしまい人工呼吸や心臓マッサージのかいなく亡くなってしまいました。原因がさっぱり分からなかったので飼い主さんに解剖をしたいとお願いすると快く承諾してくれました。合掌し、ジャックくんの体を開いてみるとあまりの凄まじさに驚きました。直径5cmほどの大きな腫瘍が肝臓と膵臓にあり、1cm~粟粒ぐらいの小さな腫瘍が無数に胃、腸、腎臓、膀胱、心臓、肺、脳・・・全身の臓器に転移していたのです。この状態で2日前まで元気で食欲もあったということにも驚きでした。なかには病院にすぐ連れてこなかった後ろめたさから長い間ペットの具合が悪くても昨日から・・・とウソをつく飼い主さんもいますが、ジャックくんの場合は胃の中にゴハンがしっかり入っていたので本当に2日前までは元気だったのでしょう。病理検査の結果、膵臓に多い悪性腫瘍の「血管肉腫」でした。名前の通り血管の癌のようなもので、血管をつたって転移しやすく予後不良の怖い病気です。人では塩化ビニルや砒素などの化学物質が原因と言われていますが、犬や猫での原因は分かっていません。飼い主さんはジャックくんの病気に気がついてあげらず亡くなってしまったのでとても悲しんでいましたが、中には悪性腫瘍で長く苦しんでから亡くなる子もいます。そう考えるとジャックくんは苦しい思いをしたのは2日だけで、その前までは元気に過ごせたから幸せだったのではないでしょうか。
2008.04.02
ペットショップから来たばかりの生後2ヶ月のトイ・プードルの桜井ミュウちゃん(仮名)が今日来院されました。ミュウちゃんの目が見えていないようなので、ペットショップに返すために獣医師の診断書が必要との事でした。 桜井さんは犬を飼うのは初めてなのでペットショップで購入した時には分からなかったけど、プードルを2匹飼ったら明らかにもう1匹とは様子が違うと感じたそうです。ミュウちゃんの方を桜井さんが見ても一度も目が合った事がなくどこを見ているのか分からないような目つきをしていて、物音を立てないように近づいて触ると怒って咬みついたり、抱っこしていると落ち着いているけどサークルの中で一人にしていると吠え続けたり・・・ ミュウちゃんを購入したペットショップに問い合わせると、獣医師の診断書を持ってくれば代わりに別の健康な犬と交換すると言われたそうです。桜井さんはペットショップに返した後のミュウちゃんの行方が気になって尋ねると「こんなにかわいい子だから目が見えなくても飼ってくれる人はいくらでもいます」と、まるで病気を持っている犬を飼えない事に対して非難するような言い方をされたとか。 人が側にいないと目が見えない不安からか吠えまくるミュウちゃん。来年度から仕事を始めるため常に側についていてあげる事が出来ないので、桜井さんは家族で悩みに悩んでミュウちゃんをペットショップに返すことに決めたそうです。 ミュウちゃんを診察してみると、確かにほとんど目が見えていない様子。強い光には少し反応するけど、動く物を全く目で追わず、歩くと物にぶつかります。眼底をのぞくと網膜の血管は萎縮しており進行性網膜萎縮と診断をしました。 進行性網膜萎縮は徐々に網膜が萎縮し、いずれは失明してしまう目の病気で、今のところ治療法はありません。ビタミンCやEを飲ませて進行を遅らせるのを期待するぐらいです。犬の目の病気は約8割が遺伝と言われており、進行性網膜萎縮もプードルやアメリカンコッカースパニエル、レトリバーなどに多い遺伝性の病気です。 最近は落ち着いてきたものの、まだまだプードルが流行しています。流行した犬種は遺伝的な病気がぐんと増える傾向にあります。それは流行っている犬種なら子犬を作れば作るだけどんどん売れて儲かるので、親犬に問題があっても利益優先でどんどん繁殖をさせるブリーダーさんが多いからでしょう。 桜井さんは、ミュウちゃんがかわいそうだから飼おうかと随分悩んだそうです。そしてペットショップに返す事に決めた自分は酷い人間じゃないのかと随分落ち込んだそうです。実際、買ってきた子犬が病気を持っていたらショップに返す人もいれば、情が移ってしまい返す事が出来なくなってしまう人もいるでしょう。犬にとっても、飼主にとっても不幸な事です。
2008.01.22
クリスマス会、忘年会、新年会・・・たくさんごちそうを食べたり、お酒を飲んだりする機会が多い時期になり僕はメタボに怯える日々ですが、そんな暴飲暴食をする季節に多いワンちゃんの病気があります。それは「急性膵炎」。 ホームパーティでごちそうを食べていると、ワンちゃんもいいな~と言いたげな目で見つめてきます。美味しいものを食べ、お酒も飲み良い気分になった飼主さんは、ワンちゃんの好きなフライドチキンやケーキをついあげすぎてしまいます。すると・・・運悪く急性膵炎になってしまったワンちゃんは翌日吐きまくり病院に駆け込むことになります。 急性膵炎は、膵臓が急に炎症を起こした状態です。症状は嘔吐、下痢、腹痛などで、ひどい場合は痛さのあまりショック状態におちいり亡くなる場合もあります。 膵臓は脂質やタンパク質などを強力に分解する消化酵素を出す働きがあります。