人生は海の波のごとく浮き沈みあり、荒海あり、朝凪、夕凪のようにまるで
鏡のような状態の時もある。そして、家族でもそれは一人一人違うリズムが
あって、満潮、干潮の期間も、浮き沈みの期間もそれぞれに違う。
例をあげてみると、グレッグのように年中浮き沈みの激しい人もいるが、
その期間は実に短い。そうかと思うと、息子のようにとっても穏やかで、
にこやかで、何十年も平和だった子でも、思いもしなかったひどい離婚などされて、
崖から突き落とされたような状態になり、平常にもどるまで4,5年かかった
ようなこともある。彼は、また笑顔をとりもどしたが、昔のようにジョーダンを
ふんだんにいうこともなくなり、皮肉っぽくなってしまった。私がひんぱんに
サンディエゴに通ったのは、そのためであった。今では、彼が私を訪ねてくる。
もう何年も前の話になるが、娘も30にして史上初の女性アニメ監督となってからは
ハリウッドの「やっかみ」という鋭い刃でブスリとつきさされて、一年間
家にこもっていたこともある。 パソコンの前で一年中ゲームなどしていたので、頭が
おかしくならないだろうかと心配したが、転んでも只では起きない彼女はそのゲーム
会社のコンテストで次々と一位をかくとくし、ついにゲーム会社から「ゲームを
つくりませんか」と、スカウトされたこともある。
私の場合も、雪崩のように、離婚をし母を亡くし、スキー事故で腱を切り、証券会社の
エージェントに大金をごまかされ、友達が殺人にあい、しかもこの全部が2週の間に
起きたことで、気もそぞろで大学の学期末試験のテストの一つに落第点をとったことがあるが
一月位で元に戻った。日頃、瞑想にふけって心を落ち着け 人生を悟 る練習をしていたからかも
しれないが、このように家族でも全くリズムが違う。
しかし、そういう人生の谷間から這い上がってくると(気の毒な事に這い上がれない
人もいるとは思うが)人間として利口になり、強くなることも 確かである。息子もやっと
家の内装をきれいにしはじめ、「新しいソファーを買ったよ」「いま、キッチンの真ん中に
床をとおして電気をいれる工事をしてる」と写真をおくってきた。
あ、やっと皆が落ち着いたな と思ったとたんに、娘から「悲しいニュースがある」と
犬のケンジの足に癌ができたので、切断することになったという。なんでも、手術費に
60万円くらいかかるといって悩んでいたところ、他によいことが起こって、人に貸して
いたお金が全部もどってきたから手術ができたといってきた。
この子は、友達に証文も書かせず、金額もかかず、「ふい」と、現金をかして
しまう子である。今だに、その癖はぬけなくて、人を信じ切ってるところがある。
「返してくれなかったのは、ふたりだけ。たいていは、もともと良い人間」とまるで、
孔子のような事をいう。
このたびの彼女は可なり つよくなっていて ごく短い期間に鬱もきえさったようである。
この場合は鬱ではなく 母親が子を思う感情になったようだ。
「今日で4本足の最後になる」とフェイスブックに書いたくらい落ち着いていた。

このように、災難にたいして、人間は皆違う反応をするが、一番大事なことは、本人も
回りの人も あきらめないこと。必ず、良い日が来ることを信ずること。悩んでる者を愛情でつつむこと。
本人 が「その気」を起こさなかったら治らないから、こうしろ、ああしろ、でなく
そばで見守り、話をきいてやり、忍耐強くその気を起こすように仕向けること。
二人とも、強くなったもんだなあ。
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