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第3連を見て見よう。The black man, forlorn in the cellar,Wanders in some mid-kingdom, dark, that lies,Between his tambourine, stuck on the wall,And, in Africa, a carcass quick with flies.【表の訳】その黒人は、地下室にひとりになって、壁にかかっている彼のタンバリンとアフリカにある、蠅がたかっている死んではいない体との間に、暗く、ある或る中間の王国をさまよう。【裏の訳】男色の罪にけがれた男は、地下牢の、地獄の中で孤独なまま、自分のものだといいたい、前位置に壁のようにたっている男のそのタンバリン形の性具と、それから、何度も行きそうになりながら、まだ絶頂にまで行かずに、従ってまだ生きていて死んではいない、しゃせいをこらえているだんしょく者、肛門せい交に至らないだんしょく者とのまん中にあるだんしょく者の王国をさまよっている。【解釈】someは、Websterによれば、Etymology:Middle English som, adjective & pron., from Old English sum; akin to Old High German sum some, Greek hamィ・ somehow, homos same ム more at sameとあることから、Craneは、homosという語源、語釈にホモの意に掛けて、この語を使っている。Sameも同じ。従い、some mid-kingdomとは、だんしょく者、どうせい愛者の中間の王国という意味になる。しかし、中間の王国とは何であろうか。だんしょく者達が、せい行為をしているときに、中世の騎士物語を演じるということは、前に書いた通り。だから、some kingdomなのだと思う。しかし、mid-とは何か。これは、また別に男同士のせい行為の様子を、太陽系の星の運行に喩えていたことを思い出す事にしよう。そうすると、3つの星があって、この汚れた罪深い男、黒い男は、太陽、地球、月のうち、まん中の位置にいると考えることができる。あるいは、王国の分類そのものがあって、前の王国、中の王国、後ろの王国といったものがあるのだろうか。いづれにせよ、太陽は動かぬ位置にあり、地球は太陽を周回し、月は地球にいつも表だけを見せて自転せず、尻を向こうに向けたままの位置にいる。この男の位置は、地球であると、ひとまづ、ここでは、しておこう。太陽のペニスをくわえ、尻には月のペニスが挿入されている状態、それが、wander in some mid-kingdomということ。Wallとは、something resembling a wall (as in appearance, function, or effect); especially : something that acts as a barrier or defenseということから、太陽の位置にいて、突っ立っている男と解釈する。Africaとは、何故アフリカなのだろうか。これもこの語を深く調べてゆくと、continent of the eastern hemisphere S of the Mediterranean & adjoining Asia on NE area 11,677,239 square miles (30,244,049 square kilometers) とあり、実は、ここにあるcontinent(大陸という意味に普通はいうもの)を、更にcontinentを調べると、Craneは、continenceということから、 self-restraint; especially : a refraining from sexual intercourseという意味をAfricaという言葉に隠している。セックスを我慢するという意味。そう思って見ると、AfricaにもAという文字が入っている。だから、アナル・セックスを我慢するという意味になる。このように考えて来ると、And, in Africa, a carcass quick with flies.とは、何度も行きそうになりながら、まだ絶頂にまで行かずに、従ってまだ生きていて死んではいない、しゃせいをこらえているだんしょく者、肛門性交に至らないだんしょく者という意味になる。Fliesを、a brilliant, imaginative, or unrestrained exercise or display (a flight of fancy)ととることにする。また、その前にある、his tambourine, stuck on the wallとは、まん中のポジションにいるその男から見ると、前に壁のように立っている太陽のポジションの男のペニスに掛けているタンバリン形の性具だと理解しよう。このタンバリンがあるおかげで、ペニスの先がいい気持ちになり、そうなるように口で、また指で刺激をするのが、まん中のポジションの役割なのだろうと思う。
2008年01月05日
Black Tambourine3第2連を見て見よう。Aesop, driven to pondering, foundHeaven with the tortoise and the hare,Fox brush and sow ear top his graveAnd mingling incantations on the air.これも、表通りで、普通に読むと、本当に何を言っているのだろうと思うような詩だ。【表の訳】イソップは、何かに駆られて沈思黙考しているうちに、亀と兎のいる天国を見つけたが、狐の尻尾と牝豚の耳が、イソップの死を頂点にもってゆき、そうして空気に触れて呪文を混ぜる。【裏の訳】イソップは、尻を上げてAのポーズをとっているが、強いられて心の中で静かに味わっていると、兎と亀の天国、すなわち感じてはやく行くのが勝ちなのではなく、いくのが遅い方が勝ちなのだというお話通りに天国を発見するし、狐の尻尾のブラシと牝豚の耳で、イソップが快感の絶頂で死に到るように感じさせる。周りで、行くのがもっと遅くなり、絶頂感が長く続くようにという呪文を、実況中継して、そこに混ぜ入れながら。【解釈】Aesopとは、これもCrane好みの言葉で、最初から仕掛けがある。このイソップという童話の作者の名前をひっくり返すと、Pose A、即ちAという尻を上げた姿勢をとる、その姿勢という意味になるからだ。また、イソップは、アフリカ生まれの黒人であったという説が念頭にあって、Craneは、この詩を書いている。それは、第1連にあるa blackmanに始まり、第3連にあるAfricaに到るまで、そうである。表の訳の方に無理があって、表の訳を考えていると、そのまま裏の訳に到る。表裏不可分。狐の毛でできたブラシと牝豚の耳というのは、膨張したペニスには、特に優しく、感じやすくさせるものなのだろう。だから、そのときの呪文とは、すぐ行かずに、もっと長くもつようにというおまじないの言葉。何と言ったかは、わからない。あるいは、他のCraneの詩を読むと、想到するかも知れない。兎と亀の話は、イソップの有名な話であるが、ここでは、速い兎が負け、遅く行く亀が勝ちという結末から、先に行ったら(しゃせいしたら)負け、遅く行った(しゃせいした)方が勝ちという、そういう話を男(だんしょくしゃ)達が実際にしていることをいっているのだろう。On the airは、Craneの色々な詩によく出て来る言葉であるが、結局、これは、せい行為をしているふたり(あるいは、もっと複数)の周囲に、他の男(だんしょくしゃ)達がいて、その行為を見ていて、実況中継をしているととることが、一番自然のように思うので、そのように訳した。mingling incantations on the airを、そのまま普通に訳しても、全く何を言っているのか、わからないことだろう。【恐ろしい言論統制】この第2連の訳と解釈をアップロードしようと思っても、できない。禁止されたワードが1つありますという表示が管理画面に出てくる。細かく文を切って、句単位で調べたところ、しゃせいだんしょくしゃせいこういこの3つの言葉が、楽天日記の管理者の禁止用語に登録されていることがわかった。これは、ひどい。どの用語が禁止用語であるという表示も、掲示もない。これは、恐ろしい自主規制、わたしのことばでいえば、共産主義である。楽天の先行きは、貧しい、凋落することを祈る。ほかに、発表の場を求めることにしよう。
2008年01月04日
Black Tambourine2Hart Craneは、この詩の中にいつものように暗号を隠している。あるいは、詩を暗号化して、裏の詩、すなわち男色者の喜びと悲しみを歌う詩としても読めるように書いている。この詩の題名から見てみたい。Blackという色の名前がつけられている。これは、詩集の名前であるWhite Buildingのwhite、この白と対極の、それゆえCraneの詩の中では、互いに相通じて最後には反転してもう一方の意味になる、そのような黒、即ち罪深い、男色者の黒という意味である。Whiteは、それに対して、浄化された、汚れの無い、男色の罪の赦されたという意味である。それが、White Buildingの意味。詩をbuildingすることで、文字通りに垂直方向に言葉の建物を階層化して立てることで、更に、そうやって構築された詩が、男色者の罪を赦されるものとしてある、そのような祈りの詩とすることで、whiteになる男色を歌った詩。Tambourineとは、同じ詩集の中の別の詩、Chaplinesqueで述べた、チャーリー・チャップリンの主人公がかぶっている黒い山高帽、black hatと同じものを指している。あるいは、The Bridgeという別の詩集の冒頭にあるTo Brooklyn Bridge (このToは斜字体でなければならない。その理由は既に述べたので、わたくしの以前に掲載したTo Brooklyn Bridgeの解釈をご一読下さい。)、その詩の中の3連目の最後の行に、the same screenと歌っているものと同一物である。それは、何かタンバリンのような形をしていて、あるいは山高帽のような形をしていて、円環の枠に柔らかな布をスクリーンとして掛けてある、そのような代物、男色者の性具。これをどのように使って、そこから複数の男が快楽を引き出すのか、わたしは一寸想像が難しいのだが、しかし互いに役割を演じ分けて、ホストとゲストになって、それぞれサービスを提供する側と享受する側になって、互いによろこびを分ちあうのだろう。その場合に、往々にして、男色者は、自らを中世の騎士に喩えて、その役割を演じ、ということは、ゲストになり、ホストである貴婦人からの、性的にはどういうものかはわからないが、褒美をもらうという、そのような劇を演ずるということも、思い出しておこう。さて、Blackという色は、そのような色だとして、実はCraneは、それ以外に、whiteは勿論のこと、purple、gold、green、violet、amber、grey、sapphire、red、pink、blueなどという色彩を詩の中にちりばめていて、天体の場合と同様に、ここにも色に関するCraneの創造したシステムがあるものと思われる。Amberやsapphireは、色彩ばかりではなく、もうひとつある鉱物の名前のシステムと踵を接する色彩語だと思う。これらの言葉の体系については、また後日探究することにしたいと思う。いつもやるように、まづ英語の不定冠詞、aまたはanを探してみよう。そうすると、次のようなものがあることに気付く。a black mana cellera bottlea roacha crevicea carcassAという不定冠詞は、その意味がAという文字の形から、男色者が尻を相手に向けているときの尻と脚の形であることから、またその複数形がAsであり、発音が尻の穴に同じであることから、この冠詞を冠したことばには、男色者としての意味が掛けられているということは、既に見て来た通りである。そうすると、a black manは、文字通りに罪深き男色者a cellerは、男色者の地獄、秘密の場所a bottleは、その形から、男色者のペニスa roachは、ゴキブリであるが、しかしcockroachということのcock、即ちペニスが無い、言わば男としては性的に無能力の、そのような男、男色者という意味である。このように語を隠して顕すというやり方をCraneは行う。詩集The Bridgeの中の一篇、Van Winkleという題も、本来ならば、Rip Van Winkleの筈であるが、敢えてRipという男色に関わる言葉を隠して題としている。Ripとは、ペニスに歯を立てて快楽を与えると同時に、いささかの血も流れる位に傷をつけること。このVan Winkleという詩は、そういう男色の詩だよという含意をそこにこめている。このRipもCrane好みの言葉で、To Brooklyn Bridgeの第1連にも、Ripplingとして、また同じ詩の第6連には、Rip-toothとして出て来る。a creviceは、男色者の割れ目、すなわち尻の割れ目とその穴のこと。a carcassは、Websterによれば、1: a dead body : corpse; especially : the dressed body of a meat animal2: the living, material, or physical body (I hauled my carcass out of bed)3: the decaying or worthless remains of a structure
2008年01月03日
Black Tambourineを読みたいと思う。これはHart Craneの詩集、White Buildingsの中の2番目の詩。White Buildingsとは題名がそのまま意味する通り、白い建築物である。一篇の詩を建築している。つまり、Black Tambourineは、全部で3連からなる詩。これを2階(1、3)1階(2、2)として設計し、構築した詩が、Black Tambourineということになる。この表示のしかたは、既に書いたTo Brooklyn Bridgeの読者は、おなじみのことと思う。実際には、後述するように、この詩は、その歌い方からいって、1階(1、3)地階(2、2)という構造にしている。先回りをすると、地階とは、地獄という意味でもある。舞台は、cellar、地下室であり、牢獄である。辞書はいつものようにWebster Onlineを。この詩は、一度2005年1月31日と2月1日に論じたことがある。以前の解釈を読んでみたが、間違っているとは思わない。今回は少し別のアプローチをしてみよう。この詩は何をうたっているのだろうか。まづ、普通にアメリカ人が読んで、こうなるという例を、In a Dark Timeという詩のwebsiteから持って来て、みることにしよう[http://www.lorenwebster.net/In_a_Dark_Time/2003/07/31/hart-cranes-black-tambourine/]。The メinterestsモ of a black man are the interests of any human being: to live, to love, to find joy, but this representative of a race notes late judgment from a foreign culture that has closed its door to his desire to be recognized as an equal. In the minds of his white brothers his lot is caste either in the cellar with its gnats, circling in the shadows of old bottles above the roaches jumping cracks in the cement floor or the owner of a drum that jangles out a noisy rhythm.Aesop, the Greek slave who wrote of animal fables, found heaven in the animal kingdom. The black man, forlorn in his lowly dark place wanders メmid-kingdomモ between Aesopモ animals and his tambourine stuck on the wall, an equally damaging stereotype of the happy Negro. A Negro with whom Crane worked in the basement storeroom of his fatherユs restaurant in Cleveland in the 1920s was the inspiration for this poem. To Crane, the man seemed placed in the mid-kingdom between beast and man. Aesop personified cute animals in his stories, white folk romanticized the Negro as a singing, strutting banjo playing, tambourine banging simpleton. This black man lives in the dark mid-kingdom, neither an animal nor a stereotype which sounds like a good thing and yetノThe images freshen our understanding: gnats in the shadow of a bottle, roaches spanning a crevice in the floor, a tambourine stuck on a wall, a carcass quick with flies.Could this poem apply to every foreigner we hear Rather, Jennings, and Brokaw spotlight each evening? to ourselves? Are we are all mid-kingdom, neither an animal nor a romantic stereotype but something in-between? 詩を訳してみよう。普通に訳すと、こうなる。ぼくは、表の訳と呼んでいる。普通に読んだら、生れる読みのことである。The interests of a black man in a cellarMark tardy judgment on the worldユs closed door.Gnats toss in the shadow of a bottle,And a roach spans a crevice in the floor.前回は、次のように訳した。【表の訳】とある地下倉庫に、ある黒い色した男が独りその男の興味と関心が、世界が閉じた扉なのか、それとも扉が閉じて世界を締め出したのかその扉の上に、季節外づれの判決文をしるす。吸血の藪蚊共が、ある壜の影の中で、休み無く、言ったり来たり、登ったり降りたり、そして、一匹のゴキブリが、床の中のある割れ目に、身を伸ばして、架かっている。上に引用したwebsiteの主催者は、In the minds of his white brothers his lot is caste either in the cellar with its gnats, circling in the shadows of old bottles above the roaches jumping cracks in the cement floor or the owner of a drum that jangles out a noisy rhythm.と読んでいる。これはアメリカ人だけに、黒人というと直ぐ人種差別と連想するところが、ぼくの理解と違っている。しかし、登場するものたちのことについては、理解は同じと見える。しかし、これは一体、何をいっているのだろう。そう考えながら、裏の訳を試みてみよう。
2007年10月13日
Black Tambourine by Hart CraneThe interests of a black man in a cellarMark tardy judgment on the world’s closed door.Gnats toss in the shadow of a bottle,And a roach spans a crevice in the floor.Aesop, driven to pondering, foundHeaven with the tortoise and the hare,Fox brush and sow ear top his graveAnd mingling incantations on the air.The black man, forlorn in the cellar,Wanders in some mid-kingdom, dark, that lies,Between his tambourine, stuck on the wall,And, in Africa, a carcass quick with flies.
2007年09月18日
Rose, oh reiner Widerspruch R.M. RilkeRose, oh reiner Widerspruch, Lust,Niemandes Schlaf zu sein unter sovielLidern.ばらよ、きよらかな矛盾ばらよ、きよらかな矛盾あまたの瞼の下で、だれの眠りでもないというよろこびよ。[「ドイツ名詩選」(岩波文庫。生野幸吉・檜山哲彦編)より]これをCharles Bukowskiが訳したら、次のようになるだろう。間違いなく。薔薇よ、清らかなおまんこ欲情よそんなにたくさんのビラビラの下で我をわすれて眠るという欲情を
2007年09月05日
Wie wenn am Feiertage Fr. HoelderlinWie wenn am Feiertage, das Feld zu sehn,Ein Landmann geht, des Morgens, wennAus heisser Nacht die kuelenden Blitze fielenDie ganze Zeit und fern noch toenet der Donner,In sein Gestade wieder tritt der Strom,Und Frisch der Boden gruentUnd von des Himmels erfreuendem RegernDer Weinstock trauft und glaenzendIn stiller Sonne stehn die Baeume des Haines:ヘルダーリンの1800年の詩。全然古くない。つまり、時代を感じさせない。詩がどのように何から生れるかを、そのまま表しているかのようだ。これは、第1連。意味の流れが一筋通り、しかし、語順は破格。つまり、言葉が口からあふれ出てくる順序に書き付けたら、意味の流れのある詩になったという趣き。備忘のために記す。参考までに、日本語訳を以下に。岩波文庫「ドイツ名詩選」(生野幸吉・檜山哲彦編)から。あたかも、祭りの日の朝あたかも、祭りの日の朝野を見んと農夫が歩みゆけば、夜もすがら暑い闇を爽涼の電光がおちつづけ、いまなお雷鳴は遠くひびきながらも、あふれた流れはふたたび川筋をゆき、大地はみどりあざやかに、葡萄の木は天よりのよろこばしい雨をしたたらせ、森の樹々がしづかな陽光のうちにかがやき立つように訳はたしかに訳だが、原文のようではない。原文ではない。原文とは違う。音が違う。したがって意味が。読んだ順序で意味がやって来るのだ。翻訳の限界。
2007年08月27日
神々ぼくはギリシャの神々を信じたことがあるそうして 今も信じている何故なら 神が複数形であるが故に単数の神を信じて 僕がテロリストになるよりも複数の神を信じて 君がたゆたふ方がよい神様との付き合いが とても忙しくて 一寸大変かも知れないが 僕は その方がずっとよいと思うのだ
2007年08月26日
September 1, 1939by W.H. AudenI sit in one of the divesOn Fifty-second StreetUncertain and afraidAs the clever hopes expireOf a low dishonest decade: Waves of anger and fear Circulate over the brightAnd darkened lands of the earth, Obsessing our private lives;The unmentionable odour of death Offends the September night. Accurate scholarship canUnearth the whole offenceFrom Luther until nowThat has driven a culture mad,Find what occurred at Linz,What huge imago madeA psychopathic god:I and the public knowWhat all schoolchildren learn,Those to whom evil is doneDo evil in return.Exiled Thucydides knewAll that a speech can sayAbout Democracy,And what dictators do,The elderly rubbish they talkTo an apathetic grave;Analysed all in his book,The enlightenment driven away,The habit-forming pain,Mismanagement and grief:We must suffer them all again.Into this neutral airWhere blind skyscrapers use Their full height to proclaim The strength of Collective Man, Each language pours its vain Competitive excuse:But who can live for longIn an euphoric dream;Out of the mirror they stare, Imperialism's faceAnd the international wrong.Faces along the barCling to their average day:The lights must never go out,The music must always play,All the conventions conspireTo make this fort assumeThe furniture of home;Lest we should see where we are, Lost in a haunted wood,Children afraid of the nightWho have never been happy or good.The windiest militant trash Important Persons shoutIs not so crude as our wish: What mad Nijinsky wrote About DiaghilevIs true of the normal heart; For the error bred in the bone Of each woman and each man Craves what it cannot have, Not universal loveBut to be loved alone.From the conservative darkInto the ethical lifeThe dense commuters come,Repeating their morning vow;'I will be true to the wife,I'll concentrate more on my work,'And helpless governors wakeTo resume their compulsory game: Who can release them now,Who can reach the dead,Who can speak for the dumb?All I have is a voiceTo undo the folded lie,The romantic lie in the brainOf the sensual man-in-the-street And the lie of AuthorityWhose buildings grope the sky: There is no such thing as the State And no one exists alone;Hunger allows no choiceTo the citizen or the police;We must love one another or die.Defenseless under the nightOur world in stupor lies;Yet, dotted everywhere,Ironic points of lightFlash out wherever the JustExchange their messages:May I, composed like themOf Eros and of dust,Beleaguered by the sameNegation and despair,Show an affirming flame.
2007年08月26日
権力者は密室を愛する権力者は密室を愛する密室を愛するものは権力者だ密室を愛するあなたは既に、権力者だ何を愛してあなたは話をするのかだれもこれを知らないという事実時差に頼った事実の隙間に甘えてあなたは権力者の言葉を語るのだだれもそれを知らないとだれがそれを言わないとどうして、それがわかるだろうかわかる?