通常は消化酵素は小腸に分泌されてから活性化され食べ物を消化しますが、急性膵炎になると、酵素が膵臓の中で活性化されてしまいます。するとその強力な消化酵素は自分自身の膵臓を消化してしまいます。生きたまま消化されるわけですから、かなりの痛みだと思います・・・ 人ではお酒の飲みすぎや胆石が一番多い原因で、以前僕の酒豪の友人が急性膵炎にかかりましたが口では言いあらわせないほどの強烈な背中の痛みがあったそうです。 犬では脂肪分の多い食事が一番の原因です。(他には高脂血症、クッシング症候群などのホルモンの病気、フロセミドやステロイドなどの薬剤、ウイルスや寄生虫の感染など)脂肪分の多い食事をたくさんとると、血中の中性脂肪がぐんと上がります。すると理由はまだ分かっていませんが膵臓がダメージを受けます。僕は患者さんには、「膵臓は消化酵素を出す臓器だから美味しいものをたくさん食べ過ぎると負担がかかってしまい膵炎になります」と説明しています。 治療には数日絶食をして膵臓を休ませる事が基本で、吐いて失った水分や電解質と、絶食で不足する水分や栄養などを補う為に点滴が必要になるので一週間ぐらいは入院することになります。 また膵臓は血糖値をコントロールするインスリンやグルカゴンといったホルモンを出す臓器でもあるので、膵炎の影響で糖尿病になる可能性もあります。 美味しいもののあげすぎには気を付けましょうね。
2007.12.27
もうすぐクリスマスですね。街もクリスマス一色で大人になってもウキウキする季節です(^^)家をイルミネーションでライトアップしたり、クリスマスツリーを飾ったりしているご家庭も多いですが、あなたの家ではポインセチアを飾っていませんか?ポインセチアをワンちゃんやネコちゃん(人も)が食べると中毒を起こすことがあるので、なんてもかじってしまう子がいるお宅では要注意ですよ! 乳液状の樹液に含まれるホルボールが原因で、中毒症状は皮膚炎(激しい痒み)、嘔吐、下痢、一時的な盲目、痙攣などですが、致死的な毒性はありません。僕は実際に見た事がありませんが、ワンちゃんがポインセチアをかじり樹液が口についてただれてしまうケースが多いそうです。気を付けましょうね。
2007.12.20
キシリトールのガムをよく食べています。甘いのにカロリーが低く、虫歯の予防もできるので常備している人も多いのではないでしょうか?ちなみに僕の母は便秘気味なので便通を良くするために毎日食べています。また、人の病院では糖尿病の患者さんに点滴として使われているぐらい安全なものです。 でも犬にとっては死んでしまう事もある毒物だと知っていますか? インシュリンという糖を細胞の中に取り込むためのホルモンがあります。キシリトールは糖の一種ですが、人の場合はインシュリンとは関係なく体の中で利用されます。ですが犬の場合はキシリトールが体の中で大量にインシュリンを遊離させてしまいます。すると血糖値がどーんと下がって低血糖になってしまい、ぐったりしたり、ケイレンをおこしたり、ひどいと死んでしまう事もあります。 実際に僕はキシリトール中毒になった犬を見たことはありませんが、友人の獣医師の患者さんはキシリトールのガムを何個か食べて亡くなったそうです。 残念ながら「ワンちゃんの歯の健康のために」というふれこみでキシリトール入りの犬用のガムやフードが普通に売られています・・・人の体に良いからといって、必ずしも動物にとっても良いとは限りません。みなさんペットフード選びには注意してくださいね。そしてガムはワンちゃんの手の届かない所に置いておきましょう。
2007.11.20
昨日、避妊・去勢手術を合わせて15頭の手術を一人でしました。(午前と午後の診察時間の間に手術をする動物病院が多いですが、僕の勤めている病院では獣医師達が診察担当と手術担当に分かれてその日の業務を行います。) この頭数なら普段は2人の獣医師で手分けしますが、昨日は人手不足だったので一人で手術をすることになってしまいました。 仕事は無事に終わったものの疲れきって夕食を作る気力もなく、スーパーで3割引のパック寿司を買って帰りました。まずイカを食べると、なんだかちょっとすっぱい・・・酢飯の酸っぱさとはちょっと違う。3割引だからちょっと痛んでるのか?いや気のせいか?もうひとつエビを食べると、やっぱりすっぱい。3割引の寿司なんて買うんじゃなかったと大後悔しましたがまさかと思い醤油を舐めてみると・・・すっぱい!僕は間違えて黒酢を寿司につけて食べていたのです。 疲れて黒酢と醤油を間違えることもあるもんですね。寿司
2007.11.18
