南カリフォルニアの青い空

南カリフォルニアの青い空

2024.02.01
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 私が子供のころ、(昭和の始め)『越中富山の薬売り』という薬の行商があった。木の箱を背中にしょって家々を回り、お茶などを飲みながら「だれそれさんが御婚約なされまして・・・」とか世間話をしたり「どこそこでは、〇〇の病気が流行り出しまして・・・」とかニュースを知らせたりしながら、分厚い帳簿に訪問している家庭の家族構成なども書き入れて、どんな薬が必要になるかもしれない、というような予測までたてて、鎮痛剤、塗り薬、目薬、胃の薬とかを置いて行き、忘れた頃また戻って来て使っただけの薬代を払うと又次の薬を置いて行くというシステムの商売だった。つまり後払いという信用で成り立っていた。

 木の箱はたしか、ミニアチュアの箪笥みたいなもので、沢山の引き出しに様々な薬を分けて入れてあった。祖母が常備していた薬に『熊の胃』という平たく真っ黒な苦いのがあって、私がお腹を壊したりすると必ずそれを飲まされたものである。私が苦いと文句言うと、「良薬は口に苦しよ」と言ったのを今思い出している。ウィキペディアによると、富山の薬売りは17世紀の徳川時代からあったと書いてあったが、それが本当ならば三百年も続いていたわけだから大したものである。

 お転婆だった私が膝などをすりむいた所にばい菌がはいって膿んだりすると祖母は、「つわぶきを一枚とっていらっしゃい」と私にとりに行かせ、それを火鉢であぶったものを直接傷に張り付けてから包帯をまいて、毎日取り換えていると自然に治ってきたのも覚えている。又、風邪をひいたときに、友達のお母さんが「ちょっと待ってなさい、これを飲むと直ぐ治るから」といって、温めたお酒に蜂蜜と生卵をいれたものをくれた事がある。アルコールが体中を温めてくれ、頭もほわ~んとなるので風邪が治ったような錯覚になるが、今のアメリカだったら未成年に酒を勧めた友達のおばさんは逮捕されるだろう。(笑)

 冗談はさておき、アメリカの嫁ぎ先でも私の鼻がつまったりすると義母は庭からミントの葉を一握り持ってきて煎じたものを作ってくれたり、喉の痛い時は熱湯にレモンをたっぷり絞り蜂蜜を入れたものをくれたり、ローズマリーの葉を沢山切ってきて、鍋で煮立たせたものをテーブルに置き、私の頭から鍋までかぶさる大きなバスタオルをかけて「ここに座って、この湯気を暫く吸っていなさい」と言った。つまり吸入の原理である。





 私は、このローズマリーの香りが好きなので、風邪をひいてなくても庭から切って来て、熱湯にいれ家中が香るのを時々楽しむ。家中が魚臭くなった時など便利である。又、アメリカン・ネイティブはワイルド・セージを燃やしてネガティブ・エネジーを清めるのに使うので、散歩がてらに野原に果てしなくはえてるセージをとってきて乾燥したものを暖炉でもやしたり、熱湯にいれたりして香を楽しむが、心なしか家中が清められたような感じになるから不思議である。又、日本では風邪をひかないように、と冬至に柚子風呂などにはいるが、古い教えは大切にしたい。

 このように、昔は人間の自己治癒力と自然のものを利用して大抵の問題は解決していた。薬の販売は薬屋か筆頭に書いた『富山の薬売り』であり少しくらいの頭痛や風邪など横になってるだけで治してしまったものである。ところが、いつの間にか人間は薬の奴隷になってしまったようで、亡き母もそうだったが、夫もやれ腰がいたい、喉が痛い、頭痛がすると言って直ぐ薬に頼る。アメリカなどスーパーでも通路の両側にぎっしり薬が並んでいて、どれを選んだらよいのか迷う位の種類ができてしまった。又、処方された薬の副作用という厄介なものがある時は、その症状を治す薬なども処方されるので数多くの薬をのんでいることに気付く。

 例をあげると、還暦までは健康だった私に喘息が出て来た時処方されたインヘーラーなるものは、確かに一時的に呼吸が楽になるが、それまで低いくらいだった血圧が急上昇した為に医者は降圧薬を処方した。すると、カリウムが低くなったと言って更にカリウム迄処方されたという具合で、今では6,7種の薬をのまされている。『遠慮なく言わせて頂く』と、何故喘息になったのかを調べてその元を無くす事が自然ではないかと考えるのだが間違いだろうか。

 たまたま、NETFLIXで『鎮痛薬』(PAINKILLER)というドキュドラマ・シリーズを観てしまってからは、処方薬に対する疑惑がうかび、医者が高額の薬を処方するたびに『金儲けの爲ではないか』と疑ってしまうようになった。そのドラマの筋書きは、強欲の製薬会社の持ち主がセールスマン達の欲望を煽り立て、医者にワイロをばらまき患者達を麻薬入り鎮痛剤の虜にしてしまう営業策略で、現在多くのアメリカ国民、特に若者達を死に至らしめ、経済破壊、家庭分裂を作り出す大問題の最中である。日本でも私が小学生の頃、ヒロポンという覚醒剤が若者の間ではびこったが、国の解決策として売買両者を逮捕したので数年で消えた。戦争で親兄弟を亡くし、家を破壊され仕事にあぶれた当時の日本の若者達、怒りや落ち込みから一瞬でも逃げ出したかった気持ちが判らなくはない。今の若者達もハイテクの発展し過ぎで『本当』の会話や人間味が薄れ機械的になりつつある世の中に人間愛を求めて苦しんでいるのかもしれない。薬も大事だが体と精神の深い関係を重要視し、原因を取り去ることが大事であろうと考えている。

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最終更新日  2024.02.02 03:40:30 コメントを書く


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