2007年08月26日
明日の臭い(1)Tomorrowユs smell(2) Tomorrow smells(3) Smell of tomorrow(4) It smells for tomorrow
2007年08月26日
平成14年改正頑固法について僕は法律を勉強しているそれはとてもむつかしい法律は頑固だ頑固な親父だ かこの法律は、法律が頑固であるということを制定したものではないこの法律は、頑固な法律であるというわけではないこの法律は、法律が改正されたからといって頑固でなくなったというのではないこの法律は、頑固でなくなった法律を改正して頑固にしようとした法律ではないこの法律は、法律でないものを無理やり頑固に仕立てた法律ではないこの法律は、それは、とても難しいこの法律は、平成14年に改正されたのだが、制定されたのは平成26年であるこの法律は、だから時間が逆流していて、とても現実的に適用できるものではないこの法律は、現実的な適用を前提に作られたのではないこの法律は、現実が余りに惰弱に流れているので、頑固親父の復権を願って作られたのではないこの法律は、
2007年08月25日
僕は支払いたい対価を支払うと何故疚(やま)しい気持ちがないのだろうか純粋とは対価を支払わぬ 無償とはそのような行為だとしたらそれは やはり 不純な行為なのだろうか償いがないということは無いのだなぼくは支払いたくない 受けたくない
2007年08月25日
テロリスト機能、representationその人間を殺しても解決にはならないいや、なる。問題解決のための殺人Representativeの体に触ってもそのentityに触ったことにならないRepresentativeを殺してもEntityは認識の対象として生きている認識者こそ殺すべき相手だというのか?John Lenonは認識者であったか?作品が残る。Realではない悲しみ。John Lenonがrealでない、一緒に感応できない寂しさEntityは、文字によって書かれている文字を消去するか。焚書坑儒を執行するか。権力者は、それを行う。テロリストの権力者。誰がJohn Lenonを殺したか個人の意志は自由である という意味は、個人の意志は予測がつかぬという意味でもある。その席を占めたいと思っても、だれかがその空間を占めるかも知れないのだ。ひとは何故選挙の投票箱の前に行列をなすのだろうか。誰がJohn Lenonを殺したか。
2007年08月24日
カードゲーム信頼とは、相手が並べた幾枚のカードの中から一枚を選択するときに起こる不安の少なさをいうのだ。既に順序が決まっていれば一斉に、隣のひとのカードを取る事ができる。同時にできる。つまり、時系列で待つ必要はない。次々である必要はないのだ。だから、信頼とは、一斉に隣のひとのカードから一枚のカードを安心して抜く事のできることをいうのだ。たとえ一枚のジョーカーが紛れ込んでいることをあらかじめ知っていても。だから、抜けと命令する人間に、何かの価値があるのではないのだ。命令者は、連絡の連続性の価値を決定しない。決定するために大切なのは、お互いに隣のひとの持つカードの並べ方をより少なく不安に思うことができて、合図と一緒に、隣のひとの持つカードを一斉に同時に抜くことができることだ。つまり、予想や予定というのは、円環を前提になりたつ、つまり繰り返される連鎖だ。だから一斉にがなりたつ。これが安心と安全という意味だ。時間を節約するとは、このことをいうのだ。この円環の連鎖とカードの枚数と値の全体がなければ、遊戯者は安心して遊戯することができない。とすれば、リスクとは、カードの枚数と参加者の数と、邪魔者とジョーカーが最低一人ひとりいることと、ある時間の中でゲームが終了すること、そのような時間が予定されていることと、同期を取るタイムキーパー、すなわち命令者がいればいいのだ。ある集団に対してひとりの命令者が。恰も権力を持っているかの如くに見えるひとが。
2007年08月21日
四次元落体 櫺窓(れんじまど)の外で少年が蜥蜴を捕らえると世界は燦亂した。[典拠](*)五祖曰く、「譬えば水古牛のそうれい窓櫺を過ぐるが如き、ずかくしたい頭角四蹄すべて過ぎ了るに、なんに因ってかびは尾巴過ぐることを得ざる。」(無門慧開「無門関」三八 牛窓櫺を過ぐ)(**) 白い円の仮説。 硝子の子午線。 四次元落体。 (吉田一穂「白鳥」8)
2007年07月29日
ぼくが最近出したメールを受けた米国の友人が、2007年の7月の7日の7時7分にぼくのメールを受信したという不思議。そのとき、友は、数に関する詩、詩と数の関係を詩にしたいと念じてしばらく、忘れていたところを、ぼくのメールで目を覚まし、思い出したという。次に、その最新の詩をお届けします。熟読玩味あれかし。NUMEROLOGYNumerology, psychology, astrology,Astronomy, alchemy, surety.How the brain works overtimeTo understand what someday might be.The Romans believed that the LargerShould rightfully precede the Lesser.It was part of the natural orderEach thing in its best place, and proper.Allowing the smaller to go first was badIt showed weakness, it led one to thinkImpending victory might not be had,With largesse and largest surely to shrink."VI", "VII", "VIII"Greater and greater these Roman Numerals be,"IV" is a needle, stuck in the arm of a soldier,On life-support, intravenously.The Romans, in their March of Glory,Swords crushing all those who would resist,This decimating mightiness feared Zero,Pretending that it could not exist.Two Thousand Years later,Our leaders make the same mistake.Believing too much in Empire, never lookingAt those from whom we take.In the Jewish Faith, Nine was a holy number,Three by Three, a sign of Family,Mother, Father, a Child comingTogether forming a Holy Community.Now 11:59 and 59 seconds, Year of 1999,This fullness of form, like the greatest of heroesFalls on itself, in a Yin-Yang circlingCollapsing to the frightful 00:00:00 of 2000.In what future do you believe?What brings these Leaders of this New Age?What favors of the Gods do you foresee?Alas, Blood and War, men bound in cages. (January 1, 2001)1-1-1: That was the real day on thisCalendar of Christian Charity,First of the Millennium, what do you say isRevealed by the mirror of history?A most powerful family, Governor Brother,The Righteous Court hand-picked by the Father,A stolen election makes way, bringingThe Family Fool to hold sway with the Kings.This turn of the cards, what future does it hide?An Anti-Christ foreboding of evil,Ushering in the sudden riseOf the coming time of the Devil.Who are these just mortal menThat drive stakes into the Earth, they doActing as if their orders are God-given,They are merely rulers of the black ooze.Like stabs into an artery,Gushing forth blood and blame,They collect the wanton liquidAnd then throw it back in flames.Smoke-filled infernos reign.Fire and missiles strike.In downed monuments, once high.Life drains out with the crash.All gets reduced to primordial ash. (February 2, 2002)2-2-2: Silence at Ground Zero.The brain is tortured by the quietThe psyche is shocked by the stillness.A hand is pushed beyond the boundary.Numbness and shock overflowThe heart and reason.Vengeance overcomesCompassion for the souls. (March 3, 2003)3-3-3: The Eagle rises, the sun is shiningThe day is cloudless and clear.It looks majestic on its first flightSoaring into the wind, then it disappears.Becoming so tiny, almost forgotten,It folds into a speck that isBarely visible on the horizonWe wave a handkerchief at the passingOf soldiers suddenly on paradeNever knowing where they’re going.What is that small dot in the distance?Slowly growing with speed, intently staring, It’s Hellfire from afar that quietly stalks you,Until silent death reveals its looming.The Eagle Inhuman, like a great dinosaur,It spreads its immense wings outward,Covering the ground in shadow.Atop the new-found darkness,This ominous creationDrops its precious cargo.Silvery capsules of annihilation. (April 4, 2004)4-4-4: The war drags on, day by dayBody-parts flung all over the roadLike so much useless confettiLeftover from the parade.Great flanks of soldiersGreen waves in camouflage uniformOver the hot yellow desert they bloomLike pesky weeds nourishedBy wind-whipped sandstormsAnd the gritty greed of men.Life-giving white clouds of water give wayTo death-dealing clouds, they are replaced,While great news of great progress meetsGreat piles of corpses rotting in the heat. (May 5, 2005)5-5-5: The pentagram of witches.The pentagon of forms.Papers shuffled by crisp starched generalsTheir shoulders stuffed with starsAs if anointed by the HeavensTo which allegiance they have sworn.Their tall posture belies the truthTheir eyes, dulled and shrunkenTo a narrow squint of lost innocence,Their jaws, squared and stiffenedBy service to the Harpy of Death.In this world, where does Heaven be?How can the stars of the sky sit back so idlyWhile boots on the groundBring nothing but an assault of chaos?How can one stop this idiocy?Where a turn of the foot is treasonous,And a twitch of the fingerThunders into vaporizing explosiveness. (June 6, 2006)6-6-6: The Devil's number rules supremePresiding over an illusionWhere nothing is ever as it seems.This number always commemoratesAnother day of horror, celebratingGuns forever blazing in a world of war.People nudged to the edge of insanityRipped from the fabric of humanityWords inciting a lusting for moneyTrusting in power, extolling in vanity.Lost is a desire for warmth and gentleness,A kindling of friendship, a desire for love,And the healing touch of kindness. World of ruin. Earth in waste.Devil arising. Devil incarnate.War and gore. Impending doom.Quietly you sit in an air-conditioned room,On and off, images flicker from afar,Switching back and forthBetween blacknessAnd being engulfed in flames.A small annoyance, like a door ajar,Your mind retreats into a comfort zoneSo that your eyes do not seeAnd your brain does not conceiveWhat horrors are being done in your name. (July 7, 2007)7-7-7: And so on the Seventh DayGod rested from his Great Work.He looked around and saw what he had doneAnd thought that it was Good.The polar ice cap melts.Great glaciers calve into the waterBlue icebergs float down the stream.Tourists giggle from a cruise boatAs a polar bear paws at an ice floe,The arctic ground sogs beneath her.Soon she will disappear, a glimmerDrowned by seas invading all over,A forgotten footnote at best,In the rising tide of progress.Do not talk of these things say our leaders,They are musings of the short-sighted.Have another McDonald's hamburgerAnd believe that everything's all right.07 July 2007 © 2007 by John Doe For MoveOn.org
2007年07月10日
危険でない哲学はない。あるいは、哲学は危険だ。あるいは、危険な哲学ほど魅力がある。危険とは何か。
2007年05月21日
詩を読む:Rudolf Borchardtこの詩人についての詩を読んでみたい。Pause、休憩、休止という題名の詩。これは1907年に書かれた。Fritz Martiniのドイツ文学史(Deutsche Literaturgeschichte)を読むと、1900年頃の叙情詩を代表するドイツの詩人達のうちのひとり。ホフマンスタール、ゲオルゲ、リルケの次に、名前の挙げられる詩人。1877年生まれ、1945年没。ダンテの神曲をドイツ語に訳した翻訳者、中世の詩の翻訳者。ゲオルゲの詩のサークルに入っていたが、後にゲオルゲのサークルの持つ詩形式の技工・技術上の理由から、サークルを追われる。叙情詩人であり、エッセイストでもある。ホフマンスタールの重要なる同行者。また、Wikipediaのドイツ語版によれば、この詩人は、次のような詩人である。1877年6月9日ケーニヒスブルグ生まれ、1945年1月10日チロルなるシュタイナーハの近隣Trinsにて没す。その言語の力を以て、しかしまた自ら選択した結果として、その弧絶の故に、20世紀の詩人達のうちにあっては、孤独者として終始した。東プロイセンのユダヤ人の商人の息子。ボンとゲッティンゲンにてギリシャ・ローマの古典学を学び、その研究の印影あり。またゲオルゲとホフマンスタールの詩を通じても影響を受ける。旅と危機の年月を閲した後、1903年以来トスカーナに定住、この巨匠的な叙情詩人は、古代ヨーロッパの伝承・伝統の宇宙に関する包括的なビジョンを展開する。中心にあるのは、古代とダンテであり、この詩人においては、このふたつが同格の位置を占める。後者の神曲を、何十年もかけて、独自のドイツ語に訳す。記述の全体を読むと、19世紀末のヨーロッパを忌避し、古典古代のヨーロッパに範を求め,憧れたひとのようである。当時のヨーロッパを破壊することを考え、それ故に、政治的には保守的であり、第1次世界大戦時にも戦争に賛意を表し、第2時世界大戦時には独伊のファシズムの支持者となった。しかし、古典古代のヨーロッパの賛美者ということから生ずる、その時代的な詩人としての矛盾をみると、それは包囲された要塞に喩えられる。詩人自身の好んだいいかたによれば、“コーナーに追い詰められている”。ここで、アドルノによる言葉を日本語でいえば、一筋縄ではいかない詩人ということだろう。このような詩人についての意識と経歴をみると、訳は次のようになるだろう。呼び掛けの対象は、ざわめく音ではなく、古代の精神というものであろうか。題のpauseは、こうして読んでみると休憩ではなく、音楽の休止という訳になるのだろう。詩中にでてくるTonの縁語ゆえ。休止の中で聞く音は苦痛だ。普通に音の進行の中でこそそのTonを聞きたいのに。PauseHinter den tiefsten ErinnerungenVerwaechst die Zeit;Die alten Wege waren frei und breit.Nun hat die Welt sie ueberdrungen."O Rauschen tief in mir,Was aber hast du, das ich gerne hoerte?Ist denn ein Ton in dir,Der mich nicht stoerte?""Ich habe nichts als Rauschen,Kein Deutliches erwarte dir;Sei dir am Schmerz genug, in dich zu lauschen."(Gedichte. Textkritisch revidierte Neuedition der Ausgabe von 1957. Hrsg. von Gerhard Schuster und Lars Korten. Stuttgart: Klett-Cotta 2003 S. 39)[訳]最も深い数々の記憶の背後で(そのような記憶と正面から向き合わずに)今の時代は歪んで成長する;古代の道々は、自由で広かったところが、今や、世界はそのような道々をなぎたおしてしまった。“ああ、我が身の内に、深くざわめきの音をたてよ、その音よわたしが好んできいたもの(その音)を、お前はどうしたのだわたしの邪魔をしなかった(聞いてここちよかった)音(トーン、しらべ)がお前の中に一体今はあるのだろうか“とお前に尋ねると “わたしは、ざわめきの音以外には何ももってはいない明瞭なざわめきの音などというものはなく、そんな音はあったとしてもお前のことなど考えてもいない;お前の中にそっと聞き耳をたてて、そのことだけで十分に生れる苦痛を味わうがいい。“とお前は答える。
2007年04月12日
わたしは、前に、このように書いた。「詩を読んで(理解をして)、何をわたしは書けばよいのだろうか。ふたつの考え方があると思う。ひとつは、安部公房の人生の総体を考えて、その詩が一体安部公房という人と、その人の人生にとって、またその後の諸作品にとって、どのような価値があるかを考える立場。もうひとつは、詩を独立した作品として、それを詩のみとして、その価値を考える立場。」もうひとつの立場があるということに、その後あれこれと考えて思い到った。それは、歴史的に、通史的に、詩作品の価値を考える立場である。これは、詩史の上で、安部公房のその試作品は、どのような価値を有するかを考えることになるだろう。「没我の地平」と「無名詩集」の安部公房は、またそれらの作品は、日本の詩の歴史の上で、どのように考えられるのだろうか。こう考えてみて、ひとつのことだけははっきりしている。それは、安部公房の作品は、どれも戦争詩ではないこと、戦争という国家間の戦いや、そのために動員される日本人達、日本人の大人達や青少年達の姿を歌ったものでは、全然ないということだ。むしろそのような政情とは別に、それに背をむけるようにして、リルケに学びながら、思弁的、観念的な世界に集中している。「没我の地平」の二つ目の詩は、次のようなものである。理性の倦怠八つの手をもて織りなせる七つに光る魔の網よ吾が怖るゝは汝が綾の無形の夢の誘ひにあらず沈黙して待てる恐怖の墓面つゝむ美貌の面紗(きぬ)よ夕べ渇きに湖辺(うみべ)に走る吾が獣群を拒むのは誰おゝ此の涯なしの死の巣ごもり受動の傷に此の血失せ昼の転身(みがへ)に果つる迄天の没我に息絶ゆる迄安部公房は、作家として名をなしていた1967年(昭和42年)に、昭和20代に書いた短編集「夢の逃亡」の著者による後書きで、「リルケというのは私にとって、じつは第二次世界大戦中のシンボルだったのだ。いま考えてみると、あのシンボルが意味しているものは、「死者の平和」だったような気もする。死となれあうために、私が選んだ、死の国への案内図だったのだ。私の戦後は、こんなふうに、まず死のイメージから出発しなければならなかったのである。」と書いている。第2次世界大戦の戦時下にあって、「問題下降に依る肯定の批判」(1942年。安部公房18歳)や「詩と詩人(意識と無意識)」(1944年。20歳)を書いて理性的に自分の人生を考えていた安部公房は、他方、詩作品という形で、その理論篇を実作によって実践していた。安部公房の詩の理論からいっても、また当時の時代状況からいっても、10代の終わりから20代の始めにかけての安部公房にとって、現実と理想とは、詩人については前回書いた通りの姿であり、詩作をするということについては、上の詩にある通りの姿であったと思われる。この詩は何を歌っているのか。題名にある通り、理性というものの倦怠の姿を書いている。それは、如何様に書かれているのか。八つの手をもて織りなせる七つに光る魔の網よ吾が怖るゝは汝が綾の無形の夢の誘ひにあらずこの第1連がむつかしい。「八つの手をもて織りなせる 七つに光る魔の網よ」というのが、もう解らない。これはリルケの形象詩集からの本歌取り、または引用なのであろうか。いづれにしても、ここで問題なのは、網であり、それが人間にとって「魔の網」だということだ。「汝」は、この網に対する呼び掛け。わたしは、この魔の網を恐ろしいと思っているのでは無いといっている。この網の綾は、「無形の夢」を誘うようである。わたしは、その誘い、誘惑が恐ろしいと思っているのでは無い。それは、いいのだ。そうではなくて、沈黙して待てる恐怖の墓面つゝむ美貌の面紗(きぬ)よ夕べ渇きに湖辺(うみべ)に走る吾が獣群を拒むのは誰とあるように、恐ろしいのは、「沈黙して待てる恐怖の墓」である。これを次の連では、「此の涯なしの死の巣ごもり」といっている。おゝ此の涯なしの死の巣ごもり受動の傷に此の血失せ昼の転身(みがへ)に果つる迄天の没我に息絶ゆる迄転身(みがへ)については、既に理論篇にて説明した通り。これは詩人の技であり、努力である。転身という無私の行為、そういう意味では、没我の行為の果てに見える第3の客観、これを発見することが詩人の仕事である(こう書いてみると、この方法は、安部公房の散文の比喩の作文の秘訣であるかのように思われる)。それを「昼の転身(みがへ)に果つる迄 天の没我に息絶ゆる迄」といっている。この「世界―内在」と「世界内―在」の次元変換の繰り返し、繰り返す詩人の行為の様子を、「おゝ此の涯なしの死の巣ごもり」と嘆いているのだ。第3の客観、すなわち確たる詩的イメージ、詩的形象を発見できない詩人にとって、それがかなわない限り、詩人のいる場所は、「沈黙して待てる恐怖の墓」である。この墓に入ること、陥ることが、恐ろしいのだと、そう歌っている。それでは、面つゝむ美貌の面紗(きぬ)よ夕べ渇きに湖辺(うみべ)に走る吾が獣群を拒むのは誰これは、何をいっているのだろうか。「面つゝむ美貌の面紗(きぬ)」は、「沈黙して待てる恐怖の墓」の言い変えである。事物の外面を包む、美しいきぬのような言葉があるが、その言葉の指し示す何ものか、これは絶えず逃亡しようとし、その名辞の指し示す固定した範囲を逸脱しようとし、逃れようとする意志のある生物だ。名づけられぬ生物、意志のある夢であり、言語の本質だといっている。わたしのそのような意志の表出を拒むのは誰か、もしそのような誰かがいるとすると、わたしの恐れるものこそは、そのようなものである。なぜならその誰かにわたしが屈すると、忽ちにして、わたしの行為の場所は、名前だけの墓場になってしまうからだ。そのような墓場を詩人は恐れる。この詩の第2連を理解するには、後年「夢の逃亡」と題して、昭和20年代に安部公房が書いた短編をまとめた中に、本題となっている作品「夢の逃亡」を読むと、これが、そのまま、名前と意味(安部公房にとって意味は生物であり、生命であり、絶えず動いて生きているものだ)の関係で、説明され、形象化され、物語られている。夢の逃亡は、1949年(昭和24年)の作品、安部公房25歳の作品である。「没我の地平」は、1946年、昭和21年、安部公房22歳のときの詩集。無名詩集は、その一年後の詩集である。この「理性の倦怠」で歌われたことは、そのまま3年後に、散文に展開されて、物語られているということになる。どうか、この作品を読んでもらいたい。さて、題が「理性の倦怠」であるとは、そのような獣達に振り回されるようにして(「受動の傷に此の血失せ」)、しかし尚、第3の客観、すなわち没我の果てに見えるものを言葉で表現するということができるまで(「昼の転身(みがへ)に果つる迄 天の没我に息絶ゆる迄」)、詩人の繰り返す次元変換、すなわち転身を「此の涯なしの死の巣ごもり」であることを、既に最初から詩人の理性は読んでおり、知ってしまっているのだという意味である。その仕組みを知っているのになお、知っていて行わねばならぬ、その苦痛と倦怠を歌っている。こうして考えてくると、第1連、八つの手をもて織りなせる七つに光る魔の網よ吾が怖るゝは汝が綾の無形の夢の誘ひにあらず確かに、詩人の恐れるものは、魔の網の綾が美しく誘う無形の夢などではないということがわかる。無形の夢こそ獣達であり、それは詩人の恐れるものではなく、むしろ求めるものであるからだ。安部公房は、この「理性の倦怠」を、無名詩集では、「倦怠」と改題して、次のように詩も改作して、歌っている。倦怠蜘蛛よ心の様にお前の全身が輝く時夢は無形の中に網を張るおゝ死の綾織よ涯しない巣ごもりの中でお前は幻覚する渇して湖辺(うみべ)に走る一群のけだものを「八つの手をもて織りなせる 七つに光る魔の網よ」というような難しい表現はなくなっている。その代わり、蜘蛛がこの網の主人公となっている。この詩を読むと、この倦怠という題のもとに歌われた蜘蛛とは、ほとんどその後の安部公房の小説の主人公の意識であるかのように見える。さて、「没我の地平」と「無名詩集」の間は、1年間であるが、このように、前者の作品が、後者の作品に継承的に反映されているばかりでなく、一層洗練され、そうして安部公房自身が自分自身の表現を獲得していると考えることができる。これが前者と後者の関係の一部ではないだろうか。
2007年03月11日
安部公房5:安部公房の詩を読む1前回までに読み解いた18歳から20歳にかけての、安部公房のいわば詩と詩人に関する理論篇をもとにして、作品を読もうと考えた。しかし、これがなかなかむつかしいことだった。もし理論篇の実践版として、詩作品を読んだとして、この詩のここは、理論篇のこのことをいっているのだと、そう読みそう書いたとして、それが一体なんであろうかと、そう思ったのである。それでは、理論篇の3つのエッセイを読めばよいことで、しかし、それでは、他方、安部公房の詩を読んだことにはならないだろう。詩とは何か、なぜ安部公房は詩を書いたのだろうか、詩を書くという行為は何であり、それはどのようなことなのだろうか、また今度は詩を読むとはどういうことなのだろうか。これらのことを考えずに、安部公房の詩を論ずることはできないと考えた。また、さらに、詩を論ずると書いたが、詩を論ずるとは一体何事だろうか。これもよく解らないのである。詩を論ずるとは、詩を読むことが前提になるので、まづ詩を読むとはどういうことなのかについての解答が必要だろう。また、さらに、詩を読むためには、詩作品がなければならないから、詩を書くとはどういうことで、詩を書くひとはどのような人かを考えなければ、ならないだろう。この最後のところの問いについては、安部公房の詩と詩人に関する理論篇で、すでに読んだところである。こうしてみると、読んだとは、理解したということだということがわかる。こう考えてくると、安部公房の詩を読むために、安部公房自身による理論篇を用いることをすればよいということが考えられる。さて、このとき、詩を読んで(理解をして)、何をわたしは書けばよいのだろうか。ふたつの考え方があると思う。ひとつは、安部公房の人生の総体を考えて、その詩が一体安部公房という人と、その人の人生にとって、またその後の諸作品にとって、どのような価値があるかを考える立場。もうひとつは、詩を独立した作品として、それを詩のみとして、その価値を考える立場。どうだろうか。後者の場合は、その理論篇が、どれほどよく作品に形象化されているか、形式と実質、音韻(リズム)と意味が調和して、よく書かれているかを読むことになるだろう。これは分析だろうか。詩を分析して、頭で理解をしても、詩を理解したことにはならないのではなだろうか。それとも理解という言葉から言って、理詰めで知ったら、それを理解というのだろうか。それだけでは、わたしには何かが足りないように思われる。やはり、詩の読者としては、わたしがなぜ安部公房の詩に惹かれるのだろうとか、なぜ安部公房の詩を読むのだろうとか、そういったことについて明らかに、わたしが知られるということでなければ、やはり、わたしが安部公房の詩を論ずる意味は、ないのではないだろうか。このような読みかたを何というのであろうか。鑑賞というのだろうか。感想を書くというのだろうか。ところで、わたしは安部公房の詩が好きなのだろうか。何かその詩に強く惹かれて、この筆を執っているのだろうか。そのように問うてみると、そうではないということがわかる。わたしが、安部公房の詩を読む目的は、わたしの関心は散文家としての安部公房にあって、なぜこのようなエッセイ、このような小説、このような劇作をなす人が、18歳から25歳の間に詩という形式に惹かれて詩作し、ふたつの詩集、ひとつは没我の地平、もうひとつは無名詩集を編んだのかということを知りたいということにあるし、やはり、そのような安部公房という人間をよりよく、またもっとよく知りたいということにあるということが、こうして書いてみると、わかる。また、従って、このような詩作によって、安部公房は一体何が言いたいのか、言っているのか、それを知りたいということでもある。没我の地平は、1946年、安部公房22歳のときの詩集、無名詩集はその翌年1947年作者23歳のときの詩集である。これらの間に前後して、詩集に収められなかった詩がある。この没我の地平という題名については、後で触れることがあると思うので、早速没我の地平から、最初の詩を以下に引用し、読んでみよう。詩人小さな庭よほのかなる日々の微笑よお前を見つめ生に窪みを抉るのは此の私達詩人の使命なのだ巡り移(うつろ)ふ孤独から尚ほもはるかな存在へと外面(も)を内に置き換へるのも亦私達詩人の使命なのだ見つめ給へ此の様々な現象(あらわれ)を何事もないさゝやきを口から口を交わす時それでも私達は其の中に限り無い変容を為し遂げる此の小さな言葉の窪みにもけれど大きな存在の空虚がひそみあふれてゐはしないかまして二人が共に語らふ詩人である時静かな黄昏が身の内に夢を包んで凝結し限りない夜空の星が二つの半球を埋めつくす此の様に外の面が内を築きあげ移ふ生身で悲哀の壷に歓喜の光を注ぎつゝ久遠の生に旅立つ事が吾等詩人の宿命(さだめ)ではないかこの詩は、すでに「詩と詩人(意識と無意識)」を読解したところを、そのまま詩に書いたものだということがわかる。何も特別な注釈が必要なく、あるいは、この詩こそ、あの詩と詩人論の要約であり、エッセンスだということもできる、そのような性格の詩である。それでも、少し思うところを述べてみよう。小さな庭よという庭への呼びかけで始まっているのは、やはり意味のあることであって、なぜか安部公房の発想の型には、もともと始めにあるのではなく、2次的なものとして結果したものに対する執着がある。執着ということばが適当かどうかは、わからないが、そう今ここではいっておく。あるいは、そのようなものに対する憧れや、何かとても価値があると考える思考である。これは、すでに「問題下降に依る肯定の批判」では、遊歩場としてでてきたものである。庭がなぜそうかといえば、家があって、庭は、それに付属するものとして2次的なものとしてあるからだ。わたしはそのように思う。そうして、そのような交流の場所を創造する詩人の行為は、生の窪みを言葉で抉ること、また外面を言葉で削っていって、内面、すなわち無意識または夜との界面を明確にすることで、なりたつ行為である。この行為が変容であるのは、これが、詩人と事物の世界内在(世界-内在と世界内-在との統合概念、統合用語)のありかたを、詩人自身の転身によって、または変容によって、事物もまた繰り返し変容せしめることで表現する、安部公房の言葉でいえば、第3の客観を現出せしめることだからである。静かな黄昏が身の内に夢を包んで凝結し限りない夜空の星がと、詩人安部公房がうたうとき、すでに外は内にあり、内は外にある。二つの半球とは、双眸、ふたつの目のことをいっている。この比喩は、あるいはリルケから来るのかもしれないが、安部公房が、よく使う言い回しである。半球といいたいのは、目というよりも、その空間的な形状から、外と内を想像できるからであろうと思う。移ふ生身で悲哀の壷に歓喜の光を注ぎつゝとあるが、この壷という概念と用語も、安部公房の好みのもので、後年になっても、蛸壺の思想(1949年)と題してエッセイにしているほどである。この好みもやはり内外と人間の意識を論じる格好の素材であったからだろう。しかし、また、ここでは、むしろ1948年7月4日中田耕治宛書簡にいわれている「リルケが歌った涙の壷のような眼」を踏まえて言っているのだとわたしは考える。わたしはリルケの本歌を知らない。もしご存知の方がいたら、お教えいただければと思う。そうして、このようにいい、そういう以外には、注釈のしようもないほど、「詩と詩人(意識と無意識)」でいわんとしていることを体現した詩である。さて、この詩は、独立した詩としてみた場合に、その価値はどうなのだろうかと問うてみよう。少なくとも、わたしにとって価値があるのは、安部公房という若者が、詩とはこのようなものであり、詩人、すなわち典型的な人間とは、このような存在だと、その考えを明確にしてくれていることにあるだろう。わたしの「詩と詩人(意識と無意識)」の理解の正しかったことを証明してくれる作品としても、また、価値があると考えている。
2007年02月18日
第2章の世界内在に移る。上述した如く、自己の内面と外面の間に窓がある。「正しくは此の窓は吾等の心の反照たる鏡なのではないだろうか。」と安部公房は問い、そうだという。そうして、この窓もまた、人間の在り方なのだというのである。この内面と外面の境域、無意識と意識、夜と昼の間に人間は生存し、また詩人であれば、存在者として、そこにいる。さて、そうして、その窓に映ったものは、窓が人間の在り方という体験的解釈を通じてのものである以上、「」外界も、そのような窓に制約された性格を付加されているものである。したがい、また外界は、この窓に「かく見ゆる」が如く帰属しているのだ。これが安部公房の主張である。さて、外界の形象が窓に帰属するとして、その形象は、何を意味するのかを、次に問うている。この問いを立てるとき、「心の部屋」(内面。無意識の世界)にいる人間は何を思い、どうするのか。それを転身という一言でいっている。その転身という言葉の後に続く文章は、実際に安部公房が少年時代を通じて体験をしてきた事実を言葉で書いているとしかいいようがないものである。いいかえがきかない。あるいは、既に創作になっているとしかいいようがない。安部公房の詩や小説の比喩に典型的な文体のように。あるいは、ひとことでいえというならば、それは詩、である。すこし長いが(それでもこのような文章の3分の1である)引いて見よう。「これを深く見つめた時、実は吾等の魂に、あの心の部屋に、云う可からざる急激な転身が突如として始まるのだ。ふと気付いて見れば、常に形象に伴ってのみ現れるものと思われていた彼の意味・内容が、何時か一人形象を離れて無限の空間の中に漂っている。それはもう自分達の手の届かない遠くの空へ、星の中に混じって混沌の中へ沈んでいる。それに気がついて吾等はまるで悪夢から醒めた時のように肌をすくめて暗いあたりのひろごりを眺めまわすのだ。そうすると急に闇が恐ろしくなる。始終その暗いひろごりが深さを増して、一刻一刻重くなり、今にも自分を圧しつぶしてしまいそうに思われて来るのだ。きっとあかりをつければ落ち着くに異いない、そう思って業々起きだして灯をともす。」ここで詩的表現以外には書きようがなかったことは、前節までに得た結論、すなわち、「世界内ム在」と「世界―内在」は、動態的な入れ籠構造(次元変換)になっていて、詩人は、この構造の境界域を、外面を削りながら、消しゴムで消しながら、内面、できるだけ無意識に迫ったその境界面に達する努力を行い、それによってまた、この入れ籠構造は永遠に循環するということなのだ。「こうして世界内―在者としての我は、世界―内在者としての自我までひろがったのだ。」このような生に対する方法を学んだものとして、安部公房は、このような引用の後に、R.M. Rilkeの名前を出して、Herbst(秋)という詩を念頭に於いて、その形象を書いている。この人間の在り方は、安部公房は、限り無く続くと次のように書いている。「しかし、より高次の人間の在り方である展開は自ら次元を上へ上へと乗り越えて、限り無き円を回転し続けるのだ。世界内―在にも世界―内在にも留まる事無しに、交互に素速く点滅する光の中を無言の儘に行きすぎるのだ。」「夜も世界も、展開に於いて次元から次元へと転身する行為に於いて、その行為者のみが触れ得るものなのである。静止するものは一つとて無い。総ては巡る。そして其の回転自体も固定した観念としては消滅する。総ての流れは不連続な点の列である。」「そして、夜が、一瞬に於いてその体験的現存在の直覚として捉えられたとき、その一瞬に於いてこそ、彼の果てしなく繰り返して止まなかった世界内=在と世界=内在とは、止揚されて、人間の在り方としての純粋な世界内在となるのだ。」ここまで読んで来、書き来ると、最後はこのように20歳の安部公房の言葉を引用するだけで、その意図するところを理解するには、もはや十分だとわたしには思われる。この世界内在を、安部公房は、RilkeのDinge(事物)の持つ永遠の客観性といっている。これは、また、そのまま安部公房のリルケの理解といってもよいだろう。「世界内在とは一瞬に於ける夜の具体的直覚である。」この次元転換に当たる夜の、従って無意識の、具体的な直覚が、外面を削られ、消しゴムで言語化された、安部公房の独特のイメージと比喩であり、その文体(スタイル)を創造するということなのだろう。別のいい方をすれば、この「夜の具体的直覚」とは、何を直覚しているのかというと、次のことである:「即ち、現存在は、無数の異なれる次元の断層である。そして直覚とはその幾枚もの透明な硝子板を上からすかし見ることである。その光無き全体こそ正しく夜なのである。」このような「かく在り」、「かく見る」現存在(das Dasein)は、このように宇宙の全体とむすびついている、連絡しているのだと、安部公房はいっているのだ。このイメージと、このようなイメージを喚起する比喩、そして同時にそのような作品の構造が、安部公房の真骨頂なのである。それゆえ,安部公房の作品は、その細部も含めて,多様な解釈を可能にしている。以上の安部公房の詩と詩人に対する理論篇の理解を得た訳で有るが、これを以て、その後の安部公房の作品や発言をより良く理解することができることと思う。実際に、全集の第1巻の483ページにある1948年5月3日付のMEMORANDUM 1948と題したメモ中の、夜の会にての花田清輝と野間宏との議論についても、このふたりが何をいい、安部公房がどう考え、答えていたか、相当抽象的な、難解なメモであるが、これとてもよく解るのである。1948年辺りから、他の作家達との交流が始まり、安部公房は詩から小説へと活動を移すけれども、安部公房が無名詩集を生涯大切にしたことを思えば、やはり生涯詩への関心を失うことなく、散文の場合にも(特にその独創的な比喩において)、その道筋は終始,首尾一貫している筈だとわたしは思う。さて、18歳から20歳の安部公房、詩作をしていた時代の安部公房の作品を読解して得た、安部公房の詩と詩人に対する考え方(この場合、詩人を人間と置き換えても同義である)をもとにして、できることは何であろうか。無名詩集の解釈、安部公房独特の比喩の分析と文体、モチーフと作品の構造を論ずることなど、まだまだ色々とありそうである。さて、以上理論篇を終わったので、次は、実践篇として、安部公房の詩を読解してみたいと思う。あるいは、鑑賞してみたいと思う。