どこの家にもある輪ゴム。あなたはこれが動物にとって危険だと思ったことがありますか?普通の使い方をしていれば問題はありませんが、小さなお子さんのいる家では手の届かない所に置いておきましょう。ただの小さな輪ゴムが動物の足や耳や尻尾を落としてしまうことがあります。 ヨークシャーテリアのベティちゃん(仮名)は両耳の先半分がありません。小さな女の子がベティちゃんの両耳と毛を一緒に輪ゴムで結んで遊び外してあげるのを忘れていたそうです。すると数日して輪ゴムでしばった先から耳が落ちてしまいました。 マルチーズのプリンちゃん(仮名)は右の後ろ足がありません。これもまた小さな子供がプリンちゃんの太ももを輪ゴムで縛ってそのまま忘れてしまい、一週間ほどで足が落ちてしまいました。 にわかには信じられませんが、ただの輪ゴムがこのような悲惨な事故を起こしてしまうことがあります。実際、僕もプリンちゃんを見たときは信じられなくてかなり驚きました・・・ 輪ゴムはよく伸び縮みをし、引っ張ってもなかなか切れません。足や尻尾や耳などの細い部分を縛ると、血液の流れが止められてしまい、血液が十分に流れなくなります。すると皮膚や筋肉などの組織が酸素不足になり、壊死という細胞が死んでしまう状態になります。きつく輪ゴムで縛ると早ければ20-30分ぐらいでしょうか。その後ほっておくと、壊死してしまった部分は干からびたり、ごっそりと落ちたりしてしまいます。 子供の遊びの対象になりやすく、輪ゴムで縛られているのが解りにくい、長毛の小型犬でこのような事故が多いようです。小さなお子さんのいる家庭では十分注意しましょう。
2007.11.04
以前勤めていた動物病院の院長から聞いた話ですが、なぜだか分からないけど「ペットと飼主さんは同じ病気にかかりやすい」らしい。 脂漏症という皮膚の角化異常でフケがたくさん出る皮膚病にかかったワンちゃんに角質を溶かす薬用シャンプーを出したら、飼主さんも皮膚の治療中で「これと同じ成分のセッケン使ってます」と言っていました。心臓病にかかって疲れやすく空咳をしている高齢のワンちゃんにACE阻害剤という血圧を下げるお薬を出して説明しようと思ったら「同じ薬を飲んでいます」と言われました。肥満でコレステロール値の高いワンちゃんの飼主さんも太ってました。そして僕のネコは何度か膀胱炎にかかりました。僕も一時期仕事のストレスがたまりすぎて膀胱炎をくり返しました。何度もトイレに行きたくなるし、排尿痛もあり、体もだるくて最悪でした・・・その他にも思いあたる飼主さんがたくさん・・・ 肥満については食べる事が大好きな飼主さんはつい自分のペットにもごはんやおやつをあげすぎてしまいがちなので分かりますが、他の病気については不思議です。飼主さんとペットは見た目が似ている事が多いけど、性質や体質なんかも知らず知らずのうちに(第六感?)で似ている動物を選んでしまうのでしょうか。病気になんてならないのが一番ですが、もしなってしまったら、飼主さんがペットの病気の辛さや重大さを分かってあげられるというのはペットにとっては幸せなことかもしれませんね。
2007.10.31
2ヶ月前、実家の犬が死にました。10歳の雌のアイリッシュセッターでとても人懐っこい犬でした。実家の犬と言っても僕は実家のすぐ近くに住んでいるのでよく様子を見に行って一緒に遊んだりブラッシングをしたりして自分の犬のように可愛がっていました。そして僕は本当に彼女のことが大好きでした。 ある日の朝、実家に行くと父が「死んでる・・・」というので見てみると腹部がパンパンに膨らんで亡くなっている彼女の姿がありました。父があまりにも辛そうだったので解剖をしたいと言えずそのまま埋葬してしまったので原因は分からずじまいでしたが前日まで食欲もあり元気だったことと彼女の遺体の様子から胃拡張-捻転症候群ではないかと思っています。 この病気は胃が捻転したり、胃の出入り口が何かで塞がってしまうことなどが原因で緊急に手術をしないと数時間で死んでしまう病気です。胸の深い大型犬や老犬で多く、食餌や水を一度にたくさん摂ったり食後の運動などがきっかけで起こります。 自慢ではありませんが、実家の庭は広くそこで放し飼いにしているので夜中の彼女の緊急を要する急変には誰も気がついてあげられませんでした。 僕は自分の動物が病気になった時に治してあげたいそして動物のために仕事がしたいと思って獣医師を志し、獣医師になりました。でも僕は彼女に何の治療もしてあげられず助けることが出来ませんでした。 僕は獣医師になって6年になります。その間にたくさんの死にかけた動物を助けました。弱って親に見捨てられた子猫、農薬を口にして痙攣をおこした犬、伝染病で激しい血便をした子犬、また他の伝染病で肝不全と腎不全になった犬、尿路結石でおしっこがでなくなり尿毒症になった猫・・・・・いろんな病気の動物を治しているうちに僕は知らず知らず「動物の病気を治してやっている」という傲慢さを身に着けてしまっていたようでした。 自分の動物に何もしてあげられず何のために獣医師になったのだろうかと自分の無力さに押しつぶされそうでしたが獣医師としての僕は「動物の病気を治させてもらっている」そしてそのおかげで、誇りをもって生きていられるのだと彼女の死が気が付かせてくれました。
2007.10.26
