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眠りの微睡の中でいつも何かを探している。冷たい壁に手を当てて、吐息をはいて、身体の強張りを無理矢理に解く。そうして始めて頭に掠める意識の巡りを実感し得る私は、いつも眠りまでの導入に酷く疲労を感じる。こんなにもこの床が居心地悪く感じて、だけれどパソコンから流れるピアノの音にはほんの少しばかり安息を感じたりして、安定とは何なのかしらん、それでも此処にいて好いのか判ることが出来ないわ、と思ったりしていると、ああ、何か、他に何かないのか知らん。この呼吸器だって貧しくて貧しくて仕様がなくって、だなんて飛散な思いに辿り着く。だから結局筆とノートがいつも何処か内になければ本当の夜は明けてくれない、だなんて考えにまた至ってしまって、健全ではない、その強迫観念的な思いに気だるさを感じる。強張り始めた身体を丸め、細ばった身体の骨の痛みを噛み締めながら。 だからと言うのもなんだけれど、私は若しかしたら、誰かと共に眠れる貴方が無意識にも羨ましく思ったのかもしれない。隣で寝息を立て、何度か大きな寝返りを打ち、私の身体から徐々に離れていく彼は、私から見れば酷く安息とした夢に沈んでいるかのようであった。いや、何の夢を見ているのかは判らない。けれどたった一時でも、誰かの隣で筋肉の動き一つをさえ手放せられるということは至福の一つのように思える。例えその一瞬が仕様もなく夢見悪いものでも。眠りについて、一言に幸福とはっきり言ってしまうことは出来ないけれど、それはある意味において運のある人だと思う。私はそう、思いました。
December 21, 2008
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始まりの朝は何処か、誰かしら、何故だか判らないが人の顔が見れない。後ろめたいのかもしれない。もう帰ってこれないような気が何故だか無性に感じてしまうからかもしれない。何故だか、どうしてだか、何とはなしに。空の雲を見上げてああ、白いなあ、なんて思うのと同じように。母と姉の顔を見て、ああ、行かなきゃなあ、と思う。何処に。彼女や彼やあの人の安心が持てるような自分を持って。
December 20, 2008
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朝は一度6時半過ぎに起床し、用を足し、身体の中心がぐらついて仕様がなかったのでもう一度自室に入り込みました。眠りは浅く、夢見も特になく、肌寒い朝の、薄暗い光だけがカァテン越しに眼を掠めました。ああもう12月も半ばなのだよなァなんて、何度目だか判らないような事をもう一度考えて、其れをぽつりと口に出しては自分の更なる恥を隠すように布団に潜り込みました。 そうして確か、8時半過ぎに姉を送り出してから、母がリビングで体調を悪そうにしているのを、自室にある大きな鏡越しから幾時間か見つめていました。 母は血圧の病気を患っており、此処数ヶ月は苦しそうにしております。病院から新しく処方され薬の影響を芯から受けているようで、始終気だるそうにソファに身を寄りかけており、目を開いたり閉じたりと何度かしておりました。私は其れを見つめながら、まるで母は、薬が血液の中を流れていく度に眼を開けたりとしているようだわ、と考えてしまい、その眼が完全に閉じ、彼女が眠りに就くまで鏡から目を離す事が出来ませんでした。 母は真っ黒な、黒いカーペットの中に居ればその存在は安易に塗り潰されてしまう程真っ黒な子犬を腕に抱え、その温かさの中で眠りに就いたようでした。こうした時の犬はとても、暖かい。身に沁みる何かを感じさせるものです。だからでしょうか。母のその顔が、あんまりにも安息としていて、私は昼になっても母を起こす事が出来ませんでした。 子犬は寝言を何度か唸る様に喋っておりましたが、母の腕からは離れるつもりはないらしく、寧ろ母の腕の温かさの中、夢を見るように共に眠っておりました。私はその様子を見て何か心が安心とし、やっとのこと鏡を見つめる事を止められました。 私はというと、昼頃漸く身体が動けるようになった為、(母の顔をちら、と見つめてから、)洗濯物の一つ一つを丁寧に折畳み、全ての作業が終わったと同時にカァペットに倒れ込みました。私の洩らした滓かな音に反応したのか、子犬は母の手から逃れ出て、私の涙の滓を何故か執拗に舐め取ろうとしていました。 私は壁を眺め、半開きになった窓の風を感じては、いつの間にか居なくなった子犬の存在を感じ、緋色の鮮やかで、壊れ易く、触れてはいけない何かのような。そのような気配をさせるカァペットを背にしながら、身体のだるさと共に、重くなる目蓋に身を任せました。 * 今日は母や姉と会話をしながら夕食を摂る事が出来た日でした。私は私のおかした恥を、今判り得られた範囲内のことで、拙い言葉ながらも話すことが出来たと思います。母と姉は双方共、双方共らしい言葉や考えの仕方で私の考えや行為に反発したり、同感したり、つまり、話をしてくれました。私の病状の具合、私の恥の在りか。その恥を、これからどのようにして、(言葉が見つかりません。恥は恥です、罪は罪です。代償行為はありません。だけれど諦めません。其れだけ、です)いこうと考えているのか。 人との会話は大事です。大事だと感じました。人と接する際の言葉は怖い、凶器だ、だから言葉を発する事は嫌いだと云っていた私でしたが、私はそれ故に、私はそれなのに、こうまでして母や父や姉や、多くの人間の人生を壊してしまいました。恥じ入ります。恥じ入ります。認めます。 今日は病院です。今回の話の末ではゆったりと、お話しすることが出来、母と姉は理解をしてくれましましたので、母も、私を一人で診療に送り出してくれるようです。その事が単純に嬉しい、と思います。 ああ、一日の、御仕舞いを感じます。 * 始まりの朝は早い方が好い。出掛けます。行ってきます。
December 19, 2008
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明日という未来を理想出来ない一人の女が、世俗滲みた、時間の経過が至極曖昧な空間で自分自身の不器用な指先を見つめては、ただ一人愛する男の爪弾かせたギタァの音を思い出し、文学に勤しむという事。其れのなんて艶かしい事。愛は征服の一種だと思われますが、これらの不純な行為も征服の一種ですか。私は文楽に征服され、彼に征服され、雁字搦った夢見心地のままでその征服の快楽を知り溺れながらも、ああ、今日の暮れはどのようなお日がらだったか知らん、なんて事を考えたりもしていて、いや、女は女なりにその日柄の憂鬱さに血迷うようでもあるのだが、何ともなしに滑稽という名詞がその女には似遣い過ぎていて、時間の経過が陰気に渦巻くばかりであるように思う。 意味のない記述を終えて時分。そう、記述。今夜の月は酷く私に優しくない。 心臓の強張りや脳に脈の流れる速度が目の前にイメェジとして流れ打つ打つようで、ああこれは幻聴幻想に違いない、なんて思うとマリファナを手にして地に這い蹲る自分が安易に頭に浮かんでくるものだから、少し、大分の事、悲しくともうんざりとしてしまい、罪悪感に満ちる。だからこそ私は私の手にほんの少し力を入れて、感覚のなくなってきた指先で筆を握り、感情を零していく。
December 15, 2008
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