2007年02月08日
さて、それでは、再び真理とは何だろうか。これが第3節の題である。しかし、安部公房は詩人であって、まづ冒頭にこのように書かねば、論理の展開ができないのだ。「真理とは曠野に流れる蘆笛の音である。真理とは心理の仮面である。」と。さて、真理とは何か。それはどのようなものであるのか。安部公房曰く、真理は次の2つの姿をとるといっている。(1) 真理は真虚の尺度である(コンピュータが普及した今ならば、真偽というだろう)。(2) 真理は開示性(段階的な次元的展開)を有する。そうして,真理は、このようであるものであるにせよ、「真理は否定、肯定の圏外にあるものである。真理自体は存在でもなければ、非存在でもない。真理はその有要性、不要性に不拘、敵、味方に不拘、人間の関係者であるという性格を失わない。」何故ならば,真理は、主観を前提にし、主観的な体験を、次元展開することで存在するものだからだ。同じことをまた、「要するに真理は人間の在り方の一性格なのである。」といっている。安部公房の立場は、次の第4節で人間の在り方を論じるために、真理を「人間の関係者」にすることにある。このことから、人間の持つべき態度として、転身という、次元展開の継続的な姿勢が第4節で言われることになる。さて、「要するに真理は人間の在り方の一性格なのである。」ということを証明するために、安部公房は、次の文を持って来て説明しようとしている。「真理は人間の憧憬である、と言う事の中には真理がある。」最初の真理と後の真理が全く同じ意味ならば、循環、そうでないならば、次元展開だと安部公房はいう。それは、そうだろう。さて、そうして、前者の場合、すなわち循環という場合はあり得ないという。何故ならば、人間には意志があるから、憧憬とは「永遠に人間の手中には入るべからざるものである」からだ。ここで、安部公房は強引に、形式論理学的な解釈ではなく、あくまでもその意味に関する人間性格的な解釈に固執している。そして、真理と憧憬という言葉に。更に、この「~の中に真理がある。」という命題の形式に。他方、この命題の形式に対応して、「A....は真理である」という文は、「一定の法則的なものとして理性の支配下に置かれて終う。」といっている。これは普通の命題の形式。だから、安部公房があくまでいいたいのは、前者の「~の中に真理がある。」という命題の形式の方であって、この命題の中にあるふたつの真理は異なるということがいいたいのだ。「此の二つの真理は明らかに次元的相違を持つのである。」という。それは、そうだろう。だから、どうだというのか、一体安部公房は何がいいたいのか。実は、無意識は(ニーチェの先生のショーペンハウアーならば一言で意志といったことだろう)、様々に展開して、単にこの前者の命題のような2次元の文の場合であっても、とどまることなく、この二つの真理の間に様々な解釈できる文を生成するのだといっている。安部公房は全部で5つの解釈の例を挙げている。(ここの論理展開はむつかしい。一応いいたいことはわかるが、この意味論的な―といっていいと思うけれども―解釈に強引にもってゆくところが、わたしも完全に理解はできていない。)そうして、証明し得たことは、「真理は人間の在り方である。」ということだと主張している。これが、「第3の客観に到る上述の方法を踏襲して、終に」達した結論である。しかし、この節の冒頭を詩的文で開始したように、この節の終わりにもまた、安部公房はこのように言わざるを得ない。これが安部公房の詩とは何か、詩人とは何かの解答なのである。詩(無意識の中、意識の下にあると思われる)というものを言語で定義することができないのだ。言語を使って、夜といったように象徴する以外にいいようがないのだ。さて、「第三の客観とは、正しき主観の上昇的次元展開の極限であった。そして此処には一種の詩的体験が必要なのである。」そうして、その詩的体験の例として、次に引用する母と子(父親ではない)の比喩は、いかにも安部公房らしいと私は思う。このような体験ができる人間が詩人なのだ。「そして子が母に選択的に属すると同時に、それから分離して新しき世代の独立者になる如く、此の客観も、其処に収斂して行った主観の個別的性格から離れて、何時か宇宙的な詩的体験として、是も亦純粋な人間の在り方に昇華されて行くのである。」そうして、この節の最後には、次節と次章の結論を既に先取りして次のように書いている。「即ち、此の世界内―在と世界―内在との一致した諸々の次元展開の極限に於いては、客観と真理とは、単に人間の在り方の表現的相異として認識せられるのである。」「世界内―在」と「世界―内在」は、動態的な入れ籠構造(次元変換)になって、詩人は、この構造の境界域を、外面を削りながら、消しゴムで消しながら、内面、できるだけ無意識に迫ったその境界面に達する努力を行い、それによってまた、この入れ籠構造は永遠に循環する。この構造を安部公房は18歳の「問題下降に依る肯定の批判―是こそは大いなる蟻の巣を輝らす光である―」において「実を云えば現代社会はそれ自体一つの偉大なる蟻の社会に過ぎないのだ。無限に循環して居る巨大な蟻の巣。而も不思議に出口がないのだ。」と書いているのだと私は思う。さてこの節の結論は、次のような文で締めくくられ、第4節へと繋がっている。「かくて総ての現象表象は、唯一つの人間の在り方の次元的循環に回帰するのだ。そして此の事を更に明確ならしむる為、吾等はを、その表象並びに内容について更に批判展開せねばなるまい。」安部公房のおもしろい特徴は、こうして書いて来てみると、「総ての現象表象」と書いておきながら、決して認識するという用語を使用しないことだ。そうではなく、存在論的にだけ考えて(勿論表象を存在論的に論じることはできるけれども)、人間の在り方に関係させて論ずることだ。この第3節で到った結論は、いうまでもなく、安部公房の小説や作劇の抽象的・哲学的な説明になっている。これを実存主義というかどうかは、考えていることが、これほど自明であれば、どうでもいいことのように思われる。第4節の概要を述べる。さて、人間の在り方である。これは、これまで述べ来った通り、解説した通りである。安部公房がこの節で強調するのは、態度である。それは体験的態度、すなわち「考える事よりも見つめる事、学ぶ事、そして批判する事」である。また、この態度は、「問いかける者の態度」と呼ばれている。「問い掛けの在り方=態度の昇華こそ、人間の在り方を決するのである。」それは、どのような態度であるか。前節までは、言語の側から無意識を意識化し、次元転換を繰り返すひとを詩人と呼んでいたが、この節では、前節の第3の客観に到る方法を駆使して得られる無意識、すなわち夜による自己の自覚と、果てしない次元変換のすえに到達する純粋な意識的な客観の把握とを、自己承認という言葉で統一的に表している。この時、安部公房はハイデッガーというドイツの哲学者のいう「実存の日常性、即ち現存在の優位性」といういいかたで、自説の補強をしている。「その日常性が純粋に取り上げられて生存者の選択性をその本質に於いて展開した時、そこに在るのが自己承認なのである。」これは、上述の母と子の比喩を、自己承認という言葉を使って、いいかえたものである。言おうとするところは変わらない。そうして、どうしても安部公房は、無意識というよりは、やはりただただ夜といいたい。このような象徴的な言い方以外には、できないといっているかのようだ。「夜は決して理性の作品ではない。又体験から割り出されたものでもない。体験自体なのである。夜はまねかれた客人ではない。夜は此の部屋に満ちる空気である。総てをかくあらしめるもの、それが夜である。」「夜はかくあらしめるものであった。」「此のは意識され得るものでないことは明らかである。」さて、このような夜と、人間の在り方の関係や如何に。このふたつはもともと、その本質において同じものだと、安部公房はいう。夜はものという「対象化的手法」に依ったというのに対して(恰も夜に意志があるかのようだ)、人間の在り方は、夜が「」という(人間に及ぼす)行為的表現であるというだけだからだ。「つまり、人間の在り方は夜であり、夜は人間の在り方なのである。」ここの所の安部公房の論理展開のむつかしさ、あるいは苦しさは、徹頭徹尾認識論を排除して議論を進めようとしているからだとわたしは思う。ショーペンハウアーならば、意志と表象としての世界といっただろう。そうして、認識論と存在論で、このふたつのことを論じただろう。さて、「問いかける者の態度」をもって、「此の展開された日常性への没落の中にのみ此の此の人間は捉えられるのだ。」そこで、初めて、人間は、「存在者」になるのだ。そのとき「人間の在り方」が本来の意味で実現する。この実現を、安部公房は、「体験的象徴」といっている。この在り方は、夜と同じ「記号的象徴」である。この第4節で安部公房のいいたかったことは、こうして読んで来ると、結局、夜のことであり、人間の在り方であり、存在者である詩人のことであり、そのような詩人の象徴的な在り方のことである。それを何故か、自己承認ということばを使用して、再度繰り返して、今までのことを纏めてみたと読むことができる。第2章の世界内在に移る。(続く)
2007年02月07日
もうひとつ、「詩と詩人(意識と無意識)」を読む前に、「僕は今こうやって」の論旨をまとめてみよう。ここで、安部公房は、外面と内面とその境界面または接触面について書いている。僕が感じたり、また僕はと発話するか、または「僕は」と文字で書いたとしても、それはすべて外面にあるものだという(「詩と詩人(意識と無意識)」では、外面を意識と呼び、内面を無意識と呼んでいる。無意識を夜と呼んでいて、「夜は亦定義され得るものでもない。」と言われている)。そうして、安部公房は、この接触面を見極める事が大切だと主張している。この面は、「努力して外面を見詰め、区別し、そしてそれを魂と愛の力でゆっくりと削り落として行く事なのだ。」この短い見開き2ページのエッセイで主張しているのは、ただこれだけである(その哲学的な思考展開は、「詩と詩人(意識と無意識)」において、更に執拗に行われている)。この外面を内面と区別し、外面を削り落して行って、内面(無意識)とのぎりぎりの面を見つけること、これを同じエッセイの中では、「いわんや言葉は、唯生の窪(くぼみ)を外面から削りとる事丈なのだ。」と言っている。このように見ること、その見方(「生を思考する方法」)を、安部公房は、リルケのマルテの手記に見たと言っている。おもしろいことは、安部公房が、言葉とは「唯生の窪を外面から削り取る事丈」であり、「マルテの手記は外面から内面の為の窪みをえぐり取ろうとする努力の手記」だと言っていることである。「詩と詩人(意識と無意識)」を読むと一層明瞭なのであるが、安部公房は認識論的に思考しない。時間を捨象して、存在論的にものごとを論ずる。これが安部公房の思考の特徴である。これは安部公房という人が、数学に秀でていたこと、特に幾何学が好きだったことと関係のあることだと思う(初期の小説のなかのあるものには、位相幾何学の好きな中学教師というのも出て来る)。(*)「安部公房の劇場」(ナンシー・K・シールズ著。新潮社刊)22ページにも、次のように言われている:「ノノ安部の純粋数学、とりわけ非ユークリッド模型の研究を伴う位相幾何学に寄せるか愛着も、それに劣らず重要であった。安部のイメージの多くは詩的な数学的観察から生まれており、その観察が、安部の神経を張りつめた精密な調査の下で、思いがけないものの性状を典型的にあばいて見せていた。砂丘のような現象、昆虫、檻、微笑、鞄は、研究され尽くしていた。時空という抽象概念は、何にもまして安部の心を占領していた。安部はそういう抽象概念を量子物理学者のように熟考していた。ノノ」言葉とは「唯生の窪を外面から削り取る事丈」。安部公房というひとは、削って書いたということになる。このひとにとって書く事は意識と無意識の境界面を見極めるために言葉で外面を削り取るという仕事であった。これを後年「消しゴムで書く」と言っている。ここまで概念化すると、「消しゴムで書く」という文も、比喩ではなく、事実その通りの行為だと思われる。「詩と詩人(意識と無意識)」では、この内面と外面の接触面にある、永遠にそのふたつを隔てているもの、そうしていて外面が内面にその「外界の形象を送り込んで来る」当のものを窓と呼んでいる。勿論この窓は疑うべき対象であり、「果たして此の窓ガラスは透明に外界の形象をありの儘に吾等の孤独の部屋に送り込んで来るのであろうか」と否定的な自問としていわれる。この問い立てからして既に安部公房の世界だ。勿論、窓はそうではなく、「吾等の心の反照たる鏡なのではなからろうか」というのが、20歳の安部公房の結論である。このように考える安部公房の世界は再帰的(recursive)である。(*)この窓の議論は当時の友人達とした形跡があり、中の肇宛て書簡(1943年12月6日付)では、「ノノ新しい登場人物。別離と窓氏」とある。これは、1943年、安部公房19歳のときの議論。また同時に議論されている別離という言葉も、安部公房にとっては大切な言葉であり、概念であった。無名詩集の最後は、別離に関するリルケの引用で終わっている(「別離は出発の始めである」)。(*)安部公房には最後まで心の中に少年が棲んでいた。上記ナンシー・K・シールズに対し、ある時、安部の多忙を理由に遠慮したにもかかわらず、羽田国際空港までわざわざ見送りに来てくれて、言ったはなむけの言葉:「長旅だから、だれか見送る人が必要なんだ」この先へ行く前に、このエッセイの全体を眺めてみよう。このエッセイは、2つの章から成っており、第1章は、真理とは何か、主観と客観、人間の在り方について、第2章は、世界内在について論じられている。このエッセイの題からいって、これは、(詩、詩人)と(意識、無意識)を論じたエッセイだということをこころに銘記しておこう。結論からいうと、第1章は、第2章を準備し、書くためにある。結論は、世界内在を論じた第2章である。「僕は今こうやって」では、メモ書きのように書かれてあったものが、ここでは存在論的にもっと突っ込んで論じられている。キーワードは、世界内在(これは「世界内―在」と「世界―内在」の統合概念。このふたつものの往来と次元の転位を、安部公房は詩人の「転身」と呼んでいる。これはまた、安部公房がイメージや比喩を創造する方法論、methodology、でもあった)、人間の在り方、態度、かく見ゆる、次元、転身(「僕は今こうやって」では「変容」とも言いかえられていた。「詩と詩人(意識と無意識)」では、次元展開とも言い変えられている。)である。これらのことについては後述する。さて、第1章を見て見よう。第1節は、真理とは何か。ここでは、ひとことでいうと、その議論の仕方はともあれ、真理は客観的な絶対的、唯一のものではなく、相対概念であり、従って複数あるということを言っている。もし真理がそうであれば、人間は不安になり、その「意識は自己懐疑の嘆きの裡に、自分に先行するものを求めようとする。」そうして、そのようにもとめられた真理は、ふと気付いてみれば、「やはり、冷たい木枯しにたわむれつつ、一人冬の中に置き忘れられている。」よりほかないのだ。それは何故かを説明するために、安部公房は主観と客観ということを第2節で論ずるのだ。そうして、第3節で「再び真理とは何か?」と題して、真理と意識、従って、無意識の問題を論じ、第4節で人間の在り方を論じて、第2章の世界内在における次元展開、詩人の変身を論じている。第2節では、主観と客観とは無意識の世界、夜においては分離することはできないといっている。また「主観・客観はやはり未解決の儘で差し出された両手の凹みの中に残されていたのだ。」(この両手の凹みというイメージは、安部公房がリルケの形象詩集の中で一番好きだと1943年11月14日付中の肇宛て書簡で引用しているHerbst(秋)という詩が念頭にある。)そのために主観と客観は、誤用や混用が甚だしいという。さて、人間が無意識を言語化して、意識の俎上に載せようというときに、主観と客観が分離してひとつの次元を構成するのだ。この主観と客観は有意味だろうか、それとも無意味だろうか。この問いに対する解答は、肯定と否定とふたつある。しかし、安部公房は第3の主観と客観の関係があると主張する。客観は、主観を通じて存在する。「主観的体験のみが、あらゆる意識を言葉たらしめるのである。」こうして無意識が言語を通じて意識化される。その意識化の程度は、その人間の「生存者としての人間各個の内面的展開次元の相違に従って、その言葉の重さ(含まれている次元数)の相違が考えられる。」即ち、その言語化された文が、何次元の文かによるといっている。「では、此の主観のつもり行く次元展開の究極は、一体何を意味するのであろうか。」と自問自答し、安部公房は、その究極の、次元数を求める果てに、客観的に独立して外面にあるのではない、個人の内面にある(当然削るという行為を通じてあらわれる)客観が現れるのだと言っている。そのような客観には、「吾等の初源の声がある。」「そこには一瞬に凝縮された、実存的な永遠がある。そしてこれこそ客観の存在論的解釈として正当なものではないだろうか」といっている。このような客観を自らのものにする人間のことを「完成された宇宙的詩人」と呼んでいる。また、その客観を「第3の客観」と呼んでいる。(*)1946年12月23日付中の肇宛て書簡では、このような詩人を自分に擬して、次のように書いている:「詩人、若しくは作家として生きる事は、やはり僕には宿命的なものです。ペンを捨てて生きるという事は、恐らく僕を無意味な狂人に了らせはしまいかと思います。勿論、僕自身としては、どんな生き方をしても、完全な存在自体――愚かな表現ですけれど――であればよいのですが、唯その為に、僕としては、仕事として制作と言ふ事が必要なのです。これが僕の仕事であり、労働です。」さて、それでは、再び真理とは何だろうか。これが第3節の題である。しかし、安部公房は詩人であって、まづ冒頭にこのように書かねば、論理の展開ができないのだ。(続く)
2007年02月06日
安部公房4:19歳、20歳の安部公房安部公房は、19歳のときに「僕は今こうやって」を、20歳の時に「詩と詩人(意識と無意識)」というエッセイを書いている。「僕は今こうやって」というエッセイは、一言でいうと、18歳のときに書いた「問題下降に依る肯定の批判」で論じた内と外の問題に加えて、それ以外に「転身」または「変容」と呼ぶ個人の意識の次元変位的なありかたの重要性に言及したものである。「詩と詩人(意識と無意識)」(20歳)は、「問題下降に依る肯定の批判」(18歳)を、「僕は今こうやって」(19歳)で言及した転身または変容の問題を、存在論の観点から論じ、まとめたエッセイである。安部公房の思考する問題は18歳のときのエッセイを離れることがない。継続的に、意識して、問題下降と概念から生への没落を自分の頭で考え抜いたのだ。その到達点が「詩と詩人(意識と無意識)」である。これは、人間とその意識のあるべき姿を論じた存在論であるが(安部公房は認識論的に論ずることがない)、これと表裏一体となって、無名詩集ができている筈である。その吟味は後日にしようと思う。少なくとも、特に哲学用語のよく出て来る初期の小説は、そのイメージも、比喩も、言わんとするところも、「詩と詩人(意識と無意識)」を読むことで理解することができる。また哲学用語を使わない小説であれ、このエッセイを読むことで、晩年に到るまで、その小説が何故そのようなイメージや比喩や、従ってそのような文体で書かれているかを理解することができる。このエッセイを読むと、安部公房は、10代から晩年に到るまで、終始一貫、首尾一貫していることが解る。本題を少しはずれるが、1947年6月17日付(安部公房23歳)の中の肇宛て書簡の中で、無名詩集について「此の詩集で僕は一応是迄の自分に解答を与へ、今後の問題を定立し得た様に思っております。」と書いている。中の肇は、成城高等学校の時代から、安部公房の哲学的な思索について議論をしてきた友人達のうち、特に重要な友達である。その成果が無名詩集であるといっている。他方、そうやって議論もし、その間思索してきたことの成果は、「詩と詩人(意識と無意識)」(20歳)にまとめられていると考えてよいと私は思う。その事を証明するのは、1947年7月5日付中の肇宛て書簡の中の、次の文章である:「僕が最初に実存哲学なるものを発見したのは、キエルケゴールやハイデッガーに於いてよりもむしろ、リルケとニーチェに於いてだつた。しかし是は勿論実存哲学とは名付け得ないかも知れない。とにかく僕は其處から出発した。そして四年間.......僕の帰結は、不思議な事に、現代の実存主義とは一寸異つた実存だつた。僕の哲学(?)を無理に名づければ新象徴主義哲学(存在象徴主ギ)とでも言はうか、やはりオントロギーの上に立つ一種の実践主ギだつた。存在象徴の創造的解釈、それが僕の意志する所だ。」(続く)
2007年02月05日
安部公房3:18歳の安部公房1942年12月に、18歳の安部公房は、「問題下降に依る肯定の批判ー是こそは大いなる蟻の巣を輝らす光である―」というエッセイを書いている。全集で5ページと少しの分量。このエッセイは、一言でいうと、人間としての個人の判断の根拠を問うものだ。その問いを問題といっている。問題下降とは、その解答を現実の今ここに見つける努力のことをいっている。当時の友人のひとり、中の肇宛ての1943年10月26日付の書簡では、「概念より生への没落」と表現している。この友人宛てのその他の書簡も読むと、この成城高等学校時代に読んだのは、ニーチェとリルケ(その形象詩集)である。Untergangとドイツ語を使っている手紙もある。いづれにせよ、この没落はツァラツゥストラの没落に比されている。さて、冒頭の題の意味は、このような問題下降により、この私のこのように今ある現実を肯定することで時代と社会を批判するという事をいっている。批判するためには、「動かなくてはならない。そして動かさなくてはならない。手を、指を、そして目と鼻を。」といっている。このような行為を、安部公房は、座標なき判断と呼んでいる。これを真の反省といい、自覚的な努力といい、「自覚の最初の自覚的発生」といい、「基底となる可きもの―例えば人間存在ーに迄立ち戻る」ことと言っている。この座標なき判断は、当の個人が行う「総ての判断は指で触れ,目で見た上で為されねばなら」ない。そうして「其処に始めて最も小さな最初の肯定が生れる」といい、 このような肯定を「否定的問題下降の絶対的肯定」と、18歳の安部公房は、呼んでいる。これが冒頭の題の前半、主題部分の意味である。また、座標なき判断は、宇宙のすべてを知る事ができない天文学に喩えて、この批判の方法は、同時に「全体的な学の形式を取る事が要求される」といっている。後年は,あるイメージの周りに、それまでのあれこれの断片が結晶するのだといっていることと同じことが言われている。ひとことでいえば、この批判の方法とそれによって生れる作品は、体系的でなければならないということ、構造的でなければならないということである。さて、その批判の対象となるものは何かというと、その対象となるものについていっているのが、題の後半、副題部分の「大いなる蟻の巣」である。人間のつくっている社会の全体を蟻の巣に擬している。大いなるとは、文中では偉大なると言い替えられていて、この形容詞は勿論Ironie, アイロニーである。安部公房のHumor、ユーモアを感じる。人間は偉大なる蟻であり、その構成する社会は、偉大なる蟻の巣である。「実を云えば現代社会はそれ自体一つの偉大なる蟻の社会に過ぎないのだ。無限に循環して居る巨大な蟻の巣。而も不思議に出口が殆ど無いのだ。」と、ここまでエッセイの文を引用してみると、殆どその後の安部公房の小説や作劇の世界の要約であるかのように思われる。遅くとも、この18歳のときには、既にして、後年の安部公房の発想の型は、その比喩も含めて出来上がっているように思われる。このとき、ユ―プケッチャという虫も生まれていたに違いない。従って、箱舟さくら丸も。さて、その蟻の社会の出口を求める座標なき判断が、「出口を求める」行為であり、「大いなる蟻の巣を輝らす光である」、その方法なのだ。その方法によって自覚的に生れる場所を、安部公房は「遊歩場」と呼んでいる。安部公房の諸作品の主人公達が求めた、これは、場所ではなかろうか。この場所は、「一定の巾とか、長さ等があってはいけないのだ。それは、具体的な形を持つと同時に或る混沌たる抽象概念でなければならぬ。」(概念から生―混沌―へ、生から概念へという思考のプロセスと、そうやって生れる作品のイメージと構造)この場所は、始めにあったものではなく、「二次的に結果として生じたもの」(晩年のクレオール論を読んでいるような気がする)であって、その理由によって都市の中から直接その外、郊外に接続しているものであり、「範囲的」に郊外地区を通ってゆくものであってはならない。それは、何故かというと、市外にある「森や湖の畔に住う人々が、遊歩場を訪れる事があるからだ。遊歩場は、都会に住む人々の休息所になると同時に、或種の交易場ともなるのだ。」(ここのところの原文は、後年の安部公房の小説を読んでいるような感に捕われる。)当時安部公房の接して居た直かの社会、すなわち高等学校は、かくあらねばならない場所だと主張している。勿論、現実はそうではないといっている。「それに、現代はそれ以上の事に関しては、私に沈黙を要求する。結局要は問題下降の唯一無条件的肯定のみになるのである。」当時の「現代」とは戦時下であり、対外的、社会的な批判は赦されていなかっただろうから、こうして、かくあることを体系的に考える(本当は思弁といいたいけれども)ことしか、できなかったといってるのだ。このエッセイの中で、同じ試みをした先人の名前として、ニーチェとドストエフスキーの名前が挙げられている。このエッセイをまとめると以上のようになるだろうか。思考のメモ:交易、交換とはエロティックな行為である。なぜなら、それは互いを未分化の状態におくことになるからだ。
2007年02月01日
安部公房は、1993年1月22日に亡くなっている。2007年になって、しかも1月の22日前後から安部公房の作品をあらためて読み始めたことに、何か因縁があるかも知れないとも思う。また、亡くなった病院が、わたしも通うことのあった多摩の永山にある病院であったことを、後で知って驚いた記憶がある。安部公房のエッセイの中に、調布に居を定めてから、夜ドライブをするのが気晴らしで、ふたつのドライブルートを挙げているが、その中のひとつが、鎌倉街道から鶴川へと向かう道筋で、鶴川へは行かず、途中の井の花という交差点を左に曲がって坂を登って鶴川街道に行くというルートである。わたしは、この井の花の交差点のところに住んでいた。この交差点は、鎌倉時代には源頼朝も馬で戰のために通ったところ。こうして全集を読みながら、安部公房に近い、色々なことを思い出す。わたしが二十代のはじめのころ、1973年か1974年、安部公房が安部スタジオを立ち上げて、演劇を始めた頃になると思うが、これも後で気がついたのであるが、安部公房と言葉を交わしたことがある。当時新宿紀伊国屋の7階に三田文学の編集部があり、その直ぐ隣が紀伊国屋ホールの楽屋の出入り口であった。編集部の扉が閉まっているので、所在無くそこに立って待っていると、右の方、楽屋の出入り口の方から、ひとりの男のひとが通りかかって、扉をみて立ち止まり、ああ、ここが三田文学ですかというものだから、ええ、そうですと答えて,何故中に入ることが今できないかの説明をした。安部公房は別に編集部に用のあったわけもないので、ドアが閉まっている理由など説明しても意味の無い事で有るから,随分とんちんかんな答えをしたものだ。後になってから、それが安部公房だと思い到った。小柄で、静かな、穏やかなひとであったという印象が残っている。
2007年01月26日
久しぶりで、安部公房を読み返している。思うことを箇条書きにメモして後日の備えとしよう。1。処女作には、その作家のすべての芽があるといわれる。その通りで、終りし道の標にという作品は、その後の安部公房の作品のプロットの原型になっている。それは、どのようなプロットであるか。(*)それはひとことでいうと孤児の文学である。2。これは、家長に、つまり長男に生まれついたことを否定する男の書いた小説だ。従い、この作家の書く小説は、消極的な(そういう意味では屈折した、裏返しの)家族小説、一族小説である。だから、偽の父親も出て来る。3。安部公房の小説には、主人公が陰陽ふたりいる。4。ノート形式での叙述。5。芥川賞を受賞した作品、壁、これを第二の処女作と呼べるとしたら、やはりこの作品にもその後の安部公房の諸作品に登場するイメージが書かれているからだ。試みに列挙すれば:無名の主人公、病院、便所、箒をもった老人、制服、泥棒と探偵、洞窟と迷路、偽の父親、自分の部屋(空間)、そこからの脱出、自己から自己へ、ノアの箱舟。
2007年01月23日
3000番目の米兵がイラクで死んだ。John Doeの名による匿名の英語詩です。Big Manとはもちろん米国ブッシュ大統領を指している。まづは、そのまま上梓します。BIG MANBy: John Doe, 31 December 2006Three Thousand US Dead,And no end in sight.Big Man TexanAlways gunning for a fight."Send in the Marines,Someone else's boys.We got to test thoseNew weapons and toys.For the common man,I just plead sacrifice.For my billionaire buddies,I am always nice.There's lots of moneyTo be gotten from the till.Line your pockets well,Others will pay the bill.Sure war is hell. Without it,The economy would be worse.Would you rather have a recession,And less money in your purse?It can't be said any betterThan George Orwell did in '1984'.To keep the right folks in power,You need a never-ending war.Some conflict in a faraway placeWhere no one wants to be,Sell it to the mediaThat we've got a New Enemy.Don't pay too much attentionTo Marines dying in the sand.It's good for big business,Capitalism's mighty hand.Before we can ascend toThat Heaven before our birth,The Good Book tells usCalamities must befall EarthSo what if I helpTo accelerate things along?'Save the Environment' is forLoonies who are wrong.Destroying Earth is OK.It's just a temporary place.Full of illegal aliens andPeople of the wrong race.I got a simple philosophy.The truth is plain to see.Real nice is what Heaven's gonna be.Gonna have folks there just like me.My past deeds and my historyWon't be able to haunt me.I won't have to worry About wars and responsibility."On the occasion of the 31 December 20063000th US Casualty in the Iraq War. © John Doe for MoveOn.org
2007年01月02日
ぼくは終わったあとにここにいるが君は終わる前に向こうにいる色がふたつに分裂するが、そうであっても、そうであるがゆえにああ、理屈がまた始まった自然こそすべての溶解はじまりとおわりのその一点をいつ知る、今だ離れていく季節だれから?それはだれか
2006年12月17日
John Doeの偽名で発表される詩を紹介します。題名はG.D.W.G.D.W.とは何か。これは追々解説をすることにします。9月11日から5年が経ち、米国市民のひとりがJohn Doeでブッシュ大統領あてに風刺の詩を書いたものです。まづは、日本語圏の読者に原文のまま紹介をします。"G.D.W."By: John Doe, 11 September 2006Hey, George Bush, if we don't look like you,We must be Un-American, through and through.Doesn't matter how many a yearOur ancestors and us have been living here.If you don't speak with a good Texas drawl,Then you're going to have to grovel and crawl.That's what it means to be in America these days,Too many 'Aliens', must be sub-human, in your way.Then there was the nuclear scientist Wen-Ho Lee.Built bombs for you in a secret facility,Accidentally moved a file from Disk One to Disk Two,You said it was espionage, the worst someone could do.Put him in solitary, held him without charges,'Cause that's how you get political mileage.But when the head of the CIA, Deutsch-lander he,Put secrets out for the whole world to see,With just a slap on the wrist, he got off scot-freeBecause he's a friend and agent of your hypocrisy.It was a great day for Freedom, we recallwhen the Berlin Wall did finally fall.How is it that we Americans now celebrateBy building a huge barbed-wire Mexican border gate.Supported by vigilantes, Texas style,Shooting people, brown-skinned, mile after mile.Doesn't matter whether they are citizens or not,You don't like America being a "melting pot".Your idea of Liberty, apply Texas Justice to all,Especially to men in turbans and women in shawls.Bind them, blind them, hold them at the point of a gun.Force them to masturbate to women just for fun.Secret prisons in foreign lands to prosecuteEnemy combatants, which they hang and electrocute."Special rendition", a new torture you condoneTo distill the spirit out of body and bone.Guantanamo Bay, Abu Ghraib, run by a Special Force,"Special Intelligence", above any law but yours. Force them into naked piles, a human Pyramid Scheme,Run them on leashes like dogs, someone's animal dream."Waterboarding", a special drowning, Baptism to your God.Grand perversion of Hollywood, but with more sex and blood.This is your vision for Democracy on foreign soil,Bomb them with American arms, exchange the debt for oil.What a favorable deal for you, just like the Indians gotTrading their land for beads, blankets, and smallpox.The War On Terror is your grand position.You've got the "Patriot Act" to silence opposition,Media censors get to change what we know and see,Big business controls our life or we live in poverty.But in the dark corners, you know what people say?That you knew about 9/11, even before that day.When you first heard the news, you didn't react,A long time in planning, was it some secret pact?To enable your hidden agenda to unfold at last,Marching the world toward war, this war in Iraq.The military-industrial-complex aim is clear,To keep profits up, we need war year after year.Got to find an excuse to blow up the old hardwareBefore new contracts can be given to the profiteers.Hey, George Bush, if we don't look like you,We must be Un-American, through and through.Doesn't matter how much of the world is put to waste,You never bother to see war's human face.As long as the dead are not your family or clan,You don't have any feelings for the common man.As long as your buddies are happy, you have no remorse.For the rest of us, all you can say is "stay the course".This is what it means to be an American these days.Tax breaks for the wealthy, make the poor people pay.Billionaire boys can do anything they please.Get your C's at Harvard, you can buy the Presidency,But your ignorance doesn't lessen the responsibility,And you cannot erase the lessons of History.We taught Osama Bin Laden,To fight Russians with the Mujhadeen.For 30 years, on and off again,Saddam Hussein was friend or an enemy unseen. Back in World War II, the OSS trained Ho-Chih Minh,Which eventually allowed the War in Vietnam to begin.Firebombing Tokyo was LeMay's first act of genocide.In the firestorm that night, 100,000 innocents died.Hiroshima and Nagasaki gave rise to Nixon's secret plan,"Nuke Hanoi and Haiphong back to the Stone Age" said the man.While our cities battled problems with Asian heroin,Veterans battled cancer from Agent Orange poison.Noriega, on the CIA Payroll, then brought us cocaine,A new scourge for our children to burn up their brains.I think I'm beginning to understand the world you see,How you want us to live for the next century.If your skin is brown, your rights we'll deny,If you have AIDS in Africa, we'll let you starve and die.If your skin is yellow, it needs some napalm.Iranian electricity deserves a nuclear bomb.This is how you plan to make the world safe,But just for people of your wealth and race.You brand those who oppose you with Hitler's name,Using the same "Big Lie" tactic that was Hitler's game.A media package, wrapped in the Flag of God,Seven Wars for the Holy Land, just waiting for your nod.Last one is Saudi Arabia, after Egypt and Pakistan,Iran and Syria. Second, Iraq. First, Afghanistan.With a soul of black, and a heart of iceYour actions are worthy of an Antichrist.Bringer of War, in the name of Peace,You are the Shepherd who kills His Sheep.Seems that everywhere we go,Infinite war is the road we know.Death and destruction is what we make,Armageddon seems to be your true faith.Hey, George Bush, if we don't look like you,We must be Un-American, through and through.Doesn't matter how many of our boys are dying,As long as Big Oil and Halliburton stocks are rising.Doesn't matter that Democracy's been here 200 years,You've got a media machine that will play on our fears,Get us to surrender freedoms, and our right to say:"The Fattest War Chest will still carry Election Day". (c) 2006 John Doe for MoveOn.org