昨日、犬のペニスに亀頭球という膨らみがあって、それを腫瘍と勘違いして動物病院に来院される飼主さんが多いという話をしましたが、今日も勘違いのお話。 山田ジョンくん(仮名)(1歳)が飼主の若いお姉さんと来院されました。睾丸に今までになかった腫瘍のようなものが出来て心配しています。 ですが、ジョンくんの睾丸をいろんな角度から診ても触っても何も問題はありません。全くの健康な睾丸です。「もしかして山田さんがおっしゃっているのはこれのことですか?」と精巣上体をさして聞いてみると「そうです。最近前よりも大きくなってきて・・・」とのこと。 雄には「精巣上体」という、精巣で作られた精子を成熟させる場所があります。とくに「精巣上体 尾部」と呼ばれる睾丸の上後の部分は、精子を貯蔵しておく場所なのでそのたまり具合によっては膨らんでしまいます。陰嚢の皮膚がたるんでいない若い雄犬のものが特に見た目で分かりやすいようです。 「これは腫瘍じゃなく精子を貯めておく部分で、膨らんできたのはジョンくんが精子をきちんと作っている証拠です。心配いりませんよ。」と山田さんに伝えるとやっぱり恥ずかしそうに納得してくれました。
2007.10.23
今日はワンちゃんの下ネタ(?)について。 宮城トラキチくん(仮名)(11ヶ月)の飼主さんがご夫婦で来院されました。初めて飼うワンちゃんだそうで、息子さん達が一人立ちして家には夫婦二人だけなのでトラキチくんは孫のようにかわいがられています。 そんなトラキチくん、今日は今までになかったシコリができて腫瘍じゃないかと心配で来院されました。「おちんちんのところに大きいシコリが・・・」とちょっと恥ずかしそうに奥さん。 ですが、そのあたりを見ても触っても何もありません。「う~ん、何もありませんね。・・・もしかしてシコリがあったのはおちんちんの真ん中あたりで、興奮した時ですか?」と尋ねると、「そうかもしれません。」と奥さん。 雄犬のペニスの真ん中あたりには「亀頭球」と呼ばれる、性的に興奮すると丸く大きくなる部分があります。これは交尾の時に抜けないようにするためのもので、普段は小さく包皮の中にしまわれています。雄のワンちゃんがお年頃になって初めて気がつき、腫瘍じゃないかと心配で来院される飼主さんが意外にたくさんいます。 「雄のワンちゃんはみんな普通に持っているもので、腫瘍などの悪いものじゃないから心配いりませんよ。」と言うと、宮城さん夫妻はちょっと恥ずかしそうにほっとした表情を見せてくれました。
2007.10.22
動物の病気について飼い主さんに説明をしていて、僕の意見がその飼い主さんの期待していたような内容ではなかった場合に「動物の専門家にきいたんだけど・・・」と話を切り出されることがあります。 例えば、ずっと咳をしているワンちゃんがいたとします。 上部気道炎(いわゆる風邪)や肺炎などの病気もなく、心臓に雑音があると獣医さんは心臓の病気を疑って(もちろん雑音がなくても疑う事はありますが)、きちんと診断をするためにレントゲンやエコーなどの検査をすすめます。そして心臓の病気だと確定診断がつけばそのワンちゃんにあったお薬を処方します。その中には一生続けてあげたほうが良いお薬もあるので、「ワンちゃんが少しでも体が楽に快適に暮らしていけるように、心臓の病気の進行を少しでも遅らせるためにお薬は一生続けたほうが良いですよ」とアドバイスをします。すると「動物の専門家にストレスが原因で咳をすることがあるって聞いたんですけど・・・」と飼い主さんに切り出されることがあります。その「・・・」には「かわいそうだから検査を受けさせたくない」「かわいそうだから薬を飲ませたくない」「心臓の病気だなんて信じたくない」「咳の原因はストレスだと言って欲しい」という思いがあるのでしょうね。さらに飼い主さんが「専門家」の意見をかたくなに信じていたりすると、検査や治療が進まなくて困ってしまいます。 もちろんストレスが病気の発症の引き金になることはありますが、まったくの健康なのに純粋にストレスだけが原因で病気になることはほとんどありません。 飼い主さんの話をよく聞いてみると、その「専門家」はトリマーさんだったり、たくさんワンちゃんを飼っている人だったりします。それは人間で言うと、美容師さんや子沢山なお母さんに病気の事についてアドバイスされているようなものです。そして、その病気を経験したことがある人なら「ストレスが原因」などとは絶対に言わないでしょう。 もし良いトリマーさんやたくさんのワンちゃんの飼い主さんが質問されたらこのように答えるはずです。「ストレスもあるかもしれないけど病気だったら大変だから動物病院で相談した方がいいよ」 動物の病気のスペシャリストは間違いなく獣医さんです。獣医さんに質問しにくいなら看護士さんに聞いたっていいのです。病院に行くのが大変ならまずは電話で聞いてもいいのです。
2007.10.12
動物病院で獣医さんはたいていワンちゃんの名前を「○○ちゃん」と呼びます。宮本さんのワンちゃん、チワワの雑種のネロちゃん(仮名)を診察していた時のことです。「ネロちゃんが・・・」「宮本さんの・・・」と話していたら二つの名前が混乱してしまい「宮本ちゃん」と呼んでしまいました。あれは恥ずかしかったなぁ。
2007.10.06
