高野悦子『二十歳の原点』

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2005/06/20
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カテゴリ: カテゴリ未分類
演技者
1月17日
この頃、私は演技者であったという意識が起こった。集団からの要請は以前のように絶対なものではないと思い始めた。その役割が絶対的なものでなくなり、演技者はとまどい始めた。演技者は恐ろしくなった。集団からの要請が絶対的なものではないからには、演技者は自らの役割をしかも独りで決定しなければならないのだから。
 人間というものは不思議な怪物だ。恐ろしい怪物だ。愛したかと思うと怒って私を圧迫したりして恐怖に追いこむ。何とも訳のわからぬ怪物の前で、私はちぢこまり恐れおののいている。何のなす術も知らず、ビクビクしながら。彼等のもつ不平不満は、演技者としての私のまずさにあるのではなく、要請された役割の中にあるのだということを、大学生活の中で知った。
      高野悦子著『二十歳の原点』(新潮社)より引用
与えられた生と与件(慣習、社会)への疑問。学生として、女性として要求される役割への疑問。期待と主体との軋轢。





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Last updated  2005/06/20 10:33:53 AM
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