2006年09月10日
信州の友人宅にゆき、数日を過ごして、また蒸し暑い東京に今しがた戻って来たところである。帰りに駅で駅弁を買った。きじ焼き丼というもので、そぼろ、しめじ等9種類の信州の山のものが御飯の上に乗っている。きじの照焼きはもちろんである。これは1000円という値段相応のおいしい駅弁であった。食べ終わると、茶碗はそのまま抹茶茶碗になり、ふたは、善光寺の高僧の書体を写してあって、そのまま壁掛けになるようにできている。峠の釜飯もよいが、これは、お勧めの駅弁だと思う。トーマス・マンのトニオクレーゲルを読もうと思って持参したが、二章までしか読めなかった。それでいいのだろう。無理をして本を読む必要はない。このごろ、ほとんど活字を目にしていない。というよりも、読みたくない。これは、夏の暑さのせいばかりではないのだろうと思う。読まない方がいいということもあるだろう。帰りの新幹線の中で、都内の山手線の中で、本を読むひとたちを随分みるが、なぜあんなに本が読めるのだろうか。どこが、おもしろいのだろうか。不思議な気がしている。信州でお世話になった、友人のウエッブサイトが、信州にいる間に上梓できたので、興味のある方は、ご覧ください。涼しい陶芸作品をみることができます。お買い上げくださるとなおうれしい。百聞は一見にしかず、です。http://www.AbekoboArt.comこのURLアドレスです。
2006年08月18日
【原文】InfinitiveTo Ulf LindeDear savages, though Iユve never mastered your tongue, free of pronouns and gerunds,Iユve learned to bake mackerel wrapped in palm leaves and favor raw turtle legs,with their flavor of slowness. Gastronomically, I must admit, these yearssince I was washed ashore here have been a non-stop journey,and in the end I donユt know where I am. After all, one keeps carving notches onlyso long as nobody apes one. While you started aping me even before I spottedyou. Look what youユve done to the trees! Though itユs flattering to be regardedeven by you as a god, I, in turn, aped you somewhat, especially with your maidens― in part to obscure the past, with its ill-fated ship, but also to cloud the future,devoid of a pregnant sail. Islands are cruel enemiesof tenses, except for the present one. And shipwrecks are but flights from grammarinto pure causality. Look what life without mirrors doesto pronouns, not to mention oneユs features! Perhaps your ancestors alsoended up on this wonderful beach in a fashion similarto mine. Hence, your attitude toward me. In your eyes I amat the very least an island within an island. And anyhow, watching my every step,you know that I am not longing for the past participle or the past continuous― well, not any more than for that future perfect of yours deep in some humid cave decked out in dry kelp and feathers. I write this with my index fingeron the web, glassy sand at sunset, being inspired perhapsby the view of the palm-tree tops splayed against the platinum sky like someChinese characters. Though Iユve never studied the language. Besides, the breezetousles them all too fast for one to make out the message. 1994【翻訳】親愛なる野蛮人どもよ、ぼくはお前達の言語には決して習熟はしなかったけれども、なにせ代名詞と現在進行形がないのだからな、しかし、椰子の葉に包んだ鯖を焼いたり、生の亀の脚に、亀の歩みのゆっくりとした香りを恵んだりすることを学んだよ。その土地独特の食べ物に精通するという意味では、ぼくは認めざるを得ないけれでおも、この岸辺で波に洗われて以来この方何年もの間は、旅のしっぱなしだったし、到頭しまいには、自分がどこにいるのかもわからなくなった。結局、だれもそのひとのへたくそな猿真似をしない限り、その場合にだけ、そのひとは船旅に似た人生の記録をV字型に刻んで記録し続ける。ぼくはそう思うが、しかし、ぼくがお前を軽蔑する前に、お前の方がぼくの真似をし始めたのだ。だから、ほら見てみろ、お前が樹にしてしまったことを。もっとも、そうはいっても、お前達のような輩に神様だとおもわれるのは、ありがたいことだけれどもね。ぼくの方はというと、今度は、なんというか、特にお前の族の乙女達の真似をしてみたのさ。部分的には、過去を曖昧にするために、過去の災厄に見舞われる運命にある船でもって、その過去を曖昧にして隠すために、しかしまた未来に雲を掛けるために、そして帆が風を孕んで女性が妊娠するようなそのような姿の帆を全く欠いて。島は、時制(tense)の残酷な敵である。但し、現在形は別だ。そして、島から見える座礁した難破船は、文法から純粋な因果律の中への飛行にほかならないのさ。鏡がないと、生命というものが、代名詞にどんなことをするかを見て御覧。もちろん、ひとの特徴についてはいうまでもないことだけれど。ひょっとしたら、お前達のご先祖様も、ぼくのような流行の服ににた服装をして、この素晴らしい砂浜に、打ち上げられて終わったのではないだろうか。だから、お前達のぼくに対する態度が恭(うやうや)しいのではないだろうか。お前達の眼には、ぼくは極く小さく見えて、島の中にある島に見えているだろう。そして、ぼくの歩き方を見れば、ぼくが過去分詞や過去進行形を、いま現在進行形で願っているなどということはないことが、お前達にはわかるだろう。そう、深いところにある、とある湿った洞穴にあり、また乾いた昆布と鳥の羽根でめかしこんだ、お前達の未来完了形以外のことは、願っていないのさ。ぼくは、これを、ぼくの人差し指で、湿って、ガラスみたいにキラキラした砂の上に、この日暮れに書いている。ひょっとしたら、なにか支那の文字のような、プラチナ色の空に向かって広がっている、椰子の樹のてっぺんのその眺めに触発されながら。とはいっても、ぼくは支那の言葉は勉強したことは一度もないのだけれど。それから、もうひとつ、海から吹いてくるそよ風が、支那の文字みたいな椰子の樹のてっぺんを、みな、余りにはやくかき乱すので、メッセージにならないのだ。【解釈】8. While you started aping me even before I spotted you.このwhileは、前の文に掛けた。この文は何をいっているのだろうか。Brodskyのいう一人称がお前達を軽蔑する前に、俺が軽蔑するかどうかとは関係なく、もう俺のへたくそな真似をしやがっていたという意味だ。それなのに、おれと来たら、結局だれもおれの真似をしなければ、そうだから、V字型の刻みめを刻み続けるのだなどとほざいていたのさ。9. Look what youユve done to the trees!これは、野蛮人どもが、樹にV字型の刻みめを、Brodskyの真似をして、入れてしまったことをいっている。BrodskyはわざとLookの次のatを取っている。Dear savagesの猿真似を真似ているのだろう。そういう感じを出したいからだろう。あるいは、読み過ぎだろうか。10. but also to cloud the futureとは、Brodskyらしい。New Lifeの最後の連の第1行目、a cloud is better than the right sunを思い出そう。結局、現在に戻るのだ。今、只今この時に何かを知らなければ、その人の人生は烏有に帰する。それは夢だとは知らずに、仮想の現実だとは知らずに、実際にあるものだと勘違いをするのからだ。この理解は、後で出て来るIslands are cruel enemies of tenses, except for the present oneに繋がっている。しかし,何故この島の原住民の乙女の真似をすることが、わたしにとっては価値があるものだったのだろうか。若く、何もかもが初めての経験だからどうか。そのような毎日だからだろうか。箸が倒れてもおかしいからだろうか。未来に何が待ち構えているか(これもこのように書く言葉の問題である。そのときになってみたら待ち構えていないかもしれないし、未来はなにより待ち構えるものではないかも知れない。これが言語の問題)、それを知らないからだろうか。それをわたしの場合は、運が悪かったのさといって、そんな口実で過去を曖昧にしてしまうために、ああこういう乙女達にあっていればもっと人生は変わっていたのにと、そうおもったのだろうか。11. devoid of a pregnant sail帆が風を孕むのを、ここでは、女性が子供を孕んでいる姿に擬している。しかし、devoidだから、そうではないのだ。そのような帆を欠いている。12. Islands are cruel enemies of tenses, except for the present one島は、時制(tense)の残酷な敵である。島はtenseを殺戮する。但し、現在形だけは別である。島には、過去も未来もぼんやりとしているか、ほとんどないようだ。あるのは現在だけだ。島に住むとは、そういうことだ。13. 座礁した難破船は、文法から外れて、因果律の中へとひとっ飛び。因果律とは、原因があって結果があるということだから、時間の中で生起する事象をいっている。難破船は、文法で文を創るときに、因果関係を壊して作文することができるのに対して、そうではなく、自然の法則に従った結果の事物だといっている。あるいは、全く正反対の解釈もできる。文法という規則の束縛を逃れて、全く純粋な因果律に飛びいるという解釈も成り立つ。この場合の純粋な因果律とは、それ自体が逆説的ないい方になるが、時間の無い成立関係である。14. Look what life without mirrors does to pronouns, not to mention oneユs features!鏡がないと、生命というものが、代名詞にどんなことをするかを見て御覧。もちろん、ひとの特徴についてはいうまでもないことだけれど。New Life第1連2行目にimagine that you can still make an mirrorと出て来る。鏡がなければ、ならない。代名詞ではだめなのだ。鏡こそ再帰的な関係を創造するから。主語と述語で構成される一文を創造するから。生命に戻るもの、再帰するものは、生命自身に他ならないのだ。それがNew Lifeなのだ。こうして解釈してみると、これらの詩の間には脈絡が通じている。これはInfinitiveとNew Lifeばかりのことではないだろう。このようにこの詩集So Forthは地下水脈で編まれているということになる。こうしてみると、not to mention oneユs featureのfeatureも、再帰的な姿をとって現れるもうひとりの自分自身だということになるだろう。そのような自分自身に認識された、そのひとのfeature、特徴。Brodskyがfeatureという言葉を使うときには、いつもこの再帰的な関係を前提にしているのだな。Their Penelopeユs featureと、New Life第4連4行目にあり、そうするとこの連の意味もより一層深く理解することができる。蛭とは何かである。織っては解き、解いては織る経帷子,死装束の織物である。それが事物であり、その事物を認識するのは、その人である。その人の再帰的な関係が事物にはある。代名詞では、とても用が足りない。代名詞では、つまり鏡がなければ、普通の原因と結果の連鎖の中の文をしか作文することができない。【語釈】1. savage2. gastronomically2.1 gastronomy2.1.1 culinary3. mackerel4. notch5. ape (n)5.1 ape (v)6. flatter7. devoid8. tousle8.1 rumple
2006年05月04日
【原文】InfinitiveTo Ulf LindeDear savages, though Iユve never mastered your tongue, free of pronouns and gerunds,Iユve learned to bake mackerel wrapped in palm leaves and favor raw turtle legs,with their flavor of slowness. Gastronomically, I must admit, these yearssince I was washed ashore here have been a non-stop journey,and in the end I donユt know where I am. After all, one keeps carving notches onlyso long as nobody apes one. While you started aping me even before I spottedyou. Look what youユve done to the trees! Though itユs flattering to be regardedeven by you as a god, I, in turn, aped you somewhat, especially with your maidens― in part to obscure the past, with its ill-fated ship, but also to cloud the future,devoid of a pregnant sail. Islands are cruel enemiesof tenses, except for the present one. And shipwrecks are but flights from grammarinto pure causality. Look what life without mirrors doesto pronouns, not to mention oneユs features! Perhaps your ancestors alsoended up on this wonderful beach in a fashion similarto mine. Hence, your attitude toward me. In your eyes I amat the very least an island within an island. And anyhow, watching my every step,you know that I am not longing for the past participle or the past continuous― well, not any more than for that future perfect of yours deep in some humid cave decked out in dry kelp and feathers. I write this with my index fingeron the web, glassy sand at sunset, being inspired perhapsby the view of the palm-tree tops splayed against the platinum sky like someChinese characters. Though Iユve never studied the language. Besides, the breezetousles them all too fast for one to make out the message. 1994【翻訳】親愛なる野蛮人どもよ、ぼくはお前達の言語には決して習熟はしなかったけれども、なにせ代名詞と現在進行形がないのだからな、しかし、椰子の葉に包んだ鯖を焼いたり、生の亀の脚に、亀の歩みのゆっくりとした香りを恵んだりすることを学んだよ。その土地独特の食べ物に精通するという意味では、ぼくは認めざるを得ないけれでおも、この岸辺で波に洗われて以来この方何年もの間は、旅のしっぱなしだったし、到頭しまいには、自分がどこにいるのかもわからなくなった。結局、だれもそのひとのへたくそな猿真似をしない限り、その場合にだけ、そのひとは、船旅に似た人生の記録をV字型に刻んで記録し続ける。【解釈】1. この詩は、きれいに連で切ることができないように書かれている。一行の終わりで終わりにならず、必ず次に続いている。いつものBrodskyの詩の形式を破っている。題がInfinitive、不定形だから、このようにしたのだろうか。2.題名は、Infinitive To Ulf Lindeとある。前者が上に、後者が下にある。Ulf Lindeは人の名前と思われる。ドイツ人の名前かと思う。しかし、詩を読むと、そうではないかも知れない。Toをどのように解釈するか。これはUlf Lindeというひとにおける不定形とも読めるし、Ulf Linde島にある不定形とも読める。勿論Ulf Lindeへの献辞と読むこともできる。Dear savagesと詩は始まるので、このUlf Lindeは土地の名前かも知れない。そうすると詩の内容から言って、島の名前ということになるが、しかし、それが実際の島でなくとも一向に差し支えがない。そのように思う。3. 回全文を掲げて、訳せるところまで、訳することにする。4.New Lifeとは異なり、ほとんど難しい言葉は出てこない。語彙の上では易しい詩である。しかし、mirrorやfeatureというBrodskyの独自の言葉がでてくる。こういう言葉を、文法との関係で、Brodskyは使ってみせる。使ってみせるという意味は、ある思想を伝えるために、その言葉をそのように使ってみせる。5.冒頭のDear savagesには、文字どおりに親愛の情が籠っている。これをどう訳したものか。明るい詩だ。読んでいると気持ちも明るくなる。6.このSo Forthという詩集の目次を眺めると、世界のあちこちにある土地の名前が出て来るので、この詩も同じある特定の土地を歌ったものではないかと思われる。詩を並べる順序にも、詩人のことであるから、意味を持たせている筈だ。わかることは、編年体ではないということ。確かに、so forthとなっている。And so forthではなく、so forthが前面に出ている。論理積という論理演算のANDから離れても(この演算はNew Lifeには、第2連にthe rules of multiplicationとして出て来るし、その他の詩のあちこちに感覚や形象として出て来る)、Andではないよ、その他ではないよという意味になって、そうなっている。しかし、他方、いや、やはりそれはand so forthなのであって、そのことにこそ価値があるのだ、富みがあるのだといっているようにも思われる。Double meaningは詩人の常。7. After all, one keeps carving notches only so long as nobody apes one.これは何をいっているのだろうか。船旅の記録をつけることをいっているのではないだろうか。それと猿真似との関係やいかに。だれも、そのひとの真似をしない限りにおいてのみ、そのひとはV字型の刻みめを刻み続ける。誰かがそのひとのへたくそな猿真似をするならば、そのひとは、V字型の刻みめを刻んで、日にちの記録を残すことを継続しない。何故ならば、猿真似に忙しいから。それから、猿真似をして何かの記録の代わりになるものを残したと考えるから。何かをなし得たと考えるから。その人の人生を船の旅に喩えれば、それは、そうではない。そのひとも含め(Nobodyにはoneも含まれている)、猿真似をしない限り、自分の人生の記録を刻み、時間を数え、何かの数を数えて、記録に残すことができる。それを継続することができる。このapeには、野蛮人との交流の気持ちがある。お互いにおもしろがって、野蛮人になって、そのままで、猿真似をしあったのだ。言葉も、身振りも。【語釈】1. savageMain Entry: 2savageFunction: noun1 : a person belonging to a primitive society2 : a brutal person3 : a rude or unmannerly person2. gastronomically2.1 gastronomyMain Entry: gas疸ron痂疥y Pronunciation: -mEFunction: nounEtymology: French gastronomie, from Greek Gastronomeromia, title of a 4th century B.C. poem, from gastro- gastr- + -nomia -nomy1 : the art or science of good eating2 : culinary customs or style2.1.1 culinaryMain Entry: cu疝i疣ary Pronunciation: 'k&-l&-"ner-E, 'ky-Function: adjectiveEtymology: Latin culinarius, from culina kitchen -- more at KILN: of or relating to the kitchen or cookery3. mackerelMain Entry: mack疇r疇l Pronunciation: 'ma-k(&-)r&lFunction: nounInflected Form(s): plural mackerel or mackerelsEtymology: Middle English makerel, from Middle French1 : a scombroid bony fish (Scomber scombrus) of the No. Atlantic that is green above with dark blue bars and silvery below and is one of the most important food fishes2 : any of a family (Scombridae) of fishes including the common mackerel; especially : a comparatively small member of this group as distinguished from a bonito or tuna4. notchMain Entry: 1notch Pronunciation: 'n劃hFunction: nounEtymology: perhaps alteration (from misdivision of an otch) of (assumed) otch, from Middle French oche1 a : a V-shaped indentation b : a slit made to serve as a record c : a rounded indentation cut into the pages of a book on the edge opposite the spine2 : a deep close pass : GAP3 : DEGREE, STEP5. ape (n)Main Entry: 1ape Pronunciation: 'ApFunction: nounEtymology: Middle English, from Old English apa; akin to Old High German affo ape1 a : MONKEY; especially : one of the larger tailless or short-tailed Old World forms b : any of two families (Pongidae and Hylobatidae) of large tailless semierect primates (as the chimpanzee, gorilla, orangutan, or gibbon) -- called also anthropoid, anthropoid ape2 a : MIMIC b : a large uncouth person5.1 ape (v)Main Entry: 2apeFunction: transitive verbInflected Form(s): aped; ap疂ng: to copy closely but often clumsily and ineptlysynonym see COPY
2006年05月04日
第6紀今まで身辺に持っていたというか、溜めていたものを整理整頓して見ると、最近思い出してどうしているだろうとか、会いたいものだとか、そう思っていた人たちに関する情報が、紙媒体のあれこれの中から、出て来る。これはあたかもぼくが自ら望んでそう選んだように、ぴったりと、切り抜いて変色した新聞記事だとか、その他雑多な紙片の間から出て来るのである。不思議なことだと思う。ぼくの手と指がその断片を堆積の中から、それと知っていて選び出すようだ。その選ばれたものの中には、自分自身で書いた文章もあって、多分16歳か17歳のぼくの文章に次のようなものがあった。こうして引き写してみると、今と何ら考えている事は変わらない。これはどういうことだろうか。そのひとの人生のあり方は、既に10代で定まっているということなのだろうか。それとも、文字を教わって、意識をそう文字であらわし文と成した瞬間に、人生の航路、命脈が決するのだということなのだろうか。そう考えても、おかしくはなく、また実際に実感としても、こう書く事に嘘はないという感じがある。これを、最近頻りに思ういい方で言えば、人生は繰り返すといういい方になるだろう。今読み返すと、これはそのひとの死に関する考察だということ、すなわち今生きていることの意義と意味を文字通りに必死で考えていると読む事ができる。このような文章である。「或日不意に、過去の時間の一切が無に帰しているのが解った時、人は今自分の内や自分の辺りに在るものに執着せざるを得なくなる。いや、別段執着せずともよい。が、やはり気にせざるを得まい。さうしてすべてが新しい相貌を帯びて蘇る。誕生の時から其の人独自の時間が始まる訳だ。他人についても同じだろう。他人との間に生活している以上、他人との時間の共有という事も考えられる。しかし、その人自身の時間だけが一切意味を失って消滅したら、他人と共有していたはづの時間は一体どうなるのだろう。今いるはづの自分はどうなるのだろう。過去が意味を失っても、やはり誕生して時間を渡ってきた肉体だけは存在する。いや、そんなつまらぬ事ではない。昔は一笑に付した世界、また其人自身も軽く見ていたものが、空白の時間にすっぽりとおさまるやうになる。夢、活字を通した想像の世界、観念の世界等々が、新しく失われた時の中かから蘇り、跳梁跋扈しはじめる。夢やとりとめのない想念がそれ自身解釈を迫って来る。昔居た場所を今は離れているとしても、それは蘇る。それは空間をも越えることができる。きっとこの話は誰かの個人的な経験に過ぎぬといはれるかも知れない。しかし、死者が蘇り、私の辺りで動き始めたら話は別だ。私は他人と時間と空間を共有しやうとする。恢復しやうとする。現実と非現実(と一般にいわれている)ム世界の今のー歪みから、その誰かには新しい生活が始まるのである。表向きは、一見何の変哲もない日常生活が営まれているやうには見えることだらう。しかし、だから、また、失われた時間といふのも、それなりの意味は持っているのだと今でも考えている。」ぼくは、いや当時のわたくしは、このような世界に第6紀という名前を与え、ノートの題名としている。今のぼくならば、無名に徹することと一言でいうだろうな。Brodsky ならばNew Life の前提だというだろうか。今読み返すと、これは、ぼくのNew Lifeなのだ。これから枝葉が生えて来るInfinitiveの散文だ。詩心があるだろうか。Joseph BrodskyのInfinitiveを、なりゆきに我が身をまかせつつ、解釈し、翻訳することにしよう。翻訳とは、何かぼく自身の人生のessenceであるかと今日も身辺の整理をしていて思ったことだ。捨てなければならず、捨てることはできない。できることは、忘れることだが、それとても深く忘れるのであるから、実は思い出すことをしているのだ。何を。その目的語、objectによって千変万化する品詞、動詞の原形が、infinitiveである。
2006年05月03日
New Life 10・第9連を読む。この連がこの詩の最後の連である。【原文】In the new life, a cloud is better than the right sun. The rain,akin to self-knowledge, appears perpetual.On the other hand, an unexpected trainyou donユt wait for alone on a platform arrives on schedule.A sail is passing its judgment on the horizonユs lie.The eye tracks the sinking soap, though itユs the foam thatユs famous.And should anyone ask you メWho are you?モ your reply, メWho --- I? I am Nobody,モ as Ulysses once muttered to Polyphemus.【翻訳】ひとつの雲の方が、太陽そのもの、だれでもいいというに決まっている太陽よりも、いい。雨は、自分自身を知っているその知識に似て、永遠に降るように見える。他方、お前は駅のプラットフォームでひとり予期せぬ列車を待っているのだが、その列車は予定通りに到着するのだ。船の帆が、水平線の嘘に判決を下すのだが、その判決を、風に乗せて通過させている。眼というものが、沈んでゆく石鹸の跡を追い掛ける。もっとも、その石鹸は有名な泡なのだけれども。そうして、だれかがお前に、お前は誰だと問う事があると、お前は答える。だれだって?このぼくがかい?ぼくは誰でも無い者だ、と。ユリシーズが、ポリフェムスにつぶやくように曾て答えたように。【解釈】1. ひとつの雲の方が、太陽そのもの、だれでもいいというに決まっている太陽よりも、いい。これが新しい生活なのだ。そこでひとが思うことだ。雲には不定冠詞、太陽には定冠詞なので、このように訳した。2. 雨は、自分自身を知っている。自分自身に関する知識をもっている、そのような知識に似ている。そのような雨は、永遠に降るように見える。最初から初めもなく、終わりも無く。このモチーフは、So Forthにも、この詩にも、等しくあるモチーフ。3. 他方、お前は駅のプラットフォームでひとり予期せぬ列車を待っているのだが、その列車は予定通りに到着するのだ。普通ならば待てど暮らせど来ぬ列車なのだが、新しい生活ではそうではない。必ず予定通りにやってくる。他方とあるのは、この前置詞句の前の文は自然について、その後の文は人為についてだから。4. 船の帆が、水平線の嘘に判決を下すのだが、その判決を、風に乗せて通過させている。眼というものが、沈んでゆく石鹸の跡を追い掛ける。もっとも、その石鹸は有名な泡なのだけれども。ここでも、普通のものがひっくりかえり、逆さまになって、思い描かれる。思い描かれるというよりは、事実として、実はそうなっているのだ。石鹸と泡の関係は如何に。水平線と帆の関係は如何に。帆があるから船は進むのだろうが、水平線は存在するのか。それは嘘なのではないだろうか。石鹸があるから泡が存在するのか。そうではないのではないだろうか。泡を産み出す事物は他にもある。この関係を何と呼んだらよいのだろうか。These empty zonesを。解釈は前の連のところで行った。5. そうして、だれかがお前に、お前は誰だと問う事があると、お前は答える。誰にきかれなくともこの答えを答えるのだ。だれだって?このぼくがかい?ぼくは誰でも無い者だ、I am Nobodyと。これはユリシーズが、ポリフェムスにつぶやくように曾て答えたところだ。Polyphemusとは、ユリシーズが、相手にした一つ目の怪物。その一つ目を潰してか、ユリシーズはその単眼を見えなくして、怪物の洞窟から逃げて難を逃れるようだ。ユリシーズは、Brodskyその人であるかと思われる。【語釈】1. PolyphemusMain Entry: Poly疳he疥us Pronunciation: "p-l&-'fE-m&sFunction: nounEtymology: Latin, from Greek PolyphEmos: a Cyclops whom Odysseus blinds in order to escape from his cave1.1 CyclopsMain Entry: cy當lops Pronunciation: 'sI-"kl角sFunction: nounEtymology: Latin, from Greek KyklOps, from kykl- cycl- + Ops eye1 plural cy當lo疳es /sI-'klO-(")pEz/ capitalized : any of a race of giants in Greek mythology with a single eye in the middle of the forehead2 plural cyclops [New Latin, genus name, from Latin] : any of a genus (Cyclops) of freshwater predatory copepods having a median eye
2006年05月01日