2007年9月30日のつづき 動物看護士さんは・・・ 困った時さっと手を貸してくれますか?例えばあなたのワンちゃんが待合室でおしっこをしてしまった場合、素早く嫌な顔せずに掃除してくれますか?動物病院全体の飼い主さんとペットへの心遣いがそういったことに現れると思います。 イキイキと働いていますか?動物病院の勤務はとてもハードです。ひどい所だと勤務時間が一日に12時間以上、休みは週1日ない場合もある、給料がかなり少ない、院長が横暴で怒鳴られる・舌打ちをされる・ネチネチと小言を言われる・セクハラされる、動物に咬まれる・引っ掻かれる・・・など数え上げればきりがありません。それでも動物が好きだから頑張っているわけですが、スタッフを人間らしく扱ってくれないような病院では看護士さんたちは辛そうな顔をしています。スタッフの扱いがひどい動物病院にあなたは自分のペットの命を預けたいですか? 動物病院は・・・ きれいですか?動物の毛やおしっこ、ウンチなどで人の病院以上に汚れやすいのが動物病院ですが、清潔は病院の基本です。病院が汚れていると伝染病や寄生虫など院内感染の原因になるし、針や注射器など器具の扱いが不衛生な所は病院もまた汚れているものです。器具の扱いが悪いとそれが原因で病気を新たに作ってしまうことがあります。 医療費は相場ですか?もちろん場所によって土地代、店舗料などの違いがあるので相場じゃないからダメと言うわけでもありません。そして相場だから良いというわけでもありませんが、安すぎる場合、高すぎる場合は何かあると思った方が良いでしょう。動物の医療費は人と違ってきちんとした基準で決められていないので、それぞれの動物病院で勝手に設定することができます。安すぎるのは医療器具を節約している(例えば使い捨ての注射器や針を再利用しているなど)、安全性よりもコストを重視して安い麻酔薬や器具を使っているなどの裏があります。高すぎるのは多分ぼったくられているのでしょう。(例えば僕の住んでいる地域の小型犬の避妊手術の相場は3-4万円程度ですが、同じ事をして30万円取る病院もあります)必ずしも「値段が高い=安全」という訳ではありません。 あくまで僕個人の意見なのでみんなに当てはまるわけではありませんが病院選びの参考にしてくださいね。
2007.10.01
友人にたまに聞かれる事があります。「どんなのが良い動物病院なの?」 同業者から見るとムム?と思うような病院でも普通の飼い主さんには意外と分からないことも多いのです。獣医師である僕が考えるポイントについて。 獣医さんは・・・ 話をきちんと聞いてくれますか?自分で症状を訴えることができない動物を診察するには、飼い主さんからの情報がとても重要です。あなたの話を適当にしか聞いてくれない獣医さんはヤブです。 やけに自信たっぷりではありませんか?「私に任せたら絶対に大丈夫」などという自信過剰な言葉を言いませんか?そういった「自信たっぷりな態度」は自分の自信のなさを飼い主さんから隠している場合が多いように感じます。もちろん獣医さんがあまりに自信なさげだと飼い主さんも不安になってしまうものですが、医療に「絶対的な安全」だとか「絶対に治るという保障」はありません。どんな小さな治療や手術にもリスクはあります。 治療についてきちんと説明してくれますか?そして質問をすればきちんと答えてくれますか?もちろん薬や手術の期待したい効果については誰もが説明をしてくれるでしょう。繰り返して言いますが、どんな小さな治療や手術にもリスクはあります。薬やワクチンの副作用、手術での麻酔事故・・・そういった危険な部分もきちんと飼い主としては理解したいですよね。薬を長期間続けなければいけない場合、なぜこの薬が必要なのか、どんな副作用がでるのかをきちんと知らないで、ペットにお薬をあげるのはとても辛いものです。 経歴の自慢をしませんか?以前アメリカに留学していた、東京で勤務していた(地方の獣医さんの場合)など必要がないのに経歴を自慢(?)する獣医さんがいます。これも自信たっぷりな態度と一緒で、自分の自信のなさ、不勉強さを隠そうとしていることが多い気がします。はっきり言ってそんな経歴はあなたとペットには関係ありません。アメリカだろうが東京だろうがヤブ医者はいます。逆に地方の小さな病院でも名医はいます。 つづく
2007.09.30
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2007年9月15日のつづきアピストグラマは小型シクリッドとも呼ばれていて、成魚でも4~10cmと小さく小型水槽でも簡単に飼育できるので軽い気持ちで飼い始めました。 彼らの魅力は数え上げるときりがありませんが、簡単に言うと小さいながらもシクリッドとしての特徴を備えていることです。シクリッド系の魚は縄張り意識が強く同じ種類の魚と激しい縄張り争いが起きます。その時にヒレを大きく開き体の色を濃くして威嚇する姿がとてもきれいで、しかも上手くペアを飼えば意外と簡単に繁殖し子育てするお母さんの姿を見ることができます。僕がアピストグラマを飼い始めたのは子育てをする姿を見てみたいという好奇心からでしたが・・・今やすっかりアピスト中毒です。アピストグラマにはかなりの中毒性があるので飼育を始めようと思う方は水槽を準備して飼育環境が出来るまでの1週間、本当に中毒患者になってもいいのか良く考えてから飼われる事をお勧めします。おわり我が家のアピストグラマ・ディプロタエニア 子育て中