New Life 9・第10連を読む。【原文】The white stuccoed walls of a room are turning more white becauseof a glance shot in their direction and boding censure,steeped not so much in far meadowsユ morose reposeas in the spectrumユs lack of their self-negating tincture.A thing can be pardoned plenty. Especially where it cones,where it reaches its end. Ultimately, oneユs unboundcuriosity about these empty zones,about these objectless vistas, is what art seems to be all about.【翻訳】ある部屋の白い化粧漆喰の壁は、益々白くなってゆく。それは、一瞥(a glance)が、それらの壁の方向へと撃たれたからであり、一瞥というものが、厳しい非難に具体的な形を与えるからだ。白い化粧漆喰の壁は、光のスペクトラムが自己否定するチンキ剤を欠いているというほどには、遥かな草原の気怠い安息に浸っているわけではない。あるもの、ひとつの事物は、豊かに赦されることができる。特に、事物が円錐形の形をとるときには、そうであり、事物がその終点、終わりに到達したときには、そうである。終には、ひとの、全く自由で無拘束の興味、好奇心、これらの複数ある空虚な領域に関するそのような好奇心、これらの目的を欠いた、対象というものの無い眺望、これが、芸術というものが巡っているその当のものなのだと思われる。【解釈】1. 淡々と解釈することがよいだろう。財宝は足下に眠っているのだから。ある部屋の白い化粧漆喰の壁は、益々白くなってゆく。それは、一瞥(a glance)が、それらの壁の方向へと投げられたからだ。投げられたと今訳したが、英語はshot、一瞥は発射され、撃たれるのだ。一瞥が撃たれる。そのような一瞥の故に、白い化粧漆喰の壁はますます白くなる。A glanceとは、Brodskyの詩作の根底にある方法論、methodologyである。この場合の詩人の位置はいつもthresholdにある。それは、そのようなところに身をおいて、社会と宇宙を測定する3人称としての私(わたくし)のことだ。2. さて、壁が一層白くなる理由はそれだけではない。それは、一瞥というものが、厳しい非難に具体的な形を与えるからだ。Brodskyの詩集A Part of Speechの同名の詩に、このような最初の4行がある。A list of some observations. In a certain corner, itユs warm.A glance leaves an imprint on anything itユs dwelt on.Water is glassユs most public form.Man is more frightening than his skeleton.このthresholdからは、物事は、普通ひとがそうだと思っているのとは異なり、みな逆しまに見える。そのような一瞥を放つ、shootする狩人がいるのだ。こうして考えてみると、同じ連想と発想は、既に論じたSo forthにみることができる。この詩については、ここではこれ以上立ち入らない。立ち入りたいけれども立ち入らない。今日は、この詩が主題であるから。何故Andを隠して、So Forthと題したか。A glanceを放って捕らえたものとことの名前、すなわち事物の名前を挙げたのだ。このような視力を持ちたいものだ。修練を積む以外にはない。3.白い化粧漆喰の壁は、光のスペクトラムが自己否定するチンキ剤を欠いているというほどには、遥かな草原の気怠い安息に浸っているわけではない。4.あるもの、ひとつの事物は、豊かに赦されることができる。特に、事物が円錐形の形をとるときには、そうであり、事物がその終点、終わりに到達したときには、そうである。これがBrodskyの認識だ。事物がそのような円錐形の頂点(という言葉が数学的に正しいかどうかはぼくは知らないけれども)を成したときに、この一点において、事物という蛭は赦される。これは意識と思考の産物だ。終には、ひとの、全く自由で無拘束の興味、好奇心、これらの空虚な領域(円錐形は幾つもあるのだ)に関するそのような好奇心が、これらの目的を欠いた、対象というものの無い眺望、これが、芸術というものが巡っているその当のものなのだと思われる。三角錐の頂点と言ったが、この一点、この終点は、同時に(同時にとは何かである)、円錐形の裾野の広がりを意味するのだ。ここにいたって言葉の意味は転倒したのか、だれもが普通にそうだと思っている事が逆しまになったのか。そうではないのだ。もともと、そう出来ているのだ。ひとが事物を見る限りにおいて。本当にそのように、宇宙はできているとぼくにもしみじみと思われることである。この認識を得たひとは無名の私である筈だ。そうでなければ、そのような認識には至ら無い。そう、思うのだ。【語釈】1. stuccoMain Entry: stuc當oPronunciation: 'st&-(")kOFunction: nounInflected Form(s): plural stuccos or stuccoesEtymology: Italian, of Germanic origin; akin to Old High German stucki piece, crust, Old English stocc stock -- more at STOCK1 a : a fine plaster used in decoration and ornamentation (as of interior walls) b : a material usually made of portland cement, sand, and a small percentage of lime and applied in a plastic state to form a hard covering for exterior walls2 : STUCCOWORK- stuc當oed /-(")kOd/ adjective 2. bodyMain Entry: 2bodyFunction: transitive verbInflected Form(s): bod疂ed; body疂ng1 : to give form or shape to : EMBODY2 : REPRESENT, SYMBOLIZE -- usually used with forth2-1 censureMain Entry: 1cen疽urePronunciation: 'sen(t)-sh&rFunction: nounEtymology: Latin censura, from censEre1 : a judgment involving condemnation2 archaic : OPINION, JUDGMENT3 : the act of blaming or condemning sternly4 : an official reprimand3. steepMain Entry: 3steepFunction: verbEtymology: Middle English stepen; akin to Swedish st嗔a to steeptransitive senses1 : to soak in a liquid at a temperature under the boiling point (as for softening, bleaching, or extracting an essence)2 : to cover with or plunge into a liquid (as in bathing, rinsing, or soaking)3 : to saturate with or subject thoroughly to (some strong or pervading influence) (practices steeped in tradition)intransitive senses : to undergo the process of soaking in a liquidsynonym see SOAK3.1 soak4. moroseMain Entry: mo疵osePronunciation: m&-'rOs, mo-Function: adjectiveEtymology: Latin morosus, literally, capricious, from mor-, mos will1 : having a sullen and gloomy disposition2 : marked by or expressive of gloomsynonym see SULLEN4.1 sullenMain Entry: sul疝enPronunciation: 's&-l&nFunction: adjectiveEtymology: Middle English solain solitary, probably from (assumed) Anglo-French solein, alteration of Old French soltain, from Late Latin solitaneus private, ultimately from Latin solus alone1 a : gloomily or resentfully silent or repressed b : suggesting a sullen state : LOWERING2 : dull or somber in sound or color3 : DISMAL, GLOOMY4 : moving sluggishly- sul疝en疝y adverb- sul疝en疣ess /'s&-l&(n)-n&s/ nounsynonyms SULLEN, GLUM, MOROSE, SURLY, SULKY, CRABBED, SATURNINE, GLOOMY mean showing a forbidding or disagreeable mood. SULLEN implies a silent ill humor and a refusal to be sociable (remained sullen amid the festivities). GLUM suggests a silent dispiritedness (a glum candidate left to ponder a stunning defeat). MOROSE adds to GLUM an element of bitterness or misanthropy (morose job seekers who are inured to rejection). SURLY implies gruffness and sullenness of speech or manner (a typical surly teenager). SULKY suggests childish resentment expressed in peevish sullenness (grew sulky after every spat). CRABBED applies to a forbidding morose harshness of manner (the school's notoriously crabbed headmaster). SATURNINE describes a heavy forbidding aspect or suggests a bitter disposition (a saturnine cynic always finding fault). GLOOMY implies a depression in mood making for seeming sullenness or glumness (a gloomy mood ushered in by bad news).5. tinctureMain Entry: 1tinc疸urePronunciation: 'ti[ng](k)-ch&rFunction: nounEtymology: Middle English, from Latin tinctura act of dyeing, from tinctus, past participle of tingere to tinge1 a archaic : a substance that colors, dyes, or stains b : COLOR, TINT2 a : a characteristic quality : CAST b : a slight admixture : TRACE3 obsolete : an active principle or extract4 : a heraldic metal, color, or fur5 : a solution of a medicinal substance in an alcoholic menstruum 6. coneMain Entry: 1conePronunciation: 'kOnFunction: nounEtymology: Middle French or Latin; Middle French, from Latin conus, from Greek kOnos1 a : a solid generated by rotating a right triangle about one of its legs -- called also right circular cone b : a solid bounded by a circular or other closed plane base and the surface formed by line segments joining every point of the boundary of the base to a common vertex -- see VOLUME table c : a surface traced by a moving straight line passing through a fixed vertex2 a : a mass of ovule-bearing or pollen-bearing scales or bracts in trees of the pine family or in cycads that are arranged usually on a somewhat elongated axis b : any of several flower or fruit clusters suggesting a cone3 : something that resembles a cone in shape: as a : any of the conical photosensitive receptor cells of the vertebrate retina that function in color vision -- compare ROD 3 b : any of a family (Conidae) of tropical marine gastropod mollusks that inject their prey with a potent toxin c : the apex of a volcano d : a crisp usually cone-shaped wafer for holding ice cream[cone illustration]7. vistasMain Entry: vis疸aPronunciation: 'vis-t&Function: nounEtymology: Italian, sight, from visto, past participle of vedere to see, from Latin vidEre -- more at WIT1 : a distant view through or along an avenue or opening : PROSPECT2 : an extensive mental view (as over a stretch of time or a series of events)
2006年04月30日
New Life 8・第9連を読む。【原文】Twilight in the new life. Cicadas that donユt relent.A classicist perspective that lacks a tank or,barring that, dank fog patches to obfuscate its end;a bare parquet floor that never sustained a tango.In the new life, no one begs the moment, メStay!モBrought to a standstill, it quickly succumbs to dotage.And your features, on top of that, are glazed enough anywayfor scratching their matter side with メHiモ and attaching the postage.【翻訳】新しい生活の中にある薄暮または夜明け。蝉が反抗的に騒ぐことをやめることがない。戦車を欠いた古典主義者の描く遠近法。そのような戦車を防いで、じっとりと湿った霧は、その終わり、終点を暗くわからなくしてしまうために間に合わせにパッチをはるのだ。というのは、劇場の一階席の剥き出しの床は、タンゴを踊るにはよく耐え得ないからだ。新しい生活においては、だれも“そのままで”とか“そこにそのままいてくれ”とは、言わないし、頼むことがない。それに加えて、さらにもっと凄いことに、お前の特徴は、その特徴の事物として持つ性質に、ハ―イと声を掛け、挨拶をして、引っ掻き傷をつけるには、とにかく十分なほど、輝き眩しいのだし、そうして、お前の特徴は、また切手を貼付するにも十分な程、まぶしく輝いているのだ【解釈】1. 新しい生活の中にある薄暮または夜明け。始まりと終わりのない時間と空間。ここで思い出すのは、So Forthの第2連にある、枠もなく、始まりも中間も終わりもないという絵画的な筆触の感覚だ。そこでは、蝉が反抗的に騒ぐことをやめることがない。蝉は騒がしいが、何か跳ね返るべき実体を知っているのだ。それゆえに騒ぐことを止めない。Relentとはそのような意味だ。2. 戦車を欠いた古典主義者の描く遠近法。戦車を欠いたとは、最高の皮肉である。何故ならば、それがnew lifeだからだ。こうして読んで来ると、ベルリンの壁は崩壊したが、それでもまだこの詩は力をもっているとういことがわかる。実は、この詩の第5連の解釈の一部を修正しなければならないことが、こうして読んでくるとわかる。それは、the pomonae, vertumni, ceresというラテン語の文句である。これは、そのあとにthis shepherdユs jingleのthisとあるので、thisの指し示すものは、いうまでもなくthe pomonae, vertumni, ceresという鐘の歌である。それがその場所を梱包し、包装しているのだ。この第8連のこの文脈、contextからいって、既に言及したSo Forthにある言語と事物と人間の認識の本質的な関係からいって、この鐘の音は、廃虚と遺跡に響く鐘の音である。諸行は無常である。ベルリンの壁も廃虚になり、今は歴史的な遺跡の一種と化した。しかし、Brodskyはこれを情緒的に少しもいっているわけではない。これは数学的な論理だとすらいっているように思われる。The pomonae, vertumni,ceres、この牧者の唇に鳴り響く鐘の音の歌は、ある種の盛者には弔鐘となり、そうでない者には祝祭歌となる。これはそのような歌であった。何かを制限する歌ではなかったということである。平家物語のように盛者必滅会者常離というと通俗な理解に堕する。3.さて、本題に戻り、そのような戦車を防いで、じっとりと湿った霧は、その終わり、終点を暗くわからなくしてしまうために間に合わせにパッチをはるのだ。このような一行の素晴らしさ。というのは、劇場の一階席の剥き出しの床は、タンゴを踊るにはよく耐え得ないからだ。このような2行目の素晴らしさ。何かはこのように出来ているといっているのだ。その何かをこの世とかあの世という言葉で平板にはいうわけにはいかないし、それではこの詩を理解したことにならない。時間は排されているからだ。ここにあるのは構造である。4.新しい生活においては、だれも“そのままで”とは命令しない。そこにいろとは命令しない。あるいは、そのままでとかそこにそのままいてくれとは、言わないし、頼むことがない。静止し停止した状態になって、新しい生活こそは、最高の実勢的な破壊力を以て死としての終わり、終点をもたらし、自然の周期に従った終わりの印を刻した最終の時期、期間を教えるのだ。Brodskyの思想は首尾一貫している。そうして、それは理屈では全然ない。このような言葉は素晴らしい。5.そうして、またPenelope featureのfeatureが、your featuresとして出て来る。お前の特徴は、Penelopeの場合は、毎日毎夜、編んでは解(ほど)き、編んでは解きした経帷子、死装束であるのだが、その特徴の事物として持つ性質に、ハ―イと声を掛け、挨拶をして、引っ掻き傷をつけるには、とにかく十分なほど、輝き眩しいのだ。ここで意識されているのは、第4連のEach thing is vulnerable. The very thought about a thing gets quickly forgotten以下の文である。The things are, in truth, the leeches of thoughtなのだ。軽く挨拶をしても、事物は傷付くのだ。引っ掛かれて傷付く。そうして、お前の特徴は、また切手を貼付するにも十分な程、まぶしく輝いているのだ。敢えて関係をいえば、この最後のand attaching the postageでいっているのは、第1連との関係であり、第6連のImagine your wireless catching at times your old anthemユs humとの関係である。前者では、戦争が終わり、小鳥が枝にさえずり、ユンカースが空を飛ぶのではなく、後者では、戦時中には電波統制されて使えなかった無線も自由に使えて通信ができるようになり、お前の好きなyour old anthemユs humも受信できるようになるからだ。郵便切手を貼って投函することができる、そのようなthresholdにまづはいるのだ。そうして自由に通信を行うことができるいづれがそこにいたったのか。時代か、人間か、それとも第3のものか。考えるべきことである。その答えが、a new lifeである。それをどのように思い、想像するか。その答えがこの詩である。【語釈】0. twilightMain Entry: twi疝ight Pronunciation: 'twI-"lItFunction: nounUsage: often attributive1 : the light from the sky between full night and sunrise or between sunset and full night produced by diffusion of sunlight through the atmosphere and its dust2 a : an intermediate state that is not clearly defined (lived in the twilight of neutrality -- Newsweek) b : a period of decline (the twilight of a great career)1. CicadasMain Entry: ci當a疆a Pronunciation: s&-'kA-d&, -'k-; sI-'kA-Function: nounInflected Form(s): plural -das also ci當a疆ae /-'kA-(")dE, -'k-/Etymology: New Latin, genus name, from Latin, cicada: any of a family (Cicadidae) of homopterous insects which have a stout body, wide blunt head, and large transparent wings and the males of which produce a loud buzzing noise usually by stridulation2. relentMain Entry: re疝ent Pronunciation: ri-'lentFunction: verbEtymology: Middle English, to melt, soften, from Anglo-French relenter, from re- + Latin lentare to bend, from lentus soft, pliant, slow -- more at LITHEintransitive senses1 a : to become less severe, harsh, or strict usually from reasons of humanity b : to cease resistance : GIVE IN2 : LET UP, SLACKENtransitive senses, obsolete : SOFTEN, MOLLIFYsynonym see YIELD2-1 barMain Entry: 2barFunction: transitive verbInflected Form(s): barred; bar疵ing1 a : to fasten with a bar b : to place bars across to prevent ingress or egress2 : to mark with bars : STRIPE3 a : to confine or shut in by or as if by bars b : to set aside : RULE OUT c : to keep out : EXCLUDE4 a : to interpose legal objection to or to the claim of b : PREVENT, FORBID3. dankMain Entry: dank Pronunciation: 'da[ng]kFunction: adjectiveEtymology: Middle English danke: unpleasantly moist or wetsynonym see WET4. patcheMain Entry: 2patchFunction: transitive verb1 : to mend, cover, or fill up a hole or weak spot in2 : to provide with a patch3 a : to make of patches or fragments b : to mend or put together especially in hasty or shabby fashion -- usually used with up c : to make a patch in (a computer program)4 : to connect (as circuits) by a patch cordsynonym see MEND5. obfuscateMain Entry: ob畴us當ate Pronunciation: '鈎-f&-"skAt; 鈎-'f&s-"kAt, &b-Function: transitive verbInflected Form(s): -cat疇d; -cat疂ngEtymology: Late Latin obfuscatus, past participle of obfuscare, from Latin ob- in the way + fuscus dark brown -- more at OB-, DUSK1 a : DARKEN b : to make obscure2 : CONFUSE6. parquet7. sustain8. succumbMain Entry: suc當umb Pronunciation: s&-'k&mFunction: intransitive verbEtymology: French & Latin; French succomber, from Latin succumbere, from sub- + -cumbere to lie down; akin to Latin cubare to lie1 : to yield to superior strength or force or overpowering appeal or desire2 : to be brought to an end (as death) by the effect of destructive or disruptive forcessynonym see YIELD9. dotageMain Entry: dot畭ge Pronunciation: 'dO-tijFunction: nounEtymology: dote: a state or period of senile decay marked by decline of9.1 decayMain Entry: 1de當ay Pronunciation: di-'kAFunction: verbEtymology: Middle English, from Old North French deca瓶, from Late Latin decadere to fall, sink, from Latin de- + cadere to fall -- more at CHANCEintransitive senses1 : to decline from a sound or prosperous condition2 : to decrease gradually in quantity, activity, or force3 : to fall into ruin4 : to decline in health, strength, or vigor5 : to undergo decompositiontransitive senses1 obsolete : to cause to decay : IMPAIR (infirmity that decays the wise -- Shakespeare)2 : to destroy by decomposition- de當ay疇r nounsynonyms DECAY, DECOMPOSE, ROT, PUTREFY, SPOIL mean to undergo destructive dissolution. DECAY implies a slow change from a state of soundness or perfection (a decaying mansion). DECOMPOSE stresses a breaking down by chemical change and when applied to organic matter a corruption (the strong odor of decomposing vegetation). ROT is a close synonym of DECOMPOSE and often connotes foulness (fruit was left to rot in warehouses). PUTREFY implies the rotting of animal matter and offensiveness to sight and smell (corpses putrefying on the battlefield). SPOIL applies chiefly to the decomposition of foods (keep the ham from spoiling).9.2 senileMain Entry: se疣ile Pronunciation: 'sE-"nIl also 'se-Function: adjectiveEtymology: Latin senilis, from sen-, senex old, old man1 : of, relating to, exhibiting, or characteristic of old age (senile weakness); especially : exhibiting a loss of mental faculties associated with old age2 : approaching the end of a geological cycle of erosion10. postageMain Entry: post畭ge Pronunciation: 'pOs-tijFunction: noun1 : the fee for postal service2 : adhesive stamps or printed indicia representing postal fee
2006年04月29日
New Life 7・第6連を読む。【原文】For how long can one justify oneself? However you hide the ace,the table gets hit with jacks of some odd suit and tailor.Imagine that the more sincere the voice, the less in it is the traceof love for no matter what, of anger, of tears, of terror.Imagine your wireless catching at times your old anthemユs hum.Imagine that here, too, each letter is trailed by a weaningretinue of its likes, forming blindly now メbetsy, メ now メibrahim,モdragging the pen past the limits of alphabet and meaning.【翻訳】というのも、いつまでも自分自身を正当化できる人間などいやしないのだから。しかし、お前はエースの手札を隠し持っていて、そのカード遊戯をしているテーブルは、奇数の数の組み合わせ(suit and tailor)のジャックの札数でやられて、お前は勝つ事ができ(身を護ることができ)るのさ。声に誠実さが増せば増す程、それが何ものに対するものであれ、愛、怒り、涙、恐れの跡が少なくなってゆくことを想像しよう。お前が、時々、お前の古くも懐かしい賛美歌の縁(へり)を、自分の無線で捕捉できることを想像しよう。ここでもまた、ひとつひとつの文字が、その姿に似た類いのものから離れて独立して行く、そのような類いの付き添い物に引っ張られてしまう。何もわからずにこのときはモbetsyモ、あのときはモibrahimモという形を形づくりながら、ペンをアルファベットと意味の限界を超えて引っ張りながら。【解釈】1. この連の中で、わたしのよくわからない言葉の数は、語釈に挙げたほど少ない。それなのに、この詩の意味を理解することは難しい。これは何故だろうか。カード・ゲームにわたしは疎いということを差し引いても、である。 その難しさは、4で以下に述べることが理由だと思われる。素晴らしい難しさなのだ。単純で複雑なる。2. 何故ひとは何があっても生き残ることができるのか。それは、というのが、この連の最初の前置詞Forである。自分自身を正当化長くできる者はいないからだ。自分の論理で自分自身を正当化し続けることはできない。周りが変化すると、それが誤りになり、その継続が過ちになるからだ。最初の一行は反語的な疑問文で、しかも前連を受けている。3. しかし、とはいえ、自己の正当化がそのようにできないとはいえ、だれもが(というべきか)、カードのエースを隠し持っている。カード・ゲームを持ち出すことが、既に遊興ということからいっても、a new lifeを示すことになるのだろうか。4. ここで、この詩の全体を最初から読み直してみると、連を飛んで、あるいは連を繋いで、言葉が織られていることにあらためて気付く。第1連にshephardあり、羊飼いのように雲をまとめているのはthe cast-iron laceだ。第5連にはthis shephardユs jingleとして出て来る。この連にでてくるa weaning retinueは、3連にthe attendant feelingとしてある。Retinue weaningは、attendantの感覚なのだ。A weaning retinue of its likesのitsはeach letterを意味しているので、第2連のwhere chairs like the letter b or else h shield themノを連想させる。というよりは、思いは一貫している。この連にあるhum, hem、縁は、織物の縁語で、Brodskyの好きな言葉、好きな形象である。Thresholdに通ずる。 Brodskyの育った、あるいは長じて後に親しんだ、古典的、宗教的な世界があって、その上にこの詩とこれらの連が成り立っているように思われる。比喩とは何かである。これらの縁語の連鎖は比喩の連鎖ではない。これがa new lifeということなのだ。詩とはこのように書くものだといっているように思われる。あるいは、このように、このような詩が書けることが、a new lifeなのだと。まさにこの作品は、ベルリンの壁の崩壊する1年前の作品である。5.声に誠実さが増えると、その声からは、愛や怒りや涙や恐れが少なくなるとBrodskyは歌っている。この真理を思ってみる事だ。これがBrodskyのいうaceであり、奥の手である。誠実であることだ。そうであれば、この場所を梱包しているthe pomonae, vertumni, ceresに捕われることなく、その外へと出ることができる。お前の唇には羊飼いの鐘が鳴っている。鋳鉄のレース飾りの窓枠が雲の群れを羊飼いのように牧するのであり、ミモザの攻撃に終には耐えたではないか。A new lifeとは、まさにそのthresholdから始まるのだ。だから、この増減、声調に増える誠実と、それが何に対するものであれ、愛、怒り、悲しみ、恐れの形跡の減少と、このバランスを統御するシステムがあるのだ。敢えてシステムといってみよう。そのバランス、それがあることこそが、a new lifeだ。そのthresholdにBrodskyはいるのだ。あるいは、その値を知って、そこに居るのだ。そうして、その日常がどのようなものであるかを、forming blindly now メbetsyモ, now メibrahim,モ dragging the pen past the limits of alphabet and meaningといっている。何と言うこともなく、ひとの名前を男女それぞれ小文字でbetsyと書き、ibrahimと書く。こういった名前を書くペンは、それだけで、アルファベットとそのあらわす意味の限界を超えている。ペンが文字を書き、意味を賦与するのではなく、ペンの書いた筈の文字が、ペンを引っ張ってその限界の外へと連れ出すのだ。このようなことのあることが、a new lifeの印だ。【語釈】1. aceMain Entry: 1ace Pronunciation: 'AsFunction: nounEtymology: Middle English as, from Middle French, from Latin, unit, a copper coin1 a : a die face marked with one spot b : a playing card marked in its center with one pip c : a domino end marked with one spot2 : a very small amount or degree : PARTICLE3 : a point scored especially on a service (as in tennis or handball) that an opponent fails to touch4 : a golf score of one stroke on a hole; also : a hole made in one stroke5 : a combat pilot who has brought down at least five enemy airplanes6 : one that excels at something- ace in the hole 1 : an ace dealt face down to a player (as in stud poker) and not exposed until the showdown 2 : an effective and decisive argument or resource held in reserve- within an ace of : on the point of : very near to (came within an ace of winning)- 2. jack3. odd suit and tailor3.1 odd3.2 suitMain Entry: 1suit Pronunciation: 's殳Function: nounEtymology: Middle English siute act of following, retinue, sequence, set, from Old French, act of following, retinue, from (assumed) Vulgar Latin sequita, from feminine of sequitus, past participle of sequere to follow -- more at SUE1 archaic : SUITE 12 a : recourse or appeal to a feudal superior for justice or redress b : an action or process in a court for the recovery of a right or claim3 : an act or instance of suing or seeking by entreaty : APPEAL; specifically : COURTSHIP4 : SUITE 2 -- used chiefly of armor, sails, and counters in games5 : a set of garments: as a : an outer costume of two or more pieces b : a costume to be worn for a special purpose or under particular conditions (gym suit)6 a : all the playing cards in a pack bearing the same symbol b : all the dominoes bearing the same number c : all the cards or counters in a particular suit held by one player (a 5-card suit) d : the suit led (follow suit)7 slang : a business executive -- usually used in plural3.3 tailorMain Entry: 1tai疝or Pronunciation: 'tA-l&rFunction: nounEtymology: Middle English taillour, from Old French tailleur, from taillier to cut, from Late Latin taliare, from Latin talea twig, cutting: a person whose occupation is making or altering outer garments4. anthemユs hum4.1 anthemMain Entry: an疸hem Pronunciation: 'an(t)-th&mFunction: nounEtymology: Middle English antem, from Old English antefn, from Late Latin antiphona, from Late Greek antiphOna, plural of antiphOnon, from Greek, neuter of antiphOnos responsive, from anti- + phOnE sound -- more at BAN1 a : a psalm or hymn sung antiphonally or responsively b : a sacred vocal composition with words usually from the Scriptures2 : a song or hymn of praise or gladness4.2 hum4.2.1 humMain Entry: 2humchiefly British variant of HEM4.2.2 hemMain Entry: 1hem Pronunciation: 'hemFunction: nounEtymology: Middle English, from Old English; akin to Middle High German hemmen to hem in, Armenian kamel to press1 : a border of a cloth article doubled back and stitched down2 : RIM, MARGIN (bright green hem of reeds about the ponds5. trailMain Entry: 1trail Pronunciation: 'trA(&)lFunction: verbEtymology: Middle English, from Middle French trailler to tow, from (assumed) Vulgar Latin tragulare, from Latin tragula sledge, dragnet; akin to Latin trahere to pullintransitive senses1 a : to hang down so as to drag along or sweep the ground b : to extend over a surface in a loose or straggling manner (a vine that trails over the ground) c : to grow to such length as to droop over toward the ground (trailing branches of a weeping birch)2 a : to walk or proceed draggingly, heavily, or wearily : PLOD, TRUDGE b : to lag behind : do poorly in relation to others3 : to move, flow, or extend slowly in thin streams (smoke trailing from chimneys)4 a : to extend in an erratic or uneven course or line : STRAGGLE b : DWINDLE (voice trailing off)5 : to follow a trail : track gametransitive senses1 a : to draw or drag loosely along a surface : allow to sweep the ground b : HAUL, TOW2 a : to drag (as a limb or the body) heavily or wearily b : to carry or bring along as an addition, burden, or encumbrance c : to draw along in one's wake3 a : to follow upon the scent or trace of : TRACK b : to follow in the footsteps of : PURSUE c : to follow along behind d : to lag behind (as a competitor)synonym see CHASE6. a weaning retinue6.1 weanMain Entry: wean Pronunciation: 'wEnFunction: transitive verbEtymology: Middle English wenen, from Old English wenian to accustom, wean; akin to Old English wunian to be used to -- more at WONT1 : to accustom (as a child) to take food otherwise than by nursing2 : to detach from a source of dependence (being weaned off the medication) (wean the bears from human food -- Sports Illus.); also : to free from a usually unwholesome habit or interest (wean him off his excessive drinking) (settling his soldiers on the land..., weaning them from habits of violence -- Geoffrey Carnall)3 : to accustom to something from an early age -- used in the passive especially with on (students weaned on the microcomputer) (I was weaned on greasepaint -- Helen Hayes) (the principles upon which he had been weaned -- J. A. Michener)6.2 retinue6.2.1 retain
2006年04月22日
New Life 5・第5連を読む。【原文】Imagine that epics shrink into idylls. That words are butthe converse of flameユs long tongues, of that raging sermonwhich used to devour your betters greedily like dry wood.That flame found it difficult to determineyour worth, not to mention warmth. Thatユs why youユve survived intact.Thatユs why you can stomach apathy, thatユs why you feel fit to minglewith the pomonae, vertumni, ceres this place is packedwith. Thatユs why on your lips is this shepherdユs jingle.【翻訳】英雄譚が、田園詩に縮小することを想像しよう。その詩の言葉は、乾いた木のようにお前のよりよいところを貪欲にむさぼり喰らうのが常の、あの怒りの説教書の、炎の長い舌の裏返しに過ぎないのだ。その炎は、お前の価値を決定することなどできやしないし、ましてや暖かさというもの自体をあれこれいうことなど、そもそもできる代物ではないのだ。だから、お前はこうして無傷で生き延びている。だから、お前は無関心というものに、素直に堪えることができるのだ。だから、pomonae, vertumni, ceresという言葉で、この場所が包まれているが、そのような言葉と混ぜこぜになる、それがぴったりとした感じに来るのだ。だから、お前の唇には、羊飼いの鐘が鳴っているのだ。【解釈】1. Imagine that epics shrink into idylls. Oddesseyのような英雄叙事詩、英雄譚が、田園詩と呼ばれるジャンルの詩になる、そのように縮小することを想像しよう。田園詩の縁語は後ででてくるspepherdである。前段落のfour-legged furnitureの連想もそのまま引き継いでいる。そのように読む。Shrinkということから、大きなものが小さなものになると理解することができる。それが新しい生活、新たな生命、生というものだ。2.話は小さくなったがしかし、これは何かと言うと、結局、言葉というものは、怒れる説教書の、炎の長い舌の裏返しに過ぎないのだ。怒れる内容の説教書は、お前のよりよりところを、貪欲に、乾いた木を喰らうように焼きつくすものが常である、そのようなものが説教書の中の、怒りをあらわした箇所だ。何に何故怒るのかは書いていない。神の怒りに触れるのか、何かの禁忌に触れると人間が判断したのか。Converse, tongue, sermonは、conversationの縁語である。会話をするとは、何かの裏を表にすること、表を裏にすることなのだ。炎の長い舌の裏返し、反対物とは、言葉である。言葉とは、水のようなものの短い、何か舌ではないもの、しかも怒りに無関係に焼き尽くすものではないもの、それが言葉なのだ。むしろ、そうであれば、保存し、維持し、命を長らえせしめる。だから、田園詩に縮小するからといって、それが単純に小さいのんびりとした詩であるのではない。3.その長い舌の、権威づくめの、権柄づくの説教の炎は、どんなに怒り狂っていても、お前の価値を決定することなどできやしないのだ。ましてや、そもそも暖かさのことをいうことすらできやしない。だから、お前は無傷で生き延びたのだ。だから、お前は無関心から我が身を護ることができるのだ。だから、この場所がpomonae, vertumni, ceresという言葉で包装されているわけだが、その言葉とごっちゃになってしまうことにぴったりくる感じがするのだ。4.このpomonae, vertumni, ceresというラテン語の意味がわからない。多分聖書に出て来ることばなのではないだろうか。わたしたちの存在するこの空間は、pomonae, vertumni, ceresによって梱包され、包まれている。この言葉の意味が、わたしたちにとって不利な場合と有利な場合とふたつあるが、それがごっちゃになってしまう感じがするのは、何故だろうか。それは、田園詩の言葉が、怒りの炎の長い舌の反対物だからだ。だから、お前の唇には、羊飼いの鐘が鳴っているのだ。その空間の中にあって、自分自身を護ってくれる護符のような言葉があるが、それは大きな言葉ではなく、小さな言葉でもいいのだし、むしろそれは、どちらかにきめつけられるものではない。いづれの言葉も同じものであり、同じところから生まれているのだ。大切なことは、それを知っているということだ。そうであればこそ、言葉と、それからお前がお前自身のもつapathy、無関心に耐えられるのだから。順序は逆ではない。5. pomanae, vertumni, ceresをGoogleで検索しても、わたしのこのブログしか検索されない。Brodskyの典拠がわからない。あるいは、自作の言葉かも知れないが、むしろそのほうが詩人らしいと思われる。6.This shepherdユs jingleとはいい得て妙である。わたしたちは事物の牧童である。鐘を鳴らして、四つ足の家具を、それがマホガニー製であれ、鋳物製であれ、四つ足の事物を、この思考の蛭(ヒル)を、言葉で表現しようではないか。思考の蛭、これは空間へのアタッチメント、付属物であった。Pomanae, vertumni, ceresという言葉で、その包装する空間をあらわしても、直ぐにひとは忘却する。詩人はどこにいるのか。この詩は、その質問に答えているということなのだ。Thomas MannのTonio Kroegerを思い出す。事物にApathischに見える自分自身を責める必要などいささかもないことなのだ。そうでなければ、new lifeなど始まらない。怒れる説教集だけでも、のどかな楽園のような田園詩だけでも、ひとは生き延びることができない。大切なのは、とBrodskyはそう書いてはいないが、Ironieであるといっているようにわたしには思われる。Die Ironie. Lifeとは何か、それならば、new lifeも同様に、lifeとは何か。滑稽と悲惨、Komik und Elend, Komik und Elend.7. converseとは、論理学的には、次の関係をあらわす。数学好きの、いかにもBrodskyらしいconverse."no P is S " is the converse of "no S is P ")【語釈】1. converseMain Entry: 3con疱erse Pronunciation: 'k穫-"v&rsFunction: nounEtymology: Latin conversus, past participle of convertere: something reversed in order, relation, or action: as a : a theorem formed by interchanging the hypothesis and conclusion of a given theorem b : a proposition obtained by interchange of the subject and predicate of a given proposition ("no P is S " is the converse of "no S is P ")2. flame3. raging sermon3. 1 sermonMain Entry: ser疥on Pronunciation: 's&r-m&nFunction: nounEtymology: Middle English, from Old French, from Medieval Latin sermon-, sermo, from Latin, speech, conversation, from serere to link together -- more at SERIES1 : a religious discourse delivered in public usually by a clergyman as a part of a worship service2 : a speech on conduct or duty3.2 ragingMain Entry: 2rageFunction: intransitive verbInflected Form(s): raged; rag疂ng1 : to be in a rage2 : to be in tumult3 : to prevail uncontrollably3.2.1 rageMain Entry: 1rage Pronunciation: 'rAjFunction: nounEtymology: Middle English, from Old French, from Late Latin rabia, from Latin rabies rage, madness, from rabere to be mad; akin to Sanskrit rabhas violence1 a : violent and uncontrolled anger b : a fit of violent wrath c archaic : INSANITY2 : violent action (as of wind or sea)3 : an intense feeling : PASSION4 : a fad pursued with intense enthusiasm (was all the rage)synonym see ANGER, FASH4. dry wood何故木が乾くかということにおいて、何か背景に必要な知識があるのかも知れない。5. intactMain Entry: in疸act Pronunciation: in-'taktFunction: adjectiveEtymology: Middle English intacte, from Latin intactus, from in- + tactus, past participle of tangere to touch -- more at TANGENT1 : untouched especially by anything that harms or diminishes : ENTIRE, UNINJURED2 of a living body or its parts : having no relevant component removed or destroyed: a : physically virginal b : not castratedsynonym see PERFECT6. stomach apathy6.1 stomach (v)Main Entry: 2stomachFunction: transitive verb1 archaic : to take offense at2 : to bear without overt reaction or resentment : put up with (couldn't stomach office politics)6.1.1 stomach (noun)Main Entry: 1stom畭ch Pronunciation: 'st&-m&k, -mikFunction: nounEtymology: Middle English stomak, from Middle French estomac, from Latin stomachus gullet, esophagus, stomach, from Greek stomachos, from stoma mouth; akin to Middle Breton staffn mouth, Avestan staman-1 a (1) : a dilatation of the alimentary canal of a vertebrate communicating anteriorly with the esophagus and posteriorly with the duodenum (2) : one of the compartments of a ruminant stomach (the abomasum is the fourth stomach of a ruminant) b : a cavity in an invertebrate animal that is analogous to a stomach c : the part of the body that contains the stomach : BELLY, ABDOMEN2 a : desire for food caused by hunger : APPETITE b : INCLINATION, DESIRE (had no stomach for an argument); also : COURAGE, GUTS3 obsolete a : SPIRIT, VALOR b : PRIDE c : SPLEEN, RESENTMENT6.2 apathyMain Entry: ap畭疸hy Pronunciation: 'a-p&-thEFunction: nounEtymology: Greek apatheia, from apathEs without feeling, from a- + pathos emotion -- more at PATHOS1 : lack of feeling or emotion : IMPASSIVENESS2 : lack of interest or concern : INDIFFERENCE7. devourMain Entry: de疱our Pronunciation: di-'vau(&)r, dE-Function: transitive verbEtymology: Middle English, from Middle French devourer, from Latin devorare, from de- + vorare to devour -- more at VORACIOUS1 : to eat up greedily or ravenously2 : to use up or destroy as if by eating (we are devouring the world's resources)3 : to prey upon (devoured by guilt)4 : to enjoy avidly (devours books)8. mingleMain Entry: min疊le Pronunciation: 'mi[ng]-g&lFunction: verbInflected Form(s): min疊led; min疊ling /-g(&-)li[ng]/Etymology: Middle English menglen, frequentative of mengen to mix, from Old English mengan; akin to Middle High German mengen to mix, Greek massein to kneadtransitive senses1 : to bring or mix together or with something else usually without fundamental loss of identity : INTERMIX2 archaic : to prepare by mixing : CONCOCTintransitive senses1 : to become mingled2 a : to come into contact : ASSOCIATE b : to move about (as in a group) (mingled with the guests)synonym see MIX9. pomonae, vertumni, ceres
2006年04月16日
New Life 5・第5連を読む。【原文】Each thing is vulnerable. The very thought abouta thing gets quickly forgotten. Things are, in truth, the leechesof thought. Hence their shapes ----- each one is a brainユs cutout ---their attachment to place, their Penelope features;that is their taste for the future. At sunrise, a roosterユs heard.Stepping out of the tub, wrapped in a bedsheetユs linenin a hotel in the new life, you face the herdof four-legged furniture, mahogany and cast iron.【翻訳】それぞれの事物は傷つきやすい。一個の事物に関するまさにその思考は即座に忘却されるのだ。事物とは、本当に、思考のヒルだ。というのは、その形、姿がそうだから----それぞれの事物は、脳味噌が事物の動物様の群れから切り抜いてひとつひとつにしたものなのだから---事物は場所への附属物、事物の特徴は、あのPenelopeの特徴と同じなのさ。何故ならば、それこそが、未来に対する事物の味というものだからだ。夜明けに、雄鶏の声が聞こえる。この新しい生活で、とあるホテルで、ベッドシーツの亜麻布(リネン)に体を包んで、バスタブから勢いよく歩きでて、四つ脚をした家具、マホガニーや鋳鉄の群れに直面するのさ。【解釈】1. ものは、傷つきやすい。人間ではなく、ものが傷つきやすいのだ。ものはいきものだろうか。確かに、生き・ものと呼べば、それは生きものになる。人間と同じだ。それならば,人間も傷つきやすいか。然り。ヒルに血を吸われてやはり出血し、ヒルを利用して医者は瀉血する。ヒルの形状は、のっぺりとした紐である。あるいは少し平べったい紐である。目もなく、口もないようにみえる。両端点の形も同じである。いづれが口で尻尾か不明。いづれも口であり、尻尾であるのか。始めなく、終わりない形だ。丸まると円環を為すことができるかも知れないが、そうは実際にはできないのだろう。ものは、ヒルのようなものだと、いや思考のヒルだといっている。ものは直ぐ忘れ去られる。これは本当だ。ひとは直ぐ忘れる。そのことについて考えて、忘れる。ものというものは、本当に、思考のヒルなのだとBrodskyはいう。これは、何をいっているのか。思考の血も吸い、一寸痛いか、害をなすのか。害をなすかといえば、医者も瀉血に使うのだから善のために用いる、思考の恢復のためにも用いるというものだ。だから、the leeches of thoughtとは、思考のヒルと訳しては、よくわからない。このofが曲者。この前置詞の機能に戻って考えると、これはやはりヒルは、思考の一部、部分だといっている。思考がなければ、ヒルは存在しない。また、ヒルは思考から生れるという解釈もできるだろう。その形状からいっても、姿からいっても、ヒルは、思考のヒルなのだ。みな同じような形をしていて、区別されない。そのときどきには、違って見えるが、直ぐ忘却され、また新しいヒルが生れる。これは、みな脳が産み出すものだ。意識の産物だ。つまり、空間的な場所への附属物なのだ。Attachmentだから、取ったり、入れ替えたりもできるというものだろう。意識の持ち主が自由に。つまり、ヒルとは、Penelopeのもつ特徴だ。Penelopeは、Odysseusの妻の名前。聡明で、 10年にわたる夫の帰還の間、求婚者を遠ざけるために智慧を働かせて、これを退けた婦人である。Odysseusの父親の経帷子を織る称して、昼は織り、夜はこれを解いたのであろう。以下の引用を読まれたい。ものは、そのようなものだといっている。何かものとは、生き物であるかのようだ。さて、というのは、これが未来の味だからだ。未来の感触だからだ。夜明け前に聞こえる鶏鳴。So forthという詩に既に同じmotivがある。以下に再度引用する。これが、Brodskyだ。言葉がどこから産まれるか。血が何故吹き出るか。何故血を出すことが必要は。何故痛みをひとは感ずるのか。So forthの第3連から。夜明け前の鶏鳴のことではなく、ここでは、汽車の汽笛の響きである。こうしてみると、この汽車も夜明け前を走っているのであろう。【原文】The point, of course, is not autumn. And not oneユs own features, whichalter like those of an animal approaching the one whoユll catchit. But this feeling of a puny paintbrush left idleby the painting that lacks a frame, a beginning, an end, a middle.Not to mention a gallery, not to mention a nail.And a train in the distance runs whistling along the rail,though you will spot no smoke inspecting its inventory.But in a landscapeユs view, motion is mandatory.【訳】狙うその点は、勿論、秋なのではない。それから、その動物を捕らえようとしているそのひとに近付いて来るその動物自身の特徴や姿は季節に合わせて、秋なら秋の色に変化するわけだが、ひとも動物と同じとはいえ、そのように変化するひとの特徴や姿が、その点なのではない。そうではなくて、この点は、後で生まれた絵筆の感覚なのであり、絵筆の運びによって何もしないままの放っておかれた、何か根拠と言うものが欠落した、後で生まれた絵筆の感覚、しかも、この絵筆は、枠や開始や終了や中間点を欠いているのだという感覚なのだ。画廊、ギャラリーのことをいっているのではなく、爪のことをいっているのではない。つまりは、どのような種類の絵筆のことをいっているのではないのだ。AND、且つ、遠いところを走る汽車が、軌道に沿って走りながら汽笛を鳴らす。お前が、汽車の石炭の残量を検査するための煙りを発煙してもいないのに。BUT、しかし、景色を眺めようとすると、その景色の中では、動きというもの、動きの連鎖は、誰が命ずるのかは知らないが、どうしたって存在せずにはいられないものなのだ。2. Penelopehttp://www.pantheon.org/articles/p/penelope.html1より引用する。Penelope was the daughter of Icarius and a first cousin of Helen of Troy. She was the wife of Odysseus and was famous for her cleverness and for her faithfulness to her husband. When Odysseus failed to return from the Trojan War (he was delayed for ten years on his way home), Penelope was beset by suitors who wanted her to remarry. In order to delay them, she insisted that she could not remarry until she had finished weaving a shroud for Odysseus' father, Laertes. She worked each day at her loom, and then unravelled the cloth each night. After three years of successful delay, one of her servants revealed her deception, and the impatient suitors angrily demanded that she choose one of them for her husband immediately. At the prompting of Athene, Penelope said that she would marry the man who could string Odysseus' bow and shoot an arrow through twelve axes. By this time, Odysseus himself had secretly returned, disguised as a beggar; he passed the test of the bow, and then proceeded to slaughter the suitors who had tormented his wife. 3.最後の3行で、趣が一変する。これもBrodskyらしい。Stepping out of the tub, wrapped in a bedsheetユs linenin a hotel in the new life, you face the herdof four-legged furniture, mahogany and cast iron.New Lifeという主題に戻ったのだ。ものが生き物の一種ならば、you face the herd of four-legged furnitureであろう。マホガニーと鋳鉄でできた動物の群れも目の当たりにすることになる。4つ脚のベッドとは、これも動物への比喩だ。マホガニーは家具の高級な素材の名前、cast ironは、よくBrodskyの詩に出て来るが、大量生産品の安物というイメージか。そうでなければ、またそうでなくてもよいが、文字通りの製品の群れという意味。On LoveのやSix Years Laterの閑散たる、監視された部屋の中にあった家具の素材をcast ironからわたしは思い出す。そのような愚劣極まりない、共産主義の時代の安物の大量生産品であるかもしれない。だからといって、マホガニーが高級で素晴らしいといっているのではない。これらは、群れ、herdなのだ。のっぺりとしてそれらしいヒルの姿を。Things are, in truth, the leeches of thought。よくもいったりBrodsky。ものが生きているという実感の生活、それが、New LifeなのさとBrodskyはいっている。経帷子を編む美しい女性の叡智の特徴を備えたヒル、事物と、生きた人間のこのような意識とが、こうしていられる生活、生命のありかたが、New Lifeなのだ。こうして解釈してきて、thingは、事物と訳すのがいいと思う。以上ものは、以後事物と読み替えて下さい。訳もそのようにしてあります。【語釈】辞書は、いつもの通り、Webster Online1. vulnerable.2. leech3. cutout4. rooster5. tub6. herd7. cast iron
2006年03月05日
New Life 4・第3連を読む。【原文】Life starts anew indeed like this --- with a painted viewof a volcanic eruption, of a dinghy high waves beleaguer.With the attendant feeling itユs only youwho survey the disaster. With the feeling that you are eagerto shift your gaze any moment, catch sight of a couch, a blastof peonies in a Chinese vase, sallow against the plaster.Their garish colors, their wilting mouths mustbe, in their turn, harbingers of a disaster.【翻訳】火山の爆発を描いた景色、ディンギーに乗ったらその背丈まで来る波の惹起する不安や恐れが周りを取り巻く、その様を描いた景色を以て、生は、そんな風に本当に新しく始まるのさ。災害を調査するのはお前だけ、無力だが、現場に居合わせているという感じで。寝椅子の全体を一覧で捕捉し、支那の陶器の花瓶の中に描かれた牡丹の花に一陣の風の起こすところを捕捉し、天井の漆喰に黄色の猿やなぎを捕捉する。それらの燦然たる色彩、その枯れて萎れる口々が、今度は、災害の露払い、予兆とならねばならないのだ。【解釈】1. Life starts anew indeed like this --- with a painted viewof a volcanic eruption, of a dinghy high waves beleaguer.このlike thisのthisは、前段落を受けているか、それとも、この連のwith以下を受けているか。両方に掛けているようにも思われる。火山の爆発を描いた景色、ディンギーに乗ったらその背丈まで来る波の惹起する不安や恐れが周りを取り巻く、その様を描いた景色を以て、生は、そんな風に本当に新しく始まるのさ。2. With the attendant feelingこのfeelingには、Brodsky独特のものがあるように思われる。既にSo Forthで言及したように論理積をいうときの、説明する時の、ある欠落をいうBrodskyの言葉。欠落を感覚としていうときのfeelingだ。The attendant feelingとは、列席している、同席している、その無いかの会合に会議に集まりに出席しているという感情。司会や議長の役をしているのではない。主人公ではないし、主役ではない。脇役としての感じ。The attendant feeling.椅子に腰掛けて、ミモザの攻撃にcast-iron laceが耐えている様を見るBrodsky.3. With the feeling that you are eager to shift your gaze any momentこの感じは、いつでもどの瞬間でも凝視をしきりに求めて転移する感じ。熱心にそうする感じ。これは、Brodskyの言葉のありかと出所を正直にいっている。A Part of Speechの中の4つ目の詩が、これだ。A List of Some Observation.ものの名前を列挙する。A glance leaves an imprint on anything itユs dwelt on.Water is glassユs most public form.Man is more frightening than his skeleton このような視力に相当するのが、catch sight of a couch, a blastof peonies in a Chinese vase, sallow against the plaster.という2行なのではないだろうか。寝椅子の全体を一覧で捕捉し、支那の陶器の花瓶の中に描かれた牡丹の花に一陣の風の起こすところを捕捉し、天井の漆喰に黄色の猿柳を捕捉する。それらの燦然たる色彩、その枯れて萎れる口々が、今度は、災害の露払い、予兆とならねばならないのだ。ここを読むと、So Forthの狙い定める狩りの様子を思い出す。同じことを、あのときよりも、もっとfeelingの数を増やしてBrodskyは書いているのだ。水とグラスの関係がひっくり返り、人間と骨の関係がひっくり返るのだ。そうして、それがグラスであり、水であり、人間であり、骨である。全ては関係の中に存在する。そうして、時間というもの、時差の中に存在する。咲いたものは萎れる。変わらぬものは、関係の関係だけだ。詩人はそういっている。