2007.09.28
動物病院でもらったお薬を途中で勝手にあげるのを辞めてしまったことはありますか?その理由は、病気が良くなったから、効果がないから、値段が高いから、動物がいやがってあげるのが大変だから・・・など様々あるようです。今日は「病気が良くなった」のにお薬を勝手に辞めるとなぜ良くないのかについて「膿皮症」の例えでお話ししてみようと思います。 膿皮症はワンちゃんに多い皮膚病です。人のとびひと同じようなもので細菌の感染が原因で起こり、湿疹、かさぶた、赤み、痒みなどが主な症状です。暑さ、湿気、虫刺されなどがきっかけとなる場合が多いので夏場にたくさんのワンちゃんが来院されます。その治療に抗生物質、痒み止め、薬用シャンプーなどが皮膚の状態によって処方されますが、その中でも特に大切なのが抗生物質です。治療がうまくいけば1週間程度で皮膚は随分良くなりますが、最低でも3週間、長いと1ヶ月以上の間は抗生物質を続けないといけません。ですが・・・1週間ぐらいで皮膚が良くなったから抗生物質をストップしてしまう飼い主さんがけっこう多いのです。抗生物質をあげはじめて1週間の時点では、細菌の数が減ったおかげで皮膚病の症状が軽くなってはいますが、細菌はまだ皮膚の中に潜んでいます。ここで抗生物質攻撃をやめてしまうと細菌が増えてしまい、また皮膚病が悪化してしまいます。また抗生物質をあげても一度はその攻撃を耐えしのいだ菌たちです。前回のように簡単にはやっつけられません。このようにして皮膚病は再発し、抗生物質が効きにくくなってしまいます。 もちろんお薬なんかに頼らず病気が治るのが一番だと思いますが、お薬はきちんとした理由があって処方されます。中には痒み止めの抗ヒスタミン剤などのように症状がなくなればすぐにストップしてもかまわないものもありますから、お薬のことについて分からない事があったら遠慮なく獣医さんに聞きましょう!意外に「こんな事を獣医さんに質問するなんて恥ずかしい」と思っていることが本当は重要だったりすることも多いのです。
2007.09.23
2007年9月21日のつづきそこでサンちゃんの飼い主さんは安楽死を希望されました。こんなに歳をとっているのにこれ以上治療で苦しい思いをさせたくないから楽にしてあげてほしいとのことでした。 動物病院では必要があれば動物の安楽死を行いますが、それが必要だと獣医さんが判断するための細かい基準というのは法律では決められていません。それぞれの獣医さんの価値観によって違ってきますが僕の安楽死をするための基準は・・・「治療をしても治る見込みがなく、痛みや苦しみを薬で和らげることが出来ない場合」たとえ慢性腎不全、末期ガン、猫エイズなどの治らない病気でも治療を受ける事によって楽になり、食べる事や飼い主さんとの一緒の時間を楽しめるなら、まだ安楽死を受ける時ではないと僕は考えています。 サンちゃんのケースは血糖値を上手くコントロールできれば楽になる可能性がないとはいえなかったので、本来の僕にとっての安楽死対象には入りませんが、飼い主さんのサンちゃんを思う気持ち、かなりの高齢で治療をしても苦しいだけになってしまう可能性があること・・・色々考えて飼い主さんの希望通り安楽死を行いました。サンちゃんの飼い主さんは泣きながら「ありがとうございました」と帰っていきました。しゃべることが出来ないサンちゃん本人がどうしたかったかは分からず、僕自身も本当に良かったのか、強く治療を勧めるべきだったのかと後になってからも悩みましたが、19年一緒にいてサンちゃんをかわいがっていた飼い主さんが一番良いと思った方法がベストだったと信じることにしました。サンちゃんの御冥福をお祈りいたします。
2007.09.22
今日、老猫の安楽死をしました。 その老猫は19歳の雌猫サンちゃん(仮名)。ペルシャの雑種で実年齢よりは若く見えるおばあちゃんです。人間の年齢にすると90歳といったところでしょうか。 先週末に吐いて血便をし食欲がないとのことで来院されました。血液検査、尿検査、検便の結果、糖尿病、慢性腎不全、クロストリジウムという細菌による腸炎という三重苦の診断がつきました。腸炎は食中毒の原因になるような悪い細菌が原因なので抗生物質の治療で治すことができますが・・・・・糖尿病と慢性腎不全は治すことが出来ない病気です。 一般的に治療はどうするかというと、糖尿病は高血糖が全身に色々な問題をおこすので、処方食で急激な血糖値の上昇を抑えつつ、高い血糖値をインスリンの注射でコントロールします。慢性腎不全は体内のゴミ(老廃物)を腎臓でおしっこにして捨てるという働きがうまく出来なくなってしまい、そのゴミが全身にダメージをあたえてしまう病気で徐々に進行していきます。処方食で腎臓に負担をなるべくかけないようにし病気の進行を遅らせつつ、ゴミがたまってしまったら点滴をしてゴミを洗い流してあげます。また、そのゴミを少しでも吸着させるために活性炭のお薬を飲ませることもあります。どちらの病気も、体に負担をかけないような食事をあげ、症状に合わせて動物の体が楽になるような治療を行うといった対症療法が中心になります。 サンちゃんに対しては、慢性腎臓用の処方食とインスリンの注射、点滴、吐き気止め、抗生物質で治療を開始し、血糖値がうまくコントロールできるようになるまで通院してもらうことになりました。この一週間で腎不全の症状は軽くなってきたものの、血糖値が思うようにコントロール出来ず体調もいまいちでした。 つづく
2007.09.21
獣医さんの飼っている動物はきちんとしつけられているんだろう・・・と普通なら思いますよね? 動物病院に来られる多くの飼い主さんが動物のしつけについて悩んでいます。知らない人に吠える、子供を咬む、言うことを聞かない、人のご飯を欲しがる、自分の要求が通るまで吠え続ける、お留守番が出来ない・・・など本当にたくさんの悩みがあり、それについて僕達はスペシャリストとしてアドバイスをさせてもらう機会が多いのですが・・・ 知識がある事と実際に出来る事は全くの別問題です。 昨日のブログで人を攻撃しないようにしつけてくださいね・・・なんて偉そうに書いてしまいましたが、実はうちのネコとっても攻撃的なんです・・・ 家では普通のかわいいネコですが、知らない家や動物病院に行くと大パニック、バーサク状態になりだれかれ構わず攻撃するので僕の腕は傷だらけです。一度、僕の腕に咬みついてぶら下がった時は泣こうかと思いましたね~。彼は生まれて2週間ぐらいで死にかけて親もいなかったので僕が手塩にかけて育てました。情緒不安定なのはきっと親猫に育てられなかったせいです。きっと。 そして僕のネコは尿路結石の出来やすい体質でFLUTD(猫下部尿路疾患)を患ったことがあるので処方食を食べています。動物病院では「処方食のフードとおやつ以外は何もあげないでください」とアドバイスされる病気です。でもお刺身が大好きなんです。ダメだと思いつつも近くに座ってかわいくニャ~~ンと言われるとついあげてしまう飼い主心・・・いや、ほんのちょっとしかあげてませんよ。ほんのちょっとだけ・・・ 僕はダメ飼い主です。
2007.09.19
家ではとってもお利口でも、動物病院に来て怯えていたり痛い所をさわられたりすると攻撃的になって咬んだり引っ掻いたりするワンちゃん、ネコちゃんがたまにいます。 獣医さんがケガをすると他の動物たちの診察が出来なくなってしまうので咬まれないように注意はしていますが職業病でしょうか・・・ 僕の左手首には猫に引っ掻かれた傷跡があります。それがちょうどリストカットみたいで冗談で「ためらい傷?」と聞かれることがあります。本気でリストカットだと思われて無言で傷跡を見つめられることもあります(゚д゚;)ガーン毎回「猫に引っ掻かれた傷」と説明するのがとても面倒なので普段は腕時計で隠していますが、この傷跡どうにかならないかな・・・ 動物の飼い主さんへお願い(m_ _m)ワンちゃんなら咬まないようにしつけ頑張ってください。ネコちゃんならしつけが難しいと思うので病院に来る前に爪を切ってくださいね。
2007.09.18
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2007/9/13の日記のつづき中学生になると熱帯魚氷河期に突入。まったく興味がなくなり熱帯魚とは無関係の日々を送っていたある日、フラッと立ち寄った熱帯魚屋で運命のアピストグラマと出会ってしまいました。何の目的もなく魚たちをぼ~と眺めながら店内を回っていると、ある水槽が目の中に飛び込んできた!そしてとても不思議な魚に心引かれてしまいました。なぜかというとペアで2匹しかいない寂しい水槽に泳いでいる地味な魚に何万円もの値札が付けられているのにほとんどが売約済みだったのです。なぜその魚が何万円もの値段で売られていたのか分からないまま店を去った後、気になった僕はインターネットでその魚がアピストグラマだと初めて知ることとなりました。そして知れば知るほどどうしても飼ってみたくなるのが僕の悪い癖というか病気というか、居ても立っても居られなくなりとうとう飼ってしまいました。つづく
2007.09.15
「どんな症状がありますか?」「それはいつからですか?」 ペットが病気になって病院に連れて行くと獣医さんや看護士さんに必ず聞かれます。 たとえば皮膚病でワンちゃんが昨日からお腹を痒がっているとしたらあなたはきっとこう答えるでしょう。「昨日からお腹を痒がって引っ掻いたり舐めたりしています」もしそれが2週間前からだったら?ある人は正直に「2週間前からです」と答えますが、「はっきりは覚えていないけど3-4日前からです」と答える人もいます。意外に多くの飼い主さんが動物病院でウソをついてしまいます。・・・その気持ち分かります。分かりますよ。ほとんどの飼い主さんが自分のペットを愛しています。だからこそペットが痒がっているのに2週間もほったらかしにしておいたひどい飼い主だと獣医さんに思われるのが辛いんですよね。そして怒られるんじゃないかという不安もあるのでしょう。僕も獣医師である以前にただの飼い主ですからその気持ちはよ~く分かります。が、獣医さんとしては正直に答えて欲しいのです。その皮膚病の症状がどれぐらい強いのか、どれぐらいの間痒がっているのかなど総合的に判断して獣医さんはお薬を処方し、どれぐらいの期間で治りそうなのかを予想します。それらはもちろん昨日からと2週間前からでは違ってきます。あなたのペットにぴったりのお薬を処方するために正直に教えてください。 皮膚病に限らず僕も新人の頃は飼い主さんのちょっとしたウソによく騙されて上手く治療が進まないことがありましたが、最近は僕のウソ探知機も性能がアップしてきてちょっとやそっとでは騙されなくなりました。きっとあなたも獣医さんにちょっとしたウソを見抜かれているはずですよ(゚д゚;)