【語釈】0. eruptionMain Entry: erup疸ion Pronunciation: i-'r&p-sh&nFunction: noun1 a : an act, process, or instance of erupting b : the breaking out of a rash on the skin or mucous membrane2 : a product of erupting (as a skin rash)1. dinghyMain Entry: din疊hy Pronunciation: 'di[ng]-E, -gEFunction: nounInflected Form(s): plural dinghiesEtymology: Bengali dingi & Hindi dingI1 : an East Indian rowboat or sailboat2 a : a small boat carried on or towed behind a larger boat as a tender or a lifeboat b : a small sailboat3 : a rubber life raft2. beleaguer.Main Entry: be疝ea疊uer Pronunciation: bi-'lE-g&rFunction: transitive verbInflected Form(s): -guered; be疝ea疊uer疂ng /-g(&-)ri[ng]/Etymology: Dutch belegeren, from be- (akin to Old English be-) + leger camp; akin to Old High German legar bed -- more at LAIR1 : BESIEGE2 : TROUBLE, HARASS (beleaguered parents)2.1 besiegeMain Entry: be疽iege Pronunciation: bi-'sEjFunction: transitive verbInflected Form(s): -sieged; -sieg疂ng1 : to surround with armed forces2 a : to press with requests : IMPORTUNE b : to cause worry or distress to : BESET (doubts besieged him)3. couchMain Entry: 2couchFunction: nounEtymology: Middle English couche bed, from Middle French, from coucher1 a : an article of furniture for sitting or reclining b : a couch on which a patient reclines when undergoing psychoanalysis2 : the den of an animal (as an otter)- on the couch : receiving psychiatric treatment- 4. blastMain Entry: 1blast Pronunciation: 'blastFunction: nounEtymology: Middle English, from Old English bl[AE]st; akin to Old High German blAst blast, blAsan to blow, Old English blAwan -- more at BLOW1 a : a violent gust of wind b : the effect or accompaniment (as sleet) of such a gust2 : the sound produced by an impulsion of air through a wind instrument or whistle3 : something resembling a gust of wind: as a : a stream of air or gas forced through a hole b : a vehement outburst c : the continuous blowing to which a charge of ore or metal is subjected in a blast furnace4 a : a sudden pernicious influence or effect (the blast of a huge epidemic) b : a disease of plants that causes the foliage or flowers to wither5 a : an explosion or violent detonation b : the violent effect produced in the vicinity of an explosion that consists of a wave of increased atmospheric pressure followed by a wave of decreased atmospheric pressure6 : SPEED, CAPACITY, OPERATION (go full blast) (in full blast)7 : an enjoyably exciting experience, occasion, or event; especially : PARTY5. peonyMain Entry: pe痂疣y Pronunciation: 'pE-&-nEFunction: nounInflected Form(s): plural -niesEtymology: Middle English piony, from Middle French pioine, from Latin paeonia, from Greek paiOnia, from PaiOn Paeon, physician of the gods: any of a genus (Paeonia of the family Paeoniaceae) of chiefly Eurasian plants with large often double flowers6. sallow Main Entry: 1sal疝ow Pronunciation: 'sa-(")lOFunction: nounEtymology: Middle English, from Old English sealh; akin to Old High German salha sallow, Latin salix willow: any of several Old World broad-leaved willows (as Salix caprea) including important sources of charcoal and tanbark7. garish Main Entry: gar疂sh Pronunciation: 'gar-ish, 'ger-Function: adjectiveEtymology: origin unknown1 : clothed in vivid colors2 a : excessively vivid : FLASHY b : offensively or distressingly bright : GLARING3 : tastelessly showysynonym see GAUDY8. wilting Main Entry: 2wilt Pronunciation: 'wiltFunction: verbEtymology: alteration of earlier welk, from Middle English welken, probably from Middle Dutch; akin to Old High German erwelkEn to wiltintransitive senses1 a : to lose turgor from lack of water (the plants wilted in the heat) b : to become limp2 : to grow weak or faint : LANGUISHtransitive senses : to cause to wilt9. harbingersMain Entry: 1har畸in疊er Pronunciation: 'h較-b&n-j&rFunction: nounEtymology: Middle English herbergere, from Middle French, host, from herberge hostelry, of Germanic origin; akin to Old High German heriberga1 archaic : a person sent ahead to provide lodgings2 a : one that pioneers in or initiates a major change : PRECURSOR b : one that presages or foreshadows what is to comesynonym see FORERUNNER
2006年02月05日
2006/02/05New Life・第2連を読む。【原文】People exit their rooms, where chairs like the letter b or elseh shield them from vertigo on occasion.They are of use to nobody save themselves,pavement flagstones, the rules of multiplication.Thatユs the impact of statues. Of their empty niches, moreaccurately. Well, falling sanctity, one still can use its byword.Imagine that this is all true. Imagine you speak of your-self while speaking of them, of anything extra, sideward.【翻訳】ひとびとは、自分の部屋を去るが、そこでは、椅子がアルファベットのbであったり、hであったり、これらの文字は、場合によっては目眩から我が身を護ってくれるのだ。これらの文字は、部屋を立ち去るひとびと以外のひとびとには何の役にも立たず、歩道の標識石や、論理積の規則以外には役に立たない。それが、彫像の衝撃さ。彫像を欠いたガンロウの衝撃さ、もっと正確にいうならば、そうだ。そうさ,失墜する神聖と、言い換えて、決まり文句でいってもまだいいだろう。想像して御覧、これがみな真実だということを。自分の部屋を立ち去るひとびとのことについて話をし、余っているもの、横を向いているもののことについて話をしいる間に、同時に、自分自身のことについて話をしているあなたの姿を想像して御覧。【解釈】1. People exit their rooms。部屋を出る事に意味があるのだ。単に出るのではなく、exitする。そこには戻ってこないのだ。部屋に椅子のあることも、意味がある。いつもの、Brodskyの世界だ。いつものという言葉さへ憚られる。監禁され、監視された部屋である。沈黙を強いられた人生が、第2次世界大戦中も、その後の冷戦にも、ある。そのような空間にあって、何が身をまもったか。文字の形をした椅子である。椅子を文字に見立てて,言葉の自由な世界と連絡を維持したのだ。外の世界とのつながりとしたのだ。New lifeとは、そうではない生活。そうではない生活とはどのような生活であるか。2.椅子は何の役に立つか。人々の自分自身にとって、歩道の標識石に取って,算数の掛け算、数学の論理積にとってしか役に立たない。Pavement flagstoneは、これを知っていれば、十分なことだ。後の石は歩道を知る役には立たない。省略できる石たち。こうして考えてみると、Brodskyの、On Loveの第1連、like pale omission pointsを思い出す。Omission pointsとは、逆のpointが、このflagstoneであるけれども。The rules of multipulicationとは、更に本質的なことだ。Brodskyは、ものの名前を列挙する。そうして、それを一つにする。これがmultiplication。So Forth の始めに、鳥の名前を挙げながら、狙い定めて書いていることが、そのことだ。同じSo Forthの第2連には、論理積を感覚として次のように書いていた。But this feeling of a puny paintbrush left idleby the painting that lacks a frame, a beginning, an end, a middle.論理積という計算は、時間を捨象して、高さだけになることである。もちろん、時間を捨象して、高さもなくなっても構わない。bやhは、確かに椅子の形をしている。しかし、更に、何かの最初の言葉、Brodskyにとって価値ある名前の最初の文字であるかも知れない。3.Thatユs the impact of statues. Of their empty niches, more accurately.ひとびとが部屋を後にして、立ち去るということは、何に似ているか。彫像が、ガンロウから歩きでてしまうようなものだといっている。それが、彫像の衝撃だ。彫像が世の中に対して与える衝撃。からっぽになったガンロウが与える衝撃だと言った方が、もっと正確な言い方だろう。4. falling sancitity。落ちる聖性。堕落する神聖とでも、決まり文句みたいにいうこともできることだろう。何が、そうだというのだろうか。ガンロウから歩いて出た彫像が、である。Byword、決まり文句でいってもいい、通俗的な言葉の使用も許されることが、実に戦争が終わって、冷戦も終わって、やっと平和が来たということなのだ。【語釈】1. vertigoMain Entry: ver疸i疊o Pronunciation: 'v&r-ti-"gOFunction: nounInflected Form(s): plural -goes or -gosEtymology: Latin vertigin-, vertigo, from vertere to turn1 a : a disordered state in which the individual or the individual's surroundings seem to whirl dizzily b : a dizzy confused state of mind2 : disordered vertiginous movement as a symptom of disease in lower animals; also : a disease (as gid) causing this2. flagstoneMain Entry: flag疽tone Pronunciation: -"stOnFunction: noun: 5FLAG2.1 flagMain Entry: 2flagFunction: nounUsage: often attributiveEtymology: perhaps from 1flag1 : a usually rectangular piece of fabric of distinctive design that is used as a symbol (as of a nation), as a signaling device, or as a decoration2 a : the tail of some dogs (as a setter or hound); also : the long hair fringing a dog's tail b : the tail of a deer3 a : something used like a flag to signal or attract attention b : one of the cross strokes of a musical note less than a quarter note in value4 : something represented by a flag: as a : FLAGSHIP b : an admiral functioning in his office of command c : NATIONALITY; especially : the nationality of registration of a ship or aircraft3. statueMain Entry: stat疼e Pronunciation: 'sta-(")chFunction: nounEtymology: Middle English, from Middle French, from Latin statua, from statuere to set up -- more at STATUTE: a three-dimensional representation usually of a person, animal, or mythical being that is produced by sculpturing, modeling, or casting4. nicheMain Entry: 1niche Pronunciation: 'nich, ヨ'nEshFunction: nounEtymology: French, from Middle French, from nicher to nest, from (assumed) Vulgar Latin nidicare, from Latin nidus nest -- more at NEST1 a : a recess in a wall especially for a statue b : something that resembles a niche2 a : a place, employment, status, or activity for which a person or thing is best fitted b : a habitat supplying the factors necessary for the existence of an organism or species c : the ecological role of an organism in a community especially in regard to food consumption d : a specialized5. sanctityMain Entry: sanc疸i疸y Pronunciation: 'sa[ng](k)-t&-tEFunction: nounInflected Form(s): plural -tiesEtymology: Middle English saunctite, from Middle French sainctet, from Latin sanctitat-, sanctitas, from sanctus sacred1 : holiness of life and character : GODLINESS2 a : the quality or state of being holy or sacred : INVIOLABILITY b plural : sacred objects, obligations, or rights6. bywordMain Entry: by痍ord Pronunciation: -"w&rdFunction: noun1 : a proverbial saying : PROVERB2 a : one that personifies a type b : one that is noteworthy or notorious3 : EPITHET4 : a frequently used word or phrase7. sidewardMain Entry: side痍ard Pronunciation: 'sId-w&rdVariant(s): or side痍ards /-w&rdz/Function: adverb
2006年02月05日
New Life・第1連を読む。この連は、想像せよといウ命令形で始まり、その目的語を列挙している。想像せよと命令するからには、それはそのようなthatで書かれる従属文の世界は現実には存在しないということだ。生活、人生、生というものがあって、それが新しい、新ただということはどのようなことであるか。【原文】Imagine that war is over, that peace has resumed its reign.That you can still make a mirror. That itユs a cuckooor a magpie, and not a Junkers, that chirps in the twigs again.That a window frames not a townユs rubble but its rococo,palms, magnolias, pine trees, tenacious ivy, grass,laurel. That the cast-rion lace the moon used to shepherdclouds in, in the end endured the onslaught of mimosa, plusbursts of agave. That life must start from the very threshold.【翻訳】想像して御覧、戦争が終わったことを、平和がまた以前の支配を再び始めたことを、相変わらず鏡の製作ができることを。ふたたび小枝に囀ずるのがカッコーや鵲(かささぎ)であり、ユンカースという戦闘機ではないことを。窓の外に見えるものが、町の瓦礫ではなく、ロココ様式であり、棕櫚であり、木蓮であり、松であり、強い蔦であり、草であり、月桂冠であることを。月がいつも雲を追って囲い込むのに使う鋳造鉄製の縁飾りが、到頭ミモザの攻撃と龍舌蘭の破裂に堪えることを。生がまさしくその閾値から始まらなければならないことを。【解釈】1. 新しい生活とは、戦争が終わっていること、平和であること、鏡を製作できること、鳥が啼くこと、窓からの眺めが瓦礫ではなくなること、木々が生い茂っていること、鉄の鋳物でできた襞飾り(レース)がミモザと龍舌蘭の一斉攻撃にたえていること、まさにその閾値から生が始まること、これらのことを想像しなさいといっている。2. 鏡を製作するのstillには、戦争前に比べて、戦争前も製作できたことが戦争が終わってからもできるという意味があるだろう。命有ってのもの種だ。Mirrorについては、同じSo Forthという詩集の3ページのInfinitiveという詩に、Look what life without mirrors does to pronouns, no to mention oneユs featres!とあり、同じlifeが、mirrorのない場合との関係で歌われている。この箇所の前後を見ると、Islands are cruel enemies of tenses, except for the present oneなどとあり、非常に刺激的な言葉が文になっている。このNew Lifeの後は、このInfinitiveに挑戦しよう。Mirrorに話を戻せば、これが無ければ、生はものの名前を発音できないのだし、生きた人間の特徴をもいうことができないのだ。Imagine that you can still make a mirrorとは、戦争の時にはできなかったが、平和であれば、鏡を製作して、言葉を正しく発声できるということだ。ものの名前を挙げることができるのだ。たしかに、and so forthと書けるのだ。この詩集の題名がそうであるように、またこの詩の第1連がそうであるように。mirrorは動詞としてその語源をみると、to look at, from Latin mirari to wonder atという意味がある。見る事、見て驚くこと、それを可能ならしめるものが鏡。その行為が鏡。3. 鉄の鋳物でできた襞飾り(レース)がミモザと龍舌蘭の一斉攻撃にたえていることとは、やはり、既に今まで何度か引用したA Part of Speechの中の一節、第4連にある詩人の世界に対する位置、positionを示している。家の中、しかし外界と接する場所にいて、その閾値に外からの攻撃がどうなのか、測定をしているのだ。鉄の鋳物でできた襞飾り(レース)がミモザと龍舌蘭の一斉攻撃にたえていることとは、鉄の扉があって、それが庭と、家の外とを仕切っているのではないだろうか。鉄扉が軋む、ミモザの木が風に吹かれて、鉄扉の縁の装飾を攻撃する。The moon used to shepherd clouds inとある月は、雲を羊に見立てて、牧場で羊を追い、夕方になると柵の中へと追い込むのだ。その透かしを通して、月がそのように見えたということか。Mimosaもagaveも、それぞれその姿と形状において攻撃的な植物だ。棘があったり、葉の形が刃物のようであったり。天気予報、講談の忠臣蔵で47士全員の名前を講談師が挙げるところ、ものづくし、これらは、みな意味のあることだ。ものの名前を読み上げる、列挙するということが、そのまま詩になる。これは、とても大切なことだと思われる。5.the plank, stone, or piece of timber that lies under a doorということから、閾、thresholdは、家の中に入れるか入れないかの境目。親しいものなら入ることを許すが、そうでないものは入れることを許さない。その境界線のことだ。それゆえ、a level, point, or value above which something is true or will take place and below which it is not or will notという抽象的な意味にも展開するのだろう。4.生がまさしくその閾値から始まらなければならないことを。第2時世界大戦直後の空も晴れ渡った自由をいうひとがいるが、それは、このような閾値から始めようという生のことをいっていた筈だ。しかし、このように歌った詩人がいるのだろうか。はっきりthresholdと書いた詩人が。坂口安吾ならば、堕落の基準であっただろう。しかし、これは散文の世界のことだ。詩の世界においてや如何。5.最後にもういちど。窓の外に見えるものが、町の瓦礫ではなく、ロココ様式であり、棕櫚であり、木蓮であり、松であり、強い蔦であり、草であり、月桂冠であることを。月がいつも雲を追って囲い込むのに使う鋳造鉄製の縁飾りが、到頭ミモザの攻撃と龍舌蘭の破裂に堪えることを。窓が主語になって目に映るものをframeするという文、それからiron-cast laceが、やはり同じ考えから、目的語である攻撃的な存在に堪えるという文、これはJoseph Brodskyの何か典型的な文の型である。何故こう書くかは今はわからない。後日の論に委ねよう。【語釈】1. Imagine 2. reign.Main Entry: 1reign Pronunciation: 'rAnFunction: nounEtymology: Middle English regne, from Old French, from Latin regnum, from reg-, rex king -- more at ROYAL1 a : royal authority : SOVEREIGNTY (under the reign of the Stuart kings) b : the dominion, sway, or influence of one resembling a monarch (the reign of the Puritan ministers)2 : the time during which one (as a sovereign) reigns3. mirrorMain Entry: 1mir疵or Pronunciation: 'mir-&rFunction: nounEtymology: Middle English mirour, from Old French, from mirer to look at, from Latin mirari to wonder at1 : a polished or smooth surface (as of glass) that forms images by reflection2 a : something that gives a true representation b : an exemplary model4. magpie5. twig6. frame (verb) Main Entry: 1frame Pronunciation: 'frAmFunction: verbInflected Form(s): framed; fram疂ngEtymology: Middle English, to benefit, construct, from Old English framian to benefit, make progress; akin to Old Norse fram forward, Old English fram fromtransitive senses1 : to construct by fitting and uniting the parts of the skeleton of (a structure)2 a : PLAN, CONTRIVE (framed a new method of achieving their purpose) b : SHAPE, CONSTRUCT c : to give expression to : FORMULATE d : to draw up (as a document)3 a : to devise falsely (as a criminal charge) b : to contrive the evidence against (an innocent person) so that a verdict of guilty is assured c : FIX 7b4 : to fit or adjust especially to something or for an end : ARRANGE5 obsolete : PRODUCE6 : to enclose in a frame; also : to enclose as if in a frameintransitive senses1 archaic : PROCEED, GO2 obsolete : MANAGE7. rubble Main Entry: 1rub畸le Pronunciation: 'r&-b&lFunction: nounEtymology: Middle English robyl1 a : broken fragments (as of rock) resulting from the decay or destruction of a building (fortifications knocked into rubble -- C. S. Forester) b : a miscellaneous confused mass or group of usually broken or worthless things (lay in a pile of rubble, only this time there was more of it, additional gear having hit the deck -- K. M. Dodson)2 : waterworn or rough broken stones or bricks used in coarse masonry or in filling courses of walls8. rococo,9. magnolia10. tenaciousMain Entry: te疣a當ious Pronunciation: t&-'nA-sh&sFunction: adjectiveEtymology: Latin tenac-, tenax tending to hold fast, from tenEre to hold1 a : not easily pulled apart : COHESIVE (a tenacious metal) b : tending to adhere or cling especially to another substance (tenacious burs)2 a : persistent in maintaining or adhering to something valued or habitual (a tenacious royalist) b : RETENTIVE (a tenacious memory)synonym see STRONG11. cast-iron lace 12.1 lace (noun)Main Entry: 2laceFunction: nounEtymology: Middle English, from Middle French laz, from Latin laqueus snare1 : a cord or string used for drawing together two edges (as of a garment or a shoe)2 : an ornamental braid for trimming coats or uniforms3 : an openwork usually figured fabric made of thread or yarn and used for trimmings, household coverings, and entire garments12.2 lace (verb)12.3 cast-iron (noun)13. moon 14. shepherd(verb)14.1 shepherd (noun)15. onslaughtMain Entry: on疽laught Pronunciation: '穫-"slot, 'on-Function: nounEtymology: modification of Dutch aanslag act of striking; akin to Old English an on and to Old English slEan to strike -- more at SLAY: an especially fierce attack; also : something resembling such an attack (an onslaught of technological changes)16. mimosa,15. agave16. thresholdMain Entry: thresh痂ld Pronunciation: 'thresh-"hOld, 'thre-"shOldFunction: nounEtymology: Middle English thresshold, from Old English threscwald; akin to Old Norse threskjoldr threshold, Old English threscan to thresh1 : the plank, stone, or piece of timber that lies under a door : SILL2 a : GATE, DOOR b (1) : END, BOUNDARY; specifically : the end of a runway (2) : the place or point of entering or beginning : OUTSET (on the threshold of a new age)3 a : the point at which a physiological or psychological effect begins to be produced b : a level, point, or value above which something is true or will take place and below which it is not or will not
2006年01月29日
2006/01/28New Life・引き続きJoseph Brodskyの詩集So Forthから、ベルリンの壁の崩壊する1年前、1988年に書いた詩、New Lifeを。詩人は預言者だとは、詩人が自らの詩で歌わなくともそうである。不易流行。本質は変わらない。その変わらない言葉を。方針に従い、最初に全部の詩を掲げることにしよう。【原文】Imagine that war is over, that peace has resumed its reign.That you can still make a mirror. That it's a cuckooor a magpie, and not a Junkers, that chirps in the twigs again.That a window frames not a town's rubble but its rococo,palms, magnolias, pine trees, tenacious ivy, grass,laurel. That the cast-rion lace the moon used to shepherdclouds in, in the end endured the onslaught of mimosa, plusbursts of agave. That life must start from the very threshold.People exit their rooms, where chairs like the letter b or elseh shield them from vertigo on occasion.They are of use to nobody save themselves,pavement flagstones, the rules of multiplication.Thatユs the impact of statues. Of their empty niches, moreaccurately. Well, falling sanctity, one still can use its byword.Imagine that this is all true. Imagine you speak of your-self while speaking of them, of anything extra, sideward.Life starts anew indeed like this --- with a painted viewof a volcanic eruption, of a dinghy high waves beleaguer.With the attendant feeling it's only youwho survey the disaster. With the feeling that you are eagerto shift your gaze any moment, catch sight of a couch, a blastof peonies in a Chinese vase, sallow against the plaster.Their garish colors, their wilting mouths mustbe, in their turn, harbingers of a disaster.Each thing is vulnerable. The very thought abouta thing gets quickly forgotten. Things are, in truth, the leechesof thought. Hence their shapes ----- each one is a brainユs cutout ---their attachment to place, their Penelope features;that is their taste for the future. At sunrise, a roosterユs heard.Stepping out of the tub, wrapped in a bedsheetユs linenin a hotel in the new life, you face the herdof four-legged furniture, mahogany and cast iron.Imagine that epics shrink into idylls. That words are butthe converse of flame's long tongues, of that raging sermonwhich used to devour your betters greedily like dry wood.That flame found it difficult to determineyour worth, not to mention warmth. Thatユs why youユve survived intact.Thatユs why you can stomach apathy, thatユs why you feel fit to minglewith the pomonae, vertumni, ceres this place is packedwith. Thatユs why on your lips is this shepherdユs jingle.For how long can one justify oneself? However you hide the ace,the table gets hit with jacks of some odd suit and tailor.Imagine that the more sincere the voice, the less in it is the traceof love for no matter what, of anger, of tears, of terror.Imagine your wireless catching at times your old anthemユs hum.Imagine that here, too, each letter is trailed by a weaningretinue of its likes, forming blindly now メbetsy, メ now メibrahim,モdragging the pen past the limits of alphabet and meaning.Twilight in the new life. Cicadas that don't relent.A classicist perspective that lacks a tank or,barring that, dank fog patches to obfuscate its end;a bare parquet floor that never sustained a tango.In the new life, no one begs the moment, "Stay!"Brought to a standstill, it quickly succumbs to dotage.And your features, on top of that, are glazed enough anywayfor scratching their matter side with "Hi" and attaching the postage.The white stuccoed walls of a room are turning more white becauseof a glance shot in their direction and boding censure,steeped not so much in far meadows' morose reposeas in the spectrum's lack of their self-negating tincture.A thing can be pardoned plenty. Especially where it cones,where it reaches its end. Ultimately, one's unboundcuriosity about these empty zones,about these objectless vistas, is what art seems to be all about.In the new life, a cloud is better than the right sun. The rain,akin to self-knowledge, appears perpetual.On the other hand, an unexpected trainyou donユt wait for alone on a platform arrives on schedule.A sail is passing its judgment on the horizon's lie.The eye tracks the sinking soap, thought it's the foam that's famous.And should anyone ask you メWho are you?モ your reply, "Who --- I? I am Nobody," as Ulysses once muttered to Polyphemus.1988【翻訳】【解釈】【語釈】
2006年01月28日
In Memory of My Father: Australia 4・これは、文字通りに、Brodskyの父親のことを思い出して、記念とした作品なのだろう。オーストリアが何故出て来るのか、これは詩を読んで考えることにしよう。いうまでもなく、1989年、ベルリンの政治的な壁の崩壊した歳の詩である。詩人にとっては、一層思いも深いことであろう。Constancy、最後の詩行を読んで、やはり、そう思わずにはいられない。On Love, constancy, その他今まで訳したきたところと同じ人間がいて、その名前をJoseph Brodskyというのだ。【原文】Still, better this than the silky powdercanned by the crematorium, than the voucher ---better these snatches of voice, this patchworkmonologue of a recluse trying to play a geniefor the first time since you formed a cloud above a chimney.【訳】死体を焼いて粉になって光沢を放っている、そのような粉を缶詰めにした絹のようにすべすべした粉よりも、この粉の方が、まだまし、経理の証憑よりも、まだまし――声がこうして切れ切れに遠く近く不意にやってきたり引いたりするこの方がまだまし、社会を離れて天才を演じている孤独の隠者のこのパッチワークの独白の方が、まだましだ。初めて、一本の煙突の上に雲となって以来だね、お父さん。【解釈】1. ここまで読んできてわかることは、夢に出てきたこのような父親もまた、Brodskyにとっては、実在の父親であるということだ。夢も現実であれば、それも実在だということである。これは、何もおかしな話ではないだろう。2. 、死体を焼いて粉になって光沢を放っている、そのような粉を缶詰めにした絹のようにすべすべした粉よりも、この粉の方が、まだまし、経理の証憑よりも、まだまし――声がこうして切れ切れに遠く近く不意にやってきたり引いたりするこの方がまだまし、社会を離れて天才を演じている孤独の隠者のこのパッチワークの独白の方が、まだましだ。結局解釈欄で翻訳をしてしまった。この1行は、いかにもBrodskyらしい。3. for the first time since you formed a cloud above a chimneyとは、父親が焼かれて、焼き場の煙突から煙りになって雲になったことをいっているのだ。それ以来初めて、Brodskyのもとに姿をあらわしたのだ。Still, better than the silky powder以下、このfor the first timeまでの書き方のlogicは、less than oneと同じだ。比較級をこのように否定的に使うことが、この詩人の論理なのだとぼくは思う。この詩人の特徴だ。キャビアを手に入れたら、チョウザメを釣る必要はないだろうと、そのように書いた詩を、またいつか訳すことになるだろう。同じ論理である。いいたいことは、本当によくわかる。【語釈】1. crematoriumMain Entry: cre疥a疸o疵i疼m Pronunciation: "krE-m&-'tOr-E-&m, "kre-, -'tor-Function: nounInflected Form(s): plural -ri疼ms or cre疥a疸o疵ia /-E-&/: CREMATORY1.1 crematoryMain Entry: cre疥a疸o疵y Pronunciation: 'krE-m&-"tOr-E, 'kre-, -"tor-Function: nounInflected Form(s): plural -ries: a furnace for cremating; also : an establishment containing such a furnace1.2 cremateMain Entry: cre疥ate Pronunciation: 'krE-"mAt, kri-'Function: transitive verbInflected Form(s): cre疥at疇d; cre疥at疂ngEtymology: Latin crematus, past participle of cremare to burn up, cremate: to reduce (as a dead body) to ashes by burning2. voucherMain Entry: 1vouch疇r Pronunciation: 'vau-ch&rFunction: nounEtymology: Middle French vocher, voucher to vouch1 : an act of vouching2 a : a piece of supporting evidence : PROOF b : a documentary record of a business transaction c : a written affidavit or authorization : CERTIFICATE d : a form or check indicating a credit against future purchases or expenditures4. snatch4.1 snatch (noun)Main Entry: 2snatchFunction: noun1 a : a brief period (caught snatches of sleep) b : a brief, fragmentary, or hurried part : BIT (caught snatches of the conversation)2 a : a snatching at or of something b slang : an act or instance of kidnapping3 : a lift in weight lifting in which the weight is raised from the floor directly to an overhead position in a single motion -- compare CLEAN AND JERK, PRESS4 usually vulgar : the female pudenda4.2 snatch (verb)Main Entry: 1snatch Pronunciation: 'snachFunction: verbEtymology: Middle English snacchen to give a sudden snap, seize; akin to Middle Dutch snacken to snap atintransitive senses : to attempt to seize something suddenlytransitive senses : to take or grasp abruptly or hastily; also : to seize or grab suddenly without permission, ceremony, or rightsynonym see TAKE5. recluse (noun)Main Entry: 2recluseFunction: noun: a person who leads a secluded or solitary life5.1 secludeMain Entry: se當lude Pronunciation: si-'kl歸Function: transitive verbInflected Form(s): se當lud疇d; se當lud疂ngEtymology: Middle English, to keep away, from Latin secludere to separate, seclude, from se- apart + claudere to close -- more at SECEDE, CLOSE1 obsolete : to exclude from a privilege, rank, or dignity : DEBAR2 : to remove or separate from intercourse or outside influence : ISOLATE3 : SHUT OFF, SCREEN5.2 recluse (adj)Main Entry: 1re當luse Pronunciation: 're-"kl殱, ri-'kl殱, 're-"kl毟Function: adjectiveEtymology: Middle English, from Old French reclus, literally, shut up, from Late Latin reclusus, past participle of recludere to shut up, from Latin re- + claudere to close -- more at CLOSE: marked by withdrawal from society : SOLITARY
2006年01月22日
In Memory of My Father: Australia 3・これは、文字通りに、Brodskyの父親のことを思い出して、記念とした作品なのだろう。オーストリアが何故出て来るのか、これは詩を読んで考えることにしよう。いうまでもなく、1989年、ベルリンの政治的な壁の崩壊した歳の詩である。詩人にとっては、一層思いも深いことであろう。【原文】メLooks like Iユve lost my slippersモcame through rapt yet clear vis satellite.And at once the receiver burst into howling メAdelaide! Adelaide!モ ---into rattling and crackling, as if a shutter,ripped off its hinges, were pounding the wall with inhuman power.【訳】どうも、自分のスリッパを無くしてしまったらしんだというセリフが感情に持っていかれ攫(さら)われてしまったが、しかし凶暴なほどに強力な人工衛星を通じて、やってきた。そして、直ぐに、受信機が、アデレード、アデレードと、大きな叫び声を際限なく反響させて、突発的に音を発して、カタコトと、割れるような音になり、それは恰もシャッターから蝶番(ちょうつがい)が壊れて外れ飛び、人間のではない力によって、壁をドンドンと打ち叩いて粉にしてしまうかのような音である。【解釈】1. Adelaideは、オーストラリアにある都市の名前。2. receiverは受信機。父親はどこにいるのだろう。【語釈】1. raptMain Entry: rapt Pronunciation: 'raptFunction: adjectiveEtymology: Middle English, from Latin raptus, past participle of rapere to seize -- more at RAPID1 : lifted up and carried away2 : transported with emotion : ENRAPTURED3 : wholly absorbed : ENGROSSED2. visMain Entry: vis Pronunciation: 'visFunction: nounInflected Form(s): plural vi疵es /'vI-"rEz/Etymology: Latin -- more at VIM: FORCE, POWER2.1 vimMain Entry: vim Pronunciation: 'vimFunction: nounEtymology: Latin, accus. of vis strength; akin to Greek is strength, Sanskrit vaya meal, strength: robust energy and enthusiasm3. howlMain Entry: howl Pronunciation: 'hau(&)lFunction: verbEtymology: Middle English houlen; akin to Middle High German hiulen to howlintransitive senses1 : to emit a loud sustained doleful sound characteristic of members of the dog family2 : to cry out loudly and without restraint under strong impulse (as pain, grief, or amusement)3 : to go on a spree or rampagetransitive senses1 : to utter with unrestrained outcry2 : to drown out or cause to fail by adverse outcry -- used especially with down (howled down the speaker)4. ripMain Entry: 1rip Pronunciation: 'ripFunction: verbInflected Form(s): ripped; rip疳ingEtymology: probably from Flemish rippen to strip off roughlytransitive senses1 a : to tear or split apart or open b : to saw or split (wood) with the grain2 : to slash or slit with or as if with a sharp blade3 : to hit sharply (ripped a double to left field)4 : to utter violently : spit out (ripped out an oath)5 : CRITICIZE, PUT DOWNintransitive senses1 : to become ripped : REND2 : to rush headlong (ripped past second base)synonym see TEAR5. poundMain Entry: 4poundFunction: verbEtymology: alteration of Middle English pounen, from Old English puniantransitive senses1 : to reduce to powder or pulp by beating2 a : to strike heavily or repeatedly b : to produce with or as if with repeated vigorous strokes -- usually used with out (pound out a story on the typewriter) c : to inculcate by insistent repetition : DRIVE (day after day the facts were pounded home to them -- Ivy B. Priest)3 : to move along heavily or persistently (pounded the pavements looking for work)intransitive senses1 : to strike heavy repeated blows2 : PULSATE, THROB (my heart was pounding)3 a : to move with or make a heavy repetitive sound b : to work hard and continuously -- usually used with away
2006年01月22日
In Memory of My Father: Australia 2・これは、文字通りに、Brodskyの父親のことを思い出して、記念とした作品なのだろう。オーストリアが何故出て来るのか、これは詩を読んで考えることにしよう。いうまでもなく、1989年、ベルリンの政治的な壁の崩壊した歳の詩である。詩人にとっては、一層思いも深いことであろう。これは、3連からなる詩。一連の行の数が揃っているわけではない。形式はさて措いて、実質に、多分豊かな内容がもられていることを、このことは、示していることだろう。恐らく最後の連、最後の一行に深い意味がある筈。【原文】You arose ----- I dreamt so last night --- and left forAustralia. The voice, with a triple echo,ebbed and flowed, complaining about climate,grime, that the deal with the flat is stymied,pity itユs not downtown, though near the ocean,no elevator but the bathtubユs indeed an option,ankles keep swelling. 【訳】起き上がって、――と、そんな夢を昨晩みたのだ―― そしてオーストラリアに出発した。声には、三重のエコーが掛かっていて引潮のようにひいて聞こえ、また溢れていた。その声は、気象や出鱈目さ加減についての不平不満であり、アパートの取り引きに邪魔が入って一向進展しないとか、遺憾ながら、海は近いのに、ダウンタウンじゃないんだとか、エレベータがないんだが、そのくせバスタブをつけるかどうかは、本当に、オプションで選択することができるようになっているんだ、踝(くるぶし)が腫れてねという不満をいうのである。【解釈】1. You aroseであるが、こうしてあらためて考えると、このyouは、自分の父親を指しているのに、日本語ではこれに相当することばがない。お父さんと訳すのだろうか。あなたではおかしいようにも思うのだ。2. この人称の問題は、日本語の限界を示している。それを打ち破るには、一回毎に新しいCONTEXTを創造するということをしなければならない。【語釈】1. grimeMain Entry: grime Pronunciation: 'grImFunction: nounEtymology: Middle Dutch grime soot, mask; akin to Old English grIma mask: soot, smut, or dirt adhering to or embedded in a surface; broadly : accumulated dirtiness and disorder2. stymied,Main Entry: sty疥ie Pronunciation: 'stI-mEFunction: transitive verbInflected Form(s): sty疥ied; sty疥ie疂ngEtymology: Scots stimie, stymie to obstruct a golf shot by interposition of the opponent's ball: to present an obstacle to : stand in the way of3. anklesMain Entry: an疚le Pronunciation: 'a[ng]-k&lFunction: nounEtymology: Middle English ankel, from Old English anclEow; akin to Old High German anchlAo ankle1 : the joint between the foot and the leg; also : the region of this joint2 : the joint between the cannon bone and pastern (as in the horse)
2006年01月22日
In Memory of My Father: Australia・これは、文字通りに、Brodskyの父親のことを思い出して、記念とした作品なのだろう。オーストリアが何故出て来るのか、これは詩を読んで考えることにしよう。いうまでもなく、1989年、ベルリンの政治的な壁の崩壊した歳の詩である。詩人にとっては、一層思いも深いことであろう。これは、3連からなる詩。一連の行の数が揃っているわけではない。形式はさて措いて、実質に、多分豊かな内容がもられていることを、このことは、示していることだろう。恐らく最後の連、最後の一行に深い意味がある筈。いつもの伝で、初日には詩の全体を掲げ、次回から訳し始める。【原文】You arose ----- I dreamt so last night --- and left forAustralia. The voice, with a triple echo,ebbed and flowed, complaining about climate,grime, that the deal with the flat is stymied,pity itユs not downtown, though near the ocean,no elevator but the bathtubユs indeed an option,ankles keep swelling. メLooks like Iユve lost my slippersモcame through rapt yet clear vis satellite.And at once the receiver burst into howling メAdelaide! Adelaide!モ ---into rattling and crackling, as if a shutter,ripped off its hinges, were pounding the wall with inhuman power.Still, better this than the silky powdercanned by the crematorium, than the voucher ---better these snatches of voice, this patchworkmonologue of a recluse trying to play a geniefor the first time since you formed a cloud above a chimney.1989【訳】【解釈】【語釈】
2006年01月21日
Brise Marine 6・ さあ、この詩の最後の連を論ずるにあたって、題名を解釈しよう。Brise marineには次のふたつの意味がある。1. 海から吹いてくるそよ風2. 壊れた、傷つけられた海、海岸、海の絵1は、briseは、名詞、marineは形容詞2は、birseは形容詞、marineは名詞という2つの解釈である。これらを、そう、丁度第1連のgalleryの場合のように、ひとつの言葉にこめたのだ。この女性の名前は、Mariaというのだろうか。Brise marineというこれらの語を調べるのには、今回は、onlineのBritanikaを使った。この女性は歌いながらステップも踏んだのだろう。そのような歌手であったのだ。それは、briseがフランス語で、beaten stepという意味だからだ。さくさくといういい音も聞こえる。Senegal生まれの歌手なのだろうか。やはり、以前に書いたが、Senegalは海、大西洋に面している。そうして、海藻、seaweedのJoseph Brodskyらしい掛け言葉、言葉の意味の掛け合せを。これについては、解釈のところで、ことばの意味を敷衍した。【原文】You got lucky as well: where else, save in a snapshot perhaps,will you forever remain free of wrinkles, lithe, caustic, vivid?Having bumped into memory, time learns its impotence.Ebb tide; I smoke in the darkness and inhale rank seaweed.【訳】お前は,運もよかったのさ。どこにいっても、ひょっとするとスナップ・ショットは別にしても、お前は、昔のまま変わらぬ写真を使っていて、また写真ならば嘘もつけようから、皮膚に皺もなく、肌も柔肌のままで、寸鉄人をさすような警句も相変わらずで、溌溂として、才気煥発で生きているのだろうね。お前との記憶に、ドンと一発、いわば性交するようにして思い出しても、時間は時間の不能を学ぶだけさ。引潮なのだ。というのも、ぼくは、そんな気になれないときにいつもしたように、暗闇の中でひとり煙草を吸い、そうして、お前の春草、その陰毛の、海藻を食べ、その強烈な匂いを吸い込むからなのだ。お前も知っても通りさ。【解釈】1. You got lucky as well。こういうお前との個別のことを別にして考えても、お前は運がよかったのさ。だらか、as wellと書いている。運もよかった女性なのだ。2. この連の2行目で、この女性の特徴をいっている。Lithe, caustic and vividである。現実には、皺くちゃのおばさんになったのだろうが、それでも、肌も柔らかく、日本流にいうならばもち肌で(エロティックなBrodsky)、そうしてこのもち肌に、ウイットがあって思想も柔軟でという意味を掛けている。Causticは、寸鉄ひとを刺すような警句もはく女性なのだろう。Vividは、溌溂としていて、才気煥発といったところ。3. vividの類義語は、graphicsだ。だから、題名も、birse marineと題したのではないだろうか。Marineとはフランス語で、海を描いた絵のこと。だから、ふたりの25年前のことと、今のことを、brise marineと題したのだ。冒頭に述べた、ふた色の解釈をbrise marineにこめたことには、やはり本文の詩と相俟って、多義的な、この詩人の意義があったのだ。4. bump into memoryとは、bumpという語が、probably imitative of the sound of a blowと、Websterにあることからいっても、風の突然の音、突風の音と、an act of thrusting the hips forward in an erotic mannerという意味とを掛け合せて、そのような記憶を呼び起こすことをも性的な交わりとして、この従属文を導いたのだ。詩とはこのように事実から比喩が、比喩から事実が生まれ、過去の事実も比喩になることで昇華し、形象となり、またその関係が逆である、そのようなverseなのだな。5. time learns its impotence。時間、25年の時間が立って、bump inito memoryしても、もう俺は立たないぜといっている。Websterには、impotenceの意味にdemotionが、その類義語として挙げられているので、ebb tideは、その縁語だということになる。Demotionとは、そうすると、その気にならない、性交する気にならないという意味だ。5. Joseph Brodskyは、引き潮のときには、闇に立って煙草を吸うのだろう。Rank seaweedは、複数形になっていないので、象徴的に解釈することもできる余地を残している。全く海藻そのもののrankという意味と、匂いの強烈な海藻という意味と、ふたつながら、ある。強烈な海藻の匂いを胸一杯に吸い込むという意味と、まさしくその海藻を食べるという意味とである。こうして解釈をしてみると、海藻とは、もっとエロティックで、その匂いとともに、このbrise marineと呼ばれた女性の春草であり、陰毛であるだろう。これもまたBrodskyらしいと、ぼくは思うのだ。【語釈】1. litheMain Entry: lithe Pronunciation: 'lI[th], 'lIthFunction: adjectiveEtymology: Middle English, from Old English lIthe gentle; akin to Old High German lindi gentle, Latin lentus slow1 : easily bent or flexed (lithe steel) (a lithe vine)2 : characterized by easy flexibility and grace (a lithe dancer) (treading with a lithe silent step); also : athletically slim (the most lithe and graspable of waists -- R. P. Warren)2. causticMain Entry: 1caus疸ic Pronunciation: 'kos-tikFunction: adjectiveEtymology: Latin causticus, from Greek kaustikos, from kaiein to burn1 : capable of destroying or eating away by chemical action : CORROSIVE2 : marked by incisive sarcasm3 : relating to or being the surface or curve of a caustic- caus疸i當al疝y /-ti-k(&-)lE/ adverb- caus疸ic疂疸y /ko-'sti-s&-tE/ nounsynonyms CAUSTIC, MORDANT, ACRID, SCATHING mean stingingly incisive. CAUSTIC suggests a biting wit (caustic comments). MORDANT suggests a wit that is used with deadly effectiveness (mordant reviews of the play). ACRID implies bitterness and often malevolence (acrid invective). SCATHING implies indignant attacks delivered with fierce severity (a scathing satire).3. vividMain Entry: viv疂d Pronunciation: 'vi-v&dFunction: adjectiveEtymology: Latin vividus, from vivere to live -- more at QUICK1 : having the appearance of vigorous life or freshness : LIVELY (a vivid sketch)2 of a color : very strong : very high in chroma3 : producing a strong or clear impression on the senses : SHARP, INTENSE; specifically : producing distinct mental images (a vivid description)4 : acting clearly and vigorously (a vivid imagination)synonym see GRAPHIC4. bumpMain Entry: 1bump Pronunciation: 'b&mpFunction: nounEtymology: probably imitative of the sound of a blow1 : a relatively abrupt convexity or protuberance on a surface: as a : a swelling of tissue b : a cranial protuberance2 a : a sudden forceful blow, impact, or jolt b : DEMOTION3 : an act of thrusting the hips forward in an erotic manner5. bumpMain Entry: sea痍eed Pronunciation: -"wEdFunction: noun1 : a mass or growth of marine plants2 : a plant growing in the sea; especially : a marine alga (as a kelp)6. impotenceMain Entry: sea痍eed Pronunciation: -"wEdFunction: noun1 : a mass or growth of marine plants2 : a plant growing in the sea; especially : a marine alga (as a kelp)5.1 impotent7. ebb tide7.1 ebb7.2 tide8. rankMain Entry: 1rank Pronunciation: 'ra[ng]kFunction: adjectiveEtymology: Middle English, from Old English ranc overbearing, strong; akin to Old Norse rakkr erect and perhaps to Old English riht right -- more at RIGHT1 : luxuriantly or excessively vigorous in growth2 : offensively gross or coarse : FOUL3 obsolete : grown too large4 a : shockingly conspicuous (must lecture him on his rank disloyalty -- David Walden) b : OUTRIGHT -- used as an intensive (rank beginners)5 archaic : LUSTFUL, RUTTISH6 : offensive in odor or flavor; especially : RANCID7 : PUTRID, FESTERING8 : high in amount or degree : FRAUGHTsynonym see MALODOROUS, FLAGRANT9. 9.1 conspicuousMain Entry: con疽pic疼痂us Pronunciation: k&n-'spi-ky&-w&sFunction: adjectiveEtymology: Latin conspicuus, from conspicere to get sight of, from com- + specere to look -- more at SPY1 : obvious to the eye or mind2 : attracting attention : STRIKING3 : marked by a noticeable violation of good tastesynonym see NOTICEABLE10. seaweed10.1 kelpMain Entry: kelp Pronunciation: 'kelpFunction: nounEtymology: Middle English culp1 a : any of various large brown seaweeds (order Laminariales) b : a mass of large seaweeds2 : the ashes of seaweed used especially as a source of iodine10.2 iodine10.3 halogenMain Entry: hal痂疊en Pronunciation: 'ha-l&-j&nFunction: nounEtymology: Swedish, from hal- + -gen: any of the five elements fluorine, chlorine, bromine, iodine, and astatine that form part of group VII A of the periodic table and exist in the free state normally as diatomic molecules11. inhaleMain Entry: in疉ale Pronunciation: in-'hA(&)lFunction: verbInflected Form(s): in疉aled; in疉al疂ngEtymology: in- + exhaletransitive senses1 : to draw in by breathing2 : to take in eagerly or greedily (inhaled about four meals at once -- Ring Lardner)12. brise(Britanica, encyclopedia)bris(French: メbroken stepモ), in classical ballet, a small, battu (メbeatenモ) step. The quality of a bris should be sharp and brisk.9.1 also called Pas Bris (French: メbroken stepモ), in classical ballet, a small, battu (メbeatenモ) step. The quality of a bris should be sharp and brisk. The basic bris is a travelled assembl that is done with a beat. The dancer brushes the working leg, as in an assembl, to the side and into the air while simultaneously pushing off from the supporting leg, and then beats in front or in back of the supportingノ13. marineMain Entry: 1ma疵ine Pronunciation: m&-'rEnFunction: adjectiveEtymology: Middle English, from Latin marinus, from mare sea; akin to Old English mere sea, pool, Old High German meri sea, Old Church Slavonic morje1 a : of or relating to the sea (marine life) b : of or relating to the navigation of the sea : NAUTICAL (a marine chart) c : of or relating to the commerce of the sea : MARITIME (marine law) d : depicting the sea, seashore, or ships (a marine painter)2 : of or relating to marines (marine barracks)
2006年01月21日
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