2007.09.14
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アピストグラマという淡水の熱帯魚が好きで飼っています。今日は僕と熱帯魚の出会いについて少し話してみたいと思います。僕が子供の頃、フラミンゴシクリッドという熱帯魚が家にいました。大きさは30cmぐらいで肉食のけっこう凶暴な魚です。ある日そのフラミンゴさんが餌をあげていた母の手に噛みついてしまったので近所のペットショップに引き取られていきました・・・子供心にかなりのショックで今でもすごく鮮明に覚えています(ToT)フラミンゴシクリッドの交雑種「パープルパロット」そして空になってしまった水槽がとても寂しかったので小学生の少ないお小遣いでカイヤンというシュモクザメに似た魚を買い、その水槽に入れることにしました。そのようにして僕の熱帯魚人生はスタートしました。子供で初心者という事もありせっかく買った魚を死なせてしまっては新しい魚を買う・・・という事を何回も繰り返し、中学生になるぐらいまで色々な魚を飼いました。今考えると本当に無知で熱帯魚にひどい事をしたなと反省しています(合掌)動物を飼うのに無知というのは罪ですね・・・つづく
2007.09.13
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ミニチュアダックスフンドのジャンくん(仮名)。ツヤツヤのイエローのロングヘアーがきれいなわんちゃん。 彼はいつも背が高くて綺麗なお姉さんと一緒に病院にやってきます。多くの男性がそうであるように僕は美人が好きなのですが、彼の診察は必ず女の獣医さんがすることになっています。なぜかというとジャンくんは男の人をモーレツに警戒し、近くを僕や他の男性スタッフが通っただけで吠えまくり唸りまくるからです。女性スタッフには愛想がいいのに・・・飼い主さんは控え目な感じの美人で大和撫子といった感じ。きっとジャンくんは騎士のような気持ちでお姫様を守っているのでしょうね。でもちょっと困ってしまうな~。
2007.09.12
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動物病院に来る前に動物をお風呂に入れてから連れて来られる飼い主さんが結構います。病院に連れて行くのに汚れて臭いと恥ずかしい!という飼い主心なんでしょうね。でも獣医さんにしてみると困ってしまうことが実は多いのです。例えば皮膚病の場合、シャンプーして汚れが落ちたばかりだと細菌や真菌(カビや酵母菌)、寄生虫の検査をしても本当はいるのに見つけられないことがあります。病気の原因が分からなければお薬も出せません・・・シャンプーの後にすぐに乾かしてあげられないと湯冷めして体調を崩す事もあります。病気の時はますます悪くなることもあるし、そこに予防接種をすると熱が出やすくなります。どうしても汚れが気になる場合はブラッシングをおすすめします。犬や猫は人みたいに汗をかかないのでブラッシングだけでも随分きれいになりますよ。皮膚病の場合はかさぶたやフケなどは取らないで病院に行ってくださいね。ブラッシング用品
2007.09.11
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いつもおじいちゃんに連れられて病院に来るヨークシャーテリアのパピーちゃん(仮名)。とてもかわいがられているらしく人懐っこくて控えめなところがかわいい。先日おじいちゃんがもぞもぞと動くビニール袋をぶら下げていて、「?」と思ってよくみるとパピーちゃんがビニールから嬉しそうに頭を出していた。おじいちゃんもニコニコしていた。ものすごく驚いたけど二人とも幸せそうなのでまぁいいかと思っていたら、今日はバーバリーのキャリーバッグに入っていたパピーちゃん。誰かが見かねて買ってくれたのだろうけどすごい格差だなー(^^;)
2007.09.09
町の動物病院に勤務する獣医師(30)です。自分で実際に使ってみた動物グッズの感想や、病院に来る飼い主さんの口コミなどをフリーページで紹介してみようと思います。ブログはぼちぼち更新。期待しないで遊びに来てください。
2007.